JPH10197643A - 放射線計測装置及び放射線計測システム - Google Patents

放射線計測装置及び放射線計測システム

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Publication number
JPH10197643A
JPH10197643A JP13097A JP13097A JPH10197643A JP H10197643 A JPH10197643 A JP H10197643A JP 13097 A JP13097 A JP 13097A JP 13097 A JP13097 A JP 13097A JP H10197643 A JPH10197643 A JP H10197643A
Authority
JP
Japan
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signal
radiation
detector
voltage
distribution
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Application number
JP13097A
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English (en)
Inventor
Mitsuru Oikawa
満 及川
Masaya Kotoku
正也 小徳
Toru Onodera
徹 小野寺
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ディスクリ電圧の設定やポールゼロ調整を自動
的に行なうことで、パラメータの調整作業にかかる時間
と労力を軽減でき、専門知識や経験を必要としない調整
精度の均質化を図ることができる放射線計測装置を提供
すること。 【解決手段】放射線検出器2の出力信号を信号変換した
検出器信号とノイズ除去のためのディスクリ電圧とを比
較し、当該検出器信号中でディスクリ電圧を越える正規
信号を計数して放射線計測に用いる放射線計測装置1に
おいて、検出器信号の基準レベルを中心にして正規信号
とは反対極性側のノイズ分布から正規信号と同一極性側
のノイズ分布を予測し、この予測したノイズ分布に基づ
いてディスクリ電圧を最適化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、放射線を検出する
放射線検出器からの検出器信号に基づいて放射能レベル
の測定または核種分析を行なう放射線計測装置及び放射
線計測システムに係り、特に放射線検出器からの検出器
信号をデジタル化してノイズ除去処理、波形整形処理す
るデジタル式の放射線計測装置及び放射線計測システム
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、放射線計測において検出器信号か
らノイズを除去するためにディスクリ電圧を設定してノ
イズ信号をフィルタリングしている。また、核種分析で
は、波形整形に微分回路を使用するので波形信号が基準
レベルから負方向へ変化した分を調整するポールゼロ調
整を行なっている。ディスクリ電圧の決定及びポールゼ
ロ調整も人間系で手作業により実施している。
【0003】図30は、従来の放射線計測装置の構成を
示す回路図である。放射線計測装置1は、放射線検出器
2の出力信号を入力して抵抗3及びプリアンプ4によっ
て、電圧信号(検出器信号)に変換して増幅する。この
とき、入力する信号にノイズが含まれていれば、ノイズ
も同様に電圧信号に変換して増幅される。検出器信号に
は、図31に示すように放射線検出時に出力されるパル
ス状の電流波形に対応した正規信号とノイズ信号とが表
れる。ノイズ信号は、放射線計測装置1に信号が入力さ
れていない場合での電圧値である基準レベルを中心に上
下に脈動する。基準レベルは、通常0ボルト近傍の値と
なる。
【0004】以下、基準レベルから正規信号と同一極性
側の成分を正極性といい、基準レベルから正規信号と反
対極性側の成分を負極性という。また、正規信号が、正
方向側に立ち上がる場合を図示しているが、負方向側に
立ち上がる場合も存在する。この後の説明においては、
正規信号は正方向側に立ち上がるとして説明する。
【0005】ノイズ信号は、測定精度に悪影響を与える
ので、プリアンプ4の出力段に備えた信号検出回路5に
よってノイズ信号の除去を行ない、正規信号のみを検出
する。一般的に、ノイズ信号は、正規信号よりもピーク
値が小さいので、ノイズ信号のピーク値よりも大きく、
正規信号のピーク値よりも小さい閾値(以下、「ディス
クリ電圧」という)を可変抵抗6によって比較器7に設
定し、比較器7で検出器信号とディスクリ電圧とを比較
することによりノイズ信号を除去し、かつ、正規信号を
次段の処理回路8などに出力する。次段の処理回路8
は、正規信号に基づいてデータを計測し、最終的にこの
計測データがユーザや上位の計算機システム等に提供さ
れる。
【0006】ここで、最適な可変抵抗6の抵抗値、すな
わち、最適なディスクリ電圧を設定するために従来より
採られている具体的な方法について説明する。
【0007】図32は、ディスクリ電圧を設定する回路
構成の一例を示す図である。
【0008】放射線計測装置1と放射線検出器2とを接
続した状態でディスクリ電圧の設定が行なわれる。プリ
アンプ4と信号検出回路5との間にスペクトルアナライ
ザ9を接続し、検出器信号のピーク値の発生頻度を示す
カウント分布を求める。ここでは、正規信号が正極性を
持つ場合であるので、正方向のカウント分布(以下、
「正方向カウント分布」という)を求める。
【0009】一般的に、信号検出回路5によって求めら
れる正方向カウント分布は図33に示すように双鋒性に
近い形を示す。
【0010】また、ノイズ信号はピーク値が小さく、正
規信号はピーク値が比較的大きくなることから、正方向
カウント分布において、ノイズ信号によるカウント値
は、領域N1のように存在し、正規信号によるカウント
値は、領域S1のように存在すると推測される。
【0011】人間系がスペクトルアナライザ8による正
方向カウント分布から、人間系が最初の谷間であり、平
らになった部分を判断し、その近傍をディスクリ電圧と
してマニュアルで設定する。
【0012】図34は、他の方法によってディスクリ電
圧を設定する回路構成の一例を示す図である。
【0013】上記と同様に、放射線計測装置1と放射線
検出器2とを接続した状態でディスクリ電圧の設定が行
なわれる。比較器7の出力段にカウンタ回路10を接続
し、比較器7から出力される電圧信号の数をカウントす
る。
【0014】まず,可変抵抗6の抵抗値を変化させて、
比較器7におけるディスクリ電圧を基準レベルから正極
性側、すなわち正方向側に連続的に変化させ、比較器7
で入力される検出器信号とその時点でのディスクリ電圧
との比較を行ない、ピーク値が各ディスクリ電圧より大
きい検出器信号のみを出力する。そして、カウンタ回路
10で比較器7から出力されるディスクリ電圧よりピー
ク値の大きい検出器信号の数をカウントし、各ディスク
リ電圧でのカウント値から正方向カウント分布を求め
る。
【0015】図35は、ディスクリ電圧を変化させたと
きに測定される正方向カウント分布を示す状態図であ
る。
【0016】この正方向カウント分布においては、ノイ
ズ信号は、ディスクリ電圧が小さいときにカウントさ
れ、正規信号は、ディスクリ電圧が比較的大きくなるま
でカウントされる。このことから、正方向カウント分布
においては、ノイズ信号によるカウント値は、領域N2
のように存在し、正規信号によるカウント値は領域S2
のように存在すると推測される。
【0017】図35に示す正方向カウント分布におい
て、人間系で最初に平らになった部分を検出し、その近
傍をディスクリ電圧としてマニュアルで設定する。
【0018】図36は、さらに別の方法によってディス
クリ電圧を設定する回路構成の一例を示す図である。
【0019】この方法においては、放射線計測装置1と
放射線検出器2とを切り離した状態でディスクリ電圧の
設定が行なわれる。比較器7の出力段にシングルショッ
トIC11を備え、シングルショットIC11の出力端
にLED12を接続している。
【0020】まず,可変抵抗6の抵抗値を変化させて、
比較器7におけるディスクリ電圧を基準レベルから連続
的に変化させる。このとき、放射線検出器2を切り離し
ているので、信号検出回路5の比較器7に入力される検
出器信号は、全てノイズ信号である。
【0021】比較器7は、入力するノイズ信号とその時
点でのディスクリ電圧との比較を行ない、ノイズ信号の
ピーク値がディスクリ電圧より大きいときに当該ノイズ
信号を出力してLED12を点滅させる。
【0022】図37は、ディスクリ電圧とノイズ信号と
の関係を示す図である。
【0023】ディスクリ電圧よりもピーク値の大きいノ
イズ信号が比較器7から出力してLED12を発光させ
るので、人間系はLED12の点滅状態を観察すること
により、ノイズ信号を除去するのに適切なディスクリ電
圧を設定することができる。以上のようにして、従来の
放射線計測装置1では、人間系による手作業によって最
適なディスクリ電圧を見つけて設定している。
【0024】次に、従来の放射線計測装置1におけるポ
ールゼロ調整について説明する。核種分析では、検出器
信号から抽出した正規信号のピーク値、波形形状、面積
値等を高精度に計測する必要がある。
【0025】図38は、正規信号の一般的な波形図であ
る。
【0026】正規信号の波形は、一旦急激に上昇し、そ
の後次第に減衰し、次のような関数に近似できる。
【0027】 Ein・exp(−(t/τ)) …(1) この近似式(1)に示すように、通常、正規信号の波形
は時定数τで減衰するので、波形が完全に減衰するまで
の間に、次の正規信号が入力して先に入力している正規
信号に重鎮(パイルアップ)してしまうと、正確な計測
が行なえず、測定値に誤差が発生する。
【0028】このような重鎮を回避するために、微分回
路を使用して波形整形を行なっている。
【0029】図39は、波形整形に使用される微分回路
の一例を示している。
【0030】微分回路13は、コンデンサ14と抵抗1
5とから構成される。微分回路13の入力端子から正規
信号を入力波形として取り込んだ際に、その入力波形を
時間微分値に比例する出力波形に変換し、この出力波形
を出力端子から出力する。
【0031】図40は、微分回路13による正規信号の
出力波形を示す図である。
【0032】微分回路13に入力される入力波形には、
バイアスがかかっているため、出力波形は基準値を持
つ。微分回路13の出力波形は正規信号の入力直後にお
いては基準値から急激に上昇し、次第に減衰する。
【0033】そして、微分回路13は、ある程度の時間
経過後に、正規信号の減衰特性の部分の微分値を出力す
るため、出力波形は一時的に負極性を持ち再び基準値に
戻る。
【0034】従って、微分回路13によって波形整形を
行なうと、正規信号が連続的に発生した場合に、重鎮は
回避できるが、出力波形が負極性を持っている部分(以
下、「アンダーシュート部分」という)によって、次の
正規信号の出力波形が沈み込んでしまい、誤差が発生す
る。
【0035】図41は、アンダーシュート部分の整形を
行なうポールゼロ回路の一例を示す図である。
【0036】ポールゼロ回路16において、入力端子か
ら入力された正規信号を微分し、出力端子から出力する
正規信号の出力波形をモニタし、可変抵抗17の抵抗値
を人間系が変化させて、図42に示すように、微分した
正規信号にアンダーシュート部分が発生しないようにポ
ールゼロ調整を行なう。
【0037】しかし、以上のような従来のディスクリ電
圧の設定方法においては、人間系がディスクリ電圧の設
定を行なうので、膨大な時間と労力がかかり、また、最
適な値を設定するには経験が必要になるという問題があ
った。
【0038】また、多数の放射線検出器2及び信号検出
回路5を用いて放射線の計測を行なう場合、すなわち、
多数の入力信号チャンネルを有する場合には、ディスク
リ電圧を設定する数も多数になるため、特に膨大な時間
と労力がかかるという問題があった。
【0039】さらに、放射線計測装置1と放射線検出器
2とを切り離してディスクリ電圧を設定する方法におい
ては、放射線検出器2を接続した場合と接続しない場合
とで、環境や条件が異なるため、この方法で設定したデ
ィスクリ電圧では、放射線検出器2を接続した場合に発
生するノイズの除去が良好に行なわれない場合があると
いう問題があった。
【0040】また、以上のような従来のポールゼロ調整
方法においては、可変抵抗17の抵抗値のレベル、すな
わちポールゼロ調整を行なうレベルは、測定対象や、放
射線計測装置1、放射線検出器2、ポールゼロ回路1
6、さらにその他の回路などによって異なってくるた
め、人間系による作業では膨大な時間と労力がかかり、
また、最適な調整を行なうには経験が必要になるという
問題があった。
【0041】また、多数の放射線検出器2及びポールゼ
ロ回路16を用いて放射線の計測を行なう場合、すなわ
ち、多数の入力信号チャンネルを有する場合には、ポー
ルゼロ調整を行なう数も多数になるため、特に膨大な時
間と労力がかかるという問題があった。
【0042】一方、近年のマンマシンインタフェース技
術の進歩により、放射線計測結果表示や、放射線計測装
置1の操作機能を放射線計測装置1本体に備えるのでは
なく、放射線計測装置1に接続したホストコンピュータ
に必要データを伝送し、グラフィカルで見やすい画面に
表示し、またそこから操作するシステムが提案されてい
る。また、多数の放射線計測装置1の集中管理を可能に
するシステムも提案されている。
【0043】しかし、放射線計測装置1のディスクリ電
圧の設定やポールゼロ調整などを行なうための内部回路
の調整は、オシロスコープ、スペクトルアナライザ9な
どの計測機器が必要であり、その計測機器が示す波形な
どを人間系が見て判断し、調整が行なわれていた。
【0044】ゆえに、内部回路の調整状態を自動的に保
存する機能などを備えにくく、また、内部回路の調整を
ホストコンピュータでリモート処理しにくいため、ホス
トコンピュータによるシステムの利用が困難であった。
【0045】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来の
放射線計測装置においては、ディスクリ電圧の設定及び
ポールゼロ調整を人間系によって行なっていたため、膨
大な時間と労力がかかり、またディスクリ電圧の設定及
びポールゼロ調整が、ホストコンピュータでリモート処
理する対象になりにくいため、内部回路の調整状態を自
動的に保存する機能などを備えることが困難であり、多
数の放射線計測装置の集中管理も困難であった。
【0046】本発明の目的は、ディスクリ電圧の設定や
ポールゼロ調整を自動的に行なうことができ、これらパ
ラメータの調整作業にかかる時間と労力を軽減でき、専
門知識や経験を必要としない調整精度の均質化を図り得
る放射線計測装置を提供することにある。
【0047】また、本発明の他の目的は、ホストコンピ
ュータによる放射線計測装置のディスクリ電圧設定及び
ポールゼロ調整のリモート処理が可能で、多数の放射線
計測装置の集中管理及び操作を可能にし、機能性、保守
性の向上が可能な放射線計測システムを提供することに
ある。
【0048】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、放射線検出器の出力信号を信号変換した
検出器信号とノイズ除去のためのディスクリ電圧とを比
較し、当該検出器信号中でディスクリ電圧を越える正規
信号を計数して放射線計測に用いる放射線計測装置にお
いて、検出器信号の基準レベルを中心にして正規信号と
は反対極性側のノイズ分布から正規信号と同一極性側の
ノイズ分布を予測し、この予測したノイズ分布に基づい
てディスクリ電圧を最適化する。
【0049】本発明の放射線計測装置によれば、正規信
号とは反対極性側のノイズ分布から正規信号と同一極性
側のノイズ分布を予測しているので、実測可能なデータ
から最適なディスクリ電圧を決定する情報を人間系を介
さずに得ることができ、予測したノイズ分布に基づいて
最適なディスクリ電圧を自動的に設定することができ
る。従って、パラメータの調整作業にかかる時間と労力
を軽減でき、専門知識や経験を必要としない調整精度の
均質化を図ることができる。
【0050】また、本発明は、放射線検出器の出力信号
を信号変換した検出器信号を微分回路に入力して波形整
形し、該微分回路の出力を元波形の減衰特性により基準
レベルから負方向に信号が変化するアンダーシュート部
分を許容範囲に入れるポールゼロ調整回路によってポー
ルゼロ調整する放射線計測装置において、微分回路の出
力波形を取り込んで元波形の基準レベルに相当する基準
値と比較しアンダーシュート部分が許容範囲内に存在す
るか否か判定し、この判定結果からアンダーシュート部
分が許容範囲内に存在しない場合は当該アンダーシュー
ト部分を許容範囲側へ移動させるように波形整形するポ
ールゼロ調整値をポールゼロ調整回路に設定するように
構成した。
【0051】本発明の放射線計測装置によれば、微分回
路の出力波形を調べてアンダーシュート部分が許容範囲
に入るようにポールゼロ調整値に修正をかけるので、ア
ンダーシュート部分が許容範囲に入るように自動的にポ
ールゼロ調整が行なわれる。従って、パラメータの調整
作業にかかる時間と労力を軽減でき、専門知識や経験を
必要としないため、調整精度の均質化を図ることができ
る。
【0052】さらに、本発明は、上記の放射線計測装置
と、この放射線計測装置に接続されたホスト計算機とで
構成された放射線計測システムにおいて、放射線計測装
置には、ホスト計算機との間でデータ伝送する伝送ポー
トと、伝送ポートを介して入力するホスト計算機からの
命令に応じて装置内に設定しているパラメータの収集及
び変更を実行する機能とを備え、ホスト計算機には、放
射線計測装置での計測に必要なパラメータを管理する機
能と、放射線計測装置で自動的に設定したパラメータを
当該放射線計測装置から収集して管理データを更新する
機能と、放射線計測装置に新しいパラメータをダウンロ
ードして前に調整したパラメータを更新する機能とを備
えた。
【0053】従って、本発明の放射線計測システムにお
いては、ホスト計算機による放射線計測装置のディスク
リ電圧設定及びポールゼロ調整のリモート処理及び多数
の放射線計測装置の集中管理及び操作を可能にし、機能
性、保守性を向上させることができる。
【0054】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
図面を参照して詳細に説明する。なお、以下で説明する
図面において、先に説明した図面と同一の構成要素につ
いては、同一の符号を付してその説明を省略し、ここで
は異なる部分についてのみ述べる。
【0055】(第1の実施形態)図1は、第1の実施形
態となる放射線計測装置の構成を示すブロック図であ
る。
【0056】同図に示す放射線計測装置1は、放射線検
出器2から出力される微弱な電流信号を電圧信号に変換
するプリアンプ4の出力段に、最適なディスクリ電圧を
自動的に設定する機能を備えた信号検出回路5aが接続
されている。この信号検出回路5aでディスクリ電圧に
てノイズ信号を除去した正規信号を次段の処理回路8に
出力する。
【0057】信号検出回路5aに設けられた比較回路1
8の信号入力ポートにプリアンプ4から出力された電圧
信号を入力し、この比較回路18の比較電圧ポートにデ
ィスクリ電圧を印加する。
【0058】ここで、比較回路18は、ディスクリ電圧
が基準レベルより正方向側にある場合は、正方向側にあ
る検出器信号のうちディスクリ電圧よりもピーク値の大
きい検出器信号のみを出力し、ディスクリ電圧が基準レ
ベルより負方向側にある場合は、負方向側にある検出器
信号のうちディスクリ電圧よりもピーク値の小さい検出
器信号のみを出力する。
【0059】比較回路18から出力されるパルス状の電
圧信号のパルス数をカウンタ回路19でカウントし、そ
のカウント値を演算回路20aへ出力する。ディスクリ
電圧が正方向の領域に設定されているときに得られるカ
ウント値を正方向カウント値と呼び、ディスクリ電圧が
負方向の領域に設定されているときに得られるカウント
値を負方向カウント値と呼ぶ。
【0060】演算回路20aがD/A変換器21にディ
スクリ電圧の指令値をデジタルデータで与え、D/A変
換器21が演算回路20aからのディスクリ電圧の指令
値をアナログ信号に変換して比較回路18に出力するこ
とにより、比較回路18のディスクリ電圧が設定され
る。
【0061】演算回路20aは、ディスクリ電圧を基準
レベルから正方向側へ連続的に変化させたときの正方向
カウント値及びディスクリ電圧を基準レベルから負方向
側へ連続的に変化させたときの負方向カウント値を格納
するためのメモリを備えている。この演算回路20aで
メモリに格納した正方向カウント値から正方向カウント
分布を求め、負方向カウント値に基づいて、負方向のデ
ィスクリ電圧に対する負方向カウント値の分布(以下、
「負方向カウント分布」という)を求め、さらに、これ
ら正方向カウント分布と負方向カウント分布とから後述
する演算処理によって適切なディスクリ電圧を決定す
る。
【0062】以上のような構成を持つ信号検出回路5a
が行なう動作について説明する。
【0063】図2は、本実施形態による演算装置20a
のディスクリ電圧設定処理の流れを示すフロー図であ
る。
【0064】放射線検出に伴って、放射線検出器2から
出力されるパルス状の電流信号が抵抗3及びプリアンプ
4により電圧変換及び増幅され、パルス電流信号の大き
さに応じたピーク値を持つ電圧信号として比較回路18
の信号入力ポートに入力される。
【0065】演算回路20aは、比較回路18の比較電
圧ポートに設定するディスクリ電圧を基準レベルから正
方向側へ連続的に変化させて、各ディスクリ電圧のとき
に計測した正方向カウント値から正方向カウント分布を
求める(s1)。具体的には、演算回路20aが基準レ
ベルから正方向側へ連続的に大きくしたディスクリ電圧
の指令値をD/A変換器21へ与える。D/A変換器2
1はこのディスクリ電圧の指令値をアナログ信号に変換
して比較回路18の比較電圧ポートに出力する。比較回
路18がディスクリ電圧と検出器信号とを比較し、ディ
スクリ電圧よりもピーク値の大きい電圧信号のみを出力
する。カウンタ回路19で比較回路18から出力される
電圧信号の数をカウントし、この正方向の各ディスクリ
電圧に対応した正方向カウント値を受けた演算回路20
aがそれら正方向カウント値から正方向カウント分布を
求める。
【0066】次に、演算回路20aは、比較回路18の
比較電圧ポートに設定するディスクリ電圧を基準レベル
から負方向側へ連続的に変化させるディスクリ電圧の指
令値をD/A変換器21に与える。比較回路18は、D
/A変換器21から設定されるディスクリ電圧と検出器
信号とを比較し、ディスクリ電圧よりもピーク値の小さ
い検出器信号のみをカウンタ回路19へ出力するので、
カウンタ回路19では負方向の各ディスクリ電圧に対応
した負方向カウント値が計測される。演算回路20aで
は、この負方向カウント値から負方向カウント分布を求
める(s2)。上記s1、s2の処理により、図3に実
線で示すカウント分布データが取得されたことになる。
【0067】そこで、演算回路20aにおいて、負方向
カウント分布から、最小二乗法によってガウシアン分布
の分布係数を求めて近似を行ない、この近似して得られ
るガウシアン分布をノイズ分布とみなす(s3)。
【0068】図4は、最小二乗法により負方向カウント
分布からノイズ分布を求める概念図を示している。この
ように、ノイズ分布は、基準レベルにおいてほぼ対称の
形になる。
【0069】さらに、正方向カウント分布から、ノイズ
分布の正方向部分を差し引き、この結果得られる分布を
正規信号のカウント分布とみなす(s4)。
【0070】その結果、図5に示すような正規信号のカ
ウント分布が取得される。
【0071】演算回路20aは、ノイズ分布と正規信号
のカウント分布とから、ディスクリ電圧を決定する(s
5)。例えば、ノイズ分布の立ち下がり部分の近傍であ
り、かつ、正規信号のカウント分布の平らな部分をディ
スクリ電圧として決定する。そして、演算回路20a
は、D/A変換器21に対して、S5で決定したディス
クリ電圧の指令値を出力する(s6)。
【0072】D/A変換器21は演算回路20aから入
力された指令値をディスクリ電圧に変換し、比較回路1
8の比較電圧ポートに印加することにより、最適なディ
スクリ電圧が設定される。
【0073】以上のような信号検出回路5aを備えた放
射線計測装置1によれば、ディスクリ電圧を基準レベル
から正方向側に走査したときの正方向カウント分布と負
方向側に走査したときの負方向カウント分布とを測定
し、負方向カウント分布からノイズ成分の分布を計算
し、正方向カウント分布からノイズ分布を差し引くこと
により、正規信号のカウント分布を求めるようにしたの
で、ディスクリ電圧の設定の自動化が可能となり、従来
必要だった人間系による設定作業を削除でき、ディスク
リ電圧の設定に要する膨大な時間と労力を軽減すること
ができる。また、専門知識や経験を必要としない最適な
設定を可能にするので、メンテナンス性を向上させるこ
とができる。
【0074】さらに、演算回路20aにディスクリ電圧
の設定値などの内部パラメータを登録するメモリを備
え、当該メモリの内容を放射線計測装置1に接続された
ホストコンピュータから読み込み及び変更可能にするこ
とで、リモート処理の実施が可能となり、ディスクリ電
圧の設定値などの様々な内部パラメータの自動保存や変
更、計測データの表示などをすることができ、ホストコ
ンピュータによる集中管理及び操作を可能にするので、
機能性、保守性を向上させることができる。
【0075】なお、ノイズ信号のみのカウント分布を求
める際に、一例としてガウシアン分布への近似を利用し
たが、一様分布等の他の分布関数への近似を利用するこ
ともできる。また、分布係数を求める一例として、最小
二乗法を利用したが、他の関数近似の手法を利用するこ
ともできる。さらに、本実施形態のおいては、正規信号
が正方向側に立ち上がる場合を例として述べたが、正規
信号が負方向側に立ち上がる場合も同様な処理を行なう
ことによって、同様な効果を得ることができる。
【0076】(第2の実施形態)第2の実施形態は、従
来スペクトルアナライザで測定していた各ピーク値に対
するカウント値の分布から自動的にディスクリ電圧を設
定する。
【0077】図6は、第2の実施形態による放射線計測
装置1の構成を示すブロック図である。なお、第1の実
施形態で説明した図1に示す装置と同一機能を有する部
分は同一符号を付している。
【0078】信号検出回路5bは、演算回路20bから
D/A変換器21へ指令値を与えて比較器18の比較電
圧ポートにディスクリ電圧を設定し、このディスクリ電
圧によりノイズ信号を除去した正規信号を次段の処理回
路8などに出力する。
【0079】また、プリアンプ4の出力段にピーク値検
出回路22を接続している。ピーク値検出回路22は、
プリアンプ4から出力される検出器信号に表れるノイズ
及び正規信号のピーク値を検出し、検出したピーク値を
演算回路20bに出力する。このピーク値検出回路22
は、正極性を持つ検出器信号のピーク値のみを検出する
のではなく、負極性を持つ電圧信号のピーク値も検出す
る。
【0080】演算回路20bは、ピーク値検出回路22
によって負極性から正極性の全域に渡って測定したピー
ク値から各信号レベルに対するピーク値の発生頻度を求
め、このカウント分布から最適なディスクリ電圧を決定
する。
【0081】以上のような構成を持つ放射線計測装置1
において信号検出回路5bが最適なディスクリ電圧を自
動決定する動作について説明する。
【0082】図7は、信号検出回路5bのディスクリ電
圧設定処理の流れを示すフロー図である。
【0083】第1のステップとして、まず放射線検出器
2からの出力信号を抵抗3及びプリアンプ4により電圧
変換及び増幅した検出器信号に含まれたノイズ信号及び
正規信号のピーク値を一定期間に渡りピーク値検出回路
22で測定する(t1)。なお、第2の実施形態では、
カウンタ回路19は動作させないか、またはカウント値
を無視する。
【0084】第2のステップとして、演算回路20b
は、負極性から正極性の全域に渡り測定したピーク値か
ら正方向カウント分布と負方向カウント分布とで構成さ
れるカウント分布を求める(t2)。図8は、本実施形
態によるカウント分布の一例を示す状態図である。この
グラフにおいて、横軸は、ピーク値を示し、縦軸は、横
軸で示されているピーク値の発生頻度であるカウント値
を示している。
【0085】第3のステップとして、演算回路20b
は、負方向カウント分布から、最小二乗法によってガウ
シアン分布の分布係数を求めて近似を行ない、この近似
して得られるガウシアン分布をノイズ分布とみなす(t
3)。図9は、負方向カウント分布と最小二乗法により
求めたノイズ分布との関係を示す図である。ノイズ分布
は、検出器信号の基準レベルにおいてほぼ対称になる。
【0086】第4のステップとして、演算回路20b
は、正方向カウント分布から、ノイズ分布の正方向部分
を差し引いて、正規信号のカウント分布を求める(t
4)。図10は、正規信号のカウント分布を示す状態図
である。
【0087】第5のステップとして、演算回路20b
は、ノイズ分布と正規信号のカウント分布とから適切な
ディスクリ電圧を決定する(t5)。例えば、ノイズ分
布の立ち下がり部分の近傍であり、正規信号のカウント
分布の立ち上がり部分の近傍をディスクリ電圧として決
定する。
【0088】この決定したディスクリ電圧の指令値をD
/A変換器21に出力することにより、D/A変換器2
1から比較器18の比較電圧ポートに、このディスクリ
電圧を設定する(t6)。
【0089】以上のような信号検出回路5bを備えた放
射線計測装置1によれば、信号検出回路5bのピーク値
検出回路22によって検出したピーク値から負極性から
正極性の全域に渡るカウント分布を求め、負方向側のノ
イズ分布から正方向側のノイズ分布を推定し、正規信号
のカウント分布を求めるようにしたので、ディスクリ電
圧を自動的に設定することができ、前記第1の実施形態
で述べた放射線計測装置1と同様な効果を有する。
【0090】なお、上記第2の実施形態において、ピー
ク値検出回路22の出力からカウント分布を求める場合
は、カウンタ回路19を設ける必要はない。
【0091】また、ノイズ分布を求める際に、一例とし
てガウシアン分布への近似を利用したが、一様分布等の
他の分布関数への近似を利用することもできる。さら
に、分布係数を求める例として、最小二乗法を利用した
が、他の関数近似の手法を利用することもできる。
【0092】(第3の実施形態)図11は、第3の実施
形態による放射線計測装置1の構成を示すブロック図で
ある。
【0093】信号検出回路5cは、演算回路20cから
ディスクリ電圧の指令値をD/A変換器21に与え、該
指令値をアナログ信号に変換したディスクリ電圧を比較
器18の比較電圧ポートへ印加し、検出器信号からノイ
ズ信号を除去した正規信号を次段の処理回路8などに出
力する。
【0094】また、放射線計測装置1は、演算回路20
cでプリアンプ4の出力段に高速A/D変換器23を接
続して検出器信号を高速にサンプリングし、そのサンプ
リング値から演算回路20cで負極性側から正極性側に
渡るカウント分布を求める。信号検出回路5cは、プリ
アンプ4から出力される検出器信号を高速A/D変換器
23で高速にサンプリングし、サンプル値を演算回路2
0cに出力する。
【0095】図12は、高速A/D変換器23による検
出器信号のサンプリング状態を示す図である。高速A/
D変換器23は、検出器信号を高速にサンプリングする
ことにより、基準レベルよりも低い負極性側のノイズ成
分の波高値及び基準レベルよりも高い正極性側のノイズ
及び正規信号の波高値をサンプル値として出力する。こ
のように、サンプル値には、正規信号からサンプリング
された値も、ノイズ信号からサンプリングされた値も存
在する。
【0096】演算回路20cは、高速A/D変換器23
から入力したサンプル値を、負極性側から正極性側に渡
る各信号レベルのサンプル値の発生頻度からカウント分
布を求める。このカウント分布は、正方向カウント分布
と負方向カウント分布とから構成される。
【0097】図13は、検出器信号のサンプル値から取
得したカウント分布の一例を示す図である。このグラフ
において、横軸はサンプル値の信号レベルを示し、縦軸
は横軸で示されているサンプル値の発生頻度であるカウ
ント値を示している。
【0098】図13に示すように、ノイズ信号のサンプ
ル値は値が小さく、正規信号のサンプル値は値が比較的
大きくなることから、ノイズ信号によるカウント値は領
域N3のように存在し、正規信号によるカウント値は、
領域S3のように存在すると推測される。
【0099】このように、このサンプル値によるカウン
ト分布は、前記第2の実施形態で述べたピーク値による
カウント分布と同様な特性を有する。
【0100】ゆえに、演算回路20cは、このカウント
分布に基づいて、前記第2の実施形態で述べた演算回路
20bと同様な処理によって適切なディスクリ電圧を決
定し、このディスクリ電圧に設定する指令値をD/A変
換器21に出力する。
【0101】従って、本実施形態の放射線計測装置1
は、信号検出回路5cの高速A/D変換器23によって
サンプリングしたサンプル値から求まるカウント分布に
基づいて、演算回路20cによってディスクリ電圧を自
動的に設定するので、前記第2の実施形態で述べた放射
線計測装置1と同様な効果を有する。
【0102】(第4の実施形態)本実施形態は、前記第
1から第3までの実施形態において演算装置20a〜2
0cがディスクリ電圧を決定する際に行なう演算処理の
変形例に関するものである。以下に、第2の実施形態の
演算回路20bを例に挙げて説明する。
【0103】図14は、本実施形態で演算回路20bが
ディスクリ電圧を設定するまでに行なう処理の流れを示
すフロー図である。
【0104】第1のステップとして、演算回路20b
は、検出器信号のピーク値の各信号レベルでの発生頻度
を示すカウント分布を求める(u1)。この結果、第2
の実施形態と同様に図15に実線で示すような分布曲線
データが取得される。
【0105】第2のステップとして、この取得したカウ
ント分布の立ち上がり部分の信号レベルを求める。例え
ば、カウント分布の立ち上がり部分において、僅少なカ
ウント値を超えた点での信号レベル(電圧値A)を求め
る(u2)。
【0106】第3のステップとして、カウント分布から
最も基準レベルに近い極大点を求め、当該極大点に対応
した電圧値Bを求める(u3)。
【0107】第4のステップとして、電圧値Aと電圧値
Bとから、電圧値Bを挟んで電圧値Aと対称位置となる
電圧値Cを求める(u4)。例えば演算回路20bにお
いて、以下の数式(2)による演算を実行することによ
り、電圧値Cを求めることができる。
【0108】C=A+2(B−A) …(2) 第5のステップとして、第4のステップで得られた電圧
値Cの近傍をディスクリ電圧として決定し、当該ディス
クリ電圧を指示する指令値をD/A変換器21に出力し
て、比較器18の比較出力ポートに決定したディスクリ
電圧を印加する(u5)。
【0109】なお、第3の実施形態の演算回路20cに
おいても、同様の処理を適用することができる。また、
第1の実施形態の演算回路20aにおいては、負方向カ
ウント分布に極大点が存在する場合に、同様の処理を適
用することができる。
【0110】以上のように、本実施形態では、カウント
分布の立ち上がり点の電圧値Aと最も基準レベルに近い
極大点の電圧値Bとから演算によって電圧値Cを求め、
この電圧値Cに基づいて、演算回路20a〜20cがデ
ィスクリ電圧を自動的に設定するので、前記第1から第
3までの実施形態と同様の効果が得られる。
【0111】また、本実施形態においては、最小二乗法
などによる処理を利用せず、簡略化した演算によってデ
ィスクリ電圧を設定するため、より高速に結果を得るこ
とができる。
【0112】(第5の実施形態)本実施形態において
は、前記第1から第4までの実施形態における演算装置
20a〜20cが、回路の持つオフセット情報を認識
し、その後の処理において、このオフセット情報を内部
パラメータの一要素として利用するために保存する。前
記第1から第3までの実施形態においては、ノイズ分布
を求めた。また、前記4の実施形態においては、最も基
準レベルに近い極大点、すなわちノイズ分布の極大点で
の電圧値Bを求めた。通常、ノイズ分布の極大点での電
圧値は基準レベル近傍の値となる。
【0113】本実施形態において、演算回路20a〜2
0cは、もしノイズ分布の極大点での電圧値が、基準レ
ベル近傍になければ、この極大点での電圧値を回路が持
つオフセット情報と認識し、その後の処理において内部
パラメータの一要素として利用するため保存する。
【0114】例として、前記第4の実施形態の場合につ
いて説明する。
【0115】図16は、本実施形態によるカウント分布
の一例を示す状態図である。
【0116】前記第4の実施形態においては、カウント
分布の立ち上がり点の電圧値Aと最初の極大点での電圧
値Bとから演算によって電圧値Cを求め、この電圧値C
に基づいて、演算回路20bによってディスクリ電圧が
自動的に設定される。
【0117】演算回路20bは、これに加えて、極大点
での電圧値Bが基準レベル近傍にないので、この極大点
の電圧値Bを回路が持つオフセット情報と認識し、その
後の処理において内部パラメータの一要素として利用す
るため保存する。
【0118】以上のように、本実施形態においては、前
記第1から第4までの実施形態と同様の効果に加えて、
内部パラメータとして回路が持つオフセット情報を保存
し、この値をデータの計測などの処理に利用できるた
め、計測結果を向上させることができる。
【0119】(第6の実施形態)図17は、第6の実施
形態による放射線計測装置1の構成を示すブロック図で
ある。
【0120】この放射線計測装置1は、プリアンプ4の
入力段にスイッチ24を設けている。スイッチ24は、
その第1端子24aが抵抗3及びプリアンプ4に接続さ
れ、第2端子24bが抵抗25を介してアースされてい
る。スイッチ24の第3端子24cは放射線検出器2に
接続されている。このスイッチ24によって第2端子2
4bと第3端子24cとの間で切り換えができる。図1
7では、スイッチ24は第1端子24aと第2端子24
bとにおいて接続されている。また、抵抗25の抵抗値
は、放射線検出器5の抵抗値と同じ値を持つように設定
する。
【0121】信号検出回路5dは、第1から第5までの
実施形態の信号検出回路5a〜5cのいずれかと同様な
構成を持つが、内部に含む演算回路20a〜20cの処
理が異なる。
【0122】この信号検出回路17dは、スイッチ24
の第1端子24aと第2端子24bとが接続されている
ときに、ノイズ分布を求める。
【0123】そして、このノイズ分布を用いて、第1か
ら第5までの実施形態で述べた処理と同様の処理によっ
て、適切なディスクリ電圧を決定し、このディスクリ電
圧の指令値をD/A変換器21に出力する。あるいは、
ノイズ分布の立ち下がり部分をディスクリ電圧として決
定して、このディスクリ電圧の指令値をD/A変換器2
1に出力する。
【0124】以上のような信号検出回路5dを備えた放
射線計測装置1によれば、スイッチ24の切り換えだけ
でノイズ分布を求めることができ、ディスクリ電圧を自
動的に設定することができる。
【0125】(第7の実施形態)図18は、第7の実施
形態による放射線計測装置1の構成を示すブロック図で
ある。
【0126】この放射線計測装置1は、信号検出回路5
eの演算回路20aに対してオペレータからオン、オフ
の状態の信号を入力するスイッチ26を備えている。
【0127】なお、信号検出回路5eは、前記第1から
第5の実施形態の信号検出回路5a〜5cのいずれかと
同様の構成を持つが、ここでは例として前記第1の実施
形態の信号検出回路5aを使用する。
【0128】図18(a)に示すように、放射線検出器
2で放射線の検出を行なっていない場合に、スイッチ2
6をオンして演算回路20aにノイズ分布を求めるよう
に指示を出す。また、図18(b)に示すように、放射
線検出器2が放射線の検出を行なっている場合に、スイ
ッチ26をオフして演算回路20aに正規信号まで含ん
だカウント分布を求めるように指示を出す。そして、こ
のノイズ分布及び正規信号まで含んだカウント分布に基
づいて、前記第6の実施形態で述べた処理と同様な処理
によりディスクリ電圧の設定及びオフセット情報の認識
などを行なう。以上のような放射線計測装置1によっ
て、前記第1から第6までの実施形態と同様の効果が、
簡単な処理で得られる。
【0129】また、放射線検出器2を接続したまま、ノ
イズ分布を求めるので、放射線検出器2を切り離してノ
イズ分布を求めた場合よりも、より適切なディスクリ電
圧の設定ができる。
【0130】なお、本実施形態においては、スイッチ2
4を放射線計測装置1に組み込んでいるが、外部に備え
ても同様の作用及び効果が得られる。
【0131】また、放射線検出器2が放射線の検出を行
なっているか否かをスイッチ26の状態で判断している
が、このスイッチ26に代えて上位の制御システムを備
え、この上位の制御システムからの信号によって、放射
線検出器2が放射線の検出を行なっているか否かを判断
することもできる。
【0132】(第8の実施形態)本実施形態は、負極性
側のノイズ分布を計測せずに計測目標(正規信号)の信
号レベルと同一極性の分布だけから最適なディスクリ電
圧を設定する。
【0133】前記第2の実施形態の演算回路20bを例
に挙げて説明する。
【0134】図19は、本実施形態においてディスクリ
電圧を設定するまでに行なう処理の流れを示すフロー図
である。
【0135】図20は、本実施形態によるディスクリ電
圧設定の状況を示す状態図で、第1のステップとして、
前述した第1から第3までのいずれかの実施形態(ここ
では第2の実施形態を例にする)と同様にして、まず正
方向カウント分布を求める(v1)。この結果、図20
に示すような各信号レベルのピーク値の発生頻度を示す
カウント分布データが取得される。
【0136】第2のステップとして、上記正方向カウン
ト分布の結果を最小二乗法などの近似手法によって近似
し(v2)、第3のステップとして、当該近似関数にお
ける極小点を求める(v3)。
【0137】第4のステップとして、図20に示すよう
に上記求めた極小点に対応する信号レベル又はその近傍
値をディスクリ電圧として決定する(v4)。
【0138】なお、前記第3の実施形態においてサンプ
ル値から求めたカウント分布(図13)に同様の処理を
適用することによりディスクリ電圧を決定することがで
きる。
【0139】また、前記第1の実施形態において各ディ
スクリ電圧時にカウントされた信号の分布から求めたカ
ウント分布を関数近似して、当該近似関数の勾配が平坦
になった点を求め、この点に対応した信号レベル又はそ
の近傍値をディスクリ電圧として決定する。
【0140】さらに、本実施形態においては、近似手法
として最小二乗法を利用したが、他の近似手法を利用す
ることもできる。また、近似手法ではなくても、スプラ
イン補間などの補間手法を利用することもできる。
【0141】以上のように、本実施形態においては、最
小二乗法などのデジタル処理を利用して正方向カウント
分布を解析することで、前記第1から第3までの実施形
態と同様の効果を、簡単に得ることができる。
【0142】また、正方向カウント分布を求めるだけ
で、ディスクリ電圧を自動的に設定することができるた
め、より高速に結果を得ることができる。
【0143】(第9の実施形態)図21は、第9の実施
形態による放射線計測装置1の構成を示すブロック図で
ある。
【0144】この放射線計測装置1は、信号検出回路5
fと、入力装置27と、表示装置28とを備えている。
【0145】入力装置27は、人間系から入力されるデ
ィスクリ電圧やオフセット情報などの内部パラメータの
表示を要求するパラメータ要求命令及びパラメータの変
更を要求するパラメータ変更命令を信号検出回路5fに
それぞれ送信する。表示装置28は、信号検出回路5f
から入力するパラメータの表示を行なう。
【0146】信号検出回路5fは、前記第1から第8ま
での実施形態における信号検出回路5a〜5eのいずれ
かと同様の構成を持ち、ディスクリ電圧の自動設定、オ
フセット情報の認識等が可能である。また、信号検出回
路5fは、入力装置27から受信したパラメータ要求命
令に応じて、保持しているパラメータを表示装置28に
出力する。また、入力装置27から受信したパラメータ
変更命令に応じて、保持しているパラメータを変更す
る。
【0147】本実施形態の放射線計測装置1において
は、ディスクリ電圧、オフセット情報の値などの内部パ
ラメータや、これらを求める過程において求まる前述の
A点、B点、C点などの情報が信号検出回路5fのメモ
リに保持されている。
【0148】人間系がこれらの内部情報を確認したいと
きには、その旨を入力装置27に入力することにより、
入力装置27はパラメータ要求命令を信号検出回路5f
に送信する。信号検出回路5fは、この命令に基づい
て、パラメータを表示装置28に送信する。表示装置2
8は、受信したパラメータを表示する。
【0149】人間系は、この表示を見て、パラメータを
変更する際には、その旨を入力装置27に出力する。入
力装置27は、パラメータ変更命令を信号検出回路5f
に送信する。信号検出回路5fは、この命令に基づい
て、パラメータを変更する。
【0150】以上のような放射線計測装置1において
は、前記第1から第8までの実施形態と同様の効果が、
簡単な処理で得られ、さらに万一異常が発生した際に
も、人間系が、表示装置28によってパラメータを確認
でき、入力装置27に入力した状態に変更、再設定でき
るため、より適切なディスクリ電圧の設定ができる。
【0151】(第10の実施形態)図22は、第10の
実施形態による放射線計測装置1の構成を示すブロック
図である。
【0152】この放射線計測装置1は、プリアンプ4の
出力段にポールゼロ調整回路29を設けており、このポ
ールゼロ調整回路29と,A/D変換器30と,演算回
路31とによりポールゼロ調整を自動的に行ない、出力
波形を処理回路8などで処理する。
【0153】ポールゼロ調整回路29は、プリアンプ4
から出力される検出器信号を内部の微分回路32によっ
て微分する。また、演算回路31の出力に応じて、D/
A変換器33が検出器信号を微分した際に発生するアン
ダーシュート部分を整形する。そして、プリアンプ34
がD/A変換器33によってアンダーシュート部分を整
形した出力波形を増幅する。
【0154】D/A変換器33は、検出器信号をリファ
レンス入力として入力し、また、演算回路31からアン
ダーシュート部分の整形信号(以下、「ポールゼロ調整
信号」という)を入力してD/A変換し、ポールゼロ調
整信号に基づいて、微分回路32の出力段において出力
波形に対してポールゼロ調整を行なう。
【0155】プリアンプ34の出力段に接続したA/D
変換器30は、プリアンプ34によって増幅された出力
波形をデジタル変換して演算回路31に入力する。
【0156】演算回路31は、A/D変換器30から入
力する波形データを保存するメモリを備えており、波形
データのデジタル処理が行なわれる。
【0157】図23は、演算回路31が取り込んだ出力
波形の波形図である。ここで、縦軸は、A/D変換器3
0によってサンプリングされた電圧値を示し、横軸は、
サンプリングされた時間tを示す。
【0158】演算回路31は、デジタル変換された出力
波形が定常状態となったときの電圧値を基準値とし、デ
ジタル変換された出力波形がアンダーシュート部分を有
する場合に、そのアンダーシュート部分の最小点Dの電
圧値を求める。
【0159】そして、アンダーシュート部分の沈み込み
が大きい場合,またはアンダーシュート部分を引き上げ
過ぎた場合、すなわち、最小点Dの電圧値が、基準値を
中心とした定められた許容範囲にないときに、ポールゼ
ロ調整信号をポールゼロ調整回路29のD/A変換器3
3に出力する。
【0160】図24は、本実施形態の放射線計測装置1
の流れを示すフロー図である。
【0161】第1のステップとして、最初に演算回路3
1が初期設定としてポールゼロ調整を行なわない旨のポ
ールゼロ調整信号をD/A変換器33に出力する。これ
により、D/A変換器33は、微分回路32の出力波形
に対してポールゼロ調整効果を及ぼさない(w1)。
【0162】第2のステップとして、微分回路32はプ
リアンプ4から出力される検出器信号を入力して微分す
る(w2)。
【0163】第3のステップとして、D/A変換器33
は演算回路31から入力したポールゼロ調整信号に基づ
いて、検出器信号の電圧を用い、ポールゼロ調整を行な
う(w3)。
【0164】第4のステップとして、A/D変換器30
は、ポールゼロ調整を行なった出力波形をプリアンプ3
4を介して入力し、この出力波形をA/D変換して演算
回路31に供給する(w4)。
【0165】第5のステップとして、演算回路31は、
図23に示すようなデジタル変換された出力波形を分析
して、出力波形にアンダーシュート部分があれば、アン
ダーシュート部分の最小点Dの電圧値を求める(w
5)。
【0166】第6のステップとして、演算回路31は、
アンダーシュート部分の最小点Dの電圧値が、基準値を
中心とした定められた許容範囲にあるか否かを判定し
(w6)、許容範囲になければ、演算回路31からD/
A変換器33に対してアンダーシュート部分の最小点D
の電圧値を引き上げ、または引き下げを指示するポール
ゼロ調整信号を出力する(w7)。D/A変換器33が
ポールゼロ調整信号に応動してポールゼロ調整値を引き
上げ又は引き下げる。
【0167】この処理は最小点Dが許容範囲に入るまで
繰り返される。
【0168】この結果、最終的に最小値Dが許容範囲に
入り、ポールゼロ調整回路29と、A/D変換器30
と、演算回路31とによるポールゼロ調整処理を終了す
る。
【0169】以上のような放射線計測装置1によれば、
演算回路31からのポールゼロ調整信号に基づいて、D
/A変換器33が自動的にポールゼロ調整を行なうの
で、従来必要だった人間系による設定を行なう必要がな
いため、ポールゼロ調整に要する膨大な時間と労力を軽
減することができる。また、専門知識や経験を必要とし
ない最適な調整を可能にし、メンテナンス性を向上する
ことができる。
【0170】さらに、演算回路31にポールゼロ調整に
関するパラメータなどを保存するメモリを備えること
で、ホストコンピュータからのリモート処理の実施が容
易になるため、ポールゼロ調整の調整値などの様々な内
部パラメータの自動保存や変更、計測データの表示、集
中管理及び操作を可能にすることができ、機能性、保守
性を向上することができる。
【0171】なお、デジタル変換された出力波形のう
ち、電圧レベルの小さいものに基づいてポールゼロ調整
信号を求めると、デジタル変換された出力波形に重鎮さ
れているノイズの影響などを受けやすいため、適切なポ
ールゼロ調整が行なわれない場合がある。
【0172】そこで、演算回路31に、デジタル変換さ
れた出力波形のうち、ある程度電圧レベルの大きいもの
のみを選別して、ポールゼロ調整に利用する選別処理を
備えることで、一層最適なポールゼロ調整を行なうこと
ができる。
【0173】(第11の実施形態)本実施形態において
は、前記第10の実施形態における放射線計測装置1の
演算回路31が行なう処理の変形例について述べる。
【0174】前述の第10の実施形態では、デジタル変
換された出力波形の全領域をメモリに保存して処理が行
なわれていたが、本実施形態では出力波形の初期部分の
データからポールゼロ調整できるようにしている。
【0175】図25は、本実施形態によるポールゼロ調
整処理の流れを示すフロー図である。
【0176】第1のステップとして、A/D変換器30
の出力に出力波形の現れていない定常状態を演算回路3
1がメモリに保存する(x1)。
【0177】第2のステップとして、演算回路31は、
出力波形の現れたA/D変換器30の出力をデジタル変
換したサンプル値を入力し、メモリに保存する(x
2)。
【0178】図26は、演算回路31のメモリに保存し
たデジタル変換出力波形の波形データを示している。演
算回路31は、デジタル変換された出力波形の立ち上が
り前の領域と、ピーク値を含む立ち上がり部分(以下、
「初期領域」という)をメモリに保存する。
【0179】第3のステップとして、立ち上がり前の領
域のデータから基準値を求め(x3)、第4のステップ
として、初期領域のデータに基づき、最小二乗法などの
近似手段によって、式(3)に示すような近似関数のパ
ラメータαを求める(x4)。
【0180】V0 exp(−αt) …(3) V0 :波形ピーク電圧 α :求めるパラメータ t :時間 この結果、初期領域のデータから、図27に示すような
近似関数波形が求められる。
【0181】第5のステップとして、演算回路31は、
近似関数波形に基準値よりも負側に変化しているアンダ
ーシュート部分があれば、アンダーシュート部分の最小
点の電圧値を求める(x5)。
【0182】第6のステップとして、アンダーシュート
部分の最小点の電圧値が、基準値を中心とした定められ
た許容範囲にあるか否かを判定する(x6)。この結
果、最小点が許容範囲になければ、アンダーシュート部
分の最小点の電圧値を引き上げる、あるいは引き下げる
旨のポールゼロ調整信号をD/A変換器33に出力する
(x7)。具体的には、最小点の電圧値が許容範囲の最
小限よりも低くければ最小点の電圧値を引き上げ、逆に
最大限よりも高ければ最小点の電圧値を引き下げる。
【0183】この結果、許容範囲にあれば、演算回路3
1は、処理を終了するなお、本実施形態においては、近
似の方法として、最小二乗法を利用したが、その他の近
似法を利用してもよく、さらに近似する関数に式(3)
を利用したが、その他の関数、例えば二次関数などを利
用してもよい。
【0184】また、演算回路31は、上記のように、ア
ンダーシュート部分の最小点の電圧値が、基準値を中心
とした定められた許容範囲になるまで、ポールゼロ調整
を繰り返したが、予め固定した指定回数だけ繰り返して
終了させてもよい。
【0185】以上のように、本実施形態においては、演
算回路31が初期領域のデータを関数近似した近似関数
のパラメータαを求め、この近似関数を適当な区間サー
チした結果に基づいて、自動的にポールゼロ調整が行な
われた。また、立ち上がり前の領域から基準値を求めた
ので、デジタル電圧信号全領域をメモリに保存しなくて
もよい。
【0186】従って、必要なデータサンプル数を最小に
でき、メモリなどの記憶資源を少なくすることができ、
経済性を向上できる。
【0187】(第12の実施形態)図28は、第12の
実施形態による放射線計測システムの構成を示すブロッ
ク図である。
【0188】この放射線計測システム35は、複数の放
射線計測装置1をGPIBやイーサネットなどのような
高速伝送バスライン36を介してホストコンピュータ3
7に接続した構成となっている。
【0189】放射線計測装置1は、前記第1から第11
までの実施形態における放射線計測装置1のいずれかと
同様の構成を持つ。
【0190】放射線計測装置1において、放射線検出器
2からの信号は検出器信号に変換され、入力した信号を
粗調整するゲイン粗調整回路、入力信号の極性を定めら
れた極性に切替える極性切替回路、入力した信号を微調
整するゲイン微調整回路などを介して信号検出装置5a
〜5fやポールゼロ調整回路29に入力される。ゲイン
粗調整回路は、粗調整を行なう際に、保持している粗調
整ゲイン値に基づいて行ない、極性切替回路は、極性の
切替を行なう際に、極性パラメータが示す極性に切替え
る。ここでは、極性パラメータは正極性に指定されてい
るとする。ゲイン微調整回路は、微調整を行なう際に微
調整ゲイン値に基づいて行なう。
【0191】また、この放射線計測装置1に備えられて
いるA/D変換器には、パラメータとしてフィルタ時定
数が定められており、このフィルタ時定数に基づいてA
/D変換が行なわれる。
【0192】以上のように、放射線計測装置1は、ディ
スクリ電圧、ポールゼロ調整値、粗調整ゲイン値、微調
整ゲイン値、極性パラメータ、フィルタ時定数など様々
な内部パラメータを保持する。
【0193】ホストコンピュータ37は、複数の放射線
計測装置1と接続され、各放射線計測装置1に割り当て
られているID番号により複数の放射線計測装置1を識
別する。また、複数の放射線計測装置1の内部パラメー
タを記憶、管理する機能を持ち、内部パラメータや様々
な命令を送受信する。そして、ホストコンピュータ37
が、保持している内部パラメータを放射能計測装置1に
自動的にダウンロードすることにより自動的に放射線計
測装置1の内部パラメータがセッティングされる。ま
た、ホストコンピュータ37は、放射線計測装置1が自
動設定した内部パラメータを読み出して保持することが
できる。
【0194】図29は、本実施形態による放射線計測シ
ステム35の動作状態を示している。
【0195】以上のような構成を持つ放射線計測システ
ム35において、例えば、放射線検出器2や、放射線計
測装置1が変更されるなどして、環境が変化すると、放
射線計測装置1が、内部パラメータ送信命令とID番号
とをホストコンピュータ37に送信する。
【0196】ホストコンピュータ37は、放射線計測装
置1から内部パラメータ送信命令を受けると、ID番号
をキーにして保存されている過去の内部パラメータから
変更後の状態に応じた内部パラメータを当該放射線計測
装置1に返信する。
【0197】放射線計測装置1は、ホストコンピュータ
37から受信した内部パラメータによって該当する回路
の動作状態を自動的にセッティングする。
【0198】一方、放射線計測装置1は、自動的にディ
スクリ電圧やポールゼロ調整値などの内部パラメータを
変更した場合には、変更後の内部パラメータをホストコ
ンピュータ37に送信する。ホストコンピュータ37
は、受信した変更後の内部パラメータを保存する。
【0199】また、ホストコンピュータ37の表示画面
においては、先に述べたような内部パラメータや放射線
の計測結果に加え、接続されている複数の放射線計測装
置1のハードウェアのメンテナンス情報、ポ−ルゼロ調
整前の波形(生波形)とポ−ルゼロ調整後の波形、ノイ
ズ波形の表示とそのカウント分布、ライブタイム補正値
などのデータが表示可能である。
【0200】放射線計測装置1は、ホストコンピュータ
37に伝送データを伝送する前に、メモリ等の記録エリ
アに一時的に伝送データを蓄える機能を有する。そし
て、ホストコンピュータとの伝送状態が正常であれば、
伝送データを伝送し、記憶エリア内の最も古い伝送デー
タを消去して、新たな伝送データを記憶する。また、放
射線計測装置1は、高速伝送バスライン36を介してホ
ストコンピュータ37にアクセスし、一定期間ホストコ
ンピュータ37から応答がない場合、または、ホストコ
ンピュータ37側から故障信号を受信した場合には、記
憶エリアの伝送データを利用して計測を続行する。これ
によりデータ欠損のない計測を引き続いて実施でき、ホ
ストコンピュータ37の機能が回復した際に、蓄積して
いた伝送データを必要に応じてアップロードする。
【0201】以上のような放射線計測システム35によ
れば、ホストコンピュータ37によって複数の放射線計
測装置1を集中管理できるため、内部パラメータの自動
セッティングをすることができ、また保存されている過
去の内部パラメータから変更後の状態に応じた内部パラ
メータを放射線計測装置1に送信することで、過去のデ
ータを有効に利用できる。従って、メンテナンス性を向
上させることができる。
【0202】
【発明の効果】以上詳記したように本発明によれば、デ
ジタル処理によってディスクリ電圧の設定及びホールゼ
ロ調整を自動的に行なうことで、これらの作業にかかる
時間と労力を軽減し、専門知識や経験を必要としない最
適な設定及び調整を可能にし、メンテナンス性の優れた
放射線計測装置が提供できる。
【0203】また、ディスクリ電圧の設定値やポールゼ
ロ調整の調整値など、様々な内部パラメータの自動保存
や変更、得られた計測データの表示などを可能にする放
射線計測装置が提供できる。
【0204】さらに、本発明による放射線計測装置は、
ホストコンピュータによるリモート処理が可能であるた
め、複数の放射線計測装置の集中管理及び操作を行なう
ことで、機能性、保守性、経済性に優れた放射線計測シ
ステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態となる放射線計測装置の構成を
示すブロック図。
【図2】同実施形態による演算装置のディスクリ電圧設
定処理の流れを示すフロー図。
【図3】同実施形態によるカウント分布を示す図。
【図4】最小二乗法により負方向カウント分布からノイ
ズ分布を求める場合の概念図。
【図5】同実施形態による正規信号のカウント分布を示
す図。
【図6】第2の実施形態による放射線計測装置の構成を
示すブロック図。
【図7】同実施形態による信号検出回路のディスクリ電
圧設定処理の流れを示すフロー図。
【図8】同実施形態によるカウント分布を示す図。
【図9】負方向カウント分布と最小二乗法により求めた
ノイズ分布との関係を示す図。
【図10】同実施形態による正規信号のカウント分布を
示す図。
【図11】第3の実施形態による放射線計測装置の構成
を示すブロック図。
【図12】高速A/D変換器による検出器信号のサンプ
リング状態を示す図。
【図13】検出器信号のサンプル値から取得したカウン
ト分布の一例を示す図。
【図14】第4の実施形態による演算回路がディスクリ
電圧を設定するまでに行なう処理の流れを示すフロー
図。
【図15】同実施形態によるディスクリ電圧設定方法を
示す概念図。
【図16】第5の実施形態によるオフセット情報を示す
概念図。
【図17】第6の実施形態による放射線計測装置の構成
を示すブロック図。
【図18】第7の実施形態による放射線計測装置の構成
を示すブロック図。
【図19】第8の実施形態によるディスクリ電圧を設定
するまでに行なう処理の流れを示すフロー図。
【図20】同実施形態によるディスクリ電圧設定の状況
を示す状態図。
【図21】第9の実施形態による放射線計測装置の構成
を示すブロック図。
【図22】第10の実施形態による放射線計測装置の構
成を示すブロック図。
【図23】同実施形態による演算回路が取り込んだ出力
波形を示す波形図。
【図24】同実施形態による放射線計測装置の流れを示
すフロー図。
【図25】第11の実施形態によるポールゼロ調整処理
の流れを示すフロー図。
【図26】同実施形態による演算回路のメモリに保存し
たデジタル変換出力波形の波形データを示す図。
【図27】同実施形態による近似波形の状態を示す図。
【図28】第12の実施形態による放射線計測システム
の構成を示すブロック図。
【図29】同実施形態による放射線計測システムの動作
状態を示す図。
【図30】従来の放射線計測装置の構成を示す回路図。
【図31】検出器信号の状態を示す図。
【図32】スペクトルアナライザを用いたディスクリ電
圧を設定する回路の構成図。
【図33】スペクトルアナライザにより得られる正方向
カウント分布を示す図。
【図34】カウンタ回路を用いたディスクリ電圧を設定
する回路の構成図。
【図35】カウンタ回路により得られる正方向カウント
分布を示す図。
【図36】放射線計測装置と放射線検出器とを切り離し
たディスクリ電圧を設定する回路の構成図。
【図37】ディスクリ電圧とノイズ信号との関係を示す
図。
【図38】正規信号の一般的な波形図。
【図39】波形整形に使用される微分回路の一例を示す
図。
【図40】微分回路による正規信号の出力波形を示す
図。
【図41】アンダーシュート部分の整形を行なうポール
ゼロ回路の一例を示す図。
【図42】ポールゼロ調整を行なった波形を示す図。
【符号の説明】
1…放射線計測装置 2…放射線検出器 5、5a〜5f…信号検出回路 6、17…可変抵抗 7…比較器 10、19…カウンタ回路 13、33…微分回路 16…ポールゼロ回路 18…比較回路 20a〜20c、31…演算回路 21、34…D/A変換器 22…ピーク値検出回路 23…高速A/D変換器 24、26…スイッチ 27…入力装置 28…表示装置 29…ポールゼロ調整回路 35…放射線計測システム 37…ホストコンピュータ

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 放射線検出器の出力信号を信号変換した
    検出器信号とノイズ除去のためのディスクリ電圧とを比
    較し、当該検出器信号中でディスクリ電圧を越える正規
    信号を計数して放射線計測に用いる放射線計測装置にお
    いて、 前記検出器信号の基準レベルを中心にして前記正規信号
    とは反対極性側のノイズ分布から前記正規信号と同一極
    性側のノイズ分布を予測し、この予測したノイズ分布に
    基づいて前記ディスクリ電圧を最適化することを特徴と
    する放射線計測装置。
  2. 【請求項2】 放射線検出器の出力信号を信号変換した
    検出器信号とノイズ除去のためのディスクリ電圧とを比
    較し、当該検出器信号中でディスクリ電圧を越える正規
    信号を計数して放射線計測に用いる放射線計測装置にお
    いて、 前記検出器信号の基準レベルより大きいディスクリ電圧
    が設定されている場合は前記検出器信号が当該ディスク
    リ電圧より大きい信号レベルになったとき信号出力し、
    前記基準レベルより小さいディスクリ電圧が設定されて
    いる場合は前記検出器信号が当該ディスクリ電圧より小
    さい信号レベルとなったとき信号出力する比較手段と、 前記比較手段から出力される信号数をカウントするカウ
    ント手段と、 前記比較手段に設定する前記ディスクリ電圧を前記基準
    レベルと該基準レベルよりも大きな所定値との間で変化
    させて、各ディスクリ電圧において前記カウント手段で
    カウントされたカウント値から正方向カウント分布を求
    める手段と、 前記比較手段に設定する前記ディスクリ電圧を前記基準
    レベルと該基準レベルよりも小さな所定値との間で変化
    させて、各ディスクリ電圧において前記カウント手段で
    カウントされたカウント値から負方向カウント分布を求
    める手段と、 前記負方向カウント分布から関数近似によって前記基準
    レベルを境界とする前記正規信号と同一極性側のノイズ
    分布を推定する手段と、 前記正規信号と同一極性側のノイズ分布を前記正方向カ
    ウント分布から差し引いて正規信号のカウント分布を推
    定する手段と、 前記正規信号と同一極性側のノイズ分布または前記正規
    信号のカウント分布の少なくとも一方から前記比較手段
    に設定すべきディスクリ電圧を決定する手段とを具備し
    たことを特徴とする放射線計測装置。
  3. 【請求項3】 放射線検出器の出力信号を信号変換した
    検出器信号とノイズ除去のためのディスクリ電圧とを比
    較し、当該検出器信号中でディスクリ電圧を越える正規
    信号を計数して放射線計測に用いる放射線計測装置にお
    いて、 前記検出器信号のピーク値を検出するピーク値検出手段
    と、 前記ピーク値検出手段が検出したピーク値とその信号レ
    ベルから各信号レベルでのピーク値の発生頻度を示す分
    布を求める手段と、 前記検出器信号の基準レベルを境界として前記正規信号
    と反対極性側の分布から関数近似によって前記正規信号
    と同一極性側のノイズ分布を推定する手段と、 前記正規信号と同一極性側のノイズ分布を、前記正規信
    号と同一極性側の分布から差し引いて正規信号の分布を
    推定する手段と、 前記正規信号と同一極性側のノイズ分布または前記正規
    信号の分布の少なくとも一方からディスクリ電圧を決定
    する手段とを具備したことを特徴とする放射線計測装
    置。
  4. 【請求項4】 放射線検出器の出力信号を信号変換した
    検出器信号とノイズ除去のためのディスクリ電圧とを比
    較し、当該検出器信号中でディスクリ電圧を越える正規
    信号を計数して放射線計測に用いる放射線計測装置にお
    いて、 前記検出器信号を高速デジタルサンプリングする手段
    と、 前記サンプリング手段が検出したサンプル値の各信号レ
    ベルでの発生頻度を示す分布を求める手段と、 前記検出器信号の基準レベルを境界とする前記正規信号
    と反対極性側の分布から関数近似によって前記正規信号
    と同一極性側のノイズ分布を推定する手段と、 前記正規信号と同一極性側のノイズ分布を、前記正規信
    号と同一極性側の分布から差し引いて正規信号の分布を
    推定する手段と、 前記正規信号と同一極性側のノイズ分布または前記正規
    信号の分布の少なくとも一方からディスクリ電圧を決定
    する手段とを具備したことを特徴とする放射線計測装
    置。
  5. 【請求項5】 放射線検出器の出力信号を信号変換した
    検出器信号とノイズ除去のためのディスクリ電圧とを比
    較し、当該検出器信号中でディスクリ電圧を越える正規
    信号を計数して放射線計測に用いる放射線計測装置にお
    いて、 前記検出器信号の基準レベルを境界とする前記正規信号
    と反対極性側までを含んだ範囲で各信号レベルでのノイ
    ズ信号の発生または検出頻度を示すノイズ分布を求める
    手段と、 前記正規信号の反対極性側におけるノイズ分布の立ち上
    がり点での信号レベルAと当該ノイズ分布の極大点にお
    ける信号レベルBとから、信号レベルBを挟んで信号レ
    ベルAと対称位置となる信号レベルCを求めて最適なデ
    ィスクリ電圧を決定する手段とを具備したことを特徴と
    する放射線計測装置。
  6. 【請求項6】 請求項1から請求項5のいずれか1項に
    記載の放射線計測装置において、 ノイズ分布上の極大点での信号レベルが基準レベルから
    どの程度ずれているか検出して、その検出したずれ量を
    オフセット情報として保存するオフセット保存手段を具
    備したことを特徴とする放射線計測装置。
  7. 【請求項7】 放射線検出器の出力信号を信号変換した
    検出器信号とノイズ除去のためのディスクリ電圧とを比
    較し、当該検出器信号中でディスクリ電圧を越える正規
    信号を計数して放射線計測に用いる放射線計測装置にお
    いて、 前記放射線検出器の抵抗を模擬した模擬抵抗を有する模
    擬回路と、 前記放射線検出器からの出力信号を取り込む入力段に設
    けられ、前記模擬回路と前記放射線検出器との間を切り
    換える切換手段と、 前記検出器信号の基準レベルより大きいディスクリ電圧
    が設定されている場合は、前記切換手段から受ける前記
    検出器信号が当該ディスクリ電圧より大きい信号レベル
    になったとき信号出力し、前記基準レベルより小さいデ
    ィスクリ電圧が設定されている場合は、前記切換手段か
    ら受ける前記検出器信号が当該ディスクリ電圧より小さ
    い信号レベルとなったとき信号出力する比較手段と、 前記比較手段から出力される信号数をカウントするカウ
    ント手段と、 前記比較手段に設定する前記ディスクリ電圧を前記基準
    レベルと該基準レベルよりも大きな所定値との間で変化
    させて、各ディスクリ電圧において前記カウント手段で
    カウントされたカウント値から正方向カウント分布を求
    める手段と、 前記切換手段が前記模擬回路と接続状態にある場合に求
    めた正方向カウント分布を前記切換手段が前記放射線検
    出器と接続状態にある場合に求めた正方向カウント分布
    から差し引いて正規信号のカウント分布を推定する手段
    と、 前記切換手段が前記模擬回路と接続状態にある場合に求
    めた正方向カウント分布または前記正規信号のカウント
    分布の少なくとも一方から前記比較手段に設定すべきデ
    ィスクリ電圧を決定する手段とを具備したことを特徴と
    する放射線計測装置。
  8. 【請求項8】 放射線検出器の出力信号を信号変換した
    検出器信号とノイズ除去のためのディスクリ電圧とを比
    較し、当該検出器信号中でディスクリ電圧を越える正規
    信号を計数して放射線計測に用いる放射線計測装置にお
    いて、 前記検出器信号の基準レベルより大きいディスクリ電圧
    が設定されている場合は前記検出器信号が当該ディスク
    リ電圧より大きい信号レベルになったとき信号出力し、
    前記基準レベルより小さいディスクリ電圧が設定されて
    いる場合は前記検出器信号が当該ディスクリ電圧より小
    さい信号レベルとなったとき信号出力する比較手段と、 前記比較手段から出力される信号数をカウントするカウ
    ント手段と、 前記比較手段に設定する前記ディスクリ電圧を前記基準
    レベルと該基準レベルよりも大きな所定値との間で変化
    させて、各ディスクリ電圧において前記カウント手段で
    カウントされたカウント値から正方向カウント分布を求
    める手段と、 前記放射線検出器が放射線の検出を行なっているか否か
    を示す動作状態を設定する手段と、 前記放射線検出器の動作状態が放射線検出を行なってい
    ないことを示しているときに前記比較手段の出力から求
    めた正方向カウント分布と、前記動作状態が放射線検出
    を行なっていることを示しているときに前記比較手段の
    出力から求めた正方向カウント分布とから正規信号のカ
    ウント分布を推定する手段と、 前記放射線検出を行なっていないときに求めた正方向カ
    ウント分布または前記正規信号のカウント分布の少なく
    とも一方から前記比較手段に設定すべきディスクリ電圧
    を決定する手段とを具備したことを特徴とする放射線計
    測装置。
  9. 【請求項9】 放射線検出器の出力信号を信号変換した
    検出器信号とノイズ除去のためのディスクリ電圧とを比
    較し、当該検出器信号中でディスクリ電圧を越える正規
    信号を計数して放射線計測に用いる放射線計測装置にお
    いて、 前記検出器信号の基準レベルより大きいディスクリ電圧
    が設定されている場合は、前記切換手段から受ける前記
    検出器信号が当該ディスクリ電圧より大きい信号レベル
    になったとき信号出力し、前記基準レベルより小さいデ
    ィスクリ電圧が設定されている場合は、前記切換手段か
    ら受ける前記検出器信号が当該ディスクリ電圧より小さ
    い信号レベルとなったとき信号出力する比較手段と、 前記比較手段から出力される信号数をカウントするカウ
    ント手段と、 前記比較手段に設定する前記ディスクリ電圧を前記基準
    レベルと該基準レベルよりも大きな所定値との間で変化
    させて、各ディスクリ電圧において前記カウント手段で
    カウントされたカウント値から正方向カウント分布を求
    める手段と、 前記正方向カウント分布から勾配が所定値以下となる平
    坦部を求めて前記比較手段に設定すべきディスクリ電圧
    を決定する手段とを具備したことを特徴とする放射線計
    測装置。
  10. 【請求項10】 放射線検出器の出力信号を信号変換し
    た検出器信号とノイズ除去のためのディスクリ電圧とを
    比較し、当該検出器信号中でディスクリ電圧を越える正
    規信号を計数して放射線計測に用いる放射線計測装置に
    おいて、 前記検出器信号のピーク値を検出するピーク値検出手段
    と、 前記ピーク値検出手段が検出したピーク値とその信号レ
    ベルとから各信号レベルでのピーク値の発生頻度を示す
    分布を求める手段と、 前記分布から最も基準レベルに近い極小点を求めてディ
    スクリ電圧として決定する手段とを具備したことを特徴
    とする放射線計測装置。
  11. 【請求項11】 放射線検出器の出力信号を信号変換し
    た検出器信号とノイズ除去のためのディスクリ電圧とを
    比較し、当該検出器信号中でディスクリ電圧を越える正
    規信号を計数して放射線計測に用いる放射線計測装置に
    おいて、 前記検出器信号を高速デジタルサンプリングする手段
    と、 前記サンプリング手段が検出したサンプル値の発生頻度
    を示す分布を求める手段と、 前記分布から最も基準レベルに近い極小点を求めてディ
    スクリ電圧として決定する手段とを具備したことを特徴
    とする放射線計測装置。
  12. 【請求項12】 請求項1から請求項11のいずれか1
    項に記載した放射線計測装置において、 ディスクリ電圧が設定されるまでに得られる情報と設定
    されたディスクリ電圧とを含んだ内部情報を表示する表
    示手段と、 前記内部情報を変更又は再設定するための更新情報を入
    力する入力手段とを備えたことを特徴とする放射線計測
    装置。
  13. 【請求項13】 放射線検出器の出力信号を信号変換し
    た検出器信号を微分回路に入力して波形整形し、該微分
    回路の出力を元波形の減衰特性により基準レベルから負
    方向に信号が変化するアンダーシュート部分を許容範囲
    に入れるポールゼロ調整回路によってポールゼロ調整す
    る放射線計測装置において、 前記微分回路の出力波形を取り込んで元波形の基準レベ
    ルに相当する基準値と比較しアンダーシュート部分が許
    容範囲内に存在するか否か判定し、この判定結果からア
    ンダーシュート部分が許容範囲内に存在しない場合は当
    該アンダーシュート部分を許容範囲側へ移動させるよう
    に波形整形するポールゼロ調整値を前記ポールゼロ調整
    回路に設定することを特徴とする放射線計測装置。
  14. 【請求項14】 放射線検出器の出力信号を信号変換し
    た検出器信号を微分回路に入力して波形整形し、該微分
    回路の出力を元波形の減衰特性により基準レベルから負
    方向に信号が変化するアンダーシュート部分を許容範囲
    に入れるポールゼロ調整回路によってポールゼロ調整す
    る放射線計測装置において、 前記微分回路の出力信号を高速デジタルサンプリングし
    て微分波形データを取り込むA/D変換手段と、 前記微分波形データの最小値を元波形の基準レベルに相
    当する基準値と比較し当該最小値が基準値を中心にした
    許容範囲内に存在するか否か判定する判定手段と、 前記判定手段による判定結果から前記最小値が許容範囲
    内になければ当該最小値を許容範囲側へ移動させるよう
    に波形整形するポールゼロ調整値を前記ポールゼロ調整
    回路に設定する手段とを具備したことを特徴とする放射
    線計測装置。
  15. 【請求項15】 請求項14記載の放射線計測装置にお
    いて、 前記判定手段は、前記微分波形データから波形立ち上が
    りからピークにかけての初期部分のデータを取り出して
    下式への関数近似を実行し、該近似関数の最小値が、前
    記許容範囲にあるか否かを判定することを特徴とする放
    射線計測装置。 V0 exp(−αt) V0 :微分信号ピーク電圧 α :求める値 t :時間
  16. 【請求項16】 請求項13から請求項15のいずれか
    1項に記載した放射線計測装置において、 微分回路の出力信号を定常状態においても取り込んで保
    存し、前記微分回路の出力信号においてポールゼロ調整
    処理の対象信号が立ち上がったならば、その信号立ち上
    がり直前の信号レベルをアンダーシュート部分が許容範
    囲にあるか否かを判断するための基準値として用いるこ
    とを特徴とする放射線計測装置。
  17. 【請求項17】 請求項14から請求項16のいずれか
    1項に記載した放射線計測装置において、 前記判定手段は、前記A/D変換手段から出力される波
    形データのうち信号レベルが一定レベル以上の波形デー
    タのみを処理対象とする波形選別を行なうことを特徴と
    する放射線計測装置。
  18. 【請求項18】 請求項1から請求項17のいずれか1
    項記載の放射線計測装置と、前記放射線計測装置に接続
    されたホスト計算機とで構成された放射線計測システム
    であり、 前記放射線計測装置には、前記ホスト計算機との間でデ
    ータ伝送する伝送ポートと、前記伝送ポートを介して入
    力する前記ホスト計算機からの命令に応じて装置内に設
    定しているパラメータの収集及び変更を実行する機能と
    を備え、 前記ホスト計算機には、前記放射線計測装置での計測に
    必要なパラメータを管理する機能と、前記放射線計測装
    置で自動的に設定したパラメータを当該放射線計測装置
    から収集して管理データを更新する機能と、前記放射線
    計測装置に新しいパラメータをダウンロードして以前に
    調整したパラメータを更新する機能とを備えたことを特
    徴とする放射線計測システム。
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