JPH09616A - 先付き外科用縫合糸及びその製造方法 - Google Patents
先付き外科用縫合糸及びその製造方法Info
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- JPH09616A JPH09616A JP8129269A JP12926996A JPH09616A JP H09616 A JPH09616 A JP H09616A JP 8129269 A JP8129269 A JP 8129269A JP 12926996 A JP12926996 A JP 12926996A JP H09616 A JPH09616 A JP H09616A
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Abstract
で先付けされた外科用縫合糸を得る。 【解決手段】 実質的に有機溶剤の不在下で結晶性脂肪
族ポリエステルにより外科用縫合糸の一部を先付けし、
先付けされた縫合糸部分を冷却する。
Description
及び該外科用縫合糸の製造方法に関するものであり、よ
り詳細には、生体吸収性ポリマにより外科用縫合糸を溶
剤なしで先付けすること(tipping)に関するも
のである。
針の軸端に取り付けた針−縫合糸組合せ体を用いてい
た。このような針−縫合糸組合せ体は生体吸収性及び非
吸収性の種々のモノフィラメント及び編組の縫合糸、例
えば、ガット,絹,ナイロン,ポリエステル,ポリプロ
ピレン,麻,綿及び生体吸収性合成材料、例えばグリコ
ール酸及び乳酸のポリマ及びコポリマについて提供され
ている。
は、針の軸端に円筒形の凹所を設け、その中に縫合糸を
固定することである。例えば、米国特許第292839
5号には、そのような実質的に円筒形の凹所に接着剤を
加えて縫合糸を凹所に固定することが開示されている。
縫合糸を針穴に結合する別の方法が米国特許第3394
704号に記載されている(結合剤)。あるいは、針の
凹所部分をすくめること(swaying)によって縫
合糸を針の軸方向の穴に固定することができる。(例え
ば米国特許第1250114号を参照)。
て、熱を加えてガット縫合糸を膨張させること(米国特
許第16665216号)、挿入された縫合糸を掴むよ
うに軸方向の穴に突起歯を設けること(米国特許第16
78361号)、及び穴に挿入される縫合糸の端部に結
び目をつくって縫合糸を穴に固定すること(米国特許第
1757129号)が挙げられる。
く知られている。例えば、米国特許第3890975号
と第3980177号には、縫合糸の引き抜き値が3−
26オンスとなるように針穴内の縫合糸を変形させるこ
とが開示されている。マルチネス(Martinez)
の米国特許第4127133号も針の取り外しを制御す
るための結合剤としてワックスを用いることを開示して
いる。別の着脱可能な取り付け方法として、弱められた
縫合糸セグメントを設けること(米国特許第39497
56号)、針の軸方向の穴に挿入される縫合糸の先端に
潤滑剤を先付けすること(米国特許第3963031
号)、及び軸方向の針穴内ですくめられた縫合糸に予備
張力をかけること(米国特許第3875946号)が挙
げられる(また米国特許第3799169号,第388
0167号,第3924630号,第3926194
号,第3943933号,第3981307号及び第4
124027号も参照)。
の軸端と縫合糸に固定されたチューブの使用がある。例
えば、米国特許第1613206号には、圧力又は接着
剤によって針の軸端と結紮糸に固定されたチューブ(好
ましくは銀製)の使用が記載されている。また、針の軸
の断面を小さくすること及び直径の小さくなった軸部分
の最先端に先のとがった突起を設け、そこに縫合糸を固
定してからチューブを適用するこも提案されている。
ブと縫合糸とが針に適切に固定されるチューブ取付け方
法が記載されている。特に、針とチューブには、針をチ
ューブに対して(又はその逆)90°回転させることに
よって互いに自由となるように共働するつかみ手段と接
合手段とを備えている。チューブはスプリング焼き戻し
炭素鋼、又はクロムニッケル鋼でつくられ、チューブを
加熱した後、縫合糸に対してすくめて縫合糸に固定させ
る。
の中空部分が針の他の部分に比べて断面が小さくなった
針の軸端に固定されるようにした針−縫合糸取付け方法
が記載されている。チューブを用いて針−縫合糸取付け
を行うこと記載したその他の特許として、米国特許第4
672734号(U字型金属板から縫合糸の周囲に針を
形成する),第4359053号(シリコーンチュー
ブ),第3835912号(金属チューブを針にレーザ
ー溶接する),第2814296号,第2802468
号(面取りされたチューブ端),第2302986号,
第2240330号,第1981651号(針とねじ山
付きチューブ),第1960117号及び第15910
21号が挙げられる。
かに、米国特許第4805292号から縫合糸の切断端
が針の軸端で形成されている針−縫合糸組合せ体が知ら
れている。しかし、米国特許第4805292号の針−
縫合糸組合せ装置は、前記の他のものと同様、針の縁端
部に形成された縫合糸先端収容のための軸方向の穴又は
凹所を有し、それ自体として軸方向の穴を有する針に関
係する前記に詳述した不利益を受ける。
科用針に取付ける場合、針−縫合糸組合せ体に特有の問
題が生じる。特に編組されたマルチフィラメント縫合糸
は外科用針のごく小さな開口部に挿入するのが困難であ
る。この縫合糸はそのままでは先端が非常にくずれ易
く、うまく挿入することができず、先端がばらけ(”b
room”)がちである。即ち、縫合糸の切断端が針穴
の直径より大きくなるようにフィラメント群が切断端で
ふくらむ傾向がある。このばらけとふくらみの問題を克
服するために、縫合糸を加工する種々の方法が用いられ
ている。公知の方法のひとつは先付け剤(tippin
g agent)を用いることで、この先付け剤は縫合
糸に被覆してフィラメント群を剛化させ、互いに接着す
るように用いられる材料である。
枠又はラック又は他の縫合糸保持装置の所定位置に維持
されるように張力下でたるみを少なくする。任意に、張
力は縫合糸の直径を小さくするようなものであってよい
(カナダ国特許第1009532号を参照)。次いで、
縫合糸は先付け溶液に浸漬され、張力下で乾燥される。
縫合糸は例えば約225°Fの乾燥炉内で約10分間加
熱して乾燥される。乾燥後、縫合糸は切断され、張力か
ら解放される。この方法によれば、切断の両側で先付き
端(tipped end)が得られる。張力を任意に
用いて縫合糸の直径を小さくした場合、張力の解放によ
り先付き部以外で縫合糸は元の直径までふくらむ。こう
して端部は針に挿入し易くなる。
する。例として、マリオッテ(Mariotte)混合
物はナイロンをイソプロピルアルコールに溶解した浸漬
液である。他のポリマと溶剤も使用することができる。
グルド(Gould)混合物はナイロンをメタノールに
溶解した浸漬液である。外科用針の主要メーカーの少な
くとも1社は縫合糸の先付けにマリオッテ混合物かグル
ド混合物の使用を推奨している。ポリマと溶剤を含めて
多種類の先付け剤が提案されている。例えば、マックグ
レガー(McGregor)の米国特許第389097
5号は結合剤又は接着剤による縫合糸の被覆を開示して
いる。組成物は有機・無機又は混成の非毒性接着剤のい
ずれであってもよい。
スファルト,動物及び植物蛋白質,天然ゴム,セラック
といった天然物質、硝酸セルロース、その他のセルロー
ス誘導体といった半合成物質、ダイマ酸から誘導される
ポリアミド、ヒマシ油系ポリウレタン、ビニル型付加ポ
リマ樹脂及びエラストマといった公知の合成樹脂、ポリ
酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、アクリル誘導体、
不飽和ポリエステル、ブタジエン、アクリロニトリルブ
タジエン、スチレン、ネオプレン、ブチルゴム、ポリイ
ソブチレン、及び縮合及び他の段階機構により生成する
ポリマ、即ち、エポキシ、ポリウレタン及びポリスルフ
ィドゴム、及びホルムアルデヒド、フェノール、レゾル
シノール、尿素又はメラミンとの反応生成物である。マ
ックグレガーによれば、特に好ましい結合組成物はエポ
キシ樹脂とポリエステル樹脂である。
第3736646号には、ナイロンのイソプロピルアル
コール溶液といったプラスチックに編組縫合糸の端部を
浸漬して縫合糸を先付けすることは公知であると開示さ
れている。シュミットは吸収性縫合糸に対しては吸収性
先付け剤が望ましいことを示唆し、キシレン、トルエン
といった適当な溶剤に溶解した乳酸とグリコール酸との
コポリマを用いて縫合糸の先付けを行うことを提案して
いる。
2734506号には、トルエン、キシレン、アセト
ン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、ナフサといった
有機溶剤にメタクリル酸エスチルのポリマを溶解した先
付け溶液が開示されている。
国特許第3849185号には、縫合糸に付与した後に
完全に重合するアクリル系注型シロップを先付け剤とし
て用いることが開示されている。
/ヘキサン溶液(10%パラフィン)並びに、2812
0、ノースカロライナ州、マウントホリー、ウエストラ
ンド・ファーム・ロード 201のアロケム(Arro
Chem,Inc.)社製のナイロン樹脂・メタノール
組成物である商品名「アロケム」及びダウコーニング社
製のシリコーンエラストマである商品名「シラスチッ
ク」(SILASTIC)薬用接着剤が用いられてい
る。
ipped suture)はうまく使用されてきたか
も知れないが、先付け剤の使用に伴ういくつかの欠点が
ある。主な問題点は先付け剤の調度と工程管理に関係し
ていた。溶剤、炉温度及び加熱時間の変更によって生ず
る溶剤の不均一な蒸発の結果、一定した先付けが行われ
ないことがある。さらに、蒸発後の乾燥ポリマ残渣が剥
離したり、亀裂を起こすことがある。その上、先付け溶
液に用いる先付け用溶剤は有害で、取扱いと廃棄に大き
な問題を提供する。
端を熱処理することである。1970年代以降、編組熱
可塑性縫合糸は、縫合糸の端部を熱ダイ内に置いて端部
を固め、針への挿入に適した形状の先端を形成すること
によって先付けされていた。ダイは電気抵抗ヒーターま
たは超音波発生器で加熱することができた。縫合糸はま
た、張力下にある縫合糸部分に熱表面を接触させ、2つ
の先端を形成するように後で切断される剛化部分を形成
することにより先付けを行うことができる。
法の変形を米国特許第4832025号、第52263
36号及び第4806737号に記載している。この変
形方法は、張力下にある縫合糸部分を輻射加熱トンネル
内で加熱し、次いでこの熱処理縫合糸部分を切断して2
つの先端を形成することから成る。
台上又は枠上に置き、先付けされる部分を高温の不活性
流体に浸漬することにより先付けすることができる。不
活性流体に挿入された縫合糸部分はヒートセット又は延
伸(縫合糸材料、張力、流体温度及び熱流体にさらされ
る時間に依存する)され、それによって剛化される。縫
合糸は台又は枠から外され、次いで剛化部分が切断され
て1つ又は複数の縫合糸先端を形成する。縫合糸を溶融
するように熱を用いることは、注意深く管理しないと、
縫合糸を弱くすることがあるという点が不利である。以
上のことから、溶剤を用いずに又は縫合糸を高温にさら
すことなく縫合糸に先付けすることは当該技術に大きく
貢献する。
がって先付き外科用縫合糸(tipped surgi
cal suture)を提供することである。本発明
の他の目的は、先付け用溶剤又は高温の使用を必要とし
ない外科用縫合糸の先付け方法を提供することである。
エステルで先付けされた外科用縫合糸であって、縫合糸
の少なくとも一方の端部から40mm未満の長さにわた
って脂肪族ポリエステルで先付けされ、ただし、脂肪族
ポリエステルはグリコール酸と乳酸のコポリマではな
く、脂肪酸ポリエステルが縫合糸を外科用装置への挿入
に適するように剛化させるに足る量で付与されている外
科用縫合糸によって達成されることが見出された。上記
他の目的は実質的に有機溶剤の不在下で結晶性脂肪族ポ
リエステルにより外科用縫合糸を先付けする方法であっ
て、縫合糸の一部をかなりの量の溶融脂肪族ポリエステ
ルで先付けすること及び先付けされた縫合糸部分を冷却
することを含む方法によって達成されることが見出され
た。
剛化させ、マルチフィラメント縫合糸については先がば
らけないように縫合糸を結晶性脂肪族ポリエステルで先
付けすることを指向する。縫合糸に先付けすると、縫合
糸の先端を針又は他の外科用装置への取り付け用開口へ
挿入するのが容易となる。
方法を指向する。用語「編組」(”braid”)と
は、1本又は複数本のフィラメントからなる多数(少な
くとも3本)の個々のストランドを斜めに交差させて形
成された実質的に対称的なストランドを意味し、各スト
ランドは他の1本又は複数本のストランドの上又は下を
交互に通るように構成されている。編組は従来の管状編
組構造であっても、らせん形に似た編組でもよく、外周
に形成された1本又は複数本のフィラメントから成る芯
部を含むことができる。
までに開示された繊維材料といったさまざまの天然及び
合成繊維材料からつくられる。そのような材料として、
非吸収性及び部分又は完全生体吸収性(即ち、両吸収性
(resorbable))の天然及び合成繊維形成ポ
リマが挙げられる。編組縫合糸の製造に適した非吸収性
材料として、絹、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレ
ートといったポリエステル、ポリプロピレン、カポッ
ク、麻等が挙げられる。炭素繊維、鋼繊維及びその他の
生体許容性無機繊維材料も使用できる。
又は合成樹脂、例えばグリコール酸、グリコリド、乳
酸、ラクチド、ジオキサノン、ポリカプロラクトン、ε
−カプロラクトン、トリメチレンカーボネート等及びこ
れらモノマや関連モノマの種々の組合せから誘導される
合成樹脂から製造することができる。このタイプの樹脂
から製造される縫合糸は従来知られている。
は表面潤滑性と結節締め付け(knot tie−do
wn)といった機能性を加善するよう1〜5重量%の1
種又は複数種の被覆組成物で被覆される。これらの目的
の1つ又は両方のために提案された各種の被覆組成物は
従来公知であり、例えば米国特許第4994074号、
第4791929号、第4624256号、第4185
637号、第3942532号及び欧州特許出願第61
0086号と第376656号に開示されている。
族ポリエステルは室温で固体である。本発明の脂肪族ポ
リエステルの一般的特徴は室温(25℃)で固体である
ことで、好ましくは適用時に体温(37℃)で固体であ
る。
て固体ホモポリマのポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ
(p−ジオキサノン)及びポリ(トリメチレンカーボネ
ート)及びε−カプロラクトンとトリメチレンカーボネ
ートのコポリマが挙げられる。ε−カプロラクトンのコ
ポリマは、ε−カプロラクトン繰り返し単位が約100
モル%〜約70%、好ましくは95モル%〜85モル%
で、ポリマの残部が複数の第2ラクトン繰り返し単位か
ら成る。第2ラクトン繰り返し単位は、グリコリド繰り
返し単位、ラクチド繰り返し単位、1,4−ジオキサノ
ン繰り返し単位、1,4−ジオキセパン−2−オン繰り
返し単位、1,5−ジオセキパン−2−オン繰り返し単
位、トリメチレンカーボネート繰り返し単位及びこれら
の組合せから成る群から選ばれる。好ましいのは、体温
で半結晶質固体であるε−カプロラクトンのコポリマで
ある。
は、トリメチレンカーボネートが約1〜約20モル%又
は約100〜約80モル%の範囲で、コポリマの残部が
グリコリド繰り返し単位、ラクチド繰り返し単位、p−
ジオキサノン繰り返し単位、ε−カプロラクトン繰り返
し単位及びこれらの組合せから成る群から選ばれる複数
のラクトン繰り返し単位から成る。トリメチレンカーボ
ネートコポリマが第2ラクトン繰り返し単位によって形
成された結晶領域を有し、この結晶領域が最終コポリマ
に少なくとも5%の結晶化度を与えるのが好ましい。固
体ポリマは洗浄、枝分れ又は星状枝分れのブロックコポ
リマ又はターポリマ、又はセグメント化ブロックコポリ
マ又はターポリマであってよい。
マは、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(ε−カプロ
ラクトン−コ−トリメチレンカーボネート)及びポリ
(ε−カプロラクトン−コ−p−ジオキサノン)から成
る群から選ばれる結晶性ポリマである。これらのポリマ
中のε−カプロラクトン繰り返し単位のモル%は100
〜約80モル%、好ましくは95〜85モル%の範囲で
ある。
サクルオロイソプロパノール(HFIP)中の濃度0.
1g/dlにおいて25℃で測定した固有粘度が約0.
1dl/g〜約1.0dl/g、好ましくは約0.1d
l/g〜約0.8dl/g、最も好ましくは0.15d
l/g〜0.5dl/gの範囲である。固有粘度が0.
1dl/g未満のポリマは室温では結晶化せず、また、
固有粘度が1.0dl/gを越えるポリマは先付け剤を
余り粘稠にし過ぎるので取扱いにくくなる。
ことができる。一般に、高沸点のアルコール(例えば1
−ドデカノール)、ジオール及びトリオール(例えば
1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオー
ル、ジエチレングリコール及びグリセロール)又はポリ
オール(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピ
レングリコール及びポリエチレンプロピレングリコー
ル)により開環重合を開始するのが好ましい。さらに、
上記モノマの一部は当量の相当する酸(例えば、クリコ
リドを2当量のグリコール酸に、又はL−ラクチドを2
当量のL−乳酸に置き換える)で置き換えることができ
る。
と、開始剤の存在下、高められた温度で所定割合の1種
又は複数種の脂肪族エステルを重合させることによって
得ることができる。有機金属触媒は好ましくはスズ系触
媒、例えばオクタン酸第一スズであり、モル比でモノマ
/触媒が約15000/1〜80000/1の範囲でモ
ノマ混合物中に存在する。開始剤は典型的にはアルカノ
ール、グリコール、ヒドロキシ酸又はアミンであり、モ
ル比でモノマ/開始剤が約100/1〜5000/1の
範囲でモノマ混合物中に存在する。重合は典型的には8
0〜220℃、好ましくは160〜190℃の範囲で、
所望の分子量と粘度が得られるまで実施される。
でその融点まで加熱される。一般に溶融脂肪族ポリエス
テルは脂肪族ポリエステルを縫合糸に付与する温度で約
75cps〜約2000cpsの粘度を有する。脂肪族
ポリエステルは実質的に溶剤の不在下で浸漬法、スプレ
ー法(例えばエアブラシによる)又はブラッシングとい
った種々の方法で外科用縫合糸に接触させることができ
る。
方法は、溶融ポリエステルが縫合糸の中心、即ち、芯部
へ浸透するのを容易にする。脂肪族ポリエステルは、縫
合糸先端の周囲に針をおさめる際に、先端が内側につぶ
れないで、縫合糸を針から引き抜く強さを実質的に減少
させる(即ち、縫合糸を針からごく容易に外せるように
する)ように、縫合糸に均一に浸透する。
の融点又は分解温度より低い温度、好ましくは縫合糸材
料の融点又は分解温度より50℃低い、そして最も好ま
しくは100℃低い温度で縫合糸に接触させる。脂肪族
ポリエステルが付与される間、縫合糸は張力下に置いて
縫合糸の先付けセグメントの直径を小さくすることがで
きる。例えば、縫合糸が張力下でラックに巻かれ、部分
的に溶融脂肪族ポリエステルに浸漬される場合、溶融ポ
リエステルは縫合糸材料の融点より100℃低い温度で
約75cps〜約150cpsの範囲の粘度を有するこ
とが好ましい。
に冷却されると固化し、結晶化して縫合糸の先付きセグ
メントを剛化させ、個々のフィラメントを一体に保持し
てばらけを防ぐ。外科用縫合糸の先に付与される脂肪族
ポリエステルの一般的な量は、針又は外科用装置に外科
用縫合糸を取付ける開口に縫合糸を挿入できるように外
科用縫合糸を十分に剛化させるに足る量である。好まし
くは、縫合糸の先端の曲げ剛性は縫合糸当り約0.2〜
約2.0gf・cm2 (カワバタピュアベンディングテ
スターKEF−FB−2)の範囲とする。一般に、縫合
糸の先付きセグメントにおける脂肪族エステルの量は、
先付きセグメントの全重量の約1〜約30重量%、好ま
しくは約6〜約30重量%、最も好ましくは約11〜2
0重量%の範囲である。
端部といった開口に挿入されるための少なくとも1つの
先端を形成することができる。先付き部分を2本に切断
して2つの先端を形成することができる。先付き部分は
先付きセグメントの方向を横切るように動くブレードと
いった適当な手段によって切断することができる。好ま
しくは、先付きセグメントはその先端が広がらないよう
に、半円形のギロチンブレードで切断される。
有するバレルを用いて針に挿入することができる。縫合
糸の先付き端部が開口に挿入された後、針の端部は、縫
合糸を永久に又は米国薬局法(USP)で規定された引
き抜き力で掴み、保持するようにすくめられ、クリンプ
され、あるいは締めつけられる。
さらに詳細に示すためのものであり、本発明の範囲から
はずれることなく本発明の種々異なる態様が可能であ
る。
開始剤としたカプロラクトンホモポリマ火炎乾燥した2
50mlの丸底単口フラスコ114.14g(1.0モ
ル)のε−カプロラクトン、0.73mlのプロピレン
グリコール(USP級)及び0.101mlの0.33
Mオクタン酸第一スズ含有トルエン溶液を入れた。フラ
スコに機械式スタラーを取り付けた。反応器を窒素で3
回パージした後、窒素でガス抜きを行った。反応混合物
を160℃に加熱し、この温度に約18〜20時間保っ
た。ホモポリマは、ヘキサフルオロイソプロパノール
(HFIP)中0.1g/dlの濃度で25℃で測定し
た固有粘度が0.546dl/gであった。ホモポリマ
は低融点(58〜60℃、フィッシャージョーンズ)の
固体で、ポリカプロラクトン/ε−カプロラクトンのモ
ル比はNMR測定により99.75/0.25であっ
た。
した初期モル比95/5のカプロラクトン/p−ジオキ
サノンコポリマ火炎乾燥した250mlの丸底単口フラ
スコに108.43g(0.95モル)のε−カプロラ
クトン、5.10g(0.05モル)のp−ジオキサ
ン、2.94mlのプロピレングリコール(USP級)
及び0.101mlの0.33Mオクタン酸第一スズ含
有トルエン溶液を入れた。フラスコに火炎乾燥した機械
式スタラーを取り付けた。反応器を窒素で3回パージし
た後、窒素でガス抜きを行った。反応混合物を160℃
に加熱し、この温度に約24時間保ち、次いで浴温を1
00℃に下げ、この温度に24時間保った。コポリマ
は、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)中
0.1g/dlの濃度で25℃で測定した固有粘度が
0.29dl/gであった。コポリマは低融点(43〜
47℃、フィッシャージョーンズ)の固体で、ポリカプ
ロラクトン/ポリ(p−ジオキサノン)のモル比はNM
Rにより95.1/4.9であった。
した初期モル比90/10のカプロラクトン/p−ジオ
キサノンコポリマ火炎乾燥した250mlの丸底単口フ
ラスコに102.72g(0.90モル)のε−カプロ
ラクトン、10.21g(0.10モル)のp−ジオキ
サノン、2.94mlのプロピレングリコール(USP
級)及び0.101mlの0.33Mオクタン酸第一ス
ズ含有トルエン溶液を入れた。フラスコに火炎乾燥した
機械式スタラーを取り付けた。反応器を窒素で3回パー
ジした後、窒素でガス抜きを行った。反応混合物を16
0℃に加熱し、この温度に約24時間保ち、次いで浴温
を100℃に下げ、この温度に24時間保った。コポリ
マは、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)中
0.1g/dlの濃度で25℃で測定した固有粘度が
0.23dl/gであった。コポリマは低融点(38〜
41℃、フィッシャージョーンズ)の固体で、ポリカプ
ロラクトン/ポリ(p−ジオキサノン)のモル比はNM
Rにより90/10であった。
した初期モル比95/5のカプロラタトン/L(−)ラ
クチドコポリマ火炎乾燥した250mlの丸底単口フラ
スコに108.43g(0.95モル)のカプロラクト
ン、7.20g(0.05モル)のL(−)ラクチド、
2.57mlのプロピレングリコール及び0.101m
lの0.33Mオクタン酸第一スズ含有トルエン溶液を
入れた。フラスコに火炎乾燥した機械式スタラーを取り
付けた。反応器を窒素で3回パージした後、窒素でガス
抜きを行った。反応混合物を160℃に加熱し、この温
度に約18時間保った。コポリマは、ヘキサフルオロイ
ソプロパノール(HFIP)中0.1g/dlの濃度で
25℃で測定した固有粘度が0.24dl/gであっ
た。コポリマは低融点(45〜47℃、フィッシャージ
ョーンズ)の固体で、ポリカプロラクトン/ポリラクチ
ドのモル比はNMRにより98.8/1.2であった。
モル比90/10のカプロラクトン/L(−)ラクチド
コポリマ火炎乾燥した250mlの丸底単口フラスコに
102.73g(0.90モル)のカプロラクトン、1
4.41g(0.10モル)のL(−)ラクチド、1.
82mlのグリセロール(USP級)及び0.101m
lの0.33Mオクタン酸第一スズ含有トルエン溶液を
入れた。フラスコに火炎乾燥した機械式スタラーを取り
付けた。反応器を窒素で3回パージした後、窒素でガス
抜きを行った。反応混合物を160℃に加熱し、この温
度に約18時間保った。コポリマを減圧下(0.1mm
Hg)、80℃で約28時間乾燥して未反応モノマを除
去した。コポリマはヘキサフルオロイソプロパノール
(HFIP)中 0.1g/dlの濃度で25℃で測定
した固有粘度が0.30dl/gであった。コポリマは
低融点(32〜36℃、フィッシャージョーンズ)の固
体で、ポリカプロラクトン/ポリラクチドのモル比はN
MRにより93.0/7.0であった。
した初期モル比90/10のカプロラクトン/L(−)
ラクチドコポリマ実質的に実施例5の操作を繰り返した
が、但し、1.82mlのグリセロール(蒸留物)の代
わりに2.57mlのプロピレングリコールを用いた。
コポリマを単離し、特性づけをした。コポリマは、ヘキ
サフルオイソプロパノール(HFIP)中0.1g/d
lの濃度で25℃で測定した固有粘度が0.28dl/
gであった。コポリマは低融点(36〜41℃、フィッ
シャージョーンズ)の固体で、ポリカプロラクトン/ポ
リラクチドのモル比はNMRにより90.9/9.1で
あった。
外科用縫合糸の引き抜き値試験2−0サイズのポリエス
テル縫合糸16本を、実施例1に記載の通りに製造した
ポリカプロラクトンの浴融物中に浸漬した。先付き縫合
糸を、直径0.0175インチの穴を有するCT−1ド
リルド針に挿入した。縫合糸先端の末端部に固化ポリカ
プロラクトンの小粒子があった場合、この先端の末端部
を切断してからドリルド針に挿入した。先端を針に挿入
し、針を縫合糸の先付き部分に対してすくめた。次い
で、縫合糸の引き抜き試験により引き抜き値を求めた。
引き抜き値は2.0ポンド〜4.8ポンドの範囲であっ
た。先端を被覆するポリカプロラクトンの量が少ない
と、引き抜き値はこれより高かった。先付けに関するこ
の試験から明らかなように、縫合糸に付着させる生体吸
収性ポリマの量とすくみ工程を制御することにより、縫
合糸の引き抜き値を容易に変えて適当な商業的縫合糸又
は引き抜きの制御された縫合糸を得ることができる。
る。(1)縫合糸が編組縫合糸である請求項1記載の外
科用縫合糸。(2)ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ
(p−ジオキサノン)及びポリ(トリメチレンカーボネ
ート)の各ホモポリマから成る群から選ばれる結晶性脂
肪族ポリエステルにより縫合糸が先付きされている請求
項1記載の外科用縫合糸。(3)約100モル%〜約7
0モル%のε−カプロラクトン繰り返し単位から成るε
−カプロラクトンのコポリマであって、ポリマの残部が
グリコリド繰り返し単位、ラクチド繰り返し単位、1,
4−シオキサノン繰り返し単位、1,4−ジオキセパン
−2−オン繰り返し単位、1,5−ジオキセパン−2−
オン繰り返し単位、トリメチレンカーボネート繰り返し
単位及びこれらの組合せから群から選ばれる複数のラク
トン繰り返し単位から成るコポリマから成る群から選ば
れる結晶性脂肪族ポリエステルにより縫合糸が先付けさ
れている請求項1記載の外科用縫合糸。(4)約1〜約
20モル%又は約100〜約80モル%のトリメチレン
カーボネートから成るトリメチレンカーボネートのコポ
リマであって、コポリマの残部がグリコリド繰り返し単
位、ラクチド繰り返し単位、p−ジオキサノン繰り返し
単位、ε−カプロラクトン繰り返し単位及びこれらの組
合せから成る群から選ばれる複数のラクトン繰り返し単
位から成るコポリマにより縫合糸が先付けされている請
求項1記載の外科用縫合糸。(5)脂肪族ポリエステル
は、HFIP中0.1g/dlの溶液で25℃で測定し
た固有粘度が約0.1dl/g〜約1.0dl/gの範
囲である請求項1記載の外科用縫合糸。(6)脂肪族ポ
リエステルにより先付けされた縫合糸の端部に針が取り
付けられている請求項1記載の外科用縫合糸。(7)先
付けされた縫合糸部分を切断して少なくとも1つの縫合
糸先端を形成する請求項2記載の方法。(8)針が縫合
糸先端に取り付けられる実施態様項7記載の方法。
(9)縫合糸が編組縫合糸である請求項2記載の方法。
(10)ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(p−ジオ
キサノン)及びポリ(トリメチレンカーボネート)の各
ホモポリマから成る群から選ばれる結晶性脂肪族ポリエ
ステルにより縫合糸を先付けする請求項2記載の方法。
ε−カプロラクトン繰り返し単位から成るε−カプロラ
クトンのコポリマであって、ポリマの残部がグリコリド
繰り返し単位、ラクチド繰り返し単位、1,4−ジオキ
サノン繰り返し単位、1,4−ジオキセパン−2−オン
繰り返し単位、1,5−ジオキセパン−2−オン繰り返
し単位、トリメチレンカーボネート繰り返し単位及びこ
れらの組合せから群から選ばれる複数のラクトン繰り返
し単位から成るコポリマから成る群から選ばれる結晶性
脂肪族ポリエステルにより縫合糸を先付けする請求項2
記載の方法。(12)約1〜約20モル%又は約100
〜約80モル%のトリメチレンカーボネートから成るト
リメチレンカーボネートのコポリマであって、コポリマ
の残部がグリコリド繰り返し単位、ラクチド繰り返し単
位、p−ジオキサノン繰り返し単位、ε−カプロラクト
ン繰り返し単位及びこれらの組合せから成る群から選ば
れる複数のラクトン繰り返し単位から成るコポリマによ
り縫合糸を先付けする請求項2記載の方法。(13)脂
肪族ポリエステルはHFIP中0.1g/dlの溶液で
25℃で測定した固有粘度が約0.1dl/g〜約1.
0dl/gの範囲内である請求項2記載の方法。
在下で先付け剤により先付けされたものであるので、そ
の製造の際に、従来のように溶剤を用いた先付け剤によ
る先付けの際の溶剤の有害性、取り扱いにくさ及び廃棄
の問題や高温により縫合糸の端部を溶融して先付けを行
うことにより縫合糸を弱くするといった問題を回避する
ことができた。また、縫合糸に付着させる先付け剤の量
を制御することにより縫合糸の針からの引き抜き値を容
易に変化させることができ、商業的に有用な縫合糸を得
ることができた。
Claims (2)
- 【請求項1】 脂肪族ポリエステルで先付けされた外科
用縫合糸であって、縫合糸の少なくとも一方の端部から
40mm未満の長さにわたって脂肪族ポリエステルで先
付けされ、ただし、脂肪族ポリエステルはグリコール酸
と乳酸のコポリマではなく、脂肪酸ポリエステルが縫合
糸を外科用装置への挿入に適するように剛化させるに足
る量で付与されている外科用縫合糸。 - 【請求項2】 実質的に有機溶剤の不在下で結晶性脂肪
族ポリエステルにより外科用縫合糸を先付けする方法で
あって、縫合糸の一部をかなりの量の溶融脂肪酸ポリエ
ステルで先付けすること及び先付けされた縫合糸部分を
冷却することを含む方法。
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