JPH10192894A - 含油含鉄スラッジの処理方法 - Google Patents

含油含鉄スラッジの処理方法

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JPH10192894A
JPH10192894A JP35795696A JP35795696A JPH10192894A JP H10192894 A JPH10192894 A JP H10192894A JP 35795696 A JP35795696 A JP 35795696A JP 35795696 A JP35795696 A JP 35795696A JP H10192894 A JPH10192894 A JP H10192894A
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oil
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air
pile
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JP35795696A
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Inventor
Mikikazu Hara
幹和 原
Toki Iemoto
勅 家本
Tomoyoshi Yamamoto
友義 山本
Yasunori Muraki
靖徳 村木
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 含油含鉄スラッジを油分の蒸発や大塊化を生
じさせることなく経済的に乾燥処理すること 【解決手段】 含油含鉄スラッジを所定の含水率に脱水
後、金属鉄を含む転炉ダストを重量比で[含油含鉄スラ
ッジ]:[転炉ダスト]=1:0.5〜1:2の割合で
混合して混練し、該混合物を山積みしてその積み山の底
部から常温の空気を通風させるか、或いは空気または空
気を主成分とするガスを積み山内の温度が120℃以下
となるよう制御しつつ通風させることにより、金属鉄の
酸化熱で混合物中の水分を蒸発させ、混合物の含水率を
5%以下にすることを特徴とするもので、含油含鉄スラ
ッジと転炉ダストとの混合割合の規制と、常温空気の通
風または空気通風量の制御によって積み山内の温度を1
20℃以下に維持できるため、油分の蒸発やスラッジの
大塊化を生じさせることなく、混合物を適切に乾燥処理
することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、製鉄プロセスの圧
延工程において発生する圧延油等を含む含鉄スラッジを
再利用するための処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】製鉄プロセスの圧延工程においては、ロ
ール冷却やスケール(酸化鉄)除去等に多量の水が使用
されており、通常、この水は油水分離、凝集沈降、濾過
等の水処理を経て循環使用されている。この水処理過程
で発生するのがミルスケールと含油含鉄スラッジであ
る。このうちミルスケールはその殆どが酸化鉄であり、
粒径がmmオーダーと比較的大きく、圧延油等の油分含
有量も微量であるため、一般に乾燥、篩分けされた後、
鉄源として焼結鉱原料や製鋼原料、或いは溶銑予備処理
過程の脱珪剤などに再利用されている。
【0003】一方、含油含鉄スラッジはミルスケールに
近い鉄分を含有しているものの、粒径がμmオーダーと
細かく、特に油分を通常2〜15%程度含んでおり、こ
のことが製鉄プロセス内で再利用する場合の課題とな
る。例えば、この含油含鉄スラッジをそのまま焼結鉱原
料として再利用した場合、油分が蒸発して集塵装置に蓄
積され、高温ガスの流入や火種が飛来した時に発火する
原因となる。また、熱風乾燥機により乾燥する場合も、
同じような現象を生じる恐れがある。したがって、含油
含鉄スラッジについては油分が影響しない範囲に処理量
や使用量を制限して再利用するか、或いは焼却処理によ
り油分を燃焼除去して再利用するのが一般的である。
【0004】従来、含油含鉄スラッジの利用方法に関し
ては多くの技術が開示されている。例えば、特開昭54
−28484号公報には、油分調整物質を添加して焼却
処理し、焼結鉱原料やセメント原料として利用する“低
油分無機質性スラッジの処理方法”が開示されている。
特開昭54−4278号公報には、含油スラッジスラリ
ーと水に対して非混和性の溶剤とを接触させ、該スラッ
ジ中の油分を溶剤に抽出させて油分を除去し、製鉄原料
として利用する“含油スラッジの処理方法”が開示され
ている。特公昭56−9219号公報には、界面活性剤
を主成分とする洗浄液で含油スラッジを洗浄し、油分を
除去することにより焼結鉱原料等に利用する“含油スラ
ッジの処理方法”が開示されている。特公昭57−43
622号公報には、含油含鉄スラッジを脱水機で20〜
40%に脱水した後、耕耘式乾燥により乾燥し、これに
セメント系バインダーを添加混練してペレットの核を形
成させ、さらにセメント系バインダーと乾ダストを加え
て造粒、養生したペレットを製鋼原料として利用する
“含油含鉄スラッジを利用した製鋼用ペレット製造方
法”が開示されている。特公昭55−11728号公報
には、圧延油等を含む浮遊状超微粉スケールを水分10
%以下にした後、バインダーとしてベントナイトを添加
混練し、団鉱機または成型機により成形して低温乾燥を
行い、水分を1%以下にして金属精錬炉で使用する“圧
延油等を含む浮遊状超微粉スケールの処理方法”が開示
されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来技術によ
る含油含鉄スラッジの利用方法は、 (1) 焼却処理し油分を燃焼除去して利用する方法 (2) 油分を溶剤で抽出または界面活性剤で洗浄除去して
利用する方法 (3) バインダーを加えて養生、低温乾燥を行い含油状態
のまま利用する方法 などに大別できる。しかし、これらのうち(1)の方法
は、油分は除去できるものの、数%オーダーの油分を燃
焼させるために高温の雰囲気が必要であり、設備投資、
使用エネルギー、排ガス処理等のコストを考慮した場
合、経済的な方法とはいえない。
【0006】(2)の方法は、スラッジのスラリー濃度、
溶剤または界面活性剤の濃度、抽出または洗浄処理時の
温度、スラッジと溶剤または界面活性剤との均一な混合
処理等について、油分を確実に除去するために厳密な管
理が必要になる。また、油分分離を行ってもスラッジ中
の油分を完全には分離できないため、残留する油分の処
理のために活性汚泥処理等が必要になる。したがって、
この方法も経済的な方法とはいえない。(3)の方法は、
スラッジの油分を除去するものではないため、処理され
たスラッジは主に高炉、転炉、電気炉等の金属精錬炉で
利用されることになる。しかし、この方法においてセメ
ント系バインダーを用いた場合、バインダー中は鋼に有
害なS(石膏として)が含まれており、またCaO、S
iO2等のスラグ成分も含まれるため、これを滓化する
ためのエネルギーも必要となり、且つスラグの発生量も
増加する。また、バインダーとしてベントナイトを用い
た場合も、ベントナイトはSiO2、Al23を主成分
とするものであるため、上記と同様にエネルギー消費や
スラグ量の増加という問題を生じる。
【0007】このように、含油含鉄スラッジの再利用に
関しては、経済性、省エネルギー性等の観点からみて有
効な処理方法が確立されていないのが実状である。した
がって本発明の目的は、水分を含んだ含油含鉄スラッジ
を油分の蒸発や蒸発した油分の発火等の問題を生じるこ
となく経済的に乾燥し、金属精錬炉等での再利用を可能
ならしめる含油含鉄スラッジの処理方法を提供すること
にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記のよ
うな実状に鑑み含油含鉄スラッジの有効利用に関して鋭
意研究を行った結果、含油含鉄スラッジに金属鉄を含む
転炉ダストを適量混合し、転炉ダストに含まれる金属鉄
の酸化熱により含油含鉄スラッジを比較的低温で乾燥処
理する方法を見出し、本発明を完成するに至った。転炉
ダストは製鋼工程の転炉において銑鉄を鋼に精錬する過
程で発生し、通常、ベンチュリー等の湿式集塵機で補集
され、シックナーで水と分離後、フィルタープレス等で
脱水回収される。この転炉ダストは金属鉄や酸化鉄の形
でFe分を60%以上含み、鉄鉱石並みの品位をもつた
め、一般に焼結鉱原料等に再利用されている。
【0009】本発明者らはこの転炉ダストに着目した。
すなわち、転炉ダストは通常20%以上の金属鉄を含ん
でおり、ヤードに山積みした場合、ダスト中の金属鉄が
酸化発熱し、極端な場合には赤熱発火することが経験的
に知られていた。しかし、その酸化熱を積極的に活用す
ることは従来ほとんど行われておらず、僅かに以下のよ
うな利用方法、すなわち、転炉ダスト等の湿潤含鉄粉粒
に130℃以上の温度のガスを通入し、含鉄粉粒中の金
属鉄等の酸化発熱を利用して含鉄粉粒を乾燥する方法
(特公昭63−11588号公報)や、湿潤転炉ダスト
を酸化発熱を利用して700〜1600℃に昇温させる
ことで塊成化し、これを高炉及び転炉原料として利用す
る方法(特開平7−90395号公報、特開平7−15
7829号公報)が知られているに過ぎない。
【0010】しかし、これらの技術は含油含鉄スラッジ
の処理方法には全く適用することができない。すなわ
ち、前者の方法は130℃以上の熱風を通入するため、
これを含油含鉄スラッジの処理に適用した場合にはスラ
ッジ中の油分が蒸発してしまい、環境汚染や蒸発した油
分の発火という問題を生じる。また、この方法は130
℃以上の熱風を用いるためスラッジの堆積物内部が高温
となり、スラッジに酸化皮膜が生成して凝集造粒(塊成
化)を生じる。このように凝集造粒したスラッジの中に
は300mm程度の大塊になるものもあるため、製鋼プ
ロセスではそのまま使用できず、破砕や篩分けといった
事後処理が必要となる。また、後者の方法でもスラッジ
が700〜1600℃の高温となり、焼結機と同様の製
造方式であるため、これを含油含鉄スラッジの処理に適
用した場合には当然油分が蒸発し、また、スラッジが塊
成化して一部が大塊となるため、前者の場合と同様に破
砕や篩分け等の事後処理が必要となる。
【0011】これに対して本発明は、製鉄プロセス副生
物である転炉ダスト中の金属鉄の酸化熱を有効利用し、
且つ油分を蒸発させたり、スラッジを大塊化させたりす
ることなく含油含鉄スラッジの水分のみを蒸発させるよ
うにしたもので、その特徴とする構成は以下の通りであ
る。 (1) 含油含鉄スラッジを含水率20〜40%に脱水後、
該含油含鉄スラッジに金属鉄を含む転炉ダストを重量比
で[含油含鉄スラッジ]:[転炉ダスト]=1:0.5
〜1:2の割合で混合して混練し、該混合物を山積みし
てその積み山の底部から常温の空気を通風させることに
より、金属鉄の酸化熱で混合物中の水分を蒸発させ、混
合物の含水率を5%以下にすることを特徴とする含油含
鉄スラッジの処理方法。
【0012】(2) 含油含鉄スラッジを含水率20〜40
%に脱水後、該含油含鉄スラッジに金属鉄を含む転炉ダ
ストを重量比で[含油含鉄スラッジ]:[転炉ダスト]
=1:0.5〜1:2の割合で混合して混練し、該混合
物を山積みしてその積み山の底部から空気または空気を
主成分とするガスを通風させるとともに、積み山内の温
度が120℃以下となるよう、積み山底部からの空気ま
たは空気を主成分とするガスの通風量を制御することに
より、金属鉄の酸化熱で混合物中の水分を蒸発させ、混
合物の含水率を5%以下にすることを特徴とする含油含
鉄スラッジの処理方法。
【0013】
【発明の実施の形態】含油含鉄スラッジは、製鉄プロセ
スの圧延工程における水処理過程で発生するが、通常、
この含油含鉄スラッジは含水率が70%以上のスラリー
状態で水処理過程から排出される。このため本発明法に
おいては、この含油含鉄スラッジを含むスラリーを含水
率20〜40%まで脱水する。この脱水後の含油含鉄ス
ラッジの含水率が40%を超えると、本発明の処理後に
おける含油含鉄スラッジと転炉ダストの混合物の含水率
を5%以下にすることが困難となる。一方、本発明法で
は含油含鉄スラッジを過度に脱水する必要はなく、また
通常の脱水手段ではスラッジを含水率20%未満まで脱
水することは難しく、むやみに含水率を下げることは設
備やエネルギーコストの面で本発明のメリットを失わせ
ることになる。通常、この脱水処理は減圧脱水、加圧脱
水等の脱水機で行われる。
【0014】このような脱水処理後、含油含鉄スラッジ
に金属鉄を含む転炉ダストを混合して混練する。含油含
鉄スラッジに混練する転炉ダストは、発生後1〜2週間
以内の新しいものであることが望ましい。転炉ダストは
発生後2週間以上経過すると、発生直後に含まれる金属
鉄が酸化し、所要の酸化熱が得られにくくなる。本発明
法では、含油含鉄スラッジに転炉ダストを重量比で[含
油含鉄スラッジ]:[転炉ダスト]=1:0.5〜1:
2の割合で混合し混練する。含油含鉄スラッジ1に対す
る転炉ダストの混合割合が重量比で0.5未満では酸化
発熱量が小さく、混合物の含水率を5%以下にすること
ができない。一方、含油含鉄スラッジ1に対する転炉ダ
ストの混合割合が重量比で2を超えると、転炉ダスト中
の金属鉄による酸化発熱量が大きくなり過ぎるため、混
合物を山積みした際の積み山内の温度を120℃以下に
制御することが困難となり、スラッジに含まれる油分が
蒸発する恐れがある。
【0015】なお、本発明法では転炉ダスト中の金属鉄
を酸化させるために混合物の積み山に空気(または空気
を主成分とするガス)を通風させるが、積み山内の温度
制御を容易に行うため、外気温(したがって、通気させ
る空気の温度)が異なる冬期や夏期等に応じて含油含鉄
スラッジに対する転炉ダストの混合割合を変えることが
望ましい。すなわち、含油含鉄スラッジに対する転炉ダ
ストの混合割合は、外気温が低い冬期には高目に、夏期
には低目に設定した方がよい。含油含鉄スラッジと転炉
ダストはともに比重が高く且つ微粉であるため、両者を
混練するための混練機は混練力の強いものが望ましく、
したがって、例えばスクリュー式のニーダー、アイリッ
ヒミキサーなどが好適である。
【0016】上記のように所定の混合割合で混練された
含油含鉄スラッジと転炉ダストの混合物は、山積みした
上でその底部から常温の空気を通風する。通常、混合物
の山積みはスタッカー等の軌道上を移動する積付け機や
ショベルローダー等の重機により行われる。山積みの高
さは、通常2〜4m程度が適当である。山積みの高さが
4mを超えると通気性が悪化するとともに、通風に偏流
を生じやすくなり、均一な酸化、乾燥が困難になる恐れ
がある。一方、山積みの高さが2m未満では放熱量が大
きくなるため、所要の含水率まで乾燥できなくなる恐れ
がある。なお、山積みにブルドーザーを用いて積み上げ
ると、積み山の密度が上がり、密度差も生じるので好ま
しくない。混合物の山積みに際しては、均一に積み上げ
ることが必要である。また、積み山の大きさは、含油含
鉄スラッジの発生量にもよるが、通常500〜1000
t程度が適当である。
【0017】混合物の積み山底部から空気を適切に通風
させるために、通常、混合物の山積み場所には5mmφ
程度の空気噴出孔を適当な間隔で形成した空気噴出配管
を1〜2m程度の間隔で敷設して、その上に混合物の山
積みを行うことが好ましい。積み山の底部から通風する
常温の空気は、通常2kgf/cm2以上の圧縮空気を
使用し、積み山の通気抵抗に応じて適宜減圧調整して積
み山内へ送気する。なお、圧縮空気は製鉄所では多量に
使用されており、一般に低コストである。また、圧縮空
気は処理完了後における配管の空気噴出孔の目詰まり除
去用としても使用できる。
【0018】積み山底部からの空気の供給量は、転炉ダ
ストの金属鉄含有量と空気中酸素の利用効率により決定
される。例えば、転炉ダストの金属鉄含有量を30重量
%、酸素の利用効率を20%とした場合、転炉ダスト1
t当り約3500Nm3程度の空気が必要となる。この
積み山内への空気の通風による処理期間は、混合物の水
分、金属鉄含有量、外気温、湿度、風向、風速等によっ
て異なるが、通常1ヵ月程度である。積み山内への空気
の通風に当っては、通気した空気の吹き抜けがないよ
う、通風する空気の圧力を調整することが好ましい。な
お、降雨や降雪等による水分上昇を避けるため、混合物
の山積み場所には屋根を設けることが望ましい。
【0019】以上のようにして、所定の混合割合で混練
された含油含鉄スラッジと転炉ダストの混合物の積み山
内に常温の空気を通気させることにより、転炉ダスト中
の金属鉄が適度に酸化発熱し、積み山内の温度を過度に
上昇させることなく混合物中の水分を蒸発させ、混合物
を含水率5%以下まで乾燥させることができる。すなわ
ち、本発明法では含油含鉄スラッジと転炉ダストの混合
割合を規制し且つ常温の空気を通気させるため積み山内
の温度が120℃を超えることは殆どなく、このため油
分が蒸発したり、スラッジを塊成化させたりすることな
く、混合物を適切に乾燥させることができる。したがっ
て、得られた乾燥品は破砕や篩分け等の処理を施すこと
なく、そのまま転炉の鉄源等として利用することができ
る。なお、積み山内に常温の空気を通気させる本発明法
では、通風量等の特別な制御を行わなくても積み山内の
温度が120℃を超えることは殆どないが、外気温と転
炉ダストの混合率や通風量との関係によっては、積み山
内の温度が120℃を超えるような事態を生じるおそれ
も僅かながらあり得る。したがって、この場合には混合
物中での転炉ダストの混合率、空気の通風量等を適宜調
整するか、或いは積み山への散水を行う等の対応を採る
ことが好ましい。
【0020】以上は混合物の積み山内に常温の空気を通
気させる場合について述べたが、本発明法では、積み山
内の温度を120℃以下に維持できれば、積み山内に通
気させる空気の成分や温度を特に限定する必要はなく、
したがって空気を主成分としこれに他のガス成分(例え
ば、窒素、富化酸素等)が含まれるガスを通気させた
り、或いは常温以上の温度の空気(または、上記空気を
主成分とするガス)を通気させることもできる。この場
合には、例えば混合物の積み山内の数ヵ所に熱電対等の
温度計を挿入しておき、積み山内の温度が120℃以下
に維持されるよう、積み山の底部から通風する空気また
は空気を主成分とするガス(以下、これらを総称して単
に“空気”という)の流量を調整することが好ましい。
また、この場合においても、混合物の山積の態様、積み
山内に通風する空気の圧力およびその調整、空気の通風
を行う処理期間等は上述したと同様である。
【0021】以上のようにして、混合物の積み山内の温
度を120℃以下に維持しつつ空気を通気させることに
より、混合物中の油分が蒸発したり、スラッジを塊成化
させたりすることなく、混合物を含水率5%以下まで乾
燥させることができる。本発明法で得られた混合物の乾
燥品は、油分が残っているため焼結鉱原料として大量に
利用することは難しいが、製鋼原料、特に転炉原料とし
て破砕や篩分け等の処理を加えることなく、ミルスケー
ルと同等に再利用することが可能である。製鋼炉、特に
転炉においては炉内が高温(通常、1300〜1600
℃)となるため、本発明法で処理した混合物の乾燥品を
炉内に装入しても、これに含まれる油分は分解、乾燥し
てしまうからである。また、本発明法で処理した混合物
の乾燥は、溶銑予備処理(脱珪処理、脱燐処理等)の添
加材料(例えば脱珪材)としても利用することができ
る。
【0022】
【実施例】本実施例に用いた含油含鉄スラッジと転炉ダ
ストの成分を表1に示す。これらを表2に示す混合割合
でミキサーに投入して均一になるまで混練を行い、含油
含鉄スラッジと転炉ダストの混合物を得た。なお、ミキ
サーとしては2軸スクリュータイプのニーダーを用い
た。図1に示すように混合物の山積み場所には、5mm
φの空気噴出孔が30cm間隔で形成された25Aの枝
管3を100Aの圧縮空気本管2から分岐させ、この枝
管3を1m間隔で敷設した。なお、各枝管3には減圧及
び流量調整用のバルブを設けた。
【0023】次に、ショベルローダーにて図1に示すよ
うな位置に約300tの前記混合物を高さ約2mに山積
みした。山積み完了後、積み山の両端から中央部寄り1
mの位置に2ヵ所、中央部に4ヵ所の計6ヵ所にK型シ
ース熱電対を挿入した。以上の作業が完了した後、前記
圧縮空気本管2および枝管3を通じた積み山底部からの
通風を開始した。各枝管3から通風する空気の圧力は、
積み山の状況を目視観察して吹き抜けがないように調整
するとともに、空気の流量は積み山の温度上昇を見なが
ら適宜調整した。また、積み山の温度が過度に上昇した
場合を想定して、前記熱電対による測定温度が100℃
に達した時点での通風停止、120℃を超える恐れがあ
る時の積み山への散水を行えるようにした。なお、本実
施例は平均気温が20℃前後の時期に実施した。
【0024】その結果を表3に示す。これによれば本発
明例A、B、Cでは積み山内の温度は常時100℃未満
に維持されるとともに、処理期間の違いはあるものの、
目標とした含水率5%以下を達成できた。なお、本発明
例Aは積み山内の温度を100℃未満に抑えるため若干
の散水を行った。したがって、本実施例の実施時期より
もさらに気温が上昇する夏期においては、含油含鉄スラ
ッジ1に対する転炉ダストの混合割合(重量比)を2よ
りも低減させることが好ましい。また、本発明例Cは転
炉ダストの混合割合(重量比)が本発明が規定する下限
値であったため、処理に比較的時間を要した。したがっ
て、夏期であれば本発明例Cよりも処理期間を短縮する
ことが可能であるが、冬期では本発明例Cよりもさらに
期間を要するため、冬期においては転炉ダストの混合割
合(重量比)を0.5よりも増加させることが好しい。
また、本発明例A、B、Cで得られた乾燥品は、いずれ
も粒径が10mm以下であった。
【0025】一方、比較例Dは含油含鉄スラッジ1に対
する転炉スラグの混合割合(重量比)が3と高いため積
み山内の温度抑制が困難となり、多量の散水を行ったに
もかかわらず積み山内の一部が120℃を超えてしまっ
た。このため比較例Dは目標の含水率5%以下を達成で
きたものの、積み山内が部分的に120℃を超えたこと
により油分が蒸発した可能性が高く、環境汚染上好まし
くない。また、この比較例Dで得られた乾燥品には、粒
径が最大30mmのものが含まれていた。比較例Eは含
油含鉄スラッジ1に対する転炉スラグの混合割合(重量
比)が0.3と小さいため積み山内の温度上昇が不十分
であり、このため長期間処理しても目標とした含水率5
%以下を達成することができなかった。本発明例A、
B、Cで得られた混合物の乾燥品について、転炉での使
用試験を行った。転炉では乾燥ミルスケールが原料とし
て使用されていたので、ミルスケールに対し前記混合物
の乾燥品を10wt%混合(含油含鉄スラッジの発生量
にほぼ相当する量)して使用した。その結果、転炉操
業、副生ガス性状、鋼品質等に特段の変化は見られなか
った。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、含油
含鉄スラッジを油分の蒸発や蒸発した油分の発火等の問
題を生じることなく且つ大塊を生じさせることなく転炉
ダストの酸化熱を利用して経済的に乾燥処理することが
でき、処理後の含油含鉄スラッジと転炉ダストの混合物
は転炉等の鉄源や各種溶銑予備処理の添加材料等として
有効利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における混合物の山積み状況を
示す平面図
【符号の説明】
1…積み山、2…圧縮空気本管、3…枝管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村木 靖徳 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 含油含鉄スラッジを含水率20〜40%
    に脱水後、該含油含鉄スラッジに金属鉄を含む転炉ダス
    トを重量比で[含油含鉄スラッジ]:[転炉ダスト]=
    1:0.5〜1:2の割合で混合して混練し、該混合物
    を山積みしてその積み山の底部から常温の空気を通風さ
    せることにより、金属鉄の酸化熱で混合物中の水分を蒸
    発させ、混合物の含水率を5%以下にすることを特徴と
    する含油含鉄スラッジの処理方法。
  2. 【請求項2】 含油含鉄スラッジを含水率20〜40%
    に脱水後、該含油含鉄スラッジに金属鉄を含む転炉ダス
    トを重量比で[含油含鉄スラッジ]:[転炉ダスト]=
    1:0.5〜1:2の割合で混合して混練し、該混合物
    を山積みしてその積み山の底部から空気または空気を主
    成分とするガスを通風させるとともに、積み山内の温度
    が120℃以下となるよう、積み山底部からの空気また
    は空気を主成分とするガスの通風量を制御することによ
    り、金属鉄の酸化熱で混合物中の水分を蒸発させ、混合
    物の含水率を5%以下にすることを特徴とする含油含鉄
    スラッジの処理方法。
JP35795696A 1996-12-27 1996-12-27 含油含鉄スラッジの処理方法 Pending JPH10192894A (ja)

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