JPH10156161A - 親油性物質の溶解物及びその製造方法 - Google Patents
親油性物質の溶解物及びその製造方法Info
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- JPH10156161A JPH10156161A JP8333082A JP33308296A JPH10156161A JP H10156161 A JPH10156161 A JP H10156161A JP 8333082 A JP8333082 A JP 8333082A JP 33308296 A JP33308296 A JP 33308296A JP H10156161 A JPH10156161 A JP H10156161A
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- lipophilic
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 サイクロデキストリン(CD)と親油性物質
とからの安定した溶解物を短時間に効率よく製造する。 【解決手段】 CDと親油性物質とを湿式ジェットミ
ルで処理することを特徴とする親油性物質の溶解物の製
造方法、及び上記の方法により得られる親油性物質
の溶解物を提供する。
とからの安定した溶解物を短時間に効率よく製造する。 【解決手段】 CDと親油性物質とを湿式ジェットミ
ルで処理することを特徴とする親油性物質の溶解物の製
造方法、及び上記の方法により得られる親油性物質
の溶解物を提供する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食品分野、化粧品
分野、医薬品分野、化学品分野等、広汎な分野において
有効に用いられ得る親油性物質の溶解物及びその製造方
法に関する。
分野、医薬品分野、化学品分野等、広汎な分野において
有効に用いられ得る親油性物質の溶解物及びその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】親油性物質の中には、様々な薬理作用を
もつものが多いが、概して疎水性であり、水との親和力
が弱い。このため、親油性物質を水中に安定して分散さ
せるために様々な方法が、これまで種々提案されてい
る。
もつものが多いが、概して疎水性であり、水との親和力
が弱い。このため、親油性物質を水中に安定して分散さ
せるために様々な方法が、これまで種々提案されてい
る。
【0003】その方法の一つとして、サイクロデキスト
リン(以下、CDと略記する。)を用いることにより、
包接複合体を形成し、親油性物質の水への溶解性を改善
する方法が提案されている。
リン(以下、CDと略記する。)を用いることにより、
包接複合体を形成し、親油性物質の水への溶解性を改善
する方法が提案されている。
【0004】CDは、空洞を有し、その内傍は疎水的な
性質を有し、様々な物質を空洞内部に取込み、包接複合
体を形成することが知られている。従来より、CDのこ
のような性質を利用し、揮発性物質の安定化、酸化
分解性・光分解性物質の保護、物理化学的性質(溶解
度、色、味など)の変化、反応性の変化、などに利用
されていたが、近年、上記したように、空洞内(環状構
造の中空部分)に親油性物質を包接させ、CDと親油性
物質との包接複合体を作ることにより、親油性物質の可
溶化を図り、親油性物質の水への溶解性を改善する方法
が提案されている。
性質を有し、様々な物質を空洞内部に取込み、包接複合
体を形成することが知られている。従来より、CDのこ
のような性質を利用し、揮発性物質の安定化、酸化
分解性・光分解性物質の保護、物理化学的性質(溶解
度、色、味など)の変化、反応性の変化、などに利用
されていたが、近年、上記したように、空洞内(環状構
造の中空部分)に親油性物質を包接させ、CDと親油性
物質との包接複合体を作ることにより、親油性物質の可
溶化を図り、親油性物質の水への溶解性を改善する方法
が提案されている。
【0005】この方法を行なう場合、従来は、CD水溶
液と親油性物質とを混合し、攪拌機等の回転型乳化装置
を用いて処理していた。
液と親油性物質とを混合し、攪拌機等の回転型乳化装置
を用いて処理していた。
【0006】しかしながら、このような回転型乳化装置
を用いて処理した場合、得られるミセルやコロイド状態
は、1〜10μm程度の大粒のものであり、CDと包接
複合体を形成させるには効率の悪いものであった。ま
た、このように回転型乳化装置を用いて処理した場合、
親油性物質の種類によっては、CDと包接複合体を形成
しにくく、攪拌後、簡単に水層と油層とに分離してしま
うのものもあった。例えば、回転型乳化装置を用いて、
大豆油をCDを用いて乳化した場合、形成された乳化層
は、約2日経過後には分離してしまうため、より安定な
乳化液が求められていた。
を用いて処理した場合、得られるミセルやコロイド状態
は、1〜10μm程度の大粒のものであり、CDと包接
複合体を形成させるには効率の悪いものであった。ま
た、このように回転型乳化装置を用いて処理した場合、
親油性物質の種類によっては、CDと包接複合体を形成
しにくく、攪拌後、簡単に水層と油層とに分離してしま
うのものもあった。例えば、回転型乳化装置を用いて、
大豆油をCDを用いて乳化した場合、形成された乳化層
は、約2日経過後には分離してしまうため、より安定な
乳化液が求められていた。
【0007】また、ビタミンEはマルトシルCDによっ
て、2mg/100ml 溶解することが可能であるが、食品に
利用する場合には、より高濃度の水溶液が求められてい
た。医薬品の分野でも、薬理効果が充分にもかかわら
ず、難溶解性のために実用に至らない薬品が多く存在し
ている。従って、より高濃度の親油性物質でも溶解する
ことができ、しかも長期間安定した親油性物質の溶解物
を、短時間に効率よく得ることができる方法が要望され
ていた。
て、2mg/100ml 溶解することが可能であるが、食品に
利用する場合には、より高濃度の水溶液が求められてい
た。医薬品の分野でも、薬理効果が充分にもかかわら
ず、難溶解性のために実用に至らない薬品が多く存在し
ている。従って、より高濃度の親油性物質でも溶解する
ことができ、しかも長期間安定した親油性物質の溶解物
を、短時間に効率よく得ることができる方法が要望され
ていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記従
来の問題を解決するため鋭意研究を重ねた。その結果、
湿式ジェットミルを用いて、親油性物質,CD及び溶媒
の混在する液体を処理した場合、親油性物質とCDとの
接触確率が高められ、CDと親油性物質との溶解物の形
成を容易にすることができることを見出し、この知見に
基づき本発明を完成したのである。
来の問題を解決するため鋭意研究を重ねた。その結果、
湿式ジェットミルを用いて、親油性物質,CD及び溶媒
の混在する液体を処理した場合、親油性物質とCDとの
接触確率が高められ、CDと親油性物質との溶解物の形
成を容易にすることができることを見出し、この知見に
基づき本発明を完成したのである。
【0009】すなわち、本発明者らは、CDと親油性物
質との包接化合物を得るに当たり、回転型乳化装置の代
わりにジェットミルの一種である湿式ジェットミルを用
いて処理することによって、これまで起こり得なかった
包接現象を起こすことにより、安定した親油性物質の溶
解物を短時間に効率よく得ることができることを見出
し、この知見に基づき本発明を完成するに至った。な
お、これまで湿式ジェットミルを、CDと親油性物質と
の処理に用いたことは知られていない。
質との包接化合物を得るに当たり、回転型乳化装置の代
わりにジェットミルの一種である湿式ジェットミルを用
いて処理することによって、これまで起こり得なかった
包接現象を起こすことにより、安定した親油性物質の溶
解物を短時間に効率よく得ることができることを見出
し、この知見に基づき本発明を完成するに至った。な
お、これまで湿式ジェットミルを、CDと親油性物質と
の処理に用いたことは知られていない。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明
は、CDと親油性物質とを湿式ジェットミルで処理する
ことを特徴とする親油性物質の溶解物の製造方法を提供
するものである。
は、CDと親油性物質とを湿式ジェットミルで処理する
ことを特徴とする親油性物質の溶解物の製造方法を提供
するものである。
【0011】また、請求項4記載の本発明は、請求項1
記載の方法により得られる親油性物質の溶解物を提供す
るものである。
記載の方法により得られる親油性物質の溶解物を提供す
るものである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明について説明する。
CDの種類等によって、親油性物質の溶解性は異なるた
め、本発明において、親油性物質の「溶解物」とは、ク
リーム状から乳化状態、さらに溶解状態(溶液状態)ま
でのものを包含する概念である。従って、本発明は、そ
のような親油性物質の「溶解物」、すなわちクリーム状
のものや乳化液や溶液など、を安定的に効率良く製造す
る方法と、この製造方法により得られた親油性物質の
「溶解物」とに関する。
CDの種類等によって、親油性物質の溶解性は異なるた
め、本発明において、親油性物質の「溶解物」とは、ク
リーム状から乳化状態、さらに溶解状態(溶液状態)ま
でのものを包含する概念である。従って、本発明は、そ
のような親油性物質の「溶解物」、すなわちクリーム状
のものや乳化液や溶液など、を安定的に効率良く製造す
る方法と、この製造方法により得られた親油性物質の
「溶解物」とに関する。
【0013】請求項1記載の本発明(以下、本発明の方
法と称することがある。)において使用する親油性物質
とは、分子中に炭化水素基を有し、有機溶媒に対して強
い親和性を示すものであり、特に制限されない。親油性
物質として具体的には例えば、ビタミンA,D,E,
K、脂肪酸(ドコサヘキサエン酸,ステアリン酸,リノ
ール酸,リノレン酸など)、植物油(大豆油,コーン
油,オリーブ油など)、着香料(バニリン,アニスアル
デヒド,ちょうじ油,けいひ油,オレンジ油,レモン油
など)、着色料(クルクミン,クロロフィル油,カプサ
ンチン,β−カロチン,ケルセチン,クロセチン,ノル
ビキシン,リコピンなど)、乳化剤(大豆レスチン,モ
ノグリセリドなど)、酸化防止剤(BHA,BHT,γ
−オリザノールなど)、殺菌・保存料(ジフェニル,プ
ロピルパラベン,アジピン酸など)等を挙げることがで
きる。これらの中でも特に、ビタミンE,大豆油,ドコ
サヘキサエン酸(DHA)等が好適である。
法と称することがある。)において使用する親油性物質
とは、分子中に炭化水素基を有し、有機溶媒に対して強
い親和性を示すものであり、特に制限されない。親油性
物質として具体的には例えば、ビタミンA,D,E,
K、脂肪酸(ドコサヘキサエン酸,ステアリン酸,リノ
ール酸,リノレン酸など)、植物油(大豆油,コーン
油,オリーブ油など)、着香料(バニリン,アニスアル
デヒド,ちょうじ油,けいひ油,オレンジ油,レモン油
など)、着色料(クルクミン,クロロフィル油,カプサ
ンチン,β−カロチン,ケルセチン,クロセチン,ノル
ビキシン,リコピンなど)、乳化剤(大豆レスチン,モ
ノグリセリドなど)、酸化防止剤(BHA,BHT,γ
−オリザノールなど)、殺菌・保存料(ジフェニル,プ
ロピルパラベン,アジピン酸など)等を挙げることがで
きる。これらの中でも特に、ビタミンE,大豆油,ドコ
サヘキサエン酸(DHA)等が好適である。
【0014】本発明の方法においては、上記の如き親油
性物質とともにCDを用いる。本発明の方法において用
いるCDとしては、α−,β−,γ−CD、これらの糖
修飾体、及びこれらの化学修飾体よりなる群から選ばれ
た少なくとも1種のものを挙げることができる。
性物質とともにCDを用いる。本発明の方法において用
いるCDとしては、α−,β−,γ−CD、これらの糖
修飾体、及びこれらの化学修飾体よりなる群から選ばれ
た少なくとも1種のものを挙げることができる。
【0015】グルコース6分子、7分子、8分子からな
るCDを、それぞれα−CD、β−CD、γ−CDと称
するが、本発明の方法では、これらα−,β−,γ−C
Dの他に、これらのCDの一つ以上の水酸基をエーテル
結合を介して少なくとも一つ以上の官能基で置換した糖
修飾体と化学修飾体よりなる群から選ばれた少なくとも
1種のものの中から、それらの1種を単独で若しくは2
種類以上を組み合わせて用いることができる。
るCDを、それぞれα−CD、β−CD、γ−CDと称
するが、本発明の方法では、これらα−,β−,γ−C
Dの他に、これらのCDの一つ以上の水酸基をエーテル
結合を介して少なくとも一つ以上の官能基で置換した糖
修飾体と化学修飾体よりなる群から選ばれた少なくとも
1種のものの中から、それらの1種を単独で若しくは2
種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0016】ここで糖修飾体としては、グルコシル基、
マルトシル基、マルトオリゴ糖残基などの糖残基で置換
されたものがある。また、化学修飾体としては、メチル
基などのアルキル基で置換されたもの、ヒドロキシエチ
ル基、ヒドロキシプロピル基などのヒドロキシアルキル
基で置換されたものを挙げることができる。これらの糖
修飾体や化学修飾体は、非修飾のCDと比較して、水に
対する溶解性が飛躍的に高いので、本発明の方法に好ま
しく用いられる。
マルトシル基、マルトオリゴ糖残基などの糖残基で置換
されたものがある。また、化学修飾体としては、メチル
基などのアルキル基で置換されたもの、ヒドロキシエチ
ル基、ヒドロキシプロピル基などのヒドロキシアルキル
基で置換されたものを挙げることができる。これらの糖
修飾体や化学修飾体は、非修飾のCDと比較して、水に
対する溶解性が飛躍的に高いので、本発明の方法に好ま
しく用いられる。
【0017】CDは、グルコースがα−1,4結合で環状
構造を形成したものであって、この環状構造の中空部分
(空洞)に、適当な大きさの有機分子を包接し、包接複
合体を形成することができるものである。すなわち、C
D分子全体は親水性を示すが、分子の空洞の内傍は疎水
的な性質を有しており、様々な物質を空洞内部に取込
み、包接複合体を形成しうる包接作用を有している。
構造を形成したものであって、この環状構造の中空部分
(空洞)に、適当な大きさの有機分子を包接し、包接複
合体を形成することができるものである。すなわち、C
D分子全体は親水性を示すが、分子の空洞の内傍は疎水
的な性質を有しており、様々な物質を空洞内部に取込
み、包接複合体を形成しうる包接作用を有している。
【0018】本発明の方法は、このCDの包接作用を利
用して、CDの空洞内部に親油性物質を取込み、CDと
親油性物質との包接複合体を作るにあたり、湿式ジェッ
トミルを用いて処理することにより、安定性に優れた溶
解物を短時間に効率良く製造しようとするものである。
用して、CDの空洞内部に親油性物質を取込み、CDと
親油性物質との包接複合体を作るにあたり、湿式ジェッ
トミルを用いて処理することにより、安定性に優れた溶
解物を短時間に効率良く製造しようとするものである。
【0019】本発明の方法では、上記したようなCDと
親油性物質とを湿式ジェットミルで処理する。湿式ジェ
ットミルで処理するにあたり、まずCDを圧送流体に予
め溶解しておく。圧送流体は水であり、CDの濃度は特
に規定されないが、水に対して、5〜30重量%が好ま
しい。
親油性物質とを湿式ジェットミルで処理する。湿式ジェ
ットミルで処理するにあたり、まずCDを圧送流体に予
め溶解しておく。圧送流体は水であり、CDの濃度は特
に規定されないが、水に対して、5〜30重量%が好ま
しい。
【0020】次に、このようにして得られたCDの溶液
に、親油性物質を添加して、湿式ジェットミルにより処
理する。
に、親油性物質を添加して、湿式ジェットミルにより処
理する。
【0021】ここで親油性物質に対するCDの使用割合
は、通常、0.1〜1000倍、好ましくは10〜10
0倍である。
は、通常、0.1〜1000倍、好ましくは10〜10
0倍である。
【0022】なお、ジェットミルには、乾式と湿式のも
のが存在するが、本発明の方法においては湿式ジェット
ミルを用いることが必要である。乾式ジェットミルを用
いたのでは、本発明の方法の目的を達成することはでき
ない。
のが存在するが、本発明の方法においては湿式ジェット
ミルを用いることが必要である。乾式ジェットミルを用
いたのでは、本発明の方法の目的を達成することはでき
ない。
【0023】簡単に言うならば、乾式ジェットミルと
は、気相流中における粒子同士又は粒子と壁との衝突に
よって粒子を微粒化するものであり、湿式ジェットミル
とは、液相流において、粒子同士又は粒子と壁との衝突
によって粒子を微粒化するものであるが、湿式ジェット
ミルは、これに加えて液相中でのキャビテーション、乱
流剪断等の複合的物理要因も微粒化に寄与している。な
お、微粒化の程度としては、通常、0.02〜0.5μ
m程度である。
は、気相流中における粒子同士又は粒子と壁との衝突に
よって粒子を微粒化するものであり、湿式ジェットミル
とは、液相流において、粒子同士又は粒子と壁との衝突
によって粒子を微粒化するものであるが、湿式ジェット
ミルは、これに加えて液相中でのキャビテーション、乱
流剪断等の複合的物理要因も微粒化に寄与している。な
お、微粒化の程度としては、通常、0.02〜0.5μ
m程度である。
【0024】本発明にいう湿式ジェットミルとは、何ら
かの方法により高速流を発生させ、流体同士又は流体と
壁との衝突及び高速流における乱流剪断、キャビテーシ
ョン等を利用し、乳化・分散を行なう装置のことであ
る。このような湿式ジェットミルには、高圧ホモジナイ
ザーがあり、プランジャーポンプ,ロータリーポンプな
どによって、処理流体をノズルから噴射させ、固定板に
高速でたたきつける方式と、噴射される液同士を正面か
ら衝突させる方式のものとがある。高圧状態にあったも
のが、噴射直後に減圧解放され、流体内部からの瞬間的
な衝撃破砕力も発生させられる。
かの方法により高速流を発生させ、流体同士又は流体と
壁との衝突及び高速流における乱流剪断、キャビテーシ
ョン等を利用し、乳化・分散を行なう装置のことであ
る。このような湿式ジェットミルには、高圧ホモジナイ
ザーがあり、プランジャーポンプ,ロータリーポンプな
どによって、処理流体をノズルから噴射させ、固定板に
高速でたたきつける方式と、噴射される液同士を正面か
ら衝突させる方式のものとがある。高圧状態にあったも
のが、噴射直後に減圧解放され、流体内部からの瞬間的
な衝撃破砕力も発生させられる。
【0025】このような湿式ジェットミルとしては、高
圧ホモジナイザーと称されるバルブプレートによる高速
噴射を利用した装置(APVゴーリン製、ラニー製、ソ
アビ製、日本精機製など)、フィルム状に形成した流路
中で高速衝突を起こす装置(マイクロフルイダイザー:
マイクロフルイディックス社製)、90°位相し接合し
たそれぞれ一文字の流路中で高速衝突を起こす装置(ナ
ノマイザー:ナノマイザー製)、同一ノズル内で粒体同
士の衝突回数を複数回発生させる装置(ナノメイカー:
エスジー・エンジニアリング製)、偏平流路素子内で流
体同士を衝突させる装置(アクア:アクアテック製)、
及び対向するオリフィスから非球面構造の部屋へ噴射さ
せ、衝突させる装置(アルティマイザー:スギノマシン
製)などが挙げられる。
圧ホモジナイザーと称されるバルブプレートによる高速
噴射を利用した装置(APVゴーリン製、ラニー製、ソ
アビ製、日本精機製など)、フィルム状に形成した流路
中で高速衝突を起こす装置(マイクロフルイダイザー:
マイクロフルイディックス社製)、90°位相し接合し
たそれぞれ一文字の流路中で高速衝突を起こす装置(ナ
ノマイザー:ナノマイザー製)、同一ノズル内で粒体同
士の衝突回数を複数回発生させる装置(ナノメイカー:
エスジー・エンジニアリング製)、偏平流路素子内で流
体同士を衝突させる装置(アクア:アクアテック製)、
及び対向するオリフィスから非球面構造の部屋へ噴射さ
せ、衝突させる装置(アルティマイザー:スギノマシン
製)などが挙げられる。
【0026】これらの湿式ジェットミルは、それぞれ装
置の特性により、CDを用いた親油性物質の溶解物の安
定性に差を生じるものの、従来の攪拌機等の回転型乳化
装置を用いて製造したものに比べて、より安定性の高い
溶解物の製造が可能であり、本発明の方法において、こ
れらの湿式ジェットミルのいずれをも用いることが可能
である。
置の特性により、CDを用いた親油性物質の溶解物の安
定性に差を生じるものの、従来の攪拌機等の回転型乳化
装置を用いて製造したものに比べて、より安定性の高い
溶解物の製造が可能であり、本発明の方法において、こ
れらの湿式ジェットミルのいずれをも用いることが可能
である。
【0027】しかしながら、より高い効率でエネルギー
を利用でき、しかも粒度分布の巾が狭い溶解物を製造す
ることができる点で、本発明の方法の目的に最もかなう
ものとして、(株)ジーナス製のジーナスPYと呼ばれ
る湿式ジェットミルを挙げることができる。
を利用でき、しかも粒度分布の巾が狭い溶解物を製造す
ることができる点で、本発明の方法の目的に最もかなう
ものとして、(株)ジーナス製のジーナスPYと呼ばれ
る湿式ジェットミルを挙げることができる。
【0028】このジーナスPYと呼ばれる湿式ジェット
ミルは、耐圧容器の中に密封状態で設置されたノズル
へ、流体を高圧で圧送し、ノズル内で渦流状のジェット
流を発生させ、物質を乳化・分散・破砕する装置であ
る。ノズルは3つあり、3つのノズルは、それぞれ、
液相ジェット流同士が衝突するノズル、衝突後、ジェ
ット流を維持しながら高速螺旋流となるノズル、やや
速度を落とし、最終調整を行うノズルとなっており、そ
れらが接続された一連の流路となって微粒化された物質
を排出する。
ミルは、耐圧容器の中に密封状態で設置されたノズル
へ、流体を高圧で圧送し、ノズル内で渦流状のジェット
流を発生させ、物質を乳化・分散・破砕する装置であ
る。ノズルは3つあり、3つのノズルは、それぞれ、
液相ジェット流同士が衝突するノズル、衝突後、ジェ
ット流を維持しながら高速螺旋流となるノズル、やや
速度を落とし、最終調整を行うノズルとなっており、そ
れらが接続された一連の流路となって微粒化された物質
を排出する。
【0029】このジーナスPYと呼ばれる湿式ジェット
ミルを用いる場合、親油性物質の種類やCDの種類等に
もよるが、温度の制御,圧力の制御及びパス回数の制御
により、目的とする溶解物を製造することができる。
ミルを用いる場合、親油性物質の種類やCDの種類等に
もよるが、温度の制御,圧力の制御及びパス回数の制御
により、目的とする溶解物を製造することができる。
【0030】このジーナスPYと呼ばれる湿式ジェット
ミルの詳細について、図面に基づいて、以下説明する。
図1は、このジーナスPYと呼ばれる湿式ジェットミル
の微粒化装置及びその周辺設備を含む微粒化システムの
全体概略構成図であり、図2は微粒化装置部分の構成を
示す説明図である。
ミルの詳細について、図面に基づいて、以下説明する。
図1は、このジーナスPYと呼ばれる湿式ジェットミル
の微粒化装置及びその周辺設備を含む微粒化システムの
全体概略構成図であり、図2は微粒化装置部分の構成を
示す説明図である。
【0031】図1において、微粒化システム1は、CD
溶液など水系流体を貯留するための容器2と、親油性物
質など油系流体を貯留するための容器3とを備えてお
り、これらの容器2,3内の各流体は、弁4,5にて、
それぞれ流量が調節され、配管6で合流され、高圧ポン
プ7の吸入口に供給されるようになっている。高圧ポン
プ7は、混合液を 1000 〜1500 kgf/cm2 に加圧して、
高速流を形成した後、微粒化装置8に導入するようにな
っている。
溶液など水系流体を貯留するための容器2と、親油性物
質など油系流体を貯留するための容器3とを備えてお
り、これらの容器2,3内の各流体は、弁4,5にて、
それぞれ流量が調節され、配管6で合流され、高圧ポン
プ7の吸入口に供給されるようになっている。高圧ポン
プ7は、混合液を 1000 〜1500 kgf/cm2 に加圧して、
高速流を形成した後、微粒化装置8に導入するようにな
っている。
【0032】微粒化装置8が、ジーナスPYと呼ばれる
湿式ジェットミルの特徴部分に相当するものであって、
具体的には、微粒化すべき流体を通過させることのでき
る貫通孔を形成したブロックを、貫通孔が前記流体の流
れ方向に沿うように3個実質的に密着配設した微粒化装
置であって、流体導入側ブロックに前記貫通孔を、少な
くとも2本、中間ブロックに1本、流体排出側ブロック
に少なくとも2本それぞれ形成し、前記導入側ブロック
と前記中間ブロックの対向面のいずれかのブロック表面
に、前記隣接する各ブロックの貫通孔と連通され、前記
流体を対向流に変えるとともに旋回力を付与する溝状通
路を形成し、前記中間ブロックと前記排出側ブロックの
対向面におけるいずれかのブロック表面に、隣接する各
ブロックの貫通孔と連通され、前記中間ブロックの貫通
孔を通過した流体の流れを前記ブロック表面に沿う方向
に変えるとともに前記旋回力を減衰させる溝状通路を形
成してあるものである。
湿式ジェットミルの特徴部分に相当するものであって、
具体的には、微粒化すべき流体を通過させることのでき
る貫通孔を形成したブロックを、貫通孔が前記流体の流
れ方向に沿うように3個実質的に密着配設した微粒化装
置であって、流体導入側ブロックに前記貫通孔を、少な
くとも2本、中間ブロックに1本、流体排出側ブロック
に少なくとも2本それぞれ形成し、前記導入側ブロック
と前記中間ブロックの対向面のいずれかのブロック表面
に、前記隣接する各ブロックの貫通孔と連通され、前記
流体を対向流に変えるとともに旋回力を付与する溝状通
路を形成し、前記中間ブロックと前記排出側ブロックの
対向面におけるいずれかのブロック表面に、隣接する各
ブロックの貫通孔と連通され、前記中間ブロックの貫通
孔を通過した流体の流れを前記ブロック表面に沿う方向
に変えるとともに前記旋回力を減衰させる溝状通路を形
成してあるものである。
【0033】導入側ブロックに形成された溝状通路が、
上記の「液相ジェット流同士が衝突するノズル」に相
当し、中間ブロックに形成された貫通孔が、上記の
「衝突後、ジェット流を維持しながら高速螺旋流となる
ノズル」に相当し、上記排出側ブロックに形成された溝
状通路が、上記の「やや速度を落とし、最終調整を行
うノズル」相当する。ジーナスPYと呼ばれる湿式ジェ
ットミルは、このような3つのノズルへ、流体を高圧で
圧送し、ノズル内で渦流状のジェット流を発生させ、物
質を乳化・分散・破砕する装置である。
上記の「液相ジェット流同士が衝突するノズル」に相
当し、中間ブロックに形成された貫通孔が、上記の
「衝突後、ジェット流を維持しながら高速螺旋流となる
ノズル」に相当し、上記排出側ブロックに形成された溝
状通路が、上記の「やや速度を落とし、最終調整を行
うノズル」相当する。ジーナスPYと呼ばれる湿式ジェ
ットミルは、このような3つのノズルへ、流体を高圧で
圧送し、ノズル内で渦流状のジェット流を発生させ、物
質を乳化・分散・破砕する装置である。
【0034】このような微粒化装置8を用いる微粒化方
法は、微粒化すべき流体の通路に沿って、貫通孔を有
し、実質的に密着して配設された3個のブロックに流体
を導入し、高速で衝突させることにより、微粒化を行う
にあたり、流体導入側ブロックの前記貫通孔から導入し
た前記流体を対向流に変えるとともに、旋回力を付与し
て衝突させ、中間ブロックの前記貫通孔にて前記流体の
旋回状態を維持しつつ、その流れを前記流路方向に変
え、排出側ブロックにて前記中間ブロックを通過した前
記流体の流れを前記流路と直交する方向に変えつつ、旋
回力を減衰させ、前記貫通孔から排出することを特徴と
する。
法は、微粒化すべき流体の通路に沿って、貫通孔を有
し、実質的に密着して配設された3個のブロックに流体
を導入し、高速で衝突させることにより、微粒化を行う
にあたり、流体導入側ブロックの前記貫通孔から導入し
た前記流体を対向流に変えるとともに、旋回力を付与し
て衝突させ、中間ブロックの前記貫通孔にて前記流体の
旋回状態を維持しつつ、その流れを前記流路方向に変
え、排出側ブロックにて前記中間ブロックを通過した前
記流体の流れを前記流路と直交する方向に変えつつ、旋
回力を減衰させ、前記貫通孔から排出することを特徴と
する。
【0035】具体的には、この微粒化装置8は、図2に
示すように、流体導入側ブロックとしての円盤状のディ
スク10と、中間ブロックとしての円盤状のディスク1
1と、排出側ブロックとしての円盤状のディスク12と
を、流路に沿って直列に、且つ、上記記載順に円筒状容
器9内に密着させて配置したものである。なお、図2で
は、説明を容易にするために、ディスク10及び11を
離した状態で示し、ディスク12については、対向面に
形成した溝状通路の形状が分かるように展開している。
また、以下の説明では、各ディスクにおける上流側の面
を表面、下流側の面を裏面と呼んでいる。
示すように、流体導入側ブロックとしての円盤状のディ
スク10と、中間ブロックとしての円盤状のディスク1
1と、排出側ブロックとしての円盤状のディスク12と
を、流路に沿って直列に、且つ、上記記載順に円筒状容
器9内に密着させて配置したものである。なお、図2で
は、説明を容易にするために、ディスク10及び11を
離した状態で示し、ディスク12については、対向面に
形成した溝状通路の形状が分かるように展開している。
また、以下の説明では、各ディスクにおける上流側の面
を表面、下流側の面を裏面と呼んでいる。
【0036】ここでディスク10は、通常、直径10m
m、厚さ3mm程度の耐摩耗性部材から構成されるもの
であって、このディスク10には、同心円上の2箇所
に、導入貫通孔10a,10bが形成されている。この
ディスク10の裏面10c中心部には、深さ0.05m
m程度の有底筒状凹部からなる渦巻室10dが形成され
ている。
m、厚さ3mm程度の耐摩耗性部材から構成されるもの
であって、このディスク10には、同心円上の2箇所
に、導入貫通孔10a,10bが形成されている。この
ディスク10の裏面10c中心部には、深さ0.05m
m程度の有底筒状凹部からなる渦巻室10dが形成され
ている。
【0037】上記導入貫通孔10aの出口部10a’と
渦巻室10d及び導入貫通孔10bの出口部10b’
は、溝状導入通路10e,10fによってS字状に連通
されている。詳しくは、溝状導入通路10eは、渦巻室
10dの縁部からその接線方向に延びて湾曲するように
形成されており、溝状導入通路10fも同様に、渦巻室
10dの上記縁部に対して直径方向に対向する位置を始
点として湾曲するように形成されている。このような構
成により、渦巻室10dに向かって流れる対向流A’,
B’が形成される。
渦巻室10d及び導入貫通孔10bの出口部10b’
は、溝状導入通路10e,10fによってS字状に連通
されている。詳しくは、溝状導入通路10eは、渦巻室
10dの縁部からその接線方向に延びて湾曲するように
形成されており、溝状導入通路10fも同様に、渦巻室
10dの上記縁部に対して直径方向に対向する位置を始
点として湾曲するように形成されている。このような構
成により、渦巻室10dに向かって流れる対向流A’,
B’が形成される。
【0038】ディスク11は、上記ディスク10と同
径、同じ厚さ、同じ材質からなり、渦巻室10dと対応
する位置に、溝状導入通路10eの断面積より大きい断
面積を有する中間貫通孔11aが形成されている。
径、同じ厚さ、同じ材質からなり、渦巻室10dと対応
する位置に、溝状導入通路10eの断面積より大きい断
面積を有する中間貫通孔11aが形成されている。
【0039】ディスク12は、上記ディスク10と同
径、同じ厚さ、同じ材質からなり、同心円上の2箇所
に、排出貫通孔12a,12bが形成されており、その
中心部には、有底筒状凹部からなる貯留室12dが形成
されている。これら排出貫通孔12aの入口部12a’
と貯留室12dと排出貫通孔12bの入口部12b’
は、溝状排出通路12e,12fによってS字状に連通
されている。この溝状排出通路12e,12fは、渦巻
方向に対して正方向、すなわち逆S字状(流体下流側か
ら見て)に形成されており、それにより、渦巻流Cの流
れをディスク12の外周に向けて変えるとともに、旋回
力を減衰させるようになっている。
径、同じ厚さ、同じ材質からなり、同心円上の2箇所
に、排出貫通孔12a,12bが形成されており、その
中心部には、有底筒状凹部からなる貯留室12dが形成
されている。これら排出貫通孔12aの入口部12a’
と貯留室12dと排出貫通孔12bの入口部12b’
は、溝状排出通路12e,12fによってS字状に連通
されている。この溝状排出通路12e,12fは、渦巻
方向に対して正方向、すなわち逆S字状(流体下流側か
ら見て)に形成されており、それにより、渦巻流Cの流
れをディスク12の外周に向けて変えるとともに、旋回
力を減衰させるようになっている。
【0040】ディスク11に形成されている中間貫通孔
11aの径を調節することにより、ディスク10におけ
る溝状導入通路10e,10f内を流れる流速を所望の
値に設定することができる。
11aの径を調節することにより、ディスク10におけ
る溝状導入通路10e,10f内を流れる流速を所望の
値に設定することができる。
【0041】このような構成を有するジーナスPYと呼
ばれる湿式ジェットミルを用いて、CD溶液と親油性物
質とを処理する場合の動作について説明すると、高圧ポ
ンプ7によって加圧され、超高速流体とされた流体(C
D溶液と親油性物質との混合液)が、微粒化装置8内に
導入されると、まず、円筒状容器9内にて、流れAと流
れBとに分岐され、導入貫通孔10aと10bとを通過
して、ディスク11の対向面と衝突した後、溝状導入通
路10e,10f内に案内され、ディスク10の中心に
向けて強制的に方向が変えられ、対向流となる。
ばれる湿式ジェットミルを用いて、CD溶液と親油性物
質とを処理する場合の動作について説明すると、高圧ポ
ンプ7によって加圧され、超高速流体とされた流体(C
D溶液と親油性物質との混合液)が、微粒化装置8内に
導入されると、まず、円筒状容器9内にて、流れAと流
れBとに分岐され、導入貫通孔10aと10bとを通過
して、ディスク11の対向面と衝突した後、溝状導入通
路10e,10f内に案内され、ディスク10の中心に
向けて強制的に方向が変えられ、対向流となる。
【0042】次に、流体は加速され、渦巻室10dに対
しその接線方向から対向して渦巻室10d内に進入し、
それにより、流体A’と流体B’は、渦巻室10d内で
合流して衝突し、微粒化され、渦巻流Cを発生する。
しその接線方向から対向して渦巻室10d内に進入し、
それにより、流体A’と流体B’は、渦巻室10d内で
合流して衝突し、微粒化され、渦巻流Cを発生する。
【0043】次いで、渦巻室10d内にて微粒化された
流体(CD溶液と親油性物質との混合液)は、渦巻状態
を維持したまま、中間貫通孔11aを通過して、ディス
ク12へ送出される。このとき、貫通孔11aの断面積
は、溝状導入通路10e,10fのそれよりも大きく形
成されているため、衝突エネルギーが貫通孔11aにて
解放され、ディスク10における流体衝突部分、すなわ
ち渦巻室10dで発生する摩耗は低減される。
流体(CD溶液と親油性物質との混合液)は、渦巻状態
を維持したまま、中間貫通孔11aを通過して、ディス
ク12へ送出される。このとき、貫通孔11aの断面積
は、溝状導入通路10e,10fのそれよりも大きく形
成されているため、衝突エネルギーが貫通孔11aにて
解放され、ディスク10における流体衝突部分、すなわ
ち渦巻室10dで発生する摩耗は低減される。
【0044】渦巻状態にて送出された流体は、さらにデ
ィスク12の貯留室12dに衝突して、再度微粒化が行
われる。そして、溝状排出通路12e及び12fに分割
され、その流れが流路と直交する方向に変えられるとと
もに、渦巻状態が減衰され、排出貫通孔12a,12b
から排出される。
ィスク12の貯留室12dに衝突して、再度微粒化が行
われる。そして、溝状排出通路12e及び12fに分割
され、その流れが流路と直交する方向に変えられるとと
もに、渦巻状態が減衰され、排出貫通孔12a,12b
から排出される。
【0045】以上のようにして、本発明の方法により、
CDと親油性物質とを湿式ジェットミルで処理すること
により、親油性物質がCDに効率良く包接され、目的と
する親油性物質の溶解物を製造することができる。
CDと親油性物質とを湿式ジェットミルで処理すること
により、親油性物質がCDに効率良く包接され、目的と
する親油性物質の溶解物を製造することができる。
【0046】特に、上記したジーナスPYと呼ばれる湿
式ジェットミルを用いて、親油性物質,CD及び溶媒の
混在する液体を処理した場合、親油性物質とCDとの接
触確立が高められ、CDと親油性物質との溶解物の形成
がより容易となり、極めて安定した溶解物を製造するこ
とができる。このジーナスPYと呼ばれる湿式ジェット
ミルを使用した場合、従来の攪拌機等の回転型乳化装置
を用いた場合に比べて、安定性に格段の差を有する親油
性物質の溶解物を製造することができる。
式ジェットミルを用いて、親油性物質,CD及び溶媒の
混在する液体を処理した場合、親油性物質とCDとの接
触確立が高められ、CDと親油性物質との溶解物の形成
がより容易となり、極めて安定した溶解物を製造するこ
とができる。このジーナスPYと呼ばれる湿式ジェット
ミルを使用した場合、従来の攪拌機等の回転型乳化装置
を用いた場合に比べて、安定性に格段の差を有する親油
性物質の溶解物を製造することができる。
【0047】このような親油性物質の溶解物を提供する
のが、請求項4記載の本発明である。このようにして得
られる溶解物の性状は、用いるCDの種類や処理条件等
により異なる。例えば、溶解しにくいα−CDを用いる
と、一般に、固いクリーム状を呈したものとなる。次
に、α−CDより溶解し易いジメチルβ−CDを用いる
と、一般に、若干溶解するため溶液全体が白濁し、少し
油が浮いているような状態のものとなる。さらに、マル
トシルβ−CDを用いると、一般に、α−CDほど固く
はないが、ジメチルβ−CDの場合ほど溶解しないた
め、白濁した乳化液となる。
のが、請求項4記載の本発明である。このようにして得
られる溶解物の性状は、用いるCDの種類や処理条件等
により異なる。例えば、溶解しにくいα−CDを用いる
と、一般に、固いクリーム状を呈したものとなる。次
に、α−CDより溶解し易いジメチルβ−CDを用いる
と、一般に、若干溶解するため溶液全体が白濁し、少し
油が浮いているような状態のものとなる。さらに、マル
トシルβ−CDを用いると、一般に、α−CDほど固く
はないが、ジメチルβ−CDの場合ほど溶解しないた
め、白濁した乳化液となる。
【0048】このようにして得られる溶解物は、ビタミ
ンA,D,E,Kをはじめ、脂肪酸や植物油、着香料、
着色料、乳化剤、酸化防止剤、殺菌・保存料等の親油性
物質をより高濃度で、しかも安定的に保持したものであ
るため、これを食品、化粧品、医薬品、化学品等の中に
配合することにより、上記親油性物質の配合効果をより
優れたものとすることができる。
ンA,D,E,Kをはじめ、脂肪酸や植物油、着香料、
着色料、乳化剤、酸化防止剤、殺菌・保存料等の親油性
物質をより高濃度で、しかも安定的に保持したものであ
るため、これを食品、化粧品、医薬品、化学品等の中に
配合することにより、上記親油性物質の配合効果をより
優れたものとすることができる。
【0049】
【実施例】以下に、本発明を実施例により詳しく説明す
るが、本発明はこれらによって何ら制限されるものでは
ない。
るが、本発明はこれらによって何ら制限されるものでは
ない。
【0050】実施例1 DHAと水とを1:1(重量比)の割合で配合したもの
と、DHAとCD〔商品名:K−100、α−CDを主
成分とする市販品、塩水港精糖株式会社製)と水とを
1:1:9(重量比)の割合で配合したものとを、それ
ぞれ従来の回転型乳化装置(10,000rpm 、10分)と、図
1〜2に示す如き構成を有する湿式ジェットミル(製品
名:ジーナスPY、株式会社ジーナス製、1,000kgf/c
m2、3回パス)とで処理した。それぞれより得られた溶
解物を、200ml容ポリビンに移し、乳化層と水層との
分離を観察し、水層が発生するまでにかかった時間を計
測した。結果を第1表に示す。
と、DHAとCD〔商品名:K−100、α−CDを主
成分とする市販品、塩水港精糖株式会社製)と水とを
1:1:9(重量比)の割合で配合したものとを、それ
ぞれ従来の回転型乳化装置(10,000rpm 、10分)と、図
1〜2に示す如き構成を有する湿式ジェットミル(製品
名:ジーナスPY、株式会社ジーナス製、1,000kgf/c
m2、3回パス)とで処理した。それぞれより得られた溶
解物を、200ml容ポリビンに移し、乳化層と水層との
分離を観察し、水層が発生するまでにかかった時間を計
測した。結果を第1表に示す。
【0051】
【表1】
【0052】第1表より、従来の回転型乳化装置で処理
したものに比べて、湿式ジェットミル(製品名:ジーナ
スPY、株式会社ジーナス製)で処理した溶解物の方
が、長期間安定であることが分かる。
したものに比べて、湿式ジェットミル(製品名:ジーナ
スPY、株式会社ジーナス製)で処理した溶解物の方
が、長期間安定であることが分かる。
【0053】実施例2 (1)湿式ジェットミルで処理して得られた溶解物の観
察 CDとして、マルトシルβ−CDとジメチルβ−CDと
を用い、それぞれ10重量と30重量%となるように水
に溶解し、さらに溶液全体の3重量%となるようにビタ
ミンEを添加した。すなわち、ビタミンE:CD:水=
3:10:87(重量比)となるように、或いはビタミ
ンE:CD:水=3:30:67(重量比)となるよう
に配合した。これらの溶液を、湿式ジェットミル(製品
名:ジーナスPY、株式会社ジーナス製)を用いて、50
0 kgf/cm2 、1000 kgf/cm2、1500kgf/cm2 の各圧力で5
回パス行った。得られたCDとビタミンEとの溶解物に
ついて、それぞれ目視による観察を行った。結果を第2
表に示す。
察 CDとして、マルトシルβ−CDとジメチルβ−CDと
を用い、それぞれ10重量と30重量%となるように水
に溶解し、さらに溶液全体の3重量%となるようにビタ
ミンEを添加した。すなわち、ビタミンE:CD:水=
3:10:87(重量比)となるように、或いはビタミ
ンE:CD:水=3:30:67(重量比)となるよう
に配合した。これらの溶液を、湿式ジェットミル(製品
名:ジーナスPY、株式会社ジーナス製)を用いて、50
0 kgf/cm2 、1000 kgf/cm2、1500kgf/cm2 の各圧力で5
回パス行った。得られたCDとビタミンEとの溶解物に
ついて、それぞれ目視による観察を行った。結果を第2
表に示す。
【0054】
【表2】
【0055】第2表の結果によれば、ジメチルβ−CD
の30%重量%水溶液を用いた場合を除いて、圧力によ
る影響はないことが分かる。また、ジメチルβ−CDの
30%重量%水溶液を用いた場合には、圧力を1500kgf/
cm2 に上げることによって、澄明な液を得ることができ
た。
の30%重量%水溶液を用いた場合を除いて、圧力によ
る影響はないことが分かる。また、ジメチルβ−CDの
30%重量%水溶液を用いた場合には、圧力を1500kgf/
cm2 に上げることによって、澄明な液を得ることができ
た。
【0056】(2)ジメチルβ−CDを使用した溶解物
についてのビタミンE量の測定と目視観察結果 上記(1)で得られたCDとビタミンEとの溶解物のう
ち、ジメチルβ−CDを30重量の割合で用いたものに
ついて、CD水層に存在しているビタミンEの量を、H
PLC(高速液体クロマトグラフィー)を用いて測定し
た。対照として、湿式ジェットミル(製品名:ジーナス
PY、株式会社ジーナス製)の代わりに、攪拌型乳化装
置(10,000rpm 、10分)を用いて得られた溶解物の水層
のビタミンEの量も、同様にHPLCを用いて測定し
た。さらに、それぞれの溶解物について、目視で濁りの
有無・状態を観察した。これらの測定結果を第3表に示
す。
についてのビタミンE量の測定と目視観察結果 上記(1)で得られたCDとビタミンEとの溶解物のう
ち、ジメチルβ−CDを30重量の割合で用いたものに
ついて、CD水層に存在しているビタミンEの量を、H
PLC(高速液体クロマトグラフィー)を用いて測定し
た。対照として、湿式ジェットミル(製品名:ジーナス
PY、株式会社ジーナス製)の代わりに、攪拌型乳化装
置(10,000rpm 、10分)を用いて得られた溶解物の水層
のビタミンEの量も、同様にHPLCを用いて測定し
た。さらに、それぞれの溶解物について、目視で濁りの
有無・状態を観察した。これらの測定結果を第3表に示
す。
【0057】なお、HPLCの測定条件は、以下の通り
である。 ・カラム:Shim-Pack CLC-ODS(M) 4.6×150mm ・移動相:アセトニトリル100% ・流速:0.5ml/min ・カラム温度:30℃ ・検出器:UV 295nm ・サンプル注入量:20μL
である。 ・カラム:Shim-Pack CLC-ODS(M) 4.6×150mm ・移動相:アセトニトリル100% ・流速:0.5ml/min ・カラム温度:30℃ ・検出器:UV 295nm ・サンプル注入量:20μL
【0058】
【表3】
【0059】第3表に示したように、水層に存在するビ
タミンE量は、湿式ジェットミル(製品名:ジーナスP
Y、株式会社ジーナス製)で処理して得られたものと、
攪拌型乳化装置で処理して得られたものとで殆ど差がな
かった。しかしながら、攪拌型乳化装置で処理して得ら
れたものは、目視で濁りが認められたのに対して、湿式
ジェットミル(製品名:ジーナスPY、株式会社ジーナ
ス製)で処理して得られたものは澄明な液であった。従
って、湿式ジェットミル(製品名:ジーナスPY、株式
会社ジーナス製)で処理して得られたものでは、コロイ
ドが微粒化されているか、或いはジメチルβ−CDがビ
タミンEを包接し溶解していることが推定された。
タミンE量は、湿式ジェットミル(製品名:ジーナスP
Y、株式会社ジーナス製)で処理して得られたものと、
攪拌型乳化装置で処理して得られたものとで殆ど差がな
かった。しかしながら、攪拌型乳化装置で処理して得ら
れたものは、目視で濁りが認められたのに対して、湿式
ジェットミル(製品名:ジーナスPY、株式会社ジーナ
ス製)で処理して得られたものは澄明な液であった。従
って、湿式ジェットミル(製品名:ジーナスPY、株式
会社ジーナス製)で処理して得られたものでは、コロイ
ドが微粒化されているか、或いはジメチルβ−CDがビ
タミンEを包接し溶解していることが推定された。
【0060】(3)マルトシルβ−CDを使用した溶解
物についてのビタミンE量の測定と目視観察結果 上記(1)で得られたCDとビタミンEとの溶解物のう
ち、マルトシルβ−CDを30重量の割合で用いたもの
について、上記(2)と同様にして、CD水層に存在し
ているビタミンEの量を、HPLC(高速液体クロマト
グラフィー)を用いて測定した。但し、この場合、上記
(2)とは異なり、処理後、溶液を5℃で60日間放置
したときに、CD水層に存在しているビタミンEの量を
測定した。なお、処理液は、一般に上から順に、油層、
乳化層、水層に分離するケースが多い。一番下層のCD
が溶解している水層をCD水層と称している。対照とし
て、湿式ジェットミル(製品名:ジーナスPY、株式会
社ジーナス製)の代わりに、攪拌型乳化装置(10,000rp
m 、10分)を用いて得られた溶解物の水層のビタミンE
の量も、同様にして測定した。さらに、それぞれの溶解
物について、目視で濁りの有無・状態を観察した。これ
らの測定結果を第4表に示す。
物についてのビタミンE量の測定と目視観察結果 上記(1)で得られたCDとビタミンEとの溶解物のう
ち、マルトシルβ−CDを30重量の割合で用いたもの
について、上記(2)と同様にして、CD水層に存在し
ているビタミンEの量を、HPLC(高速液体クロマト
グラフィー)を用いて測定した。但し、この場合、上記
(2)とは異なり、処理後、溶液を5℃で60日間放置
したときに、CD水層に存在しているビタミンEの量を
測定した。なお、処理液は、一般に上から順に、油層、
乳化層、水層に分離するケースが多い。一番下層のCD
が溶解している水層をCD水層と称している。対照とし
て、湿式ジェットミル(製品名:ジーナスPY、株式会
社ジーナス製)の代わりに、攪拌型乳化装置(10,000rp
m 、10分)を用いて得られた溶解物の水層のビタミンE
の量も、同様にして測定した。さらに、それぞれの溶解
物について、目視で濁りの有無・状態を観察した。これ
らの測定結果を第4表に示す。
【0061】
【表4】
【0062】第4表から、攪拌型乳化装置で処理して得
られたものよりも、湿式ジェットミル(製品名:ジーナ
スPY、株式会社ジーナス製)で処理して得られたもの
の方が、ビタミンEを多く含んでいることが分かった。
また、攪拌型乳化装置で処理して得られたものは、目視
で濁りが認められたのに対して、湿式ジェットミル(製
品名:ジーナスPY、株式会社ジーナス製)で処理して
得られたものは澄明な液であった。
られたものよりも、湿式ジェットミル(製品名:ジーナ
スPY、株式会社ジーナス製)で処理して得られたもの
の方が、ビタミンEを多く含んでいることが分かった。
また、攪拌型乳化装置で処理して得られたものは、目視
で濁りが認められたのに対して、湿式ジェットミル(製
品名:ジーナスPY、株式会社ジーナス製)で処理して
得られたものは澄明な液であった。
【0063】実施例3 (1)湿式ジェットミルで処理して得られた溶解物の観
察 CDとして、α−CDとマルトシル−β−CDとジメチ
ル−β−CDとを用い、それぞれ10重量と30重量%
とになるように水に溶解し、さらに溶液全体の3重量%
となるようにDHAを添加した。これらの溶液を、湿式
ジェットミル(製品名:ジーナスPY、株式会社ジーナ
ス製)を用いて、500 kgf/cm2 、1000 kgf/cm2、1500kg
f/cm2 の各圧力で3回パス行った。得られたCDとDH
Aとの溶解物について、乳化層の割合を調べた。結果を
第5表に示す。なお、乳化層の割合は、乳化層の高さ/
液全量の高さで求めた値を示している。
察 CDとして、α−CDとマルトシル−β−CDとジメチ
ル−β−CDとを用い、それぞれ10重量と30重量%
とになるように水に溶解し、さらに溶液全体の3重量%
となるようにDHAを添加した。これらの溶液を、湿式
ジェットミル(製品名:ジーナスPY、株式会社ジーナ
ス製)を用いて、500 kgf/cm2 、1000 kgf/cm2、1500kg
f/cm2 の各圧力で3回パス行った。得られたCDとDH
Aとの溶解物について、乳化層の割合を調べた。結果を
第5表に示す。なお、乳化層の割合は、乳化層の高さ/
液全量の高さで求めた値を示している。
【0064】
【表5】
【0065】(2)ジメチルβ−CDを使用した溶解物
についてのDHA量の測定と目視観察結果 上記(1)で得られたCDとDHAとの溶解物のうち、
ジメチルβ−CDを30重量の割合で用いたものについ
て、これを30日間放置した後、CD水層に存在するD
HAの量を、GC(ガスクロマトグラフィー)で測定し
た。対照として、湿式ジェットミル(製品名:ジーナス
PY、株式会社ジーナス製)の代わりに、攪拌型乳化装
置(10,000rpm 、10分)を用いて得られた溶解物の水層
のDHAの量も、同様にGCを用いて測定した。また、
湿式ジェットミルとして、高圧ホモジナイザーを用いて
得られた溶解物の水層のDHAの量も、同様にGCを用
いて測定した。さらに、それぞれの溶解物について、D
HAの臭いの有無を調べると共に、目視で濁りの有無・
状態を観察した。これらの測定結果を第6表に示す。
についてのDHA量の測定と目視観察結果 上記(1)で得られたCDとDHAとの溶解物のうち、
ジメチルβ−CDを30重量の割合で用いたものについ
て、これを30日間放置した後、CD水層に存在するD
HAの量を、GC(ガスクロマトグラフィー)で測定し
た。対照として、湿式ジェットミル(製品名:ジーナス
PY、株式会社ジーナス製)の代わりに、攪拌型乳化装
置(10,000rpm 、10分)を用いて得られた溶解物の水層
のDHAの量も、同様にGCを用いて測定した。また、
湿式ジェットミルとして、高圧ホモジナイザーを用いて
得られた溶解物の水層のDHAの量も、同様にGCを用
いて測定した。さらに、それぞれの溶解物について、D
HAの臭いの有無を調べると共に、目視で濁りの有無・
状態を観察した。これらの測定結果を第6表に示す。
【0066】GCの測定条件は、次の通りである。 ・カラム:TC−1 0.25mm×60m ・カラム温度:240℃ ・注入口温度:300℃ ・検出器温度:300℃ ・検出器:FID ・キャリアーガス:He 2.5kgf/cm2 ・H2 :0.6kgf/cm2 ・AIR:0.6kgf/cm2 ・メイクアップガス:He 50kgf/cm2 ・サンプル導入法:スプリット法 ・サンプル注入量:5 μl
【0067】
【表6】
【0068】第6表に示すように、攪拌型乳化装置で処
理して得られたものよりも、湿式ジェットミル(製品
名:ジーナスPY、株式会社ジーナス製)で処理して得
られたものの方が、CD水層に存在するDHAの量が高
かった。また、湿式ジェットミル(製品名:ジーナスP
Y、株式会社ジーナス製)で処理して得られたものにつ
いては、DHA特有の臭いが消失していた。
理して得られたものよりも、湿式ジェットミル(製品
名:ジーナスPY、株式会社ジーナス製)で処理して得
られたものの方が、CD水層に存在するDHAの量が高
かった。また、湿式ジェットミル(製品名:ジーナスP
Y、株式会社ジーナス製)で処理して得られたものにつ
いては、DHA特有の臭いが消失していた。
【0069】実施例4 (1)湿式ジェットミルで処理して得られた溶解物の観
察 CDとして、α−CDとマルトシルβ−CDとジメチル
β−CDとを用い、それぞれ10重量%になるように水
に溶解し、さらに溶液全体の3重量%となるように大豆
油(前記と同じもの)を添加した。これらの溶液を、湿
式ジェットミル(製品名:ジーナスPY、株式会社ジー
ナス製)を用いて、500 kgf/cm2 、1000 kgf/cm2、1500
kgf/cm2 の各圧力で3回パス行った。得られたCDと大
豆油との溶解物について、5℃に30日間放置後、乳化
層の割合を調べた。結果を第7表に示す。なお、乳化層
の割合は、乳化層の高さ/液全量の高さで求めた値を示
している。
察 CDとして、α−CDとマルトシルβ−CDとジメチル
β−CDとを用い、それぞれ10重量%になるように水
に溶解し、さらに溶液全体の3重量%となるように大豆
油(前記と同じもの)を添加した。これらの溶液を、湿
式ジェットミル(製品名:ジーナスPY、株式会社ジー
ナス製)を用いて、500 kgf/cm2 、1000 kgf/cm2、1500
kgf/cm2 の各圧力で3回パス行った。得られたCDと大
豆油との溶解物について、5℃に30日間放置後、乳化
層の割合を調べた。結果を第7表に示す。なお、乳化層
の割合は、乳化層の高さ/液全量の高さで求めた値を示
している。
【0070】
【表7】
【0071】第7表から明らかなように、α−CDでは
完全な乳化状態となり、ジメチルβ−CDでは溶解型、
マルトシルβ−CDはその中間型であり、若干の乳化状
態を示した。
完全な乳化状態となり、ジメチルβ−CDでは溶解型、
マルトシルβ−CDはその中間型であり、若干の乳化状
態を示した。
【0072】(2)マルトシルβ−CDとジメチルβ−
CDを使用した溶解物についての大豆油量の測定と目視
観察結果 上記(1)で得られたCDと大豆油との溶解物のうち、
マルトシルβ−CDとジメチルβ−CDとを10重量の
割合で用いたものについて、CD水層に存在する大豆油
の量を測定した。測定は、CD水層を凍結乾燥後(−3
0℃で凍結し、20℃で減圧乾燥)、ソックスレー抽出
法で大豆油をエーテル抽出し、エーテルを窒素で揮散さ
せた後、その重量から大豆油量を求めた。対照として、
湿式ジェットミル(製品名:ジーナスPY、株式会社ジ
ーナス製)の代わりに、攪拌型乳化装置(10,000rpm 、
10分)を用いて得られた溶解物の水層の大豆油の量も、
同様に測定した。また、高圧ホモジナイザーを用いて得
られた溶解物の水層の大豆油の量も、同様に測定した。
これらの測定結果を第8表に示す。
CDを使用した溶解物についての大豆油量の測定と目視
観察結果 上記(1)で得られたCDと大豆油との溶解物のうち、
マルトシルβ−CDとジメチルβ−CDとを10重量の
割合で用いたものについて、CD水層に存在する大豆油
の量を測定した。測定は、CD水層を凍結乾燥後(−3
0℃で凍結し、20℃で減圧乾燥)、ソックスレー抽出
法で大豆油をエーテル抽出し、エーテルを窒素で揮散さ
せた後、その重量から大豆油量を求めた。対照として、
湿式ジェットミル(製品名:ジーナスPY、株式会社ジ
ーナス製)の代わりに、攪拌型乳化装置(10,000rpm 、
10分)を用いて得られた溶解物の水層の大豆油の量も、
同様に測定した。また、高圧ホモジナイザーを用いて得
られた溶解物の水層の大豆油の量も、同様に測定した。
これらの測定結果を第8表に示す。
【0073】
【表8】
【0074】第8表より、マルトシルβ−CDについ
て、攪拌型乳化装置で処理して得られたもの(対照)よ
りも、湿式ジェットミル(製品名:ジーナスPY、株式
会社ジーナス製)で処理して得られたものの方が、CD
水層に存在する大豆油の量が著しく高いことが分かる。
て、攪拌型乳化装置で処理して得られたもの(対照)よ
りも、湿式ジェットミル(製品名:ジーナスPY、株式
会社ジーナス製)で処理して得られたものの方が、CD
水層に存在する大豆油の量が著しく高いことが分かる。
【0075】
【発明の効果】本発明の方法によれば、CDと親油性物
質との溶解物を製造するに当たり、湿式ジェットミルを
利用することにより、従来の装置を使用した場合と比較
して、親油性物質の水への溶解性を改善し、親油性物質
の可溶化を向上させることができる。
質との溶解物を製造するに当たり、湿式ジェットミルを
利用することにより、従来の装置を使用した場合と比較
して、親油性物質の水への溶解性を改善し、親油性物質
の可溶化を向上させることができる。
【0076】より具体的には、本発明の方法によれば、
湿式ジェットミルを用いて、親油性物質,CD及び溶媒
の混在する液体を処理することにより、親油性物質とC
Dとの接触確率が高められ、CDと親油性物質とが包接
複合体を形成し易くなり、CDと親油性物質との溶解物
を容易に形成することができ、ひいては親油性物質の可
溶化量の増加、溶液乃至乳化液の安定化が期待できる。
湿式ジェットミルを用いて、親油性物質,CD及び溶媒
の混在する液体を処理することにより、親油性物質とC
Dとの接触確率が高められ、CDと親油性物質とが包接
複合体を形成し易くなり、CDと親油性物質との溶解物
を容易に形成することができ、ひいては親油性物質の可
溶化量の増加、溶液乃至乳化液の安定化が期待できる。
【0077】本発明の方法によれば、CDと親油性物質
との包接化合物を得るに当たり、回転型乳化装置の代わ
りにジェットミルの一種である湿式ジェットミルを用い
て処理することによって、これまで起こり得なかった包
接現象を起こし、安定した親油性物質の溶解物を短時間
に効率よく製造することができる。また、本発明の方法
によれば、より高濃度の親油性物質でも溶解させること
が可能であり、例えば、溶解させ難いビタミンEなどを
従来より高濃度で溶解させることができる。
との包接化合物を得るに当たり、回転型乳化装置の代わ
りにジェットミルの一種である湿式ジェットミルを用い
て処理することによって、これまで起こり得なかった包
接現象を起こし、安定した親油性物質の溶解物を短時間
に効率よく製造することができる。また、本発明の方法
によれば、より高濃度の親油性物質でも溶解させること
が可能であり、例えば、溶解させ難いビタミンEなどを
従来より高濃度で溶解させることができる。
【0078】また、本発明の方法により得られた溶解物
は、より安定性の高いものであり、これまで報告されて
いる、あらゆるCDの特性を今までより遙かに効率的に
発現することができる。従って、本発明は、食品分野、
化粧品分野、医薬品分野、化学品分野等、広汎な分野の
技術革新に寄与するものである。
は、より安定性の高いものであり、これまで報告されて
いる、あらゆるCDの特性を今までより遙かに効率的に
発現することができる。従って、本発明は、食品分野、
化粧品分野、医薬品分野、化学品分野等、広汎な分野の
技術革新に寄与するものである。
【図1】ジーナスPYと呼ばれる湿式ジェットミルの微
粒化装置及びその周辺設備を含む微粒化システムの全体
概略構成図である。
粒化装置及びその周辺設備を含む微粒化システムの全体
概略構成図である。
【図2】図1の微粒化装置部分の構成を示す説明図であ
る。
る。
1 微粒化システム 2,3 容器 4,5 弁 6 配管 7 高圧ポンプ 8 微粒化装置 9 円筒状容器 10 第1のディスク 10a,10b 導入貫通孔 10c 密着対向面 10d 渦巻室 10e,10f 溝状導入通路 11 第2のディスク 11a 中間貫通孔 12 第3のディスク 12a,12b 排出貫通孔 12e,12f 溝状排出通路 12d 貯留室
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三武 一利 東京都板橋区小豆沢1丁目7番14号 株式 会社ジーナス内 (72)発明者 神成 力 東京都板橋区小豆沢1丁目7番14号 株式 会社ジーナス内 (72)発明者 三宅 文則 東京都板橋区小豆沢1丁目7番14号 株式 会社ジーナス内 (72)発明者 比企 留実子 神奈川県横浜市鶴見区大黒町13番46号 塩 水港精糖株式会社内 (72)発明者 三国 克彦 神奈川県横浜市鶴見区大黒町13番46号 塩 水港精糖株式会社内 (72)発明者 原 耕三 神奈川県横浜市鶴見区大黒町13番46号 塩 水港精糖株式会社内
Claims (4)
- 【請求項1】 サイクロデキストリンと親油性物質とを
湿式ジェットミルで処理することを特徴とする親油性物
質の溶解物の製造方法。 - 【請求項2】 サイクロデキストリンがα−,β−,γ
−サイクロデキストリン、これらの糖修飾体、及びこれ
らの化学修飾体よりなる群から選ばれた少なくとも1種
のものである請求項1記載の方法。 - 【請求項3】 湿式ジェットミルとして、耐圧容器の中
に密封状態で設置されたノズルへ、流体を高圧で圧送
し、ノズル内で渦流状のジェット流を発生させ、物質を
乳化・分散・破砕する装置を用いることを特徴とする、
請求項1記載の方法。 - 【請求項4】 請求項1記載の方法により得られる親油
性物質の溶解物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8333082A JPH10156161A (ja) | 1996-11-29 | 1996-11-29 | 親油性物質の溶解物及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8333082A JPH10156161A (ja) | 1996-11-29 | 1996-11-29 | 親油性物質の溶解物及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10156161A true JPH10156161A (ja) | 1998-06-16 |
Family
ID=18262078
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8333082A Withdrawn JPH10156161A (ja) | 1996-11-29 | 1996-11-29 | 親油性物質の溶解物及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10156161A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005018607A1 (ja) * | 2003-08-20 | 2005-03-03 | Ajinomoto Co., Inc. | 溶解性を改善した医薬品製剤 |
-
1996
- 1996-11-29 JP JP8333082A patent/JPH10156161A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005018607A1 (ja) * | 2003-08-20 | 2005-03-03 | Ajinomoto Co., Inc. | 溶解性を改善した医薬品製剤 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20040203 |