JPH10104526A - 天体観測装置 - Google Patents

天体観測装置

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JPH10104526A
JPH10104526A JP26078096A JP26078096A JPH10104526A JP H10104526 A JPH10104526 A JP H10104526A JP 26078096 A JP26078096 A JP 26078096A JP 26078096 A JP26078096 A JP 26078096A JP H10104526 A JPH10104526 A JP H10104526A
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JP
Japan
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laser light
laser
improving
atmospheric
astronomical
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Application number
JP26078096A
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English (en)
Inventor
Teruo Hiruma
輝夫 晝馬
Yasumitsu Okada
康光 岡田
Yoshiyuki Otake
良幸 大竹
Yutaka Mizobuchi
豊 溝渕
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Hamamatsu Photonics KK
Original Assignee
Hamamatsu Photonics KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大気中に霧等が存在しても、その霧等の状態
に拘わらず、天体望遠鏡本来の性能を発揮して天体を観
測することができる天体観測装置を提供する。 【解決手段】 レーザ光源部1から出射された大気状態
改善用レーザ光Aは、主望遠鏡3と被観測天体10との
間の大気に向けて出射され、その大気中に霧等11が存
在すると、その霧等11で発生した散乱光Cは光検出器
6により受光される。この光検出器6により受光された
散乱光Cに基づいてデータ処理部8およびコンピュータ
9により最適に決定された強度と出射タイミングで、レ
ーザ光源部1は制御部2により制御されて、大気状態改
善用レーザ光Bが大気中に出射される。そして、この大
気状態改善用レーザ光Bが大気中の霧等11に照射され
ると、その霧等11は蒸発して除去され、主望遠鏡3に
よる被観測天体10の天体観測像が光検出器6により撮
像される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地上から天体望遠
鏡を用いて天体を観測する天体観測装置に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来、地上から天体望遠鏡を用いて天体
を観測する場合、晴天時であっても大気の密度ゆらぎに
よって光波面が乱れ、天体望遠鏡本来の性能を発揮でき
ない。このような大気のゆらぎに起因する天体観測の問
題を根本的に解決する方法としては、宇宙空間において
天体観測を行うハッブル宇宙望遠鏡が知られている。し
かし、このハッブル宇宙望遠鏡は、建設コストが極めて
高いことが問題である。そこで、スペックル干渉法、開
口合成光学法および補償光学法等により大気のゆらぎの
問題を解消して、地上から天体望遠鏡を用いて天体観測
が行われている。
【0003】スペックル干渉法は、天体望遠鏡の全開口
を用いて短い露出時間で天体観測像を多数取得し、その
多数の天体観測像を処理することにより、高空間分解能
を得るものである。開口合成光学法は、スペックル干渉
法に加えて、部分的に小さい開口を複数個設けたマスク
を天体望遠鏡の対物レンズの前面に配し、その小開口そ
れぞれの中では大気ゆらぎは無いとみなすことができる
ことから、位相の揃った小開口同士の干渉だけから高空
間分解能を得るものである。
【0004】補償光学法は、大気ゆらぎで乱れた光波面
の凸凹を数ms間で測定し、天体望遠鏡に設けた光学系
を変形することにより、この光波面の凸凹を補償して光
波面を整形し、回折限界の天体観測像を得る技術であ
る。光波面の乱れの測定には、通常、人工のレーザガイ
ド星が用いられる。例えば、高度90kmにあるナトリ
ウム層にレーザ光を照射し、そのナトリウム層における
共鳴散乱をレーザガイド星としている。この補償光学法
では、高空間分解能だけでなく高感度をも実現すること
ができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、スペッ
クル干渉法および開口合成光学法は共に露出時間が短
く、スペックル干渉法では、位相の異なる成分を加算す
るために高周波成分が失われ、開口合成光学法では、開
口が小さいために光量が減少するので、これらは、暗い
天体の観測には用いることができないという問題点があ
る。また補償光学法では、光波面測定系および可変形光
学系が複雑であり、レーザガイド星の作製が大がかりで
あるという問題点がある。さらに、スペックル干渉法、
開口合成光学法および補償光学系の何れの方法も、晴天
時においてのみ使用可能であって、その天体望遠鏡によ
る天体観測の光路上に霧・雲・霞・雨等が存在すると、
天体観測が不可能となる。
【0006】ところで、天体観測装置とは全く別の分野
ではあるが、大気中の霧等を除去する方法として、炭酸
ガスレーザ光等のレーザ光を霧等に照射することにより
除去する技術が知られている(例えば、G.P.Quigley,
R.B.Webster, G.W.York, "Cloud Hole-Borning with Lo
ng Pulse CO2 Lasers", SPIE, Vol.1221, Propagationo
f High-Energy Laser Beams through the Earth's Atmo
sphere, pp.370-380,(1990))。また、レーザ光の照射
により滑走路上の霧等を除去する技術が知られている
(特公平7−9084号公報、特公平7−9085号公
報)。
【0007】しかし、これら文献に記載されたレーザ光
により霧等を除去する技術を天体観測装置に直ちに適用
することはできない。すなわち、大気の状態に依って霧
等を除去するためのレーザ光の強度に過不足を生じ、強
度が不十分であるために霧等が除去できなかった場合に
は天体観測を行うことができず、逆に、強度が必要以上
に強い場合にはエネルギを浪費することになる。ところ
が、天体観測に際しては、天体望遠鏡の光路上の大気は
殆ど常に移動しているだけでなく、通常、天体望遠鏡は
赤道儀等により被観測天体を自動追尾して観測してお
り、したがって、時間の経過とともに天体望遠鏡と被観
測天体との間の大気の状態が変化していくため、大気状
態に応じて適切な強度のレーザ光を照射する必要があ
る。しかし、従来技術では、霧等を除去するためのレー
ザ光の強度を適切に設定することは不可能である。
【0008】本発明は、上記問題点を解消する為になさ
れたものであり、大気中に霧等が存在しても、その霧等
の状態に拘わらず、天体望遠鏡本来の性能を発揮して天
体を観測することができる天体観測装置を提供すること
を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る天体観測
装置は、(1) 天体を観測する主望遠鏡と、(2) 主望遠鏡
と被観測天体と間の大気に対して大気状態観測用レーザ
光および大気状態改善用レーザ光を照射するレーザ光源
部と、(3) 大気状態観測用レーザ光が大気に照射されて
発生した散乱光を受光するとともに、主望遠鏡による天
体観測像を撮像する光検出手段と、(4) 光検出手段によ
り受光された散乱光に基づいて、レーザ光源部から出射
されるべき大気状態改善用レーザ光の強度および出射タ
イミングの双方または何れか一方を決定する演算手段
と、(5) 演算手段による決定に従ってレーザ光源部を制
御して大気状態改善用レーザ光を出射させる制御手段
と、を備えることを特徴とする。
【0010】この天体観測装置によれば、レーザ光源部
から出射された大気状態改善用レーザ光は、主望遠鏡と
被観測天体との間の大気に向けて出射され、その大気中
に霧・雲・霞・雨等が存在すると、その霧等から散乱光
が発生し、その散乱光の一部は光検出手段により受光さ
れる。この光検出手段により受光された散乱光に基づい
て、レーザ光源部から出射されるべき大気状態改善用レ
ーザ光の強度および出射タイミングの双方または何れか
一方が演算手段により決定され、この決定に従って制御
手段により制御されたレーザ光源部から、大気状態改善
用レーザ光が大気中に出射される。そして、この大気状
態改善用レーザ光が大気中の霧等に照射されると、その
霧等は蒸発して除去され、主望遠鏡による天体観測像が
光検出手段により撮像される。
【0011】請求項2に係る天体観測装置は、請求項1
記載の天体観測装置であって、さらに、レーザ光源部
は、大気状態観測用レーザ光および大気状態改善用レー
ザ光としてパルス光を出射し、光検出手段は、そのパル
ス光の出射タイミングに同期して、散乱光を受光すると
ともに、天体観測像を撮像し、制御手段は、更に光検出
手段の受光および撮像のタイミングを制御する、ことを
特徴とする。この場合、パルス状の大気状態観測用レー
ザ光がレーザ光源部から出射されるとともに、制御手段
により制御された光検出器により散乱光が受光され、ま
た、パルス状の大気状態改善用レーザ光がレーザ光源部
から出射されるとともに、霧等が除去されている一定時
間の間に、制御手段により制御された光検出器により天
体観測像が撮像され、請求項3に係る天体観測装置は、
請求項1記載の天体観測装置であって、さらに、レーザ
光源部は、大気状態観測用レーザ光および大気状態改善
用レーザ光を単一のレーザ発振器から出射することを特
徴とする。この場合、装置が小型となる。
【0012】請求項4に係る天体観測装置は、請求項1
記載の天体観測装置であって、さらに、レーザ光源部
は、大気状態観測用レーザ光および大気状態改善用レー
ザ光の双方または何れか一方を走査する走査光学系を備
えることを特徴とする。この場合、走査光学系により大
気状態観測用レーザ光および大気状態改善用レーザ光が
走査されて大気中に出射されるので、霧等の有無・状態
に関する情報が広い範囲に亘って得られ、また、その情
報に基づいて大気状態改善用レーザ光を大気中の特定箇
所に効率良く照射することができる。
【0013】請求項5に係る天体観測装置は、請求項1
記載の天体観測装置であって、さらに、レーザ光源部
は、大気状態観測用レーザ光および大気状態改善用レー
ザ光の双方または何れか一方を発散して出射する発散光
学系を備えることを特徴とする。この場合、発散光学系
により大気状態観測用レーザ光および大気状態改善用レ
ーザ光が発散されて大気中に出射されるので、霧等の有
無・状態に関する情報が広い範囲に亘って得られるとと
もに、大気中の霧等を広い範囲に亘って除去することが
できる。
【0014】請求項6に係る天体観測装置は、請求項1
記載の天体観測装置であって、さらに、レーザ光源部
は、大気状態観測用レーザ光および大気状態改善用レー
ザ光の双方または何れか一方を大気中の特定箇所に集光
する集光光学系を備えることを特徴とする。この場合、
大気中の特定箇所における霧等の有無・状態に関する情
報を主に得ることができ、また、その特定箇所における
霧等を集中的に除去することができる。
【0015】請求項7に係る天体観測装置は、請求項1
記載の天体観測装置であって、さらに、レーザ光源部
は、それぞれ大気状態改善用レーザ光を出射する複数の
レーザ発振器を備えることを特徴とする。この場合、複
数のレーザ発振器それぞれから大気状態改善用レーザ光
を順に出射すれば、1台のレーザ発振器を使用する場合
に比較して、主望遠鏡と被観測天体との間の大気中に霧
等が除去されている時間を長くすることができ、天体撮
像時間を短縮することができる。また、複数のレーザ発
振器から同一の出射タイミングで大気状態改善用レーザ
光を出射すれば、より強い大気状態改善用レーザ光が大
気中に出射されるので、霧等が濃くても短時間に除去す
ることができ、また、霧等が遠距離にあっても除去する
ことができる。
【0016】請求項8に係る天体観測装置は、請求項1
記載の天体観測装置であって、さらに、レーザ光源部
は、大気状態観測用レーザ光を出射する大気状態観測用
レーザ発振器と、大気状態改善用レーザ光を出射する大
気状態改善用レーザ発振器と、を備えることを特徴とす
る。この場合、大気状態観測用レーザ光の強度は大きく
なくてもよいので、大気状態観測用レーザ発振器は、小
型で低消費電力のものを使用することができる。
【0017】請求項9に係る天体観測装置は、請求項8
記載の天体観測装置であって、さらに、大気状態観測用
レーザ発振器は波長可変のレーザ発振器であることを特
徴とする。この場合、各波長のレーザ光を大気状態観測
用レーザ光として出射して散乱光を観測することによ
り、より詳細な大気状態の情報を得ることができ、した
がって、大気状態改善用レーザ光の強度および出射タイ
ミングを更に最適に決定することが可能となる。
【0018】請求項10に係る天体観測装置は、請求項
1記載の天体観測装置であって、さらに、光検出手段
は、散乱光の受光および天体観測像の撮像を単一の光検
出器で行うことを特徴とする。この場合、装置が小型と
なる。
【0019】請求項11に係る天体観測装置は、請求項
1記載の天体観測装置であって、さらに、光検出手段
は、散乱光を受光する受光器と、天体観測像を撮像する
撮像器と、を備えることを特徴とする。この場合、受光
器および撮像器それぞれは最適のものを使用することが
できる。
【0020】請求項12に係る天体観測装置は、請求項
1記載の天体観測装置であって、さらに、レーザ光源部
は、主望遠鏡の鏡筒外に配され、主望遠鏡は、反射望遠
鏡であって、レーザ光源部から出射された大気状態観測
用レーザ光および大気状態改善用レーザ光を反射して主
望遠鏡の光軸に沿って大気中に照射させる反射鏡を副鏡
の裏面に備える、ことを特徴とする。この場合、主望遠
鏡である反射望遠鏡の鏡筒外に配されたレーザ光源部か
ら出射された大気状態観測用レーザ光および大気状態改
善用レーザ光は、反射望遠鏡の副鏡の裏面に配された反
射鏡により反射されて、反射望遠鏡の光軸に沿って大気
中に照射される。したがって、散乱光を高効率に受光す
ることができ、また、暗い天体であっても天体観測像を
撮像することができる。
【0021】請求項13に係る天体観測装置は、請求項
12記載の天体観測装置であって、さらに、主望遠鏡
は、反射望遠鏡であるとともに、レーザ光源部は、その
全部または一部が反射望遠鏡の副鏡の裏面に配される、
ことを特徴とする。この場合、散乱光を高効率に受光す
ることができ、暗い天体であっても天体観測像を撮像す
ることができ、また、装置全体が小型になる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明
の実施の形態を詳細に説明する。尚、図面の説明におい
て同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省
略する。
【0023】(第1の実施形態)先ず、第1の実施形態
について説明する。図1は、第1の実施形態に係る天体
観測装置の構成図である。この天体観測装置と被観測天
体10との間に霧11が存在するものとする。
【0024】主望遠鏡3は、被観測天体10の方向に向
けられ、その被観測天体10を赤道儀14により自動追
尾している。この主望遠鏡3の対物レンズの前方にはビ
ームスプリッタ4が光軸に対して斜めに配されており、
主望遠鏡3は、このビームスプリッタ4を透過して到来
した光を入射する。
【0025】この主望遠鏡3の側方に配置されたレーザ
光源部1は、制御部2により強度および出力タイミング
等が制御されて、パルス状の大気状態観測用レーザ光A
および大気状態改善用レーザ光Bを出力する。このレー
ザ光源部1は、例えば、炭酸ガスレーザ発振器が好適に
用いられる。反射鏡5は、レーザ光源部1から出射され
た大気状態観測用レーザ光Aおよび大気状態改善用レー
ザ光Bそれぞれを反射し、更に、ビームスプリッタ4
は、これらを反射し被観測天体10の方向に大気中に向
けて照射する。すなわち、ビームスプリッタ4で反射さ
れた大気状態観測用レーザ光Aおよび大気状態改善用レ
ーザ光Bの光軸は、主望遠鏡3の光軸と一致している。
【0026】大気状態観測用レーザ光Aは、主望遠鏡3
と被観測天体10との間に霧11が存在するか否かを観
測し、また、霧11が存在する場合にはその霧11の状
態を観測するためのものである。大気状態観測用レーザ
光Aがビームスプリッタ4で反射されて被観測天体10
に向かう途中に霧11が存在すると、大気状態観測用レ
ーザ光Aはその霧11により散乱され、その一部である
散乱光Cは、大気状態観測用レーザ光Aと逆の経路を経
て、ビームスプリッタ4に入射し透過して、フィルタ
(図示せず)により背景光等が取り除かれて、主望遠鏡
3に入射する。一方、大気状態改善用レーザ光Bは、主
望遠鏡3と被観測天体10との間の霧11を除去するた
めのものである。大気状態改善用レーザ光Bが霧11に
照射されると、その霧11は蒸発して除去される。
【0027】主望遠鏡3に散乱光Cが入射すると、その
散乱光Cは、光検出器6とその前面に設けられた電磁シ
ャッタ7とからなる光検出部に到達する。この電磁シャ
ッタ7は、散乱光Cが到来しているときには開いていて
散乱光Cを透過させ、光検出器6は、この散乱光Cの強
度に応じた電気信号を出力する。
【0028】この光検出器6から出力された電気信号に
基づいて、データ処理部8およびコンピュータ9とから
なる演算手段は、レーザ光源部1から出力されるべき大
気状態改善用レーザ光Bの強度および出力タイミングを
算出する。すなわち、この電気信号を入力したデータ処
理部8は、この電気信号の時間変化に基づいて霧11の
位置や風速に関する情報を得、また、この電気信号の強
度に基づいて霧11に含まれる水滴の大きさや密度に関
する情報を得る。このデータ処理装置8により得られた
情報はコンピュータ9に入力され、コンピュータ9は、
この霧11に関する情報に基づいて、霧11を除去する
のに最適な大気状態改善用レーザ光Bの強度および出力
タイミングの双方または何れか一方を算出する。
【0029】そして、制御部2は、このコンピュータ9
により得られた算出結果に基づいて、レーザ光源部1か
ら出力される大気状態改善用レーザ光Bの強度および出
力タイミングを制御する。また、この制御部2は、レー
ザ光源部1からの大気状態観測用レーザ光Aおよび大気
状態改善用レーザ光Bの出力を制御するだけでなく、電
磁シャッタ7の開閉をも制御する。すなわち、大気状態
観測用レーザ光Aが出射された後に散乱光Cが主望遠鏡
3に到達する一定時間、および、大気状態改善用レーザ
光Bが出射された後に霧11が除去されて被観測天体1
0からの光が入射し得る一定時間、制御部2は電磁シャ
ッタ7を開く。
【0030】次に、霧11を除去するのに必要な大気状
態改善用レーザ光Bのパラメータ、および、電磁シャッ
タ7の開閉制御の1例について説明する。霧11を除去
するのに必要な大気状態改善用レーザ光Bのパラメータ
は、霧11を構成する水滴の大きさや密度ならびに風速
等によって異なるが、以下では典型的な値を述べる。図
2は、大気状態改善用レーザ光Bの出射タイミングおよ
び電磁シャッタ7の開閉タイミングの説明図である。
【0031】レーザ光源部1から出射される大気状態改
善用レーザ光Bのパルス幅が10μsで(図2
(a))、強度が2J/cm2 であるとすれば、主望遠
鏡3と被観測天体10との間にある霧11は、大気状態
改善用レーザ光Bが出射されて30μs後には殆ど全て
蒸発し、その後500μs程度の間は、主望遠鏡3と被
観測天体10との間に霧11が存在しない状態が維持さ
れるが、その後再び霧11が主望遠鏡3と被観測天体1
0との間に現れる(図2(b))。そこで、制御部2
は、大気状態改善用レーザ光Bが出射されて30μs後
に電磁シャッタ7を開き、再び霧11が主望遠鏡3と被
観測天体10との間に現れる前に電磁シャッタ7を閉じ
る(図2(c))。光検出器6は、この電磁シャッタ7
が開いている間、被観測天体10の天体観測像を撮影す
る。
【0032】大気状態改善用レーザ光Bのパルス繰り返
し周波数が100Hzであるとすれば、霧11が存在す
る状態では、霧11が存在しない状態に比べて20倍の
撮影時間で被観測天体10の撮影が可能になる。例え
ば、霧11が存在する状態における100分間の撮影
は、霧11が存在しない状態における5分間の撮影と同
等のものとなる。
【0033】次に、本実施形態に係る天体観測装置を使
用した天体観測方法の一例について、図3に示すフロー
チャートを用いて説明する。
【0034】最初に、ステップS1で、制御部2は、レ
ーザ光源部1に指示して大気状態観測用レーザ光Aを出
射して大気中に照射し、電磁シャッタ7を一定時間開
く。光検出器6は、霧11で発生した散乱光Cを受光し
て電気信号を出力し、データ処理部8は、その電気信号
に基づいて、霧11の有無だけでなく霧11の状態に関
する情報を求める。ステップS2では、コンピュータ9
は、ステップS1で得られた霧11の有無・状態に関す
る情報に基づいて、レーザ光源部1から出力されるべき
大気状態改善用レーザ光Bの強度および出射タイミング
を算出する。
【0035】そして、ステップS3で、制御部2は、レ
ーザ光源部1に指示して、ステップS2で得られた強度
および出射タイミングに従って大気状態改善用レーザ光
Bを出射し霧11に照射する。その後、ステップS4
で、制御部2は、霧11が除去された時刻から電磁シャ
ッタ7を一定時間開き、光検出器6は、被観測天体10
の天体観測像を一定時間撮像する。なお、このステップ
S3およびS4は、図2で説明したタイミングチャート
に従う。ステップS3およびステップS4は、繰り返し
て行われるが、適切なタイミングで再びステップS1に
戻り、霧11の有無・状態を観測して、大気状態改善用
レーザ光Bの強度および出射タイミングを算出し直すの
が好適である。
【0036】本実施形態に係る天体観測装置は、以上の
ような構成としたので、大気状態観測用レーザ光Aの照
射により発生した散乱光Cを観測することにより、主望
遠鏡3と被観測天体10との間の大気中における霧11
の有無や、霧11が存在する場合にその霧11の状態に
関する情報が得られ、その霧11の有無・状態に関する
情報に基づいて大気状態改善用レーザ光Bを霧11に照
射して霧11を除去することができるので、霧11が存
在しても被観測天体10を観測することが可能となる。
【0037】また、霧11の有無・状態に応じて最適の
強度と出射タイミングで大気状態改善用レーザ光Bを照
射することができるので、霧11が存在しないときに
は、大気状態改善用レーザ光Bを出射することはなく、
霧11の濃度が低いときには、比較的強度の弱い大気状
態改善用レーザ光Bを出射し、霧11の濃度が高いとき
には、その霧11を除去するのに充分な強度の大気状態
改善用レーザ光Bを出射することができる。したがっ
て、エネルギの利用効率が優れ、且つ、霧11が濃い場
合でも完全に除去することができる。
【0038】(第2の実施形態)次に、第2の実施形態
について説明する。図4は、第2の実施形態に係る天体
観測装置の構成図である。本実施形態は、第1の実施形
態と比較すると、レーザ光源部1から大気中に出射され
る大気状態観測用レーザ光Aおよび大気状態改善用レー
ザ光Bが主望遠鏡3の光軸と一致せず、走査光学系15
を備えている点で異なる。
【0039】本実施形態では、レーザ光源部1の出射端
側に、可動反射鏡等からなる走査光学系15が配されて
おり、その走査光学系15は、コンピュータ9の指示を
受けた走査制御部16により制御されて、図5に示すよ
うに、レーザ光源部1から出射された大気状態観測用レ
ーザ光Aおよび大気状態改善用レーザ光Bの大気中への
出射方向を走査する。
【0040】走査光学系15により走査されて大気中に
出射した大気状態観測用レーザ光Aが霧11に照射され
ると、その霧11から散乱光Cが発生する。その散乱光
Cは、主望遠鏡3および電磁シャッタ7を経て光検出器
6により受光されて電気信号に変換され、その電気信号
に基づいて大気中の霧11の有無や状態に関する情報が
データ処理部8により得られる。ここで、大気状態観測
用レーザ光Aが走査光学系15により走査されるので、
その大気状態観測用レーザ光Aの照射方向に応じた霧1
1の有無・状態に関する情報が得られることになる。
【0041】そして、このデータ処理部8により得られ
た霧11の有無・状態に関する情報に基づいて、大気状
態改善用レーザ光Bの強度、出射タイミングおよび出射
方向等がコンピュータ9により算出される。レーザ光源
部1から出射される大気状態改善用レーザ光Bの強度お
よび出射タイミングは、コンピュータ2の指示を受けた
制御部2により制御され、また、走査光学系15による
大気状態改善用レーザ光Bの走査方向は、コンピュータ
9の指示を受けた走査制御部16により制御される。
【0042】大気状態改善用レーザ光Bの出射タイミン
グおよび電磁シャッタ7の開閉タイミングならびに天体
観測のフローは、図2および図3で説明したのと同様で
ある。
【0043】このように、走査光学系15により大気状
態観測用レーザ光Aおよび大気状態改善用レーザ光Bを
走査して大気中に出射することにより、霧11の有無・
状態に関する情報が広い範囲に亘って詳細に得られるだ
けでなく、その情報に基づいて大気状態改善用レーザ光
Bを大気中の特定箇所に効率良く照射することができ
る。したがって、第1の実施形態の場合と比較して、さ
らに、霧11の除去を高効率かつ容易に行うことができ
る。
【0044】また、霧11から到来した散乱光や被観測
天体10から到来した光は、ビームスプリッタを経るこ
となく主望遠鏡3に入射し光検出器6により受光・撮像
されるので、散乱光Cを高効率に受光することができ、
また、暗い天体であっても天体観測像を撮像することが
できる。
【0045】(第3の実施形態)次に、第3の実施形態
について説明する。図6は、第3の実施形態に係る天体
観測装置の構成図である。本実施形態は、第1の実施形
態と比較すると、レーザ光源部1から大気中に出射され
る大気状態観測用レーザ光Aおよび大気状態改善用レー
ザ光Bを発散して出射する点で異なる。本実施形態で
は、レーザ光源部1の出射端側に、レンズ等からなる発
散光学系17が配されており、その発散光学系17は、
レーザ光源部1から出射された大気状態観測用レーザ光
Aおよび大気状態改善用レーザ光Bを発散させて大気中
へ出射する。
【0046】レーザ光源部1から出射され発散光学系1
7により発散された大気状態観測用レーザ光Aが反射鏡
5およびビームスプリッタ4を経て大気中の霧11に照
射されると、その霧11から散乱光Cが発生する。その
散乱光Cは、主望遠鏡3および電磁シャッタ7を経て光
検出器6により受光されて電気信号に変換され、その電
気信号に基づいて大気中の霧11の有無や状態に関する
情報がデータ処理部8により得られる。ここで、大気状
態観測用レーザ光Aが発散光学系17により発散されて
照射されるので、その大気状態観測用レーザ光Aが照射
される広い範囲における霧11の有無・状態に関する情
報が得られることになる。
【0047】そして、このデータ処置部8により得られ
た霧11の有無・状態に関する情報に基づいて、大気状
態改善用レーザ光Bの強度および出射タイミングがコン
ピュータ9により算出される。レーザ光源部1から出射
される大気状態改善用レーザ光Bの強度および出射タイ
ミングは、コンピュータ2の指示を受けた制御部2によ
り制御される。
【0048】大気状態改善用レーザ光Bの出射タイミン
グおよび電磁シャッタ7の開閉タイミングならびに天体
観測のフローは、図2および図3で説明したのと同様で
ある。
【0049】このように、発散光学系17により大気状
態観測用レーザ光Aおよび大気状態改善用レーザ光Bを
発散させて大気中に出射することにより、霧11の有無
・状態に関する情報が広い範囲に亘って得られるととも
に、大気中の霧11を広い範囲に亘って除去することが
できる。
【0050】なお、発散光学系17に替えて集光光学系
を備え、大気状態観測用レーザ光Aおよび大気状態改善
用レーザ光Bの双方または何れか一方を大気中の特定箇
所に集光するようにしてもよい。この場合、その特定箇
所における霧11の有無・状態に関する情報を主に得る
ことができ、また、その特定箇所における霧11を集中
的に除去することができる。したがって、霧11が局所
的に存在するような場合に好適である。
【0051】(第4の実施形態)次に、第4の実施形態
について説明する。図7は、第4の実施形態に係る天体
観測装置の構成図である。本実施形態は、第1の実施形
態と比較すると、レーザ光源部1が複数台(ここでは2
台)のレーザ発振器1Aおよび1Bからなる点で異な
る。
【0052】本実施形態では、レーザ発振器1Aから出
射される大気状態観測用レーザ光Aおよび大気状態改善
用レーザ光Bは、反射鏡5ならびにビームスプリッタ4
Aおよび4Bを経て、大気中に出射され霧11に照射さ
れる。また、レーザ発振器1Bから出射される大気状態
観測用レーザ光Aおよび大気状態改善用レーザ光Bは、
ビームスプリッタ4Aおよび4Bを経て、大気中に出射
され霧11に照射される。これらレーザ発振器1Aおよ
び1Bは、制御部2により、それぞれから出射される大
気状態観測用レーザ光Aおよび大気状態改善用レーザ光
Bの強度および出射タイミングが制御される。ここで、
制御部2は、霧11の有無・状態に基づいたコンピュー
タ9からの指示を受けて、レーザ発振器1Aおよび1B
それぞれから出射される大気状態観測用レーザ光Aおよ
び大気状態改善用レーザ光Bの強度および出射タイミン
グを制御する。
【0053】本実施形態では、2台のレーザ発振器1A
および1Bそれぞれから大気状態改善用レーザ光Bを交
互に出射すれば、1台のレーザ発振器を使用する場合に
比較して、主望遠鏡3と被観測天体10との間の大気中
に霧11が除去されている時間を2倍にすることがで
き、天体撮像時間を1/2にすることができる。一般
に、n台のレーザ発振器を用いて順に大気状態改善用レ
ーザ光Bを出射するようにすれば、霧11が除去されて
いる時間はn倍となり、天体撮像時間は1/nとなる。
【0054】また、2台のレーザ発振器1Aおよび1B
から同一の出射タイミングで大気状態改善用レーザ光B
を出射すれば、2倍の強度の大気状態改善用レーザ光B
が大気中に出射されるので、霧11が濃くても短時間に
除去することができ、また、霧11が遠距離にあっても
除去することができる。
【0055】また、レーザ発振器1Aから大気状態観測
用レーザ光Aを出射し、レーザ発振器1Bから大気状態
改善用レーザ光Bを出射するようにしてもよい。この場
合、大気状態観測用レーザ光Aは、強度は大きくなくて
もよいので、レーザ発振器1Aは、例えばGaAs半導
体レーザ発振器を用いることができ、装置が小型とな
り、消費電力が少なくて済む。
【0056】(第5の実施形態)次に、第5の実施形態
について説明する。図8は、第5の実施形態に係る天体
観測装置の構成図である。本実施形態は、レーザ光源部
1が複数(ここでは2台)のレーザ発振器1Aおよび1
Bからなる点では第4の実施形態と同様であるが、大気
中に出射される大気状態観測用レーザ光Aおよび大気状
態改善用レーザ光Bが主望遠鏡3の光軸と一致せず、走
査光学系15Aおよび15Bを備えている点で第4の実
施形態と異なる。
【0057】本実施形態では、制御部2により出射強度
および出射タイミングが制御されたレーザ発振器1Aか
ら、大気状態観測用レーザ光Aおよび大気状態改善用レ
ーザ光Bが出射され、これらは、走査制御部16により
制御された走査光学系15Aにより、大気中への出射方
向が走査されて出射される。同様に、制御部2により制
御されたレーザ発振器1Bから、大気状態観測用レーザ
光Aおよび大気状態改善用レーザ光Bが出射され、これ
らは、走査制御部16により制御された走査光学系15
Aにより、大気中への出射方向が走査されて出射され
る。ここで、制御部2および走査制御部16それぞれ
は、霧11の有無・状態に基づいたコンピュータ9から
の指示を受けて、大気状態観測用レーザ光Aおよび大気
状態改善用レーザ光Bの強度、出射タイミングおよび出
射方向を制御する。
【0058】本実施形態でも、第4の実施形態と同様
に、2台のレーザ発振器1Aおよび1Bそれぞれから大
気状態改善用レーザ光Bを交互に出射してもよいし、2
台のレーザ発振器1Aおよび1Bから同一の出射タイミ
ングで大気状態改善用レーザ光Bを出射してもよいし、
また、レーザ発振器1Aから大気状態観測用レーザ光A
を出射し、レーザ発振器1Bから大気状態改善用レーザ
光Bを出射するようにしてもよい。
【0059】また、走査光学系15A,15Bにより大
気状態観測用レーザ光Aおよび大気状態改善用レーザ光
Bを走査して大気中に出射するので、霧11の有無・状
態に関する情報が広い範囲に亘って詳細に得られるだけ
でなく、その情報に基づいて大気状態改善用レーザ光B
を大気中の特定箇所に効率良く照射することができる。
したがって、第1の実施形態の場合と比較して、さら
に、霧11の除去を高効率かつ容易に行うことができ
る。
【0060】(第6の実施形態)次に、第6の実施形態
について説明する。図9は、第6の実施形態に係る天体
観測装置の構成図である。本実施形態は、レーザ光源部
1が複数(ここでは2台)のレーザ発振器1Aおよび1
Bからなる点では第4の実施形態と同様であるが、レー
ザ発振器1Aから大気中に出射されるレーザ光の光軸は
主望遠鏡3の光軸と一致せず、レーザ発振器1Bから大
気中に出射されるレーザ光の光軸は主望遠鏡3の光軸と
一致している点で第4の実施形態と異なる。
【0061】本実施形態では、制御部2Aにより強度お
よび出射タイミングが制御されたレーザ発振器1Aか
ら、大気状態観測用レーザ光Aおよび大気状態改善用レ
ーザ光Bが、大気中に出射される。同様に、制御部2B
により制御されたレーザ発振器1Bから出射された大気
状態観測用レーザ光Aおよび大気状態改善用レーザ光B
は、反射鏡5およびビームスプリッタ4を経て、大気中
に出射される。ここで、制御部2Aおよび2Bそれぞれ
は、霧11の有無・状態に基づいたコンピュータ9から
の指示を受けて、レーザ発振器1Aおよび1Bそれぞれ
から出射される大気状態観測用レーザ光Aおよび大気状
態改善用レーザ光Bの強度、出射タイミングおよび出射
方向を制御する。
【0062】本実施形態でも、第4の実施形態と同様
に、2台のレーザ発振器1Aおよび1Bそれぞれから大
気状態改善用レーザ光Bを交互に出射してもよいし、2
台のレーザ発振器1Aおよび1Bから同一の出射タイミ
ングで大気状態改善用レーザ光Bを出射してもよいし、
また、レーザ発振器1Aから大気状態観測用レーザ光A
を出射し、レーザ発振器1Bから大気状態改善用レーザ
光Bを出射するようにしてもよい。
【0063】なお、本実施形態では、レーザ発振器1A
を大気状態観測用とし、レーザ発振器1Bを大気状態改
善用とすれば、大気状態観測用のレーザ発振器1Aの光
軸は主望遠鏡3の光軸と一致しないが、大気状態観測用
レーザ光Aが霧11に照射されて発生した散乱光Cは、
主望遠鏡3および電磁シャッタ7を経て光検出器6によ
り受光され得る。
【0064】(第7の実施形態)次に、第7の実施形態
について説明する。図10は、第7の実施形態に係る天
体観測装置の構成図である。本実施形態は、大気状態観
測系18、天体観測系19および大気状態改善系20、
ならびに、これらを統合制御する主制御部21に分離さ
れたものである。
【0065】大気状態観測系18は、大気状態観測用レ
ーザ光Aを出射するレーザ発振器1Aと、その大気状態
観測用レーザ光Aの出射タイミングを制御する制御部2
Aと、大気状態観測用レーザ光Aが大気中の霧11に照
射されて発生した散乱光Cを入力する大気状態観測用望
遠鏡3Aと、その散乱光Cが到来している一定時間の間
開く電磁シャッタ7Aと、電磁シャッタ7Aを通過した
散乱光Cを受光し電気信号を出力する受光器6Aと、を
備えるものである。また、天体観測系19は、被観測天
体10からの光を入力して天体観測像を結像する天体観
測用望遠鏡3Bと、霧11が除去されている一定時間の
間開く電磁シャッタ7Bと、電磁シャッタ7Bを通過し
た天体観測像を撮像する撮像器6Bと、を備えるもので
ある。また、大気状態改善系20は、大気状態改善用レ
ーザ光Bを出射するレーザ発振器1Bと、その大気状態
改善用レーザ光Bの強度および出射タイミングを制御す
る制御部2Bと、を備えるものである。
【0066】これらを統括制御する主制御部21は、大
気状態観測系18に対して、大気状態観測用レーザ光A
を出射するタイミングを指示し、散乱光Cが到来したと
きに開くよう電磁シャッタ7Aの開閉を制御するととも
に、散乱光Cを受光した受光器6Aから出力された電気
信号を入力する。主制御部21は、この電気信号に基づ
いて大気中の霧11の有無・状態を求め、さらに、霧1
1を除去するのに最適な大気状態改善用レーザ光Bの強
度および出射タイミングを算出する。そして、主制御部
21は、その強度および出射タイミングを大気状態改善
系20に通知し、その出射タイミングに同期して天体観
測系19の電磁シャッタ7Bを開くとともに、天体観測
系19の撮像器6Bにより撮像された天体観測像を入力
する。
【0067】このように、大気状態観測系18、天体観
測系19、大気状態改善系20および主制御部21に分
割した構成としたことにより、それぞれ最適な装置を選
択することができ、また、設置スペースが限られている
場合にそれぞれを最適に配置することができる。
【0068】(第8の実施形態)次に、第8の実施形態
について説明する。図11は、第8の実施形態に係る天
体観測装置における主望遠鏡の構成図である。本実施形
態は、主望遠鏡として、それぞれ所定の曲面である主鏡
31と副鏡32とを備える反射望遠鏡3Cを用いたもの
である。この反射望遠鏡3Cでは、被観測天体からの光
および霧からの散乱光は、主鏡31および副鏡32によ
り順次反射されて結像される。
【0069】本実施形態では、レーザ光源部1は、反射
望遠鏡3Cの側方に設けられている。このレーザ光源部
1から出射された大気状態観測用レーザ光Aおよび大気
状態改善用レーザ光Bは、反射鏡5Aおよび5Bにより
順次反射されて、反射望遠鏡3Cの光軸と同一の方向に
大気中に出射される。ここで、反射鏡5Bは、反射望遠
鏡3Cの副鏡32の裏面に配されているので、天体観測
の障害とはならない。
【0070】この場合、第1の実施形態の場合と同様
に、大気状態観測用レーザ光Aおよび大気状態改善用レ
ーザ光Bの光軸は反射望遠鏡3Cの光軸と一致してい
る。しかし、第1の実施形態の場合と異なり、霧から到
来した散乱光や被観測天体から到来した光は、ビームス
プリッタを経ることなく反射望遠鏡3Cに入射し光検出
器により受光・撮像される。したがって、散乱光を高効
率に受光することができ、また、暗い天体であっても天
体観測像を撮像することができる。
【0071】(第9の実施形態)次に、第9の実施形態
について説明する。図12は、第9の実施形態に係る天
体観測装置における主望遠鏡の構成図である。本実施形
態も、主望遠鏡として反射望遠鏡3Cを用いたものであ
る。
【0072】本実施形態では、レーザ光源部1は、反射
望遠鏡3Cの副鏡32の裏面に設けられている。また、
レーザ光源部1が大気状態観測用レーザ発振器と大気状
態改善用レーザ発振器とからなる場合には、大気状態観
測用レーザ発振器および大気状態改善用レーザ発振器の
双方または何れか一方が反射望遠鏡3Cの副鏡32の裏
面に設けられていてもよい。
【0073】この場合も、第8の実施形態の場合と同様
に、大気状態観測用レーザ光Aおよび大気状態改善用レ
ーザ光Bの光軸は反射望遠鏡3Cの光軸と一致している
にも拘わらず、霧から到来した散乱光や被観測天体から
到来した光は、ビームスプリッタを経ることなく反射望
遠鏡3Cに入射し光検出器により受光・撮像されるの
で、散乱光を高効率に受光することができ、また、暗い
天体であっても天体観測像を撮像することができる。ま
た、レーザ光源部1が反射望遠鏡3Cの内部に存在する
ので、装置全体が小型となる。
【0074】本発明は、上記実施形態に限定されるもの
ではなく種々の変形と適用が可能である。
【0075】例えば、上記の各実施形態の説明において
は、主望遠鏡3と被観測天体10との間には霧11が存
在するものとして説明したが、雲・霞・雨滴等が存在す
る場合にも、各実施形態に係る天体観測装置は同様に適
用可能である。晴天時には、大気状態観測用レーザ光A
および大気状態改善用レーザ光Bを出射する必要はない
ので、ビームスプリッタ4を取り外して被観測天体10
を観測することができるように、主望遠鏡3の対物レン
ズの前面にあるビームスプリッタ4を着脱自在にしてお
くのが好適である。ただし、晴天時であっても、レーザ
光源部1から出射される大気状態改善用レーザ光Bの照
射により大気ゆらぎが軽減されるので、霧11等の有無
に拘わらず大気状態改善用レーザ光Bを出射すれば好適
に天体観測を行うこともできる。
【0076】また、各実施形態において、電磁シャッタ
7と光検出器6との組合せの替わりに、ゲート付き撮像
装置を用いてもよい。この場合、制御部2は、このゲー
ト付き撮像装置のゲートの開閉を制御することになる。
【0077】また、各実施形態において、レーザ光源部
1として、炭酸ガスレーザ発振器の他に、他のパルスレ
ーザ発振器、例えばYAGレーザ発振器や半導体レーザ
発振器を用いることもできる。また、連続発振のレーザ
発振器とチョッパ等とを組み合わせて用いて、パルス状
のレーザ光を出射するようにしてもよく、この場合、制
御部2は、チョッパをも制御して、大気状態観測用レー
ザ光Aおよび大気状態改善用レーザ光Bを所定タイミン
グで大気中に出射させる。
【0078】また、レーザ光源1として波長可変のもの
を用い、各波長のレーザ光を大気状態観測用レーザ光A
として出射して散乱光Cを観測することにより、より詳
細な大気状態の情報を得ることができ、したがって、大
気状態改善用レーザ光Bの強度および出射タイミングを
更に最適に決定することが可能となる。
【0079】また、大気状態観測用レーザ光Aおよび大
気状態改善用レーザ光Bは必ずしもパルス状である必要
はなく、これらの双方または何れか一方は連続発振のレ
ーザ光であってもよい。また、大気状態観測用レーザ光
Aおよび大気状態改善用レーザ光Bとを区別することな
く、1つのレーザ光により大気状態を観測するとともに
改善するようにしてもよい。
【0080】また、主望遠鏡3のガイドスコープにレー
ザ光源1を組み込んでもよい。これにより、天体観測装
置全体がコンパクトな構成となる。
【0081】
【発明の効果】以上、詳細に説明したとおり本発明によ
れば、レーザ光源部から出射された大気状態改善用レー
ザ光は、主望遠鏡と被観測天体との間の大気に向けて出
射され、その大気中に霧・雲・霞・雨等が存在すると、
その霧等から散乱光が発生し、その散乱光の一部は光検
出手段により受光される。この光検出手段により受光さ
れた散乱光に基づいて、レーザ光源部から出射されるべ
き大気状態改善用レーザ光の強度および出射タイミング
の双方または何れか一方が演算手段により決定され、こ
の決定に従って制御手段により制御されたレーザ光源部
から、大気状態改善用レーザ光が大気中に出射される。
そして、この大気状態改善用レーザ光が大気中の霧等に
照射されると、その霧等は蒸発して除去され、主望遠鏡
による天体観測像が光検出手段により撮像される。
【0082】このような構成にしたので、霧等の有無・
状態に応じて最適の強度と出射タイミングで大気状態改
善用レーザ光を照射することができるので、霧等が存在
しないときには、大気状態改善用レーザ光を出射するこ
とはなく、霧等の濃度が低いときには、比較的強度の弱
い大気状態改善用レーザ光を出射し、霧等の濃度が高い
ときには、その霧等を除去するのに充分な強度の大気状
態改善用レーザ光を出射することができる。したがっ
て、エネルギの利用効率が優れ、且つ、霧等が濃い場合
でも完全に除去することができ、大気状態に依らず天体
観測を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係る天体観測装置の構成図で
ある。
【図2】大気状態改善用レーザ光の出射タイミングおよ
び電磁シャッタの開閉タイミングの説明図である。
【図3】第1の実施形態に係る天体観測装置を使用した
天体観測方法のフローチャート図である。
【図4】第2の実施形態に係る天体観測装置の構成図で
ある。
【図5】第2の実施形態に係る天体観測装置における大
気状態観測用レーザ光および大気状態改善用レーザ光の
走査の説明図である。
【図6】第3の実施形態に係る天体観測装置の構成図で
ある。
【図7】第4の実施形態に係る天体観測装置の構成図で
ある。
【図8】第5の実施形態に係る天体観測装置の構成図で
ある。
【図9】第6の実施形態に係る天体観測装置の構成図で
ある。
【図10】第7の実施形態に係る天体観測装置の構成図
である。
【図11】第8の実施形態に係る天体観測装置における
主望遠鏡の構成図である。
【図12】第9の実施形態に係る天体観測装置における
主望遠鏡の構成図である。
【符号の説明】
1…レーザ光源部、2…制御部、3…主望遠鏡、4…ビ
ームスプリッタ、5…反射鏡、6…光検出器、7…電磁
シャッタ、8…データ処理部、9…コンピュータ、10
…被観測天体、11…霧、14…赤道儀、15…走査光
学系、16…走査制御部、17…発散光学系。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 溝渕 豊 静岡県浜松市市野町1126番地の1 浜松ホ トニクス株式会社内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 天体を観測する主望遠鏡と、 前記主望遠鏡と被観測天体と間の大気に対して大気状態
    観測用レーザ光および大気状態改善用レーザ光を照射す
    るレーザ光源部と、 前記大気状態観測用レーザ光が大気に照射されて発生し
    た散乱光を受光するとともに、前記主望遠鏡による天体
    観測像を撮像する光検出手段と、 前記光検出手段により受光された前記散乱光に基づい
    て、前記レーザ光源部から出射されるべき前記大気状態
    改善用レーザ光の強度および出射タイミングの双方また
    は何れか一方を決定する演算手段と、 前記演算手段による決定に従って前記レーザ光源部を制
    御して前記大気状態改善用レーザ光を出射させる制御手
    段と、 を備えることを特徴とする天体観測装置。
  2. 【請求項2】 前記レーザ光源部は、前記大気状態観測
    用レーザ光および前記大気状態改善用レーザ光としてパ
    ルス光を出射し、 前記光検出手段は、前記パルス光の出射タイミングに同
    期して、前記散乱光を受光するとともに、前記天体観測
    像を撮像し、 前記制御手段は、更に前記光検出手段の受光および撮像
    のタイミングを制御する、 ことを特徴とする請求項1記載の天体観測装置。
  3. 【請求項3】 前記レーザ光源部は、前記大気状態観測
    用レーザ光および前記大気状態改善用レーザ光を単一の
    レーザ発振器から出射する、ことを特徴とする請求項1
    記載の天体観測装置。
  4. 【請求項4】 前記レーザ光源部は、前記大気状態観測
    用レーザ光および前記大気状態改善用レーザ光の双方ま
    たは何れか一方を走査する走査光学系を備える、ことを
    特徴とする請求項1記載の天体観測装置。
  5. 【請求項5】 前記レーザ光源部は、前記大気状態観測
    用レーザ光および前記大気状態改善用レーザ光の双方ま
    たは何れか一方を発散して出射する発散光学系を備え
    る、ことを特徴とする請求項1記載の天体観測装置。
  6. 【請求項6】 前記レーザ光源部は、前記大気状態観測
    用レーザ光および前記大気状態改善用レーザ光の双方ま
    たは何れか一方を大気中の特定箇所に集光する集光光学
    系を備える、ことを特徴とする請求項1記載の天体観測
    装置。
  7. 【請求項7】 前記レーザ光源部は、それぞれ前記大気
    状態改善用レーザ光を出射する複数のレーザ発振器を備
    える、ことを特徴とする請求項1記載の天体観測装置。
  8. 【請求項8】 前記レーザ光源部は、前記大気状態観測
    用レーザ光を出射する大気状態観測用レーザ発振器と、
    前記大気状態改善用レーザ光を出射する大気状態改善用
    レーザ発振器と、を備えることを特徴とする請求項1記
    載の天体観測装置。
  9. 【請求項9】 前記大気状態観測用レーザ発振器は波長
    可変のレーザ発振器である、ことを特徴とする請求項8
    記載の天体観測装置。
  10. 【請求項10】 前記光検出手段は、前記散乱光の受光
    および前記天体観測像の撮像を単一の光検出器で行う、
    ことを特徴とする請求項1記載の天体観測装置。
  11. 【請求項11】 前記光検出手段は、前記散乱光を受光
    する受光器と、前記天体観測像を撮像する撮像器と、を
    備えることを特徴とする請求項1記載の天体観測装置。
  12. 【請求項12】 前記レーザ光源部は、前記主望遠鏡の
    鏡筒外に配され、 前記主望遠鏡は、反射望遠鏡であって、前記レーザ光源
    部から出射された前記大気状態観測用レーザ光および前
    記大気状態改善用レーザ光を反射して前記主望遠鏡の光
    軸に沿って大気中に照射させる反射鏡を副鏡の裏面に備
    える、 ことを特徴とする請求項1記載の天体観測装置。
  13. 【請求項13】 前記主望遠鏡は、反射望遠鏡であると
    ともに、 前記レーザ光源部は、その全部または一部が前記反射望
    遠鏡の副鏡の裏面に配される、 ことを特徴とする請求項1記載の天体観測装置。
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