JPH10146587A - 電気分解用複合電極及びその製造方法 - Google Patents

電気分解用複合電極及びその製造方法

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JPH10146587A
JPH10146587A JP632297A JP632297A JPH10146587A JP H10146587 A JPH10146587 A JP H10146587A JP 632297 A JP632297 A JP 632297A JP 632297 A JP632297 A JP 632297A JP H10146587 A JPH10146587 A JP H10146587A
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diaphragm
conductive
layer
electrolysis
electrode
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Yoichi Sano
洋一 佐野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】電力効率がよく、且つ曲げ加工しやすい電気分
解用複合電極及びその製造方法を提供する。 【解決手段】シート状隔膜2の片面又は両面に、空白部
2’を有し且つ連続する模様の非導電性塗膜層を設け、
該塗膜層の表面に導電層を設けて形成させた電極層3、
3’を有する電気分解用複合電極である。上記導電層の
上に電気メッキ層、特に白金族金属電気メッキ層を形成
させるのが好ましい。この電気分解用複合電極は、シー
ト状隔膜の表面に非導電性塗膜層を印刷などで形成さ
せ、該塗膜層表面に化学メッキ、金属粉や金属箔の固
着、金属蒸着、或いは導電性合成樹脂等の導電材料の塗
布などの方法で導電層を形成させ、その後必要に応じて
電気メッキを施して製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、隔膜と電極とが一
体になった電極(複合電極)及びその製造方法に関す
る。この複合電極は、水および電解質を含む水溶液の電
気分解に好適であり、特に酸性イオン水及びアルカリイ
オン水の製造、更には酸素ガス及び水素ガスの製造に好
適である。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】水の電
気分解によって酸性イオン水およびアルカリイオン水が
生成することは従来から知られている。そして、近年こ
の現象を利用して、健康用飲料水などとしてのアルカリ
イオン水を製造すること、或いは殺菌水などとしての酸
性イオン水を製造することに関して種々の方法、装置が
提案されている(特公平4−28439号公報、特公平
4−57394号公報、特開平6−47376号公報、
特開平6−55173号公報、特開平6−246268
号公報)。これらの従来の水の電気分解には、電解槽中
に陰極と陽極とを一定の間隔を置いて対面させて配置
し、この陰極と陽極の中間に隔膜を配置した電気分解装
置が用いられていた。
【0003】上記構成の従来の電気分解装置を用いて水
の電気分解を行うに当り、電気分解の反応効率を高める
には、陰極と陽極の間隔をできるだけ狭く配置するのが
有効である。ところで、電気分解は隔膜を挟んで対向す
る陰陽両電極面で起こるので、酸性イオンおよびアルカ
リ性イオンを含む溶液やガスは、隔膜と各電極との狭い
間隙に生成する。対象とする水および電解質を含む水溶
液が効率的に電気分解されるためには、生成したイオン
を含む溶液を適当に拡散させる必要があるし、発生した
ガスを放散させる必要がある。従って、両電極と隔膜は
上記の必要条件を満足させながら、狭い間隔に適切に保
持する必要があり、そのため該電気分解装置は構造が複
雑になるという問題点があった。
【0004】本発明者は、先に、上記の問題点を解消す
るために、陰電極と陽電極とを対面させず、各々の電極
が外側すなわち互いに背面を向くようにし、そして対面
する側は非導電材料となし、その中間に隔膜を配置させ
る構成にすることによって、電気分解反応を背面の電極
面で起こさせ、イオンおよびガスを生成させ、溶液中に
存在するイオンが反対極側に移動するのを抑制し、溶液
中のイオン濃度を高め得るようにした水電気分解用電極
を提案した。すなわち、表側は金属性等の導電性材料か
らなる面、裏側はプラスチック等の非導電性材料からな
る面であり、且つ多数の貫通する孔を有する電極板の2
枚を、それぞれの非導電性材料面が向い合わせになるよ
うに配置し、その中間に隔膜を配置してなる水電気分解
用電極を提案した(特願平8−10737号)。
【0005】本発明は、上記で提案した電極、すなわ
ち、表側は導電性材料からなる面、裏側は非導電性材料
からなる面であり、且つ多数の貫通する孔を有する電極
板の2枚を、それぞれの非導電性材料面が向い合わせに
なるように配置し、その中間に隔膜を配置して三者を一
体化した構造の電気分解用複合電極について、簡単且つ
容易に曲げ加工することができる電気分解用複合電極を
提供すること及びその製造方法を提供することを目的と
する。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、シー
ト状隔膜の片面又は両面に、空白部を有し且つ連続する
模様の非導電性塗膜層が設けられ、該塗膜層の表面に導
電層が形成されていることを特徴とする電気分解用複合
電極である。また、シート状隔膜の片面に、空白部を有
し且つ連続する模様の非導電性塗膜層を設け、該塗膜層
の表面に導電層を形成させた電極シートの2枚を、その
隔膜面同士を向い合せその間に第三の隔膜を介在させて
一体となしたことを特徴とする電気分解用複合電極であ
る。また、本発明において、上記の導電層の表面に白金
族金属メッキ層を形成させてもよい。この白金族金属メ
ッキ層を設けることにより、電極の寿命を長くすること
ができ、また電極から溶出する不純物を少なくすること
ができる。
【0007】本発明の電気分解用複合電極は、例えば、
化学メッキされにくくしたシート状隔膜の片面又は両面
に、非導電性で且つ化学メッキ可能な物質を用いて空白
部を有し且つ連続する模様に塗膜層を設け、次いで化学
メッキを施して上記塗膜層の表面に導電層を設け、その
後必要に応じて電気メッキにより該導電層の表面に白金
族金属メッキ層を設けることによって製造できる。ま
た、シート状隔膜の片面又は両面に、空白部を有し且つ
連続する模様の非導電性合成樹脂塗膜層を設け、次いで
該塗膜層の表面に金属粉末又は金属箔を固着させて導電
層を形成し、その後必要に応じ該導電層表面に電気メッ
キにより白金族金属メッキ層を設けることによって製造
できる。また、空白部を有し且つ連続する導電性材料
を、シート状隔膜の片面又は両面に非導電性接着剤を用
いて貼着し、次いで必要に応じ該導電材料表面に電気メ
ッキにより白金族金属メッキ層を設けて製造できる。
【0008】
【発明の実施の形態】図1は、この電気分解用複合電極
の一例を示した斜視図である。(1)は本発明の電気分
解用複合電極である。(2)はシート状隔膜であり、
(3)はシート状隔膜(2)の片面に設けた電極層であ
り、(3’)はシート状隔膜(2)の他の面に設けた電
極層である。これらの電極層(3)及び(3’)は、空
白部(2’)を有し且つ連続した模様になっている。こ
の空白部(2’)はシート状隔膜の地の部分であり、電
気分解時に隔膜の作用をなす。
【0009】図2は図1のA−A線の断面の一部分を拡
大し模式的に表わした断面図である。図2において
(3)、(3’)は電極層である。この電極層(3)
は、非導電性塗膜層(4)及び導電層(5)で構成され
ている。また電極層(3’)は、非導電性塗膜層
(4’)及び導電層(5’)で構成されている。図3は
図2における複合電極の導電層(5)、(5’)の表面
に、更に白金族金属メッキ層(6)、(6’)を形成さ
せた場合の複合電極の例を示した断面図である。このよ
うに白金族金属メッキ層を設けることにより、電極の寿
命を長くすることができ、また電極から溶出する不純物
を少なくすることができる。電気分解に用いる場合に
は、この連続する電極層(3)及び(3’)が陽極又は
陰極となる。この例ではシート状隔膜(2)の両面に電
極層を設けたが、電極層は片面のみに設けてもよい。
【0010】本発明におけるシート状隔膜は、通常使用
されているポリ弗化ビニル系繊維、アスベスト、グラス
ウール、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊
維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリエチレン繊
維、芳香族ポリアミド繊維等の不織布、紙、イオン交換
樹脂膜等であり、例えば、骨材にポリエステル繊維、ナ
イロン繊維、ポリエチレン繊維などの不織布、或いはポ
リエチレンスクリーンを用い、膜材質に塩素化ポリエチ
レン、ポリ塩化ビニル、或いはポリフッ化ビニリディン
と酸化チタンの混合物などを用いて作成したものであ
る。シート状隔膜の厚さは0.05〜1mmが好まし
い。このシート状隔膜の片面又は両面に形成させる非導
電性塗膜層は、ABS樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ
系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ
プロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポ
リアミド樹脂、塩化ビニール樹脂、天然ゴム、SBR、
クロロプレンゴム等の非導電性の塗膜層である。この塗
膜層に化学メッキによって導電層を形成する場合には、
この塗膜層の素材に化学メッキ可能な材料を用いる。非
導電性塗膜層は主に絶縁のために設ける層であり、この
塗膜層は上記非導電性材料を溶剤に溶解したり、分散液
にしたり、粉末にして付着させることにより形成する。
【0011】この非導電性材料の塗布に際しては、図1
に示すように空白部(2’)を設け、且つ塗布部分が連
続するように塗布する。空白部(2’)は電気分解に寄
与する電極面全体に配置する。この空白部(2’)全体
の合計面積の電極全面に対する割合(開口率)は10〜
90%であり、好ましくは30〜70%が適当である。
この空白部(2’)は電気分解時に隔膜の役割をなし、
またこの空白部(2’)の大きさ、開口率は、電気分解
の電力効率に影響する。上記の条件を満たすような塗布
は、上記の条件を満たすような模様を形どった型紙を用
いる塗布、上記の条件を満たすような模様を設けたグラ
ビアロールを用いる塗布などで行うことができる。ま
た、ゼログラフィーなどによる印刷法(コピー法)によ
って模様を設けてもよい。この非導電性材料の塗布はシ
ート状隔膜の片面のみでも、両面に施してもよい。シー
ト状隔膜の両面に施す場合は、両面の空白部が一致する
ように塗布するのが好ましい。また、上記の例では空白
部が六角形のものを示したが、これは円形でも、四角形
でもよい。
【0012】本発明では上記の非導電性塗膜層の表面に
導電層を形成させる。この導電層の形成は化学メッキ
(無電解メッキ)、金属粉や金属箔の固着、金属蒸着、
或いは導電性合成樹脂等の導電材料の塗布など種々の方
法で行うことができる。更に、その上に電気メッキを施
して導電性メッキ層を形成させ、より堅固な導電層にし
てもよい。
【0013】まず化学メッキで導電層を形成する方法に
ついて説明する。化学メッキで導電層を設けるには銅や
ニッケルの化学メッキが好ましく用いられる。この化学
メッキ自体は既知の種々の方法が使用できる。この化学
メッキは、空白部を有し且つ連続する模様の非導電性塗
膜層を片面又は両面に設けたシート状隔膜を、例えば、
硫酸ニッケル、塩化ニッケルなどのニッケル塩溶液に還
元剤として次亜リン酸ナトリウムを加えた溶液に浸漬す
ることによって行う。このとき、シート状隔膜全体をメ
ッキ浴に浸漬するから、非導電性塗膜層のみならず、シ
ート状隔膜の空白部をも化学メッキされることがある。
このように空白部も化学メッキされた場合には、シート
状隔膜全面が導電性になり、本発明の初期の目的が達せ
られなくなる。そのために、上記の空白部には化学メッ
キがなされにくくしておく必要がある。これには、シー
ト状隔膜として化学メッキされにくい隔膜を使用すると
よい。この化学メッキされにくいシート状隔膜は、例え
ばポリフッ化ビニル系繊維などのように化学メッキされ
にくい素材で作成した隔膜、或いはシート状隔膜を撥水
剤などで処理して化学メッキされにくくした隔膜であ
る。しかして、撥水剤の存在が上記の隔膜の空白部の親
水性を低下させ電気分解操作に支障を生じるような場合
は、化学メッキ後或いは後述の電気メッキ後にシート状
隔膜全体を例えばエタノール等のアルコールで処理する
などして空白部の撥水性を除いてもよい。
【0014】次に、非導電性塗膜層の表面に金属粉や金
属箔を固着させて導電層を形成させる方法について説明
する。この方法では、例えばエポキシ樹脂などの熱硬化
性樹脂を非導電性塗膜層の素材に用い、塗布した樹脂が
硬化する前にその表面に金属粉末や金属箔を散布し、接
着させ、その後硬化処理して非導電性塗膜層の表面に導
電層を形成させる。また、非導電性塗膜層の素材にポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル
などの熱で溶融する合成樹脂を用い、塗布後加熱によっ
て合成樹脂塗膜表面を溶融させ、これに金属粉末や金属
箔を散布し、冷却固化して非導電性塗膜層の表面に導電
層を形成させてもよい。また、合成樹脂の溶剤溶液で塗
膜を設け、この表面に金属粉末や金属箔を散布し、その
後溶剤を揮散させ固化させてもよい。更に非導電性塗膜
層の表面に導電性の塗料を塗布して該表面に導電層を形
成させてもよい。金属粉末や金属箔の素材には金、白
金、銅、ニッケル、錫、鉛など導電性の良好な金属を用
いる。また、シート状隔膜の片面又は両面に空白部を有
し且つ連続する模様の非導電性塗膜層を設け、次いで合
成樹脂フィルムなどでマスキングし塗膜層のみを露出さ
せて金属蒸着し、非導電性塗膜層の表面に導電層を形成
させてもよい。
【0015】更に次のようにして導電層を形成させても
よい。例えば金、白金、銅、ニッケル、錫、鉛など導電
性材料の針金、又はこれらの針金を編織したネット状
物、或いは金、白金、銅、ニッケル、錫、鉛などの導電
性材料の箔や板に多数の孔を設けたネット状物の片面
に、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系
樹脂、ゴム系樹脂などの非導電性接着剤を塗布して接着
剤塗膜層を形成し、この接着剤塗膜層を利用してネット
状物をシート状隔膜の片面又は両面に接着させる。針金
を用いる場合には、針金を蛇行状又は螺旋状などに配置
する。ここにおいて、接着剤塗膜層が上記非導電性塗膜
層に相当し、導電性材料が上記導電層に相当する。すな
わち、この方法によっても、シート状隔膜の片面又は両
面に、空白部を有し且つ連続する模様の非導電性塗膜層
が設けられ、該塗膜層の表面に導電層が設けられた形態
にすることができる。円筒状に成形したシート状隔膜に
導電層を形成するときには、片面に接着剤を塗布した針
金を螺旋状に連続して捲回させてもよい。
【0016】上記の如くしてシート状隔膜の片面又は両
面に設けた空白部を有し且つ連続する模様の非導電性塗
膜層の表面に導電層を設けたものはそのままで電気分解
用複合電極として用いられるが、優れた電極を得るに
は、この導電層の上に電気メッキによって導電性メッキ
層を形成させるのが好ましい。上記の隔膜の表面に設け
られた導電層は連続しているので、通常の電気メッキ法
によって、導電層の上に金属メッキ層を設けることがで
きる。すなわち例えば、塩化白金とリン酸塩からなる浴
を用い、不溶性の白金又は黒鉛を陽極とし、上記処理し
たシート状隔膜を陰極として電気メッキを行うことによ
って白金のメッキ層を形成することができる。シート状
隔膜には連続した導電層が形成されているので、円滑に
電気メッキ層を形成させることができる。電気メッキに
用いる金属は白金族金属が好ましい。すなわち、白金族
金属メッキ層を設けることにより、電極の寿命を長くす
ることができ、また電極から溶出する不純物を少なくす
ることができる。電極の使用期間が短くてよい場合や電
極から金属イオン等の不純物が溶出してもよい場合に
は、白金族金属以外の金属、例えば銅、ニッケル、錫、
鉛などを電気メッキしてもよい。白金族金属としては、
白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウ
ム、イリジウムが用いられる。
【0017】本発明の電気分解複合電極はシート状隔膜
の上に非導電性塗布膜を設け、その表面に導電層を形成
し、この導電層の表面に電気メッキ層を設けたものであ
り、いずれの素材も可撓性を有するから、図1に示すよ
うに簡単に丸めることができ、また曲げたり、切断した
りする機械的加工が容易にできる。例えば図6の如く、
本発明の電気分解複合電極(1)を折り曲げて使用する
ことができる。この状態で、一方の電極板を陽極とし、
他方の電極板を陰極として通電して水の電気分解を行
う。
【0018】電気分解複合電極(1)の内側の電極を陽
極とし、その外側の電極を陰極として電圧を印加したと
きには、電極面で電離した水又は電解質との間で電子の
移動が起こり、電気分解複合電極(1)内の水中には水
素イオン、ヒドロニウムイオン等が生成し水は酸性を呈
する。一方、電気分解複合電極(1)の外の水中では水
素ガスが発生すると共に水酸イオンが生成し水はアルカ
リ性を呈する。図6の如く、電気分解複合電極(1)に
多数の屈曲を与えら場合には、水との接触面積が極めて
大きくなるので、水の電気分解が効率よく行える。
【0019】本発明において、シート状隔膜の片面にの
み電極層を設けた複合電極は次のように使用する。図4
はこの片面にのみ電極層を設けた電極を使用して製造し
た複合電極の一例で、断面図を示す。図4において、2
1、21’はシート状隔膜、24、24’は非導電性塗
膜層、22、22’は導電層、23、23’は白金族金
属メッキ層である。3、3’は電極層を表わす。これら
の隔膜、非導電性塗膜層、導電層、白金族金属メッキ層
の素材、形状、構造などは上記した電気分解用複合電極
の場合と同じである。25は第三の隔膜である。この複
合電極は次の如くして製造する。すなわち、シート状隔
膜21の片面に非導電性層24、その表面に導電層2
2、更にその表面に白金族金属メッキ層23を設ける。
また、シート状隔膜21’の片面に非導電性層24’、
その表面に導電層22’、更にその表面に白金族金属メ
ッキ層23’を設ける。そして、この2枚の電極板の隔
膜側同士を向い合わせ、その間に第三の隔膜25を介在
させて、三者を一体化して製造する。
【0020】上記の第三の隔膜の使用について説明す
る。前述の複合電極のシート状隔膜21、21’には、
通常透水性がよく電気抵抗の少ない隔膜が用いられる
が、この第三の隔膜25を介在させ、この第三の隔膜2
5として本来目的とする性能をもつ隔膜を採用すること
によって、所望とする電気分解を行うことができる。例
えば、通常の目の粗いシート状隔膜(電気抵抗が少な
く、透水率が大きい)の片面に上記の如くして導電層を
設けて複合電極を作り、その中間に所望の目開きの第三
の隔膜25を配置して一体にすると、所望の目開きの隔
膜を用いた電気分解用複合電極を容易に作成できる。
【0021】また、用途に応じて第三の隔膜25として
は、セロハン等の半透膜、イオン交換膜、活性炭フィラ
メントで構成したシートなども使用できる。第三の隔膜
としてセロハン等の半透膜を使用すると、電気分解時に
おける、電流の流れに乗って溶液が移動する輸液現象を
抑えることが出来るので、超純水を電気分解して洗浄力
の強いアルカリ又は酸性のイオン水を製造する場合、或
いはイオン濃度の高い水を製造する場合に適している。
また、第三の隔膜としてイオン交換膜を使用すると、高
純度の苛性ソーダの製造や海水の淡水化などに好適であ
る。更に第三の隔膜として活性炭フィラメントで構成し
たシートを使用すると、活性炭の吸着力によって脱塩素
や不純物の除去ができる。
【0022】
【本発明の作用及び効果】本発明の電気分解用複合電極
は、隔膜と電極とが一体となっており、シート状であ
り、曲げ加工が容易にできる。そのため、種々の形状の
電極とすることができ、能率的な電気分解装置を作成す
ることができる。また、大きい面積のシート状電極を折
り曲げ加工して取り扱い易くすることができる。
【0023】また、本発明の電気分解用複合電極は、従
来の電気分解装置とは異なり陰極と陽極とは対面せず、
各々が外側すなわち背面を向き、対面する側は非導電性
塗膜層であり、その中間に隔膜を配置させた構造である
ために、電気分解反応は背面の電極層面で起きてイオン
およびガスを生成する。この時、電流は各々の空白部の
隔膜を通じて各々の背面の電極層面との間を流れるため
に、電位勾配は空白部と隔膜の間に存在する溶液中にだ
け存在し、それぞれの背面電極側の溶液中には存在しな
い。したがって、それぞれの電極層面で生成した陰イオ
ン、陽イオンは濃度勾配及び対流により電極より遠ざか
る方向に移動するが、電位勾配により対極する電極へ引
かれて移動する力が弱いので、陰イオン及び陽イオンが
混合しにくい。すなわち、生成したイオンは濃度勾配や
対流で当該電極から遠ざかる方向に拡散し、一部電極板
の空白部に存在するイオンだけが電位勾配により対極に
移動する。そのため、溶液中に存在するイオンの対極側
への移動現象が減少し、生成した陰イオンおよび陽イオ
ンが各々の生成した極側の溶液中で濃度を高められ、効
率良く酸性及びアルカリ性のイオン水を製造することが
できる。
【0024】電気分解時に、電気は陽極と陰極の間に存
在する電解質を含む水溶液中を移動するが、この両電極
間距離及び隔膜が電気分解時の電気抵抗の因子となる。
電気分解に於ける電力効率を高めるためには、電気抵抗
を減らすべく、陰、陽両極間距離を狭くするのが望まし
いが、従来の陰極と陽極が向かい合った対面電極の場合
には、両電極の間に存在する溶液の移動やガスの放散を
考慮する必要があるので一定の限度がある。陰極と陽極
が外側を向き背中合わせにした本発明の背面電極の場合
には、両電極層間には非導電性塗膜層と隔膜を存在させ
るだけでよく、溶液の移動やガスの放散を考慮する必要
は無い。そのため、極間距離は非導電性塗膜層と隔膜の
厚みの合計値まで減少させ得る。したがって電気分解に
おける電力効率を高めることができる。
【0025】
【実施例】
実施例1 ポリフッ素ビニル繊維で作った厚さ0.17mmのシー
ト状隔膜の両面に、図1に示すごとく正六角形の空白部
を有し且つ連続した塗膜層をABS樹脂を用いて形成し
た。正六角形の一辺は1.5mmで、その辺の幅は1m
mにした。塩酸ニッケル120g/l、次亜リン酸ナト
リウム10g/l、酢酸ナトリウム10g/l含むpH
5の化学メッキ浴を調製し、この浴に上記のシート状隔
膜を80℃で30分間浸漬し化学メッキし、シート状隔
膜のABS樹脂塗膜層の表面にニッケルメッキ層を生成
させた。次に、塩化白金4g/l、リン酸アンモニウム
20g/l、リン酸ナトリウム100g/l及び塩化ア
ンモニウム25g/lを含む水溶液を調製した。この水
溶液を電気メッキ浴にして、白金板を陽極、上記処理し
たシート状隔膜を陰極にして電気メッキを施した。ニッ
ケルメッキ層の表面に白金メッキ層が形成され、本発明
の電気分解用複合電極が得られた。
【0026】上記で得た電気分解用複合電極を幅7c
m、長さ190cmに切断し、図6の如く折り曲げて筒
状にした。そして図7に示すごとくこの筒状の複合電極
1の上下にドーナツ状の絶縁性合成樹脂製上板7とドー
ナツ状の絶縁性合成樹脂製底板8とを取り付けた。この
筒状の複合電極1の高さは7.5cm、外径は7.0c
m、内径は3.5cmにした。この複合電極1を、図8
に示す如き注入管10と注出口11を備えた直径8c
m、高さ10cmの円形の槽9に入れ、この複合電極1
のドーナツ状の合成樹脂製底板8の内側に注入管12を
取付け、またドーナツ状の合成樹脂製上板7の内側に注
出管13を取付けた。そして注入管10及び12から水
道水を連続的に供給し、電極に24Vの電圧をかけた。
6.3Aの電流が流れた。注出管11からアルカリ水が
排出され、注出管13からは酸性水が排出された。1時
間の電気分解によって、約2.6リットルの水素ガスと
約7リットルのアルカリ水(pH10.7)、及び約
1.3リットルの酸素ガスと約5リットルの酸性水(p
H2.7)が得られた。
【0027】実施例2 ポリエステル不織布を骨材とし膜材料に塩素化エチレン
を用いて作った厚さ0.17mmのシート状隔膜の両面
に、図1に示すごとく正六角形の空白部を有し且つ連続
した塗膜層をエポキシ樹脂を用いて形成した。正六角形
の一辺は1.5mmで、その辺の幅は1mmにした。エ
ポキシ樹脂が硬化する前に、平均粒径1μmの白金微粉
末を散布し、その後樹脂を硬化させてシート状隔膜のエ
ポキシ樹脂塗膜層の表面に白金の導電層を形成させた。
次に、塩化白金4g/l、リン酸アンモニウム20g/
l、リン酸ナトリウム100g/l及び塩化アンモニウ
ム25g/lを含む水溶液を調製した。この水溶液を電
気メッキ浴にして、白金板を陽極、上記処理したシート
状隔膜を陰極にして白金電気メッキを施した。図5は、
得られた複合電極の断面を示したものである。2はシー
ト状隔膜、4はエポキシ樹脂塗膜層、5は白金粉末層、
6は白金電気メッキ層である。
【0028】実施例3 直径0.1mmの銅線を経、緯に用いて18メッシュの
ネットを2枚作成した。このそれぞれのネットの片面に
エポキシ接着剤を塗布し、この塗布面を実施例2で用い
たシート状隔膜の両面に接着させた。次いで、実施例2
と同様にして電気メッキを施した。本発明の電気分解用
複合電極が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電気分解用複合電極の一例を示す斜視
【図2】図1のA−A線断面の一部を拡大した断面図
【図3】本発明の電気分解用複合電極の他の例を示す断
面図
【図4】本発明の電気分解用複合電極の他の例を示す断
面図
【図5】実施例2で得られた電気分解用複合電極の断面
【図6】本発明の電気分解用複合電極の加工例を示す斜
視図
【図7】本発明の電気分解用複合電極の使用例を示す斜
視図
【図8】図4の電気分解用複合電極を使用した水電気分
解装置の斜視図
【符号の説明】
1 電気分解用複合電極、2 シート状隔膜、2’ 空
白部、3,3’ 電極層、4,4’ 非導電層、5,
5’ 導電層、6,6’ 白金族金属メッキ層、7 上
板、8 底板、9 水槽 、10、12 注入管、1
1、13 注出管、21、21’ シート状隔膜、2
2、22’ 導電層、23、23’ 白金族金属メッキ
層、24,24’ 非導電層、25 第三の隔膜

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シート状隔膜の片面又は両面に、空白部を
    有し且つ連続する模様の非導電性塗膜層が設けられ、該
    塗膜層の表面に導電層が形成されていることを特徴とす
    る電気分解用複合電極。
  2. 【請求項2】シート状隔膜の片面に、空白部を有し且つ
    連続する模様の非導電性塗膜層を設け、該塗膜層の表面
    に導電層を形成させた電極シートの2枚を、その隔膜面
    同士を向い合せ、その間に第三の隔膜を介在させて一体
    となしたことを特徴とする電気分解用複合電極。
  3. 【請求項3】導電層の上に白金族金属メッキ層を形成さ
    せたことを特徴とする請求項1又は2記載の電気分解用
    複合電極。
  4. 【請求項4】化学メッキされにくくしたシート状隔膜の
    片面又は両面に、非導電性で且つ化学メッキ可能な物質
    を用いて空白部を有し且つ連続する模様に塗膜層を設
    け、次いで化学メッキを施して上記塗膜層の表面に導電
    層を形成し、その後必要に応じ電気メッキにより該導電
    層の表面に白金族金属メッキ層を設けることを特徴とす
    る電気分解用複合電極の製造方法。
  5. 【請求項5】シート状隔膜の片面又は両面に、空白部を
    有し且つ連続する模様の非導電性合成樹脂塗膜層を設
    け、次いで該塗膜層の表面に金属粉末又は金属箔を固着
    させて導電層を形成させ、その後必要に応じ該導電層表
    面に電気メッキにより白金族金属メッキ層を設けること
    を特徴とする電気分解用複合電極の製造方法。
  6. 【請求項6】空白部を有し且つ連続する模様の導電性材
    料をシート状隔膜の片面又は両面に非導電性接着剤を用
    いて貼着し、次いで必要に応じ該導電材料表面に電気メ
    ッキにより白金族金属メッキ層を設けることを特徴とす
    る電気分解用複合電極の製造方法。
JP632297A 1996-09-18 1997-01-17 電気分解用複合電極及びその製造方法 Pending JPH10146587A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011050840A (ja) * 2009-09-01 2011-03-17 Panasonic Corp 水処理装置の電極清掃方法と水処理装置およびこの水処理装置を用いた加湿装置
JP2012001800A (ja) * 2010-06-21 2012-01-05 Mitsui Chemicals Inc 電解槽

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