JPH0963459A - 陰極線管用カソード - Google Patents
陰極線管用カソードInfo
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- JPH0963459A JPH0963459A JP21564195A JP21564195A JPH0963459A JP H0963459 A JPH0963459 A JP H0963459A JP 21564195 A JP21564195 A JP 21564195A JP 21564195 A JP21564195 A JP 21564195A JP H0963459 A JPH0963459 A JP H0963459A
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- reducing agent
- ray tube
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 Ni粉末とBa・Sr・Ca三元炭酸塩粉末
を混合・焼結してなる焼結型カソードにおいて、焼結中
にNiに含まれた還元性金属が還元力を失い、そのため
カソードの電子放射能力が低下することを防止する。 【解決手段】 焼結型カソードペレット11とカソード
キャップ12の間に還元性金属製の還元剤補給層13を
配設する。 【効果】 焼結中にNiに含まれた還元性金属が還元性
を失っても、カソード動作中に還元剤補給層から還元剤
が電子放射剤に補給されBa原子が生成するため長期に
わたって所望の電子放射能力が得られる。
を混合・焼結してなる焼結型カソードにおいて、焼結中
にNiに含まれた還元性金属が還元力を失い、そのため
カソードの電子放射能力が低下することを防止する。 【解決手段】 焼結型カソードペレット11とカソード
キャップ12の間に還元性金属製の還元剤補給層13を
配設する。 【効果】 焼結中にNiに含まれた還元性金属が還元性
を失っても、カソード動作中に還元剤補給層から還元剤
が電子放射剤に補給されBa原子が生成するため長期に
わたって所望の電子放射能力が得られる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は陰極線管に使用され
るカソードに関し、特に電子放射特性を改良した陰極線
管用カソードに関するものである。
るカソードに関し、特に電子放射特性を改良した陰極線
管用カソードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】図5は従来から広く使用されている陰極
線管用カソードであり、通称酸化物カソードと呼ばれ
る。図において31はSi,Mgなどの還元性金属を微
量に含むNiからなる有底筒状基体、32は前記基体3
1の底部上面に被着され少なくともBaを含むアルカリ
土類金属の酸化物からなる電子放射物質層、33は一端
を前記基体31に装着したスリーブ、34は前記スリー
ブ33内に配設されたヒータで前記電子放射物質層32
を加熱して熱電子を放出させるためのものである。この
様に構成された酸化物カソード30においては、例えば
特公平6−26096号公報に詳述されたように、動作
中に基体31と電子放射物質層32の界面にMgO,S
iO2 ,BaO・SiO2 等からなる中間層が形成され
電流の流れが妨げられるため、高電流密度の電子放射が
得られないという問題がある。
線管用カソードであり、通称酸化物カソードと呼ばれ
る。図において31はSi,Mgなどの還元性金属を微
量に含むNiからなる有底筒状基体、32は前記基体3
1の底部上面に被着され少なくともBaを含むアルカリ
土類金属の酸化物からなる電子放射物質層、33は一端
を前記基体31に装着したスリーブ、34は前記スリー
ブ33内に配設されたヒータで前記電子放射物質層32
を加熱して熱電子を放出させるためのものである。この
様に構成された酸化物カソード30においては、例えば
特公平6−26096号公報に詳述されたように、動作
中に基体31と電子放射物質層32の界面にMgO,S
iO2 ,BaO・SiO2 等からなる中間層が形成され
電流の流れが妨げられるため、高電流密度の電子放射が
得られないという問題がある。
【0003】上述の中間層による電流制限を緩和するた
めに、基体と電子放射剤の界面を二次元から三次元に拡
大し、それらの接触面積を増加したものが図6に示す焼
結型カソード40である。図において41はSi,Mg
などの還元性金属を微量含むNi粉末と少なくともBa
を含むアルカリ土類金属の炭酸塩からなる電子放射剤の
粉末を混合して円板状に焼結したカソードペレット、4
2は前記カソードペレット41を収納する有底筒状容器
(カソードキャップ)、43はカソードスリーブであ
る。前記焼結カソード40とNi粉末を電子放射剤粉末
を焼結する手段は、真空中焼結、水素中焼結、熱間等方
加圧(Hot Isostatic Pressing:HIPと以後略記す
る)などがある。
めに、基体と電子放射剤の界面を二次元から三次元に拡
大し、それらの接触面積を増加したものが図6に示す焼
結型カソード40である。図において41はSi,Mg
などの還元性金属を微量含むNi粉末と少なくともBa
を含むアルカリ土類金属の炭酸塩からなる電子放射剤の
粉末を混合して円板状に焼結したカソードペレット、4
2は前記カソードペレット41を収納する有底筒状容器
(カソードキャップ)、43はカソードスリーブであ
る。前記焼結カソード40とNi粉末を電子放射剤粉末
を焼結する手段は、真空中焼結、水素中焼結、熱間等方
加圧(Hot Isostatic Pressing:HIPと以後略記す
る)などがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の真空中または水
素中で焼結したカソードは、Ni粉末に微量含まれるM
g,Siなどの還元性金属は変質しないものの、アルカ
リ土類金属の炭酸塩が焼結中に酸化物になり易いため、
後工程(例えば、カソード構体組み立て、電子銃組み込
み、陰極線管への封入など)で酸化物が容易に水酸化物
となって電子放射特性が著しく劣化してしまうという問
題点があった。
素中で焼結したカソードは、Ni粉末に微量含まれるM
g,Siなどの還元性金属は変質しないものの、アルカ
リ土類金属の炭酸塩が焼結中に酸化物になり易いため、
後工程(例えば、カソード構体組み立て、電子銃組み込
み、陰極線管への封入など)で酸化物が容易に水酸化物
となって電子放射特性が著しく劣化してしまうという問
題点があった。
【0005】また、熱間等方加圧処理(HIP)により
焼結したカソードでは、前記炭酸塩が酸化物になること
は防止されるものの、Mg,Siなどの還元性金属がH
IP処理中にBaCO3 などの炭酸塩と反応して一部が
MgO,SiO2 などになり還元力を失い電子放射特性
が劣化してしまうという問題点があった。
焼結したカソードでは、前記炭酸塩が酸化物になること
は防止されるものの、Mg,Siなどの還元性金属がH
IP処理中にBaCO3 などの炭酸塩と反応して一部が
MgO,SiO2 などになり還元力を失い電子放射特性
が劣化してしまうという問題点があった。
【0006】そこで、本発明の目的は、上記従来の焼結
型カソードの欠点を除き、長期にわたって優れた電子放
射特性を維持する低コストの焼結型陰極線管用カソード
を提供することである。
型カソードの欠点を除き、長期にわたって優れた電子放
射特性を維持する低コストの焼結型陰極線管用カソード
を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の陰極線管用カソ
ードは、前記の問題点を解消するために提案されたもの
で、還元性金属を含むNi合金粉末と、少なくともBa
を含むアルカリ土類金属の炭酸塩粉末とを混合し、熱間
等方加圧により焼結したカソードペレットを、カソード
キャップに装着した陰極線管用カソードにおいて、前記
カソードペレットとカソードキャップとの間に還元剤補
給層を配設したことを特徴とする。
ードは、前記の問題点を解消するために提案されたもの
で、還元性金属を含むNi合金粉末と、少なくともBa
を含むアルカリ土類金属の炭酸塩粉末とを混合し、熱間
等方加圧により焼結したカソードペレットを、カソード
キャップに装着した陰極線管用カソードにおいて、前記
カソードペレットとカソードキャップとの間に還元剤補
給層を配設したことを特徴とする。
【0008】また、金属粉末と、少なくともBaを含む
アルカリ土類金属の炭酸塩粉末とを混合し、熱間等方加
圧により焼結したカソードペレットを、カソードキャッ
プに装着した陰極線管用カソードにおいて、前記金属が
純Niであり、かつ、前記カソードペレットとカソード
キャップとの間に還元剤補給層を配設したことを特徴と
する。
アルカリ土類金属の炭酸塩粉末とを混合し、熱間等方加
圧により焼結したカソードペレットを、カソードキャッ
プに装着した陰極線管用カソードにおいて、前記金属が
純Niであり、かつ、前記カソードペレットとカソード
キャップとの間に還元剤補給層を配設したことを特徴と
する。
【0009】また、前記還元剤補給層がMg2 Ni,M
g2 Si,Ni2 Si,NiSi2からなる化合物、A
l−Si,Al−Mg,W−Siからなる合金、および
W,Zr,Si,Co,Crからなる単体金属のうち1
種以上からなることを特徴とする。
g2 Si,Ni2 Si,NiSi2からなる化合物、A
l−Si,Al−Mg,W−Siからなる合金、および
W,Zr,Si,Co,Crからなる単体金属のうち1
種以上からなることを特徴とする。
【0010】また、前記還元剤補給層の形状が、板状ま
たはキャップ状または筒状であることを特徴とする。
たはキャップ状または筒状であることを特徴とする。
【0011】
【作用】カソードペレットとカソードキャップの間に還
元剤補給層を配設することにより、カソードペレット中
のNi粉末に含まれた還元性金属が焼結中に一部還元力
を失ってもカソード動作中に還元剤補給層から還元性金
属原子がカソードペレットに拡散して、BaO等の電子
放射剤を還元しBa原子を生成するため、カソードの電
子放射能力が低下することがなく、高い電流密度を長時
間にわたり維持できる。さらに、カソードペレット中の
Ni粉末に当初から還元性金属が含まれていなくても、
カソード動作中に前述の機構によりBa原子が生成され
るため、Ni粉末に還元性金属が含まれている場合に近
い電子放射能力が得られるので、安価な純Ni粉末を使
用することができ、低コストのカソードを得ることがで
きる。
元剤補給層を配設することにより、カソードペレット中
のNi粉末に含まれた還元性金属が焼結中に一部還元力
を失ってもカソード動作中に還元剤補給層から還元性金
属原子がカソードペレットに拡散して、BaO等の電子
放射剤を還元しBa原子を生成するため、カソードの電
子放射能力が低下することがなく、高い電流密度を長時
間にわたり維持できる。さらに、カソードペレット中の
Ni粉末に当初から還元性金属が含まれていなくても、
カソード動作中に前述の機構によりBa原子が生成され
るため、Ni粉末に還元性金属が含まれている場合に近
い電子放射能力が得られるので、安価な純Ni粉末を使
用することができ、低コストのカソードを得ることがで
きる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について、以
下図面を参照して説明する。図1は本発明のカソードの
一実施例である(以後実施例1と称する)。図において
11はカソードペレット、12はカソードキャップ、1
3は還元剤補給層、14はカソードスリーブ、15はヒ
ータである。
下図面を参照して説明する。図1は本発明のカソードの
一実施例である(以後実施例1と称する)。図において
11はカソードペレット、12はカソードキャップ、1
3は還元剤補給層、14はカソードスリーブ、15はヒ
ータである。
【0013】まずカソードペレット11の製法を説明す
る。MgおよびSiを含むNi合金粉末とBa・Sr・
Caの三元共沈炭酸塩粉末(以後Ba・Sr・Ca)C
O3 粉末と略記)を均一に混合した。ここでNi合金粉
末の平均粒径は5μm、(Ba・Sr・Ca)CO3 粉
末の平均粒径は2μm、Ni合金粉末と(Ba・Sr・
Ca)CO3 粉末の体積比は45:55、MgおよびS
iは各々Niの0.1wt%、0.03wt%であり、
Ba:Sr:Caの共沈モル比は5:4:1である。次
に、前記混合粉末をゴム型に詰め密封した後、冷間等方
加圧装置(Cold Isostatic Pressing 装置:CIP装
置)により約2,000kg/cm2 の圧力で成形し
た。次に前記成形体をホウケイ酸ガラス容器に真空封入
した。このとき成形体がガラス容器と接触しないように
成形体とガラス容器の空隙にBN(チッカボロン)の粉
を詰めた。次に、前記ガラス容器入り成形体をHIP炉
に入れ、900℃、1,500kg/cm2 で30分間
熱間等方加圧処理(HIP)により焼結した。次に、前
記焼結済品をガラス容器から取り出し、切断・研磨等の
機械加工をおこなって直径1300μm、厚さ200μ
mのカソードペレット11を得た。
る。MgおよびSiを含むNi合金粉末とBa・Sr・
Caの三元共沈炭酸塩粉末(以後Ba・Sr・Ca)C
O3 粉末と略記)を均一に混合した。ここでNi合金粉
末の平均粒径は5μm、(Ba・Sr・Ca)CO3 粉
末の平均粒径は2μm、Ni合金粉末と(Ba・Sr・
Ca)CO3 粉末の体積比は45:55、MgおよびS
iは各々Niの0.1wt%、0.03wt%であり、
Ba:Sr:Caの共沈モル比は5:4:1である。次
に、前記混合粉末をゴム型に詰め密封した後、冷間等方
加圧装置(Cold Isostatic Pressing 装置:CIP装
置)により約2,000kg/cm2 の圧力で成形し
た。次に前記成形体をホウケイ酸ガラス容器に真空封入
した。このとき成形体がガラス容器と接触しないように
成形体とガラス容器の空隙にBN(チッカボロン)の粉
を詰めた。次に、前記ガラス容器入り成形体をHIP炉
に入れ、900℃、1,500kg/cm2 で30分間
熱間等方加圧処理(HIP)により焼結した。次に、前
記焼結済品をガラス容器から取り出し、切断・研磨等の
機械加工をおこなって直径1300μm、厚さ200μ
mのカソードペレット11を得た。
【0014】次に、カソード10の組立法を説明する。
前記カソードペレット11と還元剤補給層13としての
金属板をカソードキャップ12に挿入し、溶接して固定
した。カソードペレット11と還元剤補給層13として
の金属板とをカソードキャップ12に装着する方法は種
々ある。例えば、カソードキャップ12に前記金属板を
挿入し、ついでカソードペレット11を挿入する方法、
またあらかじめカソードペレット11と前記金属板とを
圧接または溶接して一体化したものをカソードキャップ
12に挿入する方法、あるいはカソードペレット11の
上に前記金属板を位置決めして載置し、その上からカソ
ードキャップ12を冠着する方法などである。装着後、
軸方向に加圧してカソードペレット11と金属板とカソ
ードキャップ12とを密着させた状態でカソードキャッ
プ12の底面外側からレーザー溶接する。また、カソー
ドキャップ12の側面外側から抵抗溶接、レーザー溶接
等で溶接し固定する。
前記カソードペレット11と還元剤補給層13としての
金属板をカソードキャップ12に挿入し、溶接して固定
した。カソードペレット11と還元剤補給層13として
の金属板とをカソードキャップ12に装着する方法は種
々ある。例えば、カソードキャップ12に前記金属板を
挿入し、ついでカソードペレット11を挿入する方法、
またあらかじめカソードペレット11と前記金属板とを
圧接または溶接して一体化したものをカソードキャップ
12に挿入する方法、あるいはカソードペレット11の
上に前記金属板を位置決めして載置し、その上からカソ
ードキャップ12を冠着する方法などである。装着後、
軸方向に加圧してカソードペレット11と金属板とカソ
ードキャップ12とを密着させた状態でカソードキャッ
プ12の底面外側からレーザー溶接する。また、カソー
ドキャップ12の側面外側から抵抗溶接、レーザー溶接
等で溶接し固定する。
【0015】ここで、還元剤補給層13は厚さ30μm
の円板形に加工されたMg2 Ni化合物からなる金属
板、カソードキャップ12は厚さ50μmのNi−Cr
(80:20wt%)合金、カソードスリーブは厚さ3
0μmのNi−Cr(80:20wt%)合金である。
還元剤補給層13としては、上記以外にもMg2 Si,
Ni2 Si,NiSi2 などの化合物、Al−Si,A
l−Mg,W−Siなどの合金、W,Zr,Si,C
o,Crなどの単体金属のうち1種以上など、カソード
動作温度(約800℃)でBaOを徐々に還元してBa
原子を生成するものが使用可能である。
の円板形に加工されたMg2 Ni化合物からなる金属
板、カソードキャップ12は厚さ50μmのNi−Cr
(80:20wt%)合金、カソードスリーブは厚さ3
0μmのNi−Cr(80:20wt%)合金である。
還元剤補給層13としては、上記以外にもMg2 Si,
Ni2 Si,NiSi2 などの化合物、Al−Si,A
l−Mg,W−Siなどの合金、W,Zr,Si,C
o,Crなどの単体金属のうち1種以上など、カソード
動作温度(約800℃)でBaOを徐々に還元してBa
原子を生成するものが使用可能である。
【0016】また、還元剤補給層の形状は、円板形に限
らず図2に示すようなカソードペレット11の側面およ
び底面を覆うキャップ形のもの16、図3に示すような
カソードペレット11の側面だけを覆う筒形のもの17
など、要するにカソードペレット11の側面ないし底面
から還元性金属原子がカソードペレット11の内部に拡
散できる形状であればよい。また、還元剤補給層13の
厚さは還元剤の枯渇による電子放射能力の低下をきたさ
ない範囲で、組立ての容易さ、熱効率などを考慮して決
めることができる。
らず図2に示すようなカソードペレット11の側面およ
び底面を覆うキャップ形のもの16、図3に示すような
カソードペレット11の側面だけを覆う筒形のもの17
など、要するにカソードペレット11の側面ないし底面
から還元性金属原子がカソードペレット11の内部に拡
散できる形状であればよい。また、還元剤補給層13の
厚さは還元剤の枯渇による電子放射能力の低下をきたさ
ない範囲で、組立ての容易さ、熱効率などを考慮して決
めることができる。
【0017】還元剤補給層がキャップ形の場合、カソー
ドの組み立て方法として、 カソードペレットをキャップ形還元剤補給層に挿着
し、次いでこのキャップ形還元剤補給層をカソードキャ
ップに挿着する方法、 キャップ形還元剤補給層をカソードキャップに挿着
した後、カソードペレットを前記キャップ形還元剤補給
層に挿着する方法などがある。また、還元剤補給層が円
筒形の場合のカソードの組み立て方法も同様であるが、
この場合は熱効率を低下させないためカソードペレット
の底面とカソードキャップの底面に間隙が生じないよう
に注意する必要がある。このため、カソードキャップに
円筒状還元剤補給層を挿着した後、カソードペレットを
挿着するほうが間隙が生じにくく、望ましい方法であ
る。
ドの組み立て方法として、 カソードペレットをキャップ形還元剤補給層に挿着
し、次いでこのキャップ形還元剤補給層をカソードキャ
ップに挿着する方法、 キャップ形還元剤補給層をカソードキャップに挿着
した後、カソードペレットを前記キャップ形還元剤補給
層に挿着する方法などがある。また、還元剤補給層が円
筒形の場合のカソードの組み立て方法も同様であるが、
この場合は熱効率を低下させないためカソードペレット
の底面とカソードキャップの底面に間隙が生じないよう
に注意する必要がある。このため、カソードキャップに
円筒状還元剤補給層を挿着した後、カソードペレットを
挿着するほうが間隙が生じにくく、望ましい方法であ
る。
【0018】次に、前記カソードペレット11の挿入固
定済カソードキャップ12をカソードスリーブ14に挿
入し側面を溶接固定した。最後にヒータ15をカソード
スリーブ14の開放端から挿入固定し、カソード10を
得た。
定済カソードキャップ12をカソードスリーブ14に挿
入し側面を溶接固定した。最後にヒータ15をカソード
スリーブ14の開放端から挿入固定し、カソード10を
得た。
【0019】前記陰極線管用カソード10を電子銃(図
示せず)に組み込み、該電子銃を取り付けた排気管付ガ
ラスステムを陰極線管用ガラス容器(図示せず)に封入
し、該ガラス容器に取り付けられた排気管を排気装置
(図示せず)に装着してガラス容器内を排気し脱ガスし
た。排気工程の途中で、ヒータに通電してカソードペレ
ット11を加熱し、カソードペレット11内のアルカリ
土類金属の炭酸塩を熱分解してアルカリ土類金属の酸化
物に変換して後、さらに高真空に排気し、前記排気管を
溶融封止して陰極線管を得た。
示せず)に組み込み、該電子銃を取り付けた排気管付ガ
ラスステムを陰極線管用ガラス容器(図示せず)に封入
し、該ガラス容器に取り付けられた排気管を排気装置
(図示せず)に装着してガラス容器内を排気し脱ガスし
た。排気工程の途中で、ヒータに通電してカソードペレ
ット11を加熱し、カソードペレット11内のアルカリ
土類金属の炭酸塩を熱分解してアルカリ土類金属の酸化
物に変換して後、さらに高真空に排気し、前記排気管を
溶融封止して陰極線管を得た。
【0020】次に、本発明の実施例1のカソード10の
電子放射特性を従来例と比較して説明する。図4は実施
例1のカソード10のカソード温度800℃での二極管
特性21を従来の焼結型カソード40の二極管特性22
(HIPによる焼結の場合)、23(真空中または水素
中焼結の場合)と比較したものである。図4から明らか
な様に、従来の焼結型カソード40では、HIP焼結の
場合電流密度が2A/cm2 程度で、真空中又は水素中焼
結の場合0.2A/cm2 程度で飽和するのに対して、
実施例1のカソード10の飽和電流密度は略10A/c
m2 まで増加している。この理由は、実施例1のカソー
ド10においては還元剤補給層13から十分な量のMg
などの還元性金属がカソードペレット11に拡散してB
aOを還元し、十分な量のBa原子が電子放射面に供給
されるのに対し、従来例の焼結カソード40において
は、特にHIP焼結した場合、カソードペレット41内
のNi粒子に含まれるMg,Siなどの還元性金属が焼
結中に相当量酸化されて還元力を失っているため、十分
な量のBa原子が電子放射面に供給されないためであ
る。また、従来の真空中または水素中焼結した場合はア
ルカリ土類金属の酸化物が水酸化物に変化して電子放射
能力が格段に低下するためである。
電子放射特性を従来例と比較して説明する。図4は実施
例1のカソード10のカソード温度800℃での二極管
特性21を従来の焼結型カソード40の二極管特性22
(HIPによる焼結の場合)、23(真空中または水素
中焼結の場合)と比較したものである。図4から明らか
な様に、従来の焼結型カソード40では、HIP焼結の
場合電流密度が2A/cm2 程度で、真空中又は水素中焼
結の場合0.2A/cm2 程度で飽和するのに対して、
実施例1のカソード10の飽和電流密度は略10A/c
m2 まで増加している。この理由は、実施例1のカソー
ド10においては還元剤補給層13から十分な量のMg
などの還元性金属がカソードペレット11に拡散してB
aOを還元し、十分な量のBa原子が電子放射面に供給
されるのに対し、従来例の焼結カソード40において
は、特にHIP焼結した場合、カソードペレット41内
のNi粒子に含まれるMg,Siなどの還元性金属が焼
結中に相当量酸化されて還元力を失っているため、十分
な量のBa原子が電子放射面に供給されないためであ
る。また、従来の真空中または水素中焼結した場合はア
ルカリ土類金属の酸化物が水酸化物に変化して電子放射
能力が格段に低下するためである。
【0021】次に本発明のカソードの別実施例(以後実
施例2と称する)を説明する。実施例2のカソードは実
施例1のカソードペレット11の出発原料として「Mg
およびSiを含むNi合金粉末」の代わりにMg,Si
などを含まない「純Ni粉末」を使用することを特徴と
するもので、その他の材料および工程は実施例1のカソ
ード10と同じである。実施例2のカソードの二極管特
性24は図4に示すように実施例1のカソード10に比
べ20%程度劣るが従来例の焼結カソード40の二極管
特性22,23よりもはるかに良く、通常の使用には差
支えない。MgおよびSiを含むNi金属粉末は、Mg
とSiのNiへの真空溶解、還元性雰囲気での微粉化等
の難しい製造工程を要するため、純Ni粉末に比べ高価
である。したがって、普及タイプの低コストのカソード
としては、実施例2のカソードが実施例1のカソードに
比べ経済的で適している。なお、Mg2 Ni以外の前記
材料を還元剤補給層として用いた場合の電子放射特性も
Mg2 Niの場合とほぼ同等であり、従来技術のものよ
り格段に優れている。
施例2と称する)を説明する。実施例2のカソードは実
施例1のカソードペレット11の出発原料として「Mg
およびSiを含むNi合金粉末」の代わりにMg,Si
などを含まない「純Ni粉末」を使用することを特徴と
するもので、その他の材料および工程は実施例1のカソ
ード10と同じである。実施例2のカソードの二極管特
性24は図4に示すように実施例1のカソード10に比
べ20%程度劣るが従来例の焼結カソード40の二極管
特性22,23よりもはるかに良く、通常の使用には差
支えない。MgおよびSiを含むNi金属粉末は、Mg
とSiのNiへの真空溶解、還元性雰囲気での微粉化等
の難しい製造工程を要するため、純Ni粉末に比べ高価
である。したがって、普及タイプの低コストのカソード
としては、実施例2のカソードが実施例1のカソードに
比べ経済的で適している。なお、Mg2 Ni以外の前記
材料を還元剤補給層として用いた場合の電子放射特性も
Mg2 Niの場合とほぼ同等であり、従来技術のものよ
り格段に優れている。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、カソードペレット
とカソードキャップの間に還元剤補給層を介在させるこ
とにより、カソードペレットの焼結中に還元性金属が電
子放射剤と反応して還元力を失うためカソードの電子放
射能力が低下するという問題が解決される効果に加え、
カソードペレットの出発原料に安価な純Ni粉末を使用
できるようになるため普及品に適した経済的なカソード
が実現される効果が得られる。
とカソードキャップの間に還元剤補給層を介在させるこ
とにより、カソードペレットの焼結中に還元性金属が電
子放射剤と反応して還元力を失うためカソードの電子放
射能力が低下するという問題が解決される効果に加え、
カソードペレットの出発原料に安価な純Ni粉末を使用
できるようになるため普及品に適した経済的なカソード
が実現される効果が得られる。
【図1】 本発明の一実施例の陰極線管用カソードの縦
断面図(a)と円板状還元剤補給層の斜視図(b)。
断面図(a)と円板状還元剤補給層の斜視図(b)。
【図2】 本発明の還元剤補給層の他の形状を示す斜視
図(a)とこれを配設した陰極線管用カソードの縦断面
図(b)。
図(a)とこれを配設した陰極線管用カソードの縦断面
図(b)。
【図3】 本発明の還元剤補給層の他の形状を示す斜視
図(a)とこれを配設した陰極線管用カソードの縦断面
図(b)。
図(a)とこれを配設した陰極線管用カソードの縦断面
図(b)。
【図4】 本発明の一実施例の陰極線管用カソードの電
子放射特性を従来技術と比較して示すグラフ。
子放射特性を従来技術と比較して示すグラフ。
【図5】 従来の酸化物カソードの縦断面図。
【図6】 従来の焼結型カソードの縦断面図。
10 陰極線管用カソード 11 カソードペレット 12 カソードキャップ 13,16,17 還元剤補給層 14 カソードスリーブ 15 ヒータ
Claims (6)
- 【請求項1】還元性金属を含むNi合金粉末と、少なく
ともBaを含むアルカリ土類金属の炭酸塩粉末とを混合
し、熱間等方加圧により焼結したカソードペレットをカ
ソードキャップに挿着した陰極線管用カソードにおい
て、前記カソードペレットとカソードキャップとの間に
還元剤補給層を配設したことを特徴とする陰極線管用カ
ソード。 - 【請求項2】金属粉末と、すくなくともBaを含むアル
カリ土類金属の炭酸塩粉末とを混合し、熱間等方加圧に
より焼結したカソードペレットをカソードキャップに挿
着した陰極線管用カソードにおいて、前記金属が純Ni
であり、かつ、前記カソードペレットとカソードキャッ
プとの間に還元剤補給層を配設したことを特徴とする陰
極線管用カソード。 - 【請求項3】還元剤補給層がMg2 Ni,Mg2 Si,
Ni2 Si,NiSi2 からなる化合物、Al−Si,
Al−Mg,W−Siからなる合金、およびW,Zr,
Si,Co,Crからなる単体金属のうち1種以上から
なることを特徴とする請求項1または請求項2記載の陰
極線管用カソード。 - 【請求項4】還元剤補給層が板状であり、カソードペレ
ットの底面に配設されていることを特徴とする請求項3
に記載の陰極線管用カソード。 - 【請求項5】還元剤補給層がキャップ状であり、カソー
ドペレットの底面および側面に配設されていることを特
徴とする請求項3に記載の陰極線管用カソード。 - 【請求項6】還元剤補給層が筒状であり、カソードペレ
ットの側面に配設されていることを特徴とする請求項3
に記載の陰極線管用カソード。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21564195A JPH0963459A (ja) | 1995-08-24 | 1995-08-24 | 陰極線管用カソード |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21564195A JPH0963459A (ja) | 1995-08-24 | 1995-08-24 | 陰極線管用カソード |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0963459A true JPH0963459A (ja) | 1997-03-07 |
Family
ID=16675775
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP21564195A Pending JPH0963459A (ja) | 1995-08-24 | 1995-08-24 | 陰極線管用カソード |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0963459A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6825613B2 (en) | 2002-09-12 | 2004-11-30 | Colour Star Limited | Mercury gas discharge device |
-
1995
- 1995-08-24 JP JP21564195A patent/JPH0963459A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6825613B2 (en) | 2002-09-12 | 2004-11-30 | Colour Star Limited | Mercury gas discharge device |
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