JPH095191A - 静電容量式圧力センサ - Google Patents

静電容量式圧力センサ

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JPH095191A
JPH095191A JP15431095A JP15431095A JPH095191A JP H095191 A JPH095191 A JP H095191A JP 15431095 A JP15431095 A JP 15431095A JP 15431095 A JP15431095 A JP 15431095A JP H095191 A JPH095191 A JP H095191A
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JP
Japan
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electrode
diaphragm
pressure
fixed substrate
fixed
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JP15431095A
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English (en)
Inventor
Yuko Fujii
優子 藤井
Hideto Monju
秀人 文字
Yoshikatsu Oishi
芳功 大石
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、静電容量式圧力センサに関するも
ので、特に、温度の影響をほとんど受けない、初期容量
のばらつき少ない圧力センサを実現することを目的とす
る。 【構成】 センサ素子を表面に第一の電極が形成された
電気絶縁性弾性材料からなるダイアフラムと、第二の電
極が表面に形成された電気絶縁性材料からなるダイアフ
ラムより大きな固定基板と、前記第一の電極と前記第二
の電極とが対向配置し前記電極の外周部で前記ダイアフ
ラムと前記固定基板とを一定間隔に保持し接着する接着
層とで構成し、圧力を伝達する圧力伝達部とセンサ素子
とを固定基板上で接着材により固定する構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は圧力変化をダイアフラム
に設けられた電極の静電容量変化に変換し、さらに電気
的出力に変換する静電容量式圧力センサに関する。
【0002】
【従来の技術】図8に示すように、従来の静電容量式圧
力センサは、表面に第一の電極1が形成された電気絶縁
性弾性材料からなるダイアフラム2と、第二の電極3が
表面に形成された電気絶縁性材料からなる固定基板4と
を備え、前記固定基板4には大気との通気孔5を設け、
前記第一の電極1と前記第二の電極3とが対向配置し前
記電極の外周部で前記ダイアフラム2と前記固定基板4
とを接着する接着層6とでセンサ素子を構成し、圧力を
センサ素子に伝達する圧力伝達部7と前記センサ素子と
は、センサ素子のダイアフラム2と固定基板4とが同じ
大きさであったため、ダイアフラム2上で接着材8によ
り固定する構成であった(特開昭58−731号公
報)。
【0003】このとき、圧力は圧力伝達部7を介してセ
ンサ素子のダイアフラム2に伝達される。この圧力によ
って、ダイアフラム2が変形し、第一の電極1と第二の
電極3間で形成される静電容量が変化し、圧力が静電容
量の変化として検知されることになる。さらに、この静
電容量を電気信号に変換する変換手段10を備えること
によって、容量を電圧値や周波数値等に変換して静電容
量式圧力センサを他の機器、例えば自動車やガスメータ
などに設置し幅広く使用していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記のよ
うな構成では、下記の課題があった。すなわち、ダイア
フラム2と固定基板4とが同じ大きさであるため、圧力
を測定するために用いる圧力伝達部7をダイアフラム2
上で固定していた。このため、固定するために用いる接
着材8が持つ温度特性の影響をダイアフラム2が直接受
けてしまい、センサ出力が温度によって大きく変化する
という課題があった。
【0005】また、静電容量式圧力センサの出力である
容量CはC=εAXー1(ここでAは電極面積、εは誘電
率、Xは電極間隔である)で表され、電極間隔が小さい
ほど容量が大きい。またdC/dX=−εAXー2であ
り、電極間隔が小さいほど感度が良いことがわかる。第
一の電極1と第二の電極3の電極間隔は、通常約0.1
μm〜数100μmが好ましく、高容量化、高精度化のた
めに約0.1〜30μmがさらに好ましい。
【0006】しかし、高感度化、高精度化のために、第
一の電極1と第二の電極の電極間隔を約0.1〜30μ
mにすると、わずかな電極間距離の変動が容量の変動、
ばらつきを引き起こす。従って、圧力伝達部7をダイア
フラム2上で接着材8で固定すると、接着材8が温度に
よってダイアフラム2に負荷を与えるため、ダイアフラ
ム2がたわんでしまい、第一の電極1と第二の電極3と
の電極間距離が変動するため、容量が温度によって変化
する。
【0007】図9に図8示した従来の圧力センサを用い
て、温度と圧力を印加しない状態での初期容量との関係
を示した。温度は−30度から60度まで30度間隔で
変化させ、容量はそれぞれの条件下で約1時間ほど放置
させた後の容量を測定した。この結果から見ると、−3
0度では初期容量が23.93pFであったにもかかわら
ず、60度での初期容量は31.31pFとなり、約7.
38pF(30.83%)も増加していることが解る。つ
まり、初期容量が温度によって大きく変化していること
が言える。
【0008】さらに、接着材を用いずともシール材など
で固定しても、シール材が温度によって軟化または硬化
するため、ダイアフラムが温度によって変位し、図9に
示した場合と同様に温度によって初期容量が変化してし
まい正確な圧力検知ができなかった。また、シール材を
用いた場合では圧力伝達部とセンサ素子とをネジなどで
固定しするが、シール材がダイアフラム上にあるため、
ネジの締め具合によってはダイアフラム2がたわみ、圧
力伝達部を固定することで初期容量の個々のばらつきが
増加する傾向にあった。
【0009】図10に図8で示した圧力センサを接着剤
8ではなく、シール材15でネジを用いて固定した圧力
センサを用いて初期容量のばらつきを示した。この時圧
力伝達部7を固定する前のセンサ素子は、すべて31.
50pFであり、図10にはこれらの素子35個を圧力伝
達部7で固定した後の容量である。またこの時の温度は
30度とし、約30分放置したあとの値である。この結
果から、容量が大きくばらついていることが解る。この
時の初期容量の平均値は34.07pFで、標準偏差は
1.58であった。つまり、接着層6によって精度良く
ギャップ管理を行っても無意味な結果となっていた。ま
た、シール材で固定した場合にかぎらず、接着材でセン
サ素子と圧力伝達部を固定した場合においても、接着材
の量および硬化具合によって図9とほぼ同様に初期容量
にばらつきが見られた。
【0010】さらに、図11に図8で示した圧力センサ
に0mmH2O〜1000mmH2Oまで圧力を印加したとき
の測定用電極の容量値を示した。このとき、室温(30
度)で31.501pFの初期容量を持つ素子を用いた。
また、測定についても、室温(30度)で行った。この
結果から、出力である容量値にヒステリシスが生じてい
ることが解る。圧力を印加する前の初期容量値は31.
501pFであるにもかかわらず、印加した後の初期容量
値は31.961pFに変化し、0.46pFも増加してい
る。これは圧力を1000mmH2O印加した際の容量変
化約14.38pFに対して、約3.2%FSにも相当す
る。このため正確な圧力検知ができない状態であった。
【0011】本発明は、このような従来の従来の課題を
解決するもので、温度によるセンサ出力の変化を低減し
た静電容量式圧力センサを提供することを第一の目的と
する。
【0012】また第二の目的は、圧力伝達部の接続状態
にかかわらず、圧力センサの初期容量が変化しない静電
容量式圧力センサを提供することである。
【0013】また第三の目的は、温度によるセンサ出力
の変化を低減して、圧力測定精度を向上し、幅広く他の
機器に組み込み易い静電容量式圧力センサを提供するこ
とである。
【0014】また第四の目的は、圧力伝達部の接続状態
にかかわらず、圧力センサの初期容量が変化せず、圧力
測定精度を向上し、幅広く他の機器に組み込み易い静電
容量式圧力センサを提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明の静電容量式圧力センサはセンサ素子を表面
に第一の電極が形成された電気絶縁性弾性材料からなる
ダイアフラムと、第二の電極が表面に形成された電気絶
縁性材料からなるダイアフラムより大きな固定基板と、
前記第一の電極と前記第二の電極とが対向配置し前記電
極の外周部で前記ダイアフラムと前記固定基板とを一定
間隔に保持し接着する接着層とで構成し、圧力を伝達す
る圧力伝達部とセンサ素子とを固定基板上で接着材によ
り固定する構成とした。
【0016】また、センサ素子を表面に第一の電極が形
成された電気絶縁性弾性材料からなるダイアフラムと、
第二の電極が表面に形成された電気絶縁性材料からなる
ダイアフラムより大きな固定基板と、前記第一の電極と
前記第二の電極とが対向配置し前記電極の外周部で前記
ダイアフラムと前記固定基板とを一定間隔に保持し接着
する接着層とで構成し、圧力を伝達する圧力伝達部とセ
ンサ素子とを固定基板上でシール材により固定する構成
とした。
【0017】また、センサ素子を表面に第一の電極が形
成された電気絶縁性弾性材料からなるダイアフラムと、
第二の電極が表面に形成された電気絶縁性材料からなる
ダイアフラムより大きな固定基板と、前記第一の電極と
前記第二の電極とが対向配置し前記電極の外周部で前記
ダイアフラムと前記固定基板とを一定間隔に保持し接着
する接着層とで構成し、圧力を伝達する圧力伝達部とセ
ンサ素子とを固定基板上で接着材により固定した素子
と、圧力変化によって生じた前記ダイアフラムと前記固
定基板との間の容量変化を電気信号に変換する変換手段
とを備えた構成とした。
【0018】さらに、センサ素子を表面に第一の電極が
形成された電気絶縁性弾性材料からなるダイアフラム
と、第二の電極が表面に形成された電気絶縁性材料から
なるダイアフラムより大きな固定基板と、ダイアフラム
と前記第一の電極と前記第二の電極とが対向配置し前記
電極の外周部で前記ダイアフラムと前記固定基板とを一
定間隔に保持し接着する接着層とで構成し、圧力を伝達
する圧力伝達部とセンサ素子とを固定基板上でシール材
により固定したセンサ素子と、圧力変化によって生じた
前記ダイアフラムと前記固定基板との間の容量変化を電
気信号に変換する変換手段とを備えた構成とした。
【0019】
【作用】本発明の圧力センサは上記構成によって下記の
作用を有する。
【0020】すなわち、圧力伝達部を固定基板で接着材
により固定することで、接着材の持つ温度特性の影響を
受けないため、温度による特性変化がなくなる。
【0021】また、圧力伝達部とダイアフラムとを固定
基板上でシール材にて固定することにより、接着材の温
度特性の影響がなく、さらにシール材によるダイアフラ
ムの変位がなくなり、圧力伝達部接続後の初期容量のば
らつきがなくなるとともに、温度による出力のばらつき
がなくなるため、精度良く圧力検知が可能となる。
【0022】また、圧力伝達部と固定基板とを接着材で
固定した温度の影響を受けにくいセンサ素子に、圧力変
化によって生じたダイアフラムと固定基板との間の容量
変化を電気信号に変換する変換手段を備えることによっ
て、温度の影響を受けにくくさらに、圧力によって変化
した容量値を増幅させることで検知精度が向上し、さら
に容量値を電圧値や周波数値に変換することで、容易に
他の機器に組み込むことができ、容易に幅広く使用でき
る。
【0023】さらに、圧力伝達部と固定基板とをシール
材で固定した、圧力伝達部固定時の初期容量のばらつき
のないセンサ素子に、圧力変化によって生じたダイアフ
ラムと固定基板との間の容量変化を電気信号に変換する
変換手段を備えることによって、初期容量のばらつきが
なく、さらに、圧力によって変化した容量値を増幅させ
ることで検知精度が向上し、さらに容量値を電圧値や周
波数値に変換することで、容易に他の機器に組み込むこ
とができ、容易に幅広く使用できる。
【0024】
【実施例】以下、本発明の第1の実施例を図1〜5を参
照しながら説明する。
【0025】(実施例1)図1は本発明による静電容量
式圧力センサの一実施例を示す断面図であり、従来例と
同じ構成要素には同じ番号を付し、説明は省略する。
【0026】図に示すように、表面に第一の電極1が形
成された電気絶縁性弾性材料からなるダイアフラム2
と、第二の電極3が表面に形成された電気絶縁性材料か
らなるダイアフラムより大きな固定基板4とを備え、前
記第一の電極1と前記第二の電極3とが対向配置し前記
電極の外周部で前記ダイアフラム2と前記固定基板4と
を接着する接着層6とでセンサ素子を構成し、圧力を伝
達する圧力伝達部7と前記センサ素子とを固定基板4で
接着材8により固定する構成とした。
【0027】ここで第二の電極3を測定用電極3aと参
照用電極3bとに分離して構成する。これら測定用電極
3aと参照用電極3bを用いたのは温度変化等の外乱に
よって電極間距離が変化することによるセンサ特性変化
を防止するためのものであり、測定用容量と参照用容量
とを演算して補償することで、非直線性、温度特性を低
減することができる。
【0028】また、図2に示すように第一の電極1は円
形であり、ダイアフラム2に同心状に配置されている。
第一の電極1には延長接続部9が半径方向に形成されて
いる。この延長接続部9にはリード線が接続されてい
る。リード線は図1に示すように接着層6を通り、固定
基板4のスルーホール11を通って下方に導き出されて
いる。このスルーホール10の隙間には導電ペーストを
流し込む。これにより、固定基板4に対してリード線を
封着し、リード線と延長接続部9の電気的接続を確実に
している。
【0029】図3に示すように第二の電極3は円形であ
り、固定基板4と同心状に配置されている。第二の電極
3は測定用電極3aと参照用電極3bで構成され、それ
ぞれの電極にリード線が接続されている。リード線は図
1に示すように固定基板4のスルーホール12および1
3をそれぞれ通って下方に導き出されている。このスル
ーホール12および13の隙間には導電ペーストを流し
込む。これにより、固定基板4に対してリード線を封着
し、リード線と第二の電極3の電気的接続を確実にして
いる。また、固定基板4には通気孔5が設けられてい
る。
【0030】固定基板4は図1に示すようにダイアフラ
ム1より大きな構成とし、圧力伝達部7は固定基板4上
に設けられた接着材8によって封着固定されている。つ
まり、接着材8はダイアフラム2及び接着層6に接する
ことなく圧力伝達部7とセンサ素子とを接続させる役割
を果たす。
【0031】ここで、センサ素子を構成するダイアフラ
ム2は96%アルミナ(厚み0.15mm)および固定基
板は96%アルミナ(厚み1.1mm)を用い、ダイアフ
ラム1と固定基板2に第一の電極1と第二の電極3a、
3bとしてそれぞれ金レジネートをスクリーン印刷法で
15μmの厚みで成形し、脱脂・焼成して0.1μmの厚
みとした。図1に示すように96%アルミナの固定基板
4とほとんど同じ熱膨張係数をもつガラスフリットをス
クリーン印刷で固定基板4に印刷して接着層6を形成し
た。第一の電極1と第二の電極3とが対向するように配
置した状態で、加熱温度580度、荷重0.2kg、加
熱時間10分の条件で荷重成形を行って、ダイアフラム
2と固定基板4とを、接着層6により15μmの間隔で
封着固定した。このとき、ダイアフラム2と固定基板4
とのギャップを段差計で測定すると15±0.1μmで
あり、接着層6によるギャップ精度は良好であった。
【0032】また、固定基板4上に設けられた接着材8
はエポキシ樹脂を用いて約80度で2時間で硬化させ
て、約2mmの厚みで固定基板4と圧力伝達部7とを固定
させた。
【0033】図4に温度と圧力を印加しない状態での初
期容量との関係を示した。温度は−30度から60度ま
で30度間隔で変化させ、容量はそれぞれの条件下で約
1時間ほど放置させた後の容量を測定した。
【0034】この結果から見ると、−30度では初期容
量が29.99pFであり、60度での初期容量は30.
18pFとなり、約0.19pF(0.6%)しか増加して
いないことが解る。図8で示したように、従来のダイア
フラム2で圧力伝達部7を固定していた場合と比較する
と、温度による容量変化は97.7%も減少している。
【0035】この結果から、温度の影響を受けにくい圧
力センサを実現することができた。また、上記工程で試
作した圧力センサにおいて、接着材8の硬化条件を12
0度2時間に変更して、温度と圧力を印加しない状態で
の初期容量との関係を測定した。温度は−30度から6
0度まで30度間隔で変化させ、容量はそれぞれの条件
下で約1時間ほど放置させた後の容量を測定した。
【0036】その結果、−30度では初期容量が29.
95pFであり、60度での初期容量は30.16pFとな
り、約0.21pF(0.7%)のごくわずかな増加しか
認められなかった。この結果から、接着材8の硬化条件
を変化させても、本発明の効果は得られることが解る。
【0037】また、接着材8の厚みを5mmに変化させ
て、温度と圧力を印加しない状態での初期容量との関係
を測定した。温度は−30度から60度まで30度間隔
で変化させ、容量はそれぞれの条件下で約1時間ほど放
置させた後の容量を測定した。
【0038】その結果、−30度では初期容量が29.
96pFであり、60度での初期容量は30.18pFであ
った。−30℃から60℃まで変化しても初期容量値
は、約0.22pF(0.7%)しか増加していないこと
が解る。この結果から、接着材8の厚みを変化させて
も、本発明の効果が得られることが解る。
【0039】また、固定基板4上に設けられた接着材8
をイソシアネート樹脂を用いて約80度で2時間で硬化
させて、約2mmの厚みで固定基板4と圧力伝達部7とを
固定させた場合についても、温度と圧力を印加しない状
態での初期容量とのの関係を測定した。温度は−30度
から60度まで30度間隔で変化させ、容量はそれぞれ
の条件下で約1時間ほど放置させた後の容量を測定し
た。
【0040】その結果、−30度では初期容量が29.
96pFであり、60度での初期容量は30.16pFとな
り、約0.20pF(0.7%)しか増加していないこと
が解る。この結果から、接着材8の材質を変えても、本
発明の圧力センサは温度の影響を受けにくいことが解
る。
【0041】また、接着材8としてのイソシアネート樹
脂の硬化条件を120度2時間に変更して、温度と圧力
を印加しない状態での初期容量との関係を測定した。温
度は−30度から60度まで30度間隔で変化させ、容
量はそれぞれの条件下で約1時間ほど放置させた後の容
量を測定した。
【0042】その結果、−30度では初期容量が29.
93pFであり、60度での初期容量は30.14pFとな
り、約0.21pF(0.7%)しか増加していることが
解る。この結果から、接着材8の硬化条件を変化させて
も、温度の影響を受けにくいことが解る。
【0043】また、接着材8としてのイソシアネート樹
脂の厚みを5mmに変化させて、温度と圧力を印加しない
状態での初期容量との関係を測定した。温度は−30度
から60度まで30度間隔で変化させ、容量はそれぞれ
の条件下で約1時間ほど放置させた後の容量を測定し
た。
【0044】その結果、−30度では初期容量が29.
97pFであり、60度での初期容量は30.18pFとな
り、約0.21pF(0.7%)しか増加していることが
解る。この結果から、接着材8の厚みを変化させても、
温度の影響を受けにくく本発明の効果は得られることが
解る。
【0045】以上の測定結果を(表1)にまとめた。こ
の結果から接着材8の厚みや硬化条件及び接着材の種類
を変化させても、温度の影響をうけない圧力センサを実
現することができた。
【0046】さらに、(表1)に示した条件で作成した
圧力センサを用いて初期容量のばらつきを測定した。
【0047】この時、圧力伝達部7を固定する前のセン
サ素子は、すべて31.50pFである。またこの時の温
度は30度であり、約30分放置したあとの数値であ
る。これらの素子35個を圧力伝達部7を固定した後の
容量の平均値と標準偏差を求め、その結果を(表2)に
示した。結果、表2から明らかなように、接着材8の厚
みや硬化時間及び種類を変化させても、初期容量のばら
つきは生じないことが解った。
【0048】また、接着材8にエポキシ樹脂を用い、2
mmの厚みで80度2時間で硬化させた圧力センサを用い
て、室温(30度)で圧力を0〜1000mmH2O印加
させたときの測定用電極の容量値を図5に示した。この
とき圧力は100mmH2O間隔で印加させ、1000mm
H2O印加させた後、100mmH2O間隔で減少させた。
この結果をみると、圧力を印加しない状態での初期容量
は31.501pFであり、印加した後の初期容量は3
1.508となり0.007pFしか増加していないこと
が解る。これは0.049%FSに相当し、図11で示し
た従来の圧力センサと比較すると約98.6%もヒステ
リシスが減少している。この結果から、ヒステリシスの
ない精度の良い圧力センサを実現することができた。
【0049】また、(表1)で示した条件で作成した圧
力センサを用いて、同様にして圧力を印加させたときの
測定用電極の容量値を測定し、圧力を印加した前後での
初期容量の変化と1000mmH2O印加時の容量変化に
対しての初期容量の変化率を(表3)に示した。この結
果から、本発明の圧力センサを用いることで、接着材8
の硬化時間や厚み、及び材質にかかわらずヒステリシス
が低減できることが、可能であることが解る。
【0050】さらに、上記で述べた圧力センサを、変換
手段10として、測定用電極3a及び3bに充放電回路
を形成し、それぞれの容量の充電時間差に対応したパル
ス出力を発生させる充放電時間検出型の回路に接続し、
非直線性補正及び利得、オフセット調整を施して電圧出
力に変換した。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】その結果、0〜1000mmH2Oの圧力を
−30度〜80度の温度範囲で総合精度1%以下の精度
で測定することができた。
【0055】また、変換手段として出力を電圧ではな
く、周波数にしても同様に−30度から80度の温度範
囲で総合精度1%以下の精度で測定することができた。
【0056】よって、温度の影響を受けない精度の良い
圧力センサを実現することができ、さらに出力が電圧や
容量に変換できるたため、他の機器に容易に組み込むこ
とができ、幅広く圧力センサを使用することが可能とな
った。
【0057】次に、本発明の第2の実施例を図6〜7を
参照しながら説明する。図6は静電容量式圧力センサの
断面図であり、従来例と同じ構成要素には同じ番号を付
けた。
【0058】図に示すように、表面に第一の電極1が形
成された電気絶縁性弾性材料からなるダイアフラム2
と、第二の電極3が表面に形成された電気絶縁性材料か
らなるダイアフラムより大きな固定基板4とを備え、前
記第一の電極1と前記第二の電極3とが対向配置し前記
電極の外周部で前記ダイアフラム2と前記固定基板4と
を接着する接着層6とでセンサ素子を構成し、固定基板
4上にシール材14を設け、圧力を伝達する圧力伝達部
7で前記センサ素子を上下から挟み込む形で押さえこ
み、ネジ15で固定した。
【0059】ここでセンサ素子の構造については実施例
1と同様である。図6に示した固定基板4上にシール材
14としてOリングを設け、圧力伝達部7でセンサ素子
を上下から挟み込む形で押さえこみネジ14で固定し
た、圧力センサを用いて、温度と圧力を印加しない状態
での初期容量との関係を示した。温度は−30度から6
0度まで30度間隔で変化させ、容量はそれぞれの条件
下で約1時間ほど放置させた後の容量を測定した。この
結果、−30度では初期容量が30.02pFであり60
度での初期容量は30.17pFとなり、実施例1で述べ
た場合と同様に、温度によって初期容量が変化すること
がなく、温度の影響を受けない正確な圧力検知が可能と
なった。
【0060】図7に上記の圧力センサの初期容量のばら
つきを示した。この時、圧力伝達部7を固定する前のセ
ンサ素子は、すべて31.5pFであり、図7にはこれら
の素子35個を圧力伝達部7を固定した後の容量を示し
た。またこの時の温度は30度であり、約30分放置し
たあとの数値である。この結果から、圧力伝達部7を接
続する前後において、殆ど容量の変化がないことがわか
る。このため、容量のばらつきも無くなっている。この
時の初期容量の平均値は31.65pFで、標準偏差は
0.28であった。図10で示した従来の圧力センサと
比較すると、平均値だけで見ても、約94.1%も変化
が減少している。また、標準偏差についても約1/6に
までおさえられている。よって、初期容量のばらつきの
少ない圧力センサが実現できた。
【0061】さらに、上記で述べた圧力センサを、変換
手段10として、測定用電極3a及び3bに充放電回路
を形成し、それぞれの容量の充電時間差に対応したパル
ス出力を発生させる充放電時間検出型の回路に接続し、
非直線性補正及び利得、オフセット調整を施して電圧出
力に変換した。
【0062】その結果、0〜1000mmH2Oの圧力を
−30度〜80度の温度範囲で総合精度1%以下の精度
で測定することができた。
【0063】また、変換手段として出力を電圧ではな
く、周波数にしても同様に−30度から80度の温度範
囲で総合精度1%以下の精度で測定することができた。
【0064】よって、温度の影響を受けない精度の良い
圧力センサを実現することができ、さらに出力が電圧や
容量に変換できるたため、他の機器に容易に組み込むこ
とができ、幅広く圧力センサを使用することが可能とな
った。
【0065】以上の結果により、温度の影響および初期
容量のばらつきのない圧力センサが実現することができ
た。
【0066】なお、ダイアフラム2および固定基板4の
形状について、本実施例では円形としたが、固定基板4
がダイアフラム2より大きく、接着材8およびシール材
8が固定基板上に設けられれば、円形のみならず、長方
形などの形状でもよい。
【0067】さらに、本実施例においては電極の取り出
しをスルーホールを設けて、リード線により接続する構
成としたが、スルーホールを用いずとも、電極取り出し
口を第一の電極および第二の電極を印刷する場合と同様
に、スクリーン印刷で固定基板に印刷することで取り出
しても良いものであり、いずれも本実施例に限定される
ものではない。
【0068】
【発明の効果】以上のように本発明の静電容量式圧力セ
ンサによれば以下の効果が得られる。
【0069】(1)圧力伝達部を固定基板で接着材によ
り固定することで、接着材の持つ温度特性の影響を受け
ないため、温度による出力変化がなくなり、ヒステリシ
スも解消される。
【0070】(2)圧力伝達部とダイアフラムとを固定
基板上でシール材にて固定することにより、接着材の温
度特性がなく、さらにシール材によるダイアフラムの変
位がなくなり、圧力伝達部接続後の初期容量のばらつき
がなくなる。
【0071】(3)圧力伝達部と固定基板とを接着材で
固定したセンサ素子に、圧力変化によって生じたダイア
フラムと固定基板との間の容量変化を電気信号に変換す
る変換手段を備えることによって、感度の高い静電容量
式圧力センサを容易に幅広く使用できる。
【0072】(4)圧力伝達部と固定基板とをシール材
で固定したセンサ素子に、圧力変化によって生じたダイ
アフラムと固定基板との間の容量変化を電気信号に変換
する変換手段を備えることによって、圧力伝達部固定時
の初期容量のばらつきが少なく、感度の高い、静電容量
式圧力センサを容易に幅広く使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例における静電容量式圧力
センサの断面図
【図2】同静電容量式圧力センサのダイアフラムの平面
【図3】同静電容量式圧力センサの固定基板の平面図
【図4】同静電容量式圧力センサの初期容量の温度特性
【図5】同静電容量式圧力センサのヒステリシス特性図
【図6】本発明の第2の実施例における静電容量式圧力
センサの断面図
【図7】同静電容量式圧力センサの初期容量バラツキ特
性図
【図8】従来の静電容量式圧力センサの断面図
【図9】同静電容量式圧力センサの初期容量の温度特性
【図10】同静電容量式圧力センサの初期容量のバラツ
キ特性図
【図11】同静電容量式圧力センサの初期容量ヒステリ
シス特性図
【符号の説明】
1 第一の電極 2 ダイアフラム 3a 測定用電極(第二の電極) 3b 参照用電極(第二の電極) 4 固定基板 6 接着層 7 圧力伝達部 8 接着材 10 変換手段 14 シール材

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面に第一の電極が形成された電気絶縁性
    弾性材料からなるダイアフラムと、第二の電極が表面に
    形成された電気絶縁性材料からなるダイアフラムより大
    きな固定基板と、前記第一の電極と前記第二の電極とが
    対向配置し前記電極の外周部で前記ダイアフラムと前記
    固定基板とを一定間隔に保持し接着する接着層とでセン
    サ素子を構成し、圧力を伝達する圧力伝達部と前記セン
    サ素子とを固定基板上で接着材により固定した静電容量
    式圧力センサ。
  2. 【請求項2】表面に第一の電極が形成された電気絶縁性
    弾性材料からなるダイアフラムと、第二の電極が表面に
    形成された電気絶縁性材料からなるダイアフラムより大
    きな固定基板と、前記第一の電極と前記第二の電極とが
    対向配置し前記電極の外周部で前記ダイアフラムと前記
    固定基板とを一定間隔に保持し接着する接着層とでセン
    サ素子を構成し、圧力を伝達する圧力伝達部と前記セン
    サ素子とを固定基板上でシール材により固定した静電容
    量式圧力センサ。
  3. 【請求項3】表面に第一の電極が形成された電気絶縁性
    弾性材料からなるダイアフラムと、第二の電極が表面に
    形成された電気絶縁性材料からなるダイアフラムより大
    きな固定基板と、前記第一の電極と前記第二の電極とが
    対向配置し前記電極の外周部で前記ダイアフラムと前記
    固定基板とを一定間隔に保持し接着する接着層とでセン
    サ素子を構成し、圧力を伝達する圧力伝達部と前記セン
    サ素子とを固定基板上で接着材により固定した素子と、
    圧力変化によって生じた前記ダイアフラムと前記固定基
    板との間の容量変化を電気信号に変換する変換手段とを
    備えた静電容量式圧力センサ。
  4. 【請求項4】表面に第一の電極が形成された電気絶縁性
    弾性材料からなるダイアフラムと、第二の電極が表面に
    形成された電気絶縁性材料からなるダイアフラムより大
    きな固定基板と、ダイアフラムと前記第一の電極と前記
    第二の電極とが対向配置し前記電極の外周部で前記ダイ
    アフラムと前記固定基板とを一定間隔に保持し接着する
    接着層とでセンサ素子を構成し、圧力を伝達する圧力伝
    達部と前記センサ素子とを固定基板上でシール材により
    固定したセンサ素子と、圧力変化によって生じた前記ダ
    イアフラムと前記固定基板との間の容量変化を電気信号
    に変換する変換手段とを備えた静電容量式圧力センサ。
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