JPH10229978A - 育毛検定方法 - Google Patents

育毛検定方法

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JPH10229978A
JPH10229978A JP9049900A JP4990097A JPH10229978A JP H10229978 A JPH10229978 A JP H10229978A JP 9049900 A JP9049900 A JP 9049900A JP 4990097 A JP4990097 A JP 4990097A JP H10229978 A JPH10229978 A JP H10229978A
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hair
cells
papilla cells
cultured
dermal papilla
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JP9049900A
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Inventor
Akihiro Ishino
章博 石野
Tsunao Magara
綱夫 真柄
Yoshiharu Tsuji
善春 辻
Chika Hamada
千加 浜田
Yosuke Nakazawa
陽介 中沢
Jun Suzuki
順 鈴木
Masahiro Tajima
正裕 田島
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Shiseido Co Ltd
Original Assignee
Shiseido Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】培養毛乳頭細胞を用いる簡便でかつ精度の良
い、in vitroの育毛検定方法の提供。 【解決手段】ヒト由来の培養毛乳頭細胞等の培養毛乳頭
細胞に対象物質を接触させて、その細胞の増殖活性の有
無及び/又は強弱を特定することにより、その対象物質
の育毛効果を検定する育毛検定方法を提供すること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、対象物質の育毛効
果を特定するための育毛検定方法に関する技術分野に属
する発明である。より詳細には、培養毛乳頭細胞に対象
物質を接触させて、その細胞における増殖活性の有無及
び強弱を特定することで、その対象物質の育毛効果を特
定する、in vitroの育毛検定方法に関する技術分野に属
する発明である。
【0002】
【従来の技術】毛髪の一本一本は、成長期,退行期及び
休止期を経る、いわゆる「毛周期」と呼ばれるサイクル
に従って成長と脱落を繰り返すものであり、正常な毛周
期を営んでいる頭皮では成長期毛と休止期毛の割合が一
定に保たれている。これに対して、例えば男性型脱毛症
の場合は、様々な原因で成長期が短くなったり、毛包が
収縮したりする結果、相対的に休止期毛の割合が多くな
って、毛が細くなったり、長く伸びることができなくな
り、見た目の毛髪量が減少し、脱毛等を生じる。高齢化
社会、ストレス社会といわれる現代社会では、頭部毛髪
が上記脱毛等の危機にさらされる機会がますます多くな
っている。このため、現在まで種々の養毛剤が提供され
ており、今後もその傾向が続くことは明らかである。
【0003】そして開発されつつある養毛剤は、ヒトへ
の投与に先立ち、その育毛効果等をin vivo in vitro
で検討するのが常である。in vivo では、例えばC3H
マウス,ラット,ウサギ等の背部皮膚を毛刈りして、そ
こに対象物質を塗布して、この部分の毛の成長度合いを
特定することによってその対象物質の育毛作用を検定す
る方法等が現在盛んに行われている。また、in vitro
は、例えばマウス由来の毛母細胞を定常的に培養して、
対象物質の育毛効果を検討する,いわゆる「毛母細胞培
養法」(特公平7─32706号公報参照のこと)や、
男性型の脱毛が男性ホルモンによって惹起される面が大
きいことから、その男性ホルモンの活性化に関連する5
α─レダクターゼに対する対象物質の阻害活性を評価す
る方法等が行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記した毛周期におい
て、毛髪への分化に最も重要な役割を演じているといわ
れる組織の一つとして「毛乳頭」を挙げることができ
る。また、この毛乳頭細胞は、毛母細胞などの周りの上
皮系の細胞へ何らかの信号を送り、毛髪および毛包全体
を形成させるという重要な役割を担っていると考えられ
ている〔例えば、Hardy, M.H. Trends Genet. 8,56-61
(1992) を参照のこと。〕。そして、さらに興味深い知
見として、男性型脱毛症による脱毛部の毛乳頭細胞は、
通常の部分の毛乳頭細胞よりも増殖速度が遅いことが報
告されている〔Randall,V.A. et al.,Br.J.Dermatol.13
4,437-444(1996) 参照のこと〕。
【0005】このように、毛髪への分化において、最も
重要な役割を果たしている毛乳頭細胞が、育毛成分との
接触によってどのような振る舞いをするかが、養毛剤と
しての有用性を判断するうえにおい非常に重要な指標に
なることは明らかである。そこで、毛乳頭細胞を培養し
て、この培養毛乳頭細胞を用いる養毛剤の評価に適した
アッセイ法の確立が望まれるが、未だかかるアッセイ法
は提供されていない。
【0006】その大きな理由のとして、毛乳頭細胞はそ
の単離培養に高度の技術を必要とすることや、一般的な
皮膚線維芽細胞に比較してその増殖速度が遅いこと等か
ら〔Messenger,A.G.,Br.J.Dermatol.110,685-689(1984)
参照のこと〕,この培養細胞の変化自体が僅かで,その
変化を検出しづらく、さらに操作が煩雑であったり、検
出感度を向上させるために放射性同位元素を用いる(通
常,細胞増殖の測定は,細胞数を計測したり,DNA量
を定量する等の方法が用いられるが、上記のように培養
毛乳頭細胞の変化が僅かであることから、トリチウム標
識のチミジンの取込み量を測定する方法を選択せざるを
得ない。)ことが一般的に必要とされていること等の理
由が挙げられる。
【0007】そこで、本発明が解決すべき課題は、培養
毛乳頭細胞を用いる簡便でかつ精度の良い、in vitro
育毛検定方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、この課題の
解決に向けて鋭意検討を行った。その結果、以下の発明
を提供することによって上記の課題を解決し得ることを
見出した。すなわち、本発明者は本願において以下の発
明を提供する。
【0009】請求項1において、培養毛乳頭細胞に対象
物質を接触させることによる、その細胞の増殖活性の有
無及び/又は強弱を特定することにより、その対象物質
の育毛効果を検定する育毛検定方法を提供する。
【0010】請求項2において、培養毛乳頭細胞がヒト
由来の培養毛乳頭細胞である前記請求項1記載の育毛検
定方法を提供する。
【0011】さらに請求項3において、対象物質の育毛
効果の有無及び/又は強弱を特定するための手段とし
て、アラマーブルーアッセイ法を用いる前記請求項1又
は請求項2記載の育毛検定方法を提供する。
【0012】また請求項4において、対象物質を接触さ
せる培養毛乳頭細胞を培養するための基本培地として、
ミニマムエッセンシャル培地を用いる前記請求項1乃至
請求項3のいずれかの請求項記載の育毛検定方法を提供
する。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。本発明育毛検定方法における指標として用
いる「培養毛乳頭細胞」は、動物の毛乳頭を単離して得
た培養細胞である。
【0014】毛乳頭は、特に毛根近傍の外毛根鞘細胞と
マトリクス細胞とを併せた部分の細胞である毛包上皮系
細胞の内側に基底膜に包まれる毛根の根幹部分に位置す
る細胞である。この毛乳頭は、上述のように毛包上皮系
細胞に働きかけてその増殖を促す等、毛髪への分化に関
して中心的な役割を担っている。
【0015】毛周期における成長期は、まさにこの毛髪
への分化が行われている時期であり、同退行期及び休止
期は、これが鈍化して休止する時期である。つまり、毛
乳頭細胞の活動を活発化させる物質は、少なくとも上記
毛包上皮系細胞の毛髪への分化を促進させる物質であ
り、その投与により毛髪が毛周期における退行期及び休
止期への移行を防ぎ、毛周期における成長期を延長させ
る物質であることが結論付けられる。また、毛乳頭細胞
を活発化して増殖させることにより、太い毛が形成され
ることも期待される。
【0016】培養毛乳頭細胞を得るためには、毛乳頭細
胞を採取する必要がある。この採取方法は、概ね以下の
ようになる(具体的工程は、後述する実施例において記
載する)。毛乳頭細胞は動物(ヒトを含む)から採取さ
れる。採取される対象となる動物としては、例えばヒ
ト,ラット,マウス,ウサギ,ハムスター,サル等を例
示することができるが、これらに限定されるものではな
い。なお、可能な限りin vitroにおける見解が現実の投
与形態を反映させることが好ましい故、本発明において
はヒトから採取された毛乳頭細胞を用いることが好まし
い。そして、脱毛症のうち最も多い「男性型脱毛症」を
想定したモデルにおいては、ヒト成人男子の頭皮に由来
する毛乳頭細胞を用いることが特に好ましい(ヒトの頭
皮は、例えば整形手術の副産物として生じたものを使用
することができる)。また、ヒトの頭皮を用いる場合
は、頭皮のいずれの部位に属する頭皮を用いることもで
きるが、通常、側頭部や後頭部に由来するものを選ぶの
が好ましい。
【0017】なお、毛乳頭細胞の供給源がヒト以外の動
物である場合においては、入手が容易で,かつ採取も容
易であるという点から、ラットのヒゲを毛乳頭細胞の供
給源として選択することが好ましい。
【0018】培養に供する毛乳頭細胞は、ヒト頭皮等の
上記供給源から、それ自体既知の操作により調製するこ
とができる〔例えば、「Messenger,A.G.,Br.J.Dermato
l.110,685-689(1984)」参照のこと〕。
【0019】具体的には、例えば頭皮等の供給源となる
部分を5mmほどの短冊状に切り、リン酸緩衝生理食塩水
(PBS)等の適切な緩衝液で洗浄した後、表皮層及び
真皮層を除き、皮下脂肪のみを分離する。この過程にお
いては、必要に応じてトリプシン等のタンパク質分解酵
素を用いることができる。こうして分離した皮下脂肪か
ら、ピンセット等でつまみ取る等の物理的手段で毛包を
単離することができる。
【0020】次いで、この単離した乳頭から、毛球部を
切り取り、この毛球部下部から毛乳頭を露出させて毛乳
頭(細胞)を単離することができる。得られた毛乳頭細
胞はこの段階で凍結保存によりストックすることも可能
である。
【0021】このようにして単離された毛乳頭細胞の培
養には、動物細胞の培養に用いられる通常公知の栄養培
地(市販品を含む)をそのまま,又は必要に応じてその
処方を適宜改変したもので培養(初代培養及び継代培養
共)することができる。
【0022】この培養において、基本的に用いられる培
地としては、例えばウシ胎児血清(以下,FBSとい
う)を含むミニマムエッセンシャル培地〔Eagle.H et a
l.,Science,130,432-(1959) 参照のこと:以下,MEM
という〕;ダルベッコの改変イーグル培地〔Dulbeccor'
s Modified Eagle Media(Dulbecco R,Freeman G et a
l.,Virology,8,396-(1959)参照のこと:以下,DME
Mという):Gibco BRL より入手可能〕;チャンの培地
〔(Chang's medium) :Eアーバインサイエンティフィ
ック社より入手可能〕等を挙げることができる。
【0023】上記したように、本発明では公知の培地の
改変培地を用いることができるが、この改変培地の典型
として、公知の培地に細胞増殖因子,ホルモン,その他
の微量栄養素等を必要に応じて加えた改変培地を挙げる
ことができる。これらの追加成分の具体的なものとして
は、例えばトランスフエリン,インスリン,トリヨード
チロニン,グルカゴン,線維芽細胞増殖因子(FG
F),ハイドロコーチゾン,テストステロン,エストラ
ジオール,プロゲステロン,セレン等を挙げることがで
きる。
【0024】単離した毛乳頭細胞はこれらの培地で、通
常培養皿を用いて初代培養及び継代培養に処される。よ
り具体的には、例えば5%CO2 雰囲気下,37℃等の
通常の条件の静置培養に処される。この最初の静置培養
(初代培養)でアウトグロースが確認されたら、培地を
交換してさらに培養(継代培養)を継続する。このよう
にして、所望する培養毛乳頭細胞を得ることができる。
【0025】このようにして調製した培養毛乳頭細胞に
対象物質を接触させて、対象物質のアッセイを行う。こ
のアッセイは、培養毛乳頭細胞の細胞増殖を指標にして
行われる。すなわち、(A)培養毛乳頭細胞を無血清培
地で培養したときの増殖度(対照)を測定し、これと
(B)培養毛乳頭細胞を対象物質を含む無血清培地で培
養したときの増殖度(被検体系)を比較するものであ
る。
【0026】より具体的には、例えば培養毛乳頭細胞の
増殖度は下記式によって評価することができる。 増殖度(%)=(B−A)/A×100
【0027】前述の本発明が解決すべき課題の項に記載
したごとく、培養毛乳頭細胞は、他の皮膚系細胞、例え
ば皮膚線維芽細胞と比較して、その増殖速度が遅いこと
から、そのまま上記培養系の増殖度を指標にして評価を
行うことは困難である。
【0028】しかしながら、培養する際の培地における
細胞密度を特定値に設定すること等により、培養毛乳頭
細胞の増殖度を指標にして、所望する育毛作用の評価を
することが可能になる。
【0029】すなわち、例えば96ウエルの培養プレー
ト(1ウエル当り,培地が通常は200μl 程度,最大
300μl 程度注入することが可能)において、細胞密
度が1ウエル当り1500〜2500細胞(7.5〜1
2.5細胞/μl )、好ましくは1800〜2200細
胞(9〜11細胞/μl )の培養毛乳頭細胞を播種する
ことにより、所望する育毛作用の評価を行うことができ
る。
【0030】培養毛乳頭細胞密度が、上記範囲よりも少
ないと毛乳頭細胞が生着できず好ましくなく、逆に上記
範囲よりも多いと育毛効果を検出することが困難になり
好ましくない。
【0031】また、この段階での毛乳頭細胞の培養時間
は、72時間程度行うのが、培養毛乳頭細胞の増殖速度
が遅いことを鑑みると好ましい。さらに、培養毛乳頭細
胞の一層の増殖促進のために血清,例えばFBSを5〜
10%添加した培地を用いることが好ましい。
【0032】この培養後、対照(A)は培養液を無血清
のMEM(DMEMや199培地も可能)と交換し、被
検体系(B)は対象物質をMEMに直接、又は対象物質
をDMSO等の溶媒に溶解したものを無血清のMEMに
添加する。この後、さらに3〜5日間程度系を培養し、
その結果認められる毛乳頭細胞の細胞増殖を評価する。
【0033】この細胞増殖評価法は、毛乳頭細胞が系に
おける増殖の有無や程度を評価することができる方法で
ある限り特に限定されず、例えばアラマーブルー(alama
r blue) アッセイ法やMTTアッセイ法(Mossmann T e
t al.,J.Immuno Methods,65,55-63(1983))等を例示す
ることができる。これらの中でも、アラマーブルーアッ
セイ法は、その操作が簡便であるという点において、選
択するのに特に好ましいアッセイ法である。
【0034】このアラマーブルーアッセイ法は、ヒトや
動物のいろいろな細胞,バクテリア,菌類の増殖を定量
的に測定するために開発されたされたバイオアッセイ法
である。アラマーブルーは、その還元に細胞への取込み
を必要とする酸化還元色素であり〔酸化型(無蛍光・
青)から還元型(蛍光・赤)に変化する〕、増殖が長く
続く場合は還元作用が働き、増殖しないか又は阻害され
ると酸化型のままである。本発明においてはこのアラマ
ーブルーを培養毛乳頭細胞に取り込ませ、この細胞の成
長による培地の化学的な還元に対応する蛍光と色調の変
化を特定することによって、培養毛乳頭細胞の増殖活性
の有無及び/又は強弱を特定することができる。
【0035】アラマーブルーの酸化還元電位は、チトク
ロームよりも高く、細胞の電子伝達系におけるチトクロ
ームの酸化から最終段階でのO2 の還元段階におけるま
でのすべての酸化還元反応を媒介することが通常可能で
あり、アラマーブルーを添加することにより電子の流れ
がトラップされてしまうことがない。アラマーブルー
は、この点において培養毛乳頭細胞の増殖活性の有無及
び/又は強弱を特定する上で極めて好ましい酸化還元色
素である。
【0036】また、アラマーブルーは水溶性であり、他
の一般的な細胞増殖アッセイでは必要とされる洗浄・固
定及び抽出操作が不要なため、容易に細胞増殖アッセイ
を行うことができるという点においても好ましい。
【0037】培養毛乳頭細胞の増殖活性による酸化還元
反応の測定は、蛍光を測定して行うことも可能であり,
吸光を測定して行うことも可能である。蛍光は530〜
560nmの励起波長と590nmの検出波長でモニターさ
れ、吸光は570nmと600nmでモニターされる。この
アラマーブルーアッセイ法は、市販のキット(BIOSOURC
E 社製) を用いて行うことができる。
【0038】このように本発明育毛検定方法において
は、培養毛乳頭細胞に対象物質を接触させることによ
り、その細胞の増殖活性の有無及び/又は強弱を特定し
て、その対象物質の育毛効果を検定することが可能であ
る。
【0039】なお、本発明育毛検定方法によって、培養
毛乳頭細胞の増殖活性が有ることが認められた対象物質
は、毛乳頭細胞を活性化することによって育毛作用を発
揮する「毛乳頭細胞刺激物質」の有効成分の極めて有力
な候補物質として扱うことができる。また、この候補物
質が他の養毛作用を有する場合は「総合養毛剤」の有効
成分の候補とすることができる。
【0040】さらに、仮に対象物質に毛乳頭細胞を刺激
する作用のみ認められた場合においても、他の作用機序
の養毛物質と組み合わせることにより、この対象物質を
「総合養毛剤」の有効成分とすることが可能である。
【0041】
〔実施例〕
1.条件設定 96ウエルのマイクロプレートの各ウエルに、最初どの
くらいの細胞密度で毛頭培養細胞を播種するべきかを検
討した。
【0042】(1)毛乳頭細胞の採取 整形外科手術によって摘出された39歳男性の後頭部皮
膚(5mm×1.5cm)から、上記の手法に従って毛包を
摘出し、毛球部より毛乳頭細胞を単離した。単離した毛
乳頭細胞を20%FBSを含むMEMで2週間培養した
〔37℃,5%CO2 〕。毛乳頭細胞から細胞のアウト
グロースが確認された時点で、培地を10%FBSを含
むMEM(MEM+10%FBS)に交換して同様の条
件で培養した。以降、1週間に2回の割合で培養液(M
EM+10%FBS)を交換して細胞を維持した。培養
開始より4週間後に継代培養を行い、以後細胞が十分増
殖した時点で再度継代して、この継代を繰り返した。
【0043】(2)試験方法 継代数3代目の毛乳頭細胞を用い、MEM+10%FB
S培地で,5000,10000及び15000細胞/
mlの3種類の細胞密度の細胞懸濁液を調製した。この細
胞懸濁液を200μl ずつ、96ウエルのマイクロプレ
ートに分注し(つまり,1000,2000及び300
0細胞/ウエル)、37℃,5%CO2で3日間インキ
ュベートを行い細胞を付着させた。培養開始72時間
後、対照は培養液を無血清のMEMに交換した。被検体
系は対象物質であるボタンピの抽出物を10-5%を含む
無血清培地(MEM)に交換した。なお、ボタンピの抽
出物は、DMSOで0.2%の溶液を調製してこれを希
釈して用いた。
【0044】対照および被検体系をいずれもさらに4日
間培養した。培養終了後、それぞれの系にアラマーブル
ー(alamar blue)(BIOSOURSE社製)を20μl 添加後、
さらに8時間培養し、マイクロプレートリーダーで57
0nmと595nmの吸光度を測定した。添付の使用説明書
に従って、吸光度の測定結果によりアラマーブルーの還
元率を算出した。この還元率は細胞数と相関することか
ら対照および被検体系での増殖率を比較した。
【0045】(3)結果 その結果を、第1図に示す。この第1図において、横軸
はウエル当りの培養毛乳頭細胞数を表し,縦軸は培養毛
乳頭細胞の細胞増殖率を表す。この第1図により、1ウ
エル当り1000個の培養毛乳頭細胞を播種した系で
は、細胞数が少なすぎるために培養毛乳頭細胞が十分に
生着及び増殖せず、ボタンピの培養毛乳頭細胞を増殖さ
せる効果を特定することはできなかった。
【0046】また、1ウエル当り3000個の培養毛乳
頭細胞を播種した系では、細胞数が多過ぎるために対照
との差を特定することができなかった。1ウエル当り2
000個の培養毛乳頭細胞を播種した系では、ボタンピ
の培養毛乳頭細胞を増殖させる効果が特定された。この
結果より、ボタンピの抽出物には、培養毛乳頭細胞を増
殖させる効果が認められることと、本発明育毛検定方法
においては,96ウエルプレートにおいては1ウエル当
り2000個程度(10個/μl )の細胞を播種するこ
とが有利であることが明らかになった。
【0047】2.パントテニルエチルエーテルの効果と
対象物質の濃度依存性の検討 上記1.において最良とされた「1ウエル当り2000
個」の播種細胞数での育毛剤医薬部外品主剤であるパン
トテニルエチルエーテルの効果と対象物質としてボタン
ピ抽出物の培養毛乳頭細胞に対する細胞増殖効果を検討
した。試験系は上記1.と同一の系を用いた。ただし、
パントテニルエチルエーテルの濃度は、10-7%,対象
物質であるボタンピの抽出物の濃度は10-7%,10-5
%及び10-3%の系をそれぞれ設けた。
【0048】この検討結果を第2図〔横軸はそれぞれの
試料(A:パントテニルエチルエーテル(10-7%),
B:ボタンピ抽出物(10-7%),C:ボタンピ抽出物
(10-5%),D:ボタンピ抽出物(10-3%))を,
縦軸は培養毛乳頭細胞の細胞増殖率を示す〕に示す。
【0049】この第2図により、医学部部外品主剤とし
て育毛効果が認められているパントテニルエチルエーテ
ルがこの方法により毛乳頭細胞を活性化させる作用があ
ることが明らかになった。また、ボタンピの抽出物の毛
乳頭細胞活性化作用は、その濃度が10-7%のときに高
く、10-3%の過剰ともいえる濃度では毛乳頭細胞の増
殖は認められなかったものの、細胞毒性は認められなか
った。
【0050】これらの結果から、本発明育毛検定方法は
既知の育毛成分の効果を毛乳頭活性化作用として判定可
能であり、さらに明らかに過剰量ともいえる高濃度の育
毛成分を添加した際の毒性をも評価できること、すなわ
ち本発明育毛検定方法は信頼するに足るin vitroの育毛
検定方法であることが明らかになった。
【0051】さらに育毛剤医薬部外品であるパントテニ
ルエチルエーテルにおいて、毛乳頭刺激作用が認められ
たことから、このパントテニルエチルエーテルを有効成
分をする毛乳頭に直接作用して育毛作用を奏する「毛乳
頭活性化剤」が提供され得る。この毛乳頭活性化剤は、
毛乳頭を直接刺激することによって、毛周期の成長期を
延長させると共に毛髪を太くすることも可能である。
【0052】この毛乳頭活性化剤には、通常の養毛剤中
に配合される一般的成分も、この毛乳頭を活性化すると
いう所期の効果を損なわない限り適宜配合することがで
きる。
【0053】なお、この毛乳頭活性化剤におけるパント
テニルエチルエーテルの配合量は、この毛乳頭活性化剤
に対して概ね0.00005重量%以上,20.0重量
%以下、好ましくは同0.01重量%以上,10.0重
量%以下の範囲である。
【発明の効果】本発明により、毛乳頭細胞を培養して、
この培養毛乳頭細胞を用いる養毛剤の評価に適したアッ
セイ法が確立された。
【図面の簡単な説明】
【図1】96ウエルのマイクロプレートの各ウエルに、
最初どのくらいの細胞密度で毛頭培養細胞を播種するべ
きかを検討した図面である。
【図2】育毛剤医薬部外品主剤であるパントテニルエチ
ルエーテルの効果と対象物質であるボタンピの抽出物の
培養毛乳頭細胞の増殖作用における濃度依存性を検討し
た図面である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浜田 千加 神奈川県横浜市港北区新羽町1050番地 株 式会社資生堂第1リサーチセンター内 (72)発明者 中沢 陽介 神奈川県横浜市港北区新羽町1050番地 株 式会社資生堂第1リサーチセンター内 (72)発明者 鈴木 順 神奈川県横浜市金沢区福浦2−12−1 株 式会社資生堂第2リサーチセンター内 (72)発明者 田島 正裕 神奈川県横浜市港北区新羽町1050番地 株 式会社資生堂第1リサーチセンター内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】培養毛乳頭細胞に対象物質を接触させるこ
    とによる、その細胞の増殖活性の有無及び/又は強弱を
    特定することにより、その対象物質の育毛効果を検定す
    る育毛検定方法。
  2. 【請求項2】培養毛乳頭細胞がヒト由来の培養毛乳頭細
    胞である請求項1記載の育毛検定方法。
  3. 【請求項3】対象物質の育毛効果の有無及び/又は強弱
    を特定するための手段として、アラマーブルーアッセイ
    法を用いる請求項1又は請求項2記載の育毛検定方法。
  4. 【請求項4】対象物質を接触させる培養毛乳頭細胞を培
    養するための基本培地として、ミニマムエッセンシャル
    培地を用いる請求項1乃至請求項3のいずれかの請求項
    記載の育毛検定方法。
JP9049900A 1997-02-18 1997-02-18 育毛検定方法 Withdrawn JPH10229978A (ja)

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