JPH0975068A - セプトリア属に属する微生物及びその用途 - Google Patents

セプトリア属に属する微生物及びその用途

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JPH0975068A
JPH0975068A JP7238905A JP23890595A JPH0975068A JP H0975068 A JPH0975068 A JP H0975068A JP 7238905 A JP7238905 A JP 7238905A JP 23890595 A JP23890595 A JP 23890595A JP H0975068 A JPH0975068 A JP H0975068A
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JP
Japan
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septoria
genus
jtta
weeds
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JP7238905A
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Hideaki Negishi
秀明 根岸
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Japan Tobacco Inc
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Japan Tobacco Inc
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 セプトリア属に属する微生物、並びに該
微生物を利用した除草剤及び雑草の防除方法。 【効果】 環境を汚染あるいは破壊することなく、タカ
サブロウ等の雑草を選択的に枯死あるいは生育抑制する
手段を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セプトリア(Sept
oria)属に属する新規菌株、並びにセプトリア属に属す
る微生物を利用した除草剤及び雑草の防除方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】水田における主要雑草であるタカサブロ
ウ(Eclipta alba HASSK)に対する防除方法としては、
化学除草剤を用いる方法が中心となっている。近年、化
学農薬の多用による環境汚染の問題から、化学農薬に頼
らない雑草の防除剤とその利用法の開発が望まれてお
り、特に植物病原菌を用いた微生物農薬への期待は高
い。現在までに、DeVine(米国、対象雑草:Stranglerv
ine、ガガイモ科)とCollego(米国、対象雑草:Northe
rn jointvetch、マメ科)、BioMal(カナダ、対象雑
草:Round-leaved mallow、アオイ科)が農薬登録さ
れ、商品化されている。しかし、タカサブロウを対象と
した微生物除草剤は開発されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、タカサブロ
ウ等の雑草を、微生物によって防除する手段を提供する
ことを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、セプトリア属に属
す微生物が、タカサブロウをはじめとする各種雑草に対
し優れた防除能を有することを見出し、本発明を完成し
た。即ち、本発明は、エクリプタ属に属する植物に対し
病原性を示すセプトリアsp. JTTA−632菌株であ
る。
【0005】また、本発明は、セプトリア属に属し、雑
草に対し病原性を示す微生物を有効成分として含有する
ことを特徴とする除草剤である。さらに、本発明は、上
記記載の除草剤を用いた雑草の防除方法である。以下、
本発明を詳細に説明する。最初に、本発明の新規菌株、
セプトリアsp. JTTA−632菌株について説明す
る。この菌株は、日本各地より罹病したタカサブロウを
採集し、タカサブロウに対する病原性を有する菌株を分
離して、純粋培養し、タカサブロウに対する防除効果を
検討するとともに、他の作物、特にイネに対する非病原
性を検討するスクリーニング手段によって創製したもの
である。この菌株の菌学的性質の主なものを列挙すると
つぎの通りである。
【0006】好気性菌であり、生育できるpHは3−1
1の範囲である。生育温度は、15−30度、生育適気
温は、25度前後である。ポテトデキストロース寒天培
地におけるコロニーは、表裏ともに黒色、カルス状に隆
起するが、水平方向への伸長は極めて遅い。この隆起上
には局所的に白色の胞子粘塊や気中菌糸を生ずることも
ある。コーンミール寒天培地上におけるコロニーは、淡
褐色のマット状、中央部のみ白色の綿毛状になる。伸長
は遅い。また、分生子は無色、ひも状、数個の横隔壁を
持つ。分生子の大きさは、約27−42μm×約2μm
である。
【0007】以上の菌学的性質を、植物菌類図説(小林
ら、1992. P20-52, 402.全国農村教育協会)とIllustra
ted Genera of imperfect Fungi, Fourth Edition (Bar
nett, H. L. and Hunter, B. B. 1987. P6-39, 182. Ma
cmillan publishing Company)に基づき検索を行った結
果、本菌株を、セプトリア属に属する微生物であると同
定した。また、コムギ、キク、ハッカ等の病原菌として
数種のセプトリア属の微生物が知られているが、エクリ
プタ属の植物に病原性を示すセプトリア属の微生物は知
られてないことから、この菌株を新規菌株と認定し、セ
プトリアsp. JTTA−632菌株と命名した。そし
て、この菌株を工業技術院生命工学工業技術研究所にFE
RM BP-5179(原寄託日平成7年7月21日)として寄託し
た。本菌株の培養には、特別な方法を用いる必要はな
く、セプトリア属に属する公知の菌株と同様の方法を用
いることができる。培地としては、資化可能な炭素源、
窒素源、無機物及び必要な生育促進物質を適当に含有す
る培地であれば、合成培地、天然培地のいずれも用いる
ことができる。具体的な培地を例示すると、ポテトデキ
ストロース寒天培地(PDA)、Czapek寒天培地
等を挙げることができる。培養に際しては、温度を15
−30度、好ましくは25度程度、pHを3−11に維
持することが望ましい。以上のような条件で7−14日
程度培養を行うと培地表面に充分な量の分生子が形成さ
れてくる。本菌株は、水田あるいは畑地雑草のタカサブ
ロウを枯死させ、イネ、コムギ、トウモロコシなどのイ
ネ科植物、ナスなどのナス科植物、キュウリなどのウリ
科植物に影響を与えない。この菌株は、大量培養が可能
であり、かつ、容易に大量の胞子を得ることができる。
【0008】次に、本発明の除草剤及び防除方法につい
て説明する。本発明の除草剤に用いる微生物としては、
セプトリアsp. JTTA−632菌株を挙げることがで
きるが、この菌株以外でもセプトリア属に属し、雑草に
対し病原性を示す微生物であればどのようなものでもよ
い。本発明の除草剤は、セプトリア属に属する微生物を
大量培養して得られる胞子を水に懸濁することにより製
剤化することができるが、製剤化の方法はこれに限定さ
れるものではない。この場合、胞子濃度は1×108
1×109 個/mlが適当であるが、これに限定される
ものではない。また、水に懸濁するにあたっては、界面
活性剤、展着剤などの補助剤を添加してもよい。主剤で
ある微生物は、培養直後の新鮮なもののほかに、いった
ん保存したものを、水を主体とするもので復元したもの
でもよい。保存方法は、微生物の保存方法として広く知
られている、超低温保存(−80℃)、真空凍結乾燥な
どを用いることができる。
【0009】本発明の防除方法は、上記除草剤を圃場に
散布することにより行う。散布量は、雑草の繁茂の度合
いに応じて決めればよいが、通常圃場10アール当たり
胞子量が1013〜1014個になるように散布するのが好
ましい。本発明の除草剤及び防除方法の対象となる植物
は、特に制限はないが、タカサブロウ等のエクリプタ
Eclipta )属に属する植物に対し特に有効である。ま
た、防除対象とする植物の生育時期についても特に制限
はなく、発芽後まもない植物から成長した植物まで広く
防除対象とすることができる。
【0010】
【実施例】
1)本発明の新規菌株の創製行程 水田あるいは畑地に生育し、かつ病徴を示すタカサブロ
ウを採取し、その罹病部分を切りとり、その葉片を70
%エタノール溶液中に、30秒から60秒間浸漬した
後、1%次亜塩素酸ナトリウム溶液(Sodium hypochlor
ide)に等量の0.1%ツイーン80(Tween 80)溶液
を加えた溶液中に懸濁し、1から3分間浸漬して、表面
殺菌した。葉片を0.1%ツイーン80溶液で1回洗
浄、滅菌水で2回洗浄を行った後、抗生物質入りPDA
培地上に置き、25度の恒温器中で2−5日間培養し、
伸長したコロニーの周縁部を新しいPDA培地に移し培
養し分生子を形成させた。さらに新しいPDA培地に分
生子を撹線し培養して、単一コロニーを得ることによっ
て、微生物の純粋分離を行った。
【0011】分離された各菌株について、タカサブロウ
に対する病原性を再度検討するとともに、イネ、コム
ギ、トウモロコシ、トマト、キュウリに対する影響を検
討して、タカサブロウに対して優れた除草効果を発揮
し、イネ、コムギ、トウモロコシ、トマト、キュウリに
影響を与えない、新規菌株セプトリアsp. JTTA−6
32菌株を分離した。 2)創製した微生物の同定 本発明の菌株の同定は、主に分生子の形態を観察して行
った。その結果、前述の通り、本菌株は、セプトリア属
に属する微生物と同定された。 3)大量培養および製剤方法 PDA寒天培地上に生育させたセプトリア属に属する微
生物に、滅菌水を加え、撹はんすることにより、高濃度
の胞子懸濁液を調整し、約100μlを新たな培地上に
滴下、これを滅菌L字型状ガラス棒にて拡散させること
により、一度に多量のペトリ皿(直径9cm)への微生物
の植え付けが可能となった。その結果、胞子生産量は、
ペトリ皿1枚当たり約1×108個の胞子生産が認められ
た。
【0012】このように、本発明の微生物は、平板培地
での培養により、容易にかつ大量に胞子を得ることがで
きる。さらに、得られた胞子を10%のスキムミルクに
懸濁し、真空乾燥することによって水和剤とすることが
できる。この水和剤は、水に懸濁し、ツイーン80等の
界面活性剤を加え、施用することができる。 4)タカサブロウに対する病原力試験 タカサブロウを市販のポットで生育させ、2から5葉期
のものを試験材料とした。
【0013】PDA培地上で培養して得られた本発明の
微生物の胞子を0.1%ツイーン80溶液中に懸濁、1
6個/ml から108個/ml に調整し、エアスプレーを用
いて、タカサブロウに接種を行った。すぐに25度の湿
室に48時間置いた後、25度の温室に移し、5日後の
タカサブロウの発病個体率及び防除率を調査した。その
結果を表−1に示した。107個/ml における本菌によ
るタカサブロウの発病率は72%であった。 表−1 JTTA−632菌のタカサブロウに対する防除効果 ──────────────────────────── 胞子濃度 発病率 防除率 ──────────────────────────── 0 0 0 106 34 5 107 72 10 108 100 50 ──────────────────────────── *発病率:発病株数/接種株数×100 *防除率:植物全体の減少割合(達観) 表−1から明かな通り、本発明微生物は、タカサブロウ
に対して優れた防除効果を示した。 5)作物に対する影響 作物に対する試験は、タカサブロウに対する病原力試験
と同様の方法で行い、用いた接種源の胞子濃度は107
個/mlとした。
【0014】イネ、コムギ、トウモロコシ、トマト、キ
ュウリを供試植物とした。試験結果を表−2に示した。 表−2 作物に対する影響 ───────────────── 植物 有無 ───────────────── イネ − コムギ − トウモロコシ − トマト − キュウリ − タカサブロウ + ───────────────── +:枯死あるいは生育抑制 −:影響なし 表−2から明かな通り、本発明微生物は、イネ、コム
ギ、トウモロコシ、トマト、キュウリの生育に影響を与
えなかった。 〔製剤例1〕(液剤) セプトリアsp. JTTA−632菌株の分生子(1011
個)、ツイーン80(1g)を水1Lに加えて混合し、
液剤を調整した。 〔製剤例2〕(水和剤) マルトース9%、クレイ1%、水90%の混合液1ml
当たり分生子(JTTA−632株)109 個を懸濁し
た。これを風乾した後、乾燥物を混合粉砕し、水和剤を
調整した。 〔製剤例3〕(水和剤) スキムミルク10%、水90%の混合液1ml当たり分
生子(JTTA−632株)109 個を懸濁した。これ
を真空乾燥した後、乾燥物を混合粉砕し、水和剤を調整
した。 〔製剤例4〕(粉剤) ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン14%、
ホワイトカーボン12%、クレイ74%の混合物1g当
たり分生子(JTTA−632株)109 個を混合し
た。これを乾燥した後、均一に粉砕し、粉剤を調整し
た。 〔製剤例5〕(粒剤) β−シクロデキストリン15%、デンプン2%、ベント
ナイト18%、炭酸カルシウム36%、水29%の混合
物1g当たり分生子(JTTA−632株)109 個を
加えて練った後、造粒機で造粒し、乾燥することによっ
て粒剤を調整した。 〔製剤例6〕(乳剤) ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルリン酸アン
モニウム18%、ポリオキシエチレンノニルフェニルエ
ーテル6%、リン酸トリエチル29%、リン酸トリブチ
ル47%の混合物1g当たり分生子(JTTA−632
株)109 個を加えて均一に懸濁し、乳剤を調整した。 〔製剤例7〕(油剤) スピンドルオイル95%、ひまし油4%、シリコーンオ
イル1%の混合液1ml中に分生子(JTTA−632
株)109 個を懸濁し、油剤を調整した。 〔製剤例8〕(ドライフロアブル剤) アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム12%、ポリエ
チレングリコールエーテル88%の組成物1ml中に分
生子(JTTA−632株)109 を懸濁し、ドライフ
ロアブル剤を調整した。 〔製剤例9〕(カプセル剤) アルギン酸ナトリウム0.7%、カオリン5%、グリセ
リン15%、水79.3%の混合液1ml中に分生子
(JTTA−632株)109 個を懸濁し、0.2モル
酢酸カルシウム溶液中に滴下してカプセル状生成物を得
た。これを細断した後、篩にかけ、風乾しカプセル剤を
調整した。
【0015】
【発明の効果】本発明の除草剤は、タカサブロウを選択
的に枯死あるいは生育抑制し、イネなどの作物に影響を
与えることなく防除できる。また、化学農薬のように環
境を汚染あるいは破壊することがない。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エクリプタ属に属する植物に対し病原性
    を示すセプトリアsp. JTTA−632菌株。
  2. 【請求項2】 セプトリア属に属し、雑草に対し病原性
    を示す微生物を有効成分として含有することを特徴とす
    る除草剤。
  3. 【請求項3】 セプトリア属に属する微生物が、セプト
    リアsp. JTTA−632菌株であることを特徴とする
    請求項2記載の除草剤。
  4. 【請求項4】 雑草が、エクリプタ属に属する植物であ
    ることを特徴とする請求項2又は3記載の除草剤。
  5. 【請求項5】 請求項2〜4記載の除草剤を用いた雑草
    の防除方法。
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