JPH0967785A - リグニンの脱色及び分解方法 - Google Patents

リグニンの脱色及び分解方法

Info

Publication number
JPH0967785A
JPH0967785A JP22161995A JP22161995A JPH0967785A JP H0967785 A JPH0967785 A JP H0967785A JP 22161995 A JP22161995 A JP 22161995A JP 22161995 A JP22161995 A JP 22161995A JP H0967785 A JPH0967785 A JP H0967785A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lignin
decolorization
decomposition
azotobacter
strain
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP22161995A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinichi Kinoshita
晋一 木下
Takashi Morii
敬 森井
Kunichika Nakamiya
邦近 中宮
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
New Oji Paper Co Ltd
Original Assignee
Oji Paper Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Oji Paper Co Ltd filed Critical Oji Paper Co Ltd
Priority to JP22161995A priority Critical patent/JPH0967785A/ja
Publication of JPH0967785A publication Critical patent/JPH0967785A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Chemical Or Physical Treatment Of Fibers (AREA)
  • Paper (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 リグニンの脱色および分解方法。 【解決手段】 アゾトバクター(Azotobacter)属に属
する微生物および/または該微生物の培養物を用いるこ
とによるリグニンの脱色及び分解方法である。 【効果】 本発明により、リグニンを脱色および分解す
ることが可能になり、紙パルプ工場におけるリグニン排
液処理に貢献するとともに、リグニンの有効利用に貢献
するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微生物を用いてリ
グニンを脱色および分解する方法及びそれに用いる新規
微生物に関し、さらに詳しくは、アゾトバクター(Azot
obacter)属に属する微生物を用いてリグニンを脱色およ
び分解する方法及びそれに用いる新規微生物、アゾトバ
クター ベイジェリンキイ(Azotobacter beijerincki
i)HM121株に関する。
【0002】
【従来の技術】リグニンは草本類に15〜25%、樹木
に20〜35%含まれる高分子無定型化合物であり、主
に木質化した植物の細胞に存在する。化学的にはフェニ
ルプロパンの基本構成単位がエーテル結合、炭素−炭素
結合で縮合した形であり、メトキシル基を多く含んでい
る。酸による加水分解を受けにくく、また微生物や酵素
によっても分解を受けにくい難分解性の物質である。化
学パルプ製造に際して、リグニンは蒸解工程により溶出
させ、残渣を未晒パルプとしている。また未晒パルプに
ついてはさらに酸素、塩素等による漂白及びアルカリ抽
出を行い、残留しているリグニンを除去することで白色
度の高いパルプを得ている。この蒸解中の反応によって
本来淡黄色〜淡褐色であったリグニンが濃褐色に着色す
るが、クラフト法においては、蒸解によって溶出したリ
グニン(クラフトリグニン)は濃縮後、ボイラーの燃料
として使われている。また、漂白工程等で産生した着色
リグニン含有排液については適切な排水処理を行ってい
る。リグニンは天然に存在する有機化合物としてセルロ
ースに次ぐ蓄積量であるにもかかわらず、有効利用され
ているとは言えない。その理由として、リグニンの難分
解性がある。もしリグニンを効率的に分解したり、着色
リグニンを効率よく脱色できる手段があればリグニンを
含む廃水の処理やリグニンの有効利用に使うことができ
るため、その手段が求められている。その一つとして、
微生物や酵素を用いた生物学的手法がある。リグニンは
微生物にとっても難分解性の物質であるため、高分子の
リグニンを分解できる微生物としては、アラゲカワラタ
ケ、カワラタケ、Phanerochaetechrysosporium(ファネ
ロカエテ クリソスポリウム)、ヒラタケなど一部の微
生物に限られている。また脱メチルや水酸化などリグニ
ンを変性させる菌としては、オオウズラタケなどの褐色
腐朽菌やChaetomium globosum(ケトミウム グロボー
ザム)などの軟腐朽菌が知られている。また、リグニン
の部分的な分解に対してはFusarium(フザリウム)のよ
うなカビ類やPseudomonas(シュードモナス)属などの
微生物も関与するとされている。パルプ排液の脱色につ
いて、白色腐朽菌を用いたものではPhanerochaete chry
sosporium(Michel F.C.Jr.,et al.,Appl.Environ.Micr
obiol., 57,2368,1991)、カワラタケ(Archibald F.,e
t al.,Enzyme Microb.Technol.,12,846,1990)、スエヒ
ロタケ(Belsare D.K.,et al.,Appl.Microbiol.Biotech
nol.,28,301,1988)がある。また麦わらのアルカリ蒸解
排液の脱色にストレプトミセスを用いた例(Hernandez
M.,et al.,Appl.Environ.Microbiol., 60,3909,1994)
がある。アゾトバクターは窒素固定菌であり、芳香族化
合物の分解については安息香酸ナトリウム、レゾルシノ
ール、ピロカテコール、バニリン酸を分解するという報
告(Abd-Alla,Folia Microbiol.,39,57,1994)やクロロ
フェノール類を分解する報告(Deng-Yu Li, et al.,App
l.Environ.Microbiol.,57,1920,1991およびWieser Marc
o,et al.,FEMS Microbiol.Let.,116,73,1994)がある。
しかし、これらはモノマーの化合物であり、アゾトバク
ター ベイジェリンキイ(Azotobacter beijerinckii)
およびアゾトバクターに属する微生物が高分子のリグニ
ンを脱色、あるいは分解したという報告はない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、微生
物を用いた新規なリグニンの脱色および分解方法及び該
方法に用いるアゾトバクター属に属する新規な菌株を提
供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らはリグニン脱
色菌を求め、天然界より広範なスクリーニングを行いリ
グニンを脱色および分解能を有するアゾトバクター ベ
イジェリンキイ(Azotobacter beijerinckii)HM12
1株を見い出し、更に該微生物及びその培養液を用いた
リグニン脱色方法を開発し、本発明を完成するに至っ
た。すなわち、本発明はリグニン含有物質をアゾトバク
ター(Azotobacter)属に属し、リグニンの脱色および
分解能を有する微生物の菌体、その培養物又はその処理
物で処理することを特徴とするリグニンの脱色および分
解方法である。
【0005】上記微生物としてはアゾトバクター ベイ
ジェリンキイ(Azotobacter beijerinckii)HM121
株等があげられる。また、上記リグニン含有物質として
は、針葉樹、広葉樹などからなるパルプ原料及びパルプ
排液などが挙げられる。さらに、本発明はリグニンの脱
色および分解能を有するアゾトバクター ベイジェリン
キイ(Azotobacter beijerinckii)HM121株であ
る。以下、本発明について詳細に説明する
【0006】(1)微生物 本発明者らが北海道札幌市北海道大学の土壌中から採取
した菌株の中にリグニンを脱色および分解する能力を有
する微生物、HM121株を見い出した。この微生物菌
株、HM121株は表1に示す菌学的性質を有する。
【0007】 表 1 ────────────────────────────────── グラム染色 陽性 形状 桿菌(卵形) 大きさ 0.4〜0.5×1.0〜1.2 μm シストあるいはシスト様細胞の形成 陽性 液体培地での運動性 陰性(鞭毛無し) 60℃以上での生育 陰性 5での生育 陰性 37℃以上での生育 陽性 赤あるいは橙色のコロニーの形成 陰性 紫色のコロニーの形成 陰性 蛍光色素の形成 陰性 グルコースから酸の形成 陽性 トリプトファンからインドールの生成 陰性 試験管内での好気的窒素固定 陽性 脱窒 陰性 20%以上のNaC1共存下での生育 陰性 カタラーゼ 陽性 デンプンの利用 陽性 ラムノースの利用 陰性 ミオイノシトールの利用 陰性 カプロン酸塩の利用 陰性 カプリル酸塩の利用 陰性 マロン酸塩の利用 陽性 ──────────────────────────────────
【0008】この結果からBergey's Manual of Determi
native Bacteriology, 9th. Edition を参考にして本菌
株の同定を行った。本菌は寒天培地でムコイド状のコロ
ニーを呈し、グラム陰性菌で好気的条件で窒素固定する
こと、カタラーゼを持つこと、及び特徴的な休眠細胞
(シスト)の形成が観察されることからアゾトバクター
(Azotobacter)属に属する株であることは明らかであ
る。種については、運動性がないことからアゾトバクタ
ー ベイジェリンキイ(Azotobacter beijerinckii)か
アゾトバクター ニグリカンス(Azotobacter nigrican
s)に限定されるが、色素を形成しないことから本発明
の菌株はアゾトバクター ベイジェリンキイ(Azotobac
ter beijerinckii)に属する菌株であるとした。さら
に、高分子のリグニンを脱色および分解するアゾトバク
ター ベイジェリンキイ(Azotobacter beijerinckii)
に属する菌株およびアゾトバクター(Azotobacter)属
に属する菌株の報告がないため、このHM121株をア
ゾトバクター ベイジェリンキイ(Azotobacter beijer
inckii)HM121株とした。このアゾトバクター ベ
イジェリンキイ(Azotobacter beijerinckii)HM12
1株は、通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所
に、平成7年8月1日にFERM P-15081として寄託されて
いる。
【0009】なお、本発明においては、このHM121
株以外でも、アゾトバクター(Azotobacter)属に属
し、リグニンを脱色および分解する能力のある菌株であ
ればいずれも用いることができる。
【0010】(2)微生物の培養方法 本発明の菌株の培養に用いる炭素源や窒素源の種類、ま
たそれらの濃度については、菌が生育することのできる
ものであればいずれも用いることができる。例えば、炭
素源としてはグリセリン、グルコースなどの各種単糖、
オリゴ糖およびデンプンなどの多糖のほか、それらの分
解代謝物であるアミノ酸や有機酸、また農産廃棄物を使
用することができ、窒素源としては酵母エキス、ペプト
ン、肉エキス、各種アミノ酸、大豆、コーンスティープ
リカー、各種無機窒素等の窒素化合物を用いることがで
きる。また、各種の塩類やビタミン、ミネラル等を適宜
用いることができる。培養温度およびpHについては、
本発明の菌株が生育する温度及びpHであればいずれで
も良いが、温度については30℃付近が好ましい。pH
について、本発明の菌株は初期pH3.0以下では生育
せず、pH9.0以上ではほとんど生育しない。増殖の
至適pHは6付近である。生育の最適条件は0.04%
リグニン、0.5%グリセリン、0.02%ペプトン、
0.02%酵母エキス、0.1%KH2PO4、0.02
%(NH42SO4、0.02%MgSO4・7H2O、
0.02%MnSO4・4H2Oからなる培地を用い、初
発pH6.0で培養温度30℃である。また、寒天培地
を用いる時はこの培地に寒天を1.5%添加する。
【0011】(3)リグニンの脱色および分解方法 予め培養した本発明の菌株の菌体および培養物を0.0
4〜0.1%のリグニンを含む培地と混合し、必要であ
れば適当な培地成分を添加して培養することでリグニン
の脱色および分解を行うことができる。リグニンの脱色
及び分解については、培養液の遠心分離上清の480n
mの可視部の吸光度(脱色)とリグニンの芳香環に由来
する275nmの吸光度(分解)を測定し、それぞれの
減少率(%)で表した。リグニンとしてはクラフトリグ
ニンやクラフトパルプ漂白工程のアルカリ排液リグニ
ン、リグニンスルホン酸などのパルプ製造工程で産生す
るリグニンのほかナカライテスク社製、シグマ社製、関
東化学社製、東京化成社製などの市販リグニンやジオキ
サンリグニンのように化学変化をほとんど受けていない
リグニンなどを用いることができる。本発明菌株がリグ
ニンを脱色および分解するときに添加する培地および培
養条件は生育の条件と同様である。リグニンの脱色およ
び分解のための至適条件は、0.04%リグニン、0.
5%グリセリン、0.02%ペプトン、0.02%酵母
エキス、0.1%KH2PO4、0.02%(NH42
4、0.02%MgSO4・7H2O、0.02%Mn
SO4・4H2Oからなる培地を用い、初発pH6.0で
培養温度30℃である。なお、本発明において用いられ
る菌体処理物としては、菌体の破砕物などが挙げられ
る。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、実施例により本発明を更に
具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施例に限定
されない。 (実施例1)微生物菌体の培養 0.04%リグニン、0.5%グリセリン、0.02%
ペプトン、0.02%酵母エキス、0.1%KH2
4、0.02%(NH42SO4、0.02%MgSO
4・7H2O、0.02%MnSO4・4H2Oからなる液
体培地(pH6)を用い、30℃で40時間振盪培養し
たアゾトバクター ベイジェリンキイHM121株の培
養物3%あるいは同組成の寒天培地で培養した菌体1白
金耳を同液体培地に植菌し、30℃で本菌株の培養を行
った。40時間で増殖はほぼピークに達し、このときの
OD(600nm)は約3であった。
【0013】(実施例2) (1)各種リグニンの脱色および分解 アゾトバクター ベイジェリンキイ(Azotobacter beij
erinckii)HM121株(FERM P-15081) と各種リグニ
ンを用い、リグニンの脱色および分解のための至適条件
で培養した。すなわち、0.04%の各種リグニン、
0.5%グリセリン、0.02%ペプトン、0.02%
酵母エキス、0.1%KH2PO4、0.02%(N
42SO4、0.02%MgSO4・7H2O、0.0
2%MnSO4・4H2Oからなる培地にアゾトバクター
ベイジェリンキイ(Azotobacter beijerinckii)HM
121株の前培養物3mlを接種し、初期pH6.0、培
養温度30℃で3日間振盪培養した。培養は500ml
の三角フラスコを用い、培地量100mlで行った。リ
グニンの脱色率、及び分解率としてそれぞれ培養液の遠
心分離上清の480nmと275nmの吸光度の減少率
(%)を測定した。結果を表2に示す。
【0014】 表 2 ─────────────────────────────────── リグニン(由来*) 脱色率(%) 分解率(%) ─────────────────────────────────── アルカリリグニン(N) 92.4 75.1 アルカリリグニン(T) 86.7 69.3 アルカリリグニン(K) 93.2 71.9 アルカリリグニン(S) 91.4 78.1 脱アルカリリグニン(T) 90.7 72.5 リグニンスルホン酸(T) 86.1 38.2 針葉樹クラフトリグニン1 46.4 27.4 広葉樹クラフトリグニン1 77.1 41.7 ジオキサンリグニン2 84.2 60.5 ─────────────────────────────────── *:N(Nacali tesque Co. Ltd.) T(Tokyo Kasei Kogyo Co.Ltd.), K(Kanto Chem.Co.Ltd.) S(Sigma Chem.Co.) 1: 木材科学実験書、II化学編、P.232(日本木材学会・化学編編集委員会、中 外産業調査会発行) 2: リグニンの化学、P.47(中野準三編、ユニ出版発行) これより本発明の菌株は、広範な種類のリグニンに対し
て脱色および分解を行うことができる。
【0015】(2)リグニンの脱色および分解における
リグニンの濃度の影響 アゾトバクター ベイジェリンキイ(Azotobacter beij
erinckii)HM121株をリグニンに0.02〜0.2
%のナカライテスク社製リグニンを用い、他の条件は前
記(1)と同様にリグニンの脱色および分解のための至
適条件で培養した。培養液を用いてリグニンの脱色率、
及び分解率を測定した。結果を図1に示す。なお、図中
の横軸はリグニンの濃度、縦軸はリグニンの脱色率およ
び分解率を示す。これより、リグニンの脱色および分解
は0.04%で最も高く、0.08%以下で良好な結果
を示した。
【0016】(3)リグニンの脱色および分解における
グリセリンおよびグルコース濃度の影響 ナカライテクス社製のリグニンを用い、グリセリンおよ
びグルコースの濃度を0〜0.8%に変えて、他の条件
は前記(1)と同様にリグニンの脱色および分解のため
の至適条件で培養し、リグニンの脱色率と分解率を測定
した。結果を図2に示す。なお、図中の横軸はグリセリ
ンおよびグルコース濃度、縦軸はリグニンの脱色率およ
び分解率を示す。これよりグリセリンとグルコースの両
方とも0.5%以下で良好な分解を示した。さらに、グ
リセリンの方がグルコースよりも脱色および分解には勝
れていた。
【0017】(4)(NH42SO4濃度の影響 0.04%ナカライテクス社製リグニンを用い、(N
42SO4を0〜0.1%まで変え、他の条件は前記
(1)と同様にリグニンの脱色および分解のための至適
条件で培養し、リグニンの脱色率と分解率を測定した。
結果を図3に示す。なお、図中の横軸は(NH42SO
4濃度、縦軸はリグニンの脱色率および分解率を示す。
これよりリグニンの脱色は(NH42SO4濃度が0.
02%以上で良好な値を示したが、リグニンの分解につ
いては(NH42SO4の濃度が高くなるにつれて抑制
された。
【0018】(5)MnSO4・4H2O濃度の影響 0.04%ナカライテクス社製リグニンを用い、MnS
4・4H2Oを0〜0.05%まで変え、他の条件は前
記(1)と同様にリグニンの脱色および分解のための至
適条件で培養し、リグニンの脱色率と分解率を測定し
た。結果を図4に示す。なお、図中の横軸はMnSO4
・4H2O濃度、縦軸はリグニンの脱色率および分解率
を示す。これよりリグニンの脱色はMnSO4・4H2
の濃度が0.02%で最大の値を示したが、ほとんど影
響されなかった。リグニン分解についてはMnSO4
4H2Oの濃度が0.02%以上で良好な値を示した。
【0019】(6)培養初期pHの影響 0.04%ナカライテクス社製リグニンを用い、初期p
Hを1NのHClとNaOHによってpHを3〜9に調
整し、他の条件は前記(1)と同様にリグニンの脱色お
よび分解のための至適条件で培養し、リグニンの脱色率
と分解率を測定した。結果を図5に示す。なお、図中の
横軸は培養初期のpH、縦軸はリグニンの脱色率および
分解率を示す。これよりリグニンの脱色および分解はp
Hは4.0〜8.0で良好であり、至適pHは6であっ
た。なお、本菌はpH3.0では生育が見られず、また
pH9.0ではほとんど生育できなかった。
【0020】(7)リグニンの脱色および分解と菌の生
育の経時変化 0.04%ナカライテスク社製リグニン0.04%を用
い、他の条件は前記(1)と同様にリグニンの脱色およ
び分解のための至適条件で培養し、菌の生育、リグニン
の脱色および分解の経時変化を測定した。菌の生育の指
標は600nmの濁度を用いた。結果を図6に示す。な
お、図中の横軸は培養期間(時間)、縦軸はリグニンの
脱色率、分解率および菌の生育を示す。これより、生
育、リグニンの脱色および分解は40時間でほぼ完了す
る。
【0021】(8)バッチ培養の繰り返しによるリグニ
ンの分解 0.04%ナカライテスク社製リグニン0.04%を用
い、他の条件は前記(1)と同様にリグニンの脱色およ
び分解のための至適条件で培養し、この培養物10ml
を同様のフレッシュな培地に新たに植菌し24時間振盪
培養した。これを繰り返して行い、リグニンの脱色およ
び分解率を測定した。結果を図7に示す。なお、図中の
横軸は培養期間(日)、縦軸はリグニンの脱色率、分解
率を示す。これより12回の継代培養でもリグニンを良
く脱色および分解した。
【0022】
【発明の効果】本発明の菌株であるアゾトバクター ベ
イジェリンキイ(Azotobacter beijerinckii)HM12
1株により新規なリグニンの脱色および分解方法を提供
することができる。本発明により、リグニンを脱色およ
び分解を効率的に行うことができた。また、本発明は、
紙パルプ工場におけるリグニン排液処理に貢献するとと
もに、リグニンの有効利用に貢献することかできるもの
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】リグニンの脱色および分解におけるリグニン濃
度の影響を示す図。
【図2】リグニンの脱色および分解におけるグリセリン
およびグルコース濃度の影響を示す図。
【図3】リグニンの脱色および分解における(NH42
SO4濃度の影響を示す図。
【図4】リグニンの脱色および分解におけるMnSO4
・4H2O濃度の影響を示す図。
【図5】リグニンの脱色および分解における培養初期p
Hの影響を示す図。
【図6】リグニンの脱色および分解と菌の生育の経時変
化を示す図。
【図7】バッチ培養の繰り返しによるリグニンの脱色お
よび分解を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:065)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リグニン含有物質をアゾトバクター(Az
    otobacter)属に属し、リグニンの脱色および分解能を
    有する微生物の菌体、その培養物又はその処理物で処理
    することを特徴とするリグニンの脱色および分解方法。
  2. 【請求項2】 リグニン含有物質をアゾトバクター(Az
    otobacter)属に属し、リグニンの脱色および分解能を
    有する微生物がアゾトバクター ベイジェリンキイ(Az
    otobacter beijerinckii)HM121株であることを特
    徴とする請求項1記載のリグニンの脱色および分解方
    法。
  3. 【請求項3】 リグニンの脱色および分解能を有するア
    ゾトバクター ベイジェリンキイ(Azotobacter beijer
    inckii)HM121株
JP22161995A 1995-08-30 1995-08-30 リグニンの脱色及び分解方法 Pending JPH0967785A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22161995A JPH0967785A (ja) 1995-08-30 1995-08-30 リグニンの脱色及び分解方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22161995A JPH0967785A (ja) 1995-08-30 1995-08-30 リグニンの脱色及び分解方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0967785A true JPH0967785A (ja) 1997-03-11

Family

ID=16769601

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP22161995A Pending JPH0967785A (ja) 1995-08-30 1995-08-30 リグニンの脱色及び分解方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0967785A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Fitzgibbon et al. Biological treatment of distillery waste for pollution‐remediation
Kerem et al. Lignocellulose degradation during solid-state fermentation: Pleurotus ostreatus versus Phanerochaete chrysosporium
Niladevi et al. Effect of inducers and process parameters on laccase production by Streptomyces psammoticus and its application in dye decolourization
Sayadi et al. Screening of white rot fungi for the treatment of olive mill waste‐waters
Desai et al. Isolation of laccase producing fungi and partial characterization of laccase
Ragunathan et al. Biological treatment of a pulp and paper industry effluent by Pleurotus spp.
Morii et al. Isolation of a lignin-decolorizing bacterium
Erdal et al. Uptake of textile dye Reactive Black-5 by Penicillium chrysogenum MT-6 isolated from cement-contaminated soil
US5407577A (en) Biological process to remove color from paper mill wastewater
Belcarz et al. Extracellular enzyme activities of Bjerkandera adusta R59 soil strain, capable of daunomycin and humic acids degradation
US6953685B2 (en) Process for removing dye from dye containing water or soil using white rot-lignin-modifying fungus flavadon flavus
Kannan et al. Enzymology of ligno-cellulose degradation by Pleurotus sajor-caju during growth on paper-mill sludge
Selvam et al. Decolourization of azo dyes and dye industry effluents by lignin degrading fungus Trametes versicolor
Segura et al. Detoxification pretreatment of black liquor derived from non‐wood feedstock with white‐rot fungi
Roushdy et al. Biotechnological approach for lignin peroxidase (lip) production from agricultural wastes (rice husk) by Cunninghamella elegans
Pratiwi et al. Decolorization and degradation of batik dye effluent using Ganoderma lucidum
Shintani et al. Decolorization of kraft pulp bleaching effluent by a newly isolated fungus, Geotrichum candidum Dec 1
JPH0967785A (ja) リグニンの脱色及び分解方法
KR100314905B1 (ko) 백색 부후균 배양시 알콜류를 첨가하여 락케이즈를 고수율로 생산하는 방법
US5431820A (en) Method for treating liquid waste after pulp bleaching
JP3425453B2 (ja) パルプ漂白微生物及びそれを用いたパルプの漂白方法
Ralph et al. Biodegradation by white-rot fungi
Mahdy et al. Decolorization of Remazol Brilliant Blue R by White-Rot Fungus Trametes Hirsuta AK04 Immobilized on Lignocellulosic Oil Palm Fibers
Lamia et al. Aspergillus niger is able to decolourize sepia ink contained in saline industrial wastewaters
JP2005304424A (ja) 白色腐朽菌用培地及び白色腐朽菌の培養方法