JPH10141637A - 化学兵器用毒性化合物の燃焼分解法 - Google Patents

化学兵器用毒性化合物の燃焼分解法

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JPH10141637A
JPH10141637A JP8308632A JP30863296A JPH10141637A JP H10141637 A JPH10141637 A JP H10141637A JP 8308632 A JP8308632 A JP 8308632A JP 30863296 A JP30863296 A JP 30863296A JP H10141637 A JPH10141637 A JP H10141637A
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chemical
thermite
fuel
toxic
toxic compound
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JP8308632A
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Masao Matsunaga
全央 松永
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TERABONDO KK
Terabondo KK
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TERABONDO KK
Terabondo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 化学兵器用毒性化合物及び/又は化学兵器用
毒性化合物で汚染された弾頭部材や周囲の土壌を効率的
かつ経済的に無害化分解処理することができる技術を提
供する。 【解決手段】 化学兵器用毒性化合物を燃焼して分解す
る方法において、(1).化学兵器用毒性化合物を吸着媒体
に吸着させてなる化学兵器用毒性化合物の吸着体成分、
及び、(2).アルミニウム粉体及び金属酸化物粉体からな
るテルミット反応剤を主成分とするテルミット系自燃性
燃料の燃料成分、とから構成した化学兵器用毒性化合物
を含有する燃料を燃焼することを特徴とする化学兵器用
毒性化合物の燃焼分解法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、テルミット反応
(thermit reaction)により激しい発熱をともなって燃
焼するアルミニウム粉体と金属酸化物粉体を主成分とし
た自燃性の燃料(以下、テルミット系自燃性燃料という
ことがある。)の燃焼系を利用した化学兵器用毒性化合
物の燃焼分解法に関する。
【0002】更に詳しくは、本発明は、テルミット系自
燃性燃料の燃焼時に得られる高温の燃焼熱(反応熱)を
利用したイペリット(マスタードガス)やルイサイトな
どの化学兵器用毒性化合物の新規な燃焼分解法に関する
ものである。
【0003】
【従来の技術】化学兵器の使用禁止等に関する化学兵器
禁止条約の発効に対応するために、化学兵器用毒性化合
物の無害化処理技術の確立が急がれている。
【0004】ここで、本発明の無害化処理の対象とする
化学兵器用毒性化合物について説明しておく。なお、本
発明において、化学兵器用毒性化合物は、各種の毒ガス
剤(gas warfare agent)を包含するように最広義に解
釈されるべきである。
【0005】前記した化学兵器用毒性化合物としての毒
ガス剤は、次のように定義されるものである(「化学大
辞典」、化学大辞典編集委員会編、共立出版株式会社、
昭和59年3月15日発行)。即ち、毒ガス剤は、(i).
気体、煙霧を形成し得る液体または固体の毒性を有する
化合物であって、(ii).全面的又は局部的に生体の機能
を傷害し、敵に損傷を与える目的で戦闘(warfare)な
どに使用されるものである。
【0006】前記毒ガス剤を構成する毒性化合物の構造
を毒性の関係については、ネクラソフの理論(Nekrasco
v's theory)が知られている。なお、本発明の化学(兵
器用毒性化合物)は、下記の示すネクラソフの理論を毒
ガス剤に応用した経験則で示される化合物が全て包含さ
れると理解されるべきである。
【0007】前記ネクラソフの理論(毒ガス剤に応用し
た経験則)から毒ガス剤の構造を分領すると、次の通り
である。 (1).ハロゲン化エステル。例:クロルギ酸メチル、ホス
ゲン(COCl2)、ジホスデン。 (2).ハロゲン化エーテル及びチオエーテル。例:ジクロ
ルジメチルエーテル、イペリット(マスタードガス、硫
化ジクロルジエチル)[(CH2ClCH22S]。 (3).ハロゲン化ケトン。例:クロルアセトン、ブロムア
セトン。 (4).側鎖にハロゲンを有する芳香族化合物。例:塩化ベ
ンジル、ヨウ化ベンジル。 (5).ハロゲン化ニトロ化合物。例:クロルピクリン。 (6).シアン化合物。例:塩化シアン、シアン化ブロムベ
ンジル。 (7).ヒ素化合物。例:ルイサイト(ClCH=CHAs
Cl2)、クロルジフェニルアルシン、アダムサイト。 (8).有機リン酸化合物。
【0008】前記ネクラソフの理論によれば、毒作用を
有する物質は、その分子中にに発毒団(foxophore)を
有し、かつ前記発毒団の毒作用を特徴づける助毒団(au
xotox)を有するもので構成されるものである。 (i).前記発毒団としては、−C(=O)−、−S−、−
C=C−、−N(O2)、−N=C、−As−などが例
示される。 (ii).前記助毒団としては、ハロゲン、酸素原子、アミ
ノ基、ベンジル基、フェニル基、メチル基、エチル基な
どが例示される。
【0009】従来、前記した特定の毒ガス剤、例えばイ
ペリット(マスタードガス)やルイサイトなどの化学兵
器用毒性化合物を無害化分解する方法としていくつかの
ものが知られ、実践されている。例えば、(i).燃料の燃
焼により1400℃以上の高温雰囲気を作り、この高温
燃焼域で化学兵器用毒性化合物を分解する方式、(ii).
溶液系において紫外線照射下で活性化する物質(例えば
銀)により化学兵器用毒性化合物を分解する方式、(ii
i).溶融した金属により化学兵器用毒性化合物を分解す
る方式、などが提案かつ実践されている。
【0010】しかしながら、前記した化学兵器用毒性化
合物の分解方式は、(1).完全に無害化するためのクロー
ズドシステム化等のために分解装置が大きくなること、
(2).過去に使用され、かつ現在保管されている膨大な量
の化学兵器用毒性化合物を処理するには、分解処理量が
小さく、極めて非効率的であること、(3).化学兵器から
抽出して取り出した毒性化合物ばかりでなく、化学兵器
の弾頭部材に吸蔵、あるいは含浸した毒性化合物、更に
は化学兵器の弾頭部材の腐食部分から毒性化合物が漏れ
出し、前記毒性化合物で汚染されている周囲の土壌(以
下、単に周囲土壌ということがある。)などを処理する
ことが極めて困難かつ不可能であること、などの欠点を
有するものである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記した従
来の化学兵器用毒性化合物の無害化分解方式の問題点を
解消しようとするものである。本発明者らは、前記した
従来の化学兵器用毒性化合物の無害化分解技術の改良に
ついて鋭意検討した結果、イペリット(マスタードガ
ス)やルイサイトなどの化学兵器用毒性化合物がテルミ
ット系自燃性燃料の燃焼系において効率的かつ経済的に
無害化分解できる、という知見を見い出した。また、本
発明者らは、各種の化学兵器用毒性化合物が所望の吸着
媒体に吸着された形態で前記テルミット系自燃性燃料の
燃焼系に適用されるとき効率よく無害化分解できる、と
いう知見を見い出した。
【0012】本発明は、前記知見をベースにして、各種
の化学兵器用毒性化合物の分解用熱源としてアルミニウ
ム粉体と金属酸化物粉体とから成るテルミット反応剤を
主成分とするテルミット系自燃性燃料の反応時に発生す
る極めて高温の燃焼熱(反応熱)を利用し、所望の吸着
媒体に吸着させた化学兵器用毒性化合物を効率的かつ経
済的に無害化しようとするものであり、従来の燃焼方式
などの無害化方式を抜本的に改良しようとするものであ
る。
【0013】また、本発明は、前記したように化学兵器
用毒性化合物の分解用熱源としてテルミット反応剤を主
成分とするテルミット系自燃性燃料の燃焼熱(反応熱)
を利用するものであるが、前記テルミット系自燃性燃料
をアルミニウム粉体と酸化鉄(Fe34)などの金属酸
化物粉体からなるテルミット反応剤のみで構成する以外
に、化学兵器を処理するときに同時に処理されることが
望ましい下記成分、即ち、(i).化学兵器用毒性化合物に
より汚染された化学兵器の弾頭部材、及び/又は、(i
i).化学兵器用毒性化合物が化学兵器の弾頭部材の腐食
や亀裂などから外部に流出し、毒性化合物により汚染さ
れた周囲土壌、などを添加してテルミット系自燃性燃料
を構成することにより、前記した成分をも同時に処理す
ることができる化学兵器用毒性化合物の新規な燃焼分解
法を提供しようとするものである。
【0014】更にまた、本発明は、前記テルミット系自
燃性燃料をアルミニウム粉体と酸化物粉体からなるテル
ミット反応剤のみで構成する以外に、(i).毒性化合物に
より汚染された化学兵器の弾頭部材、及び/又は、(i
i).毒性化合物が化学兵器の弾頭部の腐食や亀裂などか
ら外部に流出し、毒性化合物により汚染された周囲土
壌、更に、(iii).産業廃棄物として無害化処理のニーズ
が高い各種の灰体(集塵灰を含む)及び/又はプラスチ
ック廃棄物、などを添加してテルミット系自燃性燃料を
構成することにより、化学兵器用毒性化合物の無害化分
解時に無害化処理が要求されている前記(i)〜(ii)の成
分、及び前記した産業廃棄物の(iii)成分をも同時に処
理することができる化学兵器用毒性化合物の新規な燃焼
分解法を提供しようとするものである。
【0015】本発明により、テルミット系自燃性燃料を
利用した効率的かつ経済的な新規な化学兵器用毒性化合
物の燃焼分解法が提供される。また、本発明により、化
学兵器から抽出して取り出された毒性化合物ばかりでな
く、毒性化合物に汚染された化学兵器の構成部材や周囲
土壌をも同時に無害化処理することができるテルミット
系自燃性燃料を利用した効率的かつ経済的な化学兵器用
毒性化合物の燃焼分解法が提供される。更にまた、本発
明により、化学兵器用毒性化合物の無害化処理時に無害
化処理のニーズが高い産業廃棄物である各種の灰体(集
塵灰を含む。)及び/又はプラスチック廃棄物をも同時
に無害化処理することができる効率的かつ経済的なテル
ミット系自燃性燃料を利用した化学兵器用毒性化合物の
燃焼分解法が提供される。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明を概説すれば、本
発明の第一の発明は、化学兵器用毒性化合物を燃焼して
分解する方法において、(1).化学兵器用毒性化合物を吸
着媒体に吸着させてなる化学兵器用毒性化合物の吸着体
成分、及び、(2).アルミニウム粉体及び金属酸化物粉体
からなるテルミット反応剤を主成分とするテルミット系
自燃性燃料の燃料成分、とから構成した化学兵器用毒性
化合物を含有する燃料を燃焼することを特徴とする化学
兵器用毒性化合物の燃焼分解法に関するものである。
【0017】また、本発明の第二の発明は、前記第一の
発明の化学兵器用毒性化合物の吸着体成分とテルミット
系自燃性燃料の燃料成分とから成る化学兵器用毒性化合
物を含有する燃料を、(i).テルミット反応剤であるアル
ミニウム粉体と金属酸化物、及び、(ii).化学兵器用弾
頭部材の細片及び/又は化学兵器用弾頭部材から流出し
た化学兵器用毒性化合物で汚染された土壌(周囲土
壌)、により構成し、化学兵器用毒性化合物を無害化処
理するときに同時に前記(ii)成分をも無害化処理するこ
とができる効率的かつ経済的な化学兵器用毒性化合物の
燃焼分解法に関するものである。
【0018】更にまた、本発明の第三の発明は、前記第
一の発明の化学兵器用毒性化合物の吸着体成分とテルミ
ット系自燃性の燃料成分をとから成る化学兵器用毒性化
合物を含有する燃料を、(i).テルミット反応剤であるア
ルミニウム粉体と金属酸化物、(ii).化学兵器用弾頭部
材の細片及び/又は化学兵器用弾頭部材から流出した化
学兵器用毒性化合物で汚染された土壌(周囲土壌)、及
び、(iii).産業廃棄物である各種灰体(集塵灰も含
む。)及び/又はプラスチック廃棄物、により構成し、
化学兵器用毒性化合物を無害化処理するときに同時に前
記(ii)〜(iii)成分をも無害化処理することができる効
率的かつ経済的な化学兵器用毒性化合物の燃焼分解法に
関するものである。
【0019】以下、本発明の技術的構成及び実施態様に
ついて図面を参照して詳しく説明する。なお、本発明
は、図示ものに限定されないことはいうまでもないこと
である。
【0020】本発明の化学兵器用毒性化合物の燃焼分解
法において、最大の特徴点は、化学兵器用毒性化合物の
分解用熱源としてテルミット反応剤を主成分としたテル
ミット系自燃性の燃料成分の燃焼熱(反応熱)を利用す
る、という点にある。
【0021】本発明の化学兵器用毒性化合物の燃焼分解
法において、化学兵器用毒性化合物の分解用熱源として
前記テルミット系自燃性の燃料成分を採用するという着
想は、本発明者らが先に提案した産業廃棄物として無害
化処理のニーズが高い各種の燃焼系から排出される灰体
(集塵灰を含む。)の処理技術、例えば、(i).灰体の処
理方法とそのための装置(特願平8−220787
号)、(ii).灰体利用の自燃性燃料棒(特願平8−22
0788号)、などに基礎をおくものである。
【0022】以下、本発明の理解を助けるという意味に
おいて、前記した本発明者らが先に提案したテルミット
系自燃性燃料を利用した灰体の処理技術について説明す
る。
【0023】従来、各種の産業廃棄物、都市ゴミ、下水
汚泥(脱水汚泥、脱水ケーキ)などを焼却することによ
り排出される焼却灰あるいは新たに一般産業廃棄物に規
定された各種の集塵装置から排出される集塵灰(これは
飛灰ともいわれている。)などの灰体(以下、単に灰体
ともいう。)の排出量は、膨大な量に及ぶものである。
【0024】このため、これら灰体を廃棄物専用埋立地
に埋立てるにしても、埋立地の確保がますます困難にな
ってきている。また、これら灰体において、重金属等の
有害物質が混入している場合、これら有害物質の外界へ
の飛散防止や焼却灰からの除去が強く求められている。
【0025】前記した灰体の量的な問題、あるいは重金
属などの有害物質の除去の問題などから、従来からこれ
ら灰体を焼却設備において焼却し、灰体の減容化、無公
害化、再利用化(再資源化)などを図る提案が多くなさ
れている。
【0026】前記した灰体の焼却設備としては、電気溶
融炉、バーナー溶融炉、プラズマ溶融炉、あるいはアー
ク溶融炉などが使用されている。しかしながら、これら
灰体の焼却炉(溶融炉)においては、その構造上、次の
ような問題点がある。 (1).灰体を溶融するために大量のエネルギーを消費す
る。例えば、プラズマ溶融炉やアーク溶融炉において
は、電力の使用量が650kw/t程度が必要である。
また、バーナー溶融炉においては、燃料となる灯油や重
油などを大量に確保しなければならない。 (2).焼却設備として高価かつ大型のものが必要である。
例えば、灰体を高温下で溶融するため、焼却炉内の耐火
レンガの腐食や耐熱性の低下が激しく、連続操作及び安
定操作のために二基以上の並列運転が必要である。
【0027】このような背景のもとで、本発明者らは前
記した各種の灰体を効率よくかつ経済的に完全に無害化
する方法について検討した結果、(i).従来技術と比較し
てより高い温度のもとで灰体を溶融固化することが好ま
しく、かつ、(ii).前記高温下での溶融条件を実現する
ためには、テルミット法(thermitprocess)を適用する
ことが好ましい、という知見を見い出し、前記知見をベ
ースにしてテルミット系自燃性燃料を利用した灰体処理
技術を先に提案した。また、本発明者らは、テルミット
法による灰体の溶融固化において、やはり産業廃棄物と
して無害化処理のニーズが高いプラスチック廃棄物(以
下、廃プラともいう。)も同時に無害化、完全に分解で
きるという知見を見い出しており、これについても先に
提案した。
【0028】前記本発明者らの先に提案したテルミット
法をベースとした灰体の溶融固化法において、灰体の溶
融のための熱源を提供するテルミット法それ自体は、
(i).テルミット反応剤の第一の成分であるアルミニウム
は、ゴミの分別回収によりアルミニウム缶などの形態で
豊富に存在し、かつ容易に利用することができること、
かつ、(ii).テルミット反応剤の第二の成分である金属
酸化物、例えば酸化鉄などは、天然のイルメナイト鉱石
から酸化チタン(TiO2)を製造する際の産業廃棄物
として入取できること、しかも純度の高い酸化鉄を入取
することができること、また、(iii).前記金属酸化物
は、各種の灰体それ自体の中に豊富に存在すること、な
どの観点から、極めて経済的、省資源的なものである。
【0029】即ち、本発明者らが先に提案したテルミッ
ト法をベースとした灰体の溶融固化技術(特願平8−2
20987号及び特願平8−220788号)は、(1).
テルミット反応剤(アルミニウム及び金属酸化物)それ
自体の原料が、産業廃棄物で構成されること、(2).産業
廃棄物として無害化処理のニーズが高い各種の灰体にお
いて、その溶融固化物が、コンクリートの骨材、路盤
材、道路舗装ブロック材などとして再利用されること
(再資源化されること)、かつ、(3).産業廃棄物として
無害化処理のニーズが高い廃プラを同時に無害化分解で
きること、など公害対策や資源の再利用化の観点からみ
て極めて有用なものである。
【0030】本発明の前記イペリット(マスタードガ
ス)やルイサイトなどの化学兵器用毒性化合物のテルミ
ット系自燃性燃料を利用した燃焼分解法は、前記したこ
とから明らかのように、本発明者らの先に提案したテル
ミット法による灰体の溶融固化技術にヒントを置くもの
である。
【0031】以下、本発明の前記イペリット(マスター
ドガス)やルイサイトなどの化学兵器用毒性化合物の燃
焼分解法について説明する。
【0032】まず、本発明の理解を助けるという意味に
おいて、テルミット法(thermit process)について、
若干、説明しておく。前記テルミット法は、周知のプロ
セスであるが、一般に下記式(1)で示されるように、ア
ルミニウム粉体と金属酸化物粉体の混合物に着火する
と、激しい発熱反応が起こり、金属酸化物が還元され、
生成する金属は高温のために溶融して反応容器の底に回
収されるという反応現象をいう。 2Al+3/2・O2 =Al23 +386.2Kcal……… (1)
【0033】前記テルミット反応をAl粉末と酸化鉄
(Fe34)粉末の混合物で説明すると、前記混合物を
着火(約1100℃〜1150℃)すると、下記式(2)
によりテルミット反応が進行し、その際、反応系は27
50℃以上という高温下にされされる。これらの反応状
況は、言葉の正確さを失するが、テルミット・プラズマ
(thirmit plasma)が発生しているということができ
る。 8Al+3Fe34 =9Fe+4Al23 …………… (2)
【0034】前記したように、式(2)で示されるAl粉
末と酸化鉄(Fe34)粉末の間のテルミット反応より
発生する反応熱は、2750℃以上であり、従来のバー
ナー溶融炉、プラズマ溶融炉、あるいはアーク溶融炉な
どで得られる高温条件よりも極めて高いものである。
【0035】次に、本発明の化学兵器用毒性化合物の燃
焼分解法に適用される化学兵器用毒性化合物を含有する
燃料、即ち、(1).前記所望の吸着媒体に吸着された化学
兵器用毒性化合物の吸着体成分、及び、(2).前記テルミ
ット系自燃性燃料の燃料成分、について説明する。
【0036】本発明の前期所望の吸着媒体に吸着された
化学兵器用毒性化合物の吸着体成分において、吸着媒体
に吸着される化学兵器用毒性化合物は、最広義に解釈さ
れるべきである。即ち、前記化学兵器用毒性化合物は、
前記[従来技術]の項で説明したようにイペリット(マ
スタードガス)やルイサイトなどの毒性化合物であっ
て、最広義に解釈されるべきである。例えば、「化学兵
器の検出方法」に関する特開平1−301164号公報
に開示されているS−LOSTまたはN−LOST[ビ
ス−(2−クロルエチル)−スルフィド及び−イミ
ン]、あるいはVX[O−アルキル−S−(N、N−ジ
アルキルアミノエチル)−アルキルチオール−ホスフェ
ード]なども包含されるものである。また、本発明にお
いて、前記化学兵器用毒性化合物は、単一化合物であっ
ても、あるいは複数の毒性化合物で構成されてもよいも
のである。
【0037】本発明において、前記各種の化学兵器用毒
性化合物は、固体の吸着剤に吸着され、化学兵器用毒性
化合物の吸着体成分とされる。本発明において、前記各
種の化学兵器用毒性化合物を化学兵器用毒性化合物の吸
着体成分とする理由は、本発明の化学兵器用毒性化合物
を含有する燃料の他の構成成分、即ち固体状のテルミッ
ト系自燃性燃料の燃料成分と均一に混合され、かつ前記
テルミット系自燃性燃料の燃料成分の燃焼時に完全に燃
焼分解させるためである。別言すれば、テルミット系自
燃性燃料の燃料成分の燃焼系に確実に化学兵器用毒性化
合物の吸着体成分を存在させ、確実に燃焼分解させるた
めである。
【0038】本発明において、前記吸着剤なる用語は、
広義に解釈されるべきである。即ち、多量の正吸着を起
こす界面を提供する物質のみでなく、テルミット系自燃
性燃料の燃料成分の燃焼系に化学兵器用毒性化合物を確
実に供給し得る化学兵器用毒性化合物の吸着体や含浸体
なども含まれると解釈されるべきである。
【0039】前記した吸着剤は、各種のものが採用する
ことができ特段の制約を受けるものではない。この種の
吸着剤としては、活性炭、ゼオライト、活性アルミナ、
ベントナイトや酸性白土などの粘土鉱物などを使用する
ことができる。例えば、この種の吸着剤として、特開昭
63−72325号公報に開示されている砒素(As)
除去剤としてのアルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土
類金属の塩、酸化チタン、シリカ、酸化鉄、アルミナ、
モレキュラシーブ、及び多孔性無機化合物などを使用す
ることができる。前記した吸着剤のうち、テルミット系
自燃性燃料成分の燃焼系において完全燃焼することがで
きる活性炭は好ましいものである。
【0040】本発明において、前記化学兵器用毒性化合
物の吸着体成分は、化学兵器用毒性化合物の燃焼分解時
に活性炭などの吸着剤に化学兵器用毒性化合物を吸着さ
せて調製したものであっても、あるいは、本発明の化学
兵器用毒性化合物の燃焼分解法を含む所望の化学兵器用
毒性化合物の分解反応系において排気ガス中の微量の化
学兵器用毒性化合物を吸着剤に吸着させたものであって
もよいことはいうまでもないことである。
【0041】次に、本発明のアルミニウム粉体及び金属
酸化物粉体を主成分とするテルミット系自燃性燃料の燃
料成分について説明する。 (1).本発明のテルミット系自燃性燃料は、テルミット反
応剤であるアルミニウム粉体及び金属酸化物粉体の二成
分で構成されてもよいものである。また、 (2).本発明のテルミット系自燃性燃料は、前記したよう
に燃焼により2750℃以上という極めて高い燃焼熱を
発生するものであり、このような高温雰囲気下において
は化学兵器用毒性化合物により汚染された物質が完全に
無害化分解されると考えてよい。従って、本発明のテル
ミット系自燃性燃料は、テルミット反応剤であるアルミ
ニウム粉体と金属酸化物粉体のほかに、(i).化学兵器用
毒性化合物により汚染された化学兵器用弾頭部材の細片
を配合したもの、(ii).化学兵器から流出して化学兵器
用毒性化合物により汚染された周囲土壌を配合したも
の、(iii).産業廃棄物としての各種の灰体を配合したも
の、(iv).産業廃棄物としての灰プラを配合したもの、
(v).前記(i)〜(iv)を所望に組み合わせて配合したも
の、で構成されてもよいものである。なお、前記(2)(i)
〜(ii)の場合は、化学兵器用毒性化合物を燃焼分解する
ときに必然的に処理しなければならない汚染物質を一元
的に処理してしまうという意図が働いている。また、前
記(2)(iii)〜(iv)の場合、化学兵器用毒性化合物を燃焼
分解するときに、合わせて産業廃棄物として無害化処理
のニーズが高い灰体や廃プラを燃料成分として利用する
とともに、これら成分をも無害化しようという意図が働
いている。更に、前記(2)(iv)は、前記した両者の成分
(灰体及び廃プラ)を無害化しようという意図が働いて
いる。また、本発明において、テルミット系自燃性燃料
の燃料成分として前記した灰体及び/又は廃プラを含ま
せる理由は、テルミット反応剤以外のこれら灰体や廃プ
ラはテルミット反応の反応成分(灰体中の金属酸化物)
であったり、あるいはテルミット反応(燃焼反応)を支
援する可燃性成分(廃プラ)であったりするためであ
る。
【0042】本発明の前記化学兵器用毒性化合物を含有
する燃料は、前記した化学兵器用毒性化合物の吸着体成
分とテルミット系自燃性燃料の燃料成分を均一混合して
調製されるものである。本発明の前記化学兵器用毒性化
合物を含有する燃料の形態は、後述する実施態様に示さ
れるように、顆粒状(粉末状も含む)、棒状、あるいは
管状などの所望の形態でよいものである。本発明におい
て、前記した所望の燃料形態を実現するために、前記し
た燃料の構成成分、即ち前記した化学兵器用毒性化合物
の吸着体成分とテルミット系自燃性燃料の燃料成分から
なる構成成分に対して、保形性を付与するために各成分
を固着あるいは粘着するための可燃性媒体を添加しても
よいことはいうまでもないことである。
【0043】本発明において、前記可燃性媒体として、
天然鉱油系物質、合成油系物質、あるいはプラスチック
廃棄物などを使用することができる。なお、前記可燃性
媒体のうち、プラスチック廃棄物は、テルミット系自燃
性の燃料成分においてプラスチック廃棄物が使用される
ときは省略してもよいものである。前記、可燃性媒体と
して、重油、灯油、潤滑油、廃油などの天然鉱物系物
質、あるいはエステル系や低分子量ポリマー(ポリエチ
レンワツスなど)の合成油系物質を使用することができ
る。また、プラスチック廃棄物(分別回収されたプラス
チックのペレットなど)を可燃性媒体として使用するこ
とができる。
【0044】前記可燃性媒体は、化学兵器用毒性化合物
の吸着体成分及びテルミット系自燃性の燃料成分の各成
分を混合するとき、例えば混練機(ニーダ)や押出機中
で混合するとき、各成分を相互に固着あるいは粘着させ
ることができ、これにより各成分が均一に分散したテル
ミット系自燃性燃料を調製することができる。
【0045】本発明において、前記した化学兵器用毒性
化合物を含有する燃料を構成する成分、即ち化学兵器用
毒性化合物の吸着体成分、アルミニウム粉体と金属酸化
物粉体からなるテルミット反応剤、化学兵器用毒性化合
物で汚染された弾頭部材の細片や周囲土壌、及び産業廃
棄物の同時処理の観点から配合される各種の灰体及び/
又は廃プラ、更には、可燃性媒体の配合割合は所望に設
定すればよく、特段の制約を受けるものではない。例え
ば、テルミット反応剤、即ちアルミニウム粉体と金属酸
化物粉体の配合重量比は、一般に1:2〜1:4に設定
すればよい。また、アルミニウム粉体と金属酸化物粉体
を化学兵器用毒性化合物で汚染された弾頭部材の細片や
土壌(周囲土壌)、及び灰体(以下、他の成分とい
う。)のための溶融固化剤というとき、前記溶融固化剤
と他の成分の配合重量比は、一般に1:1〜1:4に設
定すればよい。更に、アルミニウム粉体と金属酸化物粉
体を他の成分のための溶融固化剤というとき、前記溶融
固化剤、他の成分及び可燃性媒体の配合重量比は、一般
に可燃性媒体を基準にして2:2:1〜2:8:1に設
定すればよい。
【0046】本発明において、前記他の成分において、
灰体に加えて廃プラを使用するとき、あるいは灰体にか
えて廃プラのみを使用するとき、廃プラの配合重量比は
前記灰体の配合重量比に類して所望に設定すればよい。
また、本発明の前記テルミット系自燃性燃料は、他の配
合成分、例えばテルミット反応の促進剤(硫化物や塩化
物など)、発火剤(過酸化バリウムとアルミニウム粉末
など)を含んでもよいことはいうまでもないことであ
る。
【0047】次に、本発明のテルミット系自燃性燃料の
燃焼方式について説明する。本発明において、テルミッ
ト系自燃性燃料は、前記したように燃焼時に極めて高い
反応熱(燃焼熱)を発生するものである。このため、燃
焼炉の耐久性、耐火性を長期に維持するという観点か
ら、テルミット系自燃性燃料は、燃焼に際して燃焼炉の
構成部材(耐火レンガなど)に無接触状態で燃焼される
ことが好ましい。
【0048】前記したテルミット系自燃性燃料の燃焼炉
内での無接触型燃焼方式を実現するために、燃料の形態
を固形状の棒状体とすることは好ましいことである。こ
れは、前記した固形状かつ棒状の形態の燃料棒を使用す
ることによって、片持ち状態の燃焼棒の先端部から炉材
に対して無接触状態で燃焼させることができるためであ
る。別言すれば、本発明のテルミット系自燃性燃料は空
間燃焼させることができる。
【0049】本発明において、後述する実施態様に示さ
れるように、テルミット系自燃性燃料の燃焼方式は、前
記した棒状に成形された燃料を燃焼炉内で炉材に対して
無接触状態で燃焼する方式のものに限定されず、所望の
燃焼方式を採用することができるものである。そして、
本発明において、テルミット系自燃性燃料の形態は、採
用する燃焼方式に適合した形態、例えば前記したように
顆粒状(ペレット状)、棒状、あるいは管状などの所望
の形態を採用しうるものである。
【0050】本発明の化学兵器用毒性化合物の燃焼分解
法において、テルミット系自燃性の燃料成分が、 (i).テルミット反応剤(アルミニウム粉体と金属酸化物
粉体)、及び、 (ii).化学兵器用毒性化合物で汚染された弾頭部材の細
片や周囲土壌、あるいは産業廃棄物としての灰体、から
選択された少なくとも1種の成分、で構成される場合、
前記(ii)成分は、テルミット反応剤の激しい発熱反応の
もとで溶融し、無害化された溶融物となる。なお、前記
溶融物は、前記(i)成分の燃焼反応生成物を含むことは
いうまでもないことである。前記(ii)成分の溶融物は、
所望の受容器に受容され、かつ冷却されて固化される。
前記冷却は、例えば下記に示すような所望の方式で行え
ばよい。(i).溶融物を冷却水で急冷水砕し、ガラス状の
水砕スラグ(固化物)とする。(ii).溶融物を空冷して
空冷スラグ(結晶化スラグ)とする。
【0051】前記した本発明の化学兵器用毒性化合物の
燃焼分解法における副産物としての溶融固化物は、コン
クリートの骨材や細骨材、下水道工事用のクッション
材、路盤材、道路舗装用ブロック材、透水性ブロック材
などとして再利用することができるものである。
【0052】本発明の化学兵器用毒性化合物の燃焼分解
法により、各種の毒性化合物は、完全に無害化分解され
る。なお、化学兵器用毒性化合物の燃焼分解により生成
する酸性物質や塩基性物質は、排気ガス処理系において
中和処理されて二次公害の発生がないように処理される
ことはいうまでもないことである。また、未分解の微量
の毒性化合物は活性炭などの吸着媒体に吸着され、毒性
化合物が分解処理系から排出されないようにされること
はいうまでもないことである。
【0053】
【実施例】以下、本発明の化学兵器用毒性化合物の燃焼
分解法を実施態様により更に詳しく説明する。なお、本
発明は、以下に説明する実施態様にのものに限定され
ず、また、参照図面のものに限定されないことはいうま
でもないことである。なお、以下の実施態様において、
化学兵器用毒性化合物は、イペリット(マスタードカ
ス)を所望の吸着量で活性炭に吸着させたものを使用し
た。
【0054】図1は、本発明の化学兵器用毒性化合物の
燃焼分解法に適用される第一実施態様の化学兵器用毒性
化合物の燃焼分解装置(A)を説明する図である。図示
されるように、本発明の化学兵器用毒性化合物の燃焼分
解法に適用される第一実施態様の化学兵器用毒性化合物
の燃焼分解装置(A)は、主たる構成要素として、
(B)…………燃焼装置、(C)…………排気ガスの循
環装置、(D)…………排気ガス管、(E)…………排
気ガス処理装置、(G)…………溶融物処理装置、から
構成される。
【0055】以下、前記第一実施態様の化学兵器用毒性
化合物の燃焼分解装置(A)の主たる構成要素について
説明する。燃焼装置(B)は、燃焼器本体(Ba)、燃
料供給器(Bb)、燃焼炉(Bc)、及び着火装置(B
d)から構成される。また、前記燃料供給器(Bb)
は、化学兵器用毒性化合物の吸着体成分及びテルミット
系自燃性の燃料成分からなる化学兵器用毒性化合物を含
有する燃料(B1)の各成分を均一混合し、かつ顆粒状
(例えば燃料ペレットの大きさを2mm前後とする。)
に成形することができるスクリューを内蔵した押出機
(スクリューフィーダ)により構成される。なお、前記
テルミット系自燃性の燃料成分は、アルミニウム粉体及
び金属酸化物粉体から成るテルミット反応剤を主成分と
して構成されることはいうまでもないことである。
【0056】本発明において、前記顆粒状の化学兵器用
毒性化合物を含有する燃料(B1)は、燃焼炉(Bc)
上に連続的に供給される。そして、燃焼炉(Bc)中に
供給された燃料(B1)は、着火装置(Bd)により着
火(例えば着火温度を1100〜1150℃に設定す
る。)され、自己の燃焼熱により持続的に燃焼すること
になる。なお、本発明のテルミット系自燃性の燃料成分
を含有する燃料(B1)は、着火により持続的に燃焼す
るが、燃焼を完全に持続させるために前記着火装置(B
d)を着火時だけでなく、その後も作動させてもよいこ
とはいうまでもないことである。
【0057】本発明において、化学兵器用毒性化合物
は、活性炭に吸収された形態(化学兵器用毒性化合物の
吸着体成分)で前記テルミット系自燃性の燃料成分の燃
焼域に供給される。テルミット系自燃性の燃料成分の燃
焼域に供給された化学兵器用毒性化合物は、燃焼域の極
めて高い燃焼熱(反応熱)により無害化、燃焼分解され
る。前記燃焼域は、テルミット反応のもとで発生する反
応熱によりプラズマ状態となっており、化学兵器用毒性
化合物は、前記テルミットプラズマ(thermit plasma)
の中で完全に分解され、無害化される。
【0058】本発明の第一実施態様の化学兵器用毒性化
合物の燃焼分解装置(A)は、燃焼により生成する燃焼
ガスを完全に無害化するために、図示されるように排気
ガスの少なくとも一部を燃焼装置(B)に循環させた循
環装置(C)を有するものであった。前記循環装置
(C)は、排気ガスの燃焼装置(B)への供給機構(C
a)、及び排気ガスの供給管(C1)から構成される。
また、燃焼系に所望量の酸素を供給するために、空気供
給管(C4)を配設して構成される。本発明において、
例えば燃料(B1)が燃焼域において十分な量の酸素を
供給する態様のものである場合、前記空気供給管
(C4)は、必ずしも必要なものではない。
【0059】活性炭などの吸着媒体に吸着された化学兵
器用毒性化合物は、テルミット系自燃性燃料の燃料成分
の燃焼域において、ハロゲン化炭化水素は燃焼分解され
るが、これにより発生する排気ガスは、排気ガス管
(D)により排気される。前記排気ガス管(D)は、図
示されるように、排気管本管(D1)及び排気ガスの少
なくとも一部を完全無害化のために排気ガスの供給装置
(C)を介して燃焼装置(B)へ排気ガスを循環させる
バイパス(D2)から構成される。本発明において、図
示しないが、排気ガス管(D)に集塵器を配設してもよ
いことはいうまでもないことである。
【0060】本発明において、前記排気ガス管(D)の
排気本管(D1)は、排気ガス処理装置(E)に接続さ
れる。本発明の化学兵器用毒性化合物のテルミット系自
燃性燃料の燃料成分の燃焼域における燃焼分解により、
排気ガス中には酸性物質などが生成するが、これら二次
公害源となる成分は、排気ガス処理装置(E)において
処理される。
【0061】前記排気ガス処理装置(E)としては、公
知の排気ガス処理システムなどを採用すればよく、特段
の制約を受けるものではない。前記排気ガス処理装置
(E)の具体的な構成は図示しないが、例えば、前記排
気ガス処理装置(E)は、(i).排気ガス中の酸性物質を
中和する中和装置、(ii).排気ガスの熱を回収する熱交
換装置、(iii).排気ガス中の未反応成分(微量の毒性化
合物)及び所望の成分を回収するための吸着装置、(i
v).集塵装置、(v).排気管(煙突)、などで構成され
る。前記した排気ガス処理装置(E)の構成要素のう
ち、排気ガス中に未反応の化学兵器用毒性化合物を除去
するために活性炭などで構成された吸着装置は重要なも
のである。本発明において、前記吸着装置から得られる
化学兵器用毒性化合物の吸着体成分は、燃料成分として
使用されることはいうまでもないことである。なお、図
中、記号(F)は、大気系に放出される洗浄な排気ガス
を意味するものである。
【0062】本発明の化学兵器用毒性化合物のテルミッ
ト系自燃性の燃料成分の燃焼域における燃焼分解法にお
いて、前記テルミット系自燃性の燃料成分の前記燃焼熱
により、化学兵器用毒性化合物を含有する燃料(B1
を構成する成分が溶融した溶融物が得られる。前記した
溶融物は、テルミット系自燃性燃料の燃料成分がテルミ
ット反応剤(アルミニウム粉体と金属酸化物粉体)と、
化学兵器用毒性化合物で汚染された弾頭部材や周囲土壌
を用いて構成される場合、これら成分の溶融混合物であ
る。そして得られる溶融物は、冷却固化されてコンクリ
ート用骨材、路盤材なとどして再利用することができ
る。なお、本発明において、テルミット系自燃性燃料
(B1)の構成成分として前記した成分以外に産業廃棄
物で無害化処理のニーズが高い各種灰体(集塵灰を含
む)や廃プラを使用することができ、このような場合で
も同様の溶融物が得られる。
【0063】このため、前記第一実施態様の化学兵器用
毒性化合物の燃焼分解装置(A)は、図1に示されるよ
うに溶融物処理装置(G)を併有するものである。前
記、溶融物処理装置(G)は、燃焼炉(Bc)中に蓄積
される溶融物(G1)を受容する溶融物受容器(G2)、
及び溶融物(G1)を冷却固化する溶融物固化器(G3
から構成される。本発明において、前記溶融物受容器
(G2)は、溶融物固化器(G3)の機能を兼備してもよ
い。また前記溶融物固化器(G3)は、空気冷却による
空冷式あるいは水による急冷式などに構成されてよいこ
とはいうまでもないことである。
【0064】図2は、本発明の化学兵器用毒性化合物の
燃焼分解法に適用される第二実施態様の化学兵器用毒性
化合物の燃焼分解装置(A)を説明する図である。図2
に示される第二実施態様の燃焼分解装置(A)が前記図
1に示される第一実施態様のものと大きく異なる点は、
(i).排気ガスの循環装置(C)において、気体状の化学
兵器用毒性化合物を燃焼域に確実に供給かつ分解するた
めに供給管(C1)の先端部が多岐管で構成されている
こと、(ii).燃焼器本体(Ba)に排気ガスを完全燃焼
させるために三本の補助バーナ(Bx、Bx、Bx)が
配設されていること、であり、その他の構成は実質的に
同じである。
【0065】図3は、本発明の化学兵器用毒性化合物の
燃焼分解法に適用される第三実施態様の化学兵器用毒性
化合物の燃焼分解装置(A)を説明する図である。図3
に示される第三実施態様の燃焼分解装置(A)が前記図
1に示される第一実施態様のものと大きく異なる点は、
(i).テルミット系自燃性燃料(B1)が、所望の固着剤
もしくは粘着剤で各成分が固着された棒状のもので構成
されていること、(ii).前記燃料(B1)の形態に適合し
た着火装置(Bd)が採用されていること、であり、そ
の他の構成は実質的に同じである。
【0066】図4は、前記棒状の燃料(B1)を説明す
る図である。図4(a)は、棒状態様(B1)の軸芯を
通る断面図であり、図4(b)は図4(a)のI−I線
断面図である。図4に示されるように、前記棒状の燃料
(B1)は、化学兵器用毒性化合物の吸着体成分とテル
ミット系自燃性燃料の燃料成分は所望の固着剤で固着さ
れた棒状のものである。
【0067】前記棒状の燃料(B1)は、図示されるよ
うに燃料供給器(Bb)の先端部から燃焼速度に適合さ
せて押出し供給される。なお、前記燃料(B1)は、図
示されるように均一に燃焼するように回転させられる。
また、着火装置(Bd)は、図示されるように、(i).燃
料(B1)に対し水平方向に所望距離を維持することが
できるものと、(ii).前記燃料(B1)の形態に垂直方向
に所望距離を維持し、かつ水平方向に移動可能なもの、
の二種類が配設されている。前記棒状燃料(B1)と着
火装置(Bd)の組み合わせにより、棒状燃料(B1
は完全燃焼される。なお、前記着火装置(Bd)は、前
記棒状燃料(B1)と同様に、燃料(B1)を完全燃焼さ
せるために回転する構造のものであってもよいことはい
うまでもないことである。
【0068】前記棒状燃料(B1)の燃焼により、図示
されるように、燃焼と同時に燃料成分の溶融物(G1
が生成し、傾斜壁面を有する燃焼炉(Bc)上に落下す
る。なお、溶融物(G1)は燃焼炉(Bc)上に落下し
た後も化学兵器用毒性化合物を燃焼分解する能力を十分
に有するものである。このため、前記図3に示される燃
焼分解装置(A)において、棒状燃料(B1)の燃焼方
式にあわせて、排気ガスの循環装置(C)の排気ガス供
給管(C1)から排気ガスの少なくとも一部が図示の態
様で棒状燃料(B1)の燃焼系に供給され、化学兵器用
毒性化合物は完全に燃焼分解される。
【0069】図5は、本発明の化学兵器用毒性化合物の
燃焼分解法に適用される第四実施態様の化学兵器用毒性
化合物の燃焼分解装置(A)を説明する図である。図5
に示される第四実施態様の燃焼分解装置(A)が前記図
3の第三実施態様のものと大きく異なる点は、(i).燃焼
器本体(Ba)の内部に、棒状燃料(B1)の燃焼によ
り生成する溶融物(G1)を受容する燃焼炉(Bc)を
配設していること、(ii).前記燃焼炉(Bc)において
溶融物(G1)の完全燃焼及び溶融物(G1)による排気
ガスの燃焼分解を完全に行なわしめるために燃焼補助用
バーナ(Bx)を配設していること、であり、その他の
構成は実質的に同じである。
【0070】図6は、本発明の化学兵器用毒性化合物の
燃焼分解法に適用される第五実施態様の化学兵器用毒性
化合物の燃焼分解装置(A)を説明する図である。図6
に示される第五実施態様の燃焼分解装置(A)が前記図
5に示される第四実施態様のものと大きく異なる点は、
燃焼器本体(Ba)に排気ガスを完全に燃焼させるため
に三本の補助バーナ(Bx、Bx、Bx)が配設されて
いる点であり、この他の構成は実質的に同じである。
【0071】本発明の化学兵器用毒性化合物の燃焼分解
法に適用される化学兵器用毒性化合物の吸着体成分とテ
ルミット系自燃性燃料の燃料成分とから成る化学兵器用
毒性化合物を含有する燃料(B1)は、前記した燃料の
構成成分を均一に混合した顆粒状物(ペレット)や棒状
体のものに限定されない。以下、前記燃料(B1)の他
の構成について説明する。
【0072】図7は、棒状燃料(B1)の他の構成を説
明する図である。なお、図7(a)は燃料(B1)の軸
芯を通る断面図であり、図7(b)は前記図6(a)の
II−II線断面図である。図中、(B11)は、燃料
(B1)の構成成分のうち、テルミット反応剤(アルミ
ウム粉体と金属酸化物粉体)を示し、(B12)はその他
の構成成分を示す。図7に示される棒状燃料(B1
は、中心部にテルミット反応剤(B11)からなる棒状体
が配置され、その周囲に化学兵器用毒性化合物の吸着体
成分などの他の成分(B12)が円柱状に配置されて構成
されるものである。前記した構成の燃料(B1)におい
ても、吸着体に吸着された化学兵器用毒性化合物をテル
ミット反応剤(B11)の燃焼熱により完全に無害化する
ことができる。
【0073】図8は、棒状燃料(B1)の他の構成を説
明する図である。なお、図8(a)は、燃料(B1)の
軸芯を通り断面図であり、図8(b)は前記図8(a)
のIII−III線断面図である。図8に示される棒状燃料
(B1)は、テルミット反応剤(B11)で製作された円
筒管体の内部空間に他の成分(B12)が充填されて構成
されたものである。前記した構造の燃料(B1)におい
ても、吸着体に吸着された化学兵器用毒性化合物をテル
ミット反応剤(B11)の燃焼熱により完全に無害化する
ことができる。
【0074】図9は、棒状燃料(B1)の更に他の構成
を説明する図である。なお、図9(a)は、燃料
(B1)の軸芯を通る断面図であり、図9(b)は前記
図9(a)のIV−IV線断面図である。図9に示される棒
状燃料(B1)は、前記図8に示される棒状燃料(B1
と比較して中心部にテルミット反応剤(B11)で製作し
た棒状体を配設している点が異なるだけであり、その他
の構成は実質的に同じものである。前記した構造の燃料
(B1)においても、吸着体に吸着された化学兵器用毒
性化合物をテルミット反応剤(B11)の燃焼熱により完
全に無害化することができる。
【0075】
【発明の効果】本発明の化学兵器用毒性化合物の燃焼分
解法は、(1).化学兵器用毒性化合物を所望の吸着媒体に
吸着させてなる化学兵器用毒性化合物の吸着体成分、及
び、(2).アルミニウム粉体及び金属酸化物粉体からなる
テルミット反応剤を主成分とするテルミット系自燃性燃
料の燃料成分、とからなる化学兵器用毒性化合物を含有
する燃料をクローズドシステム化された条件の中で燃焼
することにより行なわれるものである。
【0076】本発明のテルミット反応(thermit reatio
n)により激しい発熱をともなって燃焼するテルミット
反応剤(アルミニウム粉体及び金属酸化物粉体)を主成
分とするテルミット系自燃性燃料の燃料成分の燃焼系を
利用した化学兵器用毒性化合物の燃焼分解法は、効率的
であり、経済的である。更に、化学兵器用毒性化合物は
テルミット系自燃性燃料の強烈な燃焼熱(thermit plas
ma)のもとで、完全分解されるため、未分解の毒性化合
物や有害な排気ガスなどの二次公害物質を発生すること
がなく、かつ、燃焼系から得られる溶融固化物は再利用
(再資源化)されるという多くの優位性を有するもので
ある。
【0077】本発明のテルミット系自燃性燃料の燃焼系
を利用した化学兵器用毒性化合物の燃焼分解法におい
て、毒性の高いイペリット(マスタードガス)やルイサ
イトなどを含む各種の化学兵器用毒性化合物が効率的か
つ経済的に完全に無害化、燃焼分解される。なお、化学
兵器用毒性化合物は、近く発効される化学兵器禁止条約
の精神に照らして、過去の多くの戦闘地域において地中
に埋設されているものや、現在、保管施設に保管されて
いるものなど、緊急に無害化処理が求められているもの
である。
【0078】本発明のテルミット系自燃性燃料の燃焼系
を利用した化学兵器用毒性化合物の燃焼分解法におい
て、テルミット系自燃性燃料をテルミット反応剤に加え
て、例えば地中に埋設された化学兵器を処理する場合、
同時に無害化処理が求められている化学兵器用毒性化合
物で汚染された弾頭部材や周囲土壌をも燃料の構成成分
とすることができる。このような場合、化学兵器用毒性
化合物の無害化に加えて、燃焼後に副産物として得られ
る溶融物の冷却固化物(スラグ)はコンクリート用骨材
などとして再利用することができる。
【0079】本発明のテルミット系自燃性燃料の燃焼系
を利用した化学兵器用毒性化合物の燃焼分解法におい
て、テルミット系自燃性燃料をテルミット反応剤に加え
て、産業廃棄物である各種の灰体(集塵灰を含む。)を
利用して構成することができる。このような場合、化学
兵器用毒性化合物の無害化に加えて、灰体の減用化、再
資源化などを図ることができるため、本発明は灰体の公
害防止技術としても重要な意味を有する。なお、前記灰
体を利用したテルミット系自燃性燃料の燃焼により副生
される溶融物の固化体(スラグ)は、コンクリート用骨
材などとして再利用することができる。
【0080】本発明のテルミット系自燃性燃料の燃焼系
を利用した化学兵器用毒性化合物の燃焼分解法におい
て、テルミット系自燃性燃料をテルミット反応剤に加え
て、産業廃棄物であるプラスチック廃棄物などの可燃性
廃棄物を利用して構成することができる。このような場
合、化学兵器用毒性化合物の無害化に加えて、産業廃棄
物である可燃性廃棄物をも無害化、燃焼することができ
るため、本発明は可燃性産業廃棄物の処理技術としても
重要な意味を有する。
【0081】本発明は、前記した廃プラや灰体(集塵灰
を含む。)のテルミット系自燃性燃料への適用から分か
るように、可燃性廃棄物にとどまらず、可燃性廃棄物と
不燃性廃棄物を組み合わせてテルミット系自燃性燃料の
燃料成分を構成することができる。このような場合も、
本発明は産業廃棄物の処理技術として重要な意味を有す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の化学兵器用毒性化合物の燃焼分解法
に適用される第一実施態様の燃焼分解装置(A)を説明
する図である。
【図2】 本発明の化学兵器用毒性化合物の燃焼分解法
に適用される第二実施態様の燃焼分解装置(A)を説明
する図である。
【図3】 本発明の化学兵器用毒性化合物の燃焼分解法
に適用される第三実施態様の燃焼分解装置(A)を説明
する図である。
【図4】 図3の燃焼分解装置に適用される棒状燃料
(B1)を説明する図である。
【図5】 本発明の化学兵器用毒性化合物の燃焼分解法
に適用される第四実施態様の燃焼分解装置(A)を説明
する図である。
【図6】 本発明の化学兵器用毒性化合物の燃焼分解法
に適用される第五実施態様の燃焼分解装置を説明する図
である。
【図7】 棒状燃料(B1)の第一変形例を説明する図
である。
【図8】 棒状燃料(B1)の第二変形例を説明する図
である。
【図9】 棒状燃料(B1)の第三変形例を説明する図
である。
【符号の説明】
A …………… 化学兵器用毒性化合物の燃焼装置 B …………… 燃焼装置 Ba …………… 燃焼器本体 Bb …………… 燃料供給器 Bc …………… 燃焼炉 Bd …………… 着火装置 B1 …………… 化学兵器用毒性化合物を含有する燃料 B11 …………… テルミット反応剤成分 B12 …………… 燃料(B1)のテルミット反応剤成分
(B11)以外の成分 Bx …………… 燃焼補助バーナ C …………… 排気ガスの循環装置 Ca …………… 排気ガスの燃焼装置(B)への供給
機構 C1 …………… 排気ガスの供給管 C2 …………… 空気の供給管 D …………… 排気ガス管 D1 …………… 排気管本管 D2 …………… バイパス E …………… 排気ガス処理装置 F …………… 清浄な排気ガス G …………… 溶融物処理装置 G1 …………… 溶融物 G2 …………… 溶融物受容器 G3 …………… 溶融物固化器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI F23G 7/06 101 F23J 1/00 B 7/12 ZAB B09B 3/00 ZAB F23J 1/00 303Z

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化学兵器用毒性化合物を燃焼して分解す
    る方法において、 (1).化学兵器用毒性化合物を吸着媒体に吸着させてなる
    化学兵器用毒性化合物の吸着体成分、及び、 (2).アルミニウム粉体及び金属酸化物粉体からなるテル
    ミット反応剤を主成分とするテルミット系自燃性燃料の
    燃料成分、とから構成した化学兵器用毒性化合物を含有
    する燃料を燃焼することを特徴とする化学兵器用毒性化
    合物の燃焼分解法。
  2. 【請求項2】 吸着媒体が、活性炭である請求項1に記
    載の化学兵器用毒性化合物の燃焼分解法。
  3. 【請求項3】 テルミット系自燃性の燃料成分が、 (i).テルミット反応剤であるアルミニウム粉体と金属酸
    化物粉体、及び、(ii).化学兵器用毒性化合物で汚染さ
    れた化学兵器用弾頭部材の細片、を含むものである請求
    項1に記載の化学兵器用毒性化合物の燃焼分解法。
  4. 【請求項4】 テルミット系自燃性の燃料成分が、 (i).テルミット反応剤であるアルミニウム粉体と金属酸
    化物粉体、(ii).化学兵器用毒性化合物で汚染された化
    学兵器用弾頭部材の細片、及び、(iii).化学兵器用弾頭
    部材から流出した化学兵器用毒性化合物で汚染された周
    囲土壌、を含むものである請求項1に記載の化学兵器用
    毒性化合物の燃焼分解法。
  5. 【請求項5】 テルミット系自燃性の燃料成分が、 (i).テルミット反応剤であるアルミニウム粉体と金属酸
    化物粉体、(ii).化学兵器用毒性化合物で汚染された化
    学兵器用弾頭部材の細片、及び、(iii).焼却灰及び/又
    は集塵灰からなる灰体、プラスチック廃棄物、からなる
    群から選ばれた少なくとも1種の成分、を含むものであ
    る請求項1に記載の化学兵器用毒性化合物の燃焼分解
    法。
  6. 【請求項6】 テルミット系自燃性の燃料成分が、 (i).テルミット反応剤であるアルミニウム粉体と金属酸
    化物粉体、(ii).化学兵器用毒性化合物で汚染された化
    学兵器用弾頭部材の細片、(iii).化学兵器用弾頭部材か
    ら流出した化学兵器用毒性化合物で汚染された周囲土
    壌、及び、(iv).焼却灰及び/又は集塵灰からなる灰
    体、プラスチック廃棄物、からなる群から選ばれた少な
    くとも1種の成分、を含むものである請求項1に記載の
    化学兵器用毒性化合物の燃焼分解法。
  7. 【請求項7】 化学兵器用毒性化合物の吸着体成分及び
    テルミット系自燃性の燃料成分とからなる化学兵器用毒
    性化合物を含有する燃料が、燃料の構成成分を固着する
    ための可燃性媒体を含むものである請求項1に記載の化
    学兵器用毒性化合物の燃焼分解法。
  8. 【請求項8】 可燃性媒体が、天然鉱油系物質、合成油
    系物質及びプラスチック廃棄物から選ばれた少なくとも
    1種のものである請求項7に記載の化学兵器用毒性化合
    物の燃焼分解法。
  9. 【請求項9】 化学兵器用毒性化合物の吸着体成分及び
    テルミット系自燃性の燃料成分からなる化学兵器用毒性
    化合物を含有する燃料の形態が、顆粒状、棒状、及び管
    状から選ばれた所望の形態のものである請求項1に記載
    の化学兵器用毒性化合物の燃焼分解法。
  10. 【請求項10】 化学兵器用毒性化合物の燃焼分解によ
    り得られる排気ガスの少なくとも一部が、化学兵器用毒
    性化合物の吸着体成分及びテルミット系自燃性の燃料成
    分からなる化学兵器用毒性化合物を含有する燃料の燃焼
    域及び/又は前記燃料の燃焼溶融物に対して循環供給さ
    れるものである請求項1に記載の化学兵器用毒性化合物
    の燃焼分解法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20190048484A (ko) * 2017-10-31 2019-05-09 국방과학연구소 화학 작용제 제독을 위한 활성백토 기반의 반응성 흡착제 및 이를 사용하는 제독방법

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