JPH10151208A - 経皮投薬素子 - Google Patents
経皮投薬素子Info
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- JPH10151208A JPH10151208A JP8310848A JP31084896A JPH10151208A JP H10151208 A JPH10151208 A JP H10151208A JP 8310848 A JP8310848 A JP 8310848A JP 31084896 A JP31084896 A JP 31084896A JP H10151208 A JPH10151208 A JP H10151208A
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- A61N—ELECTROTHERAPY; MAGNETOTHERAPY; RADIATION THERAPY; ULTRASOUND THERAPY
- A61N1/00—Electrotherapy; Circuits therefor
- A61N1/18—Applying electric currents by contact electrodes
- A61N1/32—Applying electric currents by contact electrodes alternating or intermittent currents
- A61N1/325—Applying electric currents by contact electrodes alternating or intermittent currents for iontophoresis, i.e. transfer of media in ionic state by an electromotoric force into the body
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- A61N1/00—Electrotherapy; Circuits therefor
- A61N1/02—Details
- A61N1/04—Electrodes
- A61N1/0404—Electrodes for external use
- A61N1/0408—Use-related aspects
- A61N1/0428—Specially adapted for iontophoresis, e.g. AC, DC or including drug reservoirs
- A61N1/0432—Anode and cathode
- A61N1/0436—Material of the electrode
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- A—HUMAN NECESSITIES
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- A61N1/044—Shape of the electrode
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- Veterinary Medicine (AREA)
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 電気的な引斥力を利用して薬剤を皮内浸透せ
しめる経皮投薬素子に関し、薬剤の経皮吸収効率が高
く、再現性も高い上に皮膚損傷の少ない積層型ワンシー
ト状経皮投薬素子の提供を目的とする。 【解決手段】 この経皮投薬素子は、関電極板1上に薬
剤層2を積層し、その上に開口部を有する絶縁層3を積
層し、さらにその上に開口部を有する不関電極板4を積
層しており、導線5によって非皮接部位において直接あ
るいは通電電源や電子スイッチなどの回路素子を介して
関電極板1と不関電極板4が導電接続される。不関電極
板4が絶縁板3上で複数個に分割され、分割領域は互い
に電気的に絶縁されていると共に、分割領域は各々別の
導線5によって薬剤層2と非接触状態で関電極板1と電
気接続されている。更に、不関電極板4の開口部形状が
円弧状もしくは相隣る辺との成す角度が90度を越える
多角形もしくは相隣る接線角度が90度を越える曲線形
を含むものであってよい。外部通電電源を用いない生体
電池型電源の場合を含む。
しめる経皮投薬素子に関し、薬剤の経皮吸収効率が高
く、再現性も高い上に皮膚損傷の少ない積層型ワンシー
ト状経皮投薬素子の提供を目的とする。 【解決手段】 この経皮投薬素子は、関電極板1上に薬
剤層2を積層し、その上に開口部を有する絶縁層3を積
層し、さらにその上に開口部を有する不関電極板4を積
層しており、導線5によって非皮接部位において直接あ
るいは通電電源や電子スイッチなどの回路素子を介して
関電極板1と不関電極板4が導電接続される。不関電極
板4が絶縁板3上で複数個に分割され、分割領域は互い
に電気的に絶縁されていると共に、分割領域は各々別の
導線5によって薬剤層2と非接触状態で関電極板1と電
気接続されている。更に、不関電極板4の開口部形状が
円弧状もしくは相隣る辺との成す角度が90度を越える
多角形もしくは相隣る接線角度が90度を越える曲線形
を含むものであってよい。外部通電電源を用いない生体
電池型電源の場合を含む。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気的な引斥力を
利用して有効薬剤成分を皮内浸透せしめる経皮投薬素子
に関する。
利用して有効薬剤成分を皮内浸透せしめる経皮投薬素子
に関する。
【0002】
【従来の技術】患者に対する薬物投与法の中で、特に慢
性疾患に対する有効性が指摘されているのが経皮投薬法
である。この投薬法の特徴は、局所性と定濃度投与可能
という点にある。また、付随的に使用法が簡便で患者に
対する苦痛もなく利便性が高いという点もあげられてい
る。しかし、経皮投薬は皮膚そのものの疾患治療の場合
以外には有効成分の皮内浸透と毛細血管からの吸収があ
ってはじめて生体内奥部の疾患治療を可能にするもので
あるから、経皮吸収効率が低ければ有効な投薬法となり
得ない。しかるに生体皮膚は、温度調節や皮膚呼吸など
の生理的機能の他に表皮部位だけで五層構造になって外
部からの異物侵入を防いでいるため、単なる塗布だけで
は分子量が比較的大きく複雑な立体構造を有する薬剤を
浸透させることは困難である。
性疾患に対する有効性が指摘されているのが経皮投薬法
である。この投薬法の特徴は、局所性と定濃度投与可能
という点にある。また、付随的に使用法が簡便で患者に
対する苦痛もなく利便性が高いという点もあげられてい
る。しかし、経皮投薬は皮膚そのものの疾患治療の場合
以外には有効成分の皮内浸透と毛細血管からの吸収があ
ってはじめて生体内奥部の疾患治療を可能にするもので
あるから、経皮吸収効率が低ければ有効な投薬法となり
得ない。しかるに生体皮膚は、温度調節や皮膚呼吸など
の生理的機能の他に表皮部位だけで五層構造になって外
部からの異物侵入を防いでいるため、単なる塗布だけで
は分子量が比較的大きく複雑な立体構造を有する薬剤を
浸透させることは困難である。
【0003】そこで経皮吸収率を高める技術として、皮
膚と親和性の高い薬剤との混合や電気加速技術が開発さ
れている。後者は、もともと電気泳動法という1対の電
極間にあるイオンを電極間電界によって加速する技術を
応用したもので、一般にイオントフォレーゼとよばれて
いる。すなわち、イオン化した有効成分を分散した基材
を皮膚の所定部位に接触させて、その上に1ヶの電極
(関電極)を配し、近傍に皮接したもう1ヶの電極(不
関電極)との間に通電して、有効薬剤イオンを電気的斥
力、引力によって導電路である皮内に→強制的に→浸透
させる方法である。したがって、有効薬剤イオンが陰イ
オンであれば関電極には負電圧が、また陽イオンであれ
ば関電極には正電圧が印加される。最近は、直流を印加
して主として毛穴や汗腺から薬剤イオンを浸透させる方
法をイオントフォレシス、KHz級のパルスを印加して
細胞膜変位を惹起させ浸透圧変化によって有効成分を経
皮投与する方法をエレクトロポレーションと呼称する場
合もある。いずれにしても通常は、関電極と不関電極間
の外部回路に皮膚通電用の電源を接続して駆動する。
膚と親和性の高い薬剤との混合や電気加速技術が開発さ
れている。後者は、もともと電気泳動法という1対の電
極間にあるイオンを電極間電界によって加速する技術を
応用したもので、一般にイオントフォレーゼとよばれて
いる。すなわち、イオン化した有効成分を分散した基材
を皮膚の所定部位に接触させて、その上に1ヶの電極
(関電極)を配し、近傍に皮接したもう1ヶの電極(不
関電極)との間に通電して、有効薬剤イオンを電気的斥
力、引力によって導電路である皮内に→強制的に→浸透
させる方法である。したがって、有効薬剤イオンが陰イ
オンであれば関電極には負電圧が、また陽イオンであれ
ば関電極には正電圧が印加される。最近は、直流を印加
して主として毛穴や汗腺から薬剤イオンを浸透させる方
法をイオントフォレシス、KHz級のパルスを印加して
細胞膜変位を惹起させ浸透圧変化によって有効成分を経
皮投与する方法をエレクトロポレーションと呼称する場
合もある。いずれにしても通常は、関電極と不関電極間
の外部回路に皮膚通電用の電源を接続して駆動する。
【0004】これに対して本発明者は、半導体負極(不
関電極)とイオン性薬剤を塗布した金属正極(関電極)
の組合わせに成る外部電源不要型経皮投薬素子を特許出
願した(特願平1ー150654号)。関電極と不関電
極を非皮接部位で導電接続して、不関電極とイオン性薬
剤を同時皮接することにより生体電池が起電してイオン
トフォレーゼを惹起する。更に本発明者は、この外部電
源不要型経皮投薬素子を積層構造にしたワンシートデイ
スポーザブル型素子を特許出願した(特願平6ー220
193号)。この素子は、絆創膏などの貼着手段上に関
電極、イオン性薬剤層、開口部を有する格子形状絶縁
層、開口部を有する格子形状不関電極をこの順序に積層
し、非接部位で関電極と不関電極を導電接続した構造を
有する。貼着手段によって不関電極とイオン性薬剤層を
同時皮接すればイオン浸透が惹起する。この時、関電極
と不関電極間に電子スイッチ等を挿入し、50〜500
Hzの低周波で外部回路を断続すれば、皮下に分布する
末梢神経シナプスが長期増強効果をおこして皮膚の新陳
代謝が活性化するため、一層イオン性薬剤の経皮吸収効
率が向上する。
関電極)とイオン性薬剤を塗布した金属正極(関電極)
の組合わせに成る外部電源不要型経皮投薬素子を特許出
願した(特願平1ー150654号)。関電極と不関電
極を非皮接部位で導電接続して、不関電極とイオン性薬
剤を同時皮接することにより生体電池が起電してイオン
トフォレーゼを惹起する。更に本発明者は、この外部電
源不要型経皮投薬素子を積層構造にしたワンシートデイ
スポーザブル型素子を特許出願した(特願平6ー220
193号)。この素子は、絆創膏などの貼着手段上に関
電極、イオン性薬剤層、開口部を有する格子形状絶縁
層、開口部を有する格子形状不関電極をこの順序に積層
し、非接部位で関電極と不関電極を導電接続した構造を
有する。貼着手段によって不関電極とイオン性薬剤層を
同時皮接すればイオン浸透が惹起する。この時、関電極
と不関電極間に電子スイッチ等を挿入し、50〜500
Hzの低周波で外部回路を断続すれば、皮下に分布する
末梢神経シナプスが長期増強効果をおこして皮膚の新陳
代謝が活性化するため、一層イオン性薬剤の経皮吸収効
率が向上する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記特願平6ー220
193号で開示した如く、不関電極/絶縁層/薬剤層/
関電極を積層した構造のワンシート状経皮投薬素子は、
貼着皮膚部位の充填効率が高いため、外部電源方式の場
合でも電池を用いればユーザーに対する利便性が高く、
またデイスポーザブル化に適した形状といえる。更に不
関電極と薬剤層の皮接間隔を短くすることができるの
で、不関電極と薬剤層を並行配置した場合に比べて、薬
剤イオンに対する加速電界を大きくすることが容易であ
り、また不関電極を格子形状に配置することで不関電極
と薬剤層間の皮膚を流れる電流密度を低下させ、皮膚刺
激を低下させることが可能である。
193号で開示した如く、不関電極/絶縁層/薬剤層/
関電極を積層した構造のワンシート状経皮投薬素子は、
貼着皮膚部位の充填効率が高いため、外部電源方式の場
合でも電池を用いればユーザーに対する利便性が高く、
またデイスポーザブル化に適した形状といえる。更に不
関電極と薬剤層の皮接間隔を短くすることができるの
で、不関電極と薬剤層を並行配置した場合に比べて、薬
剤イオンに対する加速電界を大きくすることが容易であ
り、また不関電極を格子形状に配置することで不関電極
と薬剤層間の皮膚を流れる電流密度を低下させ、皮膚刺
激を低下させることが可能である。
【0006】しかし、電極の接触抵抗や生体の表皮抵抗
は位置的に大きく異なっており、また経時的にも生理活
性度の変化に対応して大きく変化する。人体の場合、1
cm程度離れた位置で接触抵抗を含む表皮抵抗が1桁違
うこともあり、また同一個所の抵抗が数時間以内に2桁
程度変化することも観測された。このために数cm2以
上の皮接面積を有する前記積層素子で経皮投薬を行った
時、格子形状不関電極の皮接面でもっとも低抵抗の領域
に集中的に電流が流れて、狭い領域の薬剤層からのみ経
皮吸収が惹起するため、 素子面積に対するイオン性薬剤の経皮吸収量が低下す
る、 電流が集中する不関電極領域下の皮膚が損傷を受けや
すく、一旦皮膚損傷が発生すると周辺部位の電極下に損
傷が拡大しやすい、 経時変化による抵抗変化も加わって経皮吸収速度の制
御が困難になる、 などの問題が発生した。更に、格子形状不関電極の隅部
(コーナー部位)では、隣接する電極辺間の距離が短く
なるため、この領域に電流集中が生じてイオン性薬剤の
浸透速度が他の領域より大きくなり、浸透ムラが生じて
経皮吸収速度の制御に悪影響を生ずることもわかった。
これら問題は、生体電池駆動型素子の場合よりも外部電
源駆動型素子の場合、より顕著に観察された。
は位置的に大きく異なっており、また経時的にも生理活
性度の変化に対応して大きく変化する。人体の場合、1
cm程度離れた位置で接触抵抗を含む表皮抵抗が1桁違
うこともあり、また同一個所の抵抗が数時間以内に2桁
程度変化することも観測された。このために数cm2以
上の皮接面積を有する前記積層素子で経皮投薬を行った
時、格子形状不関電極の皮接面でもっとも低抵抗の領域
に集中的に電流が流れて、狭い領域の薬剤層からのみ経
皮吸収が惹起するため、 素子面積に対するイオン性薬剤の経皮吸収量が低下す
る、 電流が集中する不関電極領域下の皮膚が損傷を受けや
すく、一旦皮膚損傷が発生すると周辺部位の電極下に損
傷が拡大しやすい、 経時変化による抵抗変化も加わって経皮吸収速度の制
御が困難になる、 などの問題が発生した。更に、格子形状不関電極の隅部
(コーナー部位)では、隣接する電極辺間の距離が短く
なるため、この領域に電流集中が生じてイオン性薬剤の
浸透速度が他の領域より大きくなり、浸透ムラが生じて
経皮吸収速度の制御に悪影響を生ずることもわかった。
これら問題は、生体電池駆動型素子の場合よりも外部電
源駆動型素子の場合、より顕著に観察された。
【0007】本発明の目的は、薬剤の経皮吸収速度が大
きく且つ再現性が高い上に皮膚損傷の少ない積層型ワン
シートタイプのイオントフォレーゼ利用経皮投薬素子を
提供することである。
きく且つ再現性が高い上に皮膚損傷の少ない積層型ワン
シートタイプのイオントフォレーゼ利用経皮投薬素子を
提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明では、不関電極板
と絶縁板と薬剤層と関電極板とをこの順序で積層して成
り、前記不関電極板と絶縁板とは開口部を有しており、
前記薬剤層は少なくとも被浸透薬剤成分を導電性基材に
分散させており、前記不関電極板と前記関電極板とは非
皮接部位で皮膚通電用電源および又は導線等から成る外
部回路に電気的に接続されており、所定の生体皮膚部位
に圧着することによって前記不関電極板と前記開口部か
ら露出した前記薬剤層とを空隙を隔てて同時に皮接し、
生体皮膚導電路を含む閉回路に通電することによって経
皮吸収させるシート状素子において、前記不関電極板が
前記絶縁板上で複数個に分割され、且つ互いに電気的に
絶縁された形状を有し、分割された前記不関電極板の各
々は非皮接部位において前記関電極板と個々の、或いは
いくつかをまとめた複数の導線によって電気的に接続さ
れている経皮投薬素子を開示する。
と絶縁板と薬剤層と関電極板とをこの順序で積層して成
り、前記不関電極板と絶縁板とは開口部を有しており、
前記薬剤層は少なくとも被浸透薬剤成分を導電性基材に
分散させており、前記不関電極板と前記関電極板とは非
皮接部位で皮膚通電用電源および又は導線等から成る外
部回路に電気的に接続されており、所定の生体皮膚部位
に圧着することによって前記不関電極板と前記開口部か
ら露出した前記薬剤層とを空隙を隔てて同時に皮接し、
生体皮膚導電路を含む閉回路に通電することによって経
皮吸収させるシート状素子において、前記不関電極板が
前記絶縁板上で複数個に分割され、且つ互いに電気的に
絶縁された形状を有し、分割された前記不関電極板の各
々は非皮接部位において前記関電極板と個々の、或いは
いくつかをまとめた複数の導線によって電気的に接続さ
れている経皮投薬素子を開示する。
【0009】更に本発明では、前記不関電極板の前記開
口部の形状が、円弧状もしくは相隣る辺とのなす角度が
90度を越える多角形もしくは相隣る接線角度が90度
を超える曲線形を含む前記したシート状経皮投薬素子を
開示する。
口部の形状が、円弧状もしくは相隣る辺とのなす角度が
90度を越える多角形もしくは相隣る接線角度が90度
を超える曲線形を含む前記したシート状経皮投薬素子を
開示する。
【0010】本発明の経皮投薬素子においては、前記不
関電極板および前記関電極板の一方は、少なくともその
皮接面または薬接面が半導体で構成され、且つ他方は少
なくともその薬接面または皮接面が前記半導体より標準
単極電位の高い金属で構成され、前記外部回路に前記皮
膚通電用電源を接続することなく皮膚通電が可能な素子
であってもよい。さらに本発明の経皮投薬素子において
は、前記外部回路に所定の間隔で皮膚通電を遮断できる
電子スイッチタイマー等の電流制御部を付加することも
できる。
関電極板および前記関電極板の一方は、少なくともその
皮接面または薬接面が半導体で構成され、且つ他方は少
なくともその薬接面または皮接面が前記半導体より標準
単極電位の高い金属で構成され、前記外部回路に前記皮
膚通電用電源を接続することなく皮膚通電が可能な素子
であってもよい。さらに本発明の経皮投薬素子において
は、前記外部回路に所定の間隔で皮膚通電を遮断できる
電子スイッチタイマー等の電流制御部を付加することも
できる。
【0011】薬剤の皮接面積を決める不関電極の開口率
は、大きい程単位面積当たりの薬剤浸透量が増大する傾
向にある。しかし、開口部において不関電極からの距離
が大きくなる程加速電界強度が小さくなるためイオント
フォレーゼ効果が低下する。すなわち、ひとつの開口部
においては浸透面積と電界強度がトレードオフの関係に
ある。このために不関電極の開口部位は、通常複数個の
孔の集合体となる。各孔の周囲には絶縁板によって垂直
方向に薬剤層と分離した不関電極板が配置されている
が、各孔を取り巻く不関電極板が電気的に互いに絶縁状
態になる如く複数個に分割されていれば、局所的に皮接
抵抗(接触抵抗や表皮抵抗)が大きく変化していても低
抵抗部位と高抵抗部位とで独立にイオン浸透電流が流れ
るため、各部位の浸透速度に差があっても素子全体とし
ての浸透量をかせぐのに有効である。この場合分割され
た各不関電極板と関電極板との電気的接続は、望ましく
は分割個数分の導線数によって、或いはいくつかの分割
不関電極板をまとめた複数の導線によって行われる。こ
れは、非皮接部位における電気的接続であっても1ヶ所
で分割不関電極の全てをまとめて間関電極に接続する
と、もっとも皮接抵抗の小さな不関電極片に通電電流が
集中する傾向があるためである。
は、大きい程単位面積当たりの薬剤浸透量が増大する傾
向にある。しかし、開口部において不関電極からの距離
が大きくなる程加速電界強度が小さくなるためイオント
フォレーゼ効果が低下する。すなわち、ひとつの開口部
においては浸透面積と電界強度がトレードオフの関係に
ある。このために不関電極の開口部位は、通常複数個の
孔の集合体となる。各孔の周囲には絶縁板によって垂直
方向に薬剤層と分離した不関電極板が配置されている
が、各孔を取り巻く不関電極板が電気的に互いに絶縁状
態になる如く複数個に分割されていれば、局所的に皮接
抵抗(接触抵抗や表皮抵抗)が大きく変化していても低
抵抗部位と高抵抗部位とで独立にイオン浸透電流が流れ
るため、各部位の浸透速度に差があっても素子全体とし
ての浸透量をかせぐのに有効である。この場合分割され
た各不関電極板と関電極板との電気的接続は、望ましく
は分割個数分の導線数によって、或いはいくつかの分割
不関電極板をまとめた複数の導線によって行われる。こ
れは、非皮接部位における電気的接続であっても1ヶ所
で分割不関電極の全てをまとめて間関電極に接続する
と、もっとも皮接抵抗の小さな不関電極片に通電電流が
集中する傾向があるためである。
【0012】不関電極の開口部形状が円弧状もしくは隣
接する接線の成す角度が90度を超える。いわゆる鈍角
となっていると隅部位への電流の集中が軽減される。し
たがって開口部が多孔であるよう電極形状に配慮すれ
ば、開口部位の皮接薬剤面のほとんどでイオン浸透に寄
与することが可能となり、浸透量に関する再現性の向
上、すなわち浸透速度の制御性を高めることができる。
接する接線の成す角度が90度を超える。いわゆる鈍角
となっていると隅部位への電流の集中が軽減される。し
たがって開口部が多孔であるよう電極形状に配慮すれ
ば、開口部位の皮接薬剤面のほとんどでイオン浸透に寄
与することが可能となり、浸透量に関する再現性の向
上、すなわち浸透速度の制御性を高めることができる。
【0013】本発明は、関電極と不関電極との間に非皮
接部位で外部電源を接続したタイプの経皮投薬素子に適
用することもできる。しかし、関電極と不関電極電極の
いずれか一方を、少なくともその皮接面又は薬接面が半
導体から成るように構成し、他方の電極の少なくとも薬
接面又は皮接面をこの半導体より標準単極部位の高い金
属で構成すると、外部電源を用いることなく安定した化
学電池発電を行い、イオントフォレーゼを行うことがで
きる。この場合、被浸透薬剤イオンの極性がマイナスで
あれば半導体に、また薬剤イオンの極性がプラスであれ
ば不関電極が金属になる。もっとも、比較的短時間皮接
のディスポーザブル型素子として構成する場合には、関
電極と不関電極の一方が他方より高い標準単極電位を有
する導電性鉱物であればよい(両電極共金属で構成され
ていてもよい)。この場合も被浸透薬剤イオンの極性が
マイナスであれば標準単極電位のより低い方の導電性鉱
物が不関電極に用いられることになる。
接部位で外部電源を接続したタイプの経皮投薬素子に適
用することもできる。しかし、関電極と不関電極電極の
いずれか一方を、少なくともその皮接面又は薬接面が半
導体から成るように構成し、他方の電極の少なくとも薬
接面又は皮接面をこの半導体より標準単極部位の高い金
属で構成すると、外部電源を用いることなく安定した化
学電池発電を行い、イオントフォレーゼを行うことがで
きる。この場合、被浸透薬剤イオンの極性がマイナスで
あれば半導体に、また薬剤イオンの極性がプラスであれ
ば不関電極が金属になる。もっとも、比較的短時間皮接
のディスポーザブル型素子として構成する場合には、関
電極と不関電極の一方が他方より高い標準単極電位を有
する導電性鉱物であればよい(両電極共金属で構成され
ていてもよい)。この場合も被浸透薬剤イオンの極性が
マイナスであれば標準単極電位のより低い方の導電性鉱
物が不関電極に用いられることになる。
【0014】関電極と不関電極との間の外部回路に電子
スイッチを挿入して50〜500Hzの低周波帯における
適当な周波数で通電回路を断続すると、経皮電流が低周
波パルスとなる。この結果、いわゆるエレクトロポレー
ション現象が惹起して中性の薬剤成分も経皮浸透させる
ことができる上に、皮下領域に分布する末梢神経シナプ
スの可塑性を高めることができる。すなわち、シナプス
の後線維の興奮電位が高まり、この領域の組織が生理活
性化するというシナプスの長期増強効果を惹起すること
できる。それ故薬剤の経皮吸収効率が高まりイオントフ
ォレーゼを促進することが可能となる。
スイッチを挿入して50〜500Hzの低周波帯における
適当な周波数で通電回路を断続すると、経皮電流が低周
波パルスとなる。この結果、いわゆるエレクトロポレー
ション現象が惹起して中性の薬剤成分も経皮浸透させる
ことができる上に、皮下領域に分布する末梢神経シナプ
スの可塑性を高めることができる。すなわち、シナプス
の後線維の興奮電位が高まり、この領域の組織が生理活
性化するというシナプスの長期増強効果を惹起すること
できる。それ故薬剤の経皮吸収効率が高まりイオントフ
ォレーゼを促進することが可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施の形態にもと
づいてより詳しく述べる。 (その1)図1は、本発明の実施の形態における積層型
経皮投薬素子の構成を示す図である。図(イ)が上面
図、図(ロ)がA−A′断面図、図(ハ)がB−B′断
面図である。図において1は関電極板、2は薬剤層、3
は絶縁板、4は不関電極板、5は導線、6は開口部であ
る。導線5は、非皮接部位において関電極板1と不関電
極板4とを短絡する役目をもつが、図(ハ)のMおよび
又はM′の個所で皮膚通電用電源および又は電子スイッ
チ(いずれも図示せず)を回路接続する役割も果たす。
もっとも簡単な電気回路構成は、図1に示す通りであ
り、この時薬剤層2に分散されている被浸透薬剤イオン
がプラスであれば関電極板1の少なくとも薬接面は、標
準単極電位が不関電極板4の少なくとも皮接面を形成す
る導電性鉱物より低い半導体(n型半導体がより望まし
い)で形成される。一方、被浸透薬剤イオンがマイナス
であれば、関電極板1の少なくとも薬接面は、標準単極
電位が、不関電極板4のそれより高い導電性鉱物(主と
して金属)で形成される。この場合、不関電極板4の皮
接面は半導体でも金属でもよい。
づいてより詳しく述べる。 (その1)図1は、本発明の実施の形態における積層型
経皮投薬素子の構成を示す図である。図(イ)が上面
図、図(ロ)がA−A′断面図、図(ハ)がB−B′断
面図である。図において1は関電極板、2は薬剤層、3
は絶縁板、4は不関電極板、5は導線、6は開口部であ
る。導線5は、非皮接部位において関電極板1と不関電
極板4とを短絡する役目をもつが、図(ハ)のMおよび
又はM′の個所で皮膚通電用電源および又は電子スイッ
チ(いずれも図示せず)を回路接続する役割も果たす。
もっとも簡単な電気回路構成は、図1に示す通りであ
り、この時薬剤層2に分散されている被浸透薬剤イオン
がプラスであれば関電極板1の少なくとも薬接面は、標
準単極電位が不関電極板4の少なくとも皮接面を形成す
る導電性鉱物より低い半導体(n型半導体がより望まし
い)で形成される。一方、被浸透薬剤イオンがマイナス
であれば、関電極板1の少なくとも薬接面は、標準単極
電位が、不関電極板4のそれより高い導電性鉱物(主と
して金属)で形成される。この場合、不関電極板4の皮
接面は半導体でも金属でもよい。
【0016】絶縁板3は薬剤層2と不関電極板4とを空
間的に絶縁するために設けられており可撓性と防水性の
ある素材で形成される。また導線5は加工性を考慮して
不関電極板4と同じ素材で形成される婆愛が多い。関電
極板1、不関電極板4は共に可撓性のある金属箔や金属
メッシュを基盤とし、この上にメッキや蒸着によって導
電性鉱物を形成して作られることが多い。図(イ)で示
すように不関電極板4は、亀甲状パターンの開口部6に
沿って一定の幅で配置されているが、連結しているので
はなく絶縁板3上の所々で切れ目があり、結局8分割さ
れている。又、不関電極板4の網目状パターンにおいて
隣接する辺との成す角度は概ね120度になっている個
所が多い。
間的に絶縁するために設けられており可撓性と防水性の
ある素材で形成される。また導線5は加工性を考慮して
不関電極板4と同じ素材で形成される婆愛が多い。関電
極板1、不関電極板4は共に可撓性のある金属箔や金属
メッシュを基盤とし、この上にメッキや蒸着によって導
電性鉱物を形成して作られることが多い。図(イ)で示
すように不関電極板4は、亀甲状パターンの開口部6に
沿って一定の幅で配置されているが、連結しているので
はなく絶縁板3上の所々で切れ目があり、結局8分割さ
れている。又、不関電極板4の網目状パターンにおいて
隣接する辺との成す角度は概ね120度になっている個
所が多い。
【0017】図示した状態で絆創膏等を用いて不関電極
板4側を生体皮膚に圧着すると、開口部6から露出した
薬剤層2が不関電極板4と共に皮膚に接触する。この
時、不関電極板4と薬剤層2とは絶縁板3の厚みのため
に空隙を介して皮接しており、この結果、関電極板1→
薬剤層2→皮膚→不関電極板4→導線5→関電極板1
という電気的閉回路が形成される。関電極と不関電極の
標準単極電位差に起因する化学電池作用によって起電力
が発生し、被浸透薬剤イオンを電気的斥力によって皮内
に押し込むイオントフォレーゼが惹起する。皮接抵抗は
局部的な皮膚生理活性度の差や皮膚塗布間板4との密着
性の差などによって、経皮投薬素子の皮接面積が大きく
なる程大きな二次元分布を示す。しかし、図示したよう
な複数分割型の不関電極パターンを用いると、皮接抵抗
のもっとも小さな領域に集中的に電流が流れて局部的な
イオントフォレーゼしか惹起しない状況を防ぐことが出
来、薬剤の浸透速度の改善と再現性の向上および電流集
中による皮膚損傷の防止に効果がある。
板4側を生体皮膚に圧着すると、開口部6から露出した
薬剤層2が不関電極板4と共に皮膚に接触する。この
時、不関電極板4と薬剤層2とは絶縁板3の厚みのため
に空隙を介して皮接しており、この結果、関電極板1→
薬剤層2→皮膚→不関電極板4→導線5→関電極板1
という電気的閉回路が形成される。関電極と不関電極の
標準単極電位差に起因する化学電池作用によって起電力
が発生し、被浸透薬剤イオンを電気的斥力によって皮内
に押し込むイオントフォレーゼが惹起する。皮接抵抗は
局部的な皮膚生理活性度の差や皮膚塗布間板4との密着
性の差などによって、経皮投薬素子の皮接面積が大きく
なる程大きな二次元分布を示す。しかし、図示したよう
な複数分割型の不関電極パターンを用いると、皮接抵抗
のもっとも小さな領域に集中的に電流が流れて局部的な
イオントフォレーゼしか惹起しない状況を防ぐことが出
来、薬剤の浸透速度の改善と再現性の向上および電流集
中による皮膚損傷の防止に効果がある。
【0018】図1では、導線5は8分割された不関電極
板4の各々を電気的に互いに独立した状態で関電極板1
に接続している。この結果、皮接抵抗の異なる各不関電
極板領域で発生した閉回路電流は、それぞれ異なった値
のまま関電極板1まで流れ、ここで合流して均一起電力
に再分配される。もし、導線5が関電極板1に接続され
る前に、分割された不関電極板各領域から引き出された
線を1本にまとめてしまうならば、不関電極板4を分割
しなかった状態に近くなり薬剤層2と不関電極板4間の
皮接抵抗がもっとも小さな領域に電流が集中する結果を
もたらす。それ故、複数の(出来うれば分割した不関電
極板個数に見合った)導線によって不関電極板4と関電
極板1が外部で接続されることが望ましい。前記したよ
うに、導線5は、不関電極板4の皮接面形成材料と同じ
材質で少なくとも表面層が形成されていれば、関電極板
1に接続する際その薬接面形成材料に直接継続すること
によって化学電池ポテンシャルを最大に活用することが
出来、大きな薬剤イオン浸透力を引き出すことが可能と
なる。
板4の各々を電気的に互いに独立した状態で関電極板1
に接続している。この結果、皮接抵抗の異なる各不関電
極板領域で発生した閉回路電流は、それぞれ異なった値
のまま関電極板1まで流れ、ここで合流して均一起電力
に再分配される。もし、導線5が関電極板1に接続され
る前に、分割された不関電極板各領域から引き出された
線を1本にまとめてしまうならば、不関電極板4を分割
しなかった状態に近くなり薬剤層2と不関電極板4間の
皮接抵抗がもっとも小さな領域に電流が集中する結果を
もたらす。それ故、複数の(出来うれば分割した不関電
極板個数に見合った)導線によって不関電極板4と関電
極板1が外部で接続されることが望ましい。前記したよ
うに、導線5は、不関電極板4の皮接面形成材料と同じ
材質で少なくとも表面層が形成されていれば、関電極板
1に接続する際その薬接面形成材料に直接継続すること
によって化学電池ポテンシャルを最大に活用することが
出来、大きな薬剤イオン浸透力を引き出すことが可能と
なる。
【0019】関電極板や不関電極板の少なくとも皮接面
や薬接面を構成する導電性鉱物材料として適当なもの
は、標準単極電位力の比較的大きな金、銀、プラチナ、
パラジウム、イリジウム等の貴金属や銅などの金属、標
準単極電位の比較的小さな、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化
アルミニウム、酸化チタン、酸化インジウム、酸化ビス
マスなどの酸化物半導体やゲルマニウム、シリコンゲル
マニウム固溶体、窒化硼素などの非酸化物半導体、マン
ガンや鉄などの一部金属、炭素などの非金属導電体があ
る。これらの材料を、被浸透イオン性薬剤の種類や使用
条件等にあわせて適宜組み合わせて用いることになる。
や薬接面を構成する導電性鉱物材料として適当なもの
は、標準単極電位力の比較的大きな金、銀、プラチナ、
パラジウム、イリジウム等の貴金属や銅などの金属、標
準単極電位の比較的小さな、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化
アルミニウム、酸化チタン、酸化インジウム、酸化ビス
マスなどの酸化物半導体やゲルマニウム、シリコンゲル
マニウム固溶体、窒化硼素などの非酸化物半導体、マン
ガンや鉄などの一部金属、炭素などの非金属導電体があ
る。これらの材料を、被浸透イオン性薬剤の種類や使用
条件等にあわせて適宜組み合わせて用いることになる。
【0020】図1で示した経皮投薬素子の効果を調べる
ために、図2のような経皮投薬素子を用意した。図2
は、上面図を示す。この素子は円形の開口部を有してい
るが、開口率は図1の素子と同じ60%とした。不関電
極板4は開口部以外の領域で一体化されており、分割さ
れていない。したがって、関電極板1(図示せず)と接
続する導線5は1本のみである。今、図1および2にお
ける素子サイズを3X4cm2とし、関電極板1を金メ
ッキした厚さ35μmの鉄板、不関電極板4および導線
5を表面に酸化亜鉛膜を形成した厚さ35μmの鉄板、
薬剤層2をL−アスパラギン酸ソーダを分散させた厚さ
約1mmのポリビニルピロリドン層、絶縁板3を厚さ2
mmの発砲ポリエチエンとした。剪毛後剃毛した2匹1
群のSD系雄性ラットの背部に図1および図2の素子を
別々に装荷し、アスパラギン酸の血中濃度変化を装荷時
間毎に調べた。また、イオントフォレーゼを行わないデ
ータと比較するために、図2の素子で導線5を切断し、
関電極板1と不関電極板4との間を無通電状態にしたも
の(ダミー)を用意した。各群で得られたデータを図3
に示す。
ために、図2のような経皮投薬素子を用意した。図2
は、上面図を示す。この素子は円形の開口部を有してい
るが、開口率は図1の素子と同じ60%とした。不関電
極板4は開口部以外の領域で一体化されており、分割さ
れていない。したがって、関電極板1(図示せず)と接
続する導線5は1本のみである。今、図1および2にお
ける素子サイズを3X4cm2とし、関電極板1を金メ
ッキした厚さ35μmの鉄板、不関電極板4および導線
5を表面に酸化亜鉛膜を形成した厚さ35μmの鉄板、
薬剤層2をL−アスパラギン酸ソーダを分散させた厚さ
約1mmのポリビニルピロリドン層、絶縁板3を厚さ2
mmの発砲ポリエチエンとした。剪毛後剃毛した2匹1
群のSD系雄性ラットの背部に図1および図2の素子を
別々に装荷し、アスパラギン酸の血中濃度変化を装荷時
間毎に調べた。また、イオントフォレーゼを行わないデ
ータと比較するために、図2の素子で導線5を切断し、
関電極板1と不関電極板4との間を無通電状態にしたも
の(ダミー)を用意した。各群で得られたデータを図3
に示す。
【0021】図3は、図1の素子を用いた場合も図2の
素子を用いた場合もダミー(無通電の場合)より明らか
に多量のアスパラギン酸が経皮吸収されていることを示
しており、イオントフォレーゼ効果が認められる。しか
し、図1と図2の素子ではその効果が大幅に異なること
がわかる。すなわち、図1の素子を装荷した場合ダミー
の約10倍の濃度が観測されるが図2では約3倍にとど
まる。薬剤濃度および皮接面積(開口率)が同じであっ
てイオントフォレーゼ効果に大きな差が出るのは、前記
したように素子下の皮接抵抗が局部的に大きく異なるこ
とに原因すると考えられる。すなわち、図2の素子で
は、もっとも皮接抵抗の低い領域に集中的に電流が流れ
るため、狭い領域の薬剤層しか機能しないが、図1の素
子では8分割された不関電極がそれぞれの領域の皮接抵
抗に基づいて機能するので、各分割領域毎に経皮吸収効
率に差が出ても全体として吸収量が高まるものと考えら
れる。実際8時間装着したマウスの皮膚面を観察する
と、図1の素子の場合、殆ど目立った通電損傷は観測さ
れなかったが、図2の素子の場合、一部の皮膚領域で発
赤や浮腫がみられた。図2の素子ではこの領域に電流が
集中したことを示す結果と考えられる。
素子を用いた場合もダミー(無通電の場合)より明らか
に多量のアスパラギン酸が経皮吸収されていることを示
しており、イオントフォレーゼ効果が認められる。しか
し、図1と図2の素子ではその効果が大幅に異なること
がわかる。すなわち、図1の素子を装荷した場合ダミー
の約10倍の濃度が観測されるが図2では約3倍にとど
まる。薬剤濃度および皮接面積(開口率)が同じであっ
てイオントフォレーゼ効果に大きな差が出るのは、前記
したように素子下の皮接抵抗が局部的に大きく異なるこ
とに原因すると考えられる。すなわち、図2の素子で
は、もっとも皮接抵抗の低い領域に集中的に電流が流れ
るため、狭い領域の薬剤層しか機能しないが、図1の素
子では8分割された不関電極がそれぞれの領域の皮接抵
抗に基づいて機能するので、各分割領域毎に経皮吸収効
率に差が出ても全体として吸収量が高まるものと考えら
れる。実際8時間装着したマウスの皮膚面を観察する
と、図1の素子の場合、殆ど目立った通電損傷は観測さ
れなかったが、図2の素子の場合、一部の皮膚領域で発
赤や浮腫がみられた。図2の素子ではこの領域に電流が
集中したことを示す結果と考えられる。
【0022】(その2)図4は、本発明の別の実施の形
態における経皮投薬素子の構成を示す上面図である。図
(イ)は8分割、また図(ロ)は4分割された不関電極
板4を備えている。図示した如く、これら経皮投薬素子
においては開口部形状が長方形であり、したがって不関
電極板4の相隣る辺の成す角度は90度である。ただ
し、不関電極板4は絶縁板3上で複数個に分割され、互
いに電気的に絶縁されている。前実施の形態(図1)で
示した如く、導線5は紙面に垂直に下方に折れ、再び9
0度内側に折れ曲がって関電極板1の裏面に接続してい
る。導線5は、不関電極板4と同じ素材で構成されてい
る。
態における経皮投薬素子の構成を示す上面図である。図
(イ)は8分割、また図(ロ)は4分割された不関電極
板4を備えている。図示した如く、これら経皮投薬素子
においては開口部形状が長方形であり、したがって不関
電極板4の相隣る辺の成す角度は90度である。ただ
し、不関電極板4は絶縁板3上で複数個に分割され、互
いに電気的に絶縁されている。前実施の形態(図1)で
示した如く、導線5は紙面に垂直に下方に折れ、再び9
0度内側に折れ曲がって関電極板1の裏面に接続してい
る。導線5は、不関電極板4と同じ素材で構成されてい
る。
【0023】関電極板1を厚さ35μmの鉄板上に両面
電子ビーム装着したAuーAgーCu合金膜、薬剤層2を厚
さ約1mmのLーアスコルビルマグネシウムを分散した
ゼラチン素マトリクス、絶縁板3を厚さ約1mmのフッ
素ゴム、不関電極板4および導線5を厚さ35μmの鉄
板上に錫メッキ後表面酸化したSnO2膜で構成し、上
面サイズ3X4cm2、開口率70%の経皮投薬素子を
作成した。薬剤の経皮吸収状態を比較するため、図4
(イ)と(ロ)の2つのパターンで素子を作成し、背部
を剪毛後脱毛処理した白色ウサギを2匹1群として同一
個所に素子を装荷後、2時間毎に血中のアスコルビン酸
濃度を測定した。この結果を図5に示す。図4(イ)の
素子に比べて図4(ロ)の素子の場合は、薬剤層2のL
−アスコルビムマグネシウムの濃度および薬剤層の接触
面積(素子開口率)が同じであるにもかかわらず、血中
濃度はピーク値で(イ)の素子の約80%にとどまって
いる。また、時間経過と共に血中濃度が漸減する傾向が
みられた。8時間経過後のウサギ装着面皮膚には、不関
電極板4の90度に曲がったコーナー付近で浮腫が観測
された。
電子ビーム装着したAuーAgーCu合金膜、薬剤層2を厚
さ約1mmのLーアスコルビルマグネシウムを分散した
ゼラチン素マトリクス、絶縁板3を厚さ約1mmのフッ
素ゴム、不関電極板4および導線5を厚さ35μmの鉄
板上に錫メッキ後表面酸化したSnO2膜で構成し、上
面サイズ3X4cm2、開口率70%の経皮投薬素子を
作成した。薬剤の経皮吸収状態を比較するため、図4
(イ)と(ロ)の2つのパターンで素子を作成し、背部
を剪毛後脱毛処理した白色ウサギを2匹1群として同一
個所に素子を装荷後、2時間毎に血中のアスコルビン酸
濃度を測定した。この結果を図5に示す。図4(イ)の
素子に比べて図4(ロ)の素子の場合は、薬剤層2のL
−アスコルビムマグネシウムの濃度および薬剤層の接触
面積(素子開口率)が同じであるにもかかわらず、血中
濃度はピーク値で(イ)の素子の約80%にとどまって
いる。また、時間経過と共に血中濃度が漸減する傾向が
みられた。8時間経過後のウサギ装着面皮膚には、不関
電極板4の90度に曲がったコーナー付近で浮腫が観測
された。
【0024】そこで、比較のために図1の経皮投薬素子
の薬剤層2を図4と同じ濃度のL−アスコルビルマグネ
シウムを分散させたゼラチン系マトリクスとし、8時間
剪毛後脱毛処理した白ウサギ背部に貼付した。その後、
素子をとりはずして装荷部皮膚を調べると、発赤や浮腫
は観測されなかった。また、この時に血中のアスコルビ
ン酸濃度は開口率が60%と低いにもかかわらず、図4
(イ)の素子と同じ程度であった。
の薬剤層2を図4と同じ濃度のL−アスコルビルマグネ
シウムを分散させたゼラチン系マトリクスとし、8時間
剪毛後脱毛処理した白ウサギ背部に貼付した。その後、
素子をとりはずして装荷部皮膚を調べると、発赤や浮腫
は観測されなかった。また、この時に血中のアスコルビ
ン酸濃度は開口率が60%と低いにもかかわらず、図4
(イ)の素子と同じ程度であった。
【0025】以上の結果は、不関電極板の開口部の形状
が相隣る辺との成す角度で90度を越える多角形であれ
ば、屈曲部(コーナー)における電流密度上昇の影響を
緩和し皮膚損傷を最小限にとどめ得ることを示してい
る。また、不関電極板4を分割して各々の領域毎に関電
極1と接続する構造で、分割領域数が多いほど局部的な
電流集中による一部領域のみからの薬剤浸透(イオント
フォレーゼ)が起き難くなり、全体として経皮吸収量が
増大することを示している。このことは又、電流集中に
よる皮膚損傷発生を緩和する効果を併せもつと考えられ
る。図1では不関電極板4の開口部形状を多角形とした
が、勿論図2の如く円形にすることも、又円弧状や相隣
る接線角度が90度を超える曲線形にすることも、広角
度多角形と同様に電流コーナー集中現象の緩和に役立つ
ことは、云う迄もない。
が相隣る辺との成す角度で90度を越える多角形であれ
ば、屈曲部(コーナー)における電流密度上昇の影響を
緩和し皮膚損傷を最小限にとどめ得ることを示してい
る。また、不関電極板4を分割して各々の領域毎に関電
極1と接続する構造で、分割領域数が多いほど局部的な
電流集中による一部領域のみからの薬剤浸透(イオント
フォレーゼ)が起き難くなり、全体として経皮吸収量が
増大することを示している。このことは又、電流集中に
よる皮膚損傷発生を緩和する効果を併せもつと考えられ
る。図1では不関電極板4の開口部形状を多角形とした
が、勿論図2の如く円形にすることも、又円弧状や相隣
る接線角度が90度を超える曲線形にすることも、広角
度多角形と同様に電流コーナー集中現象の緩和に役立つ
ことは、云う迄もない。
【0026】(その3)図1(イ)に示した不関電極板
4の開口部パターンと同じ形状を有し、所定の間隔で皮
膚通電を遮断することができる電子スイッチを具備した
経皮投薬素子を作成した。電子スイッチ7は、素子の非
皮接部(裏側)に接続した。この様子を示したが、図6
である。図6は、図1(イ)のB−B′断面図に相当す
るものである。図6においては、8分割された不関電極
板4の各領域に接続された導線5は、素子の裏面(非皮
接面)で関電極板1の裏面に密着配置された薄い有孔の
絶縁板3の裏側周辺部に配設された2枚の電極板8,
8′に接続される。この電極板8,8′の表面は、関電
極板1表面と同じ素材で形成されている。図6は、電極
板8に4本の導線5が、また電極板8′にも4本の導線
5が接続していることを示す。さらに、電子スイッチ7
が、電極板8,8′の導線5接続部以外の部位と関電極
板1との間にリード線によって接続される。このような
構成によって、分割された不関電極板4の複数の導線接
続効果が失われることなく、電子スイッチ7によって不
関電極板4の各領域は同期して皮膚通電の断続を行うこ
とができる。
4の開口部パターンと同じ形状を有し、所定の間隔で皮
膚通電を遮断することができる電子スイッチを具備した
経皮投薬素子を作成した。電子スイッチ7は、素子の非
皮接部(裏側)に接続した。この様子を示したが、図6
である。図6は、図1(イ)のB−B′断面図に相当す
るものである。図6においては、8分割された不関電極
板4の各領域に接続された導線5は、素子の裏面(非皮
接面)で関電極板1の裏面に密着配置された薄い有孔の
絶縁板3の裏側周辺部に配設された2枚の電極板8,
8′に接続される。この電極板8,8′の表面は、関電
極板1表面と同じ素材で形成されている。図6は、電極
板8に4本の導線5が、また電極板8′にも4本の導線
5が接続していることを示す。さらに、電子スイッチ7
が、電極板8,8′の導線5接続部以外の部位と関電極
板1との間にリード線によって接続される。このような
構成によって、分割された不関電極板4の複数の導線接
続効果が失われることなく、電子スイッチ7によって不
関電極板4の各領域は同期して皮膚通電の断続を行うこ
とができる。
【0027】図示した電子スイッチ7は、電池電源およ
び周知のスイッチング素子、回路素子を内蔵している。
そして、所定の間隔で不関電極板4と関電極板1との間
を流れる経皮投薬素子電流をその非皮接部位で断続する
ことができる。関電極板1および電極板8,8′を厚さ
35μmの鉄板両面にロジウムメッキをした薄板で、ま
た薬剤層2を0.8モルのαートコフェロール誘導塩を
分散した厚さ約1mmのポリビニルピロリドンゲルで、
絶縁板3を厚さ0.4mmの発砲ボリエチレンで、さらに
不関電極板4および導線5を厚さ35μmの鉄板両面に
マンガンメッキした板で構成した。すなわち、この場合
関電極、不関電極は共に金属で構成されている。経皮投
薬素子のサイズは、図1の場合同様3x4cm2であ
る。
び周知のスイッチング素子、回路素子を内蔵している。
そして、所定の間隔で不関電極板4と関電極板1との間
を流れる経皮投薬素子電流をその非皮接部位で断続する
ことができる。関電極板1および電極板8,8′を厚さ
35μmの鉄板両面にロジウムメッキをした薄板で、ま
た薬剤層2を0.8モルのαートコフェロール誘導塩を
分散した厚さ約1mmのポリビニルピロリドンゲルで、
絶縁板3を厚さ0.4mmの発砲ボリエチレンで、さらに
不関電極板4および導線5を厚さ35μmの鉄板両面に
マンガンメッキした板で構成した。すなわち、この場合
関電極、不関電極は共に金属で構成されている。経皮投
薬素子のサイズは、図1の場合同様3x4cm2であ
る。
【0028】電子スイッチ7の遮断周波数を250Hz
(デューティ比1:1)と設定し、剪毛後剃毛処理した
SD系雄性ラットの背部に装着して6時間経過後のαー
トコフェロール血中濃度を測定した。比較のために電子
スイッチ7を遮断周波数ゼロ、すなわち常時通電した上
記同様の構成素子を用意し、別のSD系雄性ラットに装
着した。この両場合について6時間経過後の血中濃度を
比較すると、前者は後者の3.5〜4倍の高い値を示
し、パルス状通電が電気的に中性の薬剤の経皮吸収に有
効であることがわかった。遮断周波数を変化させると1
00〜500Hzの領域で直流通電の場合よりも高い経
皮吸収効果がみられた。これは、テタヌス刺激といわれ
る神経線維、特にシナプル領域への小電圧繰り返しパル
ス刺激によって、皮膚が生理活性化した効果が重畳され
たものと考えられる。
(デューティ比1:1)と設定し、剪毛後剃毛処理した
SD系雄性ラットの背部に装着して6時間経過後のαー
トコフェロール血中濃度を測定した。比較のために電子
スイッチ7を遮断周波数ゼロ、すなわち常時通電した上
記同様の構成素子を用意し、別のSD系雄性ラットに装
着した。この両場合について6時間経過後の血中濃度を
比較すると、前者は後者の3.5〜4倍の高い値を示
し、パルス状通電が電気的に中性の薬剤の経皮吸収に有
効であることがわかった。遮断周波数を変化させると1
00〜500Hzの領域で直流通電の場合よりも高い経
皮吸収効果がみられた。これは、テタヌス刺激といわれ
る神経線維、特にシナプル領域への小電圧繰り返しパル
ス刺激によって、皮膚が生理活性化した効果が重畳され
たものと考えられる。
【0029】以上の実施の形態では、イオントフォレー
ゼを惹起する電源として皮接によって化学電池が構成さ
れる、いわゆるバイオセルを用いてきた。しかし、本発
明はこれにとどまるものではなく、従来から用いられて
いる外部電源方式にも適用することができる。
ゼを惹起する電源として皮接によって化学電池が構成さ
れる、いわゆるバイオセルを用いてきた。しかし、本発
明はこれにとどまるものではなく、従来から用いられて
いる外部電源方式にも適用することができる。
【0030】図6に図1のA−A′断面図を示した素子
において、関電極板1および不関電極板4、導線5、さ
らには電極板8,8′をいずれも厚み35μmのステン
レス板で構成した。この素子は、したがって図6で示す
ような電子スイッチを挿入しても皮膚通電はしない。そ
こで、図6の電子スイッチを取りはずし、この個所に経
皮通電用直流電源電池とタイマーを接続する。電源電池
の極性は関電極板1側がプラス、不関電極4側がマイナ
スとなるようにした。さらに、薬剤層を臭化バレタメー
トを約1モル%分散させたポリビニルピロリドンゲル層
とした。素子サイズ、形状を含めてこれ以外は図6に示
した経皮投薬素子と同じにした。
において、関電極板1および不関電極板4、導線5、さ
らには電極板8,8′をいずれも厚み35μmのステン
レス板で構成した。この素子は、したがって図6で示す
ような電子スイッチを挿入しても皮膚通電はしない。そ
こで、図6の電子スイッチを取りはずし、この個所に経
皮通電用直流電源電池とタイマーを接続する。電源電池
の極性は関電極板1側がプラス、不関電極4側がマイナ
スとなるようにした。さらに、薬剤層を臭化バレタメー
トを約1モル%分散させたポリビニルピロリドンゲル層
とした。素子サイズ、形状を含めてこれ以外は図6に示
した経皮投薬素子と同じにした。
【0031】剪毛後脱毛処理した白色ウサギの背部にこ
の経皮投薬素子を装荷し、通電時電極間印加電圧を3
(V)、1時間通電、意時間休止のパターンにタイマー
を設置し、6時間実験を行った。素子の装荷時間が6時
間で、通電時間は3時間であったが、血中から未通電皮
接の場合の5〜6倍のバレタメートイオンが検出され
た。比較のためにタイマーを6時間通電として素子を6
時間装荷した場合(6時間装荷時間中連続通電)、パレ
タメートイオンの血中濃度はタイマー作動3時間通電の
場合より約50%高かった。しかし、不関電極板4の皮
接個所では、著しい皮膚損傷(水泡、発赤、血腫等)が
観測された。なお、前記タイマー作動通電の場合は軽度
の皮膚損傷(発赤等)にとどまった。ただし、多角形電
極のコーナー付近で特に損傷程度が顕著という兆候はみ
られなかった。本実施の形態のように、一般に外部電源
によって皮膚通電を行う場合、バイオセル方式(内部電
源通電)より皮膚損傷が発生しやすい傾向がみられた。
以上述べた実施の形態で用いた被浸透薬剤以外に各種抗
生物質、抗てんかん剤、抗不整脈剤、ホルモン剤、生体
分泌物質などを、本発明の経皮投薬素子によって投与す
ることが可能である。
の経皮投薬素子を装荷し、通電時電極間印加電圧を3
(V)、1時間通電、意時間休止のパターンにタイマー
を設置し、6時間実験を行った。素子の装荷時間が6時
間で、通電時間は3時間であったが、血中から未通電皮
接の場合の5〜6倍のバレタメートイオンが検出され
た。比較のためにタイマーを6時間通電として素子を6
時間装荷した場合(6時間装荷時間中連続通電)、パレ
タメートイオンの血中濃度はタイマー作動3時間通電の
場合より約50%高かった。しかし、不関電極板4の皮
接個所では、著しい皮膚損傷(水泡、発赤、血腫等)が
観測された。なお、前記タイマー作動通電の場合は軽度
の皮膚損傷(発赤等)にとどまった。ただし、多角形電
極のコーナー付近で特に損傷程度が顕著という兆候はみ
られなかった。本実施の形態のように、一般に外部電源
によって皮膚通電を行う場合、バイオセル方式(内部電
源通電)より皮膚損傷が発生しやすい傾向がみられた。
以上述べた実施の形態で用いた被浸透薬剤以外に各種抗
生物質、抗てんかん剤、抗不整脈剤、ホルモン剤、生体
分泌物質などを、本発明の経皮投薬素子によって投与す
ることが可能である。
【0032】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、積
層型ワンシート状ディスポーザブル経皮投薬素子の経皮
吸収効率の促進、再現性の向上、皮膚損傷の低減が同時
に達成される。更に本発明は、皮接時に化学電池を形成
する外部電源不要型素子とも、外部電源使用型素子にも
共に適用可能である。また、非皮接部位において関電極
と不関電極を接続する導線に電子スイッチやタイマーを
接続してパルス通電や通電時間制御を行うことが出来
る。そして、被浸透薬剤としてプラスイオン、マイナス
イオン、中性のいずれのタイプも選択することが出来、
経皮吸収薬の適用範囲は広い。これら薬剤のタイプや種
類にあわせて関電極材料、不関電極材料を金属、半導
体、非金属導電体の広い範囲から選択して用いることが
可能であり、応用範囲は一段と広まった。
層型ワンシート状ディスポーザブル経皮投薬素子の経皮
吸収効率の促進、再現性の向上、皮膚損傷の低減が同時
に達成される。更に本発明は、皮接時に化学電池を形成
する外部電源不要型素子とも、外部電源使用型素子にも
共に適用可能である。また、非皮接部位において関電極
と不関電極を接続する導線に電子スイッチやタイマーを
接続してパルス通電や通電時間制御を行うことが出来
る。そして、被浸透薬剤としてプラスイオン、マイナス
イオン、中性のいずれのタイプも選択することが出来、
経皮吸収薬の適用範囲は広い。これら薬剤のタイプや種
類にあわせて関電極材料、不関電極材料を金属、半導
体、非金属導電体の広い範囲から選択して用いることが
可能であり、応用範囲は一段と広まった。
【図1】実施の形態による積層型経皮投薬素子の構成、
形状を示す図である。図(イ)は、上面図、図(ロ)は
(イ)のA-A′断面図、図(ハ)は(イ)のB−B′
断面図である。
形状を示す図である。図(イ)は、上面図、図(ロ)は
(イ)のA-A′断面図、図(ハ)は(イ)のB−B′
断面図である。
【図2】比較例の積層型経皮投薬素子の形状を示す上面
図である。
図である。
【図3】図1および2の経皮投薬素子を用いた薬剤の経
皮吸収データを示す図である。
皮吸収データを示す図である。
【図4】別の実施の形態における経皮投薬素子の不関電
極形状および導線を示す上面図である。
極形状および導線を示す上面図である。
【図5】図4および図1の経皮投薬素子による薬剤の経
皮吸収データを示す図である。
皮吸収データを示す図である。
【図6】本発明のさらに別の実施の形態における経皮投
薬素子の構成を示す断面図である。
薬素子の構成を示す断面図である。
1 関電極板 2 薬剤層 3 絶縁板 4 不関電極板 5 導線 6 開口部 7 電子スイッチ 8 8,8′電極板
Claims (4)
- 【請求項1】 不関電極板と絶縁板と薬剤層と関電極板
とをこの順序で積層してなり、前記不関電極板と前記絶
縁板とは開口部を有しており、前記薬剤層は少なくとも
被浸透薬剤成分を導電性粘着マトリクスに分散させて成
り、前記不関電極板と前記関電極板とは非皮接部位にお
いて皮膚通電用電源および又は導線等から成る外部回路
を介して電気的に接続されており、所定の生体皮膚部位
に圧着することによって前記不関電極板と前記開口部か
ら露出した前記薬剤層とを空隔を介して同時に皮接し、
皮膚通電を利用して経皮投薬する素子において、前記不
関電極が、前記絶縁板上で複数個に分割され、且つ互い
に電気的に絶縁された形状を有し、分割された該不関電
極板の各々は非皮接部位において前記関電極板と個々の
或いはいくつかをまとめた複数の導線によって前記薬剤
層と非接触状態で電気的に接続されている経皮投薬素
子。 - 【請求項2】 前記不関電極板の前記開口部の形状が、
円弧状もしくは相隣る辺とのなす角度が90度を超える
多角形もしくは相隣る折線角度が90度を越える曲線形
を含むものである請求項1記載の経皮投薬素子。 - 【請求項3】 前記不関電極板および前記関電極板の一
方は、少なくともその皮接面もしくは薬接面が半導体で
構成され、且つ他方は少なくともその薬接面もしくは皮
接面が前記半導体より標準単極電位の高い金属で構成さ
れ、前記外部回路に前記皮膚通電用電源を接続すること
なく皮膚通電が可能な請求項1または2記載の経皮投薬
素子。 - 【請求項4】 前記外部回路に所定の間隔で皮膚通電を
継続できる電子スイッチやタイマー等の電流制御部を付
加したことを特徴とする請求項1乃至3記載の経皮投薬
素子。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8310848A JPH10151208A (ja) | 1996-11-21 | 1996-11-21 | 経皮投薬素子 |
US08/824,653 US5944685A (en) | 1996-02-09 | 1997-03-24 | Skin-contact type medical treatment apparatus |
EP97302001A EP0845281A3 (en) | 1996-11-21 | 1997-03-24 | Transdermal drug delivery device |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8310848A JPH10151208A (ja) | 1996-11-21 | 1996-11-21 | 経皮投薬素子 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10151208A true JPH10151208A (ja) | 1998-06-09 |
Family
ID=18010126
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8310848A Pending JPH10151208A (ja) | 1996-02-09 | 1996-11-21 | 経皮投薬素子 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
EP (1) | EP0845281A3 (ja) |
JP (1) | JPH10151208A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022085697A1 (ja) * | 2020-10-21 | 2022-04-28 | トライポッド・デザイン株式会社 | 装置及び通電方法 |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104220630B (zh) | 2012-02-23 | 2017-03-08 | 特来德斯通技术公司 | 耐腐蚀且导电的金属表面 |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CH613087B (de) * | 1978-05-10 | Bulova Watch Co Inc | Thermoelektrische armbanduhr. | |
JP2797118B2 (ja) * | 1989-06-15 | 1998-09-17 | 株式会社ポリトロニクス | 経皮投薬用素子 |
DE4014913C2 (de) * | 1990-05-10 | 1996-05-15 | Lohmann Therapie Syst Lts | Miniaturisiertes transdermales therapeutisches System für die Iontophorese |
GB2265088B (en) * | 1992-03-10 | 1996-02-07 | Kyosti Eero Antero Kontturi | Electrochemical device for drug delivery |
US5380272A (en) * | 1993-01-28 | 1995-01-10 | Scientific Innovations Ltd. | Transcutaneous drug delivery applicator |
-
1996
- 1996-11-21 JP JP8310848A patent/JPH10151208A/ja active Pending
-
1997
- 1997-03-24 EP EP97302001A patent/EP0845281A3/en not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022085697A1 (ja) * | 2020-10-21 | 2022-04-28 | トライポッド・デザイン株式会社 | 装置及び通電方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
EP0845281A2 (en) | 1998-06-03 |
EP0845281A3 (en) | 1999-12-01 |
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