JPH0961827A - 液晶素子、その製造方法及び液晶装置 - Google Patents

液晶素子、その製造方法及び液晶装置

Info

Publication number
JPH0961827A
JPH0961827A JP23780095A JP23780095A JPH0961827A JP H0961827 A JPH0961827 A JP H0961827A JP 23780095 A JP23780095 A JP 23780095A JP 23780095 A JP23780095 A JP 23780095A JP H0961827 A JPH0961827 A JP H0961827A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystal
phase
crystal element
chiral smectic
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP23780095A
Other languages
English (en)
Inventor
Yukio Haniyu
由紀夫 羽生
Nobutsugu Yamada
修嗣 山田
Koji Noguchi
幸治 野口
Koichi Sato
公一 佐藤
Yoshimasa Mori
省誠 森
Shinichi Nakamura
真一 中村
Kenji Shinjo
健司 新庄
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP23780095A priority Critical patent/JPH0961827A/ja
Publication of JPH0961827A publication Critical patent/JPH0961827A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Liquid Crystal (AREA)
  • Liquid Crystal Substances (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 コントラストが低下したり、ちらつきの発生
原因となるマトリクス駆動時の書き込み方向に対しての
逆反転ドメインの発生を抑制し、優れた表示品位、大面
積、高精細、高信頼性のある液晶素子を提供する。 【構成】 少なくとも一対の対向基板の夫々に配向制御
層を有し、かつその間にカイラルスメクチック液晶を有
する液晶素子において、配向欠陥の平均層法線からのず
れ角が8度以上の領域が5%以下である液晶素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フラットパネルデ
ィスプレイ、プロジェクションディスプレイ、プリンタ
ー等に用いられるライトバルブに使用される特にカイラ
ルスメクチック液晶を適用した液晶素子、それらを使用
した液晶装置及びそれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来からもっとも広範に用いられてきて
いるディスプレイとしては、CRTが知られている。テ
レビやVTRなどの動画出力、あるいはパソコン等のモ
ニターとして広く用いられている。しかしながら、最近
ではCRTが発生する電磁波が人体に悪影響を与えるこ
とがわかり、VDT作業者の健康を害することが懸念さ
れている。そして、CRTはその構造上、画面後方に広
く体積を有することが必須であることから、情報機器の
利便性を著しく阻害し、オフィス家庭の省スペース化を
阻害するなどの問題を抱えている。
【0003】このようなCRTの欠点を解決するものと
して液晶表示素子がある。たとえばエム・シャット
(M.Schadt)とダブリュー・ヘルフリッヒ
(W.Helfrich)著アプライド・フィジックス
・レターズ(Applied Physics Let
ters)第18巻、第4号(1971年2月15日発
行)第127頁〜128頁において示されたツイステッ
ドネマチック(twistednematic)液晶を
用いたものが知られている。
【0004】代表的な液晶素子として知られているもの
に単純マトリクスタイプの液晶素子がある。このタイプ
は、素子作成が容易であり、コスト面で優位性がある。
しかしながら、画素密度を高くしたマトリクス電極構造
を用いた時分割駆動の時、クロストークが発生するとい
う問題点があるため、画素数が制限されていた。また、
応答速度が10ミリ秒以上と遅いため、ディスプレイと
しての用途が制限されていた。近年このような単純マト
リクスタイプの素子に対してTFTといわれる液晶素子
の開発が行われている。このタイプは一つ一つの画素に
トランジスタを作成するため、クロストークや応答速度
の問題は解決される反面、大面積になればなるほど不良
画素なく液晶素子を作成することにコスト的に難しい面
がある。
【0005】このような従来型の液晶素子を改善するも
のとして、双安定性からなる液晶素子がクラーク(Cl
ark)およびラガウェル(Lagerwall)によ
り提案されている(特開昭56−107216号公報、
米国特許4367924号明細書)。この双安定性から
なる液晶としては、一般にカイラルスメクチックC相ま
たはカイラルスメクチックH相からなる強誘電性液晶が
用いられている。この強誘電性液晶は、自発分極により
反転スイッチングを行うため、非常に早い応答速度から
なる上にメモリー性のある双安定状態を発現させること
ができる。さらに視野角特性も優れていることから、高
速、高精細、大面積の表示素子あるいはライトバルブと
して適していると考えられる。
【0006】また、最近ではチャンダニ、竹添らにより
3つの安定状態を有するカイラルスメクチック反強誘電
性液晶素子も提案されている(ジャパニーズ ジャーナ
ルオブ アプライド フィジックス(Japanese
Journal ofApplied Physic
s)第27巻、1988年L729頁)。
【0007】さらにブックシェルフといわれる層状構造
あるいはそれに近い構造(クエイサイ−ブックシェルフ
構造)を現出させ、高コントラストな良好な液晶素子を
実現しようという動きがある(例えば「次世代液晶ディ
スプレイと液晶材料」(株)シーエムシー、福田敦夫
編、1992年)。他にはブックシェルフあるいはそれ
に近い構造を現出する液晶材料として、パーフルオロエ
ーテル側鎖を持つ液晶性化合物(米国特許第52620
82号明細書、国際出願特許WO93/22396号、
1993年第4回強誘電液晶国際会議P−46、Mar
c D.Radcliffeら)が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】以上に説明してきたカ
イラルスメクチック相からなる特に強誘電性を示す液晶
を用いた液晶素子については、以下に述べる問題がディ
スプレイ素子としての性能を劣化させることが本発明者
等の検討から明らかになった。本発明は良好な画質のデ
ィスプレイを提供するために、以下に示す問題を改善す
るものである。
【0009】まず、逆反転ドメインによるコントラスト
の低下及びチラツキの発生の問題がある。すなわち、メ
モリー性を有する液晶素子の駆動法として線順次駆動方
式が有効であるが、この駆動方式においては、たとえば
1000本の走査線を有する単純マトリクス素子では書
き込み周波数40Hzの場合25ms、20Hzの場合
50msの間(1画面書き込みに要する時間)情報信号
のみが印加されている。このとき液晶は情報信号により
揺らがされている状態であり、メモリー状態の安定性が
十分でない場合は、そこから書き込んだ状態と逆方向の
ドメインが発生し成長することで、コントラストが低下
したり、ちらつきの発生原因となる。
【0010】本発明の目的は、上記の様なコントラスト
が低下したり、ちらつきの発生原因となるマトリクス駆
動時の書き込み方向に対しての逆反転ドメインの発生を
抑制し、液晶素子のスイッチングを飛躍的に改善し、優
れた表示品位、大面積、高精細、高信頼性のある液晶素
子、表示装置及びそれらの製造方法を提供するものであ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、対向す
る一対の基板の夫々に配向制御層を有し、かつその間に
カイラルスメクチック液晶を有する液晶素子において、
配向欠陥の平均層法線からのずれ角が8度以上の領域が
5%以下であることを特徴とする液晶素子である。
【0012】本発明の課題は、上記の様にコントラスト
が低下したり、ちらつきの発生原因となるマトリクス駆
動時の書き込み方向に対しての逆反転ドメインの発生を
抑制することであり、有効エリアにおいて平均層法線
(スメクチック層法線)に対して8度以上ずれた領域の
面積が5%以下である配向を有するように制御したブッ
クシェルフもしくはクエイサイ−ブックシェルフ層構造
をとる液晶素子によって達成される。
【0013】本発明においては、前記基板上の透明電極
の表面形状が表面荒さ2nm以下であるのが好ましい。
また、前記配向制御層の材料が脂肪族系ポリイミドであ
るのが好ましい。
【0014】また、前記液晶素子中の配向制御層が上下
基板で異なり、かつ一方の配向制御層のみに、一軸配向
処理好ましくはラビング処理が施され、更に一軸配向処
理を施さない側の配向制御層の表面エネルギーは30d
yne/cm2 である液晶素子が好ましい。
【0015】本発明の液晶素子中に用いられる液晶とし
ては、強誘電性を有するカイラルスメクチック液晶が挙
げられ、特に該カイラルスメクチック相を呈する液晶が
コレステリック相を持たないものを用いる場合、顕著な
効果が得られる。また、カイラルスメクチック液晶の層
構造が層傾きが実質的にブックシェルフの状態に近いク
エイサイブックシェルフであってもよい。
【0016】本発明では、上記のカイラルスメクチック
液晶として、特にブックシェルフ構造もしくはクエイサ
イ−ブックシェルフ構造の層構造を呈する液晶として、
例えばフルオロカーボン末端鎖と、炭化水素末端鎖から
なるフッ素含有液晶化合物であって、該末端鎖が中心核
によって結合され、スメクチック中間相あるいは潜在的
スメクチック中間相を持つような化合物を含有する液晶
素子を用いることができる。
【0017】また、液晶素子の液晶注入後の処理とし
て、少なくとも等方相からSmA相への転移点近傍では
1℃/min以下の徐冷速度で冷却することが好まし
い。
【0018】また、本発明によれば、夫々配向制御層を
有する一対の基板を所定の距離を隔てて対向せしめ、該
基板の間隙にカイラルスメクチック液晶を注入した後、
該液晶をカイラルスメクチック相まで所定の条件で徐冷
する液晶素子の製造方法であって、該基板の間隙に液晶
を等方相で注入した後、少なくとも等方相からスメクチ
ックA相への相転移点近傍では1℃/min以下の徐冷
速度で冷却することを特徴とする液晶素子の製造方法が
提供される。更に、本発明によれば、前述したような特
性を有する液晶素子を備えた液晶装置が提供される。
【0019】
【発明の実施の形態】図1は本発明のカイラルスメクチ
ック液晶素子の一例を示す概略図である。同図におい
て、1は液晶組成物からなる液晶層であり、2は基板で
あり、ガラス等が用いられる。3がITO等の透明電極
である。このITOは表面平坦性が良好なことが必要で
表面荒さが2nm以下である必要がある。
【0020】ITOの表面を平坦化する方法としてはI
TOの膜厚を薄くすることと、ITOスパッタ成膜時の
温度を低くし後に加熱することで特性を確保する方法が
ある。4が配向処理された配向制御層であり、両基板に
おいて、材料や処理形態の異なる配向制御層を設けるこ
とは、例えばコレステリック相をとらない液晶を用いる
場合などでは有効である。好ましくはポリイミド、特に
後述の一般式(I)に示す構造を有するポリイミドを一
軸配向処理したものを一方の基板に設け、さらに前記ポ
リイミドの対向側に表面エネルギーが30dyne/c
2 以下の一軸配向処理とは異なる処理の施された膜を
設けることができる。その材料としてはシランカップリ
ング剤、フッ素系有機高分子、シリコーンポリマー等を
用いることができる。配向制御層4とITO等の電極と
の間に何らかの中間層、例えばショート防止層等の中間
層を有していても良い。
【0021】5がギャップ制御スペーサーであり、例え
ばシリカビーズが用いられる。8が偏光板、9が光源の
バックライトである。信号電源(図示せず)から供給さ
れるスイッチング信号に応じ透明電極3を介して液晶層
1に電圧が印加されてスイッチングが行われ、表示素子
等のライトバルブとして機能する。また、透明電極3を
上下でマトリクスとすればパターン表示、パターン露光
が可能となり、例えばワークステーション、パーソナル
コンピューター、ワードプロセッサー等のディスプレ
イ、プリンター用ライトバルブとして用いられ得る。
【0022】本発明では、液晶素子を構成する部材、特
に配向制御層の材料や液晶材料の特性、加えて液晶注入
プロセス、注入後の処理条件等を最適に調整して配向欠
陥の平均層法線からのずれ角を8度以上の領域を5%以
下に制御して、素子のカイラルスメクチック液晶(強誘
電性を示す液晶)のマトリクス駆動時における逆反転ド
メインの発生を抑制する。
【0023】次に、図2に基づいて偏光板と液晶の分子
位置について説明する。図2は偏光板と液晶の分子位置
を示す説明図である。同図2において、21および22
はセルの上下に配置された偏光板である。U1、U2は
双安定な液晶の分子位置である。このようなセルと偏光
板の配置ではU1は黒にU2は白を表示することにな
る。
【0024】次に、配向欠陥部の層法線とその周辺の層
法線について詳細に説明する。図3は欠陥周辺でのスメ
クチック層の相構造を示す説明図である。同図3におい
て、32は欠陥以外の層構造、31は欠陥部での層構造
を示している。異常部の層法線のずれ角は34で示され
る。層構造32と31はなだらかな変化でつながること
もある。
【0025】次に、図4を用いて配向欠陥と逆反転ドメ
インの関係を説明する。図4は配向欠陥と逆反転ドメイ
ンの関係示す説明図である。同図4において、41は平
均層法線の方向を示している。配向欠陥42は平均層法
線から反時計周りに層法線が傾いている。その場所から
は図4(a)に示すように液晶分子位置(U2)のドメ
インが液晶分子位置U1を書き込もうとしているときに
発生する。配向欠陥43は平均層法線から時計周りに層
法線が傾いている。その場所からは図4(b)に示すよ
うに液晶分子位置(U1)のドメインが液晶分子位置U
2を書き込もうとしているときに発生する。この原因と
しては配向欠陥42、43の部分の層法線がラビング方
向からずれているため、双安定性が崩れていて情報信号
によりもたらされる液晶分子の揺らぎによりメモリー状
態が保てなくなるからとわかった。これらの逆反転ドメ
インは書き込み周数に対応して増加減少を繰り返す。こ
のことがちらつき、コントラストの低下を引き起こす。
45及び46は逆反転ドメインを示す。
【0026】図5は欠陥部でのラビング軸からの層法線
のずれ角と逆反転ドメイン発生のパルス幅を示すグラフ
である。この測定は、顕微鏡下の観察をし、後述の図8
に示すような波形でしきい値でのパルス幅からパルス幅
を長くしていって測定したものである。図5のグラフか
らわかるように欠陥のずれ角が反時計周りのずれでは−
8°、時計周りのずれでは9°を境に急激に逆反転ドメ
インが発生しやすくなることがわかる。これは欠陥ずれ
角が大きいと情報信号のパルス幅を長くしていたときに
メモリー性が破綻しやすくなることを示している。つま
り画素内での層法線のずれの分布として上記の範囲を超
えるものが一定量以上になると黙視でのコントラストの
低下、ちらつきの許容範囲外になる。
【0027】本発明に用いられる液晶としては、カイラ
ルスメクチック相を呈する強誘電性液晶等が用いられ
る。本発明で好ましく用いられる強誘電性液晶について
はカイラルスメクチックC相またはカイラルスメクチッ
クH相からなるものであればどのようなものでも良い
が、好ましくはブックシェルフあるいはそれに近い層傾
き角の小さな層構造を有するカイラルスメクチック液晶
が良好な駆動特性を有するという点でよい。また、液晶
としては、“フルオロカーボン末端部分及び炭化水素ま
たはもう一つのフルオロカーボン端末部分を含むアキラ
ルフッ素含有液晶化合物であって、端末部分が中心核に
よって結合され、化合物がスメクチック中間相または潜
在的スメクチック中間相を持つものを含むもの”あるい
は“少なくとも一つの連鎖中エーテル酸素を持つフルオ
ロカーボン末端鎖と、炭化水素末端鎖からなるフッ素含
有液晶化合物であって、該末端鎖が中心核によって結合
され、化合物がスメクチック中間相あるいは潜在的スメ
クチック中間相をもつ化合物”等の国際出願特許WO9
3/22396号に記載されているものがブックシェル
フ構造もしくはクエイサイ−ブックシェルフ構造をとり
やすく、良好な駆動特性を有するという点で好ましく用
いられる。
【0028】本発明の液晶素子は種々の機能を持った液
晶装置を構成する。例えば、本発明の液晶素子を表示パ
ネル部に使用し、図6及び図7に示した走査線アドレス
情報をもつ画像情報なるデータフォーマット及びSYN
C信号による通信同期手段をとることにより、液晶表示
装置を実現する。
【0029】画像情報の発生は、本体装置側のグラフィ
ックスコントローラ102にて行われ、図6及び図7に
示した信号転送手段にしたがって表示パネル103に転
送される。グラフィックスコントローラ102は、CP
U(中央演算処理装置、以下GCPU112と略す)及
びVRAM(画像情報格納用メモリ)114を核に、ホ
ストCPU113と液晶表示装置101間の画像情報の
管理や通信をつかさどっており、本発明の制御方法は主
にこのグラフィックスコントローラ102上で実現され
るものである。
【0030】図中の符号はそれぞれ以下のとおりであ
る。 101 液晶表示装置 102 グラフィックスコントローラ 103 表示パネル 104 走査線駆動回路 105 情報線駆動回路 106 デコーダ 107 走査信号発生回路 108 シフトレジスタ 109 ラインメモリ 110 情報信号発生回路 111 駆動制御回路 112 GCPU 113 ホストCPU 114 VRAM
【0031】本発明のカイラルスメクチック液晶素子の
駆動法としては、たとえば特開昭59−193426号
公報、特開昭59−193427号公報、特開昭60−
156046号公報、特開昭60−156047号公報
などに開示された駆動法を適用することができる。
【0032】図8は駆動法の一例を示す波形図である。
また、図10はマトリクス電極を配置した強誘電性液晶
パネルの一例を示す平面図である。図10の液晶パネル
91には、走査電極群92の走査線と情報電極群93の
データ線とが互いに交差して配線されて、その交差部の
走査線とデータ線との間には強誘電性液晶が配置されて
いる。
【0033】図8(A)中のSS は選択された走査線に
印加する選択走査波形を、SN は選択されていない非選
択走査波形を、IS は選択されたデータ線に印加する選
択情報波形(黒)を、IN は選択されていないデータ線
に印加する非選択情報信号(白)を表している。また、
図中(IS −SS )と(IN −SS )は選択された走査
線上の画素に印加する波形で、電圧(IS −SS )が印
加された画素は黒の表示状態となり、電圧(IN −S
S )が印加された画素は白の表示状態となる。
【0034】図8(B)は図8(A)に示す駆動波形
で、図9に示す表示を行った時の時経列波形である。
【0035】図8に示す駆動例では選択された走査線上
の画素に印加される単一極性電圧の最小印加時間Δtが
書き込み位相t2 の時間に相当し、1ラインクリアt1
位相の時間2Δtに設定されている。
【0036】さて、図8に示した駆動波形の各パラメー
タVS 、VR 、Δtの値は使用する液晶材料のスイッチ
ング特性によって決定される。
【0037】図11は後述するバイアス比を一定に保っ
たまま駆動電圧(VS +Vl )を変化させた時の透過率
Tの変化、すなわちV−T特性を示したものである。こ
こではΔt=50μsec、バイアス比Vl /(Vl
S )=1/3に固定されている。図11の正側は図8
で示した(IN −SS )、負側は(IS −SS )で示し
た波形が印加される。
【0038】ここで、Vl 、V3 をそれぞれ実駆動閾値
電圧及びクロストーク電圧と呼ぶ。また、V2 <Vl
3 の時ΔV=V3 −Vl を電圧マージンと呼びマトリ
クス駆動可能な電圧幅となる。V3 は強誘電性液晶表示
素子駆動上、一般的に存在すると言ってよい。具体的に
は図8(A)(IN −SS )の波形におけるVB による
スイッチングを起こす電圧値である。もちろん、バイア
ス比を大きくすることにより、V3 の値を大きくするこ
とは可能であるが、バイアス比を増すことは情報信号の
振幅を大きくすることを意味し、画質的にはちらつきの
増大、コントラストの低下を招き好ましくない。
【0039】本発明者等の検討では、バイアス比1/3
〜1/4程度が適当であった。ところでバイアス比を固
定すれば、電圧マージンΔVは液晶材料のスイッチング
特性及び素子構成に強く依存し、ΔVの大きい素子がマ
トリクス駆動上非常に有利であることは言うまでもな
い。
【0040】また、同様に上述した電圧を一定に保ち、
電圧印加時間Δtを変化させていくことにより、駆動を
することも可能である。上述した電圧そのまま電圧印加
時間とすればよく、その際電圧印加時間閾値をΔt1
し、電圧印加時間クロストーク値をΔt2 とし、(Δt
2 −Δt1 )=ΔTを電圧印加時間マージンという。
【0041】ある一定温度においては、このように情報
信号の2通りの向きによって選択画素に黒及び白の2状
態を書き込むことが可能であり、非選択画素はその黒ま
たは白の状態を保持することが可能である電圧マージン
または電圧印加時間マージンは液晶材料及び素子構成に
よって差があり、特有なものである。また、環境温度の
変化によってもそれら駆動マージンは異なるため、実際
の表示装置の場合、液晶材料、素子構成や環境温度に対
して最適な駆動条件を設定しておく必要がある。
【0042】本発明の液晶素子の配向膜材料としては、
一般的な有機絶縁物質又は無機絶縁物質の材料、例えば
ポリイミド、好ましくは脂肪族系ポリイミドが用いら
れ、以下の一般式(1)で表される繰り返し単位を有す
るポリイミドが良好な配向が得られる点で好ましく用い
られる。特に、前述したように、両基板に異なる配向制
御層を設ける構成の素子において、一方の基板に下記構
造式のポリイミドを一軸配向処理(ラビング処理)した
ものを設けることが好ましい。
【0043】
【化1】
【0044】次に、本発明の液晶素子の各基板における
マクロな表面状態による表面エネルギーの測定法につい
て示す。
【0045】液滴による接触角の試薬としては、たとえ
ばA:α−ブロモナフタレン、B:ヨウ化メチレン、
C:水などを使う。そして各A,B,C等による接触角
を測定後、例として日本接着協会誌、Vol.8.N
o.3(1972)P131〜北崎ら“Fowkes式
の拡張と高分子固体の表面張力の評価”に記載の計算式
により求められる。
【0046】本発明の液晶装置の一例である表示装置で
は、表示媒体であるスイッチング素子の良好なスイッチ
ング特性が得られるため、高信頼性、高精細、大面積の
表示画像を得ることができる。
【0047】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
する。
【0048】実施例1 ITOをガラス基板に20nmの膜厚で成膜した後、ポ
リイミド前駆体のNMP/nBC(N−メチルピロリド
ン/n−ブチルセロソルブ)=2/1溶液をスピンコー
トし、焼成して以下の構造式(2)で示されるポリイミ
ド塗工膜を得た。
【0049】
【化2】
【0050】ITOの表面凹凸は2nmであった。これ
をナイロン布でラビング処理を施し、一軸配向膜とし
た。次に、ITO付きガラス基板にシランカップリッグ
剤(オクタデシルトリエトキシシラン)をスピンコート
し、焼成した。そのときの基板面の表面エネルギーは2
6dyne/cm2 であった。
【0051】一方の基板には前記ポリイミド膜を形成し
たものを、他方の基板にはシランカップリング剤を塗布
したものを用いて、片側の基板にシリカビーズスペーサ
ーを塗布し、貼り合わせ、ギャップ1.8μmのセルを
作成した。
【0052】次に、セルに液晶を注入後、0.1℃/m
inの降温速度で徐冷した。本実施例では下記処方の液
晶組成物を用いた。
【0053】
【化3】
【0054】この組成物は25℃での自発分極は26n
C/cm2 、20℃でのスメクチック層の傾き角δ=0
°であり、見かけのチルト角は27°である。
【0055】液晶の配向状態の観察から8°以上層法線
がラビング軸とずれた場所は3%であった。そこから逆
反転のドメインが見られたが画質上問題ないレベルだっ
た。フリッカーは気にならず、コントラストは70であ
った。スイッチング特性、画質評価は駆動波形は前述し
たバイアス比1/3の波形を用いた。
【0056】実施例2 配向膜が下記の構造式(3)で示されるポリイミド塗工
膜である以外は実施例1と同様のセルを作成し同様の評
価をした。液晶の配向状態の観察から8°以上層法線が
ラビング軸とずれた場所は5%であった。そこから逆反
転のドメインが見られたが画質上問題ないレベルだっ
た。フリッカーは気にならず、コントラストは50であ
った。
【0057】実施例3 注入後の徐冷速度が0.5℃/minである以外は実施
例1と同様のセルを作成し同様の評価をした。液晶の配
向状態の観察から8°以上層法線がラビング軸とずれた
場所は5%であった。そこから逆反転のドメインが見ら
れたが画質上問題ないレベルだった。フリッカーは気に
ならず、コントラストは55であった。
【0058】比較例1 徐冷速度を3℃/minにした以外は実施例3と同様の
セルを作成し同様の評価をした。液晶の配向状態の観察
から8°以上層法線がラビング軸とずれた場所は10%
であった。そこから逆反転のドメインが画質上問題とな
るレベルだった。フリッカーが発生し、コントラストは
20であった。
【0059】比較例2 ITOの膜厚が150nmである以外は実施例1と同様
のセルを作成し同様の評価をした。ITO表面の表面荒
さは45nmであった。液晶の配向状態の観察から8°
以上層法線がラビング軸とずれた場所は14%であっ
た。そこから逆反転のドメインが画質上問題となるレベ
ルだった。フリッカーが発生し、コントラストは12で
あった。
【0060】比較例3 配向膜を両基板に塗工して両方の界面にラビングを施し
た以外は実施例1と同様のセルを作成し同様の評価をし
た。液晶の配向状態の観察から8°以上層法線がラビン
グ軸とずれた場所は15%であった。そこから逆反転の
ドメインが画質上問題となるレベルだった。フリッカー
が発生し、コントラストは8であった。
【0061】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明の液晶素子お
よび液晶素子の製造法によれば、コントラストが低下し
たり、ちらつきの発生原因となるマトリクス駆動時の書
き込み方向に対しての逆反転ドメインの発生を抑制し、
対コストパフォーマンスに非常に優れた手法によって、
液晶素子のスイッチングを飛躍的に改善し、優れた表示
品位、大面積、高精細、高信頼性のスイッチング素子、
ライトバルプ素子を実現することができ、これまでにな
い、優れた性能を有する液晶装置の実現を可能とした効
果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカイラルスメクチック液晶素子の一例
を示す概略図である。
【図2】偏光板と液晶の分子位置を示す説明図である。
【図3】欠陥周辺でのスメクチック層の相構造を示す説
明図である。
【図4】配向欠陥と逆反転ドメインの関係示す説明図で
ある。
【図5】欠陥部でのラビング軸からの層法線のずれ角と
逆反転ドメイン発生のパルス幅を示すグラフである。
【図6】本発明に係る液晶表示装置とグラフィックコン
トローラとの接続状態を示すブロック図である。
【図7】本発明に係る液晶表示装置とグラフィックコン
トローラとの間の画像情報通信状態を示すタイミングチ
ャート図である。
【図8】本発明で用いる液晶素子の駆動法の波形図であ
る。
【図9】図8(B)に示す時系列駆動波形で実際の駆動
を行ったときの表示パタ−ンの模式図である。
【図10】マトリクス電極を配置した液晶パネルの平面
図である。
【図11】駆動電圧を変化させた時の透過率の変化を表
わすV−T特性図である。
【符号の説明】
1 液晶層 2 基板 3 透明電極 4 配向制御層 5 スペーサー 8 偏光板 9 光源 I0 入射光 I 透過光 21,22 偏光板 U1,U2 液晶分子位置 31 欠陥部での層構造 32 欠陥以外の層構造 34 異常部の層法線のずれ角 41 平均層法線の方向 42,43 配向欠陥 91 液晶パネル 92 走査電極群 93 情報電極群 101 液晶表示装置 102 グラフィックスコントローラ 103 表示パネル 104 走査線駆動回路 105 情報線駆動回路 106 デコーダ 107 走査信号発生回路 108 シフトレジスタ 109 ラインメモリ 110 情報信号発生回路 111 駆動制御回路 112 GCPU 113 ホストCPU 114 VRAM
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年12月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】
フロントページの続き (72)発明者 佐藤 公一 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 森 省誠 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 中村 真一 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 新庄 健司 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対向する一対の基板の夫々に配向制御層
    を有し、かつその間にカイラルスメクチック液晶を有す
    る液晶素子において、配向欠陥の平均層法線からのずれ
    角が8度以上の領域が5%以下であることを特徴とする
    液晶素子。
  2. 【請求項2】 前記基板上の透明電極の表面形状が表面
    荒さ2nm以下である請求項1記載の液晶素子。
  3. 【請求項3】 少なくとも一方の基板における配向制御
    層が脂肪族系ポリイミドである請求項1または2に記載
    の液晶素子。
  4. 【請求項4】 前記液晶素子中の配向制御層が上下の基
    板で異なり、かつ一方の配向制御層のみに実質的な一軸
    配向処理が施されている請求項1乃至3のいずれかの項
    に記載の液晶素子。
  5. 【請求項5】 一軸配向処理を施さない側の配向制御層
    の表面エネルギーが30dyne/cm2 である請求項
    1乃至4のいずれかの項に記載の液晶素子。
  6. 【請求項6】 前記カイラルスメクチック液晶が強誘電
    性を有する請求項1記載の液晶素子。
  7. 【請求項7】 前記カイラルスメクチック相を呈する液
    晶がコレステリック相を持たない請求項1記載の液晶素
    子。
  8. 【請求項8】 前記カイラルスメクチック相を呈する液
    晶の層構造がクエイサイブックシェルフである請求項1
    乃至7のいずれかの項に記載の液晶素子。
  9. 【請求項9】 前記カイラルスメクチック相を呈する液
    晶がフルオロカーボン末端鎖と、炭化水素末端鎖からな
    るフッ素含有液晶化合物であって、該末端鎖が中心核に
    よって結合され、スメクチック中間相あるいは潜在的ス
    メクチック中間相を持つ化合物を含有する請求項1乃至
    8のいずれかの項に記載の液晶素子。
  10. 【請求項10】 前記液晶素子の液晶注入後の処理とし
    て、少なくとも等方相からSmA相への転移点近傍では
    1℃/min以下の徐冷速度で冷却することを特徴とす
    る請求項1乃至9のいずれかの項に記載の液晶素子。
  11. 【請求項11】 夫々配向制御層を有する一対の基板を
    所定の距離を隔てて対向せしめ、該基板の間隙にカイラ
    ルスメクチック液晶を注入した後、該液晶をカイラルス
    メクチック相まで所定の条件で徐冷する液晶素子の製造
    方法であって、該基板の間隙に液晶を等方相で注入した
    後、少なくとも等方相からスメクチックA相への相転移
    点近傍では1℃/min以下の徐冷速度で冷却すること
    を特徴とする液晶素子の製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項1乃至10のいずれかの項に記
    載の液晶素子を備えた液晶装置。
JP23780095A 1995-08-23 1995-08-23 液晶素子、その製造方法及び液晶装置 Pending JPH0961827A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23780095A JPH0961827A (ja) 1995-08-23 1995-08-23 液晶素子、その製造方法及び液晶装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23780095A JPH0961827A (ja) 1995-08-23 1995-08-23 液晶素子、その製造方法及び液晶装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0961827A true JPH0961827A (ja) 1997-03-07

Family

ID=17020610

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP23780095A Pending JPH0961827A (ja) 1995-08-23 1995-08-23 液晶素子、その製造方法及び液晶装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0961827A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6765643B2 (en) 1999-12-27 2004-07-20 Kabushiki Kaisha Toshiba Liquid crystal display element
CN116993719A (zh) * 2023-09-25 2023-11-03 惠州艺都宇正数码科技有限公司 一种oca光学薄膜表面缺陷视觉检测方法及系统

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6765643B2 (en) 1999-12-27 2004-07-20 Kabushiki Kaisha Toshiba Liquid crystal display element
US6876426B2 (en) 1999-12-27 2005-04-05 Kabushiki Kaisha Toshiba Liquid crystal display element with particular angle of the optical axis of the batonnet
CN116993719A (zh) * 2023-09-25 2023-11-03 惠州艺都宇正数码科技有限公司 一种oca光学薄膜表面缺陷视觉检测方法及系统

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5305131A (en) Liquid crystal composition having an improved temperature dependence of response speed, liquid crystal device and display apparatus
US6417828B1 (en) Liquid crystal composition, liquid crystal device, driving method thereof and liquid crystal apparatus
US6577289B1 (en) Liquid crystal device and display apparatus including the device
US5885482A (en) Liquid crystal device, production process thereof and liquid crystal apparatus
EP1143289A2 (en) Chiral smectic liquid crystal device
US5999157A (en) Suppressing liquid crystal movement based on the relationship between a display pattern and a driving waveform
JPH0961827A (ja) 液晶素子、その製造方法及び液晶装置
US5956010A (en) Liquid crystal apparatus and driving method
KR100337771B1 (ko) 액정 디바이스
JP3168399B2 (ja) 液晶素子及び液晶装置
KR100344366B1 (ko) 액정장치 구동 방법
JP3119340B2 (ja) 液晶組成物、それを有する液晶素子及びそれらを有する液晶装置
US20020041353A1 (en) Chiral smectic liquid crystal device
JP3160701B2 (ja) 液晶素子及び液晶装置
JP3219709B2 (ja) 液晶素子、液晶装置、及び液晶素子の駆動方法
US20020018171A1 (en) Liquid crystal device
JP3585186B2 (ja) 液晶組成物、それを有する液晶素子及びそれらを有する液晶装置
JP3160700B2 (ja) 液晶素子及び液晶装置
JPH04267223A (ja) 強誘電性液晶素子
JP2976202B2 (ja) 液晶素子及び表示装置
JPH09304775A (ja) 液晶素子及びその製造法、該素子を用いた液晶装置
JPH1046148A (ja) 液晶素子及び該素子を用いた液晶装置
JPH0959628A (ja) 液晶素子及び液晶装置
JPH10195444A (ja) 液晶素子及び液晶装置
JPH0959627A (ja) 液晶組成物、液晶素子及び液晶装置