JPH10244630A - 木質パネル - Google Patents

木質パネル

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JPH10244630A
JPH10244630A JP4779997A JP4779997A JPH10244630A JP H10244630 A JPH10244630 A JP H10244630A JP 4779997 A JP4779997 A JP 4779997A JP 4779997 A JP4779997 A JP 4779997A JP H10244630 A JPH10244630 A JP H10244630A
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Katsuji Kawanishi
勝次 川西
Akito Sakota
章人 迫田
Makoto Okuchi
誠 奥地
Yukitake Shiraishi
侑丈 白石
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HAUTETSUKU KK
Nippon Steel Corp
Okuji Kensan Co Ltd
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HAUTETSUKU KK
Sumitomo Metal Industries Ltd
Okuji Kensan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 強度および寸法安定性に優れ、かつ低コスト
で製造できる木質パネルを提供する。 【解決手段】 亜鉛系めっき鋼材1の表面に、クロメー
ト皮膜2、および表面の水滴接触角が80°以下で、膜厚
が 0.1〜5.0 μmの有機皮膜3、を形成してから、接着
剤4を介して、木質系ボード5の裏面側に接着させて、
木質系ボードを強化する。木質系ボード5の外面側には
意匠性フィルム6をラミネートしてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築物 (例、一般
家屋、倉庫、店舗等) において、例えば、ドア材や各種
パネル (例、壁材、床材、天井材等) として使用するこ
とができる、木質系ボードを基材とした高強度で寸法安
定性に優れた木質パネルに関する。
【0002】
【従来の技術】木材は、その色艶、木目、木肌等の外観
や肌触りが好まれるため、木造家屋の構造材である柱や
桁以外にも、一般家屋や店舗等の建築物には非常に多く
のパネル状木材が、例えば、ドア、床、壁、天井、床下
などに使用されている。しかし、このようなパネル状の
木材には、たわみ、反り、収縮等の寸法安定性の問題が
ある。また、ドア材やドアの芯材のように強度を必要と
する場合には、木材の中でもその品質を限定して使用す
る必要があり、その場合にはコストや森林資源保護の観
点から問題がある。
【0003】また、ムクの木材のパネルに加えて、本質
的に木材または木材繊維からなる集成材、例えば、合
板、パーディクルボード、ファイバーボード等の木質系
ボードも大量に使用されている。このような木質系ボー
ドも、反りや収縮により経時的な寸法が不安定になるも
のが多く、また外力が加わった時の剛性 (強度) が不十
分であることが多い。そのため、例えば、ドア材に用い
る場合には、剛性を高めるため、ボード内部に木材を補
強材として使用していた。しかし、補強材には高価な高
品質の木材を使用する必要があるため、コストと森林資
源保護の両面から問題がある。
【0004】木材を補強する目的で、鋼板等の鋼材を貼
り合わせることが提案されている。例えば、特開平5−
185404号公報には、金属の表面に亜鉛−鉄系合金粒を投
射してその合金皮膜を形成した後、さらに化成処理 (Z
−S処理) を施し、木材の表面には石油系の保護液を塗
布し、両者を接着剤で接着した木材/金属複合材料が記
載されている。しかし、投射による合金皮膜は非常に厚
膜になり、材料コストがかかること、Z−S処理が複雑
な工程を要する化成処理であって、やはりコストがかか
る、という問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、木質系ボー
ドに鋼材を接着剤を介して貼り合わせた木質パネルであ
って、強度および寸法安定性に優れ、かつ低コストで製
造できる木質パネルを提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題は、本発明に係
る「木質系ボードに接着剤を介して鋼材が接着された木
質パネルであって、前記鋼材の少なくとも木質パネルに
接着された表面が、めっき皮膜、好ましくは亜鉛系めっ
き皮膜と、その上に好ましくはクロメート皮膜を介して
形成された、表面の水滴接触角が80°以下、膜厚が 0.1
〜5.0 μmの有機皮膜とを有していることを特徴とす
る、木質パネル」により解決することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の木質パネルは、木質系ボ
ードに、鋼材を接着剤により接着して補強したものであ
る。鋼材は、通常は木質パネルの裏面側または内部に配
置され、使用時には外部から見えなくなる。但し、木質
系ボードの両面に鋼板を接着し、外面が鋼板となる態様
も含む。
【0008】木質系ボードの表面に裸の鋼材をそのまま
接着剤で貼り合わせても、十分な接着強度が得られな
い。その上、木材の接着に一般に使用される水性エマル
ジョン型の接着剤を使用した場合には、接着剤に含まれ
ている水分により、鋼材の腐食の問題も生じる。
【0009】鋼材の腐食防止には、めっき、特に亜鉛系
めっきとクロメート処理の組合わせが有効である。しか
し、鋼材に亜鉛系めっきとクロメート処理を施しても、
やはり接着剤による木質系ボードとの接着性は不十分で
あり、特に鋼材に潤滑油が塗布されていると接着性が低
くなる。
【0010】そのため、本発明においては、鋼材の耐食
性の向上と木質系ボードとの接着性の向上のために、鋼
材には、まず亜鉛系等のめっきを施し、その上に、好ま
しくはクロメート皮膜を介して有機皮膜を形成する。そ
して、接着性確保のため、最上層の有機皮膜としては、
表面の水滴接触角が80°以下のものを使用する。本発明
において、水滴接触角の測定は、測定すべき表面にイオ
ン交換水1滴を滴下し、1分経過した後に、接触角計を
用いて測定することにより行う。
【0011】水滴接触角は表面の濡れ性を示す尺度であ
る。接着剤による接着性は、接着面の濡れ性が高いほど
良好になる。本発明者らは、鋼材と木質系ボードとの接
着剤による接着性が不十分であるのは、主に鋼材側の接
着面の濡れ性が低いことに原因があると考えた。そこ
で、本発明では、鋼材側の接着面となる最上層を、濡れ
性が良好となるように、水滴接触角が80°以下の有機皮
膜から構成する。鋼材の表面に直接有機皮膜を形成して
も、有機皮膜の密着性が低く、接着に耐えることができ
ない。そのため、有機皮膜を鋼材に密着させるため、お
よび耐食性の向上の両方の目的で、鋼材表面の有機皮膜
の下地に、亜鉛系等のめっき皮膜と好ましくはクロメー
ト皮膜を形成する。有機皮膜の表面の水滴接触角が80°
より大きいと、めっき皮膜の上にクロメート皮膜を形成
しても、接着性が悪くなり、接着剤により木質系ボード
と接着させた時に十分な接着強度が得られなくなる。
【0012】本発明の木質パネルに使用する木製系ボー
ドの種類は特に限定されず、本質的に木材または木材繊
維からなる任意のボード状の集成材でよい。木質系ボー
ドの例としては、ムク板(製材)、合板 (ベニヤ板) 、
ファイバーボード (木材繊維または他の植物繊維を精製
後に圧縮して製造した硬質の繊維質ボード) 、パーティ
クルボード (木材チップに樹脂を含浸させ、加圧下に熱
硬化させたボード) 、つき板 (合板等の木質系ボードの
表面にスライスした木材薄片を貼付したもの)、集成木
材ボード (木片を接着剤で接合して板状にしたもの) 等
が挙げられる。
【0013】中でもファイバーボードが、方向性がな
く、品質が安定していることから好適である。ファイバ
ーボードは、その比重により、重い方からハードボー
ド、ミディアムデンシティファイバー (MDF) 、イン
シュレーションボードに分類されるが、建築物、特に一
般家屋の室内にはMDFが最もよく使用されている。
【0014】鋼材は、製造しようとする木質パネルの形
状・意匠・大きさに合わせて、平板状 (鋼板) でも、他
の形状でもよい。鋼材は、その片面または両面に木質系
ボードが接着剤を介して接着される。
【0015】木質系ボードは、使用時に裏面または内面
になり、外部から見えなくなる片面を鋼材に接着するこ
とが好ましい。木質系ボードの接着面は、その全面が鋼
材に接着されていても、或いはその面の一部だけが鋼材
に接着されていてもよい。木質系ボードの接着面とは反
対側の面 (使用時に外面になる面) は、裸のままとする
か、或いは目的とする用途に適合した意匠を持つフィル
ムをラミネートして意匠性を付与してもよい。このラミ
ネートフィルムの種類は特に選ばず、用途に応じた性能
を持つ樹脂フィルムをラミネートすればよい。ラミネー
トするのは、布や紙など、他の材質のものであってもよ
い。
【0016】本発明に係る木質パネルの構造例を図1
(a) および(b) に断面図で示す。図1(a) に示す木質パ
ネルは、めっき鋼板1の片面にクロメート皮膜2、表面
の水滴接触角が80°以下の有機皮膜3を有し、この有機
皮膜3に接着剤4を介して木質系ボード5が接着されて
いる。図示例では、木質系ボード5の接着面と反対側
(外面側)の表面には、意匠性を付与するため適当な意
匠を持つフィルム6がラミネートされている。しかし、
木質系ボード5の表面がそのままでも用途に十分な意匠
性を有している場合には、意匠性フィルム6によるラミ
ネートは必要ない。
【0017】図1(a) に示す例では、めっき鋼板1の片
面だけに木質系ボードを配置しているので、めっき鋼板
が露出している側を裏面側にして使用する。なお、図に
は示していないが、この裏面側のめっき鋼板の表面に
も、耐食性向上のためにクロメート皮膜2、或いはクロ
メート皮膜2と有機皮膜3を設けてもよい。この裏面側
の有機皮膜は、接着性を必要としないので、水滴接触角
が80°より大きいものでも構わない。
【0018】例えば、間仕切り等に使用する木質パネル
のように、両面とも意匠性が必要な場合には、めっき鋼
板1の両面に、図1(a) に示すのと同様の、クロメート
皮膜2、有機皮膜3、接着剤4、木質系ボード5、さら
に必要であれば意匠性フィルム6からなる積層構造を形
成してもよい。
【0019】また、図1(a) に示す例では、木質系ボー
ド5の全面に、接着剤4を介して、クロメート皮膜2と
有機皮膜3を備えためっき鋼板1が貼着されている。し
かし、めっき鋼板1は補強と寸法安定性の向上を目的と
して配置するものであるから、これらの目的が達成され
る限り、木質系ボード5の裏面側の一部だけにめっき鋼
板を配することもできる。例えば、めっき鋼板1は、多
数の穴をパンチングであけた有孔板でもよく、また複数
の細長いめっき鋼板を適当な隙間で配置したものでもよ
い。それにより、木質パネルの重量を軽くすることがで
きる。
【0020】図1(b) に示す木質パネルは、両面にクロ
メート皮膜2と水滴接触角が80°以下の有機皮膜3を形
成しためっき鋼板1を、コの字型にロール成形した後、
両側の平面部の有機皮膜3に、接着剤4を介して、片面
に意匠性フィルム6がラミネートされた木質系ボード5
の他面側を接着させたものである。こうして、両面に木
質系ボードが配置され、コの字型の鋼板部材で2枚の木
質系ボードを連結した木質パネルが得られる。図示して
いないが、通常はコの字型の部材は複数個が2枚の木質
系ボードの間に適当な間隔をあけて配置される。
【0021】このコの字型の部材により、2枚の木質系
ボードが連結されると同時に、本発明の目的である木質
系ボードの補強および寸法安定性の向上が付与される。
さらに、得られる木質パネルの厚みをコの字型部材の形
状により調整することができる。
【0022】もちろん、コの字型にロール成形した部材
に代えて、角管、角棒、或いは角波型にロール成形した
板材、Z型にロール成形した板材など、他の適当な形状
の鋼材を使用することができる。図示例では、めっき鋼
板の木質系ボードに接着されない側 (コの字の内側) の
表面にもクロメート皮膜と有機皮膜が形成されている
が、これは必ずしも必須ではなく、要求される耐食性に
応じて、有機皮膜または有機皮膜とクロメート皮膜を省
略してもよい。また、非接着面の有機皮膜は、前述した
ように、水滴接触角が80°を超えるものでもよい。
【0023】鋼材には、耐食性付与の目的で、めっきを
施す。めっき種としては、鋼材の耐食性の向上に有効な
ものであればよい。好ましいめっき種は、亜鉛系めっき
(即ち、亜鉛めっきまたは亜鉛を含む合金めっき) であ
るが、アルミニウムめっき等の他のめっき種も使用でき
る。
【0024】亜鉛系めっきの例には、溶融亜鉛めっき、
電気亜鉛めっき、溶融Zn−5%Al合金めっき、溶融55%
Al−Zn合金めっき、合金化溶融亜鉛めっき、電気Zn−Ni
合金めっき等がある。使用される環境の腐食性に応じ
て、めっき種やめっき付着量を選択すればよい。めっき
付着量は片面当たり30〜150 g/m2が適当である。めっき
皮膜は複層めっき皮膜であってもよく、その場合には最
上層が亜鉛系めっき皮膜であればよい。
【0025】亜鉛系等のめっき皮膜の上にクロメート皮
膜を形成すると、耐食性の向上に加えて、めっき皮膜と
有機皮膜との密着性の向上も得られ、それにより木質系
ボードとの接着強度が大きく改善される。従って、好適
態様ではめっき皮膜と有機皮膜との間にクロメート皮膜
を介在させる。
【0026】クロメート皮膜は、塗布型、反応型、電解
型などの任意のクロメート処理により形成することがで
きるが、処理時間が短く、皮膜の耐食性が高い、塗布型
クロメート皮膜が好ましい。クロメート皮膜は、例え
ば、シリカ、水性有機樹脂、酸(特に含フッ素酸) を含
む各種の従来より公知の添加剤を含有していてもよい。
クロメート皮膜の付着量は特に制限されないが、好まし
くは金属Cr換算で5〜80mg/m2、より好ましくは30〜50
mg/m2の範囲内である。
【0027】クロメート皮膜の上には、木質パネルとの
接着性を確保するために、水滴接触角が80°以下の有機
皮膜を形成する。使用する有機皮膜は、水滴接触角が80
°以下であれば特に制限されず、熱硬化性皮膜と熱可塑
性皮膜のいずれでもよい。有機皮膜を形成に使用できる
適当な有機樹脂の例としては、アクリル系、ウレタン
系、ポリエステル系、スチレン系、オレフィン系の各樹
脂、ならびにそれらの混合物および共重合体などが挙げ
られるが、これらに制限されるものではない。有機皮膜
は、樹脂の水性エマルジョンから形成することが好まし
い。
【0028】有機皮膜の膜厚は 0.1〜5.0 μmの範囲内
とする。0.1 μmより薄いと、腐食防止効果が弱くな
り、木質系ボードとの接着性も低下する。5.0 μmより
多くてもコスト高になるだけである。有機皮膜の膜厚は
より好ましくは 0.8〜3.0 μmである。有機皮膜は、シ
リカ、界面活性剤、消泡剤などの添加剤を含有していて
もよい。
【0029】例えば、図1(b) に示す木質パネルのよう
に、亜鉛系めっき鋼板上にクロメート皮膜と有機皮膜と
を形成してから鋼板をロール成形により所望の形状
(例、図示のようにコの字型) に成形する場合、この有
機皮膜がある程度の潤滑性を付与するので、場合によっ
ては潤滑油を塗布せずに成形することもできる。また、
この有機皮膜に潤滑性を付与するため、皮膜中に適当な
固形潤滑剤 (例えば、ワックス、フッ素樹脂粉末、金属
セッケン等) を混入してもよい。但し、その場合には、
混入後の有機皮膜の表面の水滴接触角が80°以下となる
ように潤滑剤の種類や配合量を選択する必要がある。或
いは、成形時に潤滑油を塗布してもよい。その場合、有
機皮膜が接着剤との接着性に優れているため、塗布した
潤滑油を脱脂により除去しなくても、接着剤の種類によ
っては、十分な接着性を得ることができ、作業工程が単
純化される。
【0030】木質パネルと鋼材 (より正確にはその最上
層の被覆である有機皮膜) とは、接着剤を介して接着さ
せる。使用する接着剤の種類は特に制限されず、木質系
ボードの接着に使用可能な任意の接着剤を使用すること
ができる。接着剤は、水性エマルジョン型、水溶液型、
有機溶液型、反応型、ホットメルト型など任意の種類の
ものでよい。接着剤に使用可能な樹脂種の例としては、
エポキシ系、ウレア系、酢酸ビニル系、アクリル系、ポ
リ塩化ビニル系、天然ゴム系、ウレタン系、ビニルウレ
タン系などが挙げられる。作業性やコストを考慮する
と、水性エマルジョン型の接着剤 (例、酢酸ビニル系、
エチレン−酢酸ビニル系、アクリル系、合成ゴム系、ビ
ニル−ウレタン系等) が好ましく、中でも酢酸ビニル系
水性エマルジョン型接着剤が最も好適である。
【0031】接着剤の塗布量は、十分な接着強度が確保
されれば特に制限されないが、通常は、接着剤層の膜厚
が 100〜500 μmとなる範囲内であろう。あまり厚くし
すぎてもコスト面で不利である。木質系ボードと鋼材と
の接着は常法により実施すればよい。接着は、接着剤が
硬化または固化するまで両部材を加圧しながら行うこと
が好ましい。
【0032】本発明の木質パネルは比較的低コストで製
造できるが、木質系ボードに鋼材が十分な接着力で接着
されているため、木質系ボードの欠点であった強度 (剛
性)と寸法安定性が著しく改善されている。また、補強
に使用した鋼材は、亜鉛系等のめっき皮膜、好ましくは
クロメート皮膜、および有機皮膜により腐食に対して強
力に保護されているので、長期間経過しても鋼材の腐食
による接着力の低下が起きにくい。従って、建築物、例
えば、一般家屋、倉庫、店舗等において、ドア、ドアの
芯材、壁、床、床下などに使用するのに適している。も
ちろん、本発明の木質パネルは、例えば、テーブルやデ
スクの天板、タンス等の家具など、建築物以外の用途に
も十分に使用できる。
【0033】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに説明す
るが、本発明は実施例により何ら限定されるものではな
い。
【0034】供試材 0.4 mm厚さの溶融亜鉛めっき鋼板 (片面当たりの亜鉛付
着量:60 g/m2)の両面のめっき皮膜上に、シリカ含有塗
布型クロメート処理液をバーコータで塗布し、100 ℃の
オーブンで1分間加熱してクロメート皮膜 (Cr付着量40
mg/m2) を形成した。その上に、ワックスを含有するポ
リウレタン系の水性エマルジョンを表1に示す乾燥膜厚
となるようにバーコータで塗布し、100 ℃のオーブンで
塗膜を1分間加熱して乾燥させ、有機皮膜を形成した。
なお、この有機皮膜の水滴接触角はワックスの含有量に
より変化させた。
【0035】木質系ボードとしては、片面に塩化ビニル
製の意匠性フィルムをラミネートした厚さ12.0mmのファ
イバーボード (MDF) を用いた。接着剤としては、下
記A〜Cの3種類を使用した。 A:水性エマルジョン型ビニルウレタン系接着剤 (光洋
産業社製KR-7800)、 B:水性エマルジョン型酢酸ビニル系接着剤 (セメダイ
ン社製EM-195) 、 C:エポキシ系接着剤 (セメダイン社製EP-007) 。
【0036】接着試験 両面にクロメート皮膜と有機皮膜を形成した上記めっき
鋼板と、ファイバーボード (MDF) を、それぞれ30mm
×150 mmの寸法に切り出し、MDFのラミネートされて
いない側の表面と、めっき鋼板の片面の有機皮膜のそれ
ぞれ一方の端部に、つなぎ手面積が30mm×30mmになるよ
うに接着剤を塗布し、図2に示すように重ねて、つなぎ
手部を圧力2kgf/cm2 で24時間加圧し、その後圧力を解
放して、剪断接着試験用の試験片を作製した。接着剤の
厚みは200 μmであった。
【0037】この試験片の剪断接着強度を、インストロ
ン型万能引張試験機を用いて、引張速度2mm/min、常温
で測定した。また、試験後の破壊形態 (破壊面が木材破
断であるのか、接着剤と鋼板の界面であるのか) も調べ
た。これらの結果を表1に併せて示す。
【0038】
【表1】
【0039】表1からわかるように、本発明に従ってめ
っき鋼板上にクロメート皮膜を介して水滴接触角が80°
以下で所定膜厚の有機皮膜を形成してから木質系ボード
と接着させた実施例1〜7では、40 kgf/cm2を超える良
好な剪断接着強度を示している。エポキシ系接着剤で
も、それより安価な水性エマルジョン型の接着剤でも、
ほぼ同等の高い接着強度が得られている。破壊形態は全
て木材破壊であり、接着剤による接着強度が木材の強度
に打ち勝っていることがわかる。
【0040】これに対し、有機皮膜の膜厚の小さい比較
例1および有機皮膜の水滴接触角の大きい比較例2と3
ではは、いずれも鋼板と木質系ボードとの接着強度が著
しく低く、そのため破壊形態は界面破壊となった。
【0041】
【発明の効果】本発明に係る木質パネルは、木質系ボー
ドに接着剤を介して鋼材を接着させた構造を持ち、鋼材
が、亜鉛系等のめっき皮膜と、その上に好ましくはクロ
メート皮膜を介して形成された水滴接触角が80°以下の
有機皮膜とで被覆されているため、木材の接着に慣用さ
れている比較的安価な水性エマルジョン型の接着剤を用
いても、非常に高い接着強度を確保することができる。
その結果、木質系ボードの強度 (剛性) や寸法安定性が
著しく改善された、高品質の木質パネルを、低コストで
製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a) および(b) は、本発明の異なる構造を
持った木質パネルの断面構造をそれぞれ示す模式図であ
る。
【図2】接着試験片の平面および断面を示す模式図であ
る。
【符号の説明】
1:鋼材 (亜鉛系めっき鋼板) 2:クロメート皮膜 3:有機皮膜 4:接着剤 5:木質系ボード 6:意匠性フィルム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 迫田 章人 大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金 属工業株式会社内 (72)発明者 奥地 誠 大阪府松原市小川4丁目16番15号 奥地建 産株式会社内 (72)発明者 白石 侑丈 岐阜県益田郡下呂町少ケ野423番地 株式 会社ハウテック内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 木質系ボードに接着剤を介して鋼材が接
    着された木質パネルであって、前記鋼材の少なくとも木
    質パネルに接着された表面が、めっき皮膜と、その上に
    形成された、表面の水滴接触角が80°以下、膜厚が 0.1
    〜5.0 μmの有機皮膜とを有していることを特徴とす
    る、木質パネル。
  2. 【請求項2】 前記有機皮膜がクロメート皮膜を介して
    前記めっき皮膜の上に形成されている、請求項1記載の
    木質パネル。
  3. 【請求項3】 前記めっき皮膜が亜鉛系めっき皮膜であ
    る、請求項1または2記載の木質パネル。
  4. 【請求項4】 前記木質系ボードの片面に鋼材に接着さ
    れ、鋼材が接着されない側の木質系ボードの表面が、意
    匠性フィルムでラミネートされている、請求項1ないし
    3のいずれか1項に記載の木質パネル。
  5. 【請求項5】 前記接着剤が水性エマルジョン型の酢酸
    ビニル系接着剤である請求項1ないし4のいずれか1項
    に記載の木質パネル。
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