JPH10205272A - トンネルの構築方法及びその拡幅方法 - Google Patents

トンネルの構築方法及びその拡幅方法

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JPH10205272A
JPH10205272A JP862197A JP862197A JPH10205272A JP H10205272 A JPH10205272 A JP H10205272A JP 862197 A JP862197 A JP 862197A JP 862197 A JP862197 A JP 862197A JP H10205272 A JPH10205272 A JP H10205272A
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ground
cutting
wire
tunnel
cut
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Application number
JP862197A
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English (en)
Inventor
Katsumi Tamura
克己 田村
Yasuaki Ishikawa
泰昭 石川
Katsuji Tokutake
勝治 徳竹
Toshinori Toyoda
敏則 豊田
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Hitachi Construction Machinery Co Ltd
Yamaha Kako Tokyo KK
Original Assignee
Hitachi Construction Machinery Co Ltd
Yamaha Kako Tokyo KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 超硬岩質の地山を破砕することなく効率的で
安全に掘削することができるトンネルの構築方法及びト
ンネルの拡幅方法を提供する。 【解決手段】 地山に先進導坑2を掘削し、その上部に
一対の前後方向ボーリング穴3aを穿設した後、牽引時
に地山を地山表面から地山内部に向かって切断し得るよ
うにワイヤソー4の切断用ワイヤ4aを一対の前後方向
ボーリング穴3aに通して地山に張設し、地山の上部を
押し切りするとともに、切断用ワイヤ4aを同様にして
一対の前後方向ボーリング穴3aの一つと先進導坑2と
に通して地山に張設し、地山の側部を押し切りし、しか
る後、地山の上部の切断の際に形成された上部切断溝と
地山の側部の切断の際に形成された一対の側部切断溝と
に切断用ワイヤ4aを通してから外部空間に導出し、地
山の裏側部を引き切りして切断ブロックを切り取り、こ
うした切り取り作業を周方向に向けて進めることによ
り、超硬岩質の地山にトンネルを掘削するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明の技術分野は、超硬岩
質の地山領域中にトンネルを構築したり、既設のトンネ
ルを超硬岩質の地山領域で拡幅したりする技術の分野に
属する。
【0002】
【従来の技術】岩石の一軸圧縮強度が500Kg/cm
2 以上の超硬岩質の地山(例えば、礫岩、安山岩、玄武
岩、花崗岩等の地山)にトンネルを構築する場合、通
常、ジャンボ等の削岩機で切羽面に直角方向に穿孔した
後、その穿孔した穴に大量の火薬を装填して切羽の全断
面を一度に破砕したり何回かに分けて破砕したりして地
山を掘削していた。この発破により切羽を破砕するトン
ネルの構築方法は、振動、騒音が大きいため、特に、民
家の近くで実施するときは、本来二交代で行うべき地山
の掘削作業が夜間を除く特定の時間帯でしか行えないと
いうように、実施する時間帯が制約され、場合によって
は実施できないこともあった。また、発破による地山の
掘削作業がこうした理由で行えない特定の区域では、ロ
ードヘッダ等の自由断面掘削機で地山を掘削する方法が
採られていた。一方、トンネル周辺の地山を掘削するこ
とにより既設のトンネルの断面を広げるトンネルの拡幅
方法を実施する場合も、掘削対象となる地山が超硬岩質
である限り、以上述べたのと同様の方法により実施して
いた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記した発
破により切羽を破砕するトンネルの構築方法は、民家の
近くで実施するときに実施する時間帯が制約されること
に加え、こうした時間帯の制約がないときでも、排煙待
ち等のロスタイムを必要としていた。さらに、このよう
な発破によるトンネルの構築方法は、地山を切羽の全断
面にわたって細かく破砕して掘削するため、粉塵等によ
り作業環境を悪化させ、発生する大量のずりを廃棄する
ための広大な処理地を確保しなければならない等種々の
問題があった。また、この発破によるトンネルの構築方
法は、発破の振動で切羽周辺の地盤を崩落させる危険も
伴うため、安全面でも問題があった。一方、前記したロ
ードヘッダ等の自由断面掘削機による方法は、安全面で
は問題がないものの、掘削対象となる地山が超硬岩質で
ある場合、地山の掘削能率や掘削土砂の排出能率が極端
に低下して、作業時間が大幅に増加するという難点があ
った。また、発破によるトンネルの構築方法と同様、地
山を切羽の全断面にわたって細かく破砕して掘削するた
め、作業環境の悪化やずり処理地の確保等発破による方
法と同様の問題があった。以上述べたような問題は、ト
ンネルの拡幅方法をこうした従来の方法で実施する場合
にも、当然に発生することとなる。
【0004】この出願の各発明は、従来のトンネルの構
築方法及びその拡幅方法にみられるこうした共通の問題
を解消しようとするものであって、その技術課題は、一
軸圧縮強度が500Kg/cm2 以上の超硬岩質の地山
でも破砕することなく効率的で安全に掘削することがで
きるトンネルの構築方法及びトンネルの拡幅方法を提供
することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】こうした同一問題の解消
を意図するトンネルの構築方法及びトンネルの拡幅方法
に関する技術課題中、トンネルの構築方法については、
次の(1)、(2)及び(3)の何れか一つの技術手段
を採用することにより解決することができ、トンネルの
拡幅方法ついては、次の(4)、(5)及び(6)の何
れか一つの技術手段を採用することにより解決すること
ができる。 (1)「両端部を無端状に連結して超硬岩を切断し得る
切断用ワイヤとこの切断用ワイヤを牽引する自走車体と
この自走車体に設置され切断用ワイヤを駆動するワイヤ
駆動装置とを備え、切断用ワイヤをワイヤ駆動装置で駆
動しながら自走車体で牽引することにより地山を切断す
るワイヤソーを用い、地山を地山表面から地山内部に向
かって切断し得るように切断用ワイヤを地山に張設、支
持する押し切り切断法と、地山を地山内部から地山表面
に向かって切断し得るように切断用ワイヤを地山に張
設、支持する引き切り切断法とを利用することにより、
超硬岩質の地山を切断してブロック状に切り取り、こう
した切取り作業の反復により切羽を掘削してトンネルを
構築するトンネルの構築方法」を採用して、「地山をブ
ロック状に切り取る場合、地山に先進導坑を掘削すると
ともに、切羽面から切羽裏側に向かって延びる少なくと
も一対の前後方向ボーリング穴を穿設し、切断用ワイヤ
を一対の前後方向ボーリング穴に通して地山に張設、支
持することにより地山の外周側部を押し切り切断法で切
断する方法と、切断用ワイヤを一対の前後方向ボーリン
グ穴の一つと先進導坑とに通して地山に張設、支持する
ことにより地山の側部を押し切り切断法で切断する方法
と、地山の外周部の切断の際に形成された外周部切断溝
と地山の側部の切断の際に形成された一対の側部切断溝
とに切断用ワイヤを通して地山に張設、支持することに
より地山の裏側部を引き切り切断法で切断する方法とを
利用して、地山の外周部、少なくとも一つの地山の側部
及び地山の裏側部を切断するようにした」こと、(2)
「両端部を無端状に連結して超硬岩を切断し得る切断用
ワイヤとこの切断用ワイヤを牽引する自走車体とこの自
走車体に設置され切断用ワイヤを駆動するワイヤ駆動装
置とを備え、切断用ワイヤをワイヤ駆動装置で駆動しな
がら自走車体で牽引することにより地山を切断するワイ
ヤソーを用い、地山を地山表面から地山内部に向かって
切断し得るように切断用ワイヤを地山に張設、支持する
押し切り切断法と、地山を地山内部から地山表面に向か
って切断し得るように切断用ワイヤを地山に張設、支持
する引き切り切断法とを利用することにより、超硬岩質
の地山を切断してブロック状に切り取り、こうした切取
り作業の反復により切羽を掘削してトンネルを構築する
トンネルの構築方法」を採用して、「地山をブロック状
に切り取る場合、地山に先進導坑を掘削し、次いで、先
進導坑の坑壁から地中に向かって延びる少なくとも一対
の放射方向ボーリング穴を穿設し、しかる後、切断用ワ
イヤを一対の放射方向ボーリング穴に通して地山に張
設、支持することにより地山の裏側部を押し切り切断法
で切断する方法と、切断用ワイヤを一対の放射方向ボー
リング穴の一つと先進導坑とに通して地山に張設、支持
することにより地山の側部を押し切り切断法で切断する
方法と、地山の裏側部の切断の際に形成された裏側部切
断溝と地山の側部の切断の際に形成された一対の側部切
断溝とに切断用ワイヤを通して地山に張設、支持するこ
とにより地山の外周部を引き切り切断法で切断する方法
とを利用して、地山の外周部、少なくとも一つの地山の
側部及び地山の裏側部を切断するようにした」こと、
(3)「両端部を無端状に連結して超硬岩を切断し得る
切断用ワイヤとこの切断用ワイヤを牽引する自走車体と
この自走車体に設置され切断用ワイヤを駆動するワイヤ
駆動装置とを備え、切断用ワイヤをワイヤ駆動装置で駆
動しながら自走車体で牽引することにより地山を切断す
るワイヤソーを用い、地山を地山表面から地山内部に向
かって切断し得るように切断用ワイヤを地山に張設、支
持する押し切り切断法と、地山を地山内部から地山表面
に向かって切断し得るように切断用ワイヤを地山に張
設、支持する引き切り切断法の少なくとも一方の切断法
を利用することにより、超硬岩質の地山を切断してブロ
ック状に切り取り、こうした切取り作業の反復により切
羽を掘削してトンネルを構築するトンネルの構築方法」
を採用して、地山をブロック状に切り取る場合、地山に
先進導坑を掘削するとともに、切羽面から切羽裏側に向
かって延びる前後方向ボーリング穴と先進導坑の坑壁か
ら地中に向かって延びる放射方向ボーリング穴とを互い
に連通するように少なくとも一対ずつ穿設し、切断用ワ
イヤを、先進導坑、前後方向ボーリング穴、放射方向ボ
ーリング穴、地山の外周部の切断の際に形成された外周
部切断溝、地山の裏側部の切断の際に形成された裏側部
切断溝及び地山の裏側部の切断の際に形成された裏側部
切断溝のうちの複数のものに選択的に通して地山に張
設、支持することにより、地山の外周部、少なくとも一
つの地山の側部及び地山の裏側部を押し切り切断法又は
引き切り切断法を利用して切断するようにした」こと
(4)「両端部を無端状に連結して超硬岩を切断し得る
切断用ワイヤとこの切断用ワイヤを牽引する自走車体と
この自走車体に設置され切断用ワイヤを駆動するワイヤ
駆動装置とを備え、切断用ワイヤをワイヤ駆動装置で駆
動しながら自走車体で牽引することにより地山を切断す
るワイヤソーを用い、地山を地山表面から地山内部に向
かって切断し得るように切断用ワイヤを地山に張設、支
持する押し切り切断法と、地山を地山内部から地山表面
に向かって切断し得るように切断用ワイヤを地山に張
設、支持する引き切り切断法とを利用することにより、
トンネル周辺の超硬岩質の地山を切断してブロック状に
切り取り、こうした切取り作業の反復によりトンネル周
辺の切羽を掘削して既設のトンネルの断面を広げるトン
ネルの拡幅方法」を採用して、「トンネル周辺の地山を
ブロック状に切り取る場合、切羽面から切羽裏側に向か
って延びる少なくとも一対の前後方向ボーリング穴を穿
設し、切断用ワイヤを一対の前後方向ボーリング穴に通
して地山に張設、支持することにより地山の外周側部を
押し切り切断法で切断する方法と、切断用ワイヤを一対
の前後方向ボーリング穴の一つとトンネルとに通して地
山に張設、支持することにより地山の側部を押し切り切
断法で切断する方法と、地山の外周部の切断の際に形成
された外周部切断溝と地山の側部の切断の際に形成され
た一対の側部切断溝とに切断用ワイヤを通して地山に張
設、支持することにより地山の裏側部を引き切り切断法
で切断する方法とを利用して、地山の外周部、少なくと
も一つの地山の側部及び地山の裏側部を切断するように
した」こと(5)「両端部を無端状に連結して超硬岩を
切断し得る切断用ワイヤとこの切断用ワイヤを牽引する
自走車体とこの自走車体に設置され切断用ワイヤを駆動
するワイヤ駆動装置とを備え、切断用ワイヤをワイヤ駆
動装置で駆動しながら自走車体で牽引することにより地
山を切断するワイヤソーを用い、地山を地山表面から地
山内部に向かって切断し得るように切断用ワイヤを地山
に張設、支持する押し切り切断法と、地山を地山内部か
ら地山表面に向かって切断し得るように切断用ワイヤを
地山に張設、支持する引き切り切断法とを利用すること
により、トンネル周辺の超硬岩質の地山を切断してブロ
ック状に切り取り、こうした切取り作業の反復によりト
ンネル周辺の切羽全域を掘削して既設トンネルの断面を
広げるトンネルの拡幅方法」を採用して、「トンネル周
辺の地山をブロック状に切り取る場合、トンネルの坑壁
から地中に向かって延びる少なくとも一対の放射方向ボ
ーリング穴を穿設し、しかる後、切断用ワイヤを一対の
放射方向ボーリング穴に通して地山に張設、支持するこ
とにより地山の裏側部を押し切り切断法で切断する方法
と、切断用ワイヤを一対の放射方向ボーリング穴の一つ
とトンネルとに通して地山に張設、支持することにより
地山の側部を押し切り切断法で切断する方法と、地山の
裏側部の切断の際に形成された裏側部切断溝と地山の側
部の切断の際に形成された一対の側部切断溝とに切断用
ワイヤを通して地山に張設、支持することにより地山の
外周部を引き切り切断法で切断する方法とを利用して、
地山の外周部、少なくとも一つの地山の側部及び地山の
裏側部を切断するようにした」こと(6)「両端部を無
端状に連結して超硬岩を切断し得る切断用ワイヤとこの
切断用ワイヤを牽引する自走車体とこの自走車体に設置
され切断用ワイヤを駆動するワイヤ駆動装置とを備え、
切断用ワイヤをワイヤ駆動装置で駆動しながら自走車体
で牽引することにより地山を切断するワイヤソーを用
い、地山を地山表面から地山内部に向かって切断し得る
ように切断用ワイヤを地山に張設、支持する押し切り切
断法と、地山を地山内部から地山表面に向かって切断し
得るように切断用ワイヤを地山に張設、支持する引き切
り切断法の少なくとも一方の切断法を利用することによ
り、トンネル周辺の超硬岩質の地山を切断してブロック
状に切り取り、こうした切取り作業の反復によりトンネ
ル周辺の切羽全域を掘削して既設のトンネルの断面を広
げるトンネルの拡幅方法」を採用して、「トンネル周辺
の地山をブロック状に切り取る場合、切羽面から切羽裏
側に向かって延びる前後方向ボーリング穴とトンネルの
坑壁から地中に向かって延びる放射方向ボーリング穴と
を互いに連通するように少なくとも一対ずつ穿設し、切
断用ワイヤを、トンネル、前後方向ボーリング穴、放射
方向ボーリング穴、地山の外周部の切断の際に形成され
た外周部切断溝、地山の裏側部の切断の際に形成された
裏側部切断溝及び地山の裏側部の切断の際に形成された
裏側部切断溝のうちの複数のものに選択的に通して地山
に張設、支持することにより、地山の外周部、少なくと
も一つの地山の側部及び地山の裏側部を押し切り切断法
又は引き切り切断法を利用して切断するようにした」こ
とトンネルの構築方法に関するこの出願の第1番目の発
明、第2番目の発明及び第3番目の発明は、それぞれ、
前記(1)、(2)及び(3)の技術手段を採用してい
て、特に、ワイヤソーでの地山の切断に際して先進導坑
を掘削するという独自の技術手段を採用したことから、
この先進導坑に切断用ワイヤを通して地山の側部を切断
することが可能となり、さらには、その切断の際に形成
された側部切断溝に切断用ワイヤを通し、又はその先進
導坑の利用により穿設された放射方向ボーリング穴に切
断用ワイヤを通して地山の裏側部を切断することが可能
となる。超硬岩質の地山にトンネルを掘削する場合、ワ
イヤソーによる切断法を利用して地山をブロック状の形
態に切り取って掘削することは、これまで行われていな
かったが、トンネルを掘削する場合のように地山の表面
を切断しないで内部だけを切断する場合でも、このよう
に先進導坑を掘削することにより、ワイヤソーで地山の
外周部のほか地山の側部及び地山の裏側部も容易に切断
することができるようになるため、ワイヤソーによる切
断法を利用してこれらの各部を切断することにより、地
中を搬出可能なブロック状の形態に切り取って、超硬岩
質の地山にトンネルを効率的に掘削することが可能とな
る。その場合、特許請求の範囲の請求項7に示すよう
に、地山の外周部、地山の側部及び地山の裏側部をワイ
ヤソーを用いて全体的に切断することもできるし、特許
請求の範囲の請求項8及び請求項9に示すように、これ
らの各部の少なくとも一つをワイヤソーを用いて部分的
に切断した後、残りの領域を、地山内にくさびを押し込
む方法等他の面切断の方法を併用して切断することもで
き、地山の性状をみながらこうした方法を適宜選択する
ことにより、一層効率的にトンネルを掘削することもで
きる。トンネルの拡幅方法に関するこの出願の第4番目
の発明、第5番目の発明及び第6番目の発明は、こうし
た先進導坑のような地下坑の存在により、ワイヤソーで
地中を搬出可能なブロック状の形態に切り取ることがで
きる点に着目して、前記したトンネルの構築方法に関す
る各発明と同様の技術手段、原理により、ワイヤソーに
よる切断方法を利用してトンネル断面を広げるための掘
削を行うようにし、超硬岩質の地山でトンネルを効率的
に拡幅できるようにした。
【0006】
【発明の実施の形態】前記したこの出願の第1番目乃至
第6番目の発明は、共に、産業上の利用分野及び解決し
ようとする課題が同一であり、採用している主要な技術
手段も同一のの発明である。以下、この出願のトンネル
の構築方法に関する発明が実際上どのように具体化され
るのかを示す具体化例を図1乃至図6に基づいて説明す
ることにより、トンネルの構築方法及びトンネルの拡幅
方法に関するこの出願の各発明の実施の形態を明らかに
する。図1は、本発明の具体化例のトンネルの構築方法
でトンネルを構築する場面を局部的に示す横断面図、図
2は、図1のA−A線断面図、図3は、本発明の他の具
体化例のトンネルの構築方法でトンネルを構築する場面
を局部的に示す横断面図、図4は、図3のB−B線断面
図、図5は、本発明の最初の具体化例のトンネルの構築
方法でトンネルを構築する場面を全般的に示す横断面
で、(1)は地山の側部を切断している場面を示す図、
(2)地山の他の側部を切断している場面を示す図、
(3)は地山の外周部を切断している場面を示す図、
(4)は地山の裏側部を切断している場面を示す図、図
6は、図5の縦断面図で、(イ)は図5(1)のC−C
線断面図、(ロ)は図5(3)のD−D線断面図、
(ハ)は図5(4)のE−E線断面図である。
【0007】まず、図1乃至図4に基づき、本発明の具
体化例のトンネルの構築方法に関する基本的な事項につ
いて説明すると、これらの図において、1は本発明に係
るトンネルの構築方法によりすでに掘削されたトンネル
本坑、2はトンネル本坑1の掘削断面内の地山に掘削さ
れた先進導坑、3は本発明に係るトンネルの構築方法を
実施するため穿設したボーリング穴、3aはこのボーリ
ング穴3のうち、切羽表面から切羽裏側に向かって延び
るように穿設した前後方向ボーリング穴、3bはボーリ
ング穴3のうち、先進導坑2の坑壁から地中に向かって
延びるように穿設した放射方向ボーリング穴である。先
進導坑2は、構築しようとするトンネル本坑1の掘削経
路に沿って所定長さ先行して掘削するか、又はトンネル
本坑1の掘削経路の全域にわたって予め先行掘削する。
先進導坑2は、本具体化例では、トンネル本坑1の1/
3程度の径で掘削していて、トンネル本坑1の全断面積
の1割程度の断面積を掘削すれば済むため、先進導坑2
の掘削に要する負担は、トンネル本坑1全体を掘削する
負担からみて僅少である。前後方向ボーリング穴3a
は、図2及び図4に示すように、構築しようとするトン
ネル本坑1の周囲に沿ってその軸方向に向けて穿設する
が、本具体化例では、図1及び図3に示すように、こう
した前後方向ボーリング穴3aがトンネル本坑1の全周
にわたって予め多数穿設されている。放射方向ボーリン
グ穴3bは、図4に示すように、先進導坑2の坑壁から
構築しようとするトンネル本坑1の周囲に向けて前後方
向ボーリング穴3aと連通するように放射方向に穿設す
る。
【0008】4は超硬岩質の地山を切断するワイヤソ
ー、4aは両端部を無端状に連結して超硬岩を切断し得
る切断用ワイヤ、4bはこの切断用ワイヤ4aを牽引す
る自走車体、4cはこの自走車体4bに設置され切断用
ワイヤ4aを駆動する油圧モータ等のワイヤ駆動装置、
5は切断用ワイヤ4aを地山に張設し支持するための支
持金具、6はワイヤソー4の自走車体4bを走行させ案
内するパイプレール、7は切断用ワイヤ4aによる切断
予定線、7aはこの切断予定線7のうち、構築予定のト
ンネル本坑1の周囲に相当する位置の地山を切断する周
方向切断予定線、7bは構築予定のトンネル本坑1内の
地山を放射方向に切断する放射方向切断予定線、7cは
構築予定のトンネル本坑1の切羽裏側の地山を切羽表面
と略平方な面で切断する切羽裏側切断予定線、8は切断
用ワイヤ4aで切り取られる6面体状の岩石の切断ブロ
ック、9は切断用ワイヤ4aにより地山の切断がすでに
行われた切断線である。
【0009】切断用ワイヤ4aは、鋼線等の金属ワイヤ
に人工ダイヤの粒状物を所定間隔を置いて焼結して固着
し形成されており、一軸圧縮強度が500Kg/cm2
以上の超硬岩質の地山を切断することができるようにな
っている。切断用ワイヤ4aは、地山に穿設したボーリ
ング穴3に通すことができるようにするために両端部を
切り離すことができるようになっているが、地山の切断
時には両端部を無端状に連結して使用する。ワイヤソー
4は、大別すると、この切断用ワイヤ4aと自走車体4
bとワイヤ駆動装置4cとで構成される。ワイヤソー4
には、無端状に連結した切断用ワイヤ4aを掛け回すた
めの駆動用大プーリ4dと、駆動用大プーリ4dに掛け
回した切断用ワイヤ4aに初期張力を付与する補助小プ
ーリ4eが付設されている。ワイヤ駆動装置4cは、そ
の回転駆動力を駆動用大プーリ4cに伝達して切断用ワ
イヤ4aを駆動する。
【0010】図には明示していないが、支持金具5は、
アンカーやロッドの先端に滑車を取り付けたような構造
をしており、滑車を地山に固定して、その滑車により切
断用ワイヤ4aを所望の態様で地山に張設し支持する働
きをする。例えば、ロッドをボーリング穴3内に挿入し
て地山に固定すると、ボーリング穴3の奥に滑車を固定
することができるため、外部空間からボーリング穴3の
奥に通した切断用ワイヤ4aをその滑車によりU字状に
反転させて再び外部空間に導き出すことができる。こう
した支持金具5やワイヤソー4を用いて地山を切断する
基本的な方法を説明すると、その切断方法は、図1や図
2に示すような押し切り切断法と図3や図4に示すよう
な引き切り切断法とに分けることができる。これらの図
は、何れも、地山の側部を面で切断している状態を示す
ものであるが、これらの切断法は、施工方法を適切に選
定すれば、後に詳述するように、地山の外周部や地山の
裏側部を面で切断する場合にも適用できる。この明細書
で「地山の側部」とは、先進導坑2の放射方向でかつそ
の軸方向に広がる地山の部位をいい、図1でいえば、放
射方向切断予定線7bを形成し得るような部位をいう。
また、「地山の外周部」とは、先進導坑2の周囲に対向
するその外周側の部位であり、図1でいえば、外周方向
切断予定線7aを形成し得るような部位をいう。「地山
の裏側部」とは、トンネル本坑1の切羽表面に対向する
その裏側の部位であり、図2でいえば、切羽裏側切断予
定線7cを形成し得るような部位をいう。さらに、この
明細書で「放射方向」とは、先進導坑2の坑壁から地中
に向かって延びる種々の方向を意味し、先進導坑2の坑
壁から地中に向かって延びる坑壁の法線の方向だけを意
味するものでない。
【0011】図1及び図2に基づいて押し切り切断法に
ついて詳述すると、押し切り切断法で地山の側部を切断
する場合には、先進導坑2を掘削した後又は先進導坑2
の掘削と並行して、構築予定のトンネル本坑1の周囲に
相当する位置に、切羽面から前後方向ボーリング穴3a
を穿設する。次いで、その前後方向ボーリング穴3aの
入口から支持金具5を挿入して地山に固定することによ
り、支持金具5の先端部の滑車を前後方向ボーリング穴
3aの奥に固定するとともに、同様にして先進導坑2の
奥の坑壁にも支持金具5の滑車を固定し、さらには、前
後方向ボーリング穴3a及び先進導坑2の入口付近にも
支持金具5の滑車を固定し、しかる後、これらの滑車を
用いて切断用ワイヤ4aを地山に張設、支持する。すな
わち、切断用ワイヤ4aを、先進導坑2の入口付近に固
定した支持金具5の滑車でガイドしながら先進導坑2内
に導入、挿通し、その奥に固定している支持金具5の滑
車に掛け回しながら、U字状に上方に反転させてから再
び外部空間に導き出す。次いで、その外部空間に導き出
した切断用ワイヤ4aを地山表面に当接して、その当接
部を、地山を切断するための切断用ワイヤ4aの地山切
断部4sとした後、今度は、前後方向ボーリング穴3a
の入口付近に固定した支持金具5の滑車でガイドしなが
ら前後方向ボーリング穴3a内に導入、挿通する。そし
て、前後方向ボーリング穴3aの奥に固定している支持
金具5の滑車に掛け回しながら、U字状に上方に反転さ
せてから再び外部空間に導き出した後、その導き出した
切断用ワイヤ4aを無端状に連結して駆動用大プーリ4
dに掛け回し、かくて、押し切り切断法による地山の側
部の切断準備が終了する。
【0012】以上の準備終了後、押し切り切断法で地山
の側部を切断する場合には、切断用ワイヤ4aを、図2
の矢印方向にワイヤ駆動装置4cで循環移動させ、同時
に、自走車体4bを図2の棒線矢印方向に走行させて切
断用ワイヤ4aを自走車体4bで牽引する。そうする
と、地山表面に当接している切断用ワイヤ4aの地山切
断部4sにはその両端部に張力が付与されるため、図2
に示すように、地山切断部4sが地山を切削しながら地
山内部に送られて行き、地山の側部を切羽面から切羽裏
側に向けて放射方向切断予定線7bに沿いながら押し切
りにより切断し、6面体状の岩石の切断ブロック8の一
方の側面を形成することができる。また、以上と同様に
して、切断用ワイヤ4aを、前記前後方向ボーリング穴
3aに隣接する別の前後方向ボーリング穴3aと先進導
坑2に通して地山に張設、支持すれば、切断ブロック8
の他の側面を放射方向切断予定線7bに沿って押し切り
により形成することができる。
【0013】こうしたワイヤソー4による押し切り切断
法は、前後方向ボーリング穴3aを少なくとも一対間隔
を置いて地山の外周部に穿設すれば、地山の外周部の切
断にも適用できる。すなわち、図1に示すように前後方
向ボーリング穴3aを複数個地山の外周部に穿設した
後、地山の側部を押し切りする場合に準じて、隣合う一
対の前後方向ボーリング穴3aにそれぞれ支持金具5を
挿入してその奥に滑車を固定するとともに、前後方向ボ
ーリング穴3aの入口付近にも支持金具5の滑車を固定
する。次いで、地山の側部を押し切りする場合に準じ
て、切断用ワイヤ4aを一方の前後方向ボーリング穴3
aに通し、その奥で、支持金具5の滑車によりU字状に
反転させて外部空間に導き出した後、その切断用ワイヤ
4aを地山表面に当接してから、同様にして、他方の前
後方向ボーリング穴3aに通し、その奥で反転させて外
部空間に導き出し、その導き出した切断用ワイヤ4aを
無端状に連結して駆動用大プーリ4dに掛け回す。こう
した準備の終了後、切断用ワイヤ4aをワイヤ駆動装置
4cで駆動しながら自走車体4bで牽引すれば、地山の
外周部を切羽面から切羽裏側に向けて外周方向切断予定
線7aに沿いながら押し切りにより面切断することがで
きる。したがって、構築予定のトンネル本坑1の周囲全
体にわたって多数の前後方向ボーリング穴3aを穿設
し、こうした手法で地山の外周部を切断すれば、トンネ
ル本坑1の周壁を押し切り切断法により形成することが
できる。
【0014】さらに、図3に示すように放射方向ボーリ
ング穴3bを先進導坑2の坑壁から構築予定のトンネル
本坑1の周囲に向けて少なくとも一対穿設して、その一
対の放射方向ボーリング穴3bに通して地山に張設、支
持すると、以上述べたと同様の手法により、地山の裏側
部を切羽裏側切断予定線7cに沿って押し切りにより面
切断することもできる。すなわち、切断用ワイヤ4a
を、外部空間から先進導坑2を経て一方の放射方向ボー
リング穴3bに通し、その奥で反転させて先進導坑2に
導き出した後、その切断用ワイヤ4aを先進導坑2の坑
壁に当接して地山切断部4sをその坑壁に位置させてか
ら、他方の放射方向ボーリング穴3bに通し、その奥で
反転させて再び先進導坑2に導き出した後、その切断用
ワイヤ4aを先進導坑2に通して外部空間に導き出すこ
とにより、地山の裏側部を先進導坑2の坑壁から地山内
部に向けて押し切り切断法で切断することができる。な
お、本具体化例では、ボーリング穴3に支持金具5を挿
入してその奥に滑車を固定してから、切断用ワイヤ4a
に張力を付与して、切断用ワイヤ4aだけを地山表面か
ら地山内部に送るようにしているが、このように滑車を
ボーリング穴3の奥に固定しないで、例えば、先端に滑
車を設けたロッドをボーリング穴3の奥に向けて適宜の
駆動手段で漸次押し込むようにすることにより、滑車そ
れ自体を地山表面から地山内部に向かって漸次送るよう
にしても、切断用ワイヤ4aに押し切りするような張力
を付与することができて、押し切り切断法を別の形態で
実施することができる。このように、押し切り切断法に
は種々の実施形態が想定されるが、要は、地山を地山表
面から地山内部に向かって切断し得るように切断用ワイ
ヤ4aを地山に張設、支持するようにすればよい。
【0015】図3及び図4に基づいて引き切り切断法に
ついて詳述すると、引き切り切断法で地山の側部を切断
する場合には、押し切り切断法で地山の側部を切断する
場合と同様、先進導坑2の掘削後又は先進導坑2の掘削
と並行して、構築予定のトンネル本坑1の周囲に相当す
る位置に前後方向ボーリング穴3aを穿設するほか、先
進導坑2の掘削後、図4に示すように、その前後方向ボ
ーリング穴3aと連通するように、先進導坑2の坑壁か
ら構築予定のトンネル本坑1の周囲に向けて放射方向ボ
ーリング穴3bを穿設する。しかる後、切断用ワイヤ4
aを、先進導坑2を経て放射方向ボーリング穴3bに導
入、挿通し、次いで、これに連通する前後方向ボーリン
グ穴3aに通すとともに、その切断用ワイヤ4aをこれ
らのボーリング穴3の穴壁に当接して地山切断部4sを
その穴壁に位置させるようにして外部空間に導き出す。
そして、その導き出した切断用ワイヤ4aを無端状に連
結して駆動用大プーリ4dに掛け回し、かくて、引き切
り切断法による地山の側部の切断準備が終了する。
【0016】以上の準備終了後、引き切り切断法で地山
の側部を切断する場合には、切断用ワイヤ4aを、図4
の矢印方向にワイヤ駆動装置4cで循環移動させなが
ら、自走車体4bを図3の棒線矢印方向に走行させるこ
とにより切断用ワイヤ4aを自走車体4bで牽引する。
そうすると、ボーリング穴3の付近で地山に当接してい
る地山切断部4sの両端部に張力が付与されるため、図
4に示すように、地山切断部4sが地山を切削しながら
その張力方向に向けて送られて行き、地山の側部を地山
内部から地山表面に向けて放射方向切断予定線7bに沿
いながら引き切りにより切断し、切断ブロック8の一方
の側面を形成することができる。また、以上と同様にし
て、切断用ワイヤ4aを、前記前後方向ボーリング穴3
aに隣接する別の前後方向ボーリング穴3a及びこれと
連通する放射方向ボーリング穴3bと先進導坑2とに通
して地山に張設、支持すれば、切断ブロック8の他の側
面を放射方向切断予定線7bに沿って引き切りにより形
成することができる。
【0017】こうした引き切り切断法は、後に詳述する
ように、地山の外周部の切断の際に形成された外周部切
断溝や地山の側部の切断の際に形成された側部切断溝を
利用して切断用ワイヤ4aを地山に張設、支持するよう
にすれば、図4のような二つのボーリング穴3a,3b
を設けなくても実施することができて、地山の外周部や
地山の裏側部をも外周方向切断予定線7aや放射方向切
断予定線7bに沿って引き切り切断法で面切断すること
ができる。なお、本具体化例では、切断用ワイヤ4aを
滑車でガイドしないで直接地山内部から地山表面に送る
ようにしているが、例えば、先端に滑車を設けた一対の
ロッドをボーリング穴3及び先進導坑2の奥に挿入する
とともに一対の滑車に切断用ワイヤ4aを掛け回し、そ
の一対のロッド切羽側向けて適宜の駆動手段で漸次引き
出すようにすることにより、切断用ワイヤ4aの地山切
断部4sを地山内部から地山表面に向かって漸次送るよ
うにしても、地山の側部を引き切りすることができ、押
し切り切断法を別の形態で実施することができる。この
ように、引き切り切断法には、種々の実施形態がある
が、要は、地山を地山内部から地山表面に向かって切断
し得るように切断用ワイヤ4aを地山に張設、支持する
ようにすれば、引き切り切断法による地山の各部の切断
を実現することができる。
【0018】以上、地山を押し切り切断法で切断する手
法と引き切り切断法で切断する手法についてそれぞれ述
べたが、地山を切断する場合、押し切り切断法を用いる
と、穿設するボーリング穴3の数が少なくて済み、ボー
リング穴3を穿設する手間を少なくすることができる。
一方、引き切り切断法を用いると、穿設するボーリング
穴3の数を相対的に多くする必要がある反面、切断用ワ
イヤ4aを自走車体4bで牽引した際に生じる張力が切
断用ワイヤ4aの地山切断部4sに直接的に伝達される
ので、押し切り切断法を用いた場合の2倍程度の速度で
地山を切断することができる。また、切断用ワイヤ4a
を地山に張設、支持する際に切断用ワイヤ4aを曲げる
頻度を相対的に少なくすることができるので、押し切り
切断法を用いた場合に比べて、切断用ワイヤ4aが傷み
にくく、かつ、施工精度を向上することもできる。
【0019】次に、この出願の第1番目の発明に関する
第1具体化例のトンネルの構築方法を、図5及び図6に
基づいて説明する。本具体化例では、先進導坑2の掘削
後、構築予定のトンネル本坑1の周囲に相当する位置
に、その全周にわたって多数の前後方向ボーリング穴3
aを予め穿設している。また、地山をワイヤソー4でブ
ロック状に切り取る作業を先進導坑2の頂部から開始
し、その最初の作業を、頂部右側の地山の側部を押し切
り切断法で切断することから始めようとしている。その
ため、図5(1)及び図6(イ)に示すように、図1及
び図2で詳述した方法に従って滑車を支持金具5で所定
個所に固定するとともに、切断用ワイヤ4aを先進導坑
2とその上部の前後方向ボーリング穴3aに通して地山
に張設、支持し、必要な準備を終了している。こうした
状態のもとで、切断用ワイヤ4aをワイヤ駆動装置4c
で駆動しながら自走車体4bで牽引すれば、頂部右側の
地山の側部を放射方向切断予定線7bに沿って押し切り
により面切断することができる。同様にして、図5
(2)に示すように、頂部左側の地山の側部も放射方向
切断予定線7bに沿って押し切りにより面切断する。次
いで、頂部の地山の外周部を押し切り切断法で切断する
作業に移行する。そのため、図5(3)及び図6(ロ)
に示すように、地山の側部を押し切りする場合に準じ
て、切断用ワイヤ4aを頂部の前後方向ボーリング穴3
aの一方に通し、支持金具5の滑車で反転させて外部空
間に導き出した後、頂部の前後方向ボーリング穴3aの
他方に通し支持金具5の滑車で反転させて外部空間に導
き出し、ワイヤー4の駆動用大プーリ4dに掛け回す。
こうした準備の終了後、切断用ワイヤ4aをワイヤ駆動
装置4cで駆動しながら自走車体4bで牽引すれば、頂
部の地山の外周部を外周方向切断予定線7aに沿って押
し切りにより面切断することができる。
【0020】最後に、頂部の地山の裏側部を面切断する
が、今度は、以上の作業を通じて、地山の外周部の切断
の際に形成された外周部切断溝と地山の側部の切断の際
に形成された左右の側部切断溝とを利用して引き切り切
断法により切断する。すなわち、図5(4)及び図6
(ハ)に示すように、切断用ワイヤ4aを外周部切断溝
に掛けるようにして同切断溝に通すとともに、その切断
用ワイヤ4aの左右両側部をそれぞれ左右の側部切断溝
に通して先進導坑2内に導き出す。次いで、切断用ワイ
ヤ4aの両側部を、各側部切断溝の開口奥部付近に支持
金具5で固定した滑車にそれぞれ掛け回しながら先進導
坑2に通した後、外部空間に導き出して駆動用大プーリ
4dに掛け回す。こうした準備の終了後、切断用ワイヤ
4aをワイヤ駆動装置4cで駆動しながら自走車体4b
で牽引すれば、切断用ワイヤ4aの地山切断部4sは、
外周部切断溝側から先進導坑2の坑壁側に下方に引き寄
せられて、頂部の地山の裏側部を切羽裏側切断予定線7
cに沿って引き切りにより面切断することができる。か
くて、地山の外周部、地山の側部及び地山の裏側部を面
で切断して、地山をワイヤソー4で6面体状の岩石の切
断ブロック8に切り取ることができる。こうした地山の
切り取り作業を、先進導坑2の周方向全域にわたって繰
り返すにより、切羽を掘削してトンネルを構築すること
ができる。
【0021】本具体化例では、地山の側部を切断した
後、地山の外周部を切断するようにしているが、その順
序は逆にしてもよく、要は、地山の裏側部の切断を最後
に行うようにすれば、その裏側部の切断を引き切りによ
り面切断することができて地山を切り取ることができ
る。また、地山の側部の切断を左右何れも押し切りによ
り行っているが、地山の側部を全てにわたって押し切り
により切断することは必ずしも必要ではなく、その一方
を図3及び図4で述べたような準備をしてから引き切り
により切断するようにしてもよい。地山の最初の切り取
り作業が終了した後は、頂部の左右の前後方向ボーリン
グ穴3aの一方とこれに隣接する別の前後方向ボーリン
グ穴3aを用いて以上と同様の手法で地山の次の切り取
り作業を行うが、その場合には、地山の側部の切断作業
については片側だけを行えばよい。本具体化例では、切
羽の全断面を掘削するに必要な前後方向ボーリング穴3
aを、構築予定のトンネル本坑1の全周にわたって予め
穿設しているが、前後方向ボーリング穴3aは、少なく
とも予め一対穿設されていれば、地山の切り取り作業が
行えるので、切羽の全断面を掘削するに必要な前後方向
ボーリング穴3aの全てを最初から穿設することは必ず
しも必要ではない。
【0022】この出願の第2番目の発明に関する第2具
体化例のトンネルの構築方法を説明する。本具体化例の
技術内容については図示されていないが、本具体化例の
方法は、第1具体化例のトンネルの構築方法において、
前後方向ボーリング穴3aを穿設する代わりに放射方向
ボーリング穴3bを少なくとも一対穿設するようにした
ものである。具体的に述べると、まず、地山に先進導坑
2を掘削し、次いで、先進導坑2の坑壁から地山内部す
なわち構築予定のトンネル本坑1の周囲に向けて放射方
向ボーリング穴3bを少なくとも一対穿設する。しかる
後、支持金具5を用いて、図1及び図2に図示の方法に
準じた手法で、切断用ワイヤ4aを先進導坑2と一対の
放射方向ボーリング穴3bの一つとに通して地山に張
設、支持することにより、地山の側部を押し切り切断法
で切断する。すなわち、切羽の外周部位から反転させる
ようにして滑車で導いた切断用ワイヤ4aを先進導坑2
に通すとともに、先進導坑2の坑壁に当接して地山切断
部4sをその坑壁に位置させた後、その切断用ワイヤ4
aを放射方向ボーリング穴3bに通し、その奥で反転さ
せて再び先進導坑2に導き出してから、先進導坑2に通
して外部空間に導き出すことにより、地山の側部を先進
導坑2の坑壁から構築予定のトンネル本坑1の周囲に向
けて押し切り切断法で切断する。また、すでに述べた地
山の外周部を押し切りする方法と同様の手法で、切断用
ワイヤ4aを一対の放射方向ボーリング穴3bに通して
地山に張設、支持することにより、切断用ワイヤ4aを
先進導坑2の坑壁に当接して、地山の裏側部を先進導坑
2の坑壁から構築予定のトンネル本坑1の周囲に向けて
押し切り切断法で切断する。これら地山の側部の切断と
地山の裏側部の切断は順序を逆にしてもよい。そして、
最後に、地山の裏側部の切断の際に形成された裏側部切
断溝と地山の側部の切断の際に形成された一対の側部切
断溝とに切断用ワイヤ4aを通して地山に張設、支持す
ることにより、図5(4)及び図6(ハ)に図示の方法
に準じた手法により、地山の外周部を、切羽裏側から切
羽面に向けて引き切り切断法で切断し、かくて、地山の
外周部、地山の側部及び地山の裏側部を面で切断して、
地山を6面体状の切断ブロック8に切り取ることができ
る。
【0023】この出願の第3番目の発明に関する第3具
体化例のトンネルの構築方法を、図3及び図4に基づい
て説明する。まず、これらの図に示すように、地山に先
進導坑2を掘削するとともに、先進導坑2を掘削した後
又は先進導坑2の掘削と並行して、切羽面から切羽裏側
に向けて前後方向ボーリング穴3aを少なくとも一対穿
設する。また、先進導坑2の掘削後、先進導坑2の坑壁
から構築予定のトンネル本坑1の周囲に向けて、各前後
方向ボーリング穴3aとそれぞれ連通する少なくとも一
対の放射方向ボーリング穴3bを穿設する。次いで、ワ
イヤソー4により地山の側部、地山の外周部及び地山の
裏側部の切断を行うが、これら各部の切断方法は多岐に
わたるので、以下に分類して示す。
【0024】地山の側部の切断法 1)図1及び図2に図示の方法と同様、切断用ワイヤ4
aを外部空間から先進導坑2に通し、その奥で反転させ
て再び外部空間に導き出し、その外部空間に導き出した
切断用ワイヤ4aを切羽面に当接して地山切断部4sを
切羽面に位置させた後、切断用ワイヤ4aを前後方向ボ
ーリング穴3aに通し、その奥で反転させて再び外部空
間に導き出すことにより、地山の側部を切羽面から切羽
裏側に向けて押し切り切断法で切断する。 2)この1)の方法において、前後方向ボーリング穴3
aに通した切断用ワイヤ4aをその奥で反転させる代わ
りに、前後方向ボーリング穴3aと連通する放射方向ボ
ーリング穴3bに滑車でガイドしながら通した後、滑車
でガイドしながら先進導坑2に通して外部空間に導き出
すことにより、地山の側部を切羽面から切羽裏側に向け
て押し切り切断法で切断する。 3)図1及び図2に図示の方法に準じた手法で、切羽の
外周部位から滑車で反転させるようにして導いた切断用
ワイヤ4aを先進導坑2に通すとともに、先進導坑2の
坑壁に当接して地山切断部4sをその坑壁に位置させた
後、その切断用ワイヤ4aを放射方向ボーリング穴3b
に通し、その奥で反転させて再び先進導坑2に導き出し
てから、先進導坑2に通して外部空間に導き出すことに
より、地山の側部を先進導坑2の坑壁から構築予定のト
ンネル本坑1の周囲に向けて押し切り切断法で切断す
る。 4)この3)の方法において、放射方向ボーリング穴3
bに通した切断用ワイヤ4aをその奥で反転させる代わ
りに、放射方向ボーリング穴3bと連通する前後方向ボ
ーリング穴3aに滑車でガイドしながら通した後、滑車
でガイドしながら外部空間に導き出すことにより、地山
の側部を先進導坑2の坑壁から構築予定のトンネル本坑
1の周囲に向けて押し切り切断法で切断する。 5)図3及び図4に図示の方法と同様、切断用ワイヤ4
aを先進導坑2に通した後、その切断用ワイヤ4aを、
放射方向ボーリング穴3bとこれに連通する前後方向ボ
ーリング穴3aとに通すとともに、これらの穴壁に当接
して地山切断部4sをその穴壁に位置させるようにして
外部空間に導き出すことにより、地山の側部を地山内部
から地山表面に向けて引き切り切断法で切断する。 6)地山の裏側部及び地山の外周部の切断がすでに終了
している場合には、この5)の方法において、切断用ワ
イヤ4aを放射方向ボーリング穴3bと前後方向ボーリ
ング穴3aとに通す代わりに、地山の裏側部の切断の際
に形成された裏側部切断溝と地山の外周部の切断の際に
形成された外周部切断溝とに通すことにより、地山の側
部を地山内部から地山表面に向けて引き切り切断法で切
断することもできる。
【0025】地山の外周部の切断法 1)図1及び図2に図示の方法に準じた手法で、切断用
ワイヤ4aを外部空間から一方の前後方向ボーリング穴
3aに通しその奥で反転させて外部空間に導き出し、そ
の切断用ワイヤ4aを切羽面に当接して地山切断部4s
を切羽面に位置させた後、他方の前後方向ボーリング穴
3aに通しその奥で反転させて外部空間に導き出すこと
により、地山の外周部を切羽面から切羽裏側に向けて押
し切り切断法で切断する。 2)切断用ワイヤ4aを外部空間から先進導坑2に通し
て滑車でガイドしながら一方の放射方向ボーリング穴3
bに通した後、その切断用ワイヤ4aを滑車でガイドし
ながらその放射方向ボーリング穴3bと連通する一方の
前後方向ボーリング穴3aに穴奥から通して外部空間に
導き出し、次いで、その切断用ワイヤ4aを切羽面に当
接して地山切断部4sを切羽面に位置させてから、他方
の前後方向ボーリング穴3aに通し、しかる後、その切
断用ワイヤ4aを、滑車でガイドしながら、他方の前後
方向ボーリング穴3aと連通する他方の放射方向ボーリ
ング穴3bに穴奥から通して先進導坑2から外部空間に
導き出すか、又は他方の前後方向ボーリング穴3aの奥
で反転させて外部空間に導き出すことにより、地山の外
周部を切羽面から切羽裏側に向けて押し切り切断法で切
断する。 3)地山の裏側部の切断がすでに終了している場合にお
いて、切断用ワイヤ4aを外部空間から一方の前後方向
ボーリング穴3aに通して、地山の裏側部の切断の際に
形成された裏側部切断溝に通すとともに、この裏側部切
断溝の溝壁に当接して地山切断部4sをその溝壁に位置
させ、次いで、その切断用ワイヤ4aを反転させるよう
にして他方の前後方向ボーリング穴3aに通して外部空
間に導き出すことにより、図5(4)及び図6(ハ)に
図示の方法に準じた手法で、地山の外周部を切羽裏側か
ら切羽面に向けて引き切り切断法で切断する。 4)地山の裏側部の切断に加えて地山の側部の切断がす
でに終了している場合には、この3)の方法において、
切断用ワイヤ4aを一対の前後方向ボーリング穴3aに
通す代わりに、地山の側部の切断の際に形成された一対
の側部切断溝に、前後方向ボーリング穴3aと同じ方向
に通すことにより、図5(4)及び図6(ハ)に図示の
方法に準じた手法で、地山の外周部を切羽裏側から切羽
面に向けて引き切り切断法で切断することもできる。
【0026】地山の裏側部の切断法 1)図1及び図2に図示の方法に準じた手法で、切断用
ワイヤ4aを、外部空間から先進導坑2を経て一方の放
射方向ボーリング穴3bに通し、その奥で反転させて先
進導坑2に導き出した後、その切断用ワイヤ4aを先進
導坑の坑壁に当接して地山切断部4sをその坑壁に位置
させてから、他方の放射方向ボーリング穴3bに通し、
その奥で反転させて再び先進導坑2に導き出した後、そ
の切断用ワイヤ4aを先進導坑2に通して外部空間に導
き出すことにより、地山の裏側部を先進導坑2の坑壁か
ら構築予定のトンネル本坑1の周囲に向けて押し切り切
断法で切断する。 2)切断用ワイヤ4aを外部空間から滑車でガイドしな
がら一方の前後方向ボーリング穴3aに通した後、その
切断用ワイヤ4aを滑車でガイドしながらその前後方向
ボーリング穴3aと連通する一方の放射方向ボーリング
穴3bに奥の方から通して先進導坑2に導き出し、次い
で、その切断用ワイヤ4aを先進導坑2の坑壁に当接し
て地山切断部4sをその坑壁に位置させてから、他方の
放射方向ボーリング穴3bに通し、しかる後、その切断
用ワイヤ4aを、滑車でガイドしながら、他方の放射方
向ボーリング穴3bと連通する他方の前後方向ボーリン
グ穴3aに通して滑車でガイドしながら外部空間に導き
出すか、又は他方の放射方向ボーリング穴3bの奥で反
転させて再び先進導坑2に導き出した後、先進導坑2に
通して外部空間に導き出すことにより、地山の裏側部を
先進導坑2の坑壁から構築予定のトンネル本坑1の周囲
に向けて押し切り切断法で切断する。 3)地山の外周部の切断がすでに終了している場合にお
いて、切断用ワイヤ4aを外部空間から先進導坑2に通
して滑車でガイドしながら一方の放射方向ボーリング穴
3bに通して、地山の外周部の切断の際に形成された外
周部切断溝に通すとともに、この外周部切断溝の溝壁に
当接して地山切断部4sをその溝壁に位置させ、次い
で、その切断用ワイヤ4aを反転させるようにして他方
の放射方向ボーリング穴3bに穴奥から通し、滑車でガ
イドしながら先進導坑2に導き出した後、先進導坑2に
通して外部空間に導き出すことにより、図5(4) 及
び図6(ハ)に図示の方法に準じた手法で、地山の裏側
部を地山内部から先 進導坑2の坑壁に向けて引き切り
切断法で切断する。 4)地山の外周部の切断に加えて地山の側部の切断がす
でに終了している場合には、この3)の方法において、
切断用ワイヤ4aを一対の放射方向ボーリング穴3bに
通す代わりに、地山の側部の切断の際に形成された一対
の側部切断溝に、放射方向ボーリング穴3bと同じ方向
に通すことにより、図5(4)及び図6(ハ)に図示の
方法と同様の手法により、地山の裏側部を地山内部から
先進導坑2の坑壁に向けて引き切り切断法で切断するこ
ともできる。
【0027】以上述べた各具体化例のトンネルの構築方
法のうち、第1具体化例又は第2具体化例のトンネルの
構築方法を用いれば、第3具体化例の方法のように放射
方向ボーリング穴3bを前後方向ボーリング穴3aと連
通させて穿設するという高度な技術を要することなく、
ボーリング作業が比較的簡単に行える。一方、第3具体
化例のトンネルの構築方法を用いれば、前記した各種の
切断法を適宜選択して地山の切断が行えるため、地山や
施工現場の状況等に応じて地山の各部を最適な方法によ
り切断することができる。
【0028】一軸圧縮強度が500Kg/cm2 以上の
超硬岩質の地山にトンネルを掘削する場合、その地山を
ワイヤソー4でブロック状に切り取って掘削し、そのま
ま搬出することはこれまで行われていないが、以上述べ
た各具体化例のトンネルの構築方法は、何れも、先進導
坑2を掘削することにより、初めてこうしたことを可能
としたものである。すなわち、先進導坑2を掘削したこ
とにより、この先進導坑2に切断用ワイヤ4aを通して
地山の側部を切断することを可能とし、さらには、その
切断の際に形成された側部切断溝に切断用ワイヤ4aを
通し、又はその先進導坑2を利用して穿設された放射方
向ボーリング穴3bに切断用ワイヤ4aを通して地山の
裏側部を切断することを可能としおり、その結果、超硬
岩質の地山を切羽の周方向に分割された多数の切断ブロ
ック8に切り取って、そのまま搬出することができるよ
うにしている。このように、本発明は、ワイヤソー4に
より搬出可能な切断ブロック8を切り取ってトンネルを
掘削できるようにするため、先進導坑2を設けた点に大
きな特徴がある。
【0029】このように、各具体化例のトンネルの構築
方法によれば、従来のトンネルの構築方法のように施工
の時間帯が制約されたり、排煙待ち等のロスタイムを要
したりすることがないのは勿論のこと、先進導坑2を掘
削する場合を除けば、地山を破砕することなくブロック
状に切り取ってそのまま搬送できるので、超硬岩質の地
山でも効率的に掘削してトンネルを構築することができ
る。また、従来のトンネルの構築方法のように発破の振
動で切羽周辺の地盤を崩落させるような危険はなく、地
山を安全に掘削することができる。したがって、各具体
化例によれば、一軸圧縮強度が500Kg/cm2 以上
の超硬岩質の地山でも破砕することなく効率的で安全に
掘削することができるトンネルの構築方法が得られる。
また、各具体化例のトンネルの構築方法では、超硬岩質
の地山を特にブロックに切り取ってトンネルを掘削掘削
するようにしているため、超硬岩質の地山が石材として
利用価値がある場合に、岩石の切断ブロック8を廃棄物
とすることなく、トンネル構築の副産物として販売、加
工する等有効に活用することができる。すなわち、岩石
の切断ブロック8が、例えば花崗岩であれば、墓石用や
門柱用等の高級石材として販売することができ、また、
他の石材であっても、超硬岩質のものであれば、防波堤
や防波ブロック、歩道や庭の敷き石、石垣や塀の石その
他各種の建材に加工してその大半が有効に利用できると
ともに、従来必要としていた廃棄物の処理地や処理費も
節減することができる。したがって、各具体化例のトン
ネルの構築方法によれば、トンネルの構築に際して副次
的に多大の経済的利益を生むことができるため、総合的
にみて、きわめて経済的にトンネルを構築することがで
きる。こうしたトンネルの構築方法によれば、地山を扇
形立方体状のほか、後述するように直方体状に切り取れ
る等、種々の形状に切り取ることができる。
【0030】各具体化例のトンネルの構築方法では、ト
ンネル本坑1の掘削に先立ち先進導坑2を掘削するよう
にしているため、トンネルを構築する地山領域の地質状
況を事前に調査することができて、例えば、その地山領
域に破砕帯があれば薬液の注入により処理したり、湧水
があればその手当を事前にしたりする等、トンネルの構
築を計画的かつ円滑に進めることができる。先進導坑2
は、トンネルの全掘削経路にわたって一段階で掘削して
も、また、トンネルの掘削と並行して複数段階に分けて
掘削するようにしてもよいが、先進導坑2をトンネルの
全掘削経路にわたって事前に掘削した場合には、先進導
坑2の前後両端開口部にそれぞれ切羽を設けて、ワイヤ
ソー4による地山の掘削を、両切羽で同時並行的に進め
ることができて、トンネルの構築作業を効率的に行うこ
とができる。また、このように、先進導坑2をトンネル
の全掘削経路にわたって掘削した場合は、排気、排水系
統が事前に確保できて、トンネル構築のための施工の便
がよい。さらに、先進導坑2を、岩石の切断ブロック8
の搬出経路として利用することができて、掘削物の搬出
の便もよい。先進導坑2を利用して岩石の切断ブロック
8を搬出する場合、切断ブロック8を横に倒した状態で
搬送するため、先進導坑2の径は、切断ブロック8をこ
うした状態で搬出できる径にする。先進導坑2の径は、
前述したように、本具体化例では、トンネル本坑1の1
/3程度の径で掘削するようにしているが、先進導坑1
は、トンネル本坑1の半分以下の径であれば、トンネル
本坑1の全断面積の2割程度の断面積を掘削すれば済
み、残りの8割程度の断面積をワイヤソー4により少な
い負担で掘削することができるため、先進導坑1は、ト
ンネル本坑1の半分以下の径にするのがトンネルの施工
効率上望ましい。
【0031】図1乃至図6では、ワイヤソー4による押
し切り切断法や引き切り切断法を利用して地山の外周
部、地山の側部及び地山の裏側部を切断する場合に、専
らワイヤソー4を用いてこれらの各部を全領域にわたっ
て切断する方法を示したが、次に、ワイヤソー4による
切断法に他の切断方法を併用してこれらの各部を切断す
る方法を、図7及び図8に基づいて説明する。図7は、
本発明の各具体化例のトンネルの構築方法における地山
の切断方法の応用例を説明するための斜視図、図8は、
本発明の各具体化例のトンネルの構築方法における地山
の切断方法に併用可能な発破による切断手段を示す斜視
図である。なお、図7において、図1乃至図6と同一符
号を付けた部分はこれらの図面と同等の部分を表す。
【0032】図7には、左右にそれぞれ上下一対の前後
方向ボーリング穴3aを穿設するとともに、その上下一
対の前後方向ボーリング穴3aと連通するように左右に
放射方向ボーリング穴3bを穿設し、これらの互いに連
通する前後方向ボーリング穴3aと放射方向ボーリング
穴3bとに切断用ワイヤ4aを通して、図3及び図4に
示したのと同様の手法により、地山の側部を引き切り切
断法で途中まで切断した状態を示している。図7におい
て、斜線が付けられた領域は、地山の側部のうち引き切
り切断法で切断した領域を表す。図7に示す地山の切断
法は、こうして地山の側部をワイヤソー4で部分的に切
断した後、地山の側部の残りの領域を、地山内にくさび
15を押し込む方法により切断するようにしたものであ
る。すなわち、引き切り切断法で切断した上下の切断領
域の中間の未切断領域にくさび15を打ち込んでその未
切断領域を切断するようにしたものである。このように
地山の側部の切断予定面のうち地山の内部側の周辺をあ
る程度ワイヤソー4で切断した後、残りの領域をくさび
15で切断するようにすると、岩石の節理の方向や硬さ
等地山の性状がくさび15による切断に適合しさえすれ
ば、その切断が切断予定面に沿って正確かつ円滑に行え
るため、ワイヤソー4だけの切断方法に比べて一層効率
的な地山の切断が行える。
【0033】図7には、地山の側部を引き切り切断法部
分的に切断した後、残りの領域をくさび15で切断する
方法を示したが、この残りの領域を切断する場合、くさ
び15に代え、切断しようとする方向にだけ選択的に爆
破力を作用させることのできる発破により切断するよう
にしてもよい。そこで、こうした発破による切断手段1
8を図8に基づいて説明する。図において、16は発破
に用いる円筒状のダイナマイト、17はこのダイナマイ
トの周囲の所定領域を遮蔽する遮蔽板である。この図8
の例では、ダイナマイト16の長手方向に沿って左右に
未遮蔽部分ができるように、ダイナマイト16の上下の
各周面をそれぞれ遮蔽板17で遮蔽するようにしてい
る。こうした発破による切断手段18を用いると、ダイ
ナマイト16の爆破力が遮蔽されていない矢印F1 ,F
2 の方向にだけ作用して他の方向には作用しないように
することがきるので、地山を細かく破砕することなくF
1 ,F2 方向に面切断することができる。
【0034】この発破による切断手段18をワイヤソー
4による切断法に併用して図7のような手法で地山の側
部を切断する場合には、くさび15の代わりに切断手段
18を用いて、引き切り切断法による上下の切断領域間
における未切断領域を、放射方向ボーリング穴3bと同
じ方向すなわち上下方向に向けて切断するようにすれば
よい。具体的には、その未切断領域の中間位置において
前後方向ボーリング穴3aと同じ方向に向けてダイナマ
イト装填孔を穿設した後、発破による切断手段18をダ
イナマイト装填孔に、矢印F1 ,F2 が上下方向を向く
ように配置し装填して発破を実施すれば、その爆破力が
ダイナマイト16の長手方向に沿って上下方向に作用す
るため、その未切断領域を面で切断することができる。
【0035】こうした発破による切断手段18を併用す
る切断法を用いたトンネル構築方法では、発破は使用す
るものの局部的にしか使用しない小規模発破によるもの
であり、しかも、その発破の爆力は、地山を面切断する
よう限定的にしか作用しないので、従来の発破によるト
ンネル構築方法のように排煙待ち等により長時間のロス
タイムを必要としたり地山を細かく破砕しなければなら
なかったりするというような問題は解消される。また、
従来の発破によるトンネル構築方法にみられたような発
破の振動で切羽周辺の地山を崩落させる危険が伴うとい
う安全面での問題も解消すことができる。さらに、切断
手段18を装填するための準備に多少の時間は要するも
のの、地山を瞬時に面切断することができるため、地山
の性状等を考慮しながらこうした切断法を選択的に用い
ると、ワイヤソー4だけの切断方法に比べて一層効率的
な地山の切断が行える。
【0036】以上、地山の側部の周辺を引き切り切断法
で切断した後、残りの領域を他の切断手段で切断する例
を示したが、地山の側部を押し切り切断法で部分的に切
断した後、残りの領域を他の切断手段により切断するこ
とも可能である。すなわち、地山の裏側部に切断溝や放
射方向ボーリング穴3bを形成した状態において、地山
の側部を押し切り切断法で地山内部に向けてある程度の
深さ切断した後、これにより形成された切断溝を通じて
残りの領域にくさび15を押し込み、又は発破による切
断手段18を残りの領域に装填して発破を実施すると、
地山の裏側部の切断溝や放射方向ボーリング穴3bにか
けて切断面が形成され、地山の側部の全領域を切断する
ことができる。こうしたワイヤソー4による切断法に他
の切断方法を併用する方法は、地山の側部の切断だけに
限らず、地山の外周部や地山の裏側部の切断にも用いる
ことができる。
【0037】超硬岩質の地山が石材として高度の利用価
値がある場合には、岩石の切断ブロック8を石材として
無駄なく活用できるような形状に地山を切り取ることが
望ましい。そこで、以上述べた本発明の具体化例のトン
ネルの構築方法を利用してこうした目的を達成しながら
トンネルを構築する方法を、図9乃至図12に基づいて
説明する。図9は、本発明の各具体化例のトンネルの構
築方法を利用した変形例のトンネルの構築方法でトンネ
ルを構築する場面を局部的に示す横断面図、図10は、
図9に示す方法でトンネルを構築する過程を示す図9の
F−F線断面に相当する図、図11は、本発明の各具体
化例のトンネルの構築方法を利用した他の変形例のトン
ネルの構築方法でトンネルを構築する場面を局部的に示
す横断面図、図12は、図11に示す方法でトンネルを
構築する過程を示す図11のG−G線断面に相当する図
である。なお、図9乃至図12において、図1乃至図6
と同一符号を付けた部分はこれらの図面と同等の部分を
表す。
【0038】まず、図9及び図10に示す変形例のトン
ネルの構築方法について説明する。このトンネルの構築
方法は、すでに述べた各具体化例のトンネルの構築方法
において地山を切断してブロック状に切り取る場合に、
切羽の下方の地山を、切羽から後方に向けて下方に傾斜
する石段を形成するようにブロック状に切り取り、切羽
の下部を広げるようにしたものである。その方法を具体
的に説明すると、まず最初に、各具体化例のトンネルの
構築方法の何れかと同様の方法により地山の外周部、地
山の側部及び地山の裏側部を切り取るが、その場合、切
羽下部の地山の外周部は、水平な切断下面9aを形成す
るように面切断する。そのため、前後方向ボーリング穴
3aを穿設する場合、切羽下部の各前後方向ボーリング
穴3aをほぼ同じ水平面上に並ぶように穿設し、これら
の前後方向ボーリング穴3aを利用して、切羽下部にお
ける水平な周方向切断予定線7aに沿うように前後方向
に面切断する。
【0039】こうして各具体化例の何れかの方法で地山
を切断してブロック状に切り取った後、すでに形成され
た水平な切断下面9aの直ぐ後方の地山を、水平方向切
断予定線7d及び周方向拡大切断予定線7eに沿って水
平な切断下面10a及び拡大したトンネルの周面をそれ
ぞれ形成するように面切断するとともに、垂直な切断前
面10bを形成するように上下方向に面切断する。その
場合、周方向拡大切断予定線7e間の地山を、垂直方向
切断予定線7fに沿って前後方向に略等間隔に面切断す
る。これらの面切断は、通常の採石手段で達成できるた
め、ワイヤーソー4のほか他の適宜の手段を用いて行う
ことができる。こうした方法で切羽の下方の地山を面切
断することにより、切羽から後方に向けて下方に傾斜す
る石段を形成することができるとともに、その過程にお
いて搬出可能な直方体状のブロックに地山を切り取るこ
とができる。以上により、切羽の掘削とその下部の拡大
とによるトンネルの掘削の一つの工程を終了し、次の工
程に移行する。次の工程では、前工程と同様の方法で地
山の外周部、地山の側部及び地山の裏側部を切り取って
切羽を図10の点線位置まで掘削するとともに、前工程
で形成された水平な切断下面9aの個所の地山を、図1
0の点線に沿って前工程と同様の方法で石段を形成する
ように切り取り、以後、同様の方法を繰り返してトンネ
ルを構築する。この変形例によれば、切羽の下方の地山
を直方体状の多数のブロックに切り取ることができるた
め、岩石の切断ブロック8を石材として無駄なく活用で
きてその利用価値を高めることができる。
【0040】次に、図11及び図12に示す他の変形例
のトンネルの構築方法について説明する。この変形例の
トンネルの構築方法は、以上に述べた図9及び図10の
方法と基本的な点で差はないが、地山をブロック状に切
り取ってトンネルを構築する際、図9及び図10の方法
に比べて直方体状のブロックをより多く切り取れるよう
にしたものである。そのため、第1に、先進導坑2を図
9及び図10の変形例より上方位置に設けて、切羽の下
方に形成する石段の段数を2段に増加することにより、
直方体状のブロックをより多く切り取れるようにしてい
る。第2に、切羽の左右地山をブロック状に切り取る場
合、各放射方向切断予定線7bを、切羽下部における水
平な周方向切断予定線7aと平行になるように水平に設
定して、切羽の掘削の際にも直方体状のブロックを切り
取れるようにしている。この他の変形例のトンネルの構
築方法は、このように、図9及び図10の方法に比べて
直方体状のブロックをより多く切り取れるため、切断ブ
ロック8の石材としての利用価値を一層高めることがで
きる。
【0041】以上述べた本発明の各具体化例のトンネル
の構築方法を実施する場合に、トンネル構築の工期を短
縮できるようにする方法を図13に基づいて説明する。
図13は、本発明の各具体化例のトンネルの構築方法の
工期を短縮する手法を説明するための地山の縦断面図で
ある。図13に示すトンネルの構築方法では、地山をワ
イヤソー4でブロック状に切り取って掘削するに際し、
先進導坑2をトンネル本坑1の全掘削経路にわたって掘
削するとともに、切羽を、図1乃至図6で示したように
先進導坑2の後部開口に設け、かつ、先進導坑2の前部
開口及び中間部にそれぞれ設けている。すなわち、先進
導坑2の両端開口部に後部切羽11と前部切羽12とを
設けるほか、これらの切羽11,12の間に第1の中間
切羽13及び第2の中間切羽14を設けている。このよ
うに、地山をワイヤソー4で掘削する場合、切羽を、掘
削した先進導坑2の両端部のほか中間位置にも複数個設
けるようにしたことにより、ワイヤソー4による地山の
切り取りを、多数の切羽11,12、13,14におい
て同時並行的に進めることができて、各具体化例のトン
ネルの構築方法の何れを実施する場合にも、トンネル構
築の工期を短縮することができる。こうした、先進導坑
2の端部以外の個所に中間切羽を設けてワイヤソー4で
地山を掘削する方法は、先進導坑2をトンネル本坑1の
掘削と並行して複数段階に分けて掘削する場合でも、当
然に適用することができる。
【0042】次に、超硬岩質の地山で実施する本発明の
トンネルの構築方法において、先進導坑2を掘削するの
に最適な二種類のトンネルボーリングマシンを図14及
び図15に基づいて説明する。図14は、本発明の各具
体化例のトンネルの構築方法に使用するトンネルボーリ
ングマシンの縦断面図、図15は、本発明の各具体化例
のトンネルの構築方法に使用する他のトンネルボーリン
グマシンの縦断面図である。まず、図14のトンネルボ
ーリングマシンについて詳述すると、図14において、
20は地山からの地下水や掘削土砂の浸入を阻止するシ
ールドシェル、21は超硬岩質の地山を切削することが
できるローラカッタ、22はこのローラカッタ21を多
数取り付けて先進導坑2の全断面を掘削することができ
る、シールドシェル20の前端部に設置したカッタヘッ
ド、23はシールドシェル20の後部に設置され、先進
導坑2の坑壁に押圧することによりグリップすることが
できるメイングリッパー、24はシールドシェル20の
前部に設置され、先進導坑2の坑壁に押圧することによ
りグリップすることができるフロントグリッパ、25は
伸縮することによりシールドシェル20の最前部の分割
片を後部の分割片に対してスライドさせ、カッタヘッド
22をフロントグリッパ24とともに前後方向に移動さ
せることができるスライドジャッキ、26はシールドシ
ェル20を中折れさせるための方向修正ジャッキであ
る。
【0043】シールドシェル20は、互いに前後方向に
スライド可能に連結した複数の分割片で構成され、スラ
イドジャッキ25の伸縮により伸縮させることができる
ようになっている。メイングリッパー23及びフロント
グリッパ24は伸縮する油圧ジャッキで構成され、シー
ルドシェル20の周方向に複数個設置されている。スラ
イドジャッキ25は、グリッパ23,24と同様、シー
ルドシェル20の周方向に複数個設置され、両端部がシ
ールドシェル20の最前部の分割片と後方の分割片との
間に取り付けられている。図14のトンネルボーリング
マシンは、こうした構造を採用しているので、各メイン
グリッパー23を伸ばして掘削済みの先進導坑2の坑壁
に押し当てることによりこれをグリップした後、メイン
グリッパー23により先進導坑2の坑壁で反力を取りな
がらスライドジャッキ25を伸ばしてカッタヘッド22
に推力を付与し、カッタヘッド21を回転させると、先
進導坑2の全断面を一度に掘削する。その場合、シール
ドシェル20の最前部の分割片は、スライドジャッキ2
5の伸長にともなって漸次前進して、シールドシェル2
0を全体的に伸ばす。また、スライドジャッキ25が限
度近くまで伸びたときは、各フロントグリッパ24をそ
の伸長により先進導坑2の坑壁に押し当てて坑壁をグリ
ップした後、メイングリッパー23による先進導坑2の
坑壁のグリップを解除し、しかる後、スライドジャッキ
25を縮めることにより、シールドシェル20の後方の
分割片を前進させてシールドシェル20全体を縮め、ト
ンネルボーリングマシンを前方に移動させる。図14の
トンネルボーリングマシンは、こうした尺取虫のような
運動をさせて連続的に移動させながら地山の掘削を繰返
し行うことにより、多数のローラカッタ21で超硬岩質
の地山の全掘削断面を一挙に掘削することができる。
【0044】図15のトンネルボーリングマシンについ
て述べると、図15のトンネルボーリングマシンは、図
14のトンネルボーリングマシンにみられるようなシー
ルドシェル20は設けておらず、また、グリッパは設け
ているものの、メイングリッパー23及びフロントグリ
ッパ24のような二種類のグリッパは設けておらず、尺
取虫のような運動をすることはできない。なお、図15
において、図14と同一符号を付けた部分は、胴図と同
等の部分を表す。図15において、27は前部にカッタ
ヘッド22を設けたフレーム、23aはフレーム27の
中間部に取り付けられ、先進導坑2の坑壁に押圧するこ
とによりグリップすることができるグリッパー、28は
伸縮することによりフレーム27を支持したりその支持
を解除したりするリヤサポート用ステアリングである。
このトンネルボーリングマシンで先進導坑2を掘削する
場合、各グリッパー23aを伸ばして先進導坑2の坑壁
に押し当てることによりこれをグリップした後、スライ
ドジャッキ25を伸ばしてカッタヘッド22に推力を付
与し、カッタヘッド21を回転させると、先進導坑2の
全断面を一度に掘削する。スライドジャッキ25が限度
近くまで伸びたときは、リヤサポート用ステアリング2
8を伸ばしてフレーム27を支えた後、グリッパー23
aによる先進導坑2の坑壁のグリップを解除し、スライ
ドジャッキ25を縮めてグリッパー23aを前方へ引き
寄せる。図15のトンネルボーリングマシンは、こうし
て、図14のトンネルボーリングマシンと同様、尺取虫
のような運動により移動して地山の掘削を反復する。
【0045】従来、トンネルの全断面を掘削する掘削機
としてシールド掘進機があり、このシールド掘進機は、
地山の反力を取るためにセグメントを組むことが不可欠
であるが、先進導坑2の掘削に図14や図15のトンネ
ルボーリングマシンを用いれば、メイングリッパー23
やリッパー23aで地山の反力を取ることができるた
め、セグメントを組む手間を要せず、シールド掘進機に
比べて、先進導坑2を短期にかつ経済的に掘削すること
ができる。本発明のトンネルの構築方法は、特に超硬岩
質の地山で実施されて地山がきわめて硬いため、こうし
た地山にメイングリッパー23やグリッパ23aを押し
当てることにより、強固に地山を把持することができ
て、掘削時に地山の反力を確実に取ることができ、先進
導坑2の全断面を効果的に掘削することができる。図1
4及び図15のトンネルボーリングマシンのうち、特に
図14のものを用いた場合には、掘削作業が連続的に行
えて、超硬岩質の地山における先進導坑の掘削を一層効
率的に行うことができ、また、地下水の浸入が阻止でき
て、湧水地帯でも円滑に使用することできる。
【0046】次に、この出願のトンネルの拡幅方法に関
する発明について説明する。この出願のトンネルの拡幅
方法に関する発明は、前記先進導坑2のような地下坑が
存在すると、ワイヤソー4で地中を搬出可能な岩石の切
断ブロック8に切り取ることができる点に想到して、前
記したトンネルの構築方法に関する各発明と同様の技術
手段や原理を用いて、ワイヤソー4で既設のトンネルの
断面を広げるための掘削を行うようにしたものである。
換言すると、この出願のトンネルの拡幅方法に関する発
明は、ワイヤソー4による地山の切断に際して既設のト
ンネルが先進導坑2と同様の働きをすることに着目し
て、既設のトンネル周辺の地山の掘削を、トンネルの構
築方法に関する発明で先進導坑2周辺の地山を掘削する
のと同様の手法により行うようにしたものである。そし
て、トンネルの拡幅方法に関するこの出願の第4番目の
発明、第5番目の発明及び第6番目の発明は、トンネル
を拡幅するに際して、トンネルの構築方法に関するこの
出願の第1番目の発明、第2番目の発明及び第3番目の
発明におる先進導坑2周辺の地山の切断手段をそれぞれ
適用している。したがって、この出願のトンネルの拡幅
方法に関する各発明を実際上具体化する場合には、すで
に述べた第1具体化例、第2具体化例及び第3具体化例
における作業工程を、先進導坑2の掘削工程を除き、そ
のまま適用することができ、さらには、図7及び図8で
述べた各具体化例のトンネルの構築方法における地山の
切断方法の応用例に関する技術や図9乃至図12で述べ
た各具体化例のトンネルの構築方法を利用した変形例に
関する技術を適用することができる。また、すでに図1
3で述べた後部切羽11や前部切羽12のほか中間切羽
13,14を設けるトンネルの構築方法を適用して、既
設のトンネル周辺の地山をブロック状に切り取る場合
に、トンネルの断面を広げる領域の端部と中間位置とに
切羽を設けるようにすることもできる。
【0047】こうしたことから、この出願のトンネルの
拡幅方法に関する各発明は、トンネルの構築方法に関す
る発明と同様、「超硬岩質の地山でも破砕することなく
効率的で安全に掘削することができるトンネルの拡幅方
法が得られる」、「トンネルを拡幅する超硬岩質の地山
が石材として利用価値がある場合にきわめて経済的にト
ンネルを構築することができる」という効果を奏するこ
とができる。また、図7及び図8で述べた技術を適用し
た場合には、地山の性状等を考慮しながらこうした技術
手段を適宜選択して用いることにより、一層効率的な地
山の切断が行えるという効果を併せ奏することができ
る。図9乃至図12で述べた技術を適用した場合には、
ブロック状に切断した硬質岩石の地山を石材として無駄
なく活用できてその利用価値を高めることができる。さ
らに、図13で述べたトンネルの構築方法を適用した場
合には、トンネルの拡幅工事の工期を短縮することがで
きるという効果も併せ奏することができる。この出願の
トンネルの拡幅方法に関する各発明は、断面を所定領域
にわたって部分的に広げたトンネルを構築する場合にも
用いることができ、その場合、標準の径のトンネルを掘
削した後、この標準の径のトンネルを既設のトンネルと
みて、この出願の各発明のトンネルの拡幅方法により、
既設のトンネルを所定領域にわたり拡幅するようにすれ
ばよい。
【0048】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、トンネ
ルの構築方法に関するこの出願の第1番目の発明、第2
番目の発明及び第3番目の発明は、それぞれ、「課題を
解決する手段」の項の1)、2)及び3)に示した技術
手段を採用しているので、これらの各発明によれば、一
軸圧縮強度が500Kg/cm2以上の超硬岩質の地山
でも破砕することなく効率的で安全に掘削することがで
きるトンネルの構築方法が得られる。また、これら第1
番目の発明、第2番目の発明及び第3番目の発明では、
超硬岩質の地山が石材として利用価値がある場合、トン
ネルの構築の際に副次的に多大の経済的利益を生むこと
ができて、総合的にみて、きわめて経済的にトンネルを
構築することができる。さらに、これらの各発明では、
トンネルの掘削の際に先進導坑を掘削するようにしてい
るため、トンネルを構築する地山領域の地質状況を事前
に調査することができて、トンネルの構築を計画的かつ
円滑に進めることができる。トンネルの構築方法に関す
るこの出願の第1番目の発明、第2番目の発明又は第3
番目の発明を実施する場合、特許請求の範囲の請求項8
又は請求項9に記載の技術手段を採用すれば、地山の性
状等を考慮しながらこうした技術手段を適宜選択して用
いることにより、一層効率的な地山の切断が行える。こ
れらの発明を実施する場合、特許請求の範囲の請求項1
0に記載の技術手段を採用すれば、ブロック状に切断し
た硬質岩石の地山を石材として無駄なく活用できてその
利用価値を高めることができる。トンネルの構築方法に
関するこの出願の第1番目の発明、第2番目の発明又は
第3番目の発明を実施する場合、特許請求の範囲の請求
項11に記載の技術手段を採用すれば、こうした効果を
奏することに加えて、トンネル構築の工期を短縮するこ
とができるという効果も併せ奏することができる。ま
た、これらの発明を実施する場合、特許請求の範囲の請
求項12に記載の技術手段を採用すれば、以上の効果に
加えて、超硬岩質の地山で先進導坑の掘削を効率的に行
うことができるという効果を更に奏することができ、ト
ンネル構築の工期を一層短縮することができる。トンネ
ルの拡幅方法に関するこの出願の第4番目の発明、第5
番目の発明及び第6番目の発明は、それぞれ、「課題を
解決する手段」の項の4)、5)及び6)に示した技術
手段を採用しているので、これらの各発明によれば、こ
うしたトンネルの構築方法と同様、超硬岩質の地山でも
破砕することなく効率的で安全に掘削することができる
トンネルの拡幅方法が得られる。また、これらの各発明
では、トンネルを拡幅する超硬岩質の地山が石材として
利用価値がある場合に、前記トンネルの構築方法に関す
る発明と同様、きわめて経済的にトンネルを構築するこ
とができる。トンネルの拡幅方法に関するこの出願の第
4番目の発明、第5番目の発明又は第6番目の発明を実
施する場合、特許請求の範囲の請求項14又は請求項1
5に記載の技術手段を採用すれば、地山の性状等を考慮
しながらこうした技術手段を適宜選択して用いることに
より、一層効率的な地山の切断が行える。これらの発明
を実施する場合、特許請求の範囲の請求項16に記載の
技術手段を採用すれば、ブロック状に切断した硬質岩石
の地山を石材として無駄なく活用できてその利用価値を
高めることができる。トンネルの拡幅方法に関するこの
出願の第4番目の発明、第5番目の発明又は第6番目の
発明を実施する場合、特許請求の範囲の請求項17に記
載の技術手段を採用すれば、こうした効果を奏すること
に加えて、トンネルの拡幅工事の工期を短縮することが
できるという効果も併せ奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の具体化例のトンネルの構築方法でトン
ネルを構築する場面を局部的に示す横断面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】本発明の他の具体化例のトンネルの構築方法で
トンネルを構築する場面を局部的に示す横断面図であ
る。
【図4】図3のB−B線断面図である。
【図5】本発明の最初の具体化例のトンネルの構築方法
でトンネルを構築する場面を全般的に示す横断面で、
(1)は地山の側部を切断している場面を示す図、
(2)地山の他の側部を切断している場面を示す図、
(3)は地山の外周部を切断している場面を示す図、
(4)は地山の裏側部を切断している場面を示す図であ
る。
【図6】図5の縦断面図で、(イ)は図5(1)のC−
C線断面図、(ロ)は図5(3)のD−D線断面図、
(ハ)は図5(4)のE−E線断面図である。
【図7】本発明の各具体化例のトンネルの構築方法にお
ける地山の切断方法の応用例を説明するための斜視図で
ある。
【図8】本発明の各具体化例のトンネルの構築方法にお
ける地山の切断方法に併用可能な発破による切断手段を
示す斜視図である。
【図9】本発明の各具体化例のトンネルの構築方法を利
用した変形例のトンネルの構築方法でトンネルを構築す
る場面を局部的に示す横断面図である。
【図10】図9に示す方法でトンネルを構築する過程を
示す図9のF−F線断面に相当する図である。
【図11】本発明の各具体化例のトンネルの構築方法を
利用した他の変形例のトンネルの構築方法でトンネルを
構築する場面を局部的に示す横断面図である。
【図12】図11に示す方法でトンネルを構築する過程
を示す図11のG−G線断面に相当する図である。
【図13】本発明の各具体化例のトンネルの構築方法の
工期を短縮する手法を説明するための地山の縦断面図で
ある。
【図14】本発明の各具体化例のトンネルの構築方法に
使用するトンネルボーリングマシンの縦断面図である。
【図15】本発明の各具体化例のトンネルの構築方法に
使用する他のトンネルボーリングマシンの縦断面図であ
る。
【符号の説明】
1 トンネル本坑 2 先進導坑 3 ボーリング穴 3a 前後方向ボーリング穴 3b 放射方向ボーリング 4 ワイヤソー 4a 切断用ワイヤ 4b 自走車体 4c ワイヤ駆動装置 4d 駆動用大プーリ 4e 補助小プーリ 4s 切断用ワイヤの地山切断部 5 支持金具 6 パイプレール 7 切断予定線 7a 周方向切断予定線 7b 放射方向切断予定線 7c 切羽裏側切断予定線 8 岩石の切断ブロック 9 切断線 11 前部切羽 12 後部切羽 13,14 中間切羽 15 くさび 16 ダイナマイト 17 遮蔽板 20 シールドシェル 21 ローラカッタ 22 カッタヘッド 23 メイングリッパ 23a グリッパ 24 フロントグリッパ 25 スライドジャッキ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石川 泰昭 茨城県土浦市神立町650番地 日立建機株 式会社土浦工場内 (72)発明者 徳竹 勝治 東京都千代田区大手町二丁目6番2号 日 立建機株式会社内 (72)発明者 豊田 敏則 千葉県我孫子市新木野4丁目10−8

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 両端部を無端状に連結して超硬岩を切断
    し得る切断用ワイヤとこの切断用ワイヤを牽引する自走
    車体とこの自走車体に設置され切断用ワイヤを駆動する
    ワイヤ駆動装置とを備え、切断用ワイヤをワイヤ駆動装
    置で駆動しながら自走車体で牽引することにより地山を
    切断するワイヤソーを用い、地山を地山表面から地山内
    部に向かって切断し得るように切断用ワイヤを地山に張
    設、支持する押し切り切断法と、地山を地山内部から地
    山表面に向かって切断し得るように切断用ワイヤを地山
    に張設、支持する引き切り切断法とを利用することによ
    り、超硬岩質の地山を切断してブロック状に切り取り、
    こうした切取り作業の反復により切羽を掘削してトンネ
    ルを構築するトンネルの構築方法であって、地山をブロ
    ック状に切り取る場合、地山に先進導坑を掘削するとと
    もに、切羽面から切羽裏側に向かって延びる少なくとも
    一対の前後方向ボーリング穴を穿設し、切断用ワイヤを
    一対の前後方向ボーリング穴に通して地山に張設、支持
    することにより地山の外周側部を押し切り切断法で切断
    する方法と、切断用ワイヤを一対の前後方向ボーリング
    穴の一つと先進導坑とに通して地山に張設、支持するこ
    とにより地山の側部を押し切り切断法で切断する方法
    と、地山の外周部の切断の際に形成された外周部切断溝
    と地山の側部の切断の際に形成された一対の側部切断溝
    とに切断用ワイヤを通して地山に張設、支持することに
    より地山の裏側部を引き切り切断法で切断する方法とを
    利用して、地山の外周部、少なくとも一つの地山の側部
    及び地山の裏側部を切断するようにしたことを特徴とす
    るトンネルの構築方法。
  2. 【請求項2】 両端部を無端状に連結して超硬岩を切断
    し得る切断用ワイヤとこの切断用ワイヤを牽引する自走
    車体とこの自走車体に設置され切断用ワイヤを駆動する
    ワイヤ駆動装置とを備え、切断用ワイヤをワイヤ駆動装
    置で駆動しながら自走車体で牽引することにより地山を
    切断するワイヤソーを用い、地山を地山表面から地山内
    部に向かって切断し得るように切断用ワイヤを地山に張
    設、支持する押し切り切断法と、地山を地山内部から地
    山表面に向かって切断し得るように切断用ワイヤを地山
    に張設、支持する引き切り切断法とを利用することによ
    り、超硬岩質の地山を切断してブロック状に切り取り、
    こうした切取り作業の反復により切羽を掘削してトンネ
    ルを構築するトンネルの構築方法であって、地山をブロ
    ック状に切り取る場合、地山に先進導坑を掘削し、次い
    で、先進導坑の坑壁から地中に向かって延びる少なくと
    も一対の放射方向ボーリング穴を穿設し、しかる後、切
    断用ワイヤを一対の放射方向ボーリング穴に通して地山
    に張設、支持することにより地山の裏側部を押し切り切
    断法で切断する方法と、切断用ワイヤを一対の放射方向
    ボーリング穴の一つと先進導坑とに通して地山に張設、
    支持することにより地山の側部を押し切り切断法で切断
    する方法と、地山の裏側部の切断の際に形成された裏側
    部切断溝と地山の側部の切断の際に形成された一対の側
    部切断溝とに切断用ワイヤを通して地山に張設、支持す
    ることにより地山の外周部を引き切り切断法で切断する
    方法とを利用して、地山の外周部、少なくとも一つの地
    山の側部及び地山の裏側部を切断するようにしたことを
    特徴とするトンネルの構築方法。
  3. 【請求項3】 両端部を無端状に連結して超硬岩を切断
    し得る切断用ワイヤとこの切断用ワイヤを牽引する自走
    車体とこの自走車体に設置され切断用ワイヤを駆動する
    ワイヤ駆動装置とを備え、切断用ワイヤをワイヤ駆動装
    置で駆動しながら自走車体で牽引することにより地山を
    切断するワイヤソーを用い、地山を地山表面から地山内
    部に向かって切断し得るように切断用ワイヤを地山に張
    設、支持する押し切り切断法と、地山を地山内部から地
    山表面に向かって切断し得るように切断用ワイヤを地山
    に張設、支持する引き切り切断法の少なくとも一方の切
    断法を利用することにより、超硬岩質の地山を切断して
    ブロック状に切り取り、こうした切取り作業の反復によ
    り切羽を掘削してトンネルを構築するトンネルの構築方
    法であって、地山をブロック状に切り取る場合、地山に
    先進導坑を掘削するとともに、切羽面から切羽裏側に向
    かって延びる前後方向ボーリング穴と先進導坑の坑壁か
    ら地中に向かって延びる放射方向ボーリング穴とを互い
    に連通するように少なくとも一対ずつ穿設し、切断用ワ
    イヤを、先進導坑、前後方向ボーリング穴、放射方向ボ
    ーリング穴、地山の外周部の切断の際に形成された外周
    部切断溝、地山の裏側部の切断の際に形成された裏側部
    切断溝及び地山の裏側部の切断の際に形成された裏側部
    切断溝のうちの複数のものに選択的に通して地山に張
    設、支持することにより、地山の外周部、少なくとも一
    つの地山の側部及び地山の裏側部を押し切り切断法又は
    引き切り切断法を利用して切断するようにしたことを特
    徴とするトンネルの構築方法。
  4. 【請求項4】 両端部を無端状に連結して超硬岩を切断
    し得る切断用ワイヤとこの切断用ワイヤを牽引する自走
    車体とこの自走車体に設置され切断用ワイヤを駆動する
    ワイヤ駆動装置とを備え、切断用ワイヤをワイヤ駆動装
    置で駆動しながら自走車体で牽引することにより地山を
    切断するワイヤソーを用い、地山を地山表面から地山内
    部に向かって切断し得るように切断用ワイヤを地山に張
    設、支持する押し切り切断法と、地山を地山内部から地
    山表面に向かって切断し得るように切断用ワイヤを地山
    に張設、支持する引き切り切断法とを利用することによ
    り、トンネル周辺の超硬岩質の地山を切断してブロック
    状に切り取り、こうした切取り作業の反復によりトンネ
    ル周辺の切羽を掘削して既設のトンネルの断面を広げる
    トンネルの拡幅方法であって、トンネル周辺の地山をブ
    ロック状に切り取る場合、切羽面から切羽裏側に向かっ
    て延びる少なくとも一対の前後方向ボーリング穴を穿設
    し、切断用ワイヤを一対の前後方向ボーリング穴に通し
    て地山に張設、支持することにより地山の外周側部を押
    し切り切断法で切断する方法と、切断用ワイヤを一対の
    前後方向ボーリング穴の一つとトンネルとに通して地山
    に張設、支持することにより地山の側部を押し切り切断
    法で切断する方法と、地山の外周部の切断の際に形成さ
    れた外周部切断溝と地山の側部の切断の際に形成された
    一対の側部切断溝とに切断用ワイヤを通して地山に張
    設、支持することにより地山の裏側部を引き切り切断法
    で切断する方法とを利用して、地山の外周部、少なくと
    も一つの地山の側部及び地山の裏側部を切断するように
    したことを特徴とするトンネルの拡幅方法。
  5. 【請求項5】 両端部を無端状に連結して超硬岩を切断
    し得る切断用ワイヤとこの切断用ワイヤを牽引する自走
    車体とこの自走車体に設置され切断用ワイヤを駆動する
    ワイヤ駆動装置とを備え、切断用ワイヤをワイヤ駆動装
    置で駆動しながら自走車体で牽引することにより地山を
    切断するワイヤソーを用い、地山を地山表面から地山内
    部に向かって切断し得るように切断用ワイヤを地山に張
    設、支持する押し切り切断法と、地山を地山内部から地
    山表面に向かって切断し得るように切断用ワイヤを地山
    に張設、支持する引き切り切断法とを利用することによ
    り、トンネル周辺の超硬岩質の地山を切断してブロック
    状に切り取り、こうした切取り作業の反復によりトンネ
    ル周辺の切羽を掘削して既設トンネルの断面を広げるト
    ンネルの拡幅方法であって、トンネル周辺の地山をブロ
    ック状に切り取る場合、トンネルの坑壁から地中に向か
    って延びる少なくとも一対の放射方向ボーリング穴を穿
    設し、しかる後、切断用ワイヤを一対の放射方向ボーリ
    ング穴に通して地山に張設、支持することにより地山の
    裏側部を押し切り切断法で切断する方法と、切断用ワイ
    ヤを一対の放射方向ボーリング穴の一つとトンネルとに
    通して地山に張設、支持することにより地山の側部を押
    し切り切断法で切断する方法と、地山の裏側部の切断の
    際に形成された裏側部切断溝と地山の側部の切断の際に
    形成された一対の側部切断溝とに切断用ワイヤを通して
    地山に張設、支持することにより地山の外周部を引き切
    り切断法で切断する方法とを利用して、地山の外周部、
    少なくとも一つの地山の側部及び地山の裏側部を切断す
    るようにしたことを特徴とするトンネルの拡幅方法。
  6. 【請求項6】 両端部を無端状に連結して超硬岩を切断
    し得る切断用ワイヤとこの切断用ワイヤを牽引する自走
    車体とこの自走車体に設置され切断用ワイヤを駆動する
    ワイヤ駆動装置とを備え、切断用ワイヤをワイヤ駆動装
    置で駆動しながら自走車体で牽引することにより地山を
    切断するワイヤソーを用い、地山を地山表面から地山内
    部に向かって切断し得るように切断用ワイヤを地山に張
    設、支持する押し切り切断法と、地山を地山内部から地
    山表面に向かって切断し得るように切断用ワイヤを地山
    に張設、支持する引き切り切断法の少なくとも一方の切
    断法を利用することにより、トンネル周辺の超硬岩質の
    地山を切断してブロック状に切り取り、こうした切取り
    作業の反復によりトンネル周辺の切羽を掘削して既設の
    トンネルの断面を広げるトンネルの拡幅方法であって、
    トンネル周辺の地山をブロック状に切り取る場合、切羽
    面から切羽裏側に向かって延びる前後方向ボーリング穴
    とトンネルの坑壁から地中に向かって延びる放射方向ボ
    ーリング穴とを互いに連通するように少なくとも一対ず
    つ穿設し、切断用ワイヤを、トンネル、前後方向ボーリ
    ング穴、放射方向ボーリング穴、地山の外周部の切断の
    際に形成された外周部切断溝、地山の裏側部の切断の際
    に形成された裏側部切断溝及び地山の裏側部の切断の際
    に形成された裏側部切断溝のうちの複数のものに選択的
    に通して地山に張設、支持することにより、地山の外周
    部、少なくとも一つの地山の側部及び地山の裏側部を押
    し切り切断法又は引き切り切断法を利用して切断するよ
    うにしたことを特徴とするトンネルの拡幅方法。
  7. 【請求項7】 地山の外周部、少なくとも一つの地山の
    側部及び地山の裏側部を切断する場合に、これらの各部
    をワイヤソーを用いて全体的に切断するようにしたこと
    を特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3のトンネ
    ルの構築方法。
  8. 【請求項8】 地山の外周部、少なくとも一つの地山の
    側部及び地山の裏側部を切断する場合に、これらの各部
    の少なくとも一つをワイヤソーを用いて部分的に切断し
    た後、残りの領域を、地山内にくさびを押し込む方法に
    より切断するようにしたことを特徴とする請求項1、請
    求項2又は請求項3のトンネルの構築方法。
  9. 【請求項9】 地山の外周部、少なくとも一つの地山の
    側部及び地山の裏側部を切断する場合に、これらの各部
    の少なくとも一つをワイヤソーを用いて部分的に切断し
    た後、残りの領域を、切断しようとする方向にだけ選択
    的に爆破力を作用させることのできる発破により切断す
    るようにしたことを特徴とする請求項1、請求項2又は
    請求項3のトンネルの構築方法。
  10. 【請求項10】 超硬岩質の地山を切断してブロック状
    に切り取る場合に、切羽の下方の地山を、切羽から後方
    に向けて下方に傾斜する石段を形成するようにブロック
    状に切り取り、切羽の下部を広げるようにしたことを特
    徴とする請求項1、請求項2又は請求項3のトンネルの
    構築方法
  11. 【請求項11】 切羽を掘削してトンネルを構築する場
    合、掘削した先進導坑の端部に切羽を設けるほか中間位
    置に少なくとも一つの切羽を設けるようにしたことを特
    徴とする請求項1、請求項2又は請求項3のトンネルの
    構築方法。
  12. 【請求項12】 地山に先進導坑を掘削する場合、ロー
    ラカッタを有し先進導坑の全断面を掘削できるカッタヘ
    ッドと先進導坑の坑壁に押圧することによりグリップす
    ることができるグリッパーと伸縮することによりカッタ
    ヘッドを前後方向に移動させることができるスライドジ
    ャッキとを備えたトンネルボーリングマシンにより掘削
    するようにしたことを特徴とする請求項1、請求項2又
    は請求項3のトンネルの構築方法。
  13. 【請求項13】 地山の外周部、少なくとも一つの地山
    の側部及び地山の裏側部を切断する場合に、これらの各
    部をワイヤソーを用いて全体的に切断するようにしたこ
    とを特徴とする請求項4、請求項5又は請求項6のトン
    ネルの拡幅方法。
  14. 【請求項14】 地山の外周部、少なくとも一つの地山
    の側部及び地山の裏側部を切断する場合に、これらの各
    部の少なくとも一つをワイヤソーを用いて部分的に切断
    した後、残りの領域を、地山内にくさびを押し込む方法
    により切断するようにしたことを特徴とする請求項4、
    請求項5又は請求項6のトンネルの拡幅方法。
  15. 【請求項15】 地山の外周部、少なくとも一つの地山
    の側部及び地山の裏側部を切断する場合に、これらの各
    部の少なくとも一つをワイヤソーを用いて部分的に切断
    した後、残りの領域を、切断しようとする方向にだけ選
    択的に爆破力を作用させることのできる発破により切断
    するようにしたことを特徴とする請求項4、請求項5又
    は請求項6のトンネルの拡幅方法。
  16. 【請求項16】 超硬岩質の地山を切断してブロック状
    に切り取る場合に、切羽の下方の地山を、切羽から後方
    に向けて下方に傾斜する石段を形成するようにブロック
    状に切り取り、切羽の下部を広げるようにしたことを特
    徴とする請求項4、請求項5又は請求項6のトンネルの
    拡幅方法
  17. 【請求項17】 トンネル周辺の切羽を掘削して既設の
    トンネルの断面を広げる場合、トンネルの断面を広げる
    領域の端部に切羽を設けるほか中間位置に少なくとも一
    つの切羽を設けるようにしたことを特徴とする請求項
    4、請求項5又は請求項6のトンネルの拡幅方法。
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