JPH10167066A - 鉄道車両用ディスクブレーキのアルミ基複合材製ロータ - Google Patents

鉄道車両用ディスクブレーキのアルミ基複合材製ロータ

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JPH10167066A
JPH10167066A JP32697196A JP32697196A JPH10167066A JP H10167066 A JPH10167066 A JP H10167066A JP 32697196 A JP32697196 A JP 32697196A JP 32697196 A JP32697196 A JP 32697196A JP H10167066 A JPH10167066 A JP H10167066A
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rotor
insertion hole
fixing ring
ring
pin insertion
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JP32697196A
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Takehisa Inoue
武久 井上
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Akebono Brake Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 昇温によって熱膨張が生じても、取り付けボ
ルトが挿通しているボルト挿通穴の周辺に割れや変形が
生じることがないアルミ基複合材製ロータを提供するこ
と。 【解決手段】 アルミ基複合材製のロータ本体21と、
前記ロータ本体21の内周部に嵌合装備されると共に取
り付けボルトによって車輪に締結される鉄系材料製の固
定リング23とを連結する連結機構25は、前記固定リ
ング23を半径方向に貫通するリング側ピン挿入孔27
に該固定リング23の内周側から押込まれてピンの前半
がロータ本体21の内周側に穿設されているロータ側ピ
ン挿入孔26に嵌合する連結ピン29と、前記固定リン
グ23の内周側のリング側ピン挿入孔27の開口に螺着
して前記連結ピン29の抜けを防止する止めねじ30と
を備えた構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、略円盤状に成形さ
れて鉄道車両の車輪の側面にボルトによって締結される
鉄道車両用ディスクブレーキのアルミ基複合材製ロータ
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鉄道車両用のディスクブレーキとして
は、従来より、略円盤状のロータを鉄道車両の車輪の内
外両側面にボルトによって締結することで、車輪の両側
面に制動用の摺動面を形成したタイプのものが知られて
いる。従来のこのタイプのものでは、ロータは、鋳鉄や
鍛鋼等の鉄系材料で製造していた。しかし、近年、鉄道
車両は高速化の指向が強まり、それに伴って、車両を構
成する部品の軽量化が強く求められてきた。特に、車輪
やこの車輪に装備される前述のロータ等は直接レールに
負荷をかけるばね下質量となり、レールに与える振動や
衝撃、更には車両の走行性能にも大きな影響力を持つた
め、軽量化が重要な課題とされてきた。
【0003】そこで、近年では、軽量材であるアルミ基
複合材製のロータを開発するに至っている。ここでいう
アルミ基複合材は、アルミニウム合金の金属母相にセラ
ミック粒子等(Al23,SiO2,SiC等)の強化
粒子を分散させた複合材料で、比重を約2.8程度に抑
えることができ、従来の鉄系材料と比較すると、大幅な
軽量化が図れる。
【0004】図4及び図5は、このようなアルミ基複合
材によって製造される従来のロータ1の構造を示したも
のである。このロータ1は、アルミ基複合材により略円
盤状に一体形成されると共に、内周寄りに複数個のボル
ト挿通穴3が貫通形成された構成を成し、前記ボルト挿
通穴3に挿通された取り付けボルト5と該取り付けボル
ト5に螺合するナット6により、図5に示すように、鉄
道車両の車輪8の側面に締結される。
【0005】前記ロータ1の表面9は、外周側の一定範
囲が制動用の摺動面9aとなるもので、該摺動面9aの
範囲は平坦に仕上げられている。また、ロータ1の裏面
10は、車輪8の側面に当接される面で、放熱効果を高
めるために、冷却用のフィン10aをロータ中心から放
射状に突設した構造としている。
【0006】前記ボルト挿通穴3は、前記取り付けボル
ト5の軸径に適度の余裕を持たせた円形穴で、ナット6
側には、通常、ナット6の弛み止めとして、ばねワッシ
ャ11が装備される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、高速車両で
使用されるロータ1は、制動動作時には、摩擦熱によっ
て250〜300℃程度に昇温し、それに伴う熱膨張に
より、図6に示すように、外周側が表面9側にせり出し
た略椀形に変形する。図6に示す矢印(イ)は、この略
椀形の変形時に発生する径方向の引張応力(熱応力)を
示している。
【0008】そして、ロータ1がこのような略椀形に熱
変形する際には、図7に示すように、径方向の熱膨張に
よって作用する引張応力Fのために、ロータ1のボルト
挿通穴3の一部(正確には、前記ボルト挿通穴3のロー
タ中心側の内壁面)が取り付けボルト5に強く圧接さ
れ、結果的には、ボルト挿通穴3の一部の内壁面に集中
荷重となって働く圧縮荷重のために、ボルト挿通穴3の
周縁に割れや変形が生じ易いという問題があった。
【0009】そこで、従来では、このような問題の発生
を防止する手段として、図8に示すように、予めボルト
挿通穴3の穴径をより大きめに設定して、取り付けボル
ト5とボルト挿通穴3の内壁面との間の隙間Sの増大を
図ったり、ナット6とロータ1との間に皿ばね13を介
在することが研究されているが、ロータ1の径方向の熱
膨張はかなり大きいため、これらの手段では、未だ十分
な成果が得られていない。
【0010】また、実公平8−5400号公報では、ロ
ータ1の裏面10と車輪8との接触面積を増大させるこ
とでロータ1から車輪8への伝熱量を高めて、ロータ1
の昇温自体を抑えることで、ボルト挿通穴3の周縁に割
れや変形が生じることを抑制する技術が示されたが、近
年の高速車両における走行条件や制動条件では、ロータ
1の昇温を大幅に低減させることは極めて難しく、やは
り、十分な成果を得ることができないのが現状である。
【0011】また、特表平8−505924号公報で
は、ロータを、ドーナツ形の円盤状に一体形成されて表
面が制動用の摺動面とされるロータ本体と、前記ロータ
本体の内周部に同心状に嵌合装備されると共に取り付け
ボルトによって鉄道車両の車輪の側面に締結される鉄系
材料製の固定リングとに分割した構成とする技術も提案
されている。このように、ロータ本体と固定リングとに
分割した場合には、これらのロータ本体と固定リングと
が一体回転するように、これらのロータ本体と固定リン
グとを連結する連結機構が必要になる。この連結機構と
しては、これまで、ロータ本体の内周部と固定リングの
外周部とをボルト及びナットで締め付け固定する構造
や、前記固定リングの外周から半径方向に突出する係合
ピンを鋳込み成形により前記固定リングに一体装備して
おいて、前記係合ピンをロータ本体の内周部に形成され
た係合孔に嵌合させる構造が提案されている。
【0012】しかし、ロータ本体の内周部と固定リング
の外周部とをボルト及びナットで締め付け固定する連結
機構の場合は、熱膨張によるロータ本体内周部の半径方
向の変位がボルトの締め付け力で拘束されてしまうた
め、ロータ本体が熱膨張の大きなアルミ基複合材製の場
合には、やはり、ロータ本体の内周縁に割れや変形が生
じ易いという問題が生じた。また、前記固定リングの外
周に半径方向に突出する係合ピンを鋳込み成形する連結
機構の場合は、ロータ本体の熱膨張による半径方向の変
位を許容できるようになり、この点では優れるものの、
鋳込み成形時の熱で係合ピンがダメージを受けるため、
連結力が低下する虞があり、大きな制動トルクがかかる
高速の鉄道車両用としては不安が残る。また、ロータ本
体と固定リングとの組み立てや分解が簡単にできず、保
守性が悪いという問題もあった。
【0013】そこで、本発明の目的は上記課題を解消す
ることにあり、取り付けボルトによって車輪に締結され
る鉄道車両用ディスクブレーキのアルミ基複合材製ロー
タであって、昇温によって熱膨張が生じても、ボルト挿
通穴の周縁に割れや変形が生じることがなく、高速の鉄
道車両における苛酷な制動条件にも長期に渡って耐える
ことのでき、また、保守性の点でも優れた鉄道車両用デ
ィスクブレーキのアルミ基複合材製ロータを提供するこ
とである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明に係る鉄道車両用
ディスクブレーキのアルミ基複合材製ロータによれば、
上記目的は、アルミ基複合材によりドーナツ状に一体形
成されて表面が制動用の摺動面とされるロータ本体と、
前記ロータ本体の内周部に同心状に嵌合装備されると共
に取り付けボルトによって鉄道車両の車輪の側面に締結
される鉄系材料製の固定リングと、前記ロータ本体と固
定リングとが一体回転するようにこれらのロータ本体と
固定リングとを連結する連結機構とを備えた構成を成
し、かつ、前記連結機構は、前記ロータ本体の内周面に
半径方向に沿って所定の深さに穿設されたロータ側ピン
挿入孔と、該ロータ側ピン挿入孔と略同一内径で前記固
定リングを半径方向に貫通形成されたリング側ピン挿入
孔と、該リング側ピン挿入孔の前記固定リングの内周側
に位置している開口端に刻設された雌ねじ部と、前記固
定リングの内周側から前記リング側ピン挿入孔に挿入さ
れて前記リング側ピン挿入孔に所定の深さまで押込むと
前半が前記ロータ側ピン挿入孔に嵌合すると共に後半が
前記リング側ピン挿入孔に嵌合した状態となる連結ピン
と、前記雌ねじ部に螺合して前記リング側ピン挿入孔の
固定リングの内周側の開口を塞いで前記連結ピンの後退
を規制する止めねじとを備えた構成により達成できる。
【0015】また、上記構成の鉄道車両用ディスクブレ
ーキのアルミ基複合材製ロータにおいて、前記連結ピン
の全長は、前記固定リングの内径よりも小さく設定し、
かつ、前記リング側ピン挿入孔に対する前記連結ピンの
押込み量が一定以上になると前記連結ピンの前端がロー
タ側ピン挿入孔の終端に当たることでそれ以上の押込み
が規制されて、前記ロータ本体や固定リングに対する前
記連結ピンの嵌合長が適正範囲に維持されるように、前
記固定リングの外径寸法及び前記ロータ側ピン挿入孔の
深さ寸法が設定されている構成とすることもできる。
【0016】さらに、上記構成の鉄道車両用ディスクブ
レーキのアルミ基複合材製ロータにおいて、前記連結ピ
ンには、スプリングピンを使用した構成とすることもで
きる。
【0017】ところで、昇温による熱膨張によってロー
タのボルト挿通穴の周縁に割れや変形が生じる原因の一
つとしては、熱膨張による前記ボルト挿通穴の周縁のロ
ータ外周側への変位が無理に拘束されてしまうことにあ
る。更に詳述すると、ロータの径方向の熱膨張時に、ボ
ルト挿通穴のロータ中心側の一部の内壁面が取り付けボ
ルトによって変位を拘束されて、熱膨張に応じきれなく
なることが要因の一つである。
【0018】また、それ以前に、例えば、図7に示した
ようにばねワッシャで直接締め付け固定した取り付け構
造の場合は、ロータの板厚方向の熱膨張による取り付け
状態での経時変化で、ロータの表面のばねワッシャの当
たっている部分に陥没が生じ、この陥没部のロータ中心
側の半円弧の範囲全体が、ロータの径方向の熱膨張に伴
う変位を規制する引っ掛かりとなり、熱膨張初期の径方
向の変位を拘束してしまうことも、見逃すことのできな
い重大な要因である。この陥没部の引っ掛かりにより、
径方向の熱膨張時に発生する応力は、ボルト挿通穴のロ
ータ中心側の周縁部で急速に上昇して、ボルト挿通穴の
ロータ中心側の周縁部に集中荷重として作用してしまう
からである。
【0019】しかし、以上に説明した本発明の構成で
は、制動用の摺動面を提供するアルミ基複合材製のロー
タ本体の内周には、鉄系材料で形成された別体の固定リ
ングが嵌合装備されるようになっていて、該固定リング
に、鉄道車両の車輪にねじ止めするためのボルト挿通穴
が装備される。そして、ロータ本体と固定リングとが一
体回転するようにロータ本体と固定リングとを連結する
連結機構は、前記ロータ本体の内周面に半径方向の沿う
ロータ側ピン挿入孔を形成すると共に、固定リングには
前記ロータ側ピン挿入孔に連通するリング側ピン挿入孔
を半径方向に沿って貫通形成しておいて、固定リングの
内周側から前記リング側ピン挿入孔に連結ピンを押込ん
で、該連結ピンの前半をロータ側ピン挿入孔に嵌合させ
ると共に連結ピンの後半をリング側ピン挿入孔に嵌合さ
せる構成で、ロータ本体の表面を締め付け固定するワッ
シャ類は一切使用していない。従って、制動時に摺動面
の摩擦で高温に昇温するロータ本体は、昇温による熱膨
張に伴う変位が、取り付けボルトによって拘束されるこ
とがない。そして、ロータ本体の熱膨張に伴う半径方向
の変位は、前記連結ピンに対する滑りとして許容するこ
とができる。
【0020】また、取り付けボルトによる締め付けによ
って変位が拘束される固定リングは、アルミ基複合材と
比較して機械的強度が高く、しかも熱膨張率の小さな鉄
系材料製であるため、制動時の昇温に伴う熱膨張によっ
て作用する応力に対する耐久性が高い。従って、制動時
の昇温等によってロータ本体に大きな熱膨張が生じる場
合でも、該ロータ本体の熱膨張による半径方向の変位
は、前記固定リングとの間の相対変位として許容され、
ボルト挿通穴の周縁に割れや変形が生じることがない。
【0021】また、連結ピンは、ロータ本体の内側に固
定リングを嵌合させた後に、前記固定リングの内周側か
ら固定リングのピン挿入孔に押し込むもので、ロータ本
体に係合させる係合ピンを固定リングの外周部に鋳込み
成形により一体化させる従来の場合と比較すると、連結
ピンが成形時の熱によるダメージで強度低下をきたす虞
がなくなる。そして、連結ピンの抜き差しによってロー
タ本体と固定リングとの組み立てや分解も簡単にできる
ようになる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、図示実施形態により、本発
明を説明する。図1乃至図3は本発明に係る鉄道車両用
ディスクブレーキのアルミ基複合材製ロータの一実施形
態を示したもので、図1は一実施形態のアルミ基複合材
製ロータの斜視図、図2は図1におけるA−A断面図、
図3は一実施形態における連結ピンの装着手順を示す要
部斜視図である。
【0023】この一実施形態のアルミ基複合材製ロータ
20は、高速運行する鉄道車両のディスクブレーキに使
用されるもので、アルミ基複合材によりドーナツ形の円
盤状に一体形成されて表面21aが制動用の摺動面とさ
れるロータ本体21と、ロータ本体21の内周部に同心
状に嵌合装備されると共に取り付けボルトによって鉄道
車両の車輪(図示略)の側面に締結される鉄系材料製の
固定リング23と、ロータ本体21と固定リング23と
が一体回転するようにこれらのロータ本体21と固定リ
ング23とを連結する連結機構25とを備えた構成を成
している。本実施態様においても、鉄道車両の車輪とロ
ータ20との位置関係は、図5に示した従来例の場合と
同様で、車輪の両側面にそれぞれロータ20が組み付け
られる。
【0024】ここでいうアルミ基複合材は、アルミニウ
ム合金の金属母相にセラミック粒子等の強化粒子を分散
させた複合材料で、セラミックとして具体的には、Al
23,SiO2,SiC等の材料成分を使用する。
【0025】連結機構25は、図3にも示すように、ロ
ータ本体21の内周面に半径方向に沿って所定の深さに
穿設されたロータ側ピン挿入孔26と、ロータ側ピン挿
入孔26と同じ内径で固定リング23を半径方向に貫通
形成されたリング側ピン挿入孔27と、リング側ピン挿
入孔27の固定リング23の内周側に位置している開口
端に刻設された雌ねじ部28と、固定リング23の内周
側からリング側ピン挿入孔27に挿入されてリング側ピ
ン挿入孔27に所定の深さまで押込むと前半がロータ側
ピン挿入孔26に嵌合すると共に後半がリング側ピン挿
入孔27に嵌合した状態となる連結ピン29と、雌ねじ
部28に螺合してリング側ピン挿入孔27の固定リング
23の内周側の開口を塞いで連結ピン29の後退を規制
する止めねじ30とで構成されている。
【0026】固定リング23は、鉄道車両の車輪の側面
に螺合する取り付けボルトを挿通するボルト挿通孔32
が、周方向に等間隔で8箇所に装備されている。それぞ
れのボルト挿通孔32は、固定リング23の板厚方向
(即ち、リングの中心軸方向)に貫通している。そし
て、リング側ピン挿入孔27は、固定リング23上の隣
接するボルト挿通孔32の中間を貫通するように、周方
向に等間隔で、8箇所に形成されている。ロータ本体2
1上のピン挿入孔26は、固定リング23上のリング側
ピン挿入孔27の配置に対応して、周方向に等間隔で、
8箇所に形成されている。
【0027】この一実施形態の場合、連結ピン29に
は、スプリングピンを使用している。この連結ピン29
の外径は、ピン挿入孔26,27に対して僅かに締り嵌
めとなるように設定している。また、この連結ピン29
の全長L1は、図2に示すように、固定リング23の内
径Dよりも小さく設定してある。そして、固定リング2
3の外径寸法やロータ側ピン挿入孔26の深さ寸法は、
リング側ピン挿入孔27に対する連結ピン29の押込み
量が一定以上になると連結ピン29の前端がロータ側ピ
ン挿入孔26の終端に当たることでそれ以上の押込みが
規制されて、ロータ本体21や固定リング23に対する
連結ピン29の嵌合長が適正範囲に維持されるように、
設定されている。具体的には、図2に示すように、雌ね
じ部28に適正に螺着した止めねじ30の先端面からピ
ン挿入孔26の終端までのピン挿入孔の有効深さL
2が、連結ピン29の全長L1に等しいか、全長L1より
も僅かに大きくなる程度に、固定リング23の外径寸法
やロータ側ピン挿入孔26の深さ寸法が設定されてい
る。
【0028】止めねじ30は、6角穴付きの止めねじ
で、先端の中心部には、連結ピン29の中空部に嵌合す
るガイド丸棒30aが突設されている。止めねじ30
は、先端面が連結ピン29の端面に当接することで、連
結ピン29の後退を規制するが、その際に、ガイド丸棒
30aが連結ピン29の中空部に嵌合することで、連結
ピン29の固定を確実にする。
【0029】以上の一実施形態のロータ20では、制動
用の摺動面を提供するアルミ基複合材製のロータ本体2
1の内周には、鉄系材料で形成された別体の固定リング
23が嵌合装備されるようになっていて、固定リング2
3に、鉄道車両の車輪にねじ止めするためのボルト挿通
穴が装備される。そして、ロータ本体21と固定リング
23とが一体回転するようにロータ本体21と固定リン
グ23とを連結する連結機構25は、ロータ本体21の
内周面に半径方向の沿うロータ側ピン挿入孔26を形成
すると共に、固定リング23にはロータ側ピン挿入孔2
6に連通するリング側ピン挿入孔27を半径方向に沿っ
て貫通形成しておいて、固定リング23の内周側からリ
ング側ピン挿入孔27に連結ピン29を押込んで、連結
ピン29の前半をロータ側ピン挿入孔26に嵌合させる
と共に連結ピン29の後半をリング側ピン挿入孔27に
嵌合させる構成で、ロータ本体21の表面21aを締め
付け固定するワッシャ類は一切使用していない。
【0030】従って、制動時に摺動面の摩擦で高温に昇
温するロータ本体21は、昇温による熱膨張に伴う変位
が、取り付けボルトによって拘束されることがない。そ
して、ロータ本体21の熱膨張に伴う半径方向の変位
は、連結ピン29に対する滑りとして許容することがで
きる。
【0031】また、取り付けボルトによる締め付けによ
って変位が拘束される固定リング23は、アルミ基複合
材と比較して機械的強度が高く、しかも熱膨張率の小さ
な鉄系材料製であるため、制動時の昇温に伴う熱膨張に
よって作用する応力に対する耐久性が高い。
【0032】従って、制動時の昇温等によってロータ本
体21に大きな熱膨張が生じる場合でも、ロータ本体2
1の熱膨張による半径方向の変位は、固定リング23と
の間の相対変位として許容され、ボルト挿通穴の周縁に
割れや変形が生じることがなく、高速の鉄道車両におけ
る苛酷な制動条件にも長期に渡って耐えることが可能に
なる。
【0033】また、連結ピン29は、ロータ本体21の
内側に固定リング23を嵌合させた後に、固定リング2
3の内周側から固定リング23のピン挿入孔に押し込む
もので、ロータ本体21に係合させる係合ピンを固定リ
ング23の外周部に鋳込み成形により一体化させる従来
の場合と比較すると、連結ピン29が成形時の熱による
ダメージで強度低下をきたす虞がなくなる。そして、連
結ピン29の抜き差しによってロータ本体21と固定リ
ング23との組み立てや分解が簡単にできるため、保守
性も向上する。
【0034】また、リング側ピン挿入孔27に対する連
結ピン29の押込み量が一定以上になると連結ピン29
の前端がロータ側ピン挿入孔26の終端に当たることで
それ以上の押込みが規制されて、ロータ本体21や固定
リング23に対する連結ピン29の嵌合長が適正範囲に
維持されるように、連結ピン29の全長L1や固定リン
グ23の外径寸法やロータ側ピン挿入孔26の深さ寸法
が設定されているため、連結ピン29の前端がロータ本
体21のロータ側ピン挿入孔26の終端に当たるまで押
し込めば、それだけで、ロータ本体21や固定リング2
3に対する連結ピン29の嵌合長が適正範囲に設定され
る。 従って、特殊の治具等を使用せずとも、連結ピン
29の押し込み量を適正に設定することができ、組み立
てが容易にできる。
【0035】さらに、連結ピン29にはスプリングピン
を使用していて、ピンの外径が弾性的に収縮可能なため
に、ロータ本体21や固定リング23に形成するピン挿
入孔の寸法交差をそれほど厳格にする必要がなく、ピン
挿入孔の加工コストを低減させることができる。そし
て、連結ピン29の抜けを防止するためにリング側ピン
挿入孔27の開口端に螺着する止めねじ30を、スプリ
ングピンの内径に嵌合するガイド丸棒30aを突設した
構成としているため、ピン挿入孔内での連結ピン29の
固定をより確実にすることができる。
【0036】
【発明の効果】本発明の鉄道車両用ディスクブレーキの
アルミ基複合材製ロータによれば、制動用の摺動面を提
供するアルミ基複合材製のロータ本体の内周には、鉄系
材料で形成された別体の固定リングが嵌合装備されるよ
うになっていて、該固定リングに、鉄道車両の車輪にね
じ止めするためのボルト挿通穴が装備される。従って、
制動時に摺動面の摩擦で高温に昇温するロータ本体は、
昇温による熱膨張に伴う変位が、取り付けボルトによっ
て拘束されることがない。そして、ロータ本体と固定リ
ングとは、固定リングの外周から半径方向に突出する連
結ピンが、ロータ本体の内周面に半径方向に沿って穿設
されたロータ側ピン挿入孔に嵌合することで一体回転可
能に連結されていて、ロータ本体の熱膨張に伴う半径方
向の変位は、前記連結ピンに対する滑りとして許容する
ことができる。また、取り付けボルトによる締め付けに
よって変位が拘束される固定リングは、アルミ基複合材
と比較して機械的強度が高く、しかも熱膨張率の小さな
鉄系材料製であるため、制動時の昇温に伴う熱膨張によ
って作用する応力に対する耐久性が高い。従って、制動
時の昇温等によってロータ本体に大きな熱膨張が生じる
場合でも、該ロータ本体の熱膨張による半径方向の変位
は、前記固定リングとの間の相対変位として許容され、
ボルト挿通穴の周縁に割れや変形が生じることがなく、
高速の鉄道車両における苛酷な制動条件にも長期に亘っ
て耐えることが可能になる。また、連結ピンは、ロータ
本体の内側に固定リングを嵌合させた後に、前記固定リ
ングの内周側から固定リングのピン挿入孔に押し込むも
ので、ロータ本体に係合させる係合ピンを固定リングの
外周部に鋳込み成形により一体化させる従来の場合と比
較すると、連結ピンが成形時の熱によるダメージで強度
低下をきたす虞がなくなる。そして、連結ピンの抜き差
しによってロータ本体と固定リングとの組み立てや分解
が簡単にできるため、保守性も向上する。また、請求項
2に記載のように、前記連結ピンの全長は、前記固定リ
ングの内径よりも小さく設定し、かつ、前記リング側ピ
ン挿入孔に対する前記連結ピンの押込み量が一定以上に
なると前記連結ピンの前端がロータ側ピン挿入孔の終端
に当たることでそれ以上の押込みが規制されて、前記ロ
ータ本体や固定リングに対する前記連結ピンの嵌合長が
適正範囲に維持されるように、前記固定リングの外径寸
法や前記ロータ側ピン挿入孔の深さ寸法を設定しておけ
ば、連結ピンを固定リングのロータ本体に押し込む際、
連結ピンの前端がロータ本体のロータ側ピン挿入孔の終
端に当たるまで押し込めば、それだけで、ロータ本体や
固定リングに対する前記連結ピンの嵌合長が適正範囲に
設定される。従って、特殊の治具等を使用せずとも、前
記連結ピンの押し込み量を適正に設定することができ、
組み立てが容易になる。さらに、請求項3に記載のよう
に、前記連結ピンには、スプリングピンを使用した構成
とした場合には、ピンの外径が弾性的に収縮可能なため
に、ロータ本体や固定リングに形成するピン挿入孔の寸
法交差をそれほど厳格にする必要がなく、ピン挿入孔の
加工コストを低減させることができる。そして、前記連
結ピンの抜けを防止するためにリング側ピン挿入孔の開
口端に螺着する止めねじを、スプリングピンの内径に嵌
合するガイド丸棒を突設した構成とすることで、ピン挿
入孔内での連結ピンの固定をより確実にすることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る鉄道車両用ディスクブレーキのア
ルミ基複合材製ロータの一実施形態の斜視図である。
【図2】図1におけるA−A断面図である。
【図3】本発明の一実施形態における連結ピンの装着手
順を示す要部斜視図である。
【図4】従来の鉄道車両用ディスクブレーキのアルミ基
複合材製ロータの斜視図である。
【図5】従来の鉄道車両用ディスクブレーキのアルミ基
複合材製ロータの車輪に取り付けた状態の断面図であ
る。
【図6】鉄道車両用ディスクブレーキのアルミ基複合材
製ロータの熱膨張による変形を示す斜視図である。
【図7】従来の鉄道車両用ディスクブレーキのアルミ基
複合材製ロータにおける熱膨張時に発生する問題を示す
断面図である。
【図8】従来の対応策を示す断面図である。
【符号の説明】
20 アルミ基複合材製ロータ 21 ロータ本体 21a 表面 23 固定リング 25 連結機構 26 ピン挿入孔 27 リング側ピン挿入孔 28 雌ねじ部 29 連結ピン 30 止めねじ 32 ボルト挿通孔

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミ基複合材によりドーナツ状に一体
    形成されて表面が制動用の摺動面とされるロータ本体
    と、前記ロータ本体の内周部に同心状に嵌合装備される
    と共に取り付けボルトによって鉄道車両の車輪の側面に
    締結される鉄系材料製の固定リングと、前記ロータ本体
    と固定リングとが一体回転するようにこれらのロータ本
    体と固定リングとを連結する連結機構とを備えた構成を
    成し、 かつ、前記連結機構は、前記ロータ本体の内周面に半径
    方向に沿って所定の深さに穿設されたロータ側ピン挿入
    孔と、該ロータ側ピン挿入孔と略同一内径で前記固定リ
    ングを半径方向に貫通形成されたリング側ピン挿入孔
    と、該リング側ピン挿入孔の前記固定リングの内周側に
    位置している開口端に刻設された雌ねじ部と、前記固定
    リングの内周側から前記リング側ピン挿入孔に挿入され
    て前記リング側ピン挿入孔に所定の深さまで押込むと前
    半が前記ロータ側ピン挿入孔に嵌合すると共に後半が前
    記リング側ピン挿入孔に嵌合した状態となる連結ピン
    と、前記雌ねじ部に螺合して前記リング側ピン挿入孔の
    固定リングの内周側の開口を塞いで前記連結ピンの後退
    を規制する止めねじとを備えた構成としたことを特徴と
    した鉄道車両用ディスクブレーキのアルミ基複合材製ロ
    ータ。
  2. 【請求項2】 前記連結ピンの全長は、前記固定リング
    の内径よりも小さく設定し、かつ、前記リング側ピン挿
    入孔に対する前記連結ピンの押込み量が一定以上になる
    と前記連結ピンの前端がロータ側ピン挿入孔の終端に当
    たることでそれ以上の押込みが規制されて、前記ロータ
    本体や固定リングに対する前記連結ピンの嵌合長が適正
    範囲に維持されるように、前記固定リングの外径寸法及
    び前記ロータ側ピン挿入孔の深さ寸法が設定されている
    ことを特徴とした請求項1に記載の鉄道車両用ディスク
    ブレーキのアルミ基複合材製ロータ。
  3. 【請求項3】 前記連結ピンには、スプリングピンを使
    用したことを特徴とした請求項1又は2に記載の鉄道車
    両用ディスクブレーキのアルミ基複合材製ロータ。
JP32697196A 1996-12-06 1996-12-06 鉄道車両用ディスクブレーキのアルミ基複合材製ロータ Pending JPH10167066A (ja)

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