JPH10146735A - 工作機械のパレット交換装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 治具の配管，配線を配索する場合の配置スペ
ースを縮小できるとともに、コストを低減できる工作機
械のパレット交換装置を提供する。 【解決手段】 被加工物が載置されるパレットＡ上にク
ランプ治具２０を配置し、該治具２０に駆動用流体，電
源を供給するホース２１ａ，ケーブル２１ｂ（配管，配
線）を接続し、上記パレットＡを本機の加工テーブル４
と段取りステーション１６との間で移送を行うようにし
た工作機械１のパレット交換装置１５において、上記ホ
ース２１ａ，ケーブル２１ｂを上記加工テーブル４の上
方に配索するとともに、懸架部材２６により支持する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、被加工物が載置さ
れたパレットを加工テーブルと段取りステーションとの
間で自動交換するするようにした工作機械のパレット交
換装置に関し、詳細には上記パレットに配置されるクラ
ンプ治具，あるいは工具長測定器具等のアタッチメント
への配管，配線の配索構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】例えば、立形マシニングセンタ等の工作
機械においては、生産性，作業性の向上を図るために加
工済みワークと加工前ワークとをパレットを介して自動
交換するパレット交換装置を備える場合がある。またワ
ークの多面加工や連続加工を効率よく行うために上記パ
レットに割出等を行うインデックステーブル，ロータリ
テーブル等のアタッチメントを配置する場合がある。

【０００３】この種のアタッチメントを配置する場合、
ワークを把持するための作動流体用配管や割出を行うモ
ータへの電源供給用配線が加工中のワークや工具，ある
いはカバーの開口を開閉するシャッタ等に干渉しないよ
うに配索する必要がある。このようなパレット交換装置
として、従来、例えば特公平７−１１２６５７号公報に
は、左, 右支柱と該支柱間に架け渡して接続された横柱
からなる門枠をパレット交換装置の上方に架設し、上記
横柱にロッドレスシリンダを取付けるとともに、該シリ
ンダのピストンに接続された中継ダクトを介して上記配
管，配線を懸架支持した構造のものが提案されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが上記従来公報
のパレット交換装置では、上記門枠が強度の高い大掛か
りなものとなるとともに配置スペースが大きくなり、コ
ストが上昇するという問題がある。また上記従来構造を
既存のパレット交換装置に適用する場合には、段取りス
テーション側及び本機側を大幅に改造する必要があり、
この点からもコストが上昇するという問題がある。

【０００５】本発明は上記従来の状況に鑑みてなされた
もので、配管，配線を配索する場合の構造を簡素化で
き、コストの上昇を抑制できる工作機械のパレット交換
装置を提供することを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】請求項１の発明は、被加
工物が載置されるパレット上にワーク固定治具，計測器
具等のアタッチメントを配置し、該アタッチメントに作
動流体，電源を供給する、もしくは該アタッチメントか
らの信号を制御装置へ伝達する配管，配線等の可撓性条
体を接続し、上記パレットを本機の加工テーブルと段取
りステーションとの間で移送するようにした工作機械の
パレット交換装置において、上記可撓性条体を、上記パ
レットが段取りステーション側での待機状態と本機側で
の加工状態との間で移動可能の長さに設定するとともに
上記本機の加工テーブルの上方に配置された懸架部材に
より懸架支持したことを特徴としている。

【０００７】請求項２の発明は、請求項１において、上
記本機側の加工領域と段取りステーションとを仕切るカ
バーを配設し、該カバーにパレット移送用開口を形成
し、該開口を開閉するシャッタを配設し、該シャッタの
下側縁部に切り欠き部を形成し、上記パレットが上記段
取りステーション側に位置するとき上記可撓性条体が上
記切り欠き部を挿通していることを特徴としている。

【０００８】請求項３の発明は、請求項１又は２におい
て、上記懸架部材を上記パレットの移送に連動してかつ
移送方向に移動させる移動機構を設けたことを特徴とし
ている。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面に基づいて説明する。図１ないし図４は、本発明の
一実施形態による工作機械のパレット交換装置を説明す
るための図であり、図１，図２はパレット交換装置が配
設された立形マシニングセンタの正面図，側面図、図
３，図４はパレット交換装置の動作を示す概略図であ
る。

【００１０】図において、１は立形マシニングセンタで
あり、これはベッド２の上面にサドル３をＹ軸方向（図
１紙面垂直方向）に移動可能に配設し、該サドル３の上
面に加工テーブル４をＸ軸方向（図１左右方向）に移動
可能に配設し、上記ベッド２にコラム５を立設するとと
もに該コラム５の前面に主軸頭６をＺ軸方向（図１上下
方向）に移動可能に配設して構成されている。この主軸
頭６の下端部には不図示のモータにより回転駆動される
主軸７が装着されており、該主軸７に装着された工具
（不図示）により上記加工テーブル４上のパレットに載
置されたワークの加工を行うものである。

【００１１】上記マシニングセンタ１の加工領域の周囲
は切削油，切削粉の飛散を防止する全面カバー１０によ
り囲まれている。この全面カバー１０は前面部１０ａ、
左，右側面部１０ｂ，１０ｂ′及び天井部１０ｃとから
なる。この前面部１０ａの主軸７に臨む部分には作業用
開口１０ｅが形成されており、該開口１０ｅは左右に移
動可能に配設されたスライド式ドア１１により開閉可能
となっている。

【００１２】上記マシニングセンタ１の図１右側にパレ
ット交換装置１５が配設されている。このパレット交換
装置１５は装置本体１５ａの上面に設けられた段取りス
テーション１６上のパレットＡと上記加工テーブル４上
のパレットＢとを自動的に交換するものである。

【００１３】上記全面カバー１０の右側面部１０ｂ′に
は上記パレットＡ，Ｂが挿通可能な大きさのパレット移
送用開口１７が形成されており、該開口１７は昇降可能
に配設されたシャッタ１８により開閉可能となってい
る。このシャッタ１８は不図示の昇降機構により上下方
向に昇降駆動される。

【００１４】上記パレットＡにはクランプ治具２０が配
置固定されている。このクランプ治具２０はワークを空
気圧又は油圧により把持するチャック２０ａと、該ワー
クを所定の割出し角度に回転駆動するモータ（不図示）
とを備えており、このクランプ治具２０にはチャック２
０ａに空気圧又は油圧を供給するホース（配管）２１
ａ，及び上記モータに電源を供給するケーブル（配線）
２１ｂ等の可撓性条体２１が接続されている。なお、上
記パレットＢはクランプ治具２０は備えておらず、ワー
クは不図示の固定ボルト等によって該パレットＢ上に位
置決め固定される。

【００１５】また上記パレットＡの手前側前縁部には該
縁部に沿って延びる角筒状のダクト２３がブラケット２
４を介してボルト締め固定されており、該ダクト２３内
に上記ホース２１ａ，ケーブル２１ｂが挿通されてい
る。閉位置に位置する上記シャッタ１８の、上記ダクト
２３の前端に対向する部分には切り欠き部１８ａが形成
されており、該切り欠き部１８ａと開口１７とで形成さ
れる孔内を上記ダクト２３が挿通している。

【００１６】上記ホース２１ａ，ケーブル２１ｂは、上
記パレットＡが段取りステーション側の待機位置と加工
領域との間に自由に移動可能の長さに設定されている。
そして上記ホース２１ａ等は上記切り欠き部１８ａを通
って全面カバー１０の前面部１０ａから天井部１０ｃに
沿って配索されており、その延長端は中継器２２からコ
ラム５を介して不図示の供給源に接続されている。

【００１７】上記全面カバー１０の天井部１０ｃの内面
の手前側縁部には移動機構としてのロッドレスシリンダ
２５が配設されており、該シリンダ２５は不図示のシリ
ンダカバーにより覆われている。このロッドレスシリン
ダ２５はシリンダ本体２５ａ内に圧縮空気により軸方向
に摺動するピストン（不図示）を挿入配置した構造のも
ので、該ピストンにはリングベース２６ａを介して懸架
部材としてのホイストリング２６が垂直軸回りに３６０
°回転可能に連結されている。

【００１８】そして上記ホース２１ａ，ケーブル２１ｂ
は上記ホイストリング２６内を挿通し、該ホイストリン
グ２６により上記加工テーブル４上方に配索支持されて
いる。上記ロッドレスシリンダ２５はパレットＡの移送
に連動してかつ移送方向にホイストリング２６を移動さ
せるように構成されている。

【００１９】次に本実施形態の作用効果について説明す
る。本実施形態のマシニングセンタ１は、加工テーブル
４上にセットされたパレットＢ上のワークを、制御装置
に予め入力された加工プログラムに従って加工する。そ
してオペレータが上記パレットＢ上のワークの加工中に
段取りステーション１６上のパレットＡのクランプ治具
２０に未加工のワークをセットする。

【００２０】上記パレットＢ上のワークの加工が終了す
ると、加工テーブル４が段取りステーション１６側の上
記パレットＢの移送交換位置に移動するとともに、シャ
ッタ１８が開く。そして不図示の交換機構により上記パ
レットＢが段取りステーション１６側に移送され、次に
加工テーブル４がパレットＡの移送位置に移動し、パレ
ットＡが加工テーブル４側に移送されることとなる。ま
たこのとき上記ロッドレスシリンダ２５が上記パレット
Ａの移送に連動してホイストリング２６を移動させ、ホ
ース２１ａ，ケーブル２１ｂを案内する。

【００２１】本実施形態によれば、全面カバー１０の天
井部１０ｃに配置されたロッドレスシリンダ２５にホイ
ストリング２６を連結し，該ホイストリング２６により
クランプ治具２０のホース２１ａ，ケーブル２１ｂを懸
架支持して加工テーブル４の上方に配索したので、加工
中のワーク，工具に干渉することなく本機側の空きスペ
ースを有効利用してホース２１ａ，ケーブル２１ｂを配
索することができる。その結果、パレット交換装置１５
周りのスペースを充分に確保でき、オペレータが作業を
容易に行うことができる。

【００２２】また高強度の骨組部材を不要にできること
から、大幅にコストを低減できる。また全面カバー１０
にロッドレスシリンダ２５，ホイストリング２６を配置
するだけの簡単な構造であるから、既存の装置に適用す
る場合でも本機側の改造を最小限に済ませることがで
き、また交換装置１５側の改造は不要であり、この点か
らもコストを低減できる。

【００２３】本実施形態では、シャッタ１８の下縁に切
り欠き部１８ａを形成し、該切り欠き部１８ａに上記ダ
クト２３を挿通したので、パレットＡを移送交換する際
及び段取りステーション１６にパレットＡを待機させて
いる場合に、シャッタ１８とホース２１ａ等とが干渉す
るのを回避できる。

【００２４】また本実施形態では、パレット交換時に天
井部に設けたホイストリング２６を上記パレットＡの移
動に連動して同じ方向に移動させるようにしたので、パ
レットＡが加工テーブル４とともに移動する場合及び段
取りステーション１６側に位置している場合に、ホース
２１ａ等がワーク等に干渉するのを防止できる。

【００２５】なお、上記実施形態では、パレットＡのみ
にクランプ治具２０を配置した場合を説明したが、本発
明は図５に示すように、パレットＡ，Ｂの両方にクラン
プ治具２０を配置する場合も勿論適用可能である。この
場合、ロッドレスシリンダ２５を２列平行に配置し、ま
たシャッタ１８にもパレットＡ，Ｂの両方のクランプ治
具２０への配線，配管用の切り欠き部を形成することと
なる。

【００２６】また上記実施形態ではクランプ治具２０を
備えた場合を説明したが、本発明は、これに限られるも
のではない。例えば、図６に示すように、パレット上に
工具長自動測定治具３０を配置する場合にも適用でき
る。これは、パレットＡ上に固定された工具長測定治具
３０のセンサ３０ａに工具３１を当接させて工具長を測
定するもので、該センサ３０ａに接続された配線３０ｂ
を上述のように配索することとなる。また本発明は、上
記工具長測定治具の他に、例えば工具折損検出装置等に
も適用できる。

【００２７】

【発明の効果】以上のように請求項１の発明に係る工作
機械のパレット交換装置によれば、アタッチメントに接
続された可撓性条体をパレットが待機位置から加工位置
まで移動可能の長さとし、かつ該可撓性条体を加工テー
ブルの上方に配索するとともに、懸架部材により支持し
たので、被加工物や工具に干渉することなく空きスペー
スを有効利用して配索することができ、作業スペースを
確保できるとともに、コストを低減できる効果がある。

【００２８】また本機側に懸架部材を配設するだけで済
むので、既設の装置に適用する場合に、交換装置側の改
造を不要にでき、かつ本機側の改造を最小限に抑えるこ
とができ、この点からもコストを低減できる効果があ
る。

【００２９】請求項２の発明では、本機側に配設された
カバーにパレット移送用開口を形成するとともにシャッ
タを開閉可能に配設し、該シャッタに可撓性条体が挿通
される切り欠き部を形成したので、パレットを移送交換
する際，及び段取りステーションにパレットを待機させ
る際の干渉を回避できる効果がある。

【００３０】請求項３の発明では、上記懸架部材をパレ
ットの移送に連動してかつ移動方向に移動させるように
したので、可撓性条体の被加工物等への干渉をより一層
確実に回避できる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態による工作機械のパレット
交換装置を説明するための正面図である。

【図２】上記工作機械の側面図である。

【図３】上記パレット交換装置の動作を示す概略構成図
である。

【図４】上記パレット交換装置の動作を示す概略構成図
である。

【図５】上記実施形態の変形例を示す図である。

【図６】本発明の他の実施形態をを示す概略図である。

【符号の説明】

１ 立形マシニングセンタ（工作機械） ４ 加工テーブル １０ カバー １５ パレット交換装置 １６ 段取りステーション １７ パレット移送用開口 １８ シャッタ １８ａ 切り欠き部 ２０ クランプ治具 ２１ａ，２１ｂ ホース，ケーブル（配管，配線） ２５ ロッドレスシリンダ（移動機構） ２６ ホイストリング（懸架部材）

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 被加工物が載置されるパレット上にワー
   ク固定治具，計測器具等のアタッチメントを配置し、該
   アタッチメントに作動流体，電源を供給する、もしくは
   該アタッチメントからの信号を制御装置へ伝達する配
   管，配線等の可撓性条体を接続し、上記パレットを本機
   の加工テーブルと段取りステーションとの間で移送する
   ようにした工作機械のパレット交換装置において、上記
   可撓性条体を、上記パレットが段取りステーション側で
   の待機状態と本機側での加工状態との間で移動可能の長
   さに設定するとともに上記本機の加工テーブルの上方に
   配置された懸架部材により懸架支持したことを特徴とす
   る工作機械のパレット交換装置。
2. 【請求項２】 請求項１において、上記本機側の加工領
   域と段取りステーションとを仕切るカバーを配設し、該
   カバーにパレット移送用開口を形成し、該開口を開閉す
   るシャッタを配設し、該シャッタの下側縁部に切り欠き
   部を形成し、上記パレットが上記段取りステーション側
   に位置するとき上記可撓性条体が上記切り欠き部を挿通
   していることを特徴とする工作機械のパレット交換装
   置。
3. 【請求項３】 請求項１又は２において、上記懸架部材
   を上記パレットの移送に連動してかつ移送方向に移動さ
   せる移動機構を設けたことを特徴とする工作機械のパレ
   ット交換装置。