JPH0984972A

JPH0984972A - 繊維集合体の型詰め方法及びその装置

Info

Publication number: JPH0984972A
Application number: JP7244358A
Authority: JP
Inventors: Masanao Yamaguchi; 正直山口
Original assignee: Teijin Ltd
Current assignee: Teijin Ltd
Priority date: 1995-09-22
Filing date: 1995-09-22
Publication date: 1997-03-31

Abstract

(57)【要約】【課題】成形コストを低減でき、しかも、綿の小塊を
金型のキャビティ内の所定の位置へ所望の嵩高密度に制
御しながら、繊維集合体を正確に均一に充填する繊維集
合体の型詰め方法及びその装置を提供する。【解決手段】捲縮形態を有する合成繊維の短繊維から
なるマトリックス中に該短繊維より低い融点を有するバ
インダー繊維が分散混入された繊維集合体（Ｆ）を金型
（１）内へ充填するための方法において、該金型（４）
のキャビティ（Ｃ）内の各領域内へ所定の充填密度で均
一に繊維集合体（Ｆ）を投入するために、金型（４）の
キャビティ（Ｃ）に補助空気吹込みノズル（７）を付設
した特徴とする繊維集合体の型詰め方法である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、捲縮形態を有する
合成繊維の短繊維からなるマトリックス中に該短繊維よ
り低い融点を有するバインダー繊維が分散混入された繊
維集合体を成形するために、金型内へ該繊維集合体（綿
の塊であって、以下「綿」或いは「綿の塊」とも称する
ことにする。）を充填するための方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、自動車、航空機等の複雑な形状
を有するシート用クッション材としてウレタンフォーム
が多用されてきた。しかしながら、ウレタンフォーム
は、燃焼時に有毒ガスを発生こと、リサイクル使用が困
難等の問題を有するため、これに代わる成形素材が切望
されてきた。

【０００３】このような問題から、近年、ウレタンフォ
ームを代替するための素材として、合成繊維の短繊維か
らなるマトリックス中に該短繊維より低い融点を有する
バインダー繊維が分散混入された繊維集合体を使用した
繊維構造体が、上記の諸問題を解決することができる素
材として注目されてきた。この繊維構造体は、金型のキ
ャビティ内へ綿を充填し、これを熱成形することで綿中
に含まれるバインダー繊維同士を熱融着させて形成され
る。

【０００４】従来、成形金型内へ綿を充填するための方
法としては、例えば綿の塊を一定の大きさに仮整形し、
仮整形した綿を手詰めしたり、ロボット等の自動機械に
よって成形金型のキャビティ内へ充填する方法が採られ
ていた。しかしながら、この方法は、綿を一度、仮整形
して、その後、仮整形した綿を金型内へ詰め込む必要が
あるため、仮整形という工程を余分に要するためコスト
アップとなると共に、仮整形した綿を設置するための仮
置場所も必要となるといった問題がある。

【０００５】このような問題を解決するために、綿を仮
整形せずに、小片の綿の塊として整形金型へ空気輸送す
る方法が、例えば特公昭５６−２９５５６号公報、特公
昭６２−２９０６９号公報、実公平１−２７７２７号公
報等に提案されている。この方法は、仮整形されていな
い綿をコンベアで開繊機へ運搬し、該開繊機によって綿
の小塊とした後、該開繊機から出てきた綿の小塊をブロ
アーによって、ダクト内を移送し、これによって金型の
キャビティへ充填する方法である。

【０００６】しかしながら、この型詰め方法では、成形
金型のキャビティが複雑な形状であった場合、空気流の
偏流、風速や風量分布の偏りが生じるため、繊維集合体
の過充填部分や充填不足部分が起り、均一な充填ができ
ないという問題がある。また、当然の事ながら、積極的
に金型のキャビティ内の各領域の充填密度を所定の値に
制御することもできないと言う問題を有している。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】以上に述べた諸問題に
鑑み、本発明が解決しようとする課題は、仮整形工程と
いった成形のコストアップとなる余分な工程を経ず、し
かも、金型のキャビティ形状が複雑化しても、繊維集合
体の過充填部分や充填不足部分が生じない金型への繊維
集合体の型詰め方法とその装置を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】ここに、本発明によれ
ば、捲縮形態を有する合成繊維の短繊維からなるマトリ
ックス中に該短繊維より低い融点を有するバインダー繊
維が分散混入された繊維集合体を成形するために、通気
性部材で形成された金型のキャビティ内へ開繊された該
繊維集合体を充填するための方法において、前記金型の
キャビティ内へ所定量の繊維集合体を、空気流に随伴さ
せながら充填するに際して、該繊維集合体が充填され難
いキャビティ部へ流れる局所的な補助空気流を発生さ
せ、これによって繊維集合体を金型のキャビティへ充填
すること、を特徴とする繊維集合体の型詰め方法が提供
される。

【０００９】なお、本発明の方法においては、前記の局
所的な補助空気流の流速、流量及び流れ方向を制御する
ことにより、金型のキャビティ内の各領域へ充填する繊
維集合体の充填密度を制御することが好ましい。

【００１０】また、本発明において、捲縮形態を有する
合成繊維の短繊維からなるマトリックス中に該短繊維よ
り低い融点を有するバインダー繊維が分散混入された繊
維集合体の開繊装置、該開繊装置から供給される繊維集
合体の空気輸送手段、及び空気輸送された繊維集合体を
所定の形状を有するキャビティ内に受け入れて該繊維集
合体を熱成形するための通気性金型を含む繊維集合体の
型詰め装置であって、その際、該金型のキャビティ内へ
局所的な空気流を発生させる空気吹込ノズルを金型のキ
ャビティに付設した繊維集合体の型詰め装置が提供され
る。

【００１１】ここで、簡単に、本発明に使用する繊維集
合体について説明する。まず、繊維集合体のマトリック
スを構成する合成繊維の短繊維としては、特に限定され
ることはないが、例えば通常のポリエチレンテレフタレ
ート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレ
ンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレー
ト、ポリ１，４−ジメチルシクロヘキサンテレフタレー
ト、ポリピバロラクトン、又はこれらの共重合エステル
からなる短繊維、乃至これらの繊維の混綿体、または上
記のポリマー成分のうちの２種以上からなる複合繊維等
が好適である。また、短繊維の断面形状は、円形、扁
平、異形または中空のいずれであっても良い。

【００１２】さらに、この場合の捲縮は、顕在捲縮であ
ることが好ましく、この顕在捲縮は、クリンパー等によ
る機械的な方法、紡糸時の異方冷却による方法、サイド
バイサイド型あるいは偏心シースコア型複合繊維の加熱
による方法等で得ることができる。

【００１３】一方、バインダー繊維としては、例えばポ
リウレタン系エラストマーやポリエステル系エラストマ
ー等を成形する製品の要求性能に合わせて混合すればよ
い。

【００１４】

【発明の実施の形態】以上に述べた本発明の実施の形態
について、以下に図面を参照しながら、詳細に説明す
る。

【００１５】図１は、本発明の装置を例示した正面断面
図であって、Ｆは綿（繊維集合体）、１はコンベア、２
は開繊機、３はダクト、４は金型、５は金型のキャビテ
ィ（Ｃ）を構成する通気性部材、６は空気流発生機（図
の実施例ではブロアー）、７は空気流供給ノズル、８は
該ノズル（７）への空気流量調整手段（図の実施例では
流量調整弁）をそれぞれ表す。なお、本発明では、空気
輸送手段としては、少なくとも空気流発生機（６）及び
ダクト（３）を含んだものから構成されている。

【００１６】以上のように構成された綿の金型への型詰
め装置において、コンベア（１）に載置されて開繊機
（２）へ搬送された綿（Ｆ）は、ブロアー（６）によっ
て発生させられた空気流に随伴して開繊機（２）から金
型（４）のキャビティ（Ｃ）内へ移送される。このと
き、金型のキャビティ（Ｃ）は、金属製のパンチングプ
レート、金網、多孔性の金属焼結体等の通気性を有する
部材（５）で構成されているため、搬送するための媒体
である空気流だけが通気性部材（５）から分離され、綿
のみが金型（４）のキャビティ（Ｃ）内に充填される。

【００１７】このようにして充填された綿（Ｆ）は、図
２のように綿の成形形状に合わせて製作されたキャビテ
ィ（Ｃ）が複雑であると、綿（Ｆ）を搬送するための空
気流の流れも複雑に変化し、これに伴ってキャビティ
（Ｃ）内の綿（Ｆ）の充填密度に不均一が生じる。これ
は金型のキャビティ（Ｃ）内で空気流の流れが乱された
り、偏流するためであって、この空気流の乱れ、或いは
偏流を解消できなければ、キャビティ（Ｃ）内で綿
（Ｆ）の過充填や充填不足が生じる。

【００１８】このため、本発明においては、充填不足が
生じたり、過充填が生じるような場所に局所的な補助空
気流を発生させるようにしてある。これによって、金型
（４）の綿（Ｆ）の充填が偏りやすいキャビティ（Ｃ）
部分にも、補助空気流に随伴して綿（Ｆ）が供給され、
キャビティ（Ｃ）内に均一に綿（Ｆ）が充填されるとい
う作用・効果を奏する。このようにして、キャビティ
（Ｃ）内を流れる補助空気流は、通気性部材（５）を貫
流して綿（Ｆ）と分離される。更には、金型のキャビテ
ィ（Ｃ）内の各領域に対して、積極的に綿（Ｆ）の充填
密度の差をつけるために本発明の方法と装置を使用する
こともできる。

【００１９】なお、本発明の通気性部材（５）の材質
は、熱成形されることや金型として要求される剛性を考
慮するとステンレス鋼等が好ましいが、特に、この材質
に限定する必要はない。また、熱成形後の成形物の取出
し性を考慮して、離型性をよくするため、表面を梨地と
したり、テフロン被覆しておいてもよい。

【００２０】ところで、図３に示すように、金型（４）
のキャビティ（Ｃ）形状が更に複雑になると、キャビテ
ィ（Ｃ）内の空気流は、更に複雑に変化するため、これ
に合わせて、補助空気流を発生させるためのノズル
（７）をキャビティ（Ｃ）に２個以上付設することで、
これに対応することができる。また、空気吹込みノズル
（７）のノズルの向きを、充填中に自在に変えることが
できるようにし、これによって補助空気流を制御するよ
うにしても良く、また、流量調整弁（８）を操作するこ
とによって、補助空気流の流速や流量を調節しても良い
ことは、言うまでもない。更に、補助空気流を吹き込む
ためのノズル（７）のキャビティ（Ｃ）への取付位置
は、キャビティ（Ｃ）の形状によって、適宜決定すれば
よい。

【００２１】以上のようにして金型のキャビティ（Ｃ）
に充填された綿（Ｆ）は、金型に充填された状態で加熱
されて熱成形され、これによって、バインダー繊維同士
を熱融着させた後、冷却して成形物として金型から取出
される。

【００２２】

【発明の効果】以上に述べたように本発明によれば、仮
整形工程といった成形コストアップとなる余分な工程を
経ず、綿の小塊を金型内の所定のキャビティ位置へ所望
の嵩高密度に制御しながら、過充填部分や充填不足部分
の発生もなく、金型のキャビティへ繊維集合体を正確か
つ均一に充填できるという極めて大きな効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の装置を例示した正面断面図である。

【図２】図１における金型部のみを拡大した正面断面図
である。

【図３】本発明の別の装置態様を例示した正面断面図で
ある。

【符号の説明】

１コンベア２開繊機３ダクト４金型５通気性部材６ブロアー７補助空気流吹込みノズル８流量調整弁Ｆ繊維集合体（綿）Ｃ金型のキャビティ

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】捲縮形態を有する合成繊維の短繊維から
なるマトリックス中に該短繊維より低い融点を有するバ
インダー繊維が分散混入された繊維集合体を成形するた
めに、通気性部材で形成された金型のキャビティ内へ開
繊された該繊維集合体を充填するための方法において、前記金型のキャビティ内へ所定量の繊維集合体を、空気
流に随伴させながら充填するに際して、該繊維集合体が
充填され難いキャビティ部へ流れる局所的な補助空気流
を発生させ、これによって繊維集合体を金型のキャビテ
ィへ充填すること、を特徴とする繊維集合体の型詰め方
法。
【請求項２】前記の局所的な補助空気流の流速、流量
及び流れ方向を制御することにより、金型のキャビティ
内の各領域へ充填する繊維集合体の充填密度を制御する
請求項１記載の繊維集合体の型詰め方法。
【請求項３】捲縮形態を有する合成繊維の短繊維から
なるマトリックス中に該短繊維より低い融点を有するバ
インダー繊維が分散混入された繊維集合体の開繊装置、
該開繊装置から供給される繊維集合体の空気輸送手段、
及び空気輸送された繊維集合体を所定の形状を有するキ
ャビティ内に受け入れて該繊維集合体を熱成形するため
の通気性金型を含む繊維集合体の型詰め装置であって、
その際、該金型のキャビティ内へ局所的な空気流を発生
させる空気吹込ノズルを金型のキャビティに付設した繊
維集合体の型詰め装置。