JPH10114675A - エンドトキシン誘発性疾患治療薬 - Google Patents

エンドトキシン誘発性疾患治療薬

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JPH10114675A
JPH10114675A JP8270247A JP27024796A JPH10114675A JP H10114675 A JPH10114675 A JP H10114675A JP 8270247 A JP8270247 A JP 8270247A JP 27024796 A JP27024796 A JP 27024796A JP H10114675 A JPH10114675 A JP H10114675A
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JP
Japan
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histatin
lps
endotoxin
histatins
lactoferrin
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JP8270247A
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Yoshinori Kuboki
芳徳 久保木
Hourei Ou
宝禮 王
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Japan Energy Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エンドトキシン誘起性疾患、例えば、敗血症
或いはグラム陰性菌症のショック症状を緩和軽減する効
果を持つ医薬組成物の提供。 【解決手段】 ヒト由来唾液蛋白質ヒスタチン類、特
に、ヒスタチン5を有効成分とするエンドトキシン誘発
性疾患治療薬。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンドトキシン誘
発性疾患の抑制、治療目的に使用できる医薬組成物、特
に、エンドトキシン(endotoxin) により誘発される疾患
のうち、敗血症或いはグラム陰性菌症のショック症状の
緩和軽減を目的とした治療に利用できる医薬組成物に関
する。
【0002】
【従来の技術】リポ多糖(LPS: lipopolysaccharid
e )、具体的にはグラム陰性菌のエンドトキシンは、免
疫学的には、直接免疫系細胞を活性化する菌体成分型ア
ジュバントとして作用し、免疫反応を非選択的に促進す
るとともに、補体第二経路の活性化を果たすことがよく
知られており、これらLPSの生物活性は、主にリピド
Aと称される部分によることが報告されている。この免
疫反応の非選択的な促進活性に起因して、種々のグラム
陰性菌のエンドトキシンが血液中に混入すると、エンド
トキシンショック、敗血症性ショックにいたる全身性炎
症反応症候群(SIRS)が誘発される。その炎症反応
が進行する過程において、エンドトキシン(LPS)と
マクロファージ等の細胞膜上に存在する受容体CD14
との結合が重要であると報告されている(J. Immunol.,
150, 285-289 (1993)等)。この際、LPSとリポ多糖
体結合蛋白質(LBP: LPS-binding protein)の複合
体が前記の受容体CD14との結合に与り、それに伴い
TNF−α(tumor necrosisfactor-α)産生を誘導す
ることが示唆されている(T.R. Martin et al., J. Cli
n. Invest., 90, 2209-2219 (1992)等)。同時に、その
他のサイトカイン類、例えば、IL−1等の産生が促進
される。
【0003】LPSのリピドA領域に選択的に結合する
HA−1Aヒトモノクローナル抗体等の中和抗体が、エ
ンドトキシン(LPS)によるマクロファージ活性化、
TNF−α産生誘発を阻害する目的での応用が提案され
ている(E.J. Ziegler et al., N. Engl. J. Med.,324,
429-436 (1991))。また、LBPの部分ペプチド鎖を
用いて、LPSとLBPとの複合体形成を競争的に阻害
する試み(WO 95/08560 等)もなされている。これらL
PSとの結合能を有する中和抗体等を利用するショック
症状の軽減、予防法は、ある程度の効果は達成されるも
のの、例えば、中和抗体については、アレルギーを誘発
する可能性を含む等新たな問題を内在するものである。
このため、アレルギー誘発等の問題を含まないヒト由来
の蛋白質、ペプチドであり、かつLPSとの結合能を有
するものを用いて、エンドトキシン(LPS)により誘
発される疾患の抑制、治療目的に使用できる医薬組成物
の提供が望まれている。
【0004】耳下腺等から分泌される唾液中に含まれ、
ヒスチジンに富むポリペプチドであるヒスタチン類は、
幾つかの細菌(Streptococcus mutans)、真菌(Candid
a albicans)に対して抗菌作用を示すこと、口腔内にお
ける非免疫的な防御機構に大きく関与するであろうこと
が報告されている(F.G. Oppenheim et al., J. Biol.
Chem.,263, 7472-7477 (1988)等)。加えて、前記の抗
菌作用は、成長阻害或いは殺傷作用によるものであり、
これら微生物の外部細胞膜上にヒスタチンが結合する過
程があるであろうと推定されている。また、グラム陰性
菌に対する抗生物質として知られているポリミキシンB
と比較し得る程度のLPSに対する結合能を、ヒスタチ
ンも示すことが報告されている。その殺菌作用を利用
し、口腔内における感染の防止等の応用は提案されてい
るが、敗血症或いはグラム陰性菌症のショック症状の緩
和軽減を目的とした治療への適用は提案されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記の課題
を解決するものであり、本発明の目的は、エンドトキシ
ン(LPS)により誘起される疾患、例えば、敗血症或
いはグラム陰性菌症のショック症状を緩和軽減する効果
を持つ医薬組成物、特に、ヒト由来蛋白質を有効成分と
して利用する医薬組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ヒト唾液
中より単離される種々の可溶性蛋白質の生理活性、特
に、抗菌作用、抗真菌作用等の研究を進め、既に論文
(K. Sugiyama, Experientia, 49, 1095-1097 (1993))
に公表されているとおり、ヒト由来唾液蛋白質ヒスタチ
ン類がグラム陰性菌のエンドトキシン(LPS)と強い
結合能を示すことを確認した。更に、このLPSに対す
る結合能に付随して、ヒト由来唾液蛋白質ヒスタチン類
がLPSの種々の細胞への結合を阻害する作用を有する
こと、加えて、エンドトキシン(LPS)により誘起さ
れる疾患、例えば、敗血症或いはグラム陰性菌症のショ
ック症状の緩和軽減する効果に際だっていることを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0007】即ち、本発明は、ヒト由来唾液蛋白質ヒス
タチン類を有効成分として含有する医薬組成物の発明で
あり、具体的には、ヒト由来唾液蛋白質ヒスタチン類を
有効成分として含有するエンドトキシン誘発性疾患治療
薬である。また、本発明の医薬組成物には、更に、ラク
トフェリンを有効成分として含有せしめてもよく、この
場合、ヒト由来唾液蛋白質ヒスタチン類の有効量に、相
乗効果を発揮する量のラクトフェリンを添加することが
好ましい。本発明の医薬組成物は、前記エンドトキシン
誘発性疾患のうち、敗血症に適用すると好適である。な
お、本発明の医薬組成物において利用されるヒスタチン
類として、ヒスタチン5、ヒスタチン6又はヒスタチン
3を用いることが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の医薬組成物における主有
効成分であるヒト由来唾液蛋白質ヒスタチン類は、唾液
中に存在するヒスチジンに富むポリペプチドであり、既
にその単離精製法の確立及び一次構造の解明は行われ、
少なくとも12種類のサブグループの存在が報告されて
いる。既に、報告されているとおり(R.F. Troxler et
al., J. Dent. Res., 69(1), 2-6 (1990) 等)、ヒスタ
チン類は、そのアミノ酸配列の相同性から、ヒスタチン
1及び2、ヒスタチン3〜12は、それぞれグループを
なしている。即ち、ヒスタチン2はヒスタチン1からペ
プチダーゼにより部分的な酵素消化を受けた断片と考え
られ、ヒスタチン4〜12は、ヒスタチン3由来の断片
と考えられる。
【0009】これら複数種のヒスタチン類のうち、ヒス
タチン5は、下記のアミノ酸配列(I)(配列番号:
1)のペプチド鎖からなっており、唾液中の含有量の高
いものの一種である(F.G. Oppenheim, et al., J. Bio
l. Chem., 263, 7472-7477 (1988) 等)。 アミノ酸配列(I)(配列番号:1)
【0010】
【化1】 Asp Ser His Ala Lys Arg His His Gly Tyr Lys Arg Lys Phe His 1 5 10 15 Glu Lys His His Ser His Arg Gly Tyr 20 24
【0011】なお、このヒスタチン5の唾液試料より分
離方法は、公表された文献(Kawasaki, Kuboki et al.,
Eur. J. Biochem.,159, 249 (1986))に報告されてい
る。ヒスタチン類のエンドトキシン(LPS)に対する
結合能に関しては、既に論文(K. Sugiyama, Experient
ia, 49, 1095-1097 (1993))に報告されているとおり、
例えば、リムルステストにおいて、LPS 0.1 ng/mlに
対して、ヒスタチン5 5 ng/ml以上でゲル化を完全に阻
止すること、LPSの示す抗補体活性の阻害に関して
も、赤血球溶血反応により評価すると、LPSのリピド
A 0.1μg に対して、ヒスタチン5 1.5μg で90%を
越える阻害効果を示すこと、更には、LPSのリピドA
領域と結合することが知られているポリミキシンBと対
比させ、二次元拡散実験により、LPSに対する結合能
を確認したところ、ヒスタチン515 μg とポリミキシ
ンB 20 μg とで同等の複合体形成に伴う沈降が確認さ
れている。また、ヒスタチン5とポリミキシンBのLP
Sの示す抗補体活性の阻害効果も同程度であることも確
認された。
【0012】なお、アミノ酸配列の相同性の点から、ヒ
スタチン5或いはヒスタチン3とは異なるグループとさ
れるヒスタチン1もその活性は劣るものの、LPSに対
する結合能を示す。ヒスタチン1は、そのアミノ酸配列
の違いのみでなく、第2番目のアミノ酸残基がリン酸化
されたセリンである点でも、ヒスタチン5等と異なって
いる。アミノ酸配列の違いに加えて、このリン酸化され
たセリンの存在が、活性の違いに関与するとも予測でき
る。特に、リピドAの如く、リン酸化を受けた骨格を含
む領域との結合において、何らかの影響を与えることが
想定される。従って、脱リン酸化されたヒスタチン1
は、天然のヒスタチン1と結合能の点で相違を生ずるこ
とも想定できる。
【0013】本発明の医薬組成物に利用できるヒスタチ
ン類としては、ヒスタチン5が最も好ましいが、ヒスタ
チン5のアミノ酸配列を含むヒスタチン3及びヒスタチ
ン6を用いても、ヒスタチン5と同様に好ましい結果が
達成される。即ち、このヒスタチン3及びヒスタチン6
は、LPSに対する結合においては、ヒスタチン5のア
ミノ酸配列を保持するので、全く遜色がない。また、ヒ
スタチン5のアミノ酸配列を保持する限り、ヒスタチン
6の如く、ヒスタチン3に含まれるアミノ酸配列の一部
を欠くものも、同様に利用することができる。
【0014】一方、ラクトフェリン(ラクトトランスフ
ェリン)は、哺乳類の数種のミルクに見出される鉄結合
性糖蛋白質であり、ヒト血清中に存在するβ1 −鉄結合
グロブリンであるトランスフェリンとは化学的、免疫学
的性質が異なることが知られている。そのペプチド部分
のアミノ酸配列が異なっているともされている。また、
その役割の点でも、ラクトフェリンは、赤血球へ鉄分を
輸送する過程に関与すると考えられているが、血清トラ
ンスフェリンは、血中の鉄と結合し、骨髄や肝臓の再生
成組織へ運ぶ働きをするものとされている。
【0015】ヒスタチン類自体は、ヒト由来の蛋白質で
あるので、勿論毒性を示さず、連続的に投与を行うに際
して、この蛋白質に対する抗体生成等の好ましからざる
抗原性に起因する免疫反応を引き起こすことはない。ラ
クトフェリンに関しても、通常経口的に摂取するミルク
中に含まれる蛋白質であるので、好ましくない抗原性を
示すことはない。
【0016】下記の実施例に示すとおり、ラクトフェリ
ンを併用することにより、ヒスタチン類の有する、エン
ドトキシン(LPS)により誘起される疾患、例えば、
敗血症或いはグラム陰性菌症のショック症状の緩和軽減
する効果を格段に向上することが可能である。この際、
併用するラクトフェリンの用量は、低い用量でよく、即
ち、ラクトフェリン自体を投与する際には、効果が僅か
であるが、ヒスタチン類を同時に用いることで相乗的に
治療効果の格段の向上を果たす用量を用いるのが好まし
い。
【0017】本発明の医薬組成物において、有効成分と
して利用されるヒスタチン5を初めとするヒスタチン
類、並びにラクトフェリンは、いずれも水溶性に富む蛋
白質であるため、両者とも容易に注射剤等、血管内投与
に利用される液剤に調製することができる。エンドトキ
シン誘発性疾患は、全身性免疫反応に伴う疾患であるた
め、静脈注射、点滴等の血管内投与されるのが通常であ
る。本発明の医薬組成物の用量は、患者の年齢、性別、
体重に応じて、また投与の目的、症状の軽重に従って異
なるが、通常、ヒスタチン類として1回血中濃度 0.2〜
10.0μMに相当する量を1日1〜数回血管内投与する。
また、併用するラクトフェリンの用量は、前述するとお
り、相乗効果を発揮する量とするのが好ましい。一般
に、ヒスタチン類の用量1回量血中濃度 0.2〜3.0 μM
に相当する量に対して、ラクトフェリンの用量を1回量
血中濃度 5〜50μg/mlに相当する量の範囲等に選択する
ことが好ましい。
【0018】本発明の医薬組成物のエンドトキシン誘発
性疾患に対する発症の抑制緩和の作用は、エンドトキシ
ン(LPS)の刺激によるマクロファージからのTNF
−α産生の閾値を著しく低下させるLPS/LBP複合
体の形成を抑制することによると予測される。即ち、ヒ
スタチン類、特にヒスタチン5等は、LPSのリピドA
領域と選択的かつ速やかに結合するので、前記のLPS
/LBP複合体形成を競争的に阻害することができ、そ
れに伴いLPS/LBP複合体がマクロファージ細胞膜
上の受容体CD14に結合する過程を抑制できる。ま
た、LPSとヒスタチン類の結合した複合体は、もはや
マクロファージ細胞膜上の受容体CD14等に結合する
能力が極度に劣るため、TNF−α産生を始め、その他
炎症性液性因子の産生が引き起こされない。このような
機構により、過剰な免疫反応とそれに引き続き起こる種
々のショック症状への進行が抑えられると考えられる。
【0019】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に具体的に説
明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものでは
ない。
【0020】(実施例1)マウス敗血症モデルを利用し
て、LPS致死毒性に対するヒスタチン5投与による延
命効果を検証した。用いた系は、エンドトキシンショッ
クモデルとしてよく知られている、Propionibacterium
acnes (P. acnes)を予め前投与しておき、LPS量1〜
10μg/bodyの投与でエンドトキシンショックを誘導する
実験系である(MINOPHAGEN MEDICALREVIEW, 1995 JUL 4
0(4) 42-45 等)。この系では、前投与したP. acnesの
刺激によりTh1細胞が誘導を受け、このTh1細胞か
ら産生されるTNF−γがマクロファージに作用して、
活性化マクロファージが誘導されている。この活性化マ
クロファージはLPSに対する応答性を獲得しているた
め、少量のLPS投与に反応して、TNF−α、IL−
1等を過剰産生する。この過剰産生されたTNF−α、
IL−1等の作用で、ショック症状が誘発される。
【0021】前記のエンドトキシンショックモデルに対
して、LPS投与の2時間前にヒスタチン5を投与し、
LPS投与後24時間経過時における生存率を、ヒスタ
チン非投与(参照群)と比較した。なお、本試験では、
ヒスタチン5を含む被験試料として、ヒト唾液100 μl/
bodyを血管内投与した。また、ヒスタチン5等の肝臓に
おける代謝を遅らせる目的で、LPS投与の際、LPS
1μg/bodyとガラクトサミン30 mg/kgを同時に血管内投
与した。ヒスタチン5の投与群では、生存個体数は4/
5であったが、非投与群では、生存個体数は0/5であ
った。
【0022】この結果より、ヒスタチン5は、予めLP
Sに対する応答性を獲得した活性化マクロファージが誘
導されている系においても、LPS投与により誘起され
る重篤なショック症状を軽減緩和する効果を示すことが
判る。
【0023】(実施例2)前記するマクロファージへの
LPS結合に対するヒスタチン5の阻害効果が、ラクト
フェリンを並行して投与することを検証する目的で、類
似する機構により、細胞上にLPS結合が起こると考え
られる繊維芽細胞へのLPS結合に対する、ヒスタチン
5とラクトフェリンの単独による阻害効果と、併用によ
る格段の阻害効果の向上を検証した。
【0024】評価系は、歯肉繊維芽細胞へのフルオレセ
インイソチオシアネート(FITC)−LPSの結合に対する
ヒスタチン5とラクトフェリンの阻害活性を、フローサ
イトメトリーにより結合FITC-LPS量の減少を測定した。
なお、測定結果を基に、阻害率として算定した。表1
に、ラクトフェリンを単独で添加した際の阻害活性を、
表2に、ヒスタチン5を単独で添加した際の阻害活性を
示す。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】 ヒスタチン5添加量(μM) 阻害率(%) 0.05 8 0.1 9 0.2 30 0.4 37 0.8 32 1.6 33 3.125 42 6.25 49
【0027】前記の結果に示されるとおり、ヒスタチン
5及びラクトフェリンともに、歯肉繊維芽細胞へのLP
S結合に対する阻害活性を示すことが確認された。次い
で、ラクトフェリンを併用することにより、ヒスタチン
5の阻害活性が格段に高まることを検証した。即ち、前
記表1に示されるラクトフェリン単独では、阻害率が低
いラクトフェリン添加量5μg/mlを並行して添加した
際、歯肉繊維芽細胞へのLPS結合に対する阻害率に対
するヒスタチン5添加量依存性を測定した。表3に、ラ
クトフェリン併用の有無による違いを対比して示す。
【0028】
【表3】 ヒスタチン5添加量(μM) 阻害率(%) ラクトフェリン無 ラクトフェリン有 0.05 8 39 0.1 9 47 0.2 30 44 0.4 37 43 0.8 32 43 1.6 33 63 3.125 42 53 6.25 49 45
【0029】表3に示すとおり、ラクトフェリン5μg/
mlを併用することにより、阻害率は格段に向上してお
り、特に最大の阻害率を示すヒスタチン5の添加量は、
1.6 μMとなっていることが判る。即ち、ヒスタチン5
の添加量が3μM以下の範囲で少量のラクトフェリンを
併用することによる阻害活性の向上が著しい結果と解さ
れる。この範囲においては、明らかに相乗的と認められ
る阻害活性の向上が観測された。
【0030】この併用による阻害率の格段の向上の機構
は判然とはしないが、ヒスタチン5は、LPSのリピド
Aの領域に作用するが、ラクトフェリンはヒスタチン5
とは異なる機構でLPSと相互作用、結合を行い、その
違いに起因して、ヒスタチン5のLPSへの結合を触媒
的に促進する作用を果たしていることを示唆する結果と
も考えられる。
【0031】
【発明の効果】本発明の医薬組成物は、ヒスタチン類、
特にヒスタチン5を有効成分として、エンドトキシン
(LPS)の刺激によるマクロファージからのTNF−
α産生の閾値を著しく低下させるLPS/LBP複合体
の形成を抑制することができ、TNF−α産生を始め、
その他炎症性液性因子の産生を有効に抑制する効果をも
つ。従って、エンドトキシン(LPS)の由来する細菌
の種類に依らず、かつ広範なLPSにより誘起される疾
患、例えば、敗血症或いはグラム陰性菌症のショック症
状の緩和軽減する効果を発揮する。
【0032】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:24 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:蛋白質 配列 Asp Ser His Ala Lys Arg His His Gly Tyr Lys Arg Lys Phe His 1 5 10 15 Glu Lys His His Ser His Arg Gly Tyr 20 24

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒト由来唾液蛋白質ヒスタチン類を有効
    成分として含有するエンドトキシン誘発性疾患治療薬。
  2. 【請求項2】 更に、ラクトフェリンを有効成分として
    含有する請求項1記載のエンドトキシン誘発性疾患治療
    薬。
  3. 【請求項3】 エンドトキシン誘発性疾患が敗血症であ
    る請求項1又は2記載のエンドトキシン誘発性疾患治療
    薬。
  4. 【請求項4】 ヒト由来唾液蛋白質ヒスタチン類がヒス
    タチン5、ヒスタチン6又はヒスタチン3である請求項
    1又は2記載のエンドトキシン誘発性疾患治療薬。
JP8270247A 1996-10-11 1996-10-11 エンドトキシン誘発性疾患治療薬 Pending JPH10114675A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7323442B2 (en) 2001-02-15 2008-01-29 Meiji Dairies Corporation Agents for alleviating symptoms accompanied by inflammation

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US7323442B2 (en) 2001-02-15 2008-01-29 Meiji Dairies Corporation Agents for alleviating symptoms accompanied by inflammation

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