JPH10169987A - ガスタービン燃焼器およびその運用方法 - Google Patents

ガスタービン燃焼器およびその運用方法

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JPH10169987A
JPH10169987A JP32819596A JP32819596A JPH10169987A JP H10169987 A JPH10169987 A JP H10169987A JP 32819596 A JP32819596 A JP 32819596A JP 32819596 A JP32819596 A JP 32819596A JP H10169987 A JPH10169987 A JP H10169987A
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combustion
liner
gas turbine
turbine combustor
annular
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JP32819596A
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Inventor
Kunihiro Ichikawa
国弘 市川
Shigeo Sakurai
茂雄 桜井
Yasushi Hayasaka
靖 早坂
Shinichi Nakahara
信一 中原
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】分割燃焼の運用を受けるガスタービン燃焼器に
も対応できる熱疲労損傷に対する信頼性を向上させるこ
とにある。 【解決手段】環状に配列された複数の予混合バーナ9用
燃焼ノズルから噴射された燃料の燃焼炎の周囲を囲う環
状のライナー12を備えたガスタービン燃焼器におい
て、前記燃焼炎と前記ライナー12との前記環状の方向
の相対的位置を変化させる位置変更手段を備えたことを
特徴とするガスタービン燃焼器であり、燃焼炎からの熱
影響を受けるライナー12の部位が変化するので、局所
への繰り返し熱応力の発生部位も移動して分散し、一定
局所での損傷進展が抑制され、冷却機構に頼らずにライ
ナー寿命の延長効果が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はガスタービン燃焼器
に関する。
【0002】
【従来の技術】産業用ガスタービンなどの燃焼器におい
ては、環境問題への配慮から、燃焼器内に生じる窒素酸
化物(NOx)の排出量を低減することが求められてい
る。
【0003】NOxの低減は、燃料と空気を燃焼前に混
合して燃焼する予混合燃焼を利用し、かつ燃料と空気の
混合比(燃空比)が理論混合比よりも小さい状態で燃焼
させることによって図られる。
【0004】また、ガスタービンの全負荷帯でのNOx
低減のためには予混合分割燃焼方式が有効である。この
方法は環状に複数個の予混合用の燃料ノズルを配置しガ
スタービン負荷に応じて、燃料を噴射するノズルの数を
変化させる方式である。
【0005】これにより燃焼器部品には燃焼ガスに接触
する部分と空気に接触する部分が生じ、燃焼器部品内に
は大きな熱応力が発生する。
【0006】燃焼器部品の熱応力を低下させる提案とし
て、例えば特開平4−116315 号では燃焼器ライナーの温
度分布に対応させて燃焼器ライナーの外面に熱伝達率の
異なるフィンを設置させて温度の均一化を図っている。
【0007】特開平7−190365 号では燃焼ガス温度の高
い燃焼器ライナー上流側のみフィルム冷却またはインピ
ンジメント冷却し温度を均一化して熱応力を低減させる
特許が提案されている。
【0008】これらの提案はいずれも温度が高い部分に
何らかの冷却機構を設けるものであるが、ガスタービン
負荷に応じて燃焼領域が変化する分割燃焼方式に対して
は適応が困難である上、冷却機構の追加により複雑で高
価になる。
【0009】このため、冷却機構を用いない場合には、
特開平8−145360 号にて提案されているように、例え
ば、燃焼器の保炎器取り付け手段を溝と突起とによるは
め込み形式として溶接による取り付けよりも膨張自由度
があって熱応力が大きく発生しないようにして有るもの
が公知である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ガスタービン燃焼器で
は低NOx化のために予混合分割燃焼が行われる。
【0011】これは予混合器に環状に配された複数個の
予混合用バーナノズルを数個の領域に分割(例えば4分
割)し、ガスタービン負荷に応じて燃料噴射領域を増減
させる燃焼方式である。
【0012】これにより、予混合用バーナノズルと同心
円状に配された保炎器やライナーは高温の燃焼ガスに曝
される部分(燃焼部)と低温の空気に曝される部分(非燃
焼部)が生じ、周方向に温度勾配を生じる。
【0013】特開平8−145360 号にて提案された内容に
あっても、保炎器やライナーは取り付け位置が一定であ
るから、周方向に温度勾配を生じる。
【0014】この燃焼部と非燃焼部の境界には両者の温
度差に起因した過大な熱応力が発生する。
【0015】この熱応力は機器の起動・停止や負荷変動
により繰り返され、保炎器やライナーに疲労損傷を与え
る。
【0016】本発明の目的は、分割燃焼の運用を受ける
ガスタービン燃焼器にも対応できる熱疲労損傷に対する
信頼性を向上させることにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明の目的を達成する
ための第1手段は、環状に配列された複数の予混合バー
ナ用燃焼ノズルから噴射された燃料の燃焼炎の周囲を囲
う環状のライナーを備えたガスタービン燃焼器におい
て、前記燃焼炎と前記ライナーとの前記環状の方向の相
対的位置を変化させる位置変更手段を備えたことを特徴
とするガスタービン燃焼器であり、燃焼炎からの熱影響
を受けるライナーの部位が変化するので、局所への繰り
返し熱応力の発生部位も移動して分散し、一定局所での
損傷進展が抑制され、冷却機構に頼らずにライナー寿命
の延長効果が得られる上、ライナーの変形が一様になり
局部変形による真円ずれ等による燃焼性能の低下を防止
できる。
【0018】同じく第2手段は、第1手段において、前
記位置変更手段は、前記ライナーを前記環状の方向に回
転および回転後の位置を拘束する手段を備えていること
を特徴とするガスタービン燃焼器であり、第1手段によ
る作用効果を、ライナーの回転位置を変更することによ
って、燃焼炎からの熱応力が一定の個所に集中すること
を抑制して得ることが出来る。
【0019】同じく第3手段は、第1手段において、前
記位置変更手段は、前記燃料を噴出する前記予混合バー
ナ用燃焼ノズルを前記環状の方向へ切り替える手段を備
えていることを特徴とするガスタービン燃焼器であり、
第1手段による作用効果を燃焼炎を環状方向に変動させ
ることにより、燃焼炎からの熱影響を受けるライナーの
部位を変化させて得ることが出来、さらには、燃焼炎が
環状方向に移動するからライナー以外に燃焼炎の熱によ
る応力影響を受ける保炎器等の燃焼器内部構造物の寿命
を延長でき、且つ燃焼器内部構造物の変形が少ない分燃
焼器の性能を長期に維持できる効果が得られる。
【0020】同じく第4手段は、第2手段において、前
記ライナーにガスタービン燃焼器のクロスファイヤーチ
ューブへ連通自在な環状の突起を前記ライナーの環状の
方向に間隔を開けて複数本装備して有ることを特徴とす
るガスタービン燃焼器であり、第2手段による作用効果
に加えて、ライナーを環状方向に回転変位させても、ク
ロスファイヤーチューブを通じて隣接する燃焼器への火
渡し機能が得られる。同じく第5手段は、環状に配列さ
れた複数の予混合バーナ用燃焼ノズルの内、環状のライ
ナー内に向けて燃料を噴射する前記予混合バーナ用燃焼
ノズルを環状の全領域の内の連続した一部領域の前記予
混合バーナ用燃焼ノズルに選定して前記噴射燃料を前記
ライナー内で燃焼させる運転を行うガスタービン燃焼器
の運用方法において、前記燃焼によって前記ライナーに
生じる燃焼部と非燃焼部との境界部分を少なくとも前記
燃焼の終了の後に前記環状の方向に変動させて前記境界
部が前記変動の後の燃焼運転時に前記変動前と重複しな
いように変更することを特徴とするガスタービン燃焼器
の運用方法であり、ライナーは熱応力的に厳しい境界部
が移動して再使用されるから、繰り返し熱応力を局所に
加えることが抑制されて、ライナーの寿命延長効果と局
部的変形による燃焼性能の劣化抑制とが達成できる。
【0021】同じく第6手段は、第5手段において、前
記一部領域に隣接する他の領域内の予混合バーナ用燃焼
ノズルを燃料噴射状態と成し、前記両領域の境界に隣接
する前記両領域内の合計複数の各予混合バーナ用燃焼ノ
ズルからの燃料噴射流量を他の領域方向に行くに従って
減少させて運転することを特徴とするタービン燃焼器の
運用方法であり、第5手段による作用効果に加えて、ラ
イナーの燃焼部と非燃焼部との境界部の温度は燃料噴射
流量に応じて非燃焼部に行くに従って次第に減少し、境
界部での温度勾配が緩やかになって最大熱応力が低減
し、より一層ライナーの寿命延長効果と局部的変形によ
る燃焼性能の劣化抑制とが達成でき、ライナー以外にも
燃焼炎による熱による燃焼器内の各部に対する最大熱応
力の低減効果さえも達成する。
【0022】同じく第7手段は、環状に配列された複数
の予混合バーナ用燃焼ノズルの内、環状のライナー内に
向けて燃料を噴射する前記予混合バーナ用燃焼ノズルを
環状の全領域の内の連続した一部領域の前記予混合バー
ナ用燃焼ノズルに選定して前記噴射燃料を前記ライナー
内で燃焼させる運転を行うガスタービン燃焼器の運用方
法において、前記一部領域に隣接する他の領域内の予混
合バーナ用燃焼ノズルを燃料噴射状態と成し、前記両領
域の境界に隣接する前記両領域内の合計複数の各予混合
バーナ用燃焼ノズルからの燃料噴射流量を他の領域方向
に行くに従って減少させて運転することを特徴とするタ
ービン燃焼器の運用方法であり、ライナーの燃焼部と非
燃焼部との境界部の温度は燃料噴射流量に応じて非燃焼
部に行くに従って次第に減少し、境界部での温度勾配が
緩やかになって最大熱応力が低減し、ライナーの寿命延
長効果と局部的変形による燃焼性能の劣化抑制とが達成
でき、さらには、ライナー以外にも燃焼炎による熱によ
る燃焼器内の各部に対する最大熱応力の低減効果さえも
達成する。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明の好適一実施例としてガス
タービン燃焼器を取りあげ、図11に断面図を示して説
明する。
【0024】発電用ガスタービンは、圧縮機1,燃焼器
2,タービン3から構成され、タービン3の出力により
発電機4を回転させ電力を得る。
【0025】燃焼器2は、互いに着脱自在な、ガスター
ビンケーシング5,燃焼器外筒6、及び燃焼器カバー7
内に格納されている。
【0026】燃焼器2上流端中央には拡散パイロットバ
ーナ8があり、その外周に環状の予混合バーナ9があ
る。
【0027】予混合バーナ9には、予混合バーナ9と同
心円状に複数個環状に配置された予混合バーナ用燃焼ノ
ズル10、及び予混合バーナ9と同心をなすリング状の
保炎器11を備えている。
【0028】予混合バーナ9予混合バーナ下流には、未
燃の空気と既燃の燃焼ガスを隔てる筒状の燃焼器ライナ
ー12がある。
【0029】燃焼器ライナー12の外側には、空気流量
を形成し、流れを制御するための外壁(以下、フロース
リーブと称す)14がある。
【0030】圧縮機1からの高圧空気100はフロース
リーブ14と燃焼器ライナー12の間の概して環状の空
間を通り、燃焼器ライナー12の対流冷却に使用された
後、拡散パイロットバーナ用空気101及び予混合バー
ナ用空気102に分かれて燃焼器内へ供給され、それぞ
れ燃焼用空気として用いられる。
【0031】既燃の燃焼ガス103は燃焼器ライナー1
2内側を通り、尾筒15を経てタービン3に供給され
る。
【0032】燃料系統は、主燃料系統200と、そこか
ら分岐する拡散パイロットバーナ用燃料系統201,予
混合用バーナ用燃料系統202より成り立っている。
【0033】予混合用バーナ用燃料系統202とその系
統途中にある弁は、各予混合バーナ用燃焼ノズル10ご
とに備わり、弁の開閉および開閉度合いにより各予混合
バーナ用燃焼ノズル10からの燃料の噴出可否および噴
出流量調整がなされ、弁の操作で、燃料を噴出させる予
混合バーナ用燃焼ノズル10を環状方向に切り替え選択
できる。この選択切り替え手段は、他の公知の手段も使
用出来る。
【0034】ガスタービン起動時は拡散パイロットバー
ナ用燃料系統201から拡散パイロットバーナ8へ燃料
を送り込み点火し、ガスタービンがある負荷に到達した
段階において予混合用バーナ用燃料系統202で送り込
んだ燃料を予混合バーナ用燃焼ノズル10から噴射して
点火が行われる。
【0035】この場合、保炎器11を設置することによ
り、保炎器11において火炎の安定燃焼が得られる。
【0036】分割燃焼方式では拡散パイロットバーナ8
を点火後、まず、予混合バーナ用燃焼ノズル10の全数
(本実施例では28個とする)の1/4個(7個)のみ燃
料を噴射し、その後、ガスタービンの負荷の上昇と共に
2/4個(14個),3/4個(21個),4/4個(全数
28個)の順に分割して予混合バーナへの点火が行われ
る。これにより全負荷帯での希薄燃焼が可能となり、全
負荷帯での低NOx化が図れる。
【0037】しかし、保炎器11及び筒状のライナー1
2は、予混合バーナ用燃焼ノズル10から燃料が噴射さ
れている領域(例えば1/4部分)のみが高温の燃焼部と
なりその他の部分は低温の非燃焼部となるため、周方向
に大きな温度勾配が生じる。
【0038】図12に有限要素法にて求めた1/4,2
/4及び4/4燃焼時における保炎器11の温度分布と
発生熱応力を示す。最大熱応力発生箇所は燃焼部と非燃
焼部の境界に生じることがわかる。即ち、熱疲労損傷に
よりき裂が発生する部位は燃焼部と非燃焼部の境界に限
定されるわけである。この傾向はライナーの場合も同様
である。
【0039】本実施例の説明図を図1から図7に示す。
【0040】本発明では、図1に示すように定検時に保
炎器11及びライナー12を一旦点検の為に取外し、点
検終了後、再び燃焼器本体に組込む際に、ライナー12
を元の位置から周方向にある角度だけ回転させて組込
み、稼働中の燃焼部17と非燃焼部18の境界位置が定
検毎に変わるようにした。
【0041】これにより、燃焼部17と非燃焼部18の
境界にき裂が発生しても、定検後には、このき裂発生部
は最大熱応力発生部である燃焼部17と非燃焼部18の
境界から外れるため、その後のき裂進展は停溜してい
く。
【0042】この方法を採用した場合のき裂進展挙動を
図2に示す。
【0043】ここで、回転させた角度は最大熱応力発生
位置である燃焼,非燃焼境界部から発生応力が疲労許容
応力30kgf/mm2 以下になるまでの角度とし、本実施
例では15°とした。
【0044】1回目の定検以後、最初にき裂が発生した
位置は定検毎に燃焼部と非燃焼部の境界から離れるため
徐々にき裂進展速度は遅くなる。
【0045】5回目の定検以後、再びき裂進展速度が速
くなるのは、2/4燃焼時の燃焼部と非燃焼部の境界に
近づくためである。
【0046】この様にき裂が大きく進展するのは最大熱
応力発生位置である燃焼部と非燃焼部の境界部である
が、この部位は定検毎に変化するため、同一部位のき裂
は1回の定検間でしか大きく進展しない。
【0047】これにより、ライナー12の損傷は平均化
されライナー12が破損に至る(交換基準き裂長さに達
する)時間はライナー12を一定位置に固定する方法に
比べ著しく大きくなる。
【0048】本実施例の場合、約2.3 倍に寿命が向上
した。
【0049】保炎器11及びライナー12周辺の詳細横
断面を図3に示す。
【0050】保炎器11は二重円筒状の予混合バーナ9
の間に径方向に挾み込まれた複数個の支持板27により
固定されている。
【0051】予混合バーナ9の下流の外表面には板バネ
20が設置されており、ライナー12の下流の外表面に
も板バネ21が設置されている。
【0052】ライナー12の上流側は予混合バーナ9の
外面に、下流側は尾筒の内面にそれぞれ板バネ20及び
板バネ21を介して固定されている。
【0053】ライナー12の上流側の外表面には開口面
が下流側を向いたU字型ピン24が周方向に複数個設置
されている。
【0054】フロースリーブ14の下流側の内表面には
板状のストッパー25が周方向に複数個設置されてい
る。このストッパー25がU字型ピン24に嵌まり、ラ
イナー12の軸方向位置決め及び回転を阻止している。
【0055】また、ライナー12の外表面にはその板厚
を貫通する管状の突起23が周方向に複数個設置されて
いる。
【0056】管状の突起23は、フロースリーブ14及
び燃焼器外筒6を貫通し、隣接する燃焼器に点火の火移
りをさせるクロスファイヤーチューブ22に固定されて
いる。
【0057】このように、ストッパー25,U字型ピン
24,管状の突起23及びクロスファイヤーチューブ2
2の設置によりライナーの回転が容易に行えない場合に
ついて次に図4から図7を用いて説明する。
【0058】図4に示すように本実施例では周方向等間
隔に3個のストッパー25が設けられている。
【0059】ライナー位置を定検毎に変化させない場合
はU字型ピン24を周方向等間隔に3個設置すればよ
い。
【0060】ライナー位置を定検毎に変化させる本実施
例では、ライナー位置回転後もU字型ピン24とストッ
パー25が嵌まるようにU字型ピン24をライナー12
の外表面上に多数設けた。
【0061】具体的には、いまライナー12の回転方向
を下流側からみて時計回りにした場合、ストッパー25
の位置から反時計回りに角度α間隔でU字型ピン24を
設置すればよい。
【0062】ここでαは一回の定検でライナー12を回
転する角度である。
【0063】U字型ピン24を設置する個数は例えば9
0°/α以下とすればよい。なぜならば、本実施例のよ
うに4分割に分割燃焼する場合には、90°回転させる
と燃焼,非燃焼の境界と合致するためである。
【0064】本実施例ではαを15°とし、一つのスト
ッパー25から反時計回りにU字型ピン24を6個、全
体では18個設置した。
【0065】また、これとは反対に図5に示すようにU
字型ピン24を等間隔に3個設置し、U字型ピン24の
位置から時計回りに角度α間隔でストッパー25を設置
してもよい。
【0066】また、図6に示すように2個のクロスファ
イヤーチューブ22が設けられている場合。
【0067】ライナー位置を定検毎に変化させない場合
は管状の突起23をクロスファイヤーチューブ22の位
置に合うように2個設置すればよい。
【0068】ライナー12の回転位置を定検毎に変化さ
せる本実施例では、ライナー12の位置回転後もクロス
ファイヤーチューブ22と管状の突起23が合うように
管状の突起23をライナー12の外表面上に多数設け
た。
【0069】具体的には、いまライナー12の回転方向
を下流側からみて時計回りにした場合、クロスファイヤ
ーチューブ22の位置から反時計回りに角度α間隔で管
状の突起23を設置すればよい。
【0070】ここでαは前述の様に一回の定検でライナ
ー12を回転する角度であり、管状の突起23を設置す
る個数は例えば90°/α以下とすればよい。
【0071】ただし、クロスファイヤーチューブ22と
連結されていないときの管状の突起23には燃焼ガス流
出を阻止する遮蔽蓋26を図7に示すように、管状の突
起23の突端にある開口を塞ぐように取り付き、ボルト
等により、遮蔽蓋26は管状の突起23に着脱自在に設
置した。
【0072】また、その他の実施例として予混合バーナ
用燃焼ノズル10の燃料噴射境界を起動毎に変化させる
ことによっても保炎器11やライナー12の寿命を向上
させることができる。
【0073】本実施例の燃焼パターンを図8に示す。
【0074】本実施例では28本の予混合バーナノズル
を7本単位で4分割に制御する。第n回と第n+1回目
の起動では予混合バーナノズル1本分だけ燃料噴射境界
が移動するように制御した。
【0075】例えば、n回目の1/4燃焼時の燃料噴射
領域を予混合用バーナノズル10−1〜10−7までと
し、n+1回目の1/4燃焼時の燃料噴射領域を10−
2〜10−8にした。
【0076】これにより、n回目の起動時は予混合用バ
ーナノズル10−28〜1,10−7〜8,10−14
〜15及び10−21〜22の間が燃料噴射境界部とな
り、n+1回目の起動時は10−1〜2,10−8〜
9,10−15〜16及び10−22〜23の間が燃料
噴射境界となる。
【0077】このように、起動毎に予混合バーナノズル
の燃料噴射境界が周方向に移動すれば、その後流の保炎
器11及びライナー12の燃焼,非燃焼の境界部も起動
毎に変化する。
【0078】この方法を採用した場合のき裂進展挙動を
図9に示す。き裂は燃焼境界に近い場合は速く進展し、
燃焼境界から離れるほどき裂の進展は遅くなる。
【0079】これにより、き裂進展曲線は階段状とな
り、燃料噴射境界を固定した場合に比べ保炎器11やラ
イナー12が破損に至る(交換基準き裂長さに達する)
時間は著しく大きくなった。
【0080】本実施例の場合、約3.2 倍に寿命が向上
した。
【0081】ライナーの熱応力を有限要素法で解析し、
ライナー12の燃焼部と非燃焼部の境界の温度勾配と熱
応力の関係を図13に示す。
【0082】ここで、温度勾配は燃焼部と非燃焼部の温
度差△Tと境界部長さLの比△T/Lとした。
【0083】温度勾配が大きいほど発生熱応力は大きく
なる。
【0084】分割燃焼を行った場合の燃焼部と非燃焼部
の温度勾配は約3.0℃/mm であり図8より発生熱応力
は50kgf/mm2 となる。
【0085】この材料の疲労寿命特性より許容熱応力は
40kgf/mm2 であり、これを達成するためには温度分
布を1.8℃/mm 以下にする必要がある。温度勾配はL
を増大させれば低下させることができる。
【0086】そこで本実施例では予混合バーナノズルか
ら噴射する燃料流量を分割燃焼境界付近では段階的に変
化させる方式とした。
【0087】従来の燃料噴射方式と本発明の方式とのラ
イナー12のメタル温度を比較して図10に示す。
【0088】例えば1/4分割燃焼の場合、1本目から
7本目の予混合バーナノズルの燃料流量Q1からQ7ま
では同じ流量で燃料を噴射し、非燃焼域となる8本目の
予混合バーナノズルの燃料流量Q8=0としていた。
【0089】このため7本目と8本目の予混合バーナノ
ズルの境界に位置する後流の保炎器,ライナーの温度勾
配は大きいものになっていた。
【0090】本実施例では、Q5>Q6>Q7>Q8>
Q9>Q10=0のように段階的に燃料を絞った。
【0091】これによりライナーや保炎器の温度境界長
さLが増加し温度勾配を許容値1.8℃/mm以下の1.5℃
/mm まで低下させることができた。
【0092】このような温度勾配を緩やかにする実施例
は、前述したライナー12を回転させる例や燃焼炎を管
状方向に予混合バーナ用燃焼ノズル10一本分シフトし
てゆく例に組み合わせても実施できる。
【0093】この場合には、それらの前例との相乗効果
によりより一層燃焼器の寿命が延長でき、信頼性も向上
する。
【0094】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、分割燃焼中の
燃焼部と非燃焼部の境界に発生する過大なライナーへの
熱応力を冷却機構に頼らずに低減し、ライナーの損傷を
防止することができ、分割燃焼方式に対するガスタービ
ン燃焼器の信頼性の向上を図ることができる。
【0095】請求項2の発明によれば、請求項1の発明
による効果に加えて、その効果を具体的には、ライナー
の回転位置を変更することによって得ることが出来る。
【0096】請求項3の発明によれば、請求項1の発明
による効果に加えて、ライナーばかりか、保炎器等の燃
焼器内部構造物の寿命を延長でき、ガスタービン燃焼器
の信頼性のより一層の向上を図ることができる。
【0097】請求項4の発明によれば、請求項2の発明
による効果に加えて、ライナーの回転位置を変動させて
も隣接する燃焼器への火渡し機能が損なわれることがな
い。同じく請求項5の発明によれば、分割燃焼中の燃焼
部と非燃焼部の境界に発生する過大なライナーへの熱応
力を冷却機構に頼らずに低減し、ライナーの損傷を防止
することができ、分割燃焼方式に対するガスタービン燃
焼器の信頼性の向上を図ることができるガスタービン燃
焼器の運用方法が提供できる。
【0098】同じく請求項6の発明によれば、請求項5
の発明による効果に加えて、ライナーにおける燃焼部と
非燃焼部との境界部における温度勾配が緩やかになって
より一層のことガスタービン燃焼器の信頼性を向上でき
るガスタービン燃焼器の運用方法が提供できる。
【0099】同じく請求項7の発明によれば、燃焼炎に
よる熱による燃焼器内の構造物にかかる最大熱応力を低
減して信頼性の高いガスタービン燃焼器の運用方法が提
供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例におけるライナーの亀裂位置
と、燃焼部と非燃焼部の境界部との関係を示した斜視図
であり、(a)図は定期点検前の状態を、(b)図は定
期点検後の状態を表している。
【図2】図1のライナーの亀裂の進展状況を示したグラ
フ図である。
【図3】本発明の一実施例によるガスタービン燃焼器の
燃焼部の断面図であり、(a)図は燃焼器内部の縦断面
を、(b)図は(a)図のA−A′矢視断面を表してい
る。
【図4】本発明の一実施例によるガスタービン燃焼器の
ライナー部を環状中心軸と直交する面で見た断面図であ
り、U字型ピンとストッパーとの位置関係を表した図で
ある。
【図5】図4のライナー回転後の状況を示した断面図で
ある。
【図6】本発明の一実施例によるガスタービン燃焼器の
ライナー部を環状中心軸と直交する面で見た断面図であ
り、クロスファイヤーチューブと管状の突起との位置関
係を表した図である。
【図7】本発明の一実施例における管状の突起の閉鎖状
況を示した断面図である。
【図8】本発明の他の実施例によるガスタービン燃焼器
の予混合バーナ用燃焼ノズルの管状の配置を示した図で
あり、(a)図はn回目の燃焼時の状況を、(b)図は
n+1回目の燃焼時の状況を示している。
【図9】本発明の他の実施例によるライナー上の亀裂の
運転時間と亀裂進展状況とを示したグラフ図である。
【図10】本発明のさらに他の実施例によるガスタービ
ン燃焼器の各予混合バーナ用燃焼ノズル位置と燃料流量
との関係をライナーの温度勾配との関係を重複させて示
したグラフ図であり、(a)図は従来例の場合を、
(b)図は本発明の実施例による場合を示している。
【図11】ガスタービン燃焼器の縦断面図である。
【図12】ガスタービン燃焼器の各分割燃焼時の環状方
向における燃焼温度分布と燃焼応力分布とを表したグラ
フ図である。
【図13】ガスタービン燃焼器のライナーにおける平均
温度勾配と熱応力の関係を表したグラフ図である。
【符号の説明】
1…圧縮機、2…燃焼器、3…タービン、4…発電機、
5…ガスタービンケーシング、6…燃焼器外筒、7…燃
焼器カバー、8…拡散パイロットバーナ、9…予混合バ
ーナ、10…予混合バーナ用燃焼ノズル、11…保炎
器、12…ライナー、14…フロースリーブ、15…尾
筒、17…燃焼部、18…非燃焼部、20…予混合器の
板バネ、21…ライナーの板バネ、22…クロスファイ
ヤーチューブ、23…管状の突起、24…U字型ピン、
25…ストッパー、26…遮蔽蓋、27…支持板。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中原 信一 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】環状に配列された複数の予混合バーナ用燃
    焼ノズルから噴射された燃料の燃焼炎の周囲を囲う環状
    のライナーを備えたガスタービン燃焼器において、 前記燃焼炎と前記ライナーとの前記環状の方向の相対的
    位置を変化させる位置変更手段を備えたことを特徴とす
    るガスタービン燃焼器。
  2. 【請求項2】請求項1において、前記位置変更手段は、
    前記ライナーを前記環状の方向に回転および回転後の位
    置を拘束する手段を備えていることを特徴とするガスタ
    ービン燃焼器。
  3. 【請求項3】請求項1において、前記位置変更手段は、
    前記燃料を噴出する前記予混合バーナ用燃焼ノズルを前
    記環状の方向へ切り替える手段を備えていることを特徴
    とするガスタービン燃焼器。
  4. 【請求項4】請求項2において、前記ライナーにガスタ
    ービン燃焼器のクロスファイヤーチューブへ連通自在な
    環状の突起を前記ライナーの環状の方向に間隔を開けて
    複数本装備して有ることを特徴とするガスタービン燃焼
    器。
  5. 【請求項5】環状に配列された複数の予混合バーナ用燃
    焼ノズルの内、環状のライナー内に向けて燃料を噴射す
    る前記予混合バーナ用燃焼ノズルを環状の全領域の内の
    連続した一部領域の前記予混合バーナ用燃焼ノズルに選
    定して前記噴射燃料を前記ライナー内で燃焼させる運転
    を行うガスタービン燃焼器の運用方法において、 前記燃焼によって前記ライナーに生じる燃焼部と非燃焼
    部との境界部分を少なくとも前記燃焼の終了の後に前記
    環状の方向に変動させて前記境界部が前記変動の後の燃
    焼運転時に前記変動前と重複しないように変更すること
    を特徴とするガスタービン燃焼器の運用方法。
  6. 【請求項6】請求項5において、前記一部領域に隣接す
    る他の領域内の予混合バーナ用燃焼ノズルを燃料噴射状
    態と成し、前記両領域の境界に隣接する前記両領域内の
    合計複数の各予混合バーナ用燃焼ノズルからの燃料噴射
    流量を他の領域方向に行くに従って減少させて運転する
    ことを特徴とするタービン燃焼器の運用方法。
  7. 【請求項7】環状に配列された複数の予混合バーナ用燃
    焼ノズルの内、環状のライナー内に向けて燃料を噴射す
    る前記予混合バーナ用燃焼ノズルを環状の全領域の内の
    連続した一部領域の前記予混合バーナ用燃焼ノズルに選
    定して前記噴射燃料を前記ライナー内で燃焼させる運転
    を行うガスタービン燃焼器の運用方法において、 前記一部領域に隣接する他の領域内の予混合バーナ用燃
    焼ノズルを燃料噴射状態と成し、前記両領域の境界に隣
    接する前記両領域内の合計複数の各予混合バーナ用燃焼
    ノズルからの燃料噴射流量を他の領域方向に行くに従っ
    て減少させて運転することを特徴とするタービン燃焼器
    の運用方法。
JP32819596A 1996-12-09 1996-12-09 ガスタービン燃焼器およびその運用方法 Pending JPH10169987A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010164299A (ja) * 2009-01-16 2010-07-29 General Electric Co <Ge> タービンエンジン用の燃焼器組立体及びキャップ
JP2010531969A (ja) * 2007-07-02 2010-09-30 シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト バーナおよびバーナの運転方法
KR102373084B1 (ko) * 2020-12-11 2022-03-11 한국항공우주연구원 가스터빈용 연소기

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