JPH10237567A - 高温高強度を有するTiAl基合金とその製造方法 - Google Patents

高温高強度を有するTiAl基合金とその製造方法

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JPH10237567A
JPH10237567A JP4504797A JP4504797A JPH10237567A JP H10237567 A JPH10237567 A JP H10237567A JP 4504797 A JP4504797 A JP 4504797A JP 4504797 A JP4504797 A JP 4504797A JP H10237567 A JPH10237567 A JP H10237567A
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tial
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JP4504797A
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Toshihiro Hanamura
年裕 花村
Keizo Hashimoto
敬三 橋本
Yoji Mizuhara
洋治 水原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 TiAl基合金において、高温強度に優れた
合金およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 TiAl基合金において、WとTiとC
からなる化合物3をマトリックス2中に微細分散させる
ことで高温高強度を達成する。さらに、TiAl合金が
α2 +γ2相組織で、フルラメラ組織の場合、高温強度
を著しく向上できる。WとTiとCからなる化合物より
なる析出物は、マトリックスであるγ相と結晶学的整合
関係をもって微細分散しているため、高温まで粗大化す
ることなく、転位をピン留めすることが出来、高温強度
を発現出来る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はTiAl金属間化合
物基合金材料においてWとTiとCからなる微細化合物
を材料中に分散する技術を提供し、1100℃において
も他のカーバイドであるTiC、AlCとは異なり、粗
大化することなく10nmレベルの微細なサイズと20
0nmレベルの間隔の高密度分散状態を安定に保持する
ことにより、1100℃でのセラミックス並みの比強度
に対応する高い引張強度(〜380MPa )を有する材料
を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】TiAl基合金とはAl44〜52原子
%、および必要に応じた添加元素と、残部がTiよりな
り、マトリックスの相の結晶構造がL10 型で[00
1]方向にTiのみの層、Alのみ(一部は他の元素が
混ざる)の層が交互に重なる構造を特徴とする約800
℃まで強度が室温の強度レベルを維持する、将来の高温
用構造材料として期待されている合金である。
【0003】TiAl基合金には延性、強度、耐酸化性
の向上のために第三元素あるいは第四元素として添加す
るCr,V,Mo,Nb等を含む3元系、4元系等の多
元系も開発されている。この内、Cr,V,Mo等は常
温延性向上に効果があり、Nbは耐酸化性および高温ク
リープ特性に効果があることが知られている。
【0004】TiAl基合金の組織にはデュプレックス
(duplex)組織、単一γ相組織、フルラメラ組織がある。
デュプレックス組織はα2 相とγ相の等軸粒の2相組織
からなる。単一γ相はγ相のみからなる等軸粒組織であ
る。また、フルラメラ組織はα2 相/γ相の結晶方位が
一致し整合したラメラ組織からなる。ここでの整合と
は、α2 相はhcp(稠密立方)構造を基盤としたDO
19構造からなり、γ相はfcc(面心立方)構造を基盤
としたL10 構造よりなるが、これらの相はα2の(0
001)面とγ相の{111}面とが重なりあい、それ
らの面上の原子が各々対応する形で配列していることを
いう。
【0005】この内、デュプレックスと単一γ相組織は
室温の靱性、高温強度、高温クリープ特性に劣るが、室
温延性に優れるという特徴を有する。これは高温では結
晶粒径が微細であるために粒界すべりが助長され、強度
がでないことによる。フルラメラ組織はこれに対し、靱
性、高温強度、高温クリープ特性に優れるものの、粗大
粒のため、室温延性に劣るという特徴を有する。
【0006】従来のTiAl金属間化合物基合金におい
て高温高強度は1100℃においては通常の恒温鍛造材
で40MPa 、アズキャスト(as-cast) 材でフルラメラ構
造をもつもので200MPa が限界であった。セラミック
スと同レベルの1100℃における比強度(強度を比重
で割った値)100MPa に相当するTiAlの場合の強
度で380MPa を得ることは出来なかった。カーバイド
または酸化物等の介在物分散による強度化も考えはある
が、実際は1100℃のような高温になるとこれらの粒
子は粗大化が起こり、強度に効果が無くなるため、役立
たないという問題があった。
【0007】WのTiAlへの添加に関しては米国特許
明細書第4923534号がある。この米国特許明細書
第4923534号は組成としてTi50-48 Al48
2-4 (原子%)としており、室温における強度が高いこ
とを特徴としているが、高温強度に関する内容は含まれ
ていない。
【0008】また、特公平7−47788号公報にセラ
ミックス製の坩堝でのTiAl基合金の溶解において格
子間不純物元素の侵入を低減する元素としてNb,T
a,Moと並んでWが提示されているが、特別に高温強
度の向上を意図したものではない。
【0009】TiAlに対するカーバイドの効果につい
ては“Gamma Titanium Aluminides”Edited by Y-W.Kim
et al., The Minerals, Metals & Materials Society,
(1995) P.689-P.696 に記載されているものがあるが、
内容はペロブスカイトタイプの結晶構造をもつTi3
lCであり、合金全体の組成としては(Ti0.5 Al
0.5 99.50.5 (原子%)であり、800℃、30時
間の時効によりカーバイドが析出するとしている。しか
し、800℃以上においては析出物の粗大化が進行し、
マトリックスとの整合性が崩れるために800℃以上の
高温強度化には効果がない。
【0010】また、WC(タングステン・カーバイド)
はTiAl中で高温でも安定であることが推定されるも
ののTiAl中への分散が困難で、TiAlの溶湯中に
WC粉を投入するとWCの比重がTiまたはAlと比較
して極端に大きいために高周波誘導加熱によるTiAl
溶湯の攪拌中に混ざることなく、溶湯の底に沈殿してし
まい、分散できないという問題があった。他の合金等の
分散についてはもっぱら室温での耐磨耗性の改善のため
に表面に塗布するものが多く、特にマトリックス中に微
細に分散させるものは示されていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明では、TiAl
金属間化合物基合金における従来では不可能であったレ
ベルの高温高強度を達成することを課題とする。このた
めにWCのTiAl中への分散を可能とする技術を提供
し、高温でも安定なWCを微細・高密度の状態でTiA
lマトリックス中に分散し、1100℃でのセラミック
スと同等の比強度に対応する引張強度380MPa 以上を
示すTiAl金属間化合物基合金材料を提供せんとする
ものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明はTiAl基合金
において、マトリックス中にWとTiとCからなる化合
物を微細分散させることを特徴とする。TiAl基合金
としては、α2 +γ2相からなるもの、さらにそれが、
フルラメラ組織であれば、より高い高温強度が得られ
る。また、WとTiとCからなる化合物よりなる析出物
は、マトリックスであるγ相と結晶学的整合関係をもっ
て微細分散しているため、高温まで粗大化することな
く、転位をピン留めすることが出来、高温強度を発現出
来る。
【0013】さらにその製造方法として、高周波溶解に
おいて所望量のTi、AlおよびWの原料を混合溶解
後、Ti箔またはAl箔につつんだTiC粉を溶湯中に
投入することにより、溶湯中でのTiC+Wが拡散によ
りWC+Tiに変化する反応を利用してWとTiとCか
らなる微細化合物を形成するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明におけるTiAl基合金と
は、Al44〜52原子%、および必要な場合の添加元
素と残部Tiよりなり、特性向上のための添加元素とし
て1〜3原子%のCr,V,Mn,Mo,Nbを1種ま
たは2種以上を含み、マトリックスのγ相の結晶構造が
L10 型で[001]方向にTiのみの層、Alのみ
(一部は他の元素が混ざる)の層が交互に重なる構造を
特徴とする将来の高温用構造材料として期待されている
TiAl基合金全般を対象とする。
【0015】本発明のTiAl基合金は、上記のTiA
l基合金の基本成分に加え、1〜3原子%のWの添加お
よびWとTiとCからなる化合物を0.1〜2原子%分
散したことを特徴とする。組織としては基本的にはマト
リックス中にWとTiとCからなる化合物が分散したも
のであり、これにより高温強度を向上できる。これに加
え、α2 相とγ相からなるTiAl基合金にWとTiと
Cからなる化合物を分散させることにより、高温強度の
さらなる上昇が得られる。
【0016】α2 相/γ相とはTiAl基合金を構成す
る相であり、この両者が等軸粒で混在している場合とラ
メラ構造をもって結晶学的関係を持つ場合と2種類、ま
たはその混合がある。フルラメラとは全組織がラメラ構
造でできている組織を示す。また、α2 相とγ相の2相
がフルラメラからなるTiAl基合金にWとTiとCか
らなる化合物を分散させることにより、高温強度をさら
に高めることができる。
【0017】本発明の合金の組織の一態様を図1に模式
的に示した。ここで組織はα2 相(1)/γ相(2)の
2相構造からなるフルラメラ組織でその中のγ相中に1
〜200nmのサイズの微細W−Ti−C化合物(3)
を50〜200nm間隔で密に分散することを特徴とす
るものである。
【0018】WとTiとCからなる化合物はペロブスカ
イト構造をもつものであり、ロッド状の形態を持ち、マ
トリックスのγ相と結晶粒方位が(001)面で一致し
ている。そのため図に示したように[001]方向の整
合のため、軸方向に特定方向を有する析出物のみが観察
され、ランダムな方向の析出物は見られないという特徴
を有する。析出物サイズは1〜200nmでマトリック
ス中に密に微細分散したものである必要がある。1nm
以下だと小さすぎるため、強度向上に十分な効果が生じ
ない。また200nm以上だと大きすぎてクラックの発
生起点となり破壊を進行させ、強度を低下させる。
【0019】WとTiとCからなる化合物とマトリック
スであるγ相との結晶学的関係は[100]析出物//
[100]マトリックス:(析出物の結晶粒方位と、マ
トリクッスの結晶粒方位が(001)面で一致している
ことを示す)であり、1100℃の高温においても析出
物はマトリックスと整合関係をもって微細分散するため
に、高温強度に寄与することができる。
【0020】次に、本発明の高温強度の発現機構につい
て説明する。上記のように1100℃においてもマトリ
ックスと整合関係を保ち分散している微細析出物は、整
合を保たない析出物と異なり、粗大化が起こらない。ま
た、整合していない析出物では変形中、転位は析出物の
まわりにループをつくって通り抜けることができるが、
整合性を持つ場合は転位が析出物の中に入ってピン留め
され動けなくなる傾向があり、変形が進むと不動転位が
増え、不動転位自体が次からくる転位に対して運動の障
害になるため、変形がより高い応力が加えられなければ
起こらなくなるため、必然的に強度の上昇が起こる。こ
れにより、材料の強度が向上する。
【0021】このようにマトリックスと整合を保った析
出物を分散が行われるのが本発明の特徴で通常の析出物
では1100℃といった高温までマトリックスと整合関
係をもつ析出物を保つのは困難であり、整合からはず
れ、粗大化するのが通常である。また、粗大化すること
により強度も低下し、析出物によるマトリックス強度上
昇の効果が消失する。
【0022】本発明の合金の製造方法は、まず公知の方
法でTiAl基合金を溶製することより始める。Tiは
スポンジチタンを用い、Alはアルミインゴットを用
い、さらにWは粉体を用いるのが一般的である。さらに
添加元素としてCr,V,Mn,Nb等を同時に溶解す
るのも含まれる。これらの元素の割合は公知の合金割合
でよい。本発明の場合Wの添加が必須であるが、Wは1
〜3%が望ましい。これは、これ以下であると強度発現
に不十分であることと、これ以上であると高温でβ相が
安定化し、粒界すべりを助長するために高温強度を低減
するからである。溶解法は、VIM、アーク溶解、プラ
ズマアーク溶解法等があるが、これらのいずれも本発明
の合金製造法に適用可能である。
【0023】次に、微細W−Ti−C化合物の生成、析
出法であるが、原料を混合溶解後、Ti箔またはAl箔
につつんだTiC粉をCが0.1〜2原子%の割合にな
るように溶湯中に投入する。これにより、溶湯中でのT
iC+W→WC+Tiの反応で微細なW−Ti−Cが生
成する。これを凝固させることで本発明の合金が製造さ
れる。製造法は通常のインゴットに鋳込む方法、回転双
ロール中に鋳込むことにより、直接鋳造薄板を製造する
方法等が適用される。
【0024】また、本発明者らは、W−Ti−C製造方
法の比較例として通常の高周波溶解中にWC粉末を溶湯
中に投入する方法を行った。この場合、Ti,Al,W
の原料はすべて溶解した溶湯で高周波溶解による誘導電
流により対流が起こっているものにWC粉末を投入した
のであるが、WCがTiおよびAlに比較して比重が大
きいために沈殿したままで、溶湯に混入できなかった。
溶湯を鋳型に傾注した後に空になったセラミックス坩堝
の内側の底に投入したWCが沈殿したまま残存している
のが認められた。よって、通常のWCとしての投入では
WCの分散が不可能であることが確認された。
【0025】また、W−Ti−Cの微細化合物を得る別
の方法として、高周波溶解において、所望の割合のT
i、AlおよびWの原料を混合溶解後、カーボン製の発
熱押し湯鋳型を上部に設置した鋳型に傾注し、インゴッ
トを得る方法を試みた。得られたインゴットを光学顕微
鏡および、電子顕微鏡で観察した結果、TiC粉を溶湯
中に投入して得られたものと同様のα2 +γのフルラメ
ラ組織と、γ相中に分散した微細な析出物が見られた。
発熱押し湯の温度上昇により鋳型であるカーボンと溶湯
の構成要素であるWが反応し、WCを形成したものと想
定される。
【0026】
【実施例】以下に本発明の詳細を実施例に基づき説明す
る。まず、溶解については高周波誘導加熱溶解炉を用
い、坩堝にはアルミナ坩堝でその内側にカルシア(Ca
O)を約10mmの厚さでライニングしたものを用いた。
これはカルシアがマグネシア、アルミナ等の他のセラミ
ックスに比較してTiAl溶湯との反応性が低く、溶湯
中への酸素(O)等のコンタミの侵入を妨げることがで
きるためである。
【0027】アルミニウム地金とスポンジチタンをT
i:50原子%、Al:47原子%、W:3原子%の組
成で配合し、これを高周波溶解炉にて溶解して母合金を
溶製した。その際、最終的な溶湯の注湯の段階で粒径が
1μm以下で1原子%相当のTiW粉末をTi箔にくる
んだものを溶湯に添加した。これにより、γTiAlマ
トリックス中へのW−Ti−Cの微細分散を行った。次
いで溶湯を鉄製の鋳型に傾注して鋳造インゴットを得
た。
【0028】アズキャスト状態のインゴットの組織を光
学式顕微鏡および透過電子顕微鏡により観察した。その
結果、光学式顕微鏡においては、α2 +γの2相フルラ
メラ構造が観察されたが、析出物は小さすぎて観察出来
なかったが、透過電子顕微鏡では、γ相中に10〜20
nm程度のサイズの棒状析出物が微細高密度分散してい
ることが観察された。
【0029】次いで、真空中、歪み速度7.2×10-4
sec -1の高温引張試験を行った。その結果、1100℃
においてアズキャストにおけるこの材料が380MPa の
強度を有することが確認された。さらに、高温引張試験
後の試料を、顕微鏡と、透過電子顕微鏡で観察したとこ
ろ、アズキャスト状態の組織がそのまま保たれているこ
とが確認された。
【0030】この透過電子顕微鏡明視野像とその中のマ
トリックス、ラメラ構造の第二相、および析出物の3部
位の特性X線分析(Ultra-thin Window EDS( Electr
on Dispersive Spectroscopy) )を行ったデータを併せ
て図2に示す。この結果、組織はα2 相/γ相の2相か
らなるフルラメラ構造であり、各コロニーの平均粒径は
500μm程度であることがわかる。光学式顕微鏡観察
ではWCの分散は見られないが、透過電子顕微鏡観察に
より10〜20nm程度のサイズの棒状析出物が微細高
密度分散していることが確認される。
【0031】また、3部位のEDS分析において、aは
マトリックスからの分析で構成成分はTi、Al、Wで
あり、γマトリックス中に一部Wが固溶したものである
ことが認められる。bはγ相/α2 相のラメラ相の構成
相であるα2 相であり、構成成分はTi、Al、Wであ
るが、aに比べてTi/Alの比が大きいことが示され
ている。また、α2 相中には図2の明視野像で見られる
ように析出物が存在していないのが特徴である。cは析
出物であり、Ti、W、Cの構成成分からなっている化
合物であること認められる。しかしながら、この化合物
の構成までは同定できなかった。
【0032】また、cからの制限視野電子線回折像か
ら、この構造が従来のAlCTi2 で見られる構造と一
致し、cの析出物の結晶構造はマトリックスγ相の電子
線入射方向[001]に対して整合的なパターンを示
し、[100]析出物//[100]γマトリックスの
結晶学的関係があることが認められた。これより、11
00℃においても析出物はマトリックスと整合関係をも
って微細分散していることが分かる。
【0033】さらに、本発明を明確にするため、比較材
を準備し、1100℃の高温引張り試験を行い、その結
果と組織を表1に本発明とともに示した。この表から明
らかなように従来のTiAl金属間化合物基合金におい
て高温高強度は1100℃においては通常の恒温鍛造材
で40MPa 、アズキャスト材でフルラメラ構造をもつも
ので200MPa が限界である。比較例の1と2は同じ組
成の材料であり、比較例1は超塑性特性を有し、高温加
工性が高い恒温鍛造後のもの、比較例2は高温強度特性
を付加するために恒温鍛造後に熱処理を施したものであ
る。この場合も、本発明材のレベルの強度を得ることは
できなかった。
【0034】本発明のTiAl基合金において初めてセ
ラミックスと同レベルの比強度(強度を比重で割った
値)100MPa に相当するTiAlの場合の強度で38
0MPaが達成された。なお、カーバイドまたは酸化物等
の介在物分散による高強度化も考えはあるが、実際は1
100℃のような高温になるとこれらの粒子は粗大化が
起こり、強度に効果が無くなるため、役立たないため、
強度は得られない。
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】本発明により製造されたTiAl材は比
重が3.8とセラミックス並みに低い為に比強度も高く
なる。この様に本発明材は高温比強度特性において合金
系として最高強度を有するために、高温構造材として従
来の材料を代替し、特性を高める効果があるといえる。
用途として考えられるのは自動車用の排気バルブ、ター
ボ・チャージャー、ジェット機のエンジンのタービン・
ブレード等広範な用途が考えられる。また、1100℃
においてセラミックスに匹敵する強度を有し、なおかつ
延性があることはセラミックスの延性が0に等しいこ
と、さらに常温における延性加工がセラミックスでは殆
ど不可能であるのに対し、高温強度材としての使用の信
頼性が高い材料であり、セラミックスの代替としても有
望であると考えられ、工業上極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る合金の組織を模式的に示す図。
【図2】本発明に係る合金組織の透過電子顕微鏡写真お
よびその部位3箇所の特性X線分析(EDS)を行った
データ。
【符号の説明】
1 α2 相 2 γ相 3 微細W−Ti−C化合物 a マトリックスからの分析 b ラメラ相の構成相であるα2 相からの分析 c 析出物からの分析

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 TiAl基合金において、WとTiとC
    からなる化合物をマトリックス中に微細に分散させたこ
    とを特徴とする高温高強度を有するTiAl基合金。
  2. 【請求項2】 TiAl基合金がα2 +γ2相からなる
    ことを特徴とする請求項1記載の高温高強度を有するT
    iAl基合金。
  3. 【請求項3】 前記α2 +γ2相がフルラメラ組織であ
    ることを特徴とする請求項2記載の高温高強度を有する
    TiAl基合金。
  4. 【請求項4】 前記WとTiとCからなる微細化合物の
    粒径が1から200nmであることを特徴とする請求項
    1、2または3記載の高温高強度を有するTiAl基合
    金。
  5. 【請求項5】 前記WとTiとCからなる微細化合物と
    マトリックスが、[100]析出物//[100]マト
    リックスなる結晶学的整合性を有することを特徴とする
    請求項1、2、3または4記載の高温高強度を有するT
    iAl基合金。
  6. 【請求項6】 TiAl基合金の製造方法において、所
    望量のTi、AlおよびWを含む添加元素を溶解させる
    とともに、TiC粉を溶湯中投入することによりWとT
    iとCからなる微細化合物を生成し、鋳型に鋳込むこと
    で、微細W、Ti、Cよりなる化合物をマトリックス中
    に分散させることを特徴とする高温強度を有するTiA
    l基合金の製造方法。
  7. 【請求項7】 TiAl基合金の製造方法において、所
    望量のTi、AlおよびWを含む添加元素を溶解させ、
    カーボン製発熱押し湯を有する鋳型に鋳込むことで、微
    細W、Ti、Cよりなる化合物をマトリックス中に分散
    させることを特徴とする高温強度を有するTiAl基合
    金の製造方法。
JP4504797A 1997-02-28 1997-02-28 高温高強度を有するTiAl基合金とその製造方法 Withdrawn JPH10237567A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2007085249A1 (de) * 2006-01-26 2007-08-02 Technische Universität Dresden Titanwerkstoff und verfahren zu seiner herstellung
JP2015168835A (ja) * 2014-03-05 2015-09-28 大同特殊鋼株式会社 TiAl製タービンホイール
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