JPH10160590A - 平行三層モデルを用いた熱拡散率の測定法 - Google Patents
平行三層モデルを用いた熱拡散率の測定法Info
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- JPH10160590A JPH10160590A JP33039596A JP33039596A JPH10160590A JP H10160590 A JPH10160590 A JP H10160590A JP 33039596 A JP33039596 A JP 33039596A JP 33039596 A JP33039596 A JP 33039596A JP H10160590 A JPH10160590 A JP H10160590A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 三層モデルの熱伝導解析を理論的に行い、従
来行われていなかった各種補正項目を考慮した理論式を
導入して、簡便な手順で熱拡散率を測定可能にする。 【解決手段】 測定試料を熱定数が既知の二枚の平行な
薄板で挟み、熱的な平衡状態から、第一層の薄板壁面か
ら一様に熱エネルギーを投入し、第二層の測定試料を通
して第三層の薄板壁面に到達させる。この第三層の薄板
壁面の表面温度を時間の関数として測定し、その温度
を、熱定数を回帰係数として含む既知の温度応答に関す
る関数に回帰し、その回帰係数から第二層の測定試料の
熱拡散率を測定する。
来行われていなかった各種補正項目を考慮した理論式を
導入して、簡便な手順で熱拡散率を測定可能にする。 【解決手段】 測定試料を熱定数が既知の二枚の平行な
薄板で挟み、熱的な平衡状態から、第一層の薄板壁面か
ら一様に熱エネルギーを投入し、第二層の測定試料を通
して第三層の薄板壁面に到達させる。この第三層の薄板
壁面の表面温度を時間の関数として測定し、その温度
を、熱定数を回帰係数として含む既知の温度応答に関す
る関数に回帰し、その回帰係数から第二層の測定試料の
熱拡散率を測定する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として液体物質
試料の熱拡散率を理論的に正しく、精度良く、簡便に直
接測定する測定方法に関するものである。
試料の熱拡散率を理論的に正しく、精度良く、簡便に直
接測定する測定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】固体物質の熱拡散率の測定方法として
は、平行平板の片面をインパルス加熱やステップ加熱
し、そのときの反対面の温度応答を測定することにより
行うのが一般的である。これを液体の測定試料に適用す
るためには、測定試料を測定容器で取り囲むこと、即
ち、二枚の容器壁と試料部分の三層モデルの測定システ
ムが必要となる。このためには、測定容器壁の影響を補
正する必要があるが、従来から用いられている測定手段
では、その補正を全くしていないか、経験的な補正を加
えるか、あるいは、予め測定試料の熱定数を色々と与え
て理論計算したチャートと比較し、合致するものを測定
値として選択するなどの方法が採られている。従って、
液体物質試料の熱拡散率測定へのこの方法の適用は、固
体に対する平行平板法のように一般化されていない。
は、平行平板の片面をインパルス加熱やステップ加熱
し、そのときの反対面の温度応答を測定することにより
行うのが一般的である。これを液体の測定試料に適用す
るためには、測定試料を測定容器で取り囲むこと、即
ち、二枚の容器壁と試料部分の三層モデルの測定システ
ムが必要となる。このためには、測定容器壁の影響を補
正する必要があるが、従来から用いられている測定手段
では、その補正を全くしていないか、経験的な補正を加
えるか、あるいは、予め測定試料の熱定数を色々と与え
て理論計算したチャートと比較し、合致するものを測定
値として選択するなどの方法が採られている。従って、
液体物質試料の熱拡散率測定へのこの方法の適用は、固
体に対する平行平板法のように一般化されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の技術的課題
は、上記三層モデル部分の熱伝導解析を理論的に行い、
従来行われていなかった各種補正項目を考慮した理論式
を導入して、簡便な手順で測定できるようにした測定手
段を提供することにある。
は、上記三層モデル部分の熱伝導解析を理論的に行い、
従来行われていなかった各種補正項目を考慮した理論式
を導入して、簡便な手順で測定できるようにした測定手
段を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明の熱拡散率の測定法は、測定試料を熱定数が既
知の二枚の平行な薄板で挟み、熱的な平衡状態にある状
態から、第一層の薄板壁面から一様に熱エネルギーを投
入して、熱平衡を破り、熱エネルギーを第二層の測定試
料を通して第三層の薄板壁面に到達させ、この薄板壁面
の表面温度を時間の関数として測定し、その温度を、熱
定数を回帰係数として含む既知の温度応答に関する関数
に回帰し、その回帰係数から第二層の測定試料の熱拡散
率を測定することを特徴とするものである。上記熱拡散
率の測定法においては、第一層の薄板壁面からの熱エネ
ルギーの投入をインパルス加熱とし、温度応答に関する
関数を、二枚の平行な薄板の厚さが0の条件で解析し、
その温度応答から壁による温度降下量を差し引いた関数
とするのが簡便である。
の本発明の熱拡散率の測定法は、測定試料を熱定数が既
知の二枚の平行な薄板で挟み、熱的な平衡状態にある状
態から、第一層の薄板壁面から一様に熱エネルギーを投
入して、熱平衡を破り、熱エネルギーを第二層の測定試
料を通して第三層の薄板壁面に到達させ、この薄板壁面
の表面温度を時間の関数として測定し、その温度を、熱
定数を回帰係数として含む既知の温度応答に関する関数
に回帰し、その回帰係数から第二層の測定試料の熱拡散
率を測定することを特徴とするものである。上記熱拡散
率の測定法においては、第一層の薄板壁面からの熱エネ
ルギーの投入をインパルス加熱とし、温度応答に関する
関数を、二枚の平行な薄板の厚さが0の条件で解析し、
その温度応答から壁による温度降下量を差し引いた関数
とするのが簡便である。
【0005】このように、本発明の方法によれば、少量
の測定試料を、測定セルを形成する二枚の薄い平行板の
間に充填し、測定セルの第一層である薄板外面側からの
加熱により、熱エネルギーを第二層の測定試料を通して
測定セルの反対側に貫通させ、そして、第三層である薄
板壁面の表面の温度応答を測定することで、従来から行
われていなかったところの、各種補正項を理論的に考慮
した一つの測定方程式に回帰し、これにより、各種液体
試料の熱拡散率を、簡便に、効率よく測定することが可
能になる。
の測定試料を、測定セルを形成する二枚の薄い平行板の
間に充填し、測定セルの第一層である薄板外面側からの
加熱により、熱エネルギーを第二層の測定試料を通して
測定セルの反対側に貫通させ、そして、第三層である薄
板壁面の表面の温度応答を測定することで、従来から行
われていなかったところの、各種補正項を理論的に考慮
した一つの測定方程式に回帰し、これにより、各種液体
試料の熱拡散率を、簡便に、効率よく測定することが可
能になる。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の測定理論について詳細に
説明すると、まず、測定試料を熱定数が既知の測定セル
壁を構成する二枚の平行な薄板の間に充填して、熱的な
平衡状態に保持し、この状態で、ある時刻(時刻t=
0) から、非定常熱伝導により、加熱側の測定セル壁
(第一層)を通じて測定試料に一様に熱エネルギー関数
Q(s) [そのラプラス逆変換は時間tの関数としてq
(t) で表す。sは時間に関する微分演算子である。]で
与えられる熱エネルギーを投入して熱平衡を破り、熱エ
ネルギーを測定試料(第二層)を通して温度測定側の測
定セル壁(第三層)に貫通させて、この測定セル壁の表
面温度を時間の関数T(t) として測定し、その結果に基
づいて、以下に説明する測定方程式に回帰し、回帰係数
として熱拡散率を測定するものである。
説明すると、まず、測定試料を熱定数が既知の測定セル
壁を構成する二枚の平行な薄板の間に充填して、熱的な
平衡状態に保持し、この状態で、ある時刻(時刻t=
0) から、非定常熱伝導により、加熱側の測定セル壁
(第一層)を通じて測定試料に一様に熱エネルギー関数
Q(s) [そのラプラス逆変換は時間tの関数としてq
(t) で表す。sは時間に関する微分演算子である。]で
与えられる熱エネルギーを投入して熱平衡を破り、熱エ
ネルギーを測定試料(第二層)を通して温度測定側の測
定セル壁(第三層)に貫通させて、この測定セル壁の表
面温度を時間の関数T(t) として測定し、その結果に基
づいて、以下に説明する測定方程式に回帰し、回帰係数
として熱拡散率を測定するものである。
【0007】熱定数が既知の測定セルの形態として、熱
エネルギーを投入する測定セル壁、測温する測定セル壁
の材質には、例えば、様々な液体試料に対して化学的に
安定である金や石英ガラスの厚さが0.2mm程度の二
枚の平行で薄い平板を選び、これを1〜3mmの間隔で
配置し、その間に測定試料を挟み込むようにするのが適
している。また、熱的に平衡な状態から熱エネルギーを
この測定セル壁に投入する方法として、例えば、一般に
レーザフラッシュとも呼ぶインパルス加熱の場合、セル
壁の外側面に、使用する光に対して十分に黒い光エネル
ギー吸収膜を適当な手段により形成するのがよい。ま
た、ステップ加熱の場合、電気的に発熱させるには、セ
ル壁外側面に薄膜抵抗体を密着させることで目的が達成
できる。
エネルギーを投入する測定セル壁、測温する測定セル壁
の材質には、例えば、様々な液体試料に対して化学的に
安定である金や石英ガラスの厚さが0.2mm程度の二
枚の平行で薄い平板を選び、これを1〜3mmの間隔で
配置し、その間に測定試料を挟み込むようにするのが適
している。また、熱的に平衡な状態から熱エネルギーを
この測定セル壁に投入する方法として、例えば、一般に
レーザフラッシュとも呼ぶインパルス加熱の場合、セル
壁の外側面に、使用する光に対して十分に黒い光エネル
ギー吸収膜を適当な手段により形成するのがよい。ま
た、ステップ加熱の場合、電気的に発熱させるには、セ
ル壁外側面に薄膜抵抗体を密着させることで目的が達成
できる。
【0008】更に具体的には、本測定原理の理論的根拠
となる測定システムは、図1に示すように、従続接続さ
れた三層を示す3個の四端子ブロック回路の左側(加熱
面側)に、熱エネルギー関数Q(s) を外壁面の放射熱伝
達係数hr [一般的に、hr=4εr σT0 3と与える。
εr は加熱面及び温度測定面の放射率、σはシュテファ
ンボルツマン定数、T0 は測定セルの加熱前の温度であ
る。]で除したシステムを駆動する温度関数Q(s) /h
r [これらは、ラプラス変換の形式で表している。電圧
を温度、電流を熱流のように、電気回路系と熱伝導系を
類似的に表現すると、熱エネルギー関数Q(s) は、電流
源に類似するものとして熱流源、温度関数Q(s) /hr
は、電圧源に類似するものとして温度源となる。]と放
射熱抵抗1/hr が直列に、右端(温度測定面側)には
放射熱抵抗1/hr が終端熱負荷として配置されてい
る。
となる測定システムは、図1に示すように、従続接続さ
れた三層を示す3個の四端子ブロック回路の左側(加熱
面側)に、熱エネルギー関数Q(s) を外壁面の放射熱伝
達係数hr [一般的に、hr=4εr σT0 3と与える。
εr は加熱面及び温度測定面の放射率、σはシュテファ
ンボルツマン定数、T0 は測定セルの加熱前の温度であ
る。]で除したシステムを駆動する温度関数Q(s) /h
r [これらは、ラプラス変換の形式で表している。電圧
を温度、電流を熱流のように、電気回路系と熱伝導系を
類似的に表現すると、熱エネルギー関数Q(s) は、電流
源に類似するものとして熱流源、温度関数Q(s) /hr
は、電圧源に類似するものとして温度源となる。]と放
射熱抵抗1/hr が直列に、右端(温度測定面側)には
放射熱抵抗1/hr が終端熱負荷として配置されてい
る。
【0009】この図において、Wは熱特性インピーダン
スで、測定試料自体の熱定数(熱伝導率λ0 、熱拡散率
κ0 =λ0 /C0 ;C0 は単位体積当たりの熱容量)と
試料層の面に平行な方向に漏洩して系外に出ていく量を
表すパラメータ(熱漏洩コンダクタンス;ビオ数または
ヌセルト数)で決まり、θ0 は熱伝播定数で、熱特性イ
ンピーダンスWに含まれる同じパラメータ及び試料厚さ
lにも依存する。この漏洩コンダクタンスは、この測定
システムでは、測定セルの形状・配置によって左右さ
れ、熱は主に熱伝導により漏洩する。これらは、それぞ
れ次式で定義される。
スで、測定試料自体の熱定数(熱伝導率λ0 、熱拡散率
κ0 =λ0 /C0 ;C0 は単位体積当たりの熱容量)と
試料層の面に平行な方向に漏洩して系外に出ていく量を
表すパラメータ(熱漏洩コンダクタンス;ビオ数または
ヌセルト数)で決まり、θ0 は熱伝播定数で、熱特性イ
ンピーダンスWに含まれる同じパラメータ及び試料厚さ
lにも依存する。この漏洩コンダクタンスは、この測定
システムでは、測定セルの形状・配置によって左右さ
れ、熱は主に熱伝導により漏洩する。これらは、それぞ
れ次式で定義される。
【0010】
【数1】 但し、γ0 =√(s/κ0 )、h0 は測定試料中を伝わ
る熱流が試料層の面に沿って外部の系に逃げていく漏洩
熱流を表す熱伝達係数で、測定セルの形状と構造によっ
て決定できる。
る熱流が試料層の面に沿って外部の系に逃げていく漏洩
熱流を表す熱伝達係数で、測定セルの形状と構造によっ
て決定できる。
【0011】熱の漏洩原因には、放射、対流、伝導があ
るが、ここで想定する液体試料を充填する部分の一般的
な構造では、主として熱伝導による項が支配的で、
るが、ここで想定する液体試料を充填する部分の一般的
な構造では、主として熱伝導による項が支配的で、
【数2】 で表すことができる。
【0012】但し、aは試料中を伝導する熱流束の大き
さを規定するおおよその半径(パルス加熱の場合はレー
ザービームの大きさを表す半径)で、b* は測定セル中
の試料部分を厚さlの円盤状とみなしたときの実効的な
半径(円盤の面積をSとしたとき、b* =(S/π)
1/2 で与える。)である。
さを規定するおおよその半径(パルス加熱の場合はレー
ザービームの大きさを表す半径)で、b* は測定セル中
の試料部分を厚さlの円盤状とみなしたときの実効的な
半径(円盤の面積をSとしたとき、b* =(S/π)
1/2 で与える。)である。
【0013】この熱拡散・伝導システムのQ(s) に対す
る温度応答Θ2(s)を直接誘導することは、複雑になるの
で、第一段階として、測定セルの壁の厚さδr に対する
フーリエ数δr 2/κr t(κr は測定セルの壁の熱拡散
率)が大きい場合(即ち、壁の厚さδr が十分薄くて、
熱が試料層lに比べて厚さδr の壁を短時間で通過でき
る条件)を想定し、まず、δr =0の条件で解析し、そ
のときの温度応答Θ2'(s) [その逆ラプラス変換をT2'
(t) と表す。]を求める。
る温度応答Θ2(s)を直接誘導することは、複雑になるの
で、第一段階として、測定セルの壁の厚さδr に対する
フーリエ数δr 2/κr t(κr は測定セルの壁の熱拡散
率)が大きい場合(即ち、壁の厚さδr が十分薄くて、
熱が試料層lに比べて厚さδr の壁を短時間で通過でき
る条件)を想定し、まず、δr =0の条件で解析し、そ
のときの温度応答Θ2'(s) [その逆ラプラス変換をT2'
(t) と表す。]を求める。
【0014】
【数3】 但し、C'0は漏洩熱コンダクタンスを考慮したときの測
定試料の等価的な単位体積当たりの複素熱容量で、次式
で定義される。 C'0=C0 +(2h0 /sa) (4)
定試料の等価的な単位体積当たりの複素熱容量で、次式
で定義される。 C'0=C0 +(2h0 /sa) (4)
【0015】投入熱エネルギー関数Q(s) がインパルス
加熱、即ち、ある時間t=0で十分短い時間幅で加熱す
る場合は、 Q(s) =QT (QT はインパルスの全熱エネルギー) となる。
加熱、即ち、ある時間t=0で十分短い時間幅で加熱す
る場合は、 Q(s) =QT (QT はインパルスの全熱エネルギー) となる。
【0016】[インパルス加熱の場合の温度応答関数]
インパルス加熱の場合で、(3)式のh0 /λ0 =0の
ときの逆ラプラス変換の解析結果が求められており、こ
れをh0 /λ0 ≠0の場合に適用すると、次式となる。
インパルス加熱の場合で、(3)式のh0 /λ0 =0の
ときの逆ラプラス変換の解析結果が求められており、こ
れをh0 /λ0 ≠0の場合に適用すると、次式となる。
【数4】
【0017】また、同様の手法によって得られる熱エネ
ルギー投入面の温度応答関数は次式となる。
ルギー投入面の温度応答関数は次式となる。
【数5】 係数Am ,Bm ,Xm は級数近似解として求められてい
る。TM はインパルスの全エネルギーQT と測定試料の
熱容量に依存する温度で、熱の漏洩・放射損失が全くな
いとした理想状態で理論的に到達する最高温度である。
る。TM はインパルスの全エネルギーQT と測定試料の
熱容量に依存する温度で、熱の漏洩・放射損失が全くな
いとした理想状態で理論的に到達する最高温度である。
【0018】第二段階としては(5)(6)式を導く際
に無視した厚さδr の容器壁の効果を補正する。図1で
示す二枚の容器壁は、それぞれ電気的な4端子回路とし
ての一種の回路と考えた場合、壁の熱伝送の等価回路は
図2で表すことができる。このときの伝送回路の定数
は、壁に対するフーリエ数が大きい、即ち、パラメータ
√(s/κr δr )が小さいとして、次式で表すことが
できる。
に無視した厚さδr の容器壁の効果を補正する。図1で
示す二枚の容器壁は、それぞれ電気的な4端子回路とし
ての一種の回路と考えた場合、壁の熱伝送の等価回路は
図2で表すことができる。このときの伝送回路の定数
は、壁に対するフーリエ数が大きい、即ち、パラメータ
√(s/κr δr )が小さいとして、次式で表すことが
できる。
【数6】 但し、λr は測定セルの壁の熱伝導率である。
【0019】熱エネルギーの投入面、及び温度測定面の
壁による温度降下量、即ち、補正量ΔT1(t),ΔT2(t)
は、ΔT1(t)≪T1(t),ΔT2(t)≪T2(t)として良いか
ら、次式で与えられる。
壁による温度降下量、即ち、補正量ΔT1(t),ΔT2(t)
は、ΔT1(t)≪T1(t),ΔT2(t)≪T2(t)として良いか
ら、次式で与えられる。
【数7】
【0020】従って、最終的に図1で示すモデルでの温
度測定面の温度応答は、T2'(t) からΔT1(t)とΔT
2(t)を差し引いて次のようになる。
度測定面の温度応答は、T2'(t) からΔT1(t)とΔT
2(t)を差し引いて次のようになる。
【数8】
【0021】理想的なインパルス(デルタ関数δ(t) で
表す。)加熱の場合は、インパルスの時間幅を零と置く
ことができるが、実際のインパルス加熱での熱エネルギ
ー関数は図3で示すように、有限な時間幅をもってお
り、次式により十分な精度でパルス波形を近似できる。
表す。)加熱の場合は、インパルスの時間幅を零と置く
ことができるが、実際のインパルス加熱での熱エネルギ
ー関数は図3で示すように、有限な時間幅をもってお
り、次式により十分な精度でパルス波形を近似できる。
【0022】 q(t) =α2 t exp(−αt) (10) 但し、αは時間幅を規定するパラメータである。関数
(10)式のラプラス変換は、Q(s) =α2 /(s+
α)2 で与えられ、一つのフィルター関数(パルス関
数)として表示できる。従って、このパルス波形をもっ
たエネルギー関数による測定を図4で示すモデルで説明
する。
(10)式のラプラス変換は、Q(s) =α2 /(s+
α)2 で与えられ、一つのフィルター関数(パルス関
数)として表示できる。従って、このパルス波形をもっ
たエネルギー関数による測定を図4で示すモデルで説明
する。
【0023】図4で理想インパルスが第一段に入力した
とき、その出力は実際のパルス波形q(t) となり、次に
第二段の測定システムを示すフィルタF(s) に入力す
る。この出力波形が実際に測定される波形g(t) であ
る。これを仮想的なパルス関数の逆数フィルタを通す
と、最終段には本測定システムを表すフィルタ関数F
(s) の逆ラプラス変換である応答関数f(t) を出力す
る。これは、応答関数(9)式に相当し、これにより実
際に測定される応答関数g(t) を次式に示すように求め
ることができる。
とき、その出力は実際のパルス波形q(t) となり、次に
第二段の測定システムを示すフィルタF(s) に入力す
る。この出力波形が実際に測定される波形g(t) であ
る。これを仮想的なパルス関数の逆数フィルタを通す
と、最終段には本測定システムを表すフィルタ関数F
(s) の逆ラプラス変換である応答関数f(t) を出力す
る。これは、応答関数(9)式に相当し、これにより実
際に測定される応答関数g(t) を次式に示すように求め
ることができる。
【0024】
【数9】
【0025】即ち、
【数10】 となり、最終的に、本発明に関わる測定に使用するイン
パルス加熱による温度応答関数は次式である。
パルス加熱による温度応答関数は次式である。
【0026】
【数11】 t0 は測定系の特性時間を表し、これを求めて試料物質
の熱拡散率κ0 を計算する。また、
の熱拡散率κ0 を計算する。また、
【数12】
【0027】であり、係数Am ,Bm ,Xm は、従来か
ら行われているパルスヒーティングによる固体材料の熱
拡散率の測定で使用されている係数を使う。応答温度の
測定結果を、TM とt0 を未知の回帰係数としてこの式
に回帰分析を行う。未知の回帰係数として、例えば放射
熱伝達係数hr も測定した応答温度から計算可能である
が、測定セルについて予め測定して置いた固有な値を既
知数として与える方が良い。その他の係数は既知数とし
て与える。
ら行われているパルスヒーティングによる固体材料の熱
拡散率の測定で使用されている係数を使う。応答温度の
測定結果を、TM とt0 を未知の回帰係数としてこの式
に回帰分析を行う。未知の回帰係数として、例えば放射
熱伝達係数hr も測定した応答温度から計算可能である
が、測定セルについて予め測定して置いた固有な値を既
知数として与える方が良い。その他の係数は既知数とし
て与える。
【0028】(13)式で、δr =0,α→∞,l/a
→∞と置くと、通常のパルスヒーティングによる固体材
料の熱拡散率の測定で使用されている式に一致する。
→∞と置くと、通常のパルスヒーティングによる固体材
料の熱拡散率の測定で使用されている式に一致する。
【0029】
【発明の効果】以上に詳述した本発明の熱拡散率の測定
法によれば、これまで解析的に行われてこなかった測定
セルの壁の影響の補正項、パルスの時間幅に関する補正
項、壁に平行な方向に測定試料から系外へ熱伝導で逃げ
ている熱流の補正項を加味したものになり、簡便な手順
によって、理論に沿った正しい測定値を求めることがで
きる。
法によれば、これまで解析的に行われてこなかった測定
セルの壁の影響の補正項、パルスの時間幅に関する補正
項、壁に平行な方向に測定試料から系外へ熱伝導で逃げ
ている熱流の補正項を加味したものになり、簡便な手順
によって、理論に沿った正しい測定値を求めることがで
きる。
【図1】本発明による熱拡散率の測定に使用する温度応
答関数を導くための平行三層モデルを表したブロック図
である。
答関数を導くための平行三層モデルを表したブロック図
である。
【図2】第一層、第三層の測定セルの壁を一枚のものと
したときの温度・熱の四端子伝送回路の等価回路図であ
る。
したときの温度・熱の四端子伝送回路の等価回路図であ
る。
【図3】実際に測定に使用されるインパルスの波形例を
示すグラフである。
示すグラフである。
【図4】有限の時間幅をもった実際のインパルス波形q
(t) での測定で、この時間幅に関する補正方法の手順を
示す概念図である。
(t) での測定で、この時間幅に関する補正方法の手順を
示す概念図である。
Claims (2)
- 【請求項1】測定試料を熱定数が既知の二枚の平行な薄
板で挟み、熱的な平衡状態にある状態から、第一層の薄
板壁面から一様に熱エネルギーを投入して、熱平衡を破
り、熱エネルギーを第二層の測定試料を通して第三層の
薄板壁面に到達させ、この薄板壁面の表面温度を時間の
関数として測定し、その温度を、熱定数を回帰係数とし
て含む既知の温度応答に関する関数に回帰し、その回帰
係数から第二層の測定試料の熱拡散率を測定することを
特徴とする平行三層モデルを用いた熱拡散率の測定法。 - 【請求項2】請求項1に記載の測定法において、 第一層の薄板壁面からの熱エネルギーの投入をインパル
ス加熱とし、 温度応答に関する関数を、二枚の平行な薄板の厚さが0
の条件で解析し、その温度応答から壁による温度降下量
を差し引いた関数とする、ことを特徴とする平行三層モ
デルを用いた熱拡散率の測定法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33039596A JP2961244B2 (ja) | 1996-11-26 | 1996-11-26 | 平行三層モデルを用いた熱拡散率の測定法 |
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