JPH10146027A - 電機巻線の含浸樹脂の管理方法 - Google Patents

電機巻線の含浸樹脂の管理方法

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JPH10146027A
JPH10146027A JP29994296A JP29994296A JPH10146027A JP H10146027 A JPH10146027 A JP H10146027A JP 29994296 A JP29994296 A JP 29994296A JP 29994296 A JP29994296 A JP 29994296A JP H10146027 A JPH10146027 A JP H10146027A
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JP
Japan
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impregnated resin
resin
value
impregnated
tan
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JP29994296A
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Tsukumo Iijima
九十九 飯島
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Fuji Electric Co Ltd
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Fuji Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】含浸樹脂の許容限度を越えた繰り返し使用によ
って含浸不良が生ずるのを未然に防止し、しかも可能な
限り多くの繰り返し回数使用して含浸樹脂の交換費用を
極力抑制する。 【解決手段】繰り返し使用された含浸樹脂から供試含浸
樹脂を採取してこれを動的粘弾性測定装置にかけてこの
供試含浸樹脂の粘性成分η1 、弾性成分η2及びこれら
の比η1 /η2 で定義される tanδを求め、この tanδ
があらかじめ設定された管理限界値を越えない範囲でこ
の含浸樹脂を使用するようにすれば、tanδと含浸樹脂
が硬化するゲル化時間との間に高い相関性があることか
ら、 tanδの管理限界値を適切な設定すれば、含浸不良
が発生しない範囲で含浸樹脂をより多数回繰り返して使
用が可能になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、回転機の固定子
コイルのような電機巻線の絶縁に用いられる含浸樹脂の
ように、繰り返し使用される含浸樹脂の使用の可否を判
定して管理する、電機巻線の含浸樹脂の管理方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】高圧回転機の固定子コイルの絶縁は、コ
イル導体にガラス又はポリエステルフリースを基材とす
るはがしマイカあるいは集成マイカテープを複数回重ね
巻きして作成したコイルを単体ごとに型に入れるか、又
は固定子鉄心スロットに挿入して相互に結線してしまう
かした後、エポキシ樹脂系の含浸樹脂を真空加圧含浸
し、含浸した樹脂を加熱硬化処理することにより製作さ
れる。また、マイカテープ、あるいは含浸樹脂には硬化
を早めるために硬化促進剤が塗布又は添加されている。
コイル単体で樹脂含浸を行う絶縁処理方式は単体含浸方
式、鉄心スロットにコイルを挿入しコイル相互の結線を
行った後絶縁処理を行う方式は全含浸方式と呼ばれてお
り、この他にも幾つかの絶縁処理方式がある。
【0003】エポキシ系の含浸樹脂としては、エポキシ
樹脂(モノマー)と硬化剤としての酸無水物とを予め一
定の配合比にしたがって混合した液状の含浸樹脂が使用
される。含浸処理にあたって、例えば含浸用容器に収納
した複数条のコイルに含浸樹脂を真空含浸し、更に含浸
用容器内に窒素ガスや乾燥空気を封入してこれを加圧し
て、含浸樹脂を絶縁被膜に浸透させる手順で含浸処理を
行う。そのため、絶縁被覆層に実際に含浸される量に比
べてはるかに多くの含浸樹脂を必要とする。そこで、一
度に多量の含浸樹脂を調合し、この含浸樹脂を百回以上
繰り返して使用するのが実際である。
【0004】コイルの絶縁層に樹脂を含浸するために
は、含浸抵抗を下げるために含浸樹脂の粘度をなるべく
低くする必要があるので被加工コイル及び含浸樹脂の温
度を数10℃に加熱し保持した状態で含浸処理が行われ
る。このように、含浸樹脂を加熱した状態で繰り返しコ
イル絶縁の含浸処理に使用すると、エポキシ樹脂と酸無
水物との硬化反応が徐々に進行し、硬化重合物であるエ
ステル化合物が生じて含浸樹脂内で増加してゆく。ま
た、この反応は、酸無水物が大気中の水分などと反応し
て生じた遊離酸が存在すると更に加速されることが分か
っている。
【0005】エステル化合物の増加は、含浸樹脂の粘度
を徐々に上昇させるとともに、含浸樹脂のゲル化時間、
すなわち硬化時間を短くするため、これが原因でコイル
絶縁層への含浸性が低下して含浸不良を生ずる恐れがあ
る。このようなことから、含浸樹脂中のエステル化合物
の生成量(エステル価)、含浸樹脂の粘度の変化を監視
し、これらの値が予め設定された管理限界値に達したと
きに、この含浸樹脂の寿命が来たとして使用停止し、新
しい含浸樹脂に交換するという管理が行われている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】含浸樹脂に含まれてい
る硬化剤はエポキシ樹脂よりも揮発性が高いため、繰り
返し使用しているうちに減少する。そのためエポキシ樹
脂と硬化剤の配合比を一定に保つために硬化剤を補給す
るが、補給後のエステル価と粘度の測定値が大きくばら
ついて誤差を生ずる場合がある。また、エステル価と粘
度が必ずしも相関しないため、エステル価を優先して含
浸樹脂を管理すると、まだ使用可能であるにも係わらず
含浸樹脂を交換することになって交換費用がかかるとい
う問題が生ずる。一方、粘度を優先して含浸樹脂を管理
すると、含浸樹脂中のエステル化合物が許容値を越えて
いるのにも係わらず使用可能と判断される場合が生じ
て、含浸中にコイル絶縁層内で含浸樹脂のゲル化が急激
に進行して絶縁層内への樹脂の含浸速度が低下し、つい
には含浸しなくなって含浸不良が生ずる可能性が高くな
る。このような含浸不良は直接製品不良につながるので
絶対にあってはならないことなので、実際にはエステル
価を優先した安全側の管理が行われており、その結果、
前述のように交換費用が大きいという問題が生ずる。
【0007】この発明の目的はこのような問題を解決
し、含浸樹脂の許容限度を越えた繰り返し使用によって
製品不良が生ずることを未然に防止し、しかも可能な限
り多くの繰り返し回数使用して含浸樹脂の交換費用を低
減することのできる電機巻線の含浸樹脂の管理方法を提
供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
にこの発明によれば、コイル導体に絶縁テープを巻回し
た電機巻線を含浸用容器に入れ、この容器に含浸樹脂を
注入して絶縁テープに含浸樹脂を加圧含浸し、含浸され
ずに残った含浸樹脂を回収して繰り返し使用する、含浸
樹脂の管理方法において、含浸樹脂の粘性成分η1 、弾
性成分η2 及びこれらの比η1 /η2 で定義される tan
δを求め、この tanδがあらかじめ設定された管理用限
界値を越えない範囲でこの含浸樹脂を使用するようにす
れば、 tanδと含浸樹脂が硬化するゲル化時間との間に
高い相関性があることから、 tanδの管理限界値を適切
な設定すれば、含浸不良が発生しない範囲でより多数回
の繰り返し使用ができる。
【0009】また、 tanδの管理限界値を1.78を含
む所定の範囲の中の一定値に設定すれば、この1.78
という値は含浸樹脂のゲル化時間が3600秒(1時
間)になる値であり、一方、巻線への樹脂含浸に要する
時間は実績から1時間以内なので、この値又はその近辺
の値を含浸樹脂の tanδの管理限界値とするのが妥当で
ある。
【0010】
【発明の実施の形態】以下この発明を実施例に基づいて
説明する。この発明の骨子は、含浸樹脂の粘性成分η1
と弾性成分η2 との比η1 /η2 で定義される tanδ
が、含浸樹脂の絶縁被覆内への浸透時間に相関関係があ
ることに着目して、 tanδが管理限界値を越えたときに
その含浸樹脂は寿命が来たとして繰り返し使用を停止し
て新品と交換するという管理をすることにある。
【0011】エポキシ樹脂とのその硬化剤からなる含浸
樹脂は粘性と弾性を合わせ持つ流体であり、流体工学で
はこのような流体は粘弾性流体と呼ばれている。これに
対して水や油などの通常の流体は粘性が流速勾配の大き
さに対して一定であり、このような流体はニュートン流
体と呼ばれている。粘弾性流体は、その粘性成分η1
弾性成分η2 との二つの特性で定量的に表される。この
ような粘弾性流体に外部から機械力を加えると、その力
は粘弾性流体内に応力を発生させるとともに一部は粘弾
性流体内で摩擦熱として消費されて熱に変わる。周知の
ように、機械系での弾性体は電気系のキャパシタンス
に、摩擦は抵抗にそれぞれ置き換えるとこができる。実
際のコンデンサがキャパシタンスと抵抗との複合回路と
して表される場合、抵抗で消費されるエネルギーとキャ
パシタンスで蓄積されるエネルギーとの比として一般に
タンデルタ(誘電正接)と呼ばれ tanδと表示される値
が定義される。粘弾性流体の場合も同様に粘性成分η1
と弾性成分η2 との比η1 /η2 も tanδ(タンデル
タ)と呼ばれている。此の tanδの値を以後はTd で表
す。
【0012】含浸樹脂を繰り返し使用することによって
エステル化合物が生成されて含浸樹脂内でその比率が増
大し、これに伴って粘性成分η1 の値が増加して液状の
ゲルから固体状のゲルに変化するゲル化時間が短くなる
が、弾性成分η2 の値は一定値を保って余り変化しない
ことが実際の測定で分かっている。粘性成分η1 の増加
は含浸時の含浸樹脂の発熱による温度上昇の増大を意味
し、この温度上昇によって含浸樹脂のゲル化時間が更に
短くなって、含浸樹脂が絶縁テープ内に充分含浸される
前にゲル化してしまうという含浸不良発生の可能性が高
くなる。したがって、含浸樹脂の tanδ値Td を測定す
ることは含浸樹脂の絶縁層に対する含浸性を評価する上
で重要であるとともに、 tanδ値の変化を管理すること
で含浸樹脂の使用可能限界を求めることができる。
【0013】一般に粘弾性流体の粘性成分η1 、弾性成
分η2 及び tanδ値Td は試料となる含浸樹脂に正弦波
的歪みを加えて試料が発生する応力の大きさと加えた歪
みから応力が発生するまでの位相のずれを測定する動的
粘弾性測定法によって求められる。図1は含浸樹脂の t
anδ値Td を求める装置のブロックダイアグラムであ
る。
【0014】tanδ値Td を求める装置は粘性成分η1
と弾性成分η2 とを求める動的粘弾性測定装置10(レ
オメトニック社製 RDA−II)とその結果を演算処理
して tanδを求め適当な形式で画面表示などの出力をす
るパーソナルコンピュータ8とからなっている。動的粘
弾性測定装置は次のものから構成されている。即ち、供
試含浸樹脂3が入れられる試料容器2、この供試含浸樹
脂3を押さえ付けて試料容器2の底面と間に供試含浸樹
脂3を挟み付けるように設けられた円形プレート1、符
号を付けない軸を介して試料容器2が一定周波数で周方
向の往復運動をするように駆動するアクチュエータ4、
供試含浸樹脂3が入れられた試料容器2及び円形プレー
ト1が挿入されてこれらを所定の温度に保つ定温槽6、
供試含浸樹脂3の往復運動のトルクを測定するトルク検
出器5、及び、アクチュエータ4の往復運動の振幅と周
波数並びに定温槽6の温度の制御を行うとともに動的粘
弾性測定装置10全体を制御するためのシステム制御コ
ンピュータ7からなっている。
【0015】システム制御コンピュータ7は、アクチュ
エータ4による駆動の振幅及び周波数と、トルク検出器
5が測定したトルク値の振幅、周波数及び位相とを基に
所定の演算処理をして後述の粘性成分η1 と弾性成分η
2 を求め、この値がパーソナルコンピュータ8器に入力
されて tanδが計算され出力される。所定の温度に保た
れている供試含浸樹脂3は時間経過とともに硬化するの
で、その時々の特性が連続的にパーソナルコンピュータ
8に記録され表示される。
【0016】試料容器2が周方向の往復運動をすること
によってその中の供試含浸樹脂3も往復運動をするが、
この供試含浸樹脂3は試料容器2の底部と円形プレート
1の下面とで挟まれているので、円形プレート1は供試
含浸樹脂3を介して往復運動のトルクが伝達されて供試
含浸樹脂3に合わせて往復運動をする。この円形プレー
ト1の往復運動をトルクとしてトルク検出器5で測定さ
れる。システム制御コンピュータ7は供試含浸樹脂3に
加えられる往復運動の周波数、位相、トルク検出器5が
検出した値をパーソナルコンピュータ8に送り、パーソ
ナルコンピュータ8は次の演算式を基に粘性成分η1
弾性成分η2 及び tanδ値Td を演算し出力する。な
お、以下の演算式における各値の単位はSI単位に統一
されているものとする。
【0017】
【数1】 τ=m×2/(πR3 ) …………………………………(1)
【0018】
【数2】 γ=(θ×R)/H ………………………………………(2)
【0019】
【数3】 η1 = sinδ(τ/γ)/ω ……………………………(3)
【0020】
【数4】 η2 = cosδ(τ/γ)/ω ……………………………(4)
【0021】
【数5】 Td =η1 /η2 …………………………………………(5) ここで、 R;円形プレート1の半径 H;供試含浸樹脂3の厚み(試料容器2底面と円形プレ
ート1の下面との距離) ω;正弦波波形の印加トルクの角周波数 θ;アクチュエータ4によるひねり角度波高値 δ;アクチュエータ4によって印加したトルクとトルク
検出器5による測定トルクとの位相差(radian) m;トルク検出器5によって測定されたトルク波高値 τ;供試含浸樹脂3の応力波高値 γ;供試含浸樹脂3の歪み波高値 これらの値の中で予め設定される値は、R,H,ωであ
り、測定値はθ,m,δ、これら設定値と測定値とから
求められる値が、τ,γ,η1 ,η2 及びTdである。
まず、(1)式からτを、(2)式からγをそれぞれ求
め、ついでこれらの値を用いて(3)式からη1 を、
(4)式からη2 をそれぞれ求め、最後にη1 とη2
用いて(5)式から目的のTd を求める。なお、上記の
各値の定義の「波高値」は「実効値」に置き換えても差
し支えない。
【0022】表1は一定の条件下で試験した使用程度の
異なる2種類の含浸樹脂の試験内容の表である。ここ
で、試料Aは新品の含浸樹脂、試料Bは長期使用した可
使寿命に近い含浸樹脂であり、実際に使用されている含
浸樹脂に、主にエポキシ樹脂からなる絶縁層の結合剤を
考慮した添加物を添加したものである。具体的には、ビ
シフェノールAタイプエポキシ樹脂100部と硬化剤と
してメチルテトラヒドロフタル酸無水物110部とを混
合した実際の含浸樹脂をサンプリングし、これに、結合
剤を模擬した前述と同じエポキシ樹脂に促進剤としての
ナフテン酸亜鉛とを添加し、結果的に、エポキシ樹脂1
00、硬化剤90、促進剤3.7の割合になったものを
供試含浸樹脂とした。そして、温度80℃の環境下で往
復運動の周波数5Hzの条件で、図1の装置によって連続
的に測定される中の1000秒経過後の値である。
【0023】
【表1】 ───────────────────── 特性値 試料A 試料B ───────────────────── エステル価(比) 3 18 粘度(70℃ mPas) 21.6 39.6 tanδ値Td (比) 0.56 1.88 ゲル化開始時間tg (秒) 6370 3380 ───────────────────── 図2、図3は供試含浸樹脂の粘性成分η1 、弾性成分η
2 の時間的変化を示すグラフであり、図2は試料Aの場
合、図3は試料Bの場合である。これらの図において、
横軸は時間(sec )、縦軸は粘性成分η1 、及び弾性成
分η2 (Pa・ sec ) で対数目盛りである。グラフの破線
が粘性成分η1 、実線が弾性成分η2 である。図に矢印
で示す時間tg が前表のゲル化開始時間tg である。こ
のゲル化開始時間tg は図で明らかなように、時間経過
に応じて比較的一定の値を維持していた弾性成分η2
急激にその値を増大させ始める時点である。また、ゲル
化開始時間tg より前の1〜2(×103 sec)あたりにお
いて弾性成分η2 は両図でそれほど差はないが、粘性成
分η1 は図3の方が4倍ほど大きい。これに対応して表
1から分かるように tanδ値Td は試料Aの0.56に対し
て試料Bでは1.88と約3.4 倍になっている。この点はエ
ステル価が試料Aでは3に対して、試料Bでは18と6
倍になっていることと対応する。
【0024】図4は tanδ値Td とゲル化開始時間tg
の相関関係を示すグラフであり、横軸は tanδ値Td
縦軸はゲル化開始時間tg である。この図から分かるよ
うに、 tanδ値Td の増加に伴ってゲル化開始時間tg
は短くなるという関係にある。図の右下がりの線の上の
点Aは前述の試料A、点Bは試料Bである。ところで、
実際の回転機コイルで絶縁層に含浸樹脂が充分に充填さ
れるには40〜60分を要することが分かっている。したが
って、含浸樹脂のゲル化開始時間t g を60分(3600 se
c) に設定し、この時間までに含浸が充分に行われるに
ためのtanδ値Td の値を図から読み取るとC点の tan
δ値Td =1.78が得られる。この値が、含浸樹脂の可使
寿命を決定する tanδ値Td であると言える。この判定
基準によれば試料Bはすでに寿命を過ぎていることにな
る。
【0025】図4では tanδ値Td とゲル化開始時間t
g の関係を直線で示してあるが、実際にはばらつきがあ
るのが実際で tanδ値Td の異なる多くの試料のゲル化
開始時間tg を求めてこれらのデータを統計処理にする
ことによって可使寿命を決定する tanδ値Td の管理限
界値を決定することになる。この場合、管理限界値とし
ての tanδ値Td を小さく設定すると、含浸樹脂の交換
頻度が高くなって含浸樹脂の消費量が多くなって製品の
コストアップの要因になり、大きく設定すると含浸不良
の確率が増大する。含浸不良は絶対に生じてはならない
ので、この点を考慮した上で種々の点を考慮した総合的
な判断に基づいて tanδ値Td の管理限界値を定めるこ
とになる。そのような場合でも、決定された管理限界値
は前述の1.78という値の近辺になることに変わりない。
【0026】このように、含浸特性に高い相関性のある
tanδ値Td を含浸樹脂の寿命を判定するのに使用する
特性値に採用することによって繰り返し使用される含浸
樹脂の交換時期を適切に判定することができるので、含
浸樹脂の合理的な管理が可能になる。
【0027】
【発明の効果】この発明は前述のように、動的粘弾性測
定装置を用いて含浸樹脂の粘性成分η 1 と弾性成分η2
の比η1 /η2 で定義される tanδ値Td を求めると、
この tanδ値Td は絶縁層への充填に重要な特性である
ゲル化開始時間tg に高い相関性があるので、この tan
δ値Td に管理限界値を設定し、繰り返し使用された含
浸樹脂の tanδ値Td がこの管理限界値を越えない範囲
で使用し、越えたら使用を停止して新品に交換するとい
う管理を行うことによって、含浸樹脂の合理的な管理が
可能になり、交換費用を最低に抑制することが可能であ
るという効果が得られる。また、 tanδの管理限界値を
1.78を含む所定の範囲の中にある値に設定すれば、この
1.78という値は含浸樹脂のゲル化時間が3,600 秒(1時
間)になる値であり、一方、巻線への樹脂含浸に要する
時間は実績から1時間以内と考えてよいので、この値又
はその近辺の値を含浸樹脂の tanδの管理限界値とする
のが妥当である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施に使用される含浸樹脂の tanδ
を求めるための動的粘弾性測定装置の模式図
【図2】新品の含浸樹脂の特性を表すグラフ
【図3】寿命に近い含浸樹脂の特性を表すグラフ
【図4】tanδ値Td とゲル化開始時間tg との関係を
示すグラフ
【符号の説明】
10…動的粘弾性測定装置、1…円形プレート、2…試
料容器、3…供試含浸樹脂、4…アクチュエータ、5…
トルク検出器、6…定温槽、7…システム制御コンピュ
ータ、8…パーソナルコンピュータ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】コイル導体に絶縁テープを巻回した電機巻
    線を含浸用容器に入れ、この容器に含浸樹脂を注入して
    絶縁テープに含浸樹脂を加圧含浸し、含浸されずに残っ
    た含浸樹脂を回収して繰り返し使用する、含浸樹脂の管
    理方法において、含浸樹脂の粘性成分η1 、弾性成分η
    2 及びこれらの比η1 /η2 で定義されるtanδを求
    め、この tanδがあらかじめ設定された管理用限界値を
    越えない範囲でこの含浸樹脂を使用することを特徴とす
    る電機巻線の含浸樹脂の管理方法。
  2. 【請求項2】管理限界値が1.78を含む所定の範囲の
    中の一定値であることを特徴とする請求項1記載の電機
    巻線の含浸樹脂の管理方法。
JP29994296A 1996-11-12 1996-11-12 電機巻線の含浸樹脂の管理方法 Pending JPH10146027A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015117352A (ja) * 2013-12-20 2015-06-25 本田技研工業株式会社 繊維強化樹脂成形品の製造方法

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