JPH10168687A - ポリエステル異収縮混繊糸およびその製造方法 - Google Patents

ポリエステル異収縮混繊糸およびその製造方法

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JPH10168687A
JPH10168687A JP32130296A JP32130296A JPH10168687A JP H10168687 A JPH10168687 A JP H10168687A JP 32130296 A JP32130296 A JP 32130296A JP 32130296 A JP32130296 A JP 32130296A JP H10168687 A JPH10168687 A JP H10168687A
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Kenichi Yoshioka
謙一 吉岡
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐光堅牢性に優れ、かつソフト感、ドレ−プ
性、ハリ、コシを有する織編物を得ることができる混繊
糸を直接紡糸方法により工程通過性、作業性がよく、し
かも低コストで提供する。 【解決手段】 低収縮成分と高収縮成分とからなる異収
縮混繊糸であって、低収縮成分が実質的にポリエチレン
テレフタレ−トからなり、高収縮成分が共重合体ポリエ
チレンテレフタレ−トからなり、かつ下記に示す条件を
満足することを特徴とするポリエステル異収縮混繊糸で
あり、その製造方法である。 糸条全体の沸水収縮率が5%以上 両成分の沸水収縮率差が5〜15%の範囲 糸条の破断伸度が90%未満 糸条の乾熱収縮応力の最大ピ−ク応力が0.2g/デ
ニ−ル以上

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は同一口金から高速で
紡糸して得られたポリエステル異収縮混繊糸に関する。
詳細には耐光堅牢性に優れ、膨らみ感、ソフト感、ハ
リ、コシ、キシミ感に優れた織編物を得ることができ、
かつ安価で工程安定性に優れた異収縮混繊糸に関する。
【0002】
【従来の技術】従来からポリエステル異収縮混繊糸はソ
フト感じ、ドレ−プ性に富んだシルクライクな織編物用
として婦人用ドレス、ブラウス等を中心に使用されてい
る。このような混繊糸は熱収縮性の異なる延伸糸の混
繊、あるいは同一物性の未延伸糸を熱処理条件を変更し
て延伸して混繊する等の方法により得られている。これ
らの方法においては、種々の特徴を付与した混繊糸が製
造可能であり、高収縮繊維として2,2−ビス[4−
(β−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパンを特定
量共重合したポリエチレンテレフタレ−トを用い、低収
縮繊維としてポリエチレンテレフタレ−トを用いた混繊
糸が特開昭55−57013号公報、特公昭60−35
450号公報等に提案されている。さらに高収縮繊維と
して2,2−ビス[4−(β−ヒドロキシエトキシ)フ
ェニル]プロパンとイソフタル酸を特定量共重合したポ
リエチレンテレフタレ−トを用いた混繊糸が特開平2−
19528号公報、特開平2−19539号公報等に提
案されており、また高収縮繊維として2,2−ビス[4
−(β−ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホンを特
定量共重合したポリエチレンテレフタレ−トを、低収縮
繊維としてポリエチレンテレフタレ−トを用いた混繊糸
が特開平4−228634号公報等に提案されている。
【0003】しかしながら、これらのポリマ−は高収縮
繊維の収縮性能を十分なものにしようとすると耐光性の
問題が生じ、また一旦加工工程でリワインドし混繊する
方法や、別々に熱処理後混繊する方法が必要であるが、
製造工程が繁雑となり、コストの点で問題がある。
【0004】一方、ソフト感じ、ドレ−プ性を損なうこ
となく、安価に混繊糸を得る方法として紡糸延伸を直結
して行う紡糸直結延伸方法によって得る方法も種々提案
されており、たとえば特開昭62−78212号公報に
おいて、複数の加熱帯域を並列させ、それぞれの加熱帯
域の温度を変更して染色性の異なる繊維を同時に巻き取
る方法が提案されているが、加熱帯域を個々に温度制御
することは困難性が伴い、コストの点での問題がある。
また特開平6−17332号公報には加熱装置のフィラ
メント群出口側の形状制御により温度制御する方法が提
案されているが、作業性、工程通過性が悪く、繊維の長
手方向への品質斑が発生するという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の問題点
を解決し、耐光堅牢性に優れ、かつソフト感、ドレ−プ
性、ハリ、コシを有する織編物を得ることができる混繊
糸を直接紡糸方法により工程通過性、作業性がよく、し
かも低コストで提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、低収縮成分と
高収縮成分とからなる異収縮混繊糸であって、低収縮成
分が実質的にポリエチレンテレフタレ−トからなり、高
収縮成分が共重合体ポリエチレンテレフタレ−トからな
り、かつ下記に示す条件を満足することを特徴とするポ
リエステル異収縮混繊糸である。 糸条全体の沸水収縮率が5%以上 両成分の沸水収縮率差が5〜15%の範囲 糸条の破断伸度が90%未満 糸条の乾熱収縮応力の最大ピ−ク応力が0.2g/デ
ニ−ル以上
【0007】本発明に係わる低収縮成分は実質的にポリ
エチレンテレフタレ−トからなるが、「実質的」とは繰
り返し単位の95モル%以上がエチレンテレフタレ−ト
単位であることを示し、上述の〜の条件を満足する
範囲内で第3成分を共重合させてもよい。かかる第3成
分としてはイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビ
フェニルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルエ−テル
ジカルボン酸、4,4′−ジフェニルメタンジカルボン
酸、4,4′−ジフェニルスルホンジカルボン酸、4,
4′−ジフェニルイソプロピリデンジカルボン酸、1,
2−ジフェノキシエタン−4′,4″−ジカルボン酸、
アントラセンジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボ
ン酸、ジフェノキシケトンジカルボン酸、5−ナトリウ
ムスルホイソフタル酸、ジメチル−5−ナトリウムスル
ホイソフタレ−ト、5−テトラブチルホスホニウムスル
ホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;マロン酸、コ
ハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂
肪族ジカルボン酸;デカリンジカルボン酸、シクロヘキ
サンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸;β−ヒドロ
キシエトキシ安息香酸、p−オキシ安息香酸、ヒドロキ
シプロピオン酸、ヒドロキシアクリル酸等のヒドロキシ
カルボン酸;またはこれらのエステル形成性誘導体から
誘導されたカルボン酸;ε−カプロラクトン等の脂肪族
ラクトン;トリメチレングリコ−ル、テトラメチレング
リコ−ル、ヘキサメチレングリコ−ル、ネオペンチルグ
リコ−ル、ジエチレングリコ−ル、ポリエチレングリコ
−ル等の脂肪族ジオ−ル;ヒドロキノンカテコ−ル、ナ
フタレンジオ−ル、レゾルシン、ビスフェノ−ルAやビ
スフェノ−ルSのエチレンオキサイド付加物等の芳香族
ジオ−ル;シクロヘキサンジメタノ−ル等の脂肪族ジオ
−ルなどを挙げることができる。これらの第3成分は1
種のみまたは2種以上を含んでいてもよい。
【0008】また、かかるポリエチレンテレフタレ−ト
の極限粘度は0.55〜0.70であることが紡糸性、
繊維物性等の点で好ましい。さらに、該ポリエチレンテ
レフタレ−トには、本発明を損なわない範囲内で紫外線
吸収剤、難燃剤、難燃助剤、安定剤等の添加が添加され
ていてもよい。
【0009】次ぎに、本発明に係わる高収縮成分につい
て説明する。該高収縮成分は共重合ポリエチレンテレフ
タレ−トであり、上記の〜の条件を満足する共重合
ポリエチレンテレフタレ−トであればよく、低収縮成分
として共重合ポリエチレンテレフタレ−トを用いる場合
には、共重合率差が3モル%以上、とくに5モル%以上
であることが好ましい。共重合成分の具体例としては、
低収縮成分において第3成分の例として示した化合物を
挙げることができるが、上述の〜をもっとも満足す
る共重合成分、熱安定性が良好で沸水収縮率が高くなり
やすい共重合成分としてはノルボルナン骨格を有する化
合物を挙げることができる。
【0010】かかる「ノルボルナン骨格を有する化合
物」とは下記式(II)または下記式(III)で示される化
合物である。
【0011】
【化1】
【0012】
【化2】
【0013】式(II)および式(III)中、X1 、X2
3 およびX4 で示されるエステル形成性官能基として
はヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシル
基、それらのエステル形成性誘導体を挙げることができ
る。ヒドロキシアルキル基を構成するアルキルとはとく
に限定はないがヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル
基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基等の炭
素数が1〜4等のアルキルが好ましく、分岐したアルキ
ルでもよい。またカルボキシル基のエステル形成性誘導
体とはカルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カル
ボキシプロピル基、カルボキシブチル基等の炭素数1〜
4のアルキルが好ましい。またエステル形成性官能基は
同じ種類の基であっても異なる基であってもよい。
【0014】式(II)で示される化合物の具体例として
は、ノルボルナン2,3ジメタノ−ル、ノルボルナン
2,3ジエタノ−ル、ノルボルナン2,3ジカルボン
酸、ノルボルナン2,3ジカルボン酸ジメチルエステ
ル、ノルボルナン2,3ジカルボン酸ジエチルエステ
ル、パ−ヒドロジメタノナフタレンジメタノ−ル、パ−
ヒドロジメタノナフタレンジエタノ−ル、パ−ヒドロジ
メタノナフタレンジカルボン酸、パ−ヒドロジメタノナ
フタレンジカルボン酸ジメチルエステル、パ−ヒドロジ
メタノナフタレンジカルボン酸ジエチルエステル等が挙
げられ、これらの化合物の立体構造はシス体、トランス
体のいずれでもよく、それらの混合物でもよい。またそ
れらの脂環構造部分はエンド体、エキソ体のいずれでも
よく、それらの混合物でもよい。
【0015】また式(III)で示される化合物の具体例と
してはトリシクロデカンジメタノ−ル、トリシクロデカ
ンジエタノ−ル、トリシクロデカンジカルボン酸、トリ
シクロデカンジカルボン酸ジメチルエステル、トリシク
ロデカンジカルボン酸ジエチルエステル等が挙げられ、
それらの脂環構造部分はエンド体、エキソ体のいずれで
もよく、それらの混合物でもよい。
【0016】上述の「ノルボルナン骨格を有する化合
物」は式(II)および式(III)で示されるように、2つ
のエステル形成性官能基を有しているため、ポリエチレ
ンテレフタレ−トの溶融安定性、高収縮特性、重合性の
点で良好な結果を得ることができるが、該化合物は3つ
のエステル形成性官能基を有する化合物を含有していて
もよい。
【0017】ノルボルナン骨格を有する化合物を共重合
成分とする場合、その共重合率は、該ポリエステルを構
成するジカルボン酸に対して2〜20モル%、好ましく
は3〜18モル%、とくに5〜10モル%の範囲である
ことが望ましい。また、かかる共重合体ポリエチレンテ
レフタレ−トの極限粘度は0.60〜0.80、とくに
0.65〜0.75の範囲であることが好ましい。高収
縮成分と低収縮成分との沸水収縮率差を大きくする上で
は、高収縮成分である共重合ポリエチレンテレフタレ−
トと、低収縮成分であるポリエチレンテレフタレ−トの
極限粘度に差があることが好ましいが、同じ極限粘度で
あってもよい。
【0018】本発明では前記の2種類のポリエステルを
同一紡糸口金から溶融紡糸して吐出させた後、紡出物を
それぞれのポリエステルのガラス転移温度のうち低い方
のガラス転移温度以下の温度で冷却固化し、共通の加熱
帯域を通過させ、延伸熱処理した後交絡処理を施して巻
き取る。紡糸口金形状は丸、Y、T、その他公知の形状
の口金を用いることができる。混繊糸の高収縮成分と低
収縮成分との分散状態を考慮すると各々の成分(糸条)
の吐出孔は環状や交互に配置する場合が好ましい。
【0019】紡糸口金から吐出したポリエステルは冷却
風により冷却固化する。冷却は次ぎの工程である加熱帯
域で延伸熱処理が安定して行えるように、それぞれのポ
リエステルが固化する温度、すなわちそれぞれのポリエ
ステルのガラス転移温度のうち低い方のガラス転移温度
以下の温度にまで冷却する。一旦冷却固化された糸条は
次ぎに加熱帯域に導かれ、延伸熱処理が施される。加熱
帯域では延伸が自由に施されるように非接触加熱である
ことが好ましく、加熱筒を用いることが好ましい。かか
る加熱筒は周囲から加熱されているもの、加熱導入され
た乾燥空気、あるいは飽和蒸気で満たされているもの等
を用いることができる。加熱温度は上述の〜の条件
に大きく影響するので、かかる条件を満足する温度、た
とえば高収縮成分としてノルボルナン骨格を有する化合
物を共重合成分としてなるポリエチレンテレフタレ−ト
を使用した場合には160〜220℃、とくに170〜
190℃の範囲に設定することが好ましい。
【0020】そして、該加熱帯域入り口でのそれぞれの
糸速度が下記式(I)を満足することが必要である。 |V1 −V2 |<(V0 /10) ・・・・・(I) V1:共重合ポリエチレンテレフタレ−トの加熱帯域入
口の糸速(m/分) V2 :ポリエチレンテレフタレ−トの加熱帯域入口の糸
速(m/分) V0 :引取り速度(m/分) 好ましい範囲は|V1 −V2 |<(V0 /20)、とく
に|V1 −V2 |<(V0 /30)であることが望まし
い。
【0021】高収縮成分と低収縮成分それぞれの糸速度
が式(I)を満足することにより工程通過性が非常に良
好となる。加熱帯域入り口の糸速度はポリエステルの極
限粘度と糸条の空気抵抗の影響を大きく受けていて、そ
の差が大きくなりすぎると加熱帯域内での糸条の延伸点
の差が大きくなり、工程通過性が不良になると推察され
る。とくに、高収縮成分として上述のノルボルナン骨格
を有する化合物を共重合してなるポリエチレンテレフタ
レ−トを用いた場合には、糸速差が小さくても混繊糸に
大きな沸水収縮率差、乾熱収縮応力、高い破断伸度を付
与することができる。
【0022】加熱帯域の長さは安定した延伸熱処理、コ
ストの点から0.3〜4.0mとくに1.0〜2.0m
の範囲が好ましい。かかる加熱帯域を通過した糸条には
通常の繊維用油剤が付与され、公知の空気交絡処理を施
して巻き取られる。引取り速度は得られる混繊糸の機械
的物性、紡糸性の点から3500m/分以上、とくに4
500〜5500m/分の範囲が好ましい。かかる範囲
の速度で引き取ることにより糸状斑の少ない混繊糸を得
ることができるのである。
【0023】本発明では上述の加熱帯域での延伸加熱処
理により、糸条全体の沸水収縮率が5%以上、両成分の
沸水収縮率差が5〜15%の範囲、糸条の破断伸度が9
0%未満、糸条の乾熱収縮応力の最大ピ−ク応力が0.
2g/デニ−ル以上となるのである。織編物にソフト
感、膨らみ感、ドレ−プ性を付与するには糸条全体の沸
水収縮率が5%以上、とくに10%以上であることが好
ましい。また、該性能を付与するにはそれぞれの成分の
沸水収縮率差が5〜15%の範囲、とくに6〜14%の
範囲であることが必要である。さらに、混繊糸の機械的
強度等の機械物性が良好で後加工工程および製品となっ
てからの寸法安定性を良好とするには混繊糸の破断伸度
が90%未満、好ましくは75%未満、とくに50%未
満であることが望ましい。また、織編物組織による拘束
力下でも十分な嵩高性を付与することが可能な収縮を発
現するには乾熱収縮応力の最大ピ−ク応力が0.2g/
デニ−ル以上、好ましくは0.25g/デニ−ル以上、
とくに0.3g/デニ−ル以上であることが望ましい。
【0024】本発明のポリエステル中には製糸工程、製
織編工程における摩擦抵抗を軽減するため、またマイル
ドな光沢を付与するために酸化チタン、シリカ、炭酸カ
ルシウム、カオリン等の無機微粒子を0.1〜5.0重
量%添加することが好ましい。該無機微粒子の粒径は
0.02〜0.6μmの範囲であることが好ましい。
【0025】また、本発明においては、混繊糸を構成す
る高収縮成分と低収縮成分の繊度は本発明の特性を満足
するものであればよく、最終製品の用途に応じて適宜設
定することができる。たとえば、高収縮成分の単糸デニ
−ルをM、低収縮成分の単糸デニ−ルをmとした場合、
M−m<3.0を満たす条件で紡糸することが、風合、
工程通過性の点から好ましい。
【0026】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳述するが、本
発明はこれら実施例により何等限定されるものではな
い。なお、実施例における物性値は以下の方法により測
定された値である。 (1)乾熱収縮応力(g/デニ−ル) カネボウ熱応力測定器を用い、20cmの試料(混繊
糸)をル−プにして10cmとし、測定する試料のデニ
−ル×1/15の初荷重をかけて調整した後、昇温速度
150℃/分で昇温し、熱収縮応力曲線を求める。この
曲線からピ−クでの応力を読み取る。 (2)沸水収縮率(%) 試料は周長1mのかせ取り機10回巻きのものを1サン
プルとし、0.1g/デニ−ル荷重下で長さL1 を求め
る、次ぎに無荷重下沸騰水中で15分処理した後、0.
1g/デニ−ル荷重下で処理後の長さL2 求め、下記式
により沸水収縮率を算出した。測定回数3回の平均とし
た。 沸水収縮率(%)=[(L1 −L2 )/L1 ]×100 (3)破断伸度(%) JIS L l013に準拠して測定算出した。 (4)糸速度(m/分) 日本カノマックス(株)レ−ザ−速度計(MODEL
LS−50M)を用い測定した。 (5)風合評価 試料を直接手で触れて比較し、下記の判定基準で風合を
官能評価した。 1級:嵩高性、ハリ、コシ、キシミ感、および伸縮性い
ずれも全く見られないものであった。 2級:嵩高性、ハリ、コシ、キシミ感、および伸縮性の
うちいずれかが不足していた。 3級:嵩高性、ハリ、コシ、キシミ感、および伸縮性い
ずれもが良好であった。 (6)工程性 ポリマ−100kgを紡糸した際の毛羽・断糸の発生状
況を下記の判定基準で評価した。 ○:毛羽・断糸が全く見られず良好であった。 ×:断糸が発生した。
【0027】参考例1 トリシクロデカンジメタノ−ル4.2モル%、エチレン
グリコ−ル95.8モル%からなるジオ−ル原料とテレ
フタル酸とから、ジオ−ル原料:テレフタル酸のモ比が
1.2:1となるように調整してスラリ−を形成し、こ
のスラリ−を加圧下(絶対圧2.5kg/cm2 )、温
度250℃でエステル化率が95%になるまでエステル
化反応を行い、低重合体を作成した。次ぎに触媒として
350ppmの三酸化アンチモンを添加し、絶対圧1t
orrの減圧下に280℃で1.5時間低重合体を重縮
合し、極限粘度が0.7dl/gのポリエステルを製造
した。なお、ポリエステルの極限粘度はフェノ−ルとテ
トラクロロエタンの等重量の混合溶媒中にて30℃で測
定した。このポリエステルをノズルからストランド状に
押し出して切断し、直径2.8mm、長さ3.2mmの
円柱状チップを作成した。
【0028】得られたポリエステルチップをを1H−N
MRにより分析したところ、該ポリエステルはトリシク
ロデカンジメタノ−ルが全ジカルボン酸単位中5モル%
共重合されていることが確認された。このポリエステル
の融点、ガラス転移点を表1に示す。
【0029】参考例2 参考例1と同様にして、表1に示す化合物を共重合させ
たポリエステルチップを作成した。それぞれのチップの
物性を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】実施例1 参考例1で得られたポリエステルチップを押し出し機よ
り溶融押出し、極限粘度が0.7dl/gがポリエチレ
ンテレフタレ−トチップ(参考例3)を別の溶融押出し
機により溶融押出しし、同一口金から290℃で吐出
し、紡糸口金から下方100cmまでの区域において約
25℃の冷却風(風速30m/分)を糸条のほぼ垂直方
向から吹き付けて冷却した。ついで紡糸口金から1.5
mの距離に入り口のある長さ1.1m、内径30mm、
内壁温度180℃の加熱筒により両方の糸条に延伸加熱
を行い、油剤を付与後エア−交絡装置により糸条を交絡
させて第1ゴデットロ−ラ、第2ゴデットロ−ラを介し
て巻き取った。引取り速度は4500m/分であった。
得られた混繊糸の繊度は48フィラメント/75デニ−
ルであった。該混繊糸の諸物性を表2に示す。
【0032】実施例2〜6および比較例1〜6 参考例1で得られたポリエステルチップに代えて、参考
例2、参考例4、参考例5および参考例6で得られたポ
リエステルチップを用い、ノズル、加熱筒の内壁温度、
引取速度を表2に示すように変更した以外は実施例1と
同様にして紡糸、延伸熱処理を行い、油剤の付与、交絡
処理を行って混繊糸を得た。得られた混繊糸の諸物性を
表2に示す。各比較例で得られた混繊糸は実施例に比較
して嵩高性、ハリ、コシ、キシミ感が劣るか、あるいは
工程通過性に劣るものであった。
【0033】
【表2】
【0034】
【発明の効果】本発明の混繊糸は同一口金を用い、直接
紡糸延伸方法によって得られることから、生産性の向上
や製造コストの低減を可能とした混繊糸である。しかも
該混繊糸は十分な収縮性能を有し、膨らみ感、ハリ、コ
シ、キシミ感等の風合も良好な織編物を提供することが
できる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】低収縮成分と高収縮成分とからなる異収縮
    混繊糸であって、低収縮成分が実質的にポリエチレンテ
    レフタレ−トからなり、高収縮成分が共重合ポリエチレ
    ンテレフタレ−トからなり、かつ下記に示す条件を満足
    することを特徴とするポリエステル異収縮混繊糸。 糸条全体の沸水収縮率が5%以上 両成分の沸水収縮率差が5〜15%の範囲 糸条の破断伸度が90%未満 糸条の乾熱収縮応力の最大ピ−ク応力が0.2g/デ
    ニ−ル以上
  2. 【請求項2】ポリエチレンテレフタレ−トと共重合ポリ
    エチレンテレフタレ−トを同一紡糸口金から紡出させた
    後、該紡出物を一旦ガラス転移温度以下に冷却させ、引
    き続いて下記(I)に示す条件で同一の加熱帯域を走行
    させて延伸熱処理した後交絡処理を施し、3500m/
    分以上の引取り速度で巻き取ることを特徴とするポリエ
    ステル異収縮混繊糸の製造方法。 |V1 −V2 |<(V0 /10) ・・・・(I) V1 :共重合ポリエチレンテレフタレ−トの加熱帯域入
    口の糸速(m/分) V2 :ポリエチレンテレフタレ−トの加熱帯域入口の糸
    速(m/分) V0 :引取り速度(m/分)
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