JPH10156277A - 撥水性,非粘着性,抗菌・防カビ性に優れたプレコート鋼板 - Google Patents

撥水性,非粘着性,抗菌・防カビ性に優れたプレコート鋼板

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JPH10156277A
JPH10156277A JP31617596A JP31617596A JPH10156277A JP H10156277 A JPH10156277 A JP H10156277A JP 31617596 A JP31617596 A JP 31617596A JP 31617596 A JP31617596 A JP 31617596A JP H10156277 A JPH10156277 A JP H10156277A
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antifungal
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JP31617596A
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Junji Saida
淳治 才田
Eiki Takeshima
鋭機 竹島
Kaoru Kojima
薫 兒島
Hiroshige Nakamura
浩茂 中村
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
Original Assignee
Nisshin Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 撥水性,非粘着性,抗菌・防カビ性を併せ持
つプレコート鋼板を得る。 【解決手段】 このプレコート鋼板は、スパッタリング
法で銀合金又はニッケル合金を1〜30重量%で被覆し
た粒径1μm以下で、比表面積(m2 /g)を比重で割
った値が3.5m2 /g以上であるセラミックス粒子を
四フッ化エチレン樹脂粒子に0.1〜5重量%の割合で
混合した四フッ化エチレン樹脂3〜5重量部と芳香族ヒ
ドロキシル基をもつ熱可塑性ポリエーテルサルフォン樹
脂7〜5重量部の組成をもつ塗膜が形成されている。セ
ラミックス粒子を被覆する銀合金又はニッケル合金に
は、10〜50重量%のCu及び/又はZnを含有する
合金が使用される。なかでも、高い活性度を長期にわた
って持続する上で、非晶質相を呈する銀合金又はニッケ
ル合金が好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、抗菌・防カビ性を付与
した撥水性,非粘着プレコート鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】内装材,外装材,家具調度品,家電製品
等では、汚れ防止や清潔感を付与するため、撥水加工,
非粘着性塗装が施された鋼板が使用されている。撥水
性,非粘着性の改善には、主として四フッ化エチレン樹
脂が有効成分として使用される(特公昭55−3091
0号公報参照)。たとえば、四フッ化エチレン樹脂を添
加した樹脂塗料を鋼板表面に塗布し焼き付けると、四フ
ッ化エチレン樹脂が濃化した表面層と下層との2層構造
をもつ塗膜が形成される。下層は、芳香族ヒドロキシル
基を有する熱可塑性ポリエーテルスルホン樹脂等を主体
とし、基材に対する塗膜の密着性を確保する。表面層
は、四フッ化エチレン樹脂の濃化によって撥水性や非粘
着性を発現する。
【0003】衛生的な環境が強く望まれるようになった
昨今、撥水加工や非粘着性塗装した鋼板表面に抗菌・防
カビ作用を付与することも検討されている。抗菌・防カ
ビ顔料は、有機系と無機系に大別され、用途に応じて使
い分けられる。一般には、塗料,セメント,樹脂等に顔
料を分散させている。有機系顔料では、耐熱性,効果の
持続性,安全性等に問題があり、しかも抗菌・防カビ作
用を失活した状態では却って栄養源となり雑菌等の繁殖
を促進させる虞れがある。無機系の抗菌・防カビ顔料
は、Ag,Cu,Zn,Ni等の金属又はイオンが抗菌
・防カビ作用を呈することを活用したものである。これ
らの金属は、イオン交換でゼオライト等のセラミックス
に担持させて使用される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、四フッ化エチ
レン樹脂の表面濃化により撥水性や非粘着性を付与した
プレコート鋼板の抗菌・防カビ作用を改善するため、金
属質の抗菌・防カビ剤を四フッ化エチレン樹脂に添加し
ても、添加した抗菌・防カビ剤は、比重や表面張力の関
係で最表層のフッ素樹脂層に含まれず、下層に沈降す
る。その結果、所期の抗菌・防カビ作用を表面層に付与
できない。本発明は、このような問題を解消すべく案出
されたものであり、金属質の抗菌・防カビ剤を被覆した
セラミックス粒子を四フッ化エチレン樹脂に配合した塗
料を使用することにより、撥水性,非粘着性を維持し且
つ抗菌・防カビ作用にも優れたプレコート鋼板を提供す
ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のプレコート鋼板
は、その目的を達成するため、スパッタリング法で銀合
金又はニッケル合金を1〜30重量%被覆した一次粒径
1μm以下で、比表面積(m2 /g)を比重で割った値
が3.5m2 /g以上であるセラミックス粒子に四フッ
化エチレン樹脂粒子を0.1〜5重量%の割合で混合し
た四フッ化エチレン樹脂3〜5重量部と芳香族ヒドロキ
シル基をもつ熱可塑性ポリエーテルサルフォン樹脂7〜
5重量部の組成をもつ塗膜が形成されていることを特徴
とする。四フッ化エチレン樹脂粒子を被覆する銀合金又
はニッケル合金には、10〜50重量%のCu及び/又
はZnを含有する合金が使用される。なかでも、高い活
性度を長期にわたって持続する上で、非晶質相を呈する
銀合金又はニッケル合金が好ましい。
【0006】
【作用】四フッ化エチレン樹脂(PTFE)を配合した
熱可塑性ポリエーテルサルフォン樹脂(PES)に配合
した樹脂塗料を鋼板に塗布すると、図1に示すようにP
ESを主体とする下層の上にPTFE粒子が分散した上
層が形成される。この塗膜を焼き付けると、比重や表面
張力によりPTFE粒子が浮上し、PTFEからなる撥
水性及び非粘着性に優れた表面層が形成される。この表
面層は、PESからなる下層を介して下地鋼板に密着す
る。このような2層構造の塗膜を形成する樹脂塗料に抗
菌・防カビ剤としてAg,Cu,Zn,Ni等の抗菌性
金属を添加しても、比重や表面張力の関係で抗菌性金属
が下層に沈降する。そのため、抗菌性金属が本来呈する
抗菌・防カビ作用が得られない。
【0007】そこで、本発明においては、一次粒径1μ
m以下で、比表面積(m2 /g)を比重で割った値が
3.5m2 /g以上であるセラミックス粒子を使用す
る。セラミックス粒子としては、アルミナ,チタニア,
ジルコニア等の酸化物の他、炭化物や窒化物も使用され
る。比表面積を比重で割った値が3.5m2 /gに満た
ないと、セラミックス粒子の表面エネルギーが低下し、
塗布した場合に表層の四フッ化エチレン樹脂層に残存せ
ず、下層のPES層に沈降し易く、抗菌性が発現されな
い。また、比表面積を比重で割った値が3.5m2 /g
以上でも、一次粒子径が1μmを超えると表層に残存す
る割合が低下する。セラミックス粒子には、図2に示す
ように表面に抗菌・防カビ性金属が島状被覆aとして設
けられる。このセラミックス粒子bと四フッ化エチレン
樹脂を適正量混合し、塗料に配合する。このセラミック
ス粒子は、粒子表面の一部が抗菌・防カビ性金属で被覆
されてはいるが、残りの表面部ではセラミックス粒子が
露出している。このセラミックス粒子を四フッ化エチレ
ン樹脂と混合し、図1に示す塗膜を形成すると、従来の
四フッ化エチレン樹脂粒子と同様に表面層に濃化する。
したがって、撥水性,非粘着性に有効な四フッ化エチレ
ン樹脂粒子が表面に露出すると共に、抗菌・防カビ性金
属も表面に露出する。
【0008】
【実施の形態】四フッ化エチレン樹脂粒子としては、分
子量が20〜200万の比較的小さいものが塗料に対す
る分散性や塗膜にしたときの密着性,加工性等に優れて
いる。また、粒子径は、塗膜厚みの1/3〜1/10程
度が好ましい。セラミックス粒子に抗菌・防カビ性金属
の島状被覆を形成する手段としては、本発明者等が開発
した粉末スパッタリング装置を使用することができる。
この種の粉末スパッタリング装置には、回転ドラムに粉
末を投入し、回転ドラムの回転によって流動化させた粉
末粒子をスパッタリングする装置(特開平2−1530
68号公報),繰り返される粉末の落下流に金属をスパ
ッタリングする装置(特開昭62−250172号公
報)等がある。
【0009】粉末スパッタリング装置は、設備構成を図
3に示すように、回転ドラム1を2本のロール2で支持
し、一方のロール2をモータ3で回転させる。回転ドラ
ム1の内部には、2個のスパッタリング源4が配置され
ており、投入したセラミックス粒子原料5がスパッタリ
ングされる。セラミックス粒子としては、四フッ化エチ
レン樹脂への分散を可能にするため、粒径1μm以下の
ものが使用される。回転ドラム1の上方には、外周に加
熱コイル6を備えた減圧処理室7が配置されており、減
圧処理室7の底部がバルブ8を備えた供給管9を介して
回転ドラム1に接続されている。供給管9は、バルブ8
より下側の部分でArガス導入管10が内部に挿入され
た二重管構造になっており、側面から回転ドラム1の内
部に挿入され、先端が回転ドラム1の底部に延びてい
る。また、バルブ8より下側で供給管9に分岐管11が
取り付けられており、分岐管11の先端が流体ジェット
ミル12に接続されている。流体ジェットミル12の出
側は、循環管13を経て減圧処理室7の上部に接続され
ている。分岐管11,循環管13にバルブ14,15が
挿入されており、循環管13には固気分離装置16が接
続されている。
【0010】回転ドラム1内でスパッタリングにより金
属被覆されたセラミックス粒子5は、分岐管11,循環
管13から減圧処理室7に送られ、所定厚みの被覆が島
状に形成されるまでスパッタリング処理に繰返し供され
る。ここで、セラミックス粒子に対する抗菌・防カビ性
金属の付着量を1〜30重量%の範囲に調整すると、セ
ラミックス粒子の表面を部分的に覆う島状被覆aが形成
される。抗菌・防カビ性金属の付着量が1重量%に満た
ないと、得られたセラミックス粒子bの抗菌・防カビ作
用が小さい。逆に、30重量%を越える付着量で抗菌・
防カビ性金属を被覆すると、セラミックス粒子5の表面
全域が抗菌・防カビ性金属で覆われ、表面エネルギーが
低下する結果、表面層にセラミックス粒子bが濃化し難
くなる。このような付着量の調節は、粉末スパッタリン
グでは容易に行える。島状被覆が形成されたセラミック
ス粒子5(b)は、固気分離装置16で回収される。
【0011】島状被覆aとなる抗菌・防カビ性金属とし
ては、10〜50重量%のCu及び/又はZnを含む銀
合金又はニッケル合金が使用される。Ag及びNiは、
それ自体で抗菌性を呈するが、これにCuやZnを合金
化すると一層良好な抗菌・防カビ作用が発現する。Cu
及び/又はZnの含有量が10〜50重量%の範囲を外
れると、合金化の効果が低減する。この種の合金として
は、特願平7−294739号,特願平8−24946
号として本発明者等が提案している銀合金やニッケル合
金がある。なかでも、Cu:10〜50重量%,Zn:
10〜50重量%及びAg又はNi:10〜50重量%
の組成をもつ合金系は、非晶質相を呈し、各成分が長期
間にわたって一様に溶出・イオン化するため、抗菌・防
カビ作用の持続性に優れている。前述した含有量は、合
金被覆を非晶質化する上で必要である。
【0012】抗菌・防カビ性金属の島状被覆aは、スパ
ッタリング法で形成されているために、急冷効果を受け
て微細化した組織となっている。この点でも、抗菌・防
カビ性金属元素の溶出が一定化し、長期間にわたって効
果が持続する。なかでも、非晶質化したものでは、構成
元素の溶出速度に時間変化が少なく、耐食性も良好であ
る。抗菌・防カビ性金属の島状被覆aを設けたセラミッ
クス粒子bは、通常の4フッ化エチレン樹脂に0.1〜
5重量%の割合で混合され、3:7〜5:5の重量比率
で芳香族ヒドロキシル基をもつ熱可塑性ポリエーテルサ
ルフォン樹脂と配合される。このような熱可塑性ポリエ
ーテルサルフォン樹脂としては、粒径の小さいものが望
ましく、実用的には20μm以下のものが使用される。
抗菌・防カビ性金属を被覆したセラミックス粒子の四フ
ッ化エチレン樹脂に対する混合比は、0.1〜5重量%
の範囲にする。混合比が0.1重量%未満であると抗菌
・防カビ性が十分発現せず、5重量%を超える混合比で
は非粘着性が劣化する。また、熱可塑性ポリエーテルス
ルホン樹脂:四フッ化エチレン樹脂の混合比を3:7よ
りも少なくすると塗膜の密着性が悪くなり、5:5より
も多くすると非粘着性が劣化する。
【0013】
【実施例】
実施例1:Ar分圧が1×10-3トールの雰囲気下で、
一次粒径0.1〜10μm,比表面積/比重の値が3.
5m2 /gである酸化チタンにAg40重量%−Cu3
0重量%−Zn30重量%のAg合金及びNi40重量
%−Cu30重量%−Sn30重量%のNi合金を出力
500Wのスパッタリングにより5重量%被覆した。抗
菌・防カビ性金属被覆酸化チタンを四フッ化エチレン樹
脂に1重量%混合し、それを芳香族ヒドロキシル基を有
する熱可塑性ポリエーテルスルホン樹脂に50重量%混
合し、亜鉛めっき鋼板に塗装し、焼き付けた。得られた
塗膜の抗菌・防カビ性及び撥水性(非粘着性)を評価し
た結果を図4に示す。図中、それぞれの性質が特に優れ
ていることを◎,優れていることを○,有意性が認めら
れず又は劣化していることを×で表した。撥水性(非粘
着性)は、卵,砂糖,醤油を1:1:1の重量比で混合
したものを塗装鋼板に10cc滴下し、250℃で60
分間加熱した後、剥離させた場合の塗膜への残存状態で
評価した。図4の結果から、抗菌・防カビ性合金被覆し
た酸化チタンの粒径が1μm以下の場合に、抗菌・防カ
ビ性及び撥水性(非粘着性)が発現していることが判
る。
【0014】実施例2:実施例1と同じ条件で一次粒径
0.3μm,比表面積/比重の値が2〜6m2/gであ
る酸化チタンにAg40重量%−Cu30重量%−Zn
30重量%のAg合金及びNi40重量%−Cu30重
量%−Sn30重量%のNi合金をスパッタリング法で
5重量%被覆した。抗菌・防カビ性金属被覆酸化チタン
を四フッ化エチレン樹脂に1重量%混合し、それを芳香
族ヒドロキシル基を有する熱可塑性ポリエーテルスルホ
ン樹脂に50重量%混合し、亜鉛めっき鋼板に塗装し、
焼き付けた。得られた塗膜の抗菌・防カビ性及び撥水性
(非粘着性)を実施例1と同様に評価した。図5の評価
結果にみられるように、抗菌・防カビ性金属を被覆した
酸化チタンの比表面積/比重の値が3.5m2 /g以上
の場合に、抗菌・防カビ性及び撥水性(非粘着性)が共
に発現していることが判る。
【0015】実施例3:実施例1と同じ条件で一次粒径
0.3μm,比表面積/比重の値が4m2 /gである酸
化チタンにAg40重量%−Cu30重量%−Zn30
重量%のAg合金及びNi40重量%−Cu30重量%
−Sn30重量%のNi合金をスパッタリング法により
0.5〜40重量%の割合で被覆した。抗菌・防カビ性
金属被覆酸化チタンを四フッ化エチレン樹脂に1重量%
混合し、それを芳香族ヒドロキシル基を有する熱可塑性
ポリエーテルスルホン樹脂に50重量%混合し、亜鉛め
っき鋼板に塗装し、焼き付けた。得られた塗膜の抗菌・
防カビ性及び撥水性(非粘着性)を実施例1と同様に評
価した。図6の評価結果にみられるように、抗菌・防カ
ビ性金属の被覆量が1〜30重量%の範囲にあるとき、
抗菌・防カビ性及び撥水性(非粘着性)が共に発現して
いることが判る。
【0016】実施例4:実施例1と同じ条件で一次粒径
0.3μm,比表面積/比重の値が4m2 /gである酸
化ジルコニウムにAg40重量%−Cu30重量%−Z
n30重量%のAg合金及びNi40重量%−Cu30
重量%−Sn30重量%のNi合金をスパッタリング法
により10重量%被覆した。抗菌・防カビ性金属被覆酸
化ジルコニウムを四フッ化エチレン樹脂に0〜10重量
%混合し、それを芳香族ヒドロキシル基を有する熱可塑
性ポリエーテルスルホン樹脂に50重量%混合し、亜鉛
めっき鋼板に塗装し、焼き付けた。得られた塗膜の抗菌
・防カビ性及び撥水性(非粘着性)を実施例1と同様に
評価した。図7の評価結果にみられるように、抗菌・防
カビ性金属被覆酸化ジルコニウムの四フッ化エチレン樹
脂への混合量が0.1〜7重量%の範囲にあるとき、抗
菌・防カビ性及び撥水性(非粘着性)が共に発現してい
ることが判る。
【0017】実施例5:実施例1と同じ条件で一次粒径
0.3μm,比表面積/比重の値が4m2 /gである酸
化アルミニウムにAg40重量%−Cu30重量%−Z
n30重量%のAg合金及びNi40重量%−Cu30
重量%−Sn30重量%のNi合金をスパッタリング法
により10重量%被覆した。抗菌・防カビ性金属被覆酸
化アルミニウムを四フッ化エチレン樹脂に3重量%混合
し、それを芳香族ヒドロキシル基を有する熱可塑性ポリ
エーテルスルホン樹脂に20〜60重量%混合し、亜鉛
めっき鋼板に塗装し、焼き付けた。得られた塗膜の抗菌
・防カビ性及び撥水性(非粘着性)を実施例1と同様に
評価した。図8の評価結果にみられるように、抗菌・防
カビ性金属被覆酸化アルミニウムを添加した四フッ化エ
チレン樹脂の芳香族ヒドロキシル基を有する熱可塑性ポ
リエーテルスルホン樹脂に対する混合量が30〜50重
量%の範囲にあるとき、抗菌・防カビ性及び撥水性(非
粘着性)が共に発現していることが判る。他方、四フッ
化エチレン樹脂の混合量が30重量%未満では撥水性
(非粘着性)が発現せず、50重量%を超える混合量で
は皮膜剥離に起因して撥水性(非粘着性)の劣化がみら
れた。
【0018】実施例6:種々の金属を酸化チタンに5重
量%被覆し、それを四フッ化エチレン樹脂に2重量%添
加した顔料40重量%を芳香族ヒドロキシル基を有する
熱可塑性ポリエーテルスルホン樹脂60重量%に混合
し、亜鉛めっき鋼板に塗装し、焼き付けた。得られた塗
膜の抗菌・防カビ性,撥水性,非粘着性を被覆金属の種
類ごとに調査した。調査結果を示す表1,2にみられる
ように、本発明に従って抗菌・防カビ性金属被覆を設け
たものでは、何れも抗菌・防カビ性及び撥水性(非粘着
性)の双方に優れていた。
【0019】
【0020】
【0021】実施例7:Ag40重量%−Cu30重量
%−Zn30重量%のAg合金及びNi40重量%−C
u30重量%−Sn30重量%のNi合金をスパッタリ
ング法により酸化アルミニウムに被覆した。スパッタリ
ングの出力を500Wとするとき、結晶質構造の被覆層
が形成された。また、出力300Wで間接冷却したと
き、非晶質構造の被覆層が形成された。抗菌・防カビ性
金属被覆酸化アルミニウムを四フッ化エチレン樹脂に5
重量%混合した。それを芳香族ヒドロキシル基を有する
熱可塑性ポリエーテルスルホン樹脂に40重量%混合
し、鋼板に塗装し、焼き付けた、塗装後の鋼板を面積2
5cm2 のサイズに切り出し、100ccの沸騰水に浸
漬し、構成金属イオンの溶出量を測定した。図9の測定
結果にみられるように、表面被覆金属が非晶質になって
いると、構成金属の溶出の立上がりが早く、溶出速度も
ほぼ一定であった。他方、結晶質構造の被覆を形成した
場合、溶出速度に変動がみられた。この対比から、結晶
構造よりも非晶質構造の方が速効性及び持続性に優れた
抗菌・防カビ性を呈することが判る。
【0022】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明のプレコ
ート鋼板は、抗菌・防カビ性を呈する銀合金又はニッケ
ル合金を島状被覆として形成したセラミックス粒子を含
む塗膜をもつため、抗菌・防カビ性が付与され、且つ撥
水性,非粘着性に優れた表面層が形成される。そのた
め、厨房機器,衛生機器,衛生的な環境が要求される建
築物の外装材,内装材等として広範な分野で使用され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 四フッ化エチレン樹脂粒子が表面濃化した塗
【図2】 抗菌・防カビ性金属の島状被覆を形成したセ
ラミックス粒子
【図3】 抗菌・防カビ性金属の被覆形成に使用する粉
末スパッタリング装置
【図4】 抗菌・防カビ性のAg合金及びNi合金を被
覆した酸化チタン粒子を含む塗膜において、抗菌・防カ
ビ性及び撥水性(非粘着性)に酸化チタンの粒径が及ぼ
す影響を示すグラフ
【図5】 抗菌・防カビ性のAg合金及びNi合金を被
覆した酸化チタン粒子を含む塗膜において、抗菌・防カ
ビ性及び撥水性(非粘着性)に比表面積/比重の値が及
ぼす影響を示すグラフ
【図6】 抗菌・防カビ性のAg合金及びNi合金を被
覆した酸化チタン粒子を含む塗膜において、抗菌・防カ
ビ性及び撥水性(非粘着性)に抗菌・防カビ性金属の被
覆量が及ぼす影響を示すグラフ
【図7】 抗菌・防カビ性のAg合金及びNi合金を被
覆した酸化ジルコニウム粒子を含む塗膜において、抗菌
・防カビ性及び撥水性(非粘着性)に抗菌・防カビ性金
属被覆酸化ジルコニウムの混合量が及ぼす影響を示すグ
ラフ
【図8】 抗菌・防カビ性のAg合金及びNi合金を被
覆した酸化アルミニウム粒子を含む塗膜において、抗菌
・防カビ性金属被覆酸化アルミニウムを添加した四フッ
化エチレン樹脂の混合量が抗菌・防カビ性及び撥水性
(非粘着性)に及ぼす影響を示すグラフ
【図9】 抗菌・防カビ性金属の溶出量の時間変化を示
すグラフ
【符号の説明】
a:抗菌・防カビ性金属の島状被覆 b:セラミック
ス粒子 1:回転ドラム 2:ロール 3:モータ 4:
スパッタリング源 5:セラミックス粒子原料 6:加熱コイル 7:
減圧処理室8:バルブ 9:供給管 10:Arガス導入管 11:分岐管
12:流体ジェットミル 13:循環管 1
4,15:バルブ 16:固気分離装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 浩茂 千葉県市川市高谷新町7番1号 日新製鋼 株式会社技術研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スパッタリング法で銀合金又はニッケル
    合金を1〜30重量%被覆した一次粒径1μm以下で、
    比表面積(m2 /g)を比重で割った値が3.5m2
    g以上であるセラミックス粒子を四フッ化エチレン樹脂
    粒子に0.1〜7重量%の割合で混合した四フッ化エチ
    レン樹脂3〜5重量部と芳香族ヒドロキシル基をもつ熱
    可塑性ポリエーテルサルフォン樹脂7〜5重量部の組成
    をもつ塗膜が形成されている撥水性,非粘着性,抗菌・
    防カビ性に優れたプレコート鋼板。
  2. 【請求項2】 銀合金が10〜50重量%のCu及び/
    又はZnを含有する合金である請求項1記載の撥水性,
    非粘着性,抗菌・防カビ性に優れたプレコート鋼板。
  3. 【請求項3】 ニッケル合金が10〜50重量%のCu
    及び/又はZnを含有する合金である請求項1記載の撥
    水性,非粘着性,抗菌・防カビ性に優れたプレコート鋼
    板。
  4. 【請求項4】 銀合金又はニッケル合金が非晶質相を呈
    する請求項1〜3の何れかに記載の撥水性,非粘着性,
    抗菌・防カビ性に優れたプレコート鋼板。
JP31617596A 1996-11-27 1996-11-27 撥水性,非粘着性,抗菌・防カビ性に優れたプレコート鋼板 Withdrawn JPH10156277A (ja)

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JP31617596A JPH10156277A (ja) 1996-11-27 1996-11-27 撥水性,非粘着性,抗菌・防カビ性に優れたプレコート鋼板

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JP31617596A JPH10156277A (ja) 1996-11-27 1996-11-27 撥水性,非粘着性,抗菌・防カビ性に優れたプレコート鋼板

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