JPH10248600A - 癌細胞の検出方法及び癌細胞検出用プライマ - Google Patents

癌細胞の検出方法及び癌細胞検出用プライマ

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JPH10248600A
JPH10248600A JP7271797A JP7271797A JPH10248600A JP H10248600 A JPH10248600 A JP H10248600A JP 7271797 A JP7271797 A JP 7271797A JP 7271797 A JP7271797 A JP 7271797A JP H10248600 A JPH10248600 A JP H10248600A
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gene
cancer cell
cells
cancer
primer
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JP7271797A
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Motomi Nakada
元巳 中田
Naoki Niihara
直樹 新原
Hideyuki Satani
秀行 佐谷
Isamu Okamoto
勇 岡本
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 癌細胞の検出方法及び癌細胞検出用プライマ
を提供する。 【解決手段】 本発明に係る癌細胞高感度検出方法は、
(1)検体である血液又は他の体液等から有核細胞を回収
して全mRNAを抽出し、そのcDNAを作製し、(2)
得られるcDNAに対し、癌細胞特有の遺伝子及びその
スプライシングアイソフォームである内部標準となる特
定の遺伝子の両者を増幅可能なプライマを用いて、逆転
写酵素(RT)と、ポリメラーゼ鎖反応(PCR)との
組合せ(RT−PCR法とする)により増幅し、(3)得
られたそれぞれの遺伝子の発現量を比較定量し、癌細胞
の存在の判別を行う方法である。また、本発明に係る癌
細胞高感度検出用プライマはスプライシングアイソフォ
ームの共通部分に相補的または該共通部分にハイブリダ
イズ可能な塩基配列からなるプライマである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、癌細胞の検出方法
及び癌細胞検出用プローブに関するものである。
【0002】
【従来の技術】癌細胞は原発巣から循環血液等による拡
散等により、血液やその他の体液中(例えば、尿、便、
肺の胸水、喀痰)に存在することが知られているが、早
期癌においてはその存在量は通常極めて少なく、係る血
液や体液を癌診断(特に早期癌)のための検体として用
いた癌細胞を検出するための極めて高感度でしかも高信
頼性のある検出方法は知られていない。また、バイオプ
シーで得られた組織片についても少数または形態変化の
少ない早期癌を検出することは困難である。
【0003】一方、膜貫通型の糖蛋白質であるCD44
(従来Pgp-1、Hermes抗原、ECMRIII、In(Lu)-related a
ntigen等の名前で知られている)は、そのリガンドとし
てはヒアルロン酸、コラーゲン、フィブロネクチン、セ
ルグリシン等であって、細胞外マトリクスと細胞の接着
等の相互作用を媒介し、癌転移に直接関与するする接着
分子の1つとして知られている(松村保広、実験医学Vo
l.12、No.8、63〜70ページ「癌とCD44」)。
【0004】さらに、CD44の遺伝子の解析からCD
44遺伝子には少なくとも20個のエクソンが存在し、
その中で10個のエクソンが細胞外ドメインにおいて、
選択的スプライス機構によりバリエーションのあるタイ
プを構成するのに使用されることも解明されてきた。例
えばアイソフォームとしては、挿入エクソンを持たな
い、80kd〜90kdの分子量サイズの標準型ヒトCD44H
(上記の様々な名前で呼ばれていたhemopoietic type)
や、エクソンV6を含むCD44VやエクソンV8〜V
10を含むCD44Rなどの変異型が知られている。こ
れらの変異型では糖鎖結合領域があるため、平均分子量
は110kd〜200kdの広い範囲に分布する。また、これら変
異型のCD44は癌の転移に深く関与すると考えられて
おり、例えば、CD44Vはラット膵臓癌細胞株におい
て転移能を持つ細胞株にのみ発現が見られること(Salm
i.M等、J.Cell.Biol. 122巻431-442ページ、1993年)
が、CD44R(V8〜V10)が大腸癌組織に高発現
していることが知られている(佐谷等、Lancet 341、72
5-736、1993年)。
【0005】また、微量遺伝子を検出するために開発さ
れたRT−PCR法は検体に含まれる細胞中の遺伝子の
発現の有無を測定することには非常に良い方法である。
しかし、この方法では発現量を定量することが不可能で
ある。そこで、定量ができるRT−PCR法として考案
されたのがコンペティティブRT−PCR法である(Pr
oc.Natl.Acad.Sci. USA, 87, 2725-2729, 1990)。この
方法はサンプルに一定量のコンペティターRNA(また
はDNA)を混ぜて行う方法である。すなわち、コンペ
ティターRNA(またはDNA)として、サンプル中の
目的RNA(またはDNA)と同じプライマのアニーリ
ングサイトを持つものを作製し、それを段階的に希釈し
たものを分注したサンプル中に加えた後、PCR増幅産
物の分離まで行い目的のRNA(またはDNA)由来の
PCR産物と、コンペティターRNA由来のPCR産物
の量を比較する方法である。
【0006】また、サンプル中の遺伝子の定量方法とし
てサンプルに含まれる目的とする遺伝子と異なる内部標
準遺伝子を、該目的とする遺伝子と、同時に、異なるプ
ライマを用いて増幅し、両者の増幅産物を比較する別の
方法も提唱されている(Proc.Natl.Acad.Sci. USA, 87,
7160-7164, 1990)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記のコンペティティ
ブRT−PCR法では測定の都度コンペティターDNA
(またはRNA)が必要となり、それらの準備や保管に
は多くの労力が必要である。また、サンプル中のDNA
(又はRNA)量、複数の分注されたサンプルに対する
PCR条件等測定結果に誤差が生じる要因も多い。
【0008】また、上記内部標準遺伝子を利用する方法
は、目的遺伝子及び内部標準遺伝子それぞれにプライマ
を用意する必要があり両者が同程度増幅されるようにす
るには条件設定に工夫を要する。
【0009】そこで、本発明では、癌細胞を血液や体液
等の検体から検出する方法であって、癌細胞マーカ遺伝
子と内部標準遺伝子の両者を1組のプライマを用いて競
合的に増幅し、両者の増幅遺伝子の比較により癌細胞の
存在を判別するという簡便な癌細胞の検出方法及びその
プライマの提供を課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】以上の知見に基づき本発
明者等は鋭意研究を重ね、上記の血液やその他の体液
(喀痰、便等も含む)、組織切片等を検体とする、高感
度かつ信頼性の高い癌細胞検出方法及びその検出用プラ
イマを見出すことに成功し、本発明を完成するに至っ
た。
【0011】より詳しくは、本発明に係る癌細胞高感度
検出方法は、(1)検体である血液又は他の体液から有核
細胞を回収して全mRNAを抽出し、そのcDNAを作
製し、(2)得られるcDNAに対し、癌細胞特有の遺伝
子及びそのスプライシングアイソフォームである内部標
準となる特定の遺伝子の両者を増幅可能なプライマを用
いて、逆転写酵素(RT)を用いたポリメラーゼ鎖反応
(RT−PCR法とする)により増幅し、(3)得られた
それぞれの遺伝子の発現量を比較定量し、癌細胞の存在
の判別を行う方法である。
【0012】また、本発明に係る癌細胞高感度検出用プ
ライマはスプライシングアイソフォームの共通部分に相
補的部分または該共通部分にハイブリダイズ可能な塩基
配列からなるプライマである。ここで、前記ハイブリダ
イズの条件は、通常PCRで用いられる条件と同じであ
り、例えば実施例3の(3)で示される条件である。
【0013】より詳しくは、本発明は、検体中の癌細胞
の検出方法であって、(1) 前記癌細胞に特異的に強発
現する遺伝子で、かつ前記遺伝子のスプライシングアイ
ソフォームが前記検体中の細胞の一部または全部に含ま
れる遺伝子を癌細胞マーカ遺伝子として選択し、(2)
前記選択された癌細胞マーカ遺伝子のスプライシングア
イソフォームであって、前記検体中の細胞の一部又は全
部に含まれ、かつ前記癌細胞では癌化によりその発現量
が減少するか、前記癌細胞マーカ遺伝子と比較して実質
的に発現量が同程度に維持されるスプライシングフォー
ムを内部標準遺伝子として選択し、(3) 前記癌細胞マ
ーカ遺伝子と、前記内部標準遺伝子との共通配列部分で
スプライシングにより変化する部分を挟む両側の各1箇
所のセンス鎖とアンチセンス鎖にハイブリダイズし、前
記スプライシングにより変化する部分を含む部分を増幅
する1組のポリメラーゼ鎖反応(PCR)用プライマを
選択し、(4) 前記検体中のmRNAに基づくcDNA
と、前記プライマとを用いたPCR反応により増幅され
た前記癌細胞マーカ遺伝子と前記内部標準遺伝子のDN
A断片の存在量比に基づき癌細胞を検出する方法を提供
するものである。
【0014】さらに、本発明は、前記癌細胞マーカ遺伝
子が標準型CD44H遺伝子に、エクソンV8、V9、
V10が挿入されたCD44R1遺伝子であり、内部標
準遺伝子が標準型CD44H遺伝子にエクソンV10が
挿入されたCD44R2遺伝子であることを特徴とする
前記癌細胞の検出方法を提供するものである。
【0015】さらに、本発明は、プライマの1つとし
て、CD44のスプライシングサイトよりアミノ末端側
の定常部をコードするcDNA配列中の3’末端を含む
配列部分の相補鎖にハイブリダイズするヌクレオチド鎖
に、さらにその3’末端にATAを付加したものを用い
る前記癌細胞の検出方法を提供するものである。
【0016】さらに、本発明は、プライマの1つとし
て、CD44のエクソンV10の全部もしくは一部のア
ミノ酸配列またはエクソンV10の全部もしくは一部と
さらにカルボキシル末端側定常部の少なくとも一部を含
む連続したアミノ酸配列をコードするcDNAにハイブ
リダイズするヌクレオチド鎖を用いる前記癌検出方法を
提供するものである。
【0017】また、本発明は、CD44R1、およびC
D44R2のDNA断片を増幅するプライマを提供する
ものである。
【0018】また、本発明は、前記の癌細胞の検出方法
で使用できる下記の配列で表される1組のプライマを提
供するものである。
【0019】 5’−GACAGAATCCCTGCTACCAATA
−3’ 5’−ATGTGTCTTGGTCTCCTGATAA
−3’。
【0020】以下、本発明に係る方法及び、プライマに
ついて発明の実施の形態に即して詳しく説明する。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明に係る高感度癌細胞検出方
法は一般的には、検出されるべき癌細胞に特異的に多く
発現する癌細胞マーカを見出し、かつ検体中に存在する
細胞の大多数を構成する正常細胞に常に一定量発現す
る、前記癌細胞マーカ遺伝子のスプライシングアイソフ
ォームである遺伝子を内部標準遺伝子として見出し、主
として上記選択された2種類の遺伝子を、1組のプライ
マで同時にRT−PCR法により増幅し、上記増幅産物
の量を比較定量し、癌細胞の存在を判別する。
【0022】ここで、検体に含まれる正常細胞が、前記
内部標準遺伝子のみならず、前記癌細胞マーカ遺伝子を
も同時に常に発現している場合にも、上記で得られる増
幅産物の量の比を算出し正常細胞のみの場合の比と比較
して判別することで簡便かつ高精度で癌細胞の存在判別
が可能となる。さらに、本発明の方法では、スプライシ
ングされる部分を挟む1組の前記RT−PCR法用プラ
イマのみを用いて、2種類の遺伝子を同時に競合的に増
幅することが可能となる。従って、本発明の方法におい
てはRT−PCR法における増幅操作の不備から生じる
誤差が解消し、本発明に係る方法の信頼性は極めて高
い。
【0023】増幅産物の量の比の算出方法は、得られる
増幅産物を電気泳動して染色し、癌細胞マーカ遺伝子の
増幅産物のバンドの濃度と内部標準遺伝子の増幅産物の
バンドの濃度をイメージスキャナ等に取込み数値化(数
値化するプログラムはNIHimage1.60が使用可能)
し、両者の比を求める方法が挙げられる。また、放射性
同位元素を標識したヌクレオチドを加えてPCRを行
い、増幅産物の放射線量により定量する等の方法も挙げ
られる。
【0024】癌細胞の混入の判別規準については、あら
かじめ健常人と癌患者からそれぞれ得た検体(血液、胸
水、喀痰、尿、便、組織片等)を用いて本発明に係るP
CR法を行い増幅産物の比をそれぞれについて算出し、
判別用統計処理パラメータを求めておく。得られたパラ
メータを用いて、癌細胞存在不明の検体から得た比に基
づき、癌細胞の存在を統計的に判別可能となる。
【0025】癌化に伴い変異を示す遺伝子は種々存在す
るが、本発明では増幅産物を分子量で識別できるスプラ
イシングバリアントを癌細胞マーカ遺伝子として選ぶこ
とができ、スプライシングにより遺伝子が挿入されるも
のでも削除されるものでもよい。
【0026】より具体的には、本発明では後述する実施
例でCD44R1とCD44R2のそれぞれの遺伝子が
癌細胞マーカ遺伝子及び内部標準遺伝子として好ましく
使用可能であることを見出し、上記説明した方法でそれ
ぞれの発現量を検出し、それらの発現量の比R1/R2
から肺癌細胞、膀胱癌細胞の存在を判別した。
【0027】(検体の種類)本発明に係る癌細胞高感度
検出方法を応用可能な検体の種類は特に制限されず、固
体検体でも、液体検体でもよく、適当な濃度(細胞数)
に希釈した血液、胸水、喀痰、尿、便、組織片等に好ま
しく使用され得る。かかる場合、あらかじめ健常人と癌
患者からそれぞれの検体を測定しておく必要がある。こ
の際、癌細胞存在の統計的判別のために必要な複数の検
体を測定し、統計用パラメータを算出しておく。
【0028】(検出可能な癌の種類)本発明に係る方法
で判別可能な癌の種類は特に制限はない。すでに説明し
た特徴を有する2種類の遺伝子が利用可能ならば、係る
癌細胞は検出可能となる。特に、大腸癌、肺癌、乳癌、
肺偏平上皮癌、非小細胞肺癌、膀胱癌等の細胞は高感度
で検出可能である。
【0029】(検出用プライマ)本発明に係る方法で使
用するRT−PCR法用プライマについてはスプライシ
ングアイソフォームのスプライシングされる部分を挟む
プライマであれば好ましく検出用プライマとなり得る。
さらに癌細胞マーカ遺伝子と内部標準遺伝子のみを増幅
するプライマを選択することが好ましいが、両遺伝子か
らの産物を分離できれば他の遺伝子も増幅するプライマ
も使用可能である。プライマの塩基配列の決定は本発明
の技術分野の当業者であれば容易に決定可能である。ま
た、プライマの塩基数は、通常は、12塩基以上のもの
が使用されており理論的にもハイブリダイズの条件がス
トリンジェントであれば16塩基以上のプライマが増幅
する遺伝子は唯一限定されうるものである。従って本発
明のプライマの塩基数の決定は本発明の技術分野の当業
者であれば容易に行え、塩基数の範囲は12〜30の範
囲であり、20塩基程度のプライマが用いられることが
より好ましい。
【0030】(検出感度)本発明に係る検出方法は、検
体中の特定の癌細胞マーカ遺伝子と内部標準遺伝子をP
CR法により増幅し、検出、定量するものである。PC
R法ではプライマの構造(プライマの遺伝子への結合効
率)または反応条件(温度、試薬、時間等)の僅かな変
動が指数関数的に増幅産物の生成量に大きく影響する。
従って、2つの遺伝子に対し異なるプライマを用いる場
合、または別の試料(同一の試料を分注して測定する場
合も含め)で測定する場合は両者が同程度に増幅されて
いるとは限らず、増幅産物量の定量比較結果が直ちに増
幅前の遺伝子を定量比較した結果と等価とはいえない。
【0031】本発明においては、単一試料中に目的遺伝
子と内部標準遺伝子を含み、両遺伝子を同一のプライマ
で増幅するため、上記要因は2つの遺伝子に対し全く同
一となる。さらに、標準遺伝子は外部より添加するもの
でなく生体より採取時に検体に含まれるものを用いるた
め、標準遺伝子の添加量が測定結果に影響を与えること
もない。つまり、検体から全mRNAを抽出してcDN
Aを調製し目的遺伝子と標準遺伝子を同一のプライマで
増幅するため、PCRの反応条件の変動があっても両遺
伝子からの生産物は試料中の両遺伝子の存在比のみに依
存して競合的に増幅される。すなわち、少量の遺伝子の
み入手できない場合でもPCR反応で目的遺伝子を増幅
させてその量を評価することができる。
【0032】癌マーカ遺伝子と内部標準遺伝子の増幅産
物の量比を調べるためには、具体的には両者を分離して
それぞれの量を測定する必要がある。分離及び計量につ
いては、既知の種々の方法が適用でき、目的に応じて最
適の手段を選択できる。スプライシングにより増幅産物
の分子量がかなり変化するものを内部標準遺伝子として
選択すれば、ゲル電気泳動、キャピラリー電気泳動等で
十分に分離可能である。分子量に大きな差がない場合に
おいても、両遺伝子からの増幅産物配列の異なる部分を
利用して、制限酵素による切断様式の違い(生成物の分
子量の違い)やそれぞれに特異的にハイブリダイズする
異なるプローブを用いることにより両者を識別すること
ができる。本発明で実施例で説明されるように、CD4
4R1およびCD44R2に共通のRT−PCRプライ
マを用いて、ゲル電気泳動法により増幅産物を分離し、
染色後にデンシトメトリにて数量化する方法では、正常
細胞1000個について1個の癌細胞が存在することが
判別可能であることが示され、正常細胞千個について1
個の癌細胞が存在しても判別可能であると考えられる。
【0033】(CD44による癌細胞高感度検出)さら
に、本発明の好ましい実施態様として、本発明に係る方
法をすでに説明したCD44に応用して、血液やその他
の体液を検体とした場合に肺癌を始めとする種々の癌細
胞の存在を早期に検出可能とする方法及びその方法に使
用する検出用プライマについて以下に説明する。
【0034】まず、肺癌患者で高発現するCD44R1
(V8〜V10が挿入されている)の検出に対する内部
標準遺伝子となるべきCD44のスプライシングアイソ
フォームを検索した結果、健常人の血液検体中の細胞に
はCD44の1つのスプライシングアイソフォームであ
るCD44R2(V10が挿入)が存在することを見出
した。また同時に健常人の血液検体中の細胞にはCD4
4R1も一定量発現しており、これらのスプライシング
アイソフォームの量比は実質的に一定であることを見出
した。なお、標準型CD44Hは正常細胞、癌細胞とも
に多量に発現するため、標準遺伝子とするには好ましく
ない。
【0035】さらに、癌細胞のCD44R1とCD44
R2の遺伝子を同様にRT−PCR法で増幅し、両者の
増幅量の相対比を定量した。癌細胞では、上記正常細胞
に比較して、これらの増幅量比(CD44R1/CD4
4R2)が有意に増加していることを確認した。
【0036】また、CD44R1とCD44R2の挿入
遺伝子の塩基配列に基づき、これらの5’側の最初の3
塩基が同じであることに着目し、CD44の5’側正常
領域の3’末端部分にR1、R2共通の3塩基を付加し
たプライマを調製した。このプライマを用いて、CD4
4R1、CD44R2の両方を同じプライマで同時に
(競合的に)増幅することで、これら2種類以外のアイ
ソフォームは増幅されないため他のアイソフォーム及び
正常分子の発現が細胞内で変化しても全く影響を受け
ず、精度の良い検出が可能となった。この場合、検体中
の細胞内のCD44R2を内部標準遺伝子として利用す
るため、検体中の細胞数の変動による影響が少なく(検
体間の細胞数の変動による補正が不要)、また、CD4
4R1とCD44R2の遺伝子が競合的に増幅されるた
めにわずかな癌細胞を含む検体からもCD44R2に比
較してCD44R1を多く増幅できた。また、検体とし
て、実際の患者の胸水、尿を、癌細胞の有無を高感度で
検出できた。この場合の検出限界の見積は、1個の癌細
胞が1000個の正常細胞中に存在するという非常に低
濃度のものである。これは、本発明を用いて早期癌の状
態においても癌細胞が高感度で検出可能となることを意
味する。
【0037】なお、本明細書および図面において、塩基
やアミノ酸などの略号で表示する場合、IUPAC−I
UBによる略号あるいは当該分野における慣用の略号を
使用した。
【0038】(核酸) DNA デオキシリボ核酸 cDNA 相補的DNA RNA リボ核酸 mRNA メッセンジャーRNA A アデニン C シトシン G グアニン T チミン 以下、上記のCD44を用いた実施例についてついて詳
しく説明する。
【0039】
【実施例】
(実施例1) 健常人末梢血細胞での検討 (1)DNAプライマの合成 DNAプライマはDNA合成機(モデル392、ABI
社製)で合成した。合成したDNAはマニュアルに従い
精製後滅菌蒸留水にて20pmol/mlに調製した。
【0040】(2)細胞の調製 健常人から末梢血を採取した。末梢血はEDTA添加採
血管に5cc採血し、ファイコール・ペーク(ファルマ
シア製)を用いた比重遠心分離法にて、白血球有核細胞
を回収した。
【0041】(3)mRNAの調製 (2)で得た細胞からRNAzolB(コスモバイオ社
製)にて全RNAを抽出した。その後、BRL社製の逆
転写酵素(Moloney murine leukemia virus reverse tr
anscriptase)を用いてcDNAにした。このcDNAを
用いてPCRを実施した。
【0042】(4)PCR反応 CD44の定常領域にプライマを設定し、健常人の白血
球細胞由来のCD44のアイソフォームが存在するかど
うかについて検討した。すなわち、CD44定常領域の
5’側のプライマP1は5’−TCCCAGACGAA
GACAGTCCCTGGAT−3’を用い、CD44
定常領域の3’側のアンチセンスプライマP2は5’−
CACTGGGGTGGAATGTGTCTTGGTC
−3’を用いて定常CD44を含む全CD44遺伝子を
増幅した。なお、以下に示す反応条件にてPCR反応を
行った。
【0043】 cDNA 5μl プライマP1 1μl プライマP2 1μl 10XPCR緩衝液 2μl dNTP混合物 1μl Ampli-Taq(パーキンエルマー社) 1μl DDW 9μl 合計 20μl 反応は温度を上げた後に酵素が働くTaq start antibody
を用いたHot Start法で行った。条件は94℃30秒、55
℃45秒、72℃60秒を30サイクル行い、最後に7
2℃10分で伸張反応する方法を行った。
【0044】(5)ついで、このPCR産物を8%のポ
リアクリルアミドゲルにて電気泳動し、その後銀エチジ
ウムブロミド染色にてDNAを染色した。
【0045】その結果、図1に示すように正常人では定
常CD44であるCD44Hが強く染色されるに加え
て、約280bpのところに、アイソフォームの発現を認め
た。
【0046】(6)DNAシークエンス この健常人で発現しているアイソフォームが何であるか
を調べるために、DNAシークエンスを行った。DNA
シークエンスはPCR産物から2%アガロースゲル電気
泳動後、アイソフォームだけをゲルから抽出した。な
お、PCR産物のゲルからの抽出は、GenecleanIIキッ
ト(バイオ101製、フナコシ取扱)を用いて実施した。
この抽出したDNA断片についてTAクローニングキッ
ト(インビトロゲン製、フナコシ取扱)を用いて、ベク
ターに組込んだ後、ユニバーサルプライマとリバースプ
ライマを用いてダイターミネーター法を用いて、ABI
モデル373DNAシーケンサでシーケンスした。その
結果、健常人の細胞から増幅されるアイソフォームはV
10のみ挿入されたCD44R2であることを決定し
た。これを模式的に図2に示した。
【0047】(7)CD44R1とCD44R2に共通
するプライマの作製 すでに報告されているCD44のcDNA配列を調べる
とCD44R1、CD44R2のスプライシングにより
挿入される部分の5’側の3塩基がATAと同一である
ことが分った。そこで、図3に示すようにCD44の定
常部(5’末端部)からATAまでカバーするプライマ
を作製した。もう一方のプライマはCD44定常部
(3’末端側)の5’末端部分とV10の3’末端7塩
基を含む配列とした。この配列を以下に示す。すなわ
ち、5’側のプライマP3、5’−GACAGAATC
CCTGCTACCAATA−3’と、3’側のプライ
マP4、5’−ATGTGTCTTGGTCTCCTG
ATAA−3’である。このプライマのセットを用い
て、再度同じ健常人の末梢血白血球から調製したcDN
Aを用いてPCRを実施した。なお、以下に示す反応条
件にてPCR反応を行った。
【0048】 cDNA 5μl プライマP3 1μl プライマP4 1μl 10XPCR緩衝液 2μl dNTP混合物 1μl Ampli-Taq 1μl DDW 9μl 合計 20μl 反応は温度を上げた後に酵素が働くTaq start antibody
を用いたHot Start法で行った。条件は94℃30秒、55
℃45秒、72℃60秒を30サイクル行い、最後に7
2℃10分で伸張反応する方法を実施した。このPCR
サンプルを2%アガロースゲル電気泳動を行った後、エ
チジウムブロマイドで染色した。
【0049】この結果を図4に示した。その結果健常人
の末梢血中の白血球細胞にもCD44R2のみならず、
CD44R1も又わずかながら一定量存在することが示
さた。これらの量比を数値化することを試みた。
【0050】(8)画像処理によるCD44R1/CD
44R2の量比の数値化 CD44R1/CD44R2の量比を数値化するため
に、(7)で染色されたゲルをCCDカメラで画像とし
てコンピュータに取り込んだ後、NIHimage1.60解析
ソフトを使用して数値化を行った。得られた数値(面積
比)からは、0.4と低い値であった。
【0051】そこで健常人の末梢血由来の白血球細胞で
の値を評価するために、8人の健常人の末梢血の白血球
細胞に基づき測定した結果、個人差が少なくほぼ一定値
のCD44R1/CD44R2値(平均0.36、標準
偏差0.03)となった(図5)。
【0052】(実施例2)癌細胞での検討 (1)癌細胞の調製 さらに、モデル癌細胞として、大腸癌細胞株(HT2
9)を用いて同様のプライマによる増幅反応を実施し
た。この細胞を10%牛胎児血清含有のDME培地にて
細胞培養し、細胞数として106個まで培養した。その
後この細胞を遠心分離にて回収した。
【0053】(2)mRNAの調製 (1)で得られた細胞からRNAzolB(コスモバイ
オ社製)にて全RNAを抽出した。その後、BRL社製
の逆転写酵素を用いてcDNAにし、cDNAに基づき
PCR増幅を行った。
【0054】(3)PCR増幅反応 5’側のプライマP3、5’−GACAGAATCCC
TGCTACCAATA−3’と、3’側のプライマP
4、5’−ATGTGTCTTGGTCTCCTGAT
AA−3’のセットを用いて、再度同じ健常人の末梢血
から調製したcDNAの時と同じ条件にてPCRを行っ
た。
【0055】 cDNA 5μl プライマP3 1μl プライマP4 1μl 10XPCR緩衝液 2μl dNTP混合物 1μl Ampli-Taq 1μl DDW 9μl 合計 20μl 反応は温度を上げた後に酵素が働くTaq start antibody
を用いたHot Start法で行った。条件は94℃30秒、55
℃45秒、72℃60秒を30サイクル行い、最後に7
2℃10分で伸張反応する方法を実施した。この増幅産
物を2%アガロースゲル電気泳動を行った後、エチジウ
ムブロマイドで染色した。その結果この方法ではHT2
9細胞でCD44R1がCD44R2と比較して多量に
検出されることが見い出された。
【0056】(4)検出限界の検討 次にこれらの結果から、正常の白血球細胞が存在する体
液中にCD44R1を強発現している癌細胞が混入して
きた場合に、このCD44R1/CD44R2の比の上
昇をもって臨床診断に使えないかを検討した。すなわ
ち、健常人の白血球細胞106個に対して何個の癌細胞
が混入していたとき癌細胞の混入を見分けられるかにつ
いて検討した。
【0057】そこで、白血球細胞1000個に対し、1
個の大腸菌細胞株(HT29)をいれたもの、100個
に1個癌細胞が存在するもの。10個に1個癌細胞が存
在するサンプル、および1万個に1個、10万個に1個
存在するサンプルを調製し、それぞれのサンプルについ
て(3)と同様にしてCD44R1とCD44R2の検
出を行った。その結果、図6に示すように1000個の
正常細胞に対し癌細胞が1個存在するだけでも、CD4
4R1がCD44R2と比較して多量に検出することが
できることが判明した。すなわち、1000個の正常細
胞に対し癌細胞が1個存在する場合、該癌細胞を検出す
ることが可能であることが判明した。
【0058】(実施例3) 胸水からの細胞を用いたC
D44R1/CD44R2の測定 (1)細胞の調製 正常人および癌患者から胸水5cc〜10ccを採取し
た。この胸水を遠心分離し、有核細胞を回収した。
【0059】(2)mRNAの調製 (1)で得た細胞から酸、グアニジウムチオシアネート
/フェノール/クロロホルム抽出法(AGPC法)にて
全RNAを抽出した。その後、BRL社製の逆転写酵素
(Moloney murine leukemia virus reverse transcript
ase)を用いてcDNAにした。このcDNAを用いて
PCRを行った。
【0060】(3)PCR反応 5’側のプライマP3、5’−GACAGAATCCC
TGCTACCAATA−3’と、3’側のプライマP
4、5’−ATGTGTCTTGGTCTCCTGAT
AA−3’のセットを用いて、次の条件にてPCRを行
った。
【0061】 cDNA 5μl プライマP3 1μl プライマP4 1μl 10XPCR緩衝液 2μl dNTP混合物 1μl Ampli-Taq 1μl DDW 9μl 合計 20μl 反応は温度を上げた後に酵素が働くTaq start antibody
を用いたHot Start法で行った。条件は94℃30秒、63℃3
0秒、72℃30秒を33サイクル行い、最後に72℃
10分で伸張反応する方法を実施した。
【0062】(4)画像解析 ついでこの増幅産物を2%アガロースゲルにて電気泳動
し、その後エチジウムブロミドにてDNAを染色した。
この染色したゲルをCCDカメラで画像として取り込ん
だ後、NIHimage1.60ソフト(NIHから入手可能。htt
p://rsb.info.nih.gov/nih-image/download.html)を使
用してCD44R1/CD44R2の比率を解析した。
【0063】その結果図7、および8に示すように正常
人ではCD44R1/CD44R2比が0.2であるの
に対し、癌患者では4.27と高い値を示すことが見出
された。
【0064】(実施例4) 診断の検討 次に実際の診断目的にて穿刺吸引された胸水の細胞成分
からCD44R1/CD44R2の比率を調べた。
【0065】良性の胸水として結核性、細菌性の胸水を
用いた。悪性の胸水として、肺癌、胸部癌を用いた。細
胞の調製から画像処理までは上で記載した実施例3
(1)〜(4)までの方法に従い行った。
【0066】その結果良性胸水ではCD44R2が多く
増幅されるが、癌性胸水では、約70%の症例について
はCD44R1が多く増幅され、CD44R1/CD4
4R2の値が1.5を越えていることが分った(図9、
10)。また、電気泳動バンドより数値化したCD44
R1/CD44R2比を表に示す。
【0067】 表 競合RT−PCR法による増幅産物 =============================== CD44R1/CD44R2比 ≧1.5 <1.5 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 悪性胸水 n=23 16 7 (NSCLC) 悪性胸水 n=2 1 1 (Breast Ca.) 良性胸水 n=23 0 23 =============================== 表より明らかなように、癌性では17/25でR1/R
2が1.5を越えた。良性では1.5を超えた例は一例
もなかった。
【0068】(実施例5) 尿からの細胞を用いたCD
44R1/CD44R1の測定 (1) 細胞の調製 膀胱炎患者及び膀胱癌患者から尿50cc〜100cc
を採取した。この尿を遠心分離し、有核細胞を回収し
た。
【0069】(2) mRNAの調製 (1)で得た細胞から、酸、グアニジウムチオシアネー
ト/フェノール/クロロホルム抽出法(AGPC法)に
て全RNAを抽出した。その後、BRL社製の逆転写酵
素(Moloney murine leukemia virus reverse transcrip
tase)を用いてcDNAとした。このcDNAを用いて
PCRを行った。
【0070】5’側のプライマP3、5’−GACAG
AATCCCTGCTACCAATA−3’と、3’側
のプライマP4、5’−ATGTGTCTTGGTCT
CCTGATAA−3’のセットを用いて、次の条件に
てPCRを行った。
【0071】 cDNA 5μl プライマP3 1μl プライマP4 1μl 10XPCR緩衝液 2μl dNTP混合物 1μl Ampli-Taq 1μl DDW 9μl 合計 20μl 反応条件は94℃30秒、63℃30秒、72℃30秒を33サ
イクル行い、最後に72℃10分で伸張反応する方法を
実施した。
【0072】(4)画像解析 ついでこの増幅産物を2%アガロースゲルにて電気泳動
し、その後エチジウムブロミドにてDNAを染色した。
結果を図11に示す。この染色したゲルをCCDカメラ
で画像として取り込んだ後、NIHimage1.60を使用し
てCD44R1/CD44R2の比率を解析した。
【0073】その結果尿中でも癌患者の尿サンプルから
はCD44R1/CD44R2の比が1.5を超えるの
に対し、膀胱炎患者の尿サンプルからはCD44R1/
CD44R2の比が1.5未満であることが判明した。
【0074】
【発明の効果】本発明の癌細胞マーカー遺伝子及び該癌
細胞マーカー遺伝子とスプライシングフォームの関係に
ある内部標準遺伝子を1組のプライマにより同時にPC
R法により増幅し、その発現量を比較する方法により、
血液や体液等に混入した極微量の癌細胞を検出すること
が可能となり、癌の早期診断へ使用することが可能とな
る。特にCD44R1とCD44R2の比、CD44R
1/CD44R2が1.5以上となる場合に、肺癌、乳
癌、膀胱癌に対する早期診断へ使用することが可能とな
る。
【0075】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:25 配列の型:核酸 鎖の数:1本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:DNA 配列 TCCCAGACGA AGACAGTCCC TGGAT 25 配列番号:2 配列の長さ:25 配列の型:核酸 鎖の数:1本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:DNA 配列 CACTGGGGTG GAATGTGTCT TGGTC 25 配列番号:3 配列の長さ:22 配列の型:核酸 鎖の数:1本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:DNA 配列 GACAGAATCC CTGCTACCAA TA 22 配列番号:4 配列の長さ:22 配列の型:核酸 鎖の数:1本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:DNA 配列 ATGTGTCTTG GTCTCCTGAT AA 22
【図面の簡単な説明】
【図1】健常人末梢血白血球細胞を検体として、プライ
マP1、P2を用いてRT−PCR法で増幅したCD4
4のスプライシングアイソフォームを示す電気泳動写真
である。図中HT29のバンドは癌細胞株を用いた陽性
コントロールを示す。
【図2】CD44による、CD44H(バリアントエク
ソンなし)、CD44R1(バリアントエクソンV8、
V9、V10を含む)およびCD44R2(バリアント
エクソンV10を含む)の3種類の遺伝子のスプライシ
ングアイソフォームの配列を示すブロック図である。
【図3】CD44R1およびCD44R2の遺伝子を増
幅する共通のプライマのアニーリングサイトを示す図で
ある。図中の塩基はCD44R1及びCD44R2の遺
伝子のセンス鎖の塩基である。
【図4】CD44R1およびCD44R2を増幅する共
通のプライマP3,P4により増幅した産物を示す電気
泳動写真である。
【図5】図4の電気泳動バンドを数値化したグラフを示
す図である。
【図6】8人の健常人の末梢血の白血球細胞のCD44
R1およびCD44R2の産物の遺伝子増幅産物を示す
電気泳動写真である。
【図7】CD44遺伝子を用いる本発明に係る方法の検
出限界を示す電気泳動写真である。図上部の数値は癌細
胞(HT29)と健常人末梢血白血球(PBL)の試料
中の細胞数を示す。
【図8】悪性胸水及び良性胸水を被検体として、増幅さ
れたCD44R1およびCD44R2の遺伝子増幅産物
を示す電気泳動写真である。
【図9】悪性及び良性の胸水のCD44R1およびCD
44R2のバンドを数値化してグラフに示した図であ
る。
【図10】胸水を検体し、本発明に係る方法を用いてC
D44R1遺伝子およびCD44R2遺伝子を増幅した
結果を示す電気泳動写真である。良性胸水として、結核
性(Tb)および細菌性(Bacterial)を用い、悪性胸
水として、肺癌性(Lung Ca.)および胸部癌性(Breast
Ca.)を用いた。
【図11】尿を検体とし、本発明に係る方法を用いてC
D44R1遺伝子およびCD44R2遺伝子を増幅した
結果を示す電気泳動写真である。良性の尿として膀胱炎
患者の尿を、悪性の尿として膀胱癌患者の尿を用いた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡本 勇 熊本県熊本市本庄二丁目2−1 熊本大学 医学部 腫瘍医学講座内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 検体中の癌細胞の検出方法であって、
    (1) 前記癌細胞に特異的に強発現する遺伝子で、かつ
    前記遺伝子のスプライシングアイソフォームが前記検体
    中の細胞の一部または全部に含まれる遺伝子を癌細胞マ
    ーカ遺伝子として選択し、(2) 前記選択された癌細胞
    マーカ遺伝子のスプライシングアイソフォームであっ
    て、前記検体中の細胞の一部又は全部に含まれ、かつ前
    記癌細胞では癌化によりその発現量が減少するか、前記
    癌細胞マーカ遺伝子と比較して実質的に発現量が同程度
    に維持されるスプライシングフォームを内部標準遺伝子
    として選択し、(3) 前記癌細胞マーカ遺伝子と、前記
    内部標準遺伝子との共通配列部分でスプライシングによ
    り変化する部分を挟む両側の各1箇所のセンス鎖とアン
    チセンス鎖にハイブリダイズし、前記スプライシングに
    より変化する部分を含む部分を増幅する1組のポリメラ
    ーゼ鎖反応(PCR)用プライマを選択し、(4) 前記
    検体中のmRNAに基づくcDNAと、前記プライマと
    を用いたPCR反応により増幅された前記癌細胞マーカ
    遺伝子と前記内部標準遺伝子のDNA断片の存在量比に
    基づき癌細胞を検出する方法。
  2. 【請求項2】 前記癌細胞マーカ遺伝子が標準型CD4
    4H遺伝子に、エクソンV8、V9、V10が挿入され
    たCD44R1遺伝子であり、内部標準遺伝子が標準型
    CD44H遺伝子にエクソンV10が挿入されたCD4
    4R2遺伝子であることを特徴とする請求項1に記載の
    癌細胞の検出方法。
  3. 【請求項3】 プライマの1つとして、CD44のスプ
    ライシングサイトよりアミノ末端側の定常部をコードす
    るcDNA配列中の3’末端を含む配列部分の相補鎖に
    ハイブリダイズするヌクレオチド鎖に、さらにその3’
    末端にATAを付加したものを用いる請求項2記載の癌
    細胞の検出方法。
  4. 【請求項4】 プライマの1つとして、CD44のエク
    ソンV10の全部もしくは一部のアミノ酸配列またはエ
    クソンV10の全部もしくは一部とさらにカルボキシル
    末端側定常部の少なくとも一部を含む連続したアミノ酸
    配列をコードするcDNAにハイブリダイズするヌクレ
    オチド鎖を用いる請求項2記載の癌検出方法。
  5. 【請求項5】 請求項2、3または4のいずれか一項に
    記載の癌細胞の検出方法で使用できる下記の配列で表さ
    れる1組のプライマ。 5’−GACAGAATCCCTGCTACCAATA
    −3’ 5’−ATGTGTCTTGGTCTCCTGATAA
    −3’。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10174386B2 (en) 2005-01-31 2019-01-08 Kabushiki Kaisha Yakult Honsha Method of quantitatively analyzing microorganism targeting rRNA

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