JPH09511390A - Wd−40由来ペプチドおよびその使用 - Google Patents
Wd−40由来ペプチドおよびその使用Info
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- JPH09511390A JPH09511390A JP7520680A JP52068095A JPH09511390A JP H09511390 A JPH09511390 A JP H09511390A JP 7520680 A JP7520680 A JP 7520680A JP 52068095 A JP52068095 A JP 52068095A JP H09511390 A JPH09511390 A JP H09511390A
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Abstract
(57)【要約】
本発明は、第2のタンパク質と相互作用する第1のタンパク質の活性を変化させるのに効果的なポリペプチド組成物に関する。第2のタンパク質は少なくとも1つのWD-40領域を含む。本発明のポリペプチドは、代表的には4および50の間のアミノ酸を有し、その配列が第2のタンパク質のWD-40領域中の同じ長さの配列と同じである。本発明はさらに、上記第1のタンパク質の活性を変化させる方法を包含する。本発明の1つの実施態様において、ポリペプチド組成物はプロテインキナーゼCの活性を変化させるのに効果的であり、ここでプロテインキナーゼCは第2のタンパク質と相互作用し、そして第2のタンパク質は少なくとも一つのWD-40領域(例えば、RACK1)を含む。
Description
【発明の詳細な説明】
WD-40由来ペプチドおよびその使用 発明の分野
本発明は、一般に、タンパク質-タンパク質相互作用に関与するタンパク質の
機能を調整する組成物および方法に関する。さらに詳細には、相互作用するタン
パク質ペアのうちの第1のタンパク質の機能を調整することに関する。ここでこ
のペアの第2のタンパク質は、「WD-40」または「β-トランスデューシン」アミ
ノ酸反復モチーフを有する。背景技術
多くの細胞内プロセスは、多サブユニットタンパク質複合体により行われるか
または調節される。この多サブユニットタンパク質複合体は、個々のポリペプチ
ドサブユニットの会合または解離により活性化されるかまたは抑制される。
このようなタンパク質の1グループまたはファミリーはトランスデューシンの
βサブユニットに関連する。このグループのメンバーはすべて、アミノ酸レベル
でトランスデューシンのβサブユニットに少なくとも多少相同であり、そしてβ
-トランスデューシン中で同定された特定のモチーフの不特定数の反復を有する
。この反復は、「β-トランスデューシン」、または「WD-40」反復と呼ばれる(F
ongら)。
このタンパク質ファミリーのメンバー(Duronioら)には、多くのレセプターを
その細胞内エフェクター分子に結合させるGβサブユニット、別のプロテインキ
ナーゼ(β-アドレナリンレセプターキナーゼ、βARK)を固定するGβ/γサブユニ
ット、DNA結合タンパク質、および酵母細胞環状タンパク質がある。これらすべ
ては、その機能のために一過性のタンパク質-タンパク質相互作用を必要とする
。しかし、これらのタンパク質およびそれらのパートナーの界面の配列は同定さ
れていない。
以下は、上記の参考文献および本明細書全編にわたって記載される参考文献で
ある:米国特許書類
Crea、R.、米国特許第4,888,286号(1989年12月19日発行)
Eaton、M.A.W.ら、米国特許第4,719,180号(1988年1月12日発行)
Yoshio、T.ら、米国特許第4,849,350号(1989年7月18日発行)他の参考文献
Ausubel、F.Mら、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley and
Sons、Inc.,Media PA
Bohinski、R.C.、Modern Concepts in Biochemistry、第2版、Allyn and Bac
on,Inc.
Dayhoff、M.O.、Atlas of Protein Sequence and Structures(1972)第5巻、N
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1〜10頁
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Stith、B.J.およびJ.L.Maller.Exp.Cell.Res.169:514-523(1987)
Wolf、M.およびN.Sahyoun、Chem.261:13327-13332(1986)発明の開示
1つの局面において、本発明は、第1のタンパク質(例えば、プロテインキナ
ーゼC、またはβ-アドレナリンレセプターキナーゼ(βARK))の活性を変化させ
るのに効果的なポリペプチド組成物を包含する。このポリペプチドは、第1のタ
ンパク質と、WD-40領域を有する第2のタンパク質との間の相互作用(例えば、結
合相互作用)をブロックまたは阻害する。
このポリペプチドは4および50の間のアミノ酸を有し、その配列は第2のタン
パク質のWD-40領域中の同じ長さの配列と同じである。
ポリペプチドは、第1のタンパク質と第2のタンパク質との結合をブロックし
得るか、あるいは第1のタンパク質のアゴニストまたはアンタゴニストであり得
る。WD-40領域は、好ましくは配列番号76〜261により定義される配列に相同かま
たは同一のアミノ酸配列を有する。
第2の実施態様において、本発明は、上記の定義されたタイプの第1のタンパ
ク質の活性を変化させる方法を包含する。この方法は、4および50の間のアミノ
酸を有しその配列が第2のタンパク質のWD-40領域中の同じ長さの配列と同じで
あるポリペプチドを選択する工程、およびこのポリペプチドと第1のタンパク質
との間に複合体を形成させる条件下で、このポリペプチドを第1のタンパクと接
触させる工程を包含し、ここで、この相互作用は第1のタンパク質の活性を変化
させる。
1つの実施態様においては、上記接触工程は第1のタンパク質と第2のタンパ
ク質との間の相互作用を阻害するのに効果的である。別の実施態様においては、
接触工程は第1のタンパク質の活性を刺激するのに効果的である。
さらに別の実施態様において、上記接触工程は第1のタンパク質の活性を阻害
するのに効果的である。
ポリペプチドは、好ましくは配列番号76〜261により定義される配列に相同か
または同一なアミノ酸配列を有する。
本発明のさらなる特定の局面において、本発明は、プロテインキナーゼCの活
性を変化させるのに効果的なポリペプチド組成物を包含する。ここで、このプロ
テインキナーゼCは第2のタンパク質と相互作用し、そして第2のタンパク質は
少なくとも1つのWD-40領域を有する。ポリペプチドは4および50の間のアミノ
酸を有し、その配列は第2のタンパク質のWD-40領域中の同じ長さの配列と同じ
である。
好ましい実施態様において、第2のタンパク質は活性化されたプロテインキナ
ーゼCに対するレセプターであり、そして配列番号27により表される配列を有す
る。
他の特定の実施態様において、上記ポリペプチドは(i)プロテインキナーゼC
のアゴニストであり、そしてこのポリペプチドは配列番号7により表される配列
を有する;(ii)プロテインキナーゼCの活性のアンタゴニストである;および/
または(iii)プロテインキナーゼCと第2のタンパク質との間の相互作用のイン
ヒビターである。後者の実施態様において、上記ポリペプチドは配列番号4また
は配列番号7に対応する配列を有する。
WD-40領域は、好ましくは配列番号69〜75に相同かまたは同一なアミノ酸配列
を有する。
関連する実施態様において、本発明は、第2のタンパク質と相互作用するプロ
テインキナーゼCの活性を変化させる方法を包含する。ここで、上記第2のタン
パク質は少なくとも1つのWD-40領域を有する。
この方法は、4および50の間のアミノ酸を有し、その配列が第2のタンパク質
のWD-40領域中の同じ長さの配列と同じであるポリペプチドを選択する工程、お
よびこのポリペプチドとプロテインキナーゼCとの間で複合体を形成させる条件
下でこのポリペプチドをプロテインキナーゼCと接触させる工程を包含し、ここ
で、上記相互作用は上記プロテインキナーゼCの活性を変化させる。
本発明の他の局面は、ポリペプチドが固体支持体に結合される本発明のポリペ
プチド組成物、および上記第1のタンパク質を選択的に結合させるための方法を
含み、この方法は、上記第1のタンパク質を含有すると推定される試料を固体支
持体に結合されたポリペプチド組成物と接触させる工程、および上記組成物から
試料のいずれもの結合していない成分を除去する工程を包含する。
さらに別の局面において、本発明は、第1のタンパク質と第2のタンパク質中
に含まれるアミノ酸配列により表されるポリペプチドとの相互作用を評価する方
法に関する。ここで、上記第2のタンパク質は少なくとも1つのWD-40領域を有
し、この方法は、上記第1のタンパク質を含有する試料を、4および50の間のア
ミノ酸を有し、その配列が第2のタンパク質のWD-40領域中の同じ長さの配列と
同じであるポリペプチド組成物と接触させる工程、および第1のタンパク質と上
記ポリペプチド組成物との任意の相互作用を観察する工程を包含する。本発明は
また、第1のタンパク質を結合させる候補化合物の能力を評価する方法に関する
。この方法は、上記候補化合物の存在下および非存在下で、上記第1のタンパク
質をこの第1のタンパク質を結合させるポリペプチド組成物と接触させる工程(
ここで、上記組成物のポリペプチドは4および50の間のアミノ酸を有し、その配
列は第2のタンパク質のWD-40領域の同じ長さの配列と同じであり、この第2の
タンパク質は上記第1のタンパク質と相互作用する);および上記候補物の存在
下および非存在下での上記ポリペプチドの結合を測定する工程(ここで、上記候
補物の非存在下に対してその存在下でのポリペプチドの結合が減少することは、
上記候補物が上記第1のタンパク質と結合することを示す)を包含する。
さらに他の局面において、本発明は、本発明のポリペプチドの生産のための組
換え物質およびその生産のための方法に関する。
本発明のこれらのおよび他の目的および特徴は、添付の図面と共に以下の発明
の詳細な説明を読むとさらに十分に明らかになる。図面の簡単な説明
図1Aは、ラットの脳のRACK1のcDNA配列を示す。
図1Bは、RACK1のアミノ酸自己相同性マトリックス分析を示す。
図1Cは、分子中に表される7つのWD-40反復を示すように並べられたRACK1のア
ミノ酸配列を示す。
図2は、PKCアクティベーターの存在下および非存在下で固定化RACK1へのPKC
結合を検出する重層アッセイ(overlay assay)の結果を示す。
図3は、WD-40由来ペプチドの存在下および非存在下で固定化RACK1へのPKC結
合を検出する重層アッセイの結果を示す。
図4は、種々の条件下でニトロセルロース膜上に固定化されたペプチドI(配列
番号1)またはペプチドrVI(配列番号7)のどちらかとのβPKCの結合を検出する
重層アッセイの結果を示す。
図5Aは、インスリン誘導卵母細胞成熟の尺度であるPKC仲介卵核胞崩壊(GVBD)
におけるペプチドI(配列番号1)およびペプチドrVI(配列番号7)注入の効果を示
す。
図5Bは、インスリン誘導の非存在下、PKC仲介卵核胞崩壊(GVBD)におけるペプ
チドI(配列番号1)およびrVI(配列番号7)の注入の効果を示す。
図5Cは、インスリン誘導の非存在下、PKC仲介卵核胞崩壊(GVBD)におけるペプ
チドrIII(配列番号4)の注入の効果を示す。
図6は、インスリン刺激を用いるかまたは用いない、ペプチドI(配列番号1)
またはペプチドrVI(配列番号7)のいずれかの注入溶液の微量注入後のアフリカ
ツメガエル卵母細胞における細胞質ゾル画分と膜会合画分との間のβPKCの分布
を示す。
図7は、βPKCのArg-Cエンドペプチターゼに対する感受性におけるペプチドI
およびrVIの効果を示す。
図8は、PKCアクティベーターの非存在下、PKC自己リン酸化におけるペプチド
IおよびrVIの効果を示す。
図9は、PKCアクティベーターの非存在下、ヒストンのPKCリン酸化におけるペ
プチドIおよびrVIの効果を示す。
図10は、PKCアクティベーターの非存在下、ヒストンのPKCリン酸化におけるペ
プチドrIIIの効果を示す。
図11は、並べられたWD-40反復および四角枠で図示される推定結合ペプチド領
域を有する56kDaヒトタンパク質のアミノ酸配列を示す。
図12は、並べられたWD-40反復および四角枠で図示される推定結合ペプチド領
域を有するAAC-リッチタンパク質のアミノ酸配列を示す。
図13は、並べられたWD-40反復および四角枠で図示される推定結合ペプチド領
域を有するB-TRCPタンパク質のアミノ酸配列を示す。
図14は、並べられたWD-40反復および四角枠で図示される推定結合ペプチド領
域を有するβ-プライムCOPタンパク質のアミノ酸配列を示す。
図15は、並べられたWD-40反復および四角枠で図示される推定結合ペプチド領
域を有するCDC4タンパク質のアミノ酸配列を示す。
図16は、並べられたWD-40反復および四角枠で図示される推定結合ペプチド領
域を有するChlam-3タンパク質のアミノ酸配列を示す。
図17は、並べられたWD-40反復および四角枠で図示される推定結合ペプチド領
域を有するCOP-1タンパク質のアミノ酸配列を示す。
図18は、並べられたWD-40反復および四角枠で図示される推定結合ペプチド領
域を有するCOROタンパク質のアミノ酸配列を示す。
図19は、並べられたWD-40反復および四角枠で図示される推定結合ペプチド領
域を有するCoronin p55タンパク質のアミノ酸配列を示す。
図20は、並べられたWD-40反復および四角枠で図示される推定結合ペプチド領
域を有するCstf 50kDaタンパク質のアミノ酸配列を示す。
図21は、並べられたWD-40反復および四角枠で図示される推定結合ペプチド領
域を有するウシG-β-1タンパク質のアミノ酸配列を示す。
図22は、並べられたWD-40反復および四角枠で図示される推定結合ペプチド領
域を有するウシG-β-2タンパク質のアミノ酸配列を示す。
図23は、並べられたWD-40反復および四角枠で図示される推定結合ペプチド領
域を有するショウジョウバエG-βタンパク質のアミノ酸配列を示す。
図24は、並べられたWD-40反復および四角枠で図示される推定結合ペプチド領
域を有するヒトG-β-1タンパク質のアミノ酸配列を示す。
図25は、並べられたWD-40反復および四角枠で図示される推定結合ペプチド領
域を有するヒトG-β-2タンパク質のアミノ酸配列を示す。
図26は、並べられたWD-40反復および四角枠で図示される推定結合ペプチド領
域を有するマウスG-βタンパク質のアミノ酸配列を示す。
図27は、並べられたWD-40反復および四角枠で図示される推定結合ペプチド領
域を有するショウジョウバエグラウチョ(groucho)タンパク質のアミノ酸配列を
示す。
図28は、並べられたWD-40反復および四角枠で図示される推定結合ペプチド領
域を有するイカ(squid)GTP-結合タンパク質のアミノ酸配列を示す。
図29は、並べられたWD-40反復および四角枠で図示される推定結合ペプチド領
域を有すHSIEF 930タンパク質のアミノ酸配列を示す。
図30は、並べられたWD-40反復および四角枠で図示される推定結合ペプチド領
域を有するヒト12.3タンパク質のアミノ酸配列を示す。
図31は、並べられたWD-40反復および四角枠で図示される推定結合ペプチド領
域を有するヒトIEF-7442タンパク質のアミノ酸配列を示す。
図32は、並べられたWD-40反復および四角枠で図示される推定結合ペプチド領
域を有するインスリン様成長因子結合タンパク質複合体のアミノ酸配列を示す。
図33は、並べられたWD-40反復および四角枠で図示される推定結合ペプチド領
域を有するラットインスリン様成長因子結合タンパク質のアミノ酸配列を示す。
図34は、並べられたWD-40反復および四角枠で図示される推定結合ペプチド領
域を有するヒトLIS1タンパク質のアミノ酸配列を示す。
図35は、並べられたWD-40反復および四角枠で図示される推定結合ペプチド領
域を有するMD6タンパク質のアミノ酸配列を示す。
図36は、並べられたWD-40反復および四角枠で図示される推定結合ペプチド領
域を有する酵母MSI1タンパク質のアミノ酸配列を示す。
図37は、並べられたWD-40反復および四角枠で図示される推定結合ペプチド領
域を有するマウスpc326 MUSタンパク質のアミノ酸配列を示す。
図38は、並べられたWD-40反復および四角枠で図示される推定結合ペプチド領
域を有するORD RB1タンパク質のアミノ酸配列を示す。
図39は、並べられたWD-40反復および四角枠で図示される推定結合ペプチド領
域を有する周期性trpタンパク質のアミノ酸配列を示す。
図40は、並べられたWD-40反復および四角枠で図示される推定結合ペプチド領
域を有するPLAPタンパク質のアミノ酸配列を示す。
図41は、並べられたWD-40反復および四角枠で図示される推定結合ペプチド領
域を有する網膜芽腫結合タンパク質のアミノ酸配列を示す。
図42は、並べられたWD-40反復および四角枠で図示される推定結合ペプチド領
域を有するS253タンパク質のアミノ酸配列を示す。
図43は、並べられたWD-40反復および四角枠で図示される推定結合ペプチド領
域を有するSOF1タンパク質のアミノ酸配列を示す。
図44は、並べられたWD-40反復および四角枠で図示される推定結合ペプチド領
域を有するSTE4酵母タンパク質のアミノ酸配列を示す。
図45は、並べられたWD-40反復および四角枠で図示される推定結合ペプチド領
域を有するTF1転写因子タンパク質のアミノ酸配列を示す。
図46は、並べられたWD-40反復および四角枠で図示される推定結合ペプチド領
域を有するTUP1タンパク質のアミノ酸配列を示す。
図47は、並べられたWD-40反復および四角枠で図示される推定結合ペプチド領
域を有するTUP1相同物タンパク質のアミノ酸配列を示す。
図48は、並べられたWD-40反復および四角枠で図示される推定結合ペプチド領
域を有するYCU7タンパク質のアミノ酸配列を示す。
図49は、並べられたWD-40反復および四角枠で図示される推定結合ペプチド領
域を有するYCW2タンパク質のアミノ酸配列を示す。
図50は、並べられたWD-40反復および四角枠で図示される推定結合ペプチド領
域を有するYKL25タンパク質のアミノ酸配列を示す。
図51は、並べられたWD-40反復および四角枠で図示される推定結合ペプチド領
域を有するYRB140タンパク質のアミノ酸配列を示す。発明の詳細な説明
I.定義
他で示されない限り、本明細書中のすべての用語は、本発明の当業者に対して
意味する用語と同一の意味を有する。定義および当該分野の用語について、当業
者は特にCurrent Protocols in Molecular Biology(Ausubel)を参照する。
アミノ酸残基についての略号は、20個の通常のL-アミノ酸の1つを意味する
ために当該分野で使用されている標準的な3文字および/または1文字の表記で
ある。同様に、核酸の略号は、当該分野で使用されている標準的な表記である。
「アミノ酸グループ」とは、疎水性、電荷、または大きさのような一般の特性
に基づくアミノ酸のグループを意味する。
アミノ酸の「保存セット(conserved set)」とは、タンパク質のグループのメ
ンバー間で保存されるアミノ酸の隣接する配列を意味する。保存セットは、長さ
2〜50以上のアミノ酸残基のいずれでもあり得る。代表的には、保存セットは長
さ2および10の間の隣接する残基である。保存セット中の個々の位置は、それぞ
れ代表的にはアミノ酸グループから選択されるいくつかのアミノ酸の1つを含む
。残基ga特定の位置で100%保存される場合、保存セットはその位置ではその残
基のみを含有する。例えば、2つのペプチドWRTAA(配列番号263)およびWRTAV(配
列番号264)については、4つの同一の位置(WRTA;配列番号265)、および残基が
「A]または「V」である1つの位置がある。
タンパク質は、代表的には、2次構造および3次構造を形成し得るアミノ酸ベ
ースのポリアミド(ポリペプチド)の長鎖である。タンパク質は、1、2またはそ
れ以上のポリペプチド鎖から構成され得、そしてさらにポリペプチド鎖と共にい
くつかの金属イオンまたは炭水化物のような他のタイプの物質を含有し得る。タ
ンパク質の大きさは約5,000〜数十万g/モルのかなり広い範囲にわたる。5,000数
はおよそ40〜45のアミノ酸の存在に相当する。
他に示されない限り、タンパク質およびペプチドの配列は、アミノ末端からカ
ルボキシル末端の順序で与えられる。同様に、核酸の配列は5’末端から3’末
端の順序で与えられる。
用語「相互作用するタンパク質」とは、例えば、生理学的な条件下での静電気
、
疎水、イオンおよび/または水素結合相互作用により安定な会合複合体を形成し
得るペアのポリペプチドを意味する。
約5,000g/モルより小さなタンパク質は、代表的には、ポリペプチドまたは単
にペプチドと呼ばれる(Bohinski)。
2つのアミノ酸配列または2つのヌクレオチド配列は、変異ギャップ行列およ
び6またはそれ以上のギャップペナルティでALIGNプログラムを用いて、それら
が5より大きいアラインメントスコア(標準偏差単位で)を有するならば、(この
用語が本明細書中で好ましく使用されるように)相同であると考えられる(Dayhof
f)。さらに好ましくは、この2つの配列(またはその部分)は、上記ALIGNプログ
ラムを用いて最適に並べられたときに、それらのアミノ酸が50%、より好ましく
は70%、さらに好ましくは80%等しいかまたはそれ以上同一である場合、相同であ
る。
ペプチドまたはペプチドフラグメントは、親ペプチドまたは親ポリペプチドの
アミノ酸配列に同一または相同なアミノ酸配列を有する場合、親ペプチドまたは
ポリペプチドに「由来」する。相同なペプチドは先に定義した。由来ペプチドの
例はペプチドrIII(配列番号4)およびペプチドrVI(配列番号7)であり、これら
はそれぞれRACK1(配列番号27)の3番目および7番目のWD-40反復に由来する。
用語「発現ベクター」とは、外来細胞中で異種DNAフラグメントを取り込み、
そして発現する能力を有するベクターを意味する。多くの原核および真核発現ベ
クターが市販されている。適切な発現ベクターの選択は当業者の知識内である。
用語「PKC」とは、プロテインキナーゼCまたはC-キナーゼを意味する。
用語「RACK」とは、活性化C-キナーゼのレセプターを意味する。
用語「PS」とは、ホスファチジルセリンを意味する。
用語「DG」とは、ジアシルグリセロールを意味する。
用語「PL」とは、リン脂質を意味する。リン脂質はホスファチジルセリンとジ
アシルグリセロールとの両方を包含する。
用語「GVBD」とは、アフリカツメガエル卵母細胞におけるインスリン誘導成熟
の尺度である卵核胞崩壊を意味する。
用語「PCR」とは、ポリメラーゼ連鎖反応を意味する。
用語「NMR」とは、核磁気共鳴を意味する。
用語「βARK」とは、β-アドレナリンレセプターキナーゼを意味する。
II.発明の一般的概説
本発明は、少なくとも1つのタンパク質が1以上のWD-40と呼ばれる(Fongら)
特徴的な反復を有するアミノ酸配列を含む、相互作用するタンパク質に関する。
本発明の1つの局面によれば、相互作用するタンパク質ペアの第1のタンパク
質の機能は、このタンパク質を含有する溶液または培地に、相互作用するタンパ
ク質ペアの第2のタンパク質に存在するWD-40モチーフ含有反復の配列の1部と
同一であるかまたは相同な配列を有するペプチドを添加することにより、調整、
変化、破壊され得る。
第1のタンパク質の機能の調整または破壊は、「結合ペプチド」と呼ばれるWD
-40由来ペプチドと第1のタンパク質との結合または会合による。結合ペプチド
と第1のタンパク質との結合または会合の結果はこのペプチドの配列に依存する
。
代表的には、この結合ペプチドの存在は第1のタンパク質と第2のタンパク質
との結合を阻害する。この結合は、例えば、重層アッセイによりインビトロでア
ッセイされ得、これにより1つのタンパク質と別のタンパク質の結合の程度が評
価され得る。本発明の実施態様に適用されたいくつかの重層アッセイの適応例が
本明細書中に記載されている。
WD-40由来ペプチドが第1のタンパク質と第2のタンパク質との会合に影響す
るか否かに関係なく、このペプチドは第1のタンパク質の定義された活性を変化
または調節させ得る。これらの活性は、インビボおよび/またはインビトロの種
々の方法によりアッセイされ得る。使用される方法は、活性が測定されるタンパ
ク質に依存する。
相互作用するタンパク質ペアの第1のタンパク質の例はプロテインキナーゼC
(PKC)である。活性化により、PKCは、活性化されたCキナーゼのレセプター(RAC
K)と相互作用する。ここで、少なくとも1つのRACK(RACK1)はWD-40反復を含む。
RACK1のWD-40領域に由来するペプチドの存在下および非存在下でPKCの活性を測
定するためのいくつかのアッセイは本明細書中で詳細に記載されている。
特定の「相互作用するタンパク質」は、それらの1つまたはそれ以上が外因性
または内因性の因子により刺激された後のみ相互作用する。例えは、本明細書で
示されるように、PKCは、例えば、ホスファチジルセリン(PS)、ジアシルグリセ
ロール(DG)、およびカルシウムにより活性化されるまで、RACKタンパク質に結合
しない。しかし、このようなペアの第2のタンパク質のWD-40反復に由来するペ
プチドは、第1のタンパク質アクティベーターの非存在下でさえ、第1のタンパ
ク質と会合または結合し得、そのようにして、第1のタンパク質の機能に影響を
与える(例えば、活性化する、不活性化する、効力を高める、感受性を増大させ
る、感受性を低減させる、特異性を変化させるなど)。
相互作用するタンパク質ペアの第2のタンパク質のWD-40反復に由来する結合
ペプチドは、このペアの第1のタンパク質の特異的アゴニスト、アンタゴニスト
、機能の増強剤(potentiator)などとして有用であり得る。これらの特性が、多
くの適用(例えば、治療適用における直接使用または他の治療剤(例えば、小有機
分子)の開発のためのリード化合物として)においてペプチドを有用にし得る。
III.RACK1に結合する活性化PKCの阻害における本発明の利点
プロテインキナーゼC(PKC)は、共通の構造および生化学的特徴を有する少な
くとも10のアイソザイムのファミリーである。いくつかのアイソザイムは単一の
細胞型に存在することが示され、そして個々のPKCアイソザイムは異なる細胞機
能に関連すると仮定された。しかし、これまでのところ、PKCの利用可能なアク
ティベーターおよびインヒビターはアイソザイムに特異的でないようである。そ
れゆえ、現在正常な細胞機能ならびに疾患における個々のPKCアイソザイムの役
割を決定することが不可能である。
例えば、ジアシルグリセロールおよびカルシウムによるPKC活性化は、本明細
書中の実験(実施例8)に示されるように、可溶性(細胞質ゾル)画分から細胞微粒
子(膜に結合する)画分へのトランスロケーションを誘導する。活性化PKCは、膜
結合レセプター(活性化C-キナーゼのレセプターまたはRACK)に結合することに
より細胞微粒子画分中に固定される。
本発明のサポートのために行われ、本明細書中に記載される実験において、RA
CKをコードするクローン(pRACK1)が単離された(実施例1)。RACK1は、トランス
デューシンのβサブユニットに相同であり、そしてWD-40モチーフを有するタン
パク質の成長中のファミリー(growing family)に属する(Fongら)。ペプチドI(配
列番号1)は、精製PKCに結合し(実施例6および図4を参照のこと)、PKCと精製
組換えRACK1タンパク質との結合を阻害し(実施例4および図3を参照のこと)、
そしていくつかのインビボおよびインビトロアッセイにおいて、PKC活性を阻害
する(実施例7〜11および図5〜9を参照)ことが示された。
ペプチドI(配列番号1)は、RACK1の6番目のWD-40反復中で同定される配列に
相同である(図1Cを参照)。合成ペプチドがこの配列に基づき調製された(ペプ
チドrVI;配列番号7;図1Cの反復VI中の下線部のアミノ酸)。また、6以上の
ペプチドが、反復I〜VおよびVII中の対応する領域に基づいて調製された(ペプチ
ドrI〜rV、rVII;配列番号2〜6、8;図1Cの対応する反復の下線部領域)。
いくつかのペプチドはまた、PKCとRACK1との結合を阻害することが見出された(
実施例4および図3を参照のこと)。さらに、いくつかのペプチドは、精製PKCに
結合し(実施例6、図4を参照のこと)、他のアクティベーターの非存在下で部分
的にPKCを活性化し(ペプチドrVI;実施例7、10、11および図5、8および9を
参照のこと)、そして酵素における公知のPKCアクティベーターの効果を高める(
実施例7〜9および図5〜7を参照のこと)ことが見出された。
アフリカツメガエル卵母細胞成熟研究において(例えば、実施例7を参照のこ
と)、ペプチドrVI(配列番号7)はβPKCのアゴニストである。ペプチドrIIIもま
た、その能力がより低いが、PKCのアンタゴニストである;これは50μMおよび50
0μMでインスリン誘導卵母細胞成熟を増強する。
心筋細胞において、ノルエピネフリン(NE、2μM)はδPKCおよびεPKCアイソザ
イムの細胞質ゾル画分から微粒子画分へのトランスロケーションを引き起こす。
心筋細胞へのペプチドrIIIおよびより少ないペプチドrVIの導入は、ホルモンの
刺激の非存在下で、δPKCおよびεPKCアイソザイムの即座のトランスロケーショ
ンを引き起こした。このペプチド誘導トランスロケーションに続いてδPKCおよ
びεPKCアイソザイムの分解が起こった。さらに、ペプチドrIIIを含有する細胞
において、NE誘導トランスロケーションはさらに増強された。
対照的に、これらの細胞へのペプチドIの導入は、ホルモン刺激の非存在下でP
KCの分布に影響を与えず、PKC分解を誘導しない。さらに、NE誘導トランスロケ
ーションはペプチドIにより阻害される。同様の濃度の多くのコントロールペプ
チドは、コントロール細胞またはNE処理細胞においてPKC分布またはPKC分解に影
響しなかった。
ラット心筋細胞での研究において、ペプチドrIIIはδPKCおよびεPKCの活性化
を誘導し、続いて、これらの活性化アイソザイムの分解が起こった。
ペプチドrVIはまた、PKCアイソザイムのホルモン誘導トランスロケーションを
増大させる(例えば、実施例8および図6を参照のこと)。対照的に、ペプチドI(
配列番号1)は、PKCアイソザイムのホルモン誘導トランスロケーションを阻害し
(実施例8、図6)、そして分解を引き起こさなかった。
上記の要約されたデータは、RACK1のWD-40反復に由来するペプチドが、インビ
ボでPKCのアゴニストおよびアンタゴニストの役割を果たし得ることを示し、そ
してRACK1のWD-40領域に由来するペプチドは、PKCとRACK1とのタンパク質-タン
パク質界面の少なくとも1部分を含むことを示唆する。
さらに、この結果は、(i)Gβサブユニットのような他のタンパク質に存在する
WD-40反復はまた、タンパク質-タンパク質相互作用に関与する表面あるいはその
近くに位置し得ること、(ii)これらの反復に由来するペプチドはタンパク質とそ
れらのパートナー(例えば、β-アドレナリンレセプターキナーゼ(βARK))との相
互作用を破壊するのに効果的であり得ること、(iii)これらのペプチドはWD-40反
復含有タンパク質と相互作用するタンパク質の活性を調整または変化させ得るこ
と、および(iv)それゆえこれらのペプチドは、インビボで投与される場合、特異
的な生物学的効果を有し得ることを示唆する。
IV.相互作用するタンパク質の対の同定。
A.生化学的アプローチ
新規な相互作用するタンパク質を、当業者に公知の多数の方法により同定およ
び単離し得る。例えば、抗原の混合物(特定の組織ホモジネートなど)に対して
惹起されたモノクローナル抗体を、特徴付けおよび使用して、組織中に存在する
単一のクラスの抗原分子を免疫沈降し得る。次に、沈降されたタンパク質をさら
に特徴付けし、そしてそれらが本来相互作用する他のタンパク質を沈降するため
に使用し得る(Hariら、Escobedoら)。
既知の単離されたタンパク質と相互作用する未知のポリペプチドを同定するた
めの別の方法は、例えば、重層アッセイ(overlay assay)の使用による(Wolf
ら、Mochly-Rosenら、1991)。既知の単離されたタンパク質に結合するタンパク
質を潜在的に含有する混合物(組織ホモジネートの画分、例えば、Triton不溶性
タンパク質画分など)を、PAGEを用いて分離し、ニトロセルロースまたはナイロ
ンメンブランにブロットし、そして既知のタンパク質および任意の必要な補因子
または小分子を含有する溶液と接触させ得る。洗浄後、メンブランを既知のタン
パク質に対するプローブ(例えば、単一の抗体または抗体の混合物)と接触させ
、そしてシグナルを可視化し得る。
B.分子的アプローチ
既知のタンパク質の推定の結合タンパク質を、上記のように組織ホモジネート
から単離し得る。あるいは、推定の結合タンパク質をコードするDNAクローンを
、例えば適切なcDNA発現ライブラリーをスクリーニングすることにより同定し得
る。多種の組織から作製された発現ライブラリーが、市販されている(例えば、
Clonetech,Palo Alto,CAから)。発現ライブラリーをまた、当業者により選択
される生物および組織から新たに作製し得る。
目的のタンパク質またはタンパク質フラグメントを発現するクローンについて
の発現ライブラリーのスクリーニングを、当該分野に公知の技法(例えば、重層
アッセイ)を用いて容易に達成し得る。
重層アッセイスクリーニング方法を用いて、手持ちのプローブに結合する(既
知または未知の)タンパク質またはタンパク質フラグメントを発現するクローン
を同定し得る。プローブは、スクリーニングのために選択されたcDNAライブラリ
ー中に存在することが期待されるタンパク質とのタンパク質−タンパク質相互作
用に関与することが仮定されるタンパク質であり得る(実施例1に詳細に記載す
る、RACK1のクローニングについての場合のように)。
選択されたcDNAライブラリーの実際のスクリーニングは、プレートされたクロ
ーンを誘導してクローン化された外因性配列を発現させる工程、誘導されたプラ
ークまたはコロニーのレプリカをフィルターメンブランに移す工程、およびメン
ブランを適切なプローブでスクリーニングする工程により達成され得る。この方
法によれば、(例えば、IPTGに誘導された)適切に誘導されたcDNAライブラリー
プレート由来のフィルター(例えば、ナイロンまたはニトロセルロース)のリフ
ト(lift)を、洗浄し、ブロックし、そして選択されたプローブとともに選択さ
れたプローブ(単数または複数)をフィルター上に存在するポリペプチドフラグ
メントに特異的に結合させるために十分な時間インキュベートする。次に、フィ
ルターを洗浄し、そして試薬(例えば、アルカリホスファターゼ結合ヤギ抗ウサ
ギ抗体または抗マウス抗体などの抗体、Boehringer Mannheim Biochemicals,In
dianapolis,INから入手可能)と反応させ得る。追加の反応を、結合したプロー
ブの存在を検出するために必要であれば、行い得る。
実施例1に記載の1つのこのような重層アッセイを用いて、PKCアクチベータ
ー(ホスファチジルセリン、ジアシルグリセロール、およびカルシウム)の存在
下で精製PKCと結合するタンパク質についてラット脳cDNA発現ライブラリーをス
クリーニングした。フィルターを、ラット脳PKCアイソザイムの混合物(α、β
、γ、δ、ε、およびζ)を用いてスクリーニングした。一連の洗浄の後、結合
したPKCアイソザイムを、抗α、β、γPKCマウスモノクローナル抗体、ならびに
抗δ、ε、およびζPKCウサギポリクローナル抗体の混合物を用いて検出した。
結合した抗体を、アルカリホスファターゼ結合ヤギ抗ウサギまたは抗マウス抗体
ならびに基質としての5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルホスフェートp-トルイジ
ン塩を用いて検出した。
一旦クローンが上記のスクリーニングのようなスクリーニングにおいて同定さ
れれば、クローンを単離またはプラーク精製して配列決定し得る。次に、挿入物
を他のクローニング反応、例えば組換え融合タンパク質の効率的な産生を可能に
する発現ベクターへのクローニングに使用し得る。適切な発現ベクターの例は、
pGEX(Smithら、1988)およびpMAL-c2(New England BioLabs,Beverly,MA)で
ある。目的の挿入物を含む発現ベクターを用いて適切な宿主細胞(例えば、E.c
oli)を形質転換し得、そして形質転換された宿主細胞を用いて組換えタンパク
質を大量に産生し得る。
代表的には、組換えタンパク質は細菌遺伝子産物またはウイルス遺伝子産物(
内因性ポリペプチド)と直列に融合タンパク質の一部分として発現し得る。内因
性ポリペプチドと組換えタンパク質との間の連結部は、代表的には稀切断プロテ
アーゼ(rare-cutting protease)の認識部位を含む。内因性ペプチドは、親和
性タグ(affinity tag)に対する抗体のような親和性試薬を用いた融合タンパク
質の精製を容易にする独特の親和性タグ(短いペプチド配列)を取り込むように
設計し得る。次に、組換えタンパク質を適切なプロテアーゼを用いて融合タンパ
ク質から精製し得る。
精製された組換えタンパク質を、多くの方法(組換えタンパク質と相互作用す
るタンパク質との間の結合を阻害するペプチドまたは物質をスクリーニングする
ための重層結合アッセイを含む)に使用し得る。
タンパク質を発現するためのcDNAクローンの使用の例を、実施例2に詳細に記
載する。RACK1 cDNA(先および実施例1に記載のように単離した)を、発現ベク
ター(pMAL-c2,New England BioLabs,Beverly,MA)にサブクローニングした
。この発現ベクターは、クローン化挿入物をマルトース結合タンパク質(MBP)
と直列に発現し得る。RACK1挿入物を含むベクターを用いてTB1 E.coliを形質転
換し、これを次にIPTGを用いて誘導した。この細胞は、MBPに融合したRACK1から
なる78kDa融合タンパク質を産生した。過剰発現された融合タンパク質を、製造
者のプロトコル(New England BioLabs,Beverly,MA)に従ってアミロースアフ
ィニティーカラムで精製し、そして発現された挿入物をMBPから分離するために
プロテアーゼXaとインキュベートした。インキュベートの後、36 kDa RACK1タン
パク質を得た。
V.WD-40反復の同定。
本発明の方法によれば、相互作用するタンパク質の少なくとも1つが、1つの
タンパク質のWD-40反復(単数または複数)由来のペプチド(単数または複数)
を有する、WD-40モチーフ、または領域を含む場合、タンパク質−タンパク質相
互作用を破壊し得る、そして/または相互作用するタンパク質の活性を改変し得
る。
WD-40反復は代表的にはトランスデューシンのβサブユニットと少なくとも限
定された相同性を有するタンパク質のファミリー中に見出される。このファミリ
ーの選択されたメンバー中に存在するWD-40反復を、(A)選択されたタンパク質に
ついて相同性マトリックス(例えば、Christian Marck,Service de Biochemie
et de Genetique Moleculaire,Department de Biologie Cellulaire et Molecu
laire,Direction des Sciences de la Vie - CEA - FRANCEから入手可能なコン
ピュータープログラムDNA Strider 1.2により実行される)を用いる自己相同性
解析(self-homology analysis)を実行する工程、(B)相同性マトリックス解析
により示された反復するエレメントを含む配列を並べる工程、および(C)WD-40反
復を定義するために代表的に役立つ保存されたアミノ酸配列を同定する工程によ
り同定し得る。この工程を、以下で個別に考察する。
A.相同性マトリックス解析
特定のアミノ酸配列が反復モチーフを含むかどうかの決定は、当業者に公知の
多くの方法により達成し得る。これらの方法は、配列の簡単な目視検査から反復
モチーフを同定し得るコンピュータープログラムの使用までおよぶ。1つの広く
供給されたコンピューター支援方法は、自己相同性マトリックスの生成である。
自己相同性マトリックスは、特定の配列中の各々のアミノ酸残基とその配列中の
すべての他の残基との相同性を算出する。相同性スコアは2次元マトリックス中
に蓄積される。
選択された基準レベルよりも高い値は、印をつけられ(flag)てx-y座標上の
点として表示される。x-軸およびy-軸は、配列中の連続的なアミノ酸の位置に対
応する。
自己相同性マトリックス解析の例を、図1Bに示す。このマトリックスは、コン
ピュータープログラムDNA Strider 1.2(Christian Marck,Service de Biochem
ie et de Genetique Moleculaire,Department de Biologie Cellulaire et Mol
eculaire,Direction des Sciences de la Vie - CEA - FRANCE)を用いてRACK1
のアミノ酸配列(配列番号27)と、ウインドウ設定(window setting)21および
厳密性(stringency)6で生成した。自己相同性マトリックスのいくつかの代表
的な特徴が、図中で明白である。グラフは、原点から一定した勾配で伸張する「
一次」対角線を示し、これは配列がそれ自身と同一であるという事実に対応する
。配列が(RACK1のように)反復エレメントを含む場合は、他のより短い、対角
線上に整列した、実質的に一次対角線に平行で一次対角線からx-方向またはy-方
向に外れた、数組の連続する点が存在する。これらのより短い線は、配列の反復
エレメントの位置を同定する。各々の反復エレメントは、2組の表示された点を
生じ、それらは一次対角線に対称に分布する。
相同性マトリックス解析に表示されたデータを用いて、反復エレメントの配列
をより詳細な解析のために位置づけておおまかに並べ得る。図1B中のy-軸上の〜
100と〜130との間の領域を示す水平な帯は、RACK1のその領域(すなわちアミノ
酸約100とアミノ酸130との間のアミノ酸)の部分が、RACK1の配列中で総数7回
反復しているという事実を際立たせる。矢印は、相同性マトリックスにおける反
復を指す。おおまかなアラインメントの目的のために矢印により示された短い対
角線を、y-軸上のアミノ酸〜100の水平線および指示された交差に対応するx-軸
位置まで伸張し得る。例えば、第二の反復に対応する交差は(左から2番目の矢
印)はx=〜50である。
次に、この方法で決定された値を用いて、各々の連続的な反復と反復のアミノ
酸配列を先行する反復の下に並べ得る。各々の反復の開始は、先行するパラグラ
フにおける解析により決定されたアミノ酸の位置におおよそ対応する。この方法
で並べられたRACK1のアミノ酸配列を図1Cに示す。
大部分の市販のDNAおよびタンパク質配列解析プログラムは、自己相同性マト
リックス解析を実行する能力を有する。1つの例は、DNA Strider 1.2(Christi
an Marck,Service de Biochemie et de Genetique Moleculaire,Department d
e Biologie Cellulaire et Moleculaire,Direction des Sciences de la Vie -
CEA - FRANCE)である。
一旦反復エレメントが同定され、そして反復エレメントに対応する配列がおお
まかに並べられれば、下記のように、反復内の特定の位置での個々の反復間の相
同性の程度の定義に進み得る。
B.アミノ酸配列の整列
自己相同性マトリックスを用いておおまかなアラインメントを得る場合は、配
列を目でパーソナルコンピューターなどの上で、例えばテキストエディター、ド
ローイングプログラム、または配列解析プログラムを用いて並べ得る。アライン
メントを達成するために有効なプログラムの例は、「MACDRAW PRO」(Claris Co
rp.,Santa Clara,CA)および「WORD」(Microsoft Corp.,Redmond,WA)を包
含し、これらの両方が「MACINTOSH」シリーズコンピューター(Apple Computer
Corporation,Cupertino,CA)および「WINDOWS」(Microsoft Corp.)を作動す
るIBM互換性コンピューターで利用可能である。
内部反復に対応するアミノ酸配列をまた、「MACVECTOR」(Eastman Kodak Co.
, New Haven,CT)のようなタンパク質配列解析プログラムを使用して自動的に
並べ得る。
本発明方法によれば、並べられた配列をさらに検討してそれらがWD-40反復で
あると定義されるべき基準を満たすかどうかを決定する。これらの基準を、以下
のパートCで詳細に記載する。
C.WD-40反復を定義するアミノ酸配列。
先のパートAおよびBで略述した工程、すなわち特定のタンパク質が内部反復
を有するかどうかの決定が完了し、そしてそれらの反復を並べてそうであれば、
並べられた反復がWD-40領域を含むかどうかを決定する必要がある。
WD-40モチーフは、配列の2つの末端(アミノ末端およびカルボキシ末端)に
比較的良好に保存されたアミノ酸のセットを有する約25〜50アミノ酸の連続した
配列としておおまかに定義される。WD-40反復含有タンパク質の少なくとも1つ
のWD-40反復の保存されたセットは、代表的には保存されたアミノ酸を特定の位
置で含む。2つの連続するアミノ酸からなるアミノ末端のセットは、しばしばHi
sが後に続くGlyを含む。6〜8の連続するアミノ酸からなるカルボキシ末端のセ
ットは、代表的にはその第一位にAsp、そして最後の2つの位置にTrpおよびそれ
に続くAspを含む。
WD-40モチーフのより正確な定義は、先に同定されたような特定の残基が、WD-
40モチーフ内で常に保存されているわけではないが、モチーフ内の保存された位
置が、代表的には制限されたクラスのアミノ酸から選択される残基により占めら
れるという観察を組み入れる。
選択された位置での保存された残基のクラスをより良好に定義するためには、
アミノ酸を特定の共通の性質に基づいて分類することが必要である。個々のアミ
ノ酸間の共通の性質を定義するための機能的な方法は、相同性の生物の対応する
タンパク質間のアミノ酸変化の標準化した頻度の解析である(Schulz)。このよ
うな解析によれば、アミノ酸のグループが定義され得る。ここで1つのグループ
内のアミノ酸は互いに好ましく交換され、それゆえ全体のタンパク質構造に対す
るそれらの効果において互いに最も類似している(Schulz)。この方法で定義さ
れたアミノ酸グループの例は(それらのいくつかは本明細書中でWD-40モチーフ
の定義に使用されている)、以下を包含する:
(i)荷電グループ、GluおよびAsp、Lys、ArgならびにHisからなる、
(ii)正荷電グループ、Lys、ArgおよびHisからなる、
(iii)負荷電グループ、GluおよびAspからなる、
(iv)芳香グループ、Phe、TyrおよびTrpからなる、
(v)窒素環グループ、HisおよびTrpからなる、
(vi)大脂肪族非極性グループ、Val、LeuおよびIleからなる、
(vii)微極性グループ、MetおよびCysからなる、
(viii)小残基グループ、Ser、Thr、Asp、Asn、Gly、Ala、Glu、GlnおよびPro
からなる、
(ix)脂肪族グループ、Val、Leu、Ile、MetおよびCysからなる、および
(x)小ヒドロキシルグループ、SerおよびThrからなる。
先に示したグループに加え、各々のアミノ酸残基はそれ自身のグループを形成
し得、そして個々のアミノ酸により形成されたグループは、単純に当該分野で一
般に用いられるアミノ酸の1文字および/または3文字略記で呼ばれ得る。
「WD-40」モチーフは本明細書中で、(包括的な)2セットの比較的良好に保
存された残基の間のアミノ酸の連続したセットとして定義され、本明細書中で「
アミノ末端セット」および「カルボキシ末端セット」と呼ばれる。
アミノ末端セットは、2つの隣接したアミノ酸を含む。第1位の残基は代表的
にはグループii、viまたはviiiから選択され、一方第2位の残基は代表的にはグ
ループi、xまたはIleから選択される。第1位および第2位はしばしばそれぞれG
lyおよびHisからなる。GlyおよびHis残基は、代表的にはWD-40含有タンパク質の
並べられた反復の少なくとも1つの中に存在する。
カルボキシ末端保存セットは、代表的には8残基を含むが、最低6残基を含み
得る。このように同定されたWD-40モチーフ中の最も良好に保存された残基は、
カルボキシ末端保存セットの第1のアミノ酸を構成するAsp残基である。Asp残基
は、本明細書に示される実際のすべてのWD-40反復に存在する。Asp残基が存在し
ないこれらの反復において、その位置はグループiiiまたはGlyからの残基により
占められる。
カルボキシ末端保存セット中の最後の2つのアミノ酸は、代表的にはグループ
ivまたはIle、およびiグループまたはviiiからそれぞれ選択される。第1のこれ
らの位置で最も一般的に用いられる残基はTrpである。Trpは代表的には任意の所
定のタンパク質の少なくとも1つのWD-40反復に存在する。第2位は、単一の残
基ではさほど一貫して占められないが、しばしばAspで占められる。Trp-Asp(WD
)の組み合わせは、WD-40反復の名称の起源の一部である。
カルボキシ末端保存セットの内部部分に存在するアミノ酸は、末端残基に比較
してさほど良好には保存されておらず、それらの総数は異なるWD-40反復におい
て2残基まで異なり得る。カルボキシ末端保存セットのカルボキシ末端から第3
位は、代表的にはグループviiiまたはixから選択され、より代表的にはixから選
択される。カルボキシ末端保存セットのカルボキシ末端から第5位もまた、代表
的にはグループviiiまたはixから選択され、より代表的にはixから選択される。
WD-40反復の長さ(アミノ末端保存セットおよびカルボキシ末端保存セットを
含む)は、代表的には約25残基と約50残基との間であり、より代表的は、約29残
基と約34残基との間である。分布は主に、アミノ末端保存セットとカルボキシ末
端保存セットとの間に存在する残基数の差から生じる。
特定のタンパク質におけるWD-40反復の数は、2から8より多くまでの範囲で
あり得る。平均の数は約5である。
並べられた内部反復のセットがWD-40反復であるか否かの決定は、各々の反復
を個別に検討するよりも、すべての反復を全体で検討することにより促進し得る
。これは部分的には、すべての並べられた反復が、WD-40反復を同定するために
役立つすべての保存配列を必ずしも含まないが、保存残基は代表的には反復の少
なくとも1つにおいて出現するからである。
例えば、図1Cは配列中に存在する内部反復を例示するために並べられたRACK1
アミノ酸配列を示す。すべての反復はWD-40反復であるが、例えば、反復VIのア
ミノ末端保存セットは、より通常の「GH」に反して「LD」を含み、そしてカルボ
キシ末端保存セットは、その第1位に高度に保存された「D」に反して「G」を含
む。同様に、例えば、反復Iのカルボキシル保存セットは、最後の位置により通
常の「WD」に反して「WK」を含む。
特定の残基または残基のセットが、選択されたタンパク質のWD-40反復におい
て良好に保存されるが、これらはWD-40反復において一般に保存され得ないこと
が認識される。このような残基または残基のセットは、いくつかの点で有用であ
り得る。例えば、これらは上記パートBで記載のように、選択されたタンパク質
中の内部反復のアラインメントの実行において使用され得る。この残基はまた、
それに基づいて効果的な結合ペプチドが設計され得る領域の同定に有用であり得
る(下の第VI節を参照のこと)。
D.RACK1におけるWD-40反復の同定
本発明を支持して行われる実験において、結合してPKCを活性化するタンパク
質をクローン化して配列決定した(実施例1を参照のこと)。推定アミノ酸配列
の配列解析により、反復の存在が示された。この反復を並べて図1Cに示す。
並べられた反復は、上記パートA、BおよびCで同定された基準の適用によりW
D-40反復であると同定された。例えば、反復I、II、IIIおよびV中の保存アミノ
末端セットは、代表的な「GH」からなるが、一方反復IV、VIおよびVIIにおいて
セットは他の残基からなる。しかし、これらの他の残基は、先に適切な位置で保
存されていると同定された少なくとも1つのアミノ酸グループに含まれる。保存
カルボキシ末端セットは、高度に保存された「D」を反復VIを除くすべての反復
中の第1位に含む。このセットの最後から2番目は、各々の反復において比較的
良好に保存された「W」を含む。一方、最後の位置は反復II、VおよびVIにおいて
代表的な「D」を含むが、他の反復においては他の残基を含む。
まとめると、これらのデータはRACK1中に含まれる反復がWD-40反復であること
を示す。データはまた、すべての反復がWD-40モチーフに代表的なエレメントの
すべてを含むのではないが、配列を並べて全体で一緒に見た場合、WD-40モチー
フはすべての反復において明白であることを例示する。
E.配列決定したタンパク質中のWD-40反復の同定。
データを本発明を支持して、種々のタンパク質におけるWD-40反復がいかにし
て同定され得るかを例示し、そして本明細書中に記載の指図に従って当業者によ
りWD-40反復であると適切に同定され得るアミノ酸配列の多様性を例示するため
に蓄積した。WD-40含有タンパク質配列を同定するために用いられた2つの方法
を実施例7に詳細に記載する。
第1の方法において、それらの記載においてβ-トランスデューシンに相同性
を有することが同定されたタンパク質を、上記パートB〜Dで詳細に記載したよ
うに、WD-40反復について検討した。30のタンパク質をこの方法で同定した。こ
れらのタンパク質のアミノ酸配列を、並べられそして描写されるWD-40領域とと
もに、図12〜18、20〜27、29〜30、34〜35、37〜38、40および42〜50に示す。こ
れらの配列は配列表中に、配列番号29〜35、37〜44、46〜47、51〜52、54〜55、
57および59〜67として示される。
第2の方法において、その配列がコンセンサスWD-40モチーフ(配列番号262)
に相同なタンパク質を同定し、WD-40反復について検討した。10のさらなるWD-40
反復含有タンパク質をこのストラテジーを用いて同定した。それらのタンパク質
のアミノ酸配列を、並べられそして描写されるWD-40領域とともに、図11、19、2
8、31〜33、36、39、41および51に示す。これらの配列は配列表中に、配列番号2
8、36、45、48〜50、53、56、58および68として示される。
他のタイプの検索は、WD-40反復を含み得るタンパク質の同定において同等に
有効であり得る。例えば、GenBankまたはSwissProtのようなオンラインデータベ
ースを、WD-40含有タンパク質の全体配列またはコンセンサスWD-40反復配列のい
ずれかを用いて検索し得る。種々の検索アルゴリズムおよび/またはプログラム
を使用し得る。それらはFASTA、BLASTまたはENTREZを包含する。FASTAおよびBLA
STはGCG配列解析パッケージ(University of Wisconsin,Madison,Wisconsin)
の一部として入手可能である。ENTREZは、National Center for Biotechnology
Information,National Library of Medicine,National Institutes of Health
,Bethesda,MDを通じて入手可能である。
次に、タンパク質相同性検索で同定された配列を上記パートA、BおよびCに
記載のように解析して、潜在的なWD-40モチーフを同定する。一旦位置づけされ
れば、モチーフを並べ、そして有効な結合ペプチドを設計し得る。
F.新規なポリペプチド中のWD-40領域の同定。
WD-40反復を、新規なタンパク質中に、例えば上記パートA〜Dに記載の方法
により、同定し得る。しかし、上記工程A(相同性マトリックス)がWD-40反復
の同定において必要とされないことが認識され得る。本発明の指図に従って、当
業者は、例えば、単にWD-40反復に特徴的な性質の1以上の認識により、ある、
おそらく新規なポリペプチドの配列をスキャンする間にWD-40モチーフを同定し
得る。
当業者が、それによって特定のモチーフがWD-40反復であるという結論に達す
る正確な方法は、それらがどのように同定されたかにかかわらず、相互作用する
タンパク質の対の1つのメンバーの活性を改変または調節するために、および/
またはタンパク質−タンパク質相互作用を破壊するために有効なペプチドを設計
するためのWD-40モチーフ由来の配列の使用ほど本発明に問題ではない。
VI.活性改変ペプチドの同定。
特定のタンパク質中のWD-40反復のアラインメントおよび認識をして、WD-40含
有タンパク質が本来会合するタンパク質と会合または結合するために有効であり
得るペプチドまたは1組のペプチドの設計に進み得る。このような結合または会
合は、タンパク質の活性を改変または調節することおよび/または相互作用する
タンパク質の対の会合を破壊することが期待される。
このようなペプチドの配列は代表的には、少なくとも1つのWD-40反復内に含
まれる連続したアミノ酸配列と、同一でなければ相同である。タンパク質−タン
パク質相互作用を破壊するために有効なWD-40由来のペプチドの選択の例は、RAC
K-PKCおよびGβ/γ-βARK相互作用についてそれぞれ下のパートCおよびDに記
載されている。
A.WD-40反復内の適切な領域の選択。
推定の結合ペプチドを、WD-40反復の任意の部分から選択し得る。種々のWD-40
含有タンパク質間のある程度の相違を得ることが所望される場合は、ペプチドは
アミノ末端保存セットとカルボキシ末端保存セットとの間の領域から選択される
べきであり、アミノ末端保存セットおよびカルボキシ末端保存セットを含むべき
ではない。この「中央領域」は、代表的に異なるWD-40含有タンパク質の間で末
端領域に比べてより大きな配列の多様性を示し、そしてそれは図11〜51中で四角
によりおおまかに示される。これらの図は種々のWD-40反復含有タンパク質のア
ミノ酸配列および並べられたWD-40反復を示す。中央領域内で、ペプチドは、破
壊の標的となるタンパク質(単数または複数)の配列(単数または複数)を除い
て、いかなる他の既知の配列にもほとんどまたはまったく相同でない配列から選
択されるべきである。
例えば、ペプチドrIII(配列番号4、7アミノ酸)およびrVI(配列番号7、
8アミノ酸)は、それらが由来するWD-40反復のアミノ末端から5アミノ酸から
のRACK1 WD-40反復のセグメント(それぞれIIIおよびVI)と同一である(図1Cを
参照のこと、下線を付したセグメント)。結合ペプチドに対応するWD-40反復セ
グメントは、それぞれのWD-40反復の中央領域の左部分を含み、これらはRACK1中
で良好に保存されていない。
例えば、特定のWD-40含有タンパク質ファミリーのすべてのイソ型の相互作用
を阻害することが所望される場合は、配列は、各々の標的されたイソ型の少なく
とも1つのWD-40反復において共通するか高度に相同である有意な数の残基を含
むように選択される。
他方、イソ型特異的な試薬が所望される場合は、配列は特異的なイソ型のWD-4
0反復(単数または複数)から選択される。ここでこの配列は、関連するイソ型
由来のWD-40配列中の残基と同一または高度に相同な有意な数の残基を含まない
。
B.ペプチドのために適切な長さの選択。
有効な結合ペプチドは、長さがわずか約4残基から40残基以上までの範囲で設
計され得る。好ましくは、結合ペプチドは、少なくとも約6残基で、約20残基未
満の長さを有する。長さは、部分的には、上記パートAに記載のように他のWD-4
0反復に対する所望される相同性の程度により決定され、要求されるタンパク質
間の多様性のレベルにより決定される。
例えば、RACK1/PKC相互作用を阻害するためにRACK1配列から選択された結合ペ
プチドは、長さが7および8アミノ酸であった。ペプチドは標的配列に特異的に
結合するために十分に長いが、他のWD-40反復結合タンパク質と交差反応しない
ために十分に短い。これらの性質により、以下の実施例6〜11に示すように、ペ
プチドは非常に選択的で特異的な効果を有し得る。
C.RACK1-PKC相互作用を阻害するためのRACK1 WD-40由来ペプチドの設計。
ペプチドrIII(配列番号4、7アミノ酸)およびrVI(配列番号7、8アミノ
酸)を、部分的に上記パートAおよびBに示された指図に従って設計した。これ
らのペプチドは、それらが由来するWD-40反復のアミノ末端から5アミノ酸から
のRACK1 WD-40反復配列のセグメントと同一である。結合ペプチドに対応するWD-
40反復セグメントは、WD-40反復の中央領域の左部分を含む。これらのペプチド
を、下記の第VII節および実施例6〜11に記載のように、インビトロおよびイン
ビボでタンパク質−タンパク質相互作用を破壊するそれらの能力について試験し
た。
D.ヒトG-βのWD-40反復由来ペプチドはG-βサブユニットとβARKとの相互作 用を阻害する。
第V節パートEに記載の方法を用いて、ヒトG-β(配列番号41)中のWD-40反
復(配列番号128〜134)を同定した。最初の6つのWD-40反復由来のセグメント
を、G-β結合ペプチド(配列番号13〜18)の設計のために選択した。セグメント
を、上記パートAおよびBに詳細に記載した基準に基づいて選択した。
G-β結合ペプチドを用いてG-βサブユニットとβARKとの相互作用を破壊する
。この破壊は、実施例4に記載の重層アッセイの改変を用いてアッセイされる。
VII.推定結合ペプチドの試験。
以下で、それによってWD-40由来ペプチドの標的タンパク質への結合、タンパ
ク質−タンパク質相互作用の阻害、および標的タンパク質の活性の改変または調
節における有効性を測定し得るいくつかのアッセイを詳細に記載する。
2つのタンパク質の互いへの結合を評価するために広く用いられている、1つ
のクラスのアッセイは、重層アッセイである。重層アッセイは、ほとんどのタン
パク質に一般に適用し得る。例えばそれらは、実施例6に示され下記のパートB
に記載されるように、WD-40由来ペプチドのそれらの標的への結合を評価するた
めに用いられ得る。重層アッセイはまた、WD-40由来ペプチドの、2つの相互作
用するタンパク質(その1つがペプチドが由来したWD-40モチーフを含む)の結
合を阻害する能力を評価するために用いられ得る(例えば、下記の実施例4およ
びパートCを参照のこと)。
他のアッセイを、標的タンパク質の活性へのWD-40由来ペプチドの効果を評価
するために使用し得る。これらのアッセイは、インビボアッセイ、インビトロア
ッセイ、またはインビボおよびインビトロアッセイの組み合わせであり得る。使
用されるアッセイは、関与するタンパク質ならびにペプチドがそれに対して標的
される相互作用するタンパク質を含む系(単数または複数)および/またはプロ
セス(単数または複数)に依存する。例えば、下記のパートD〜Iに記載のアッ
セイは、PKCのインビボおよびインビトロでの活性の特徴付けに適切である。
下記の多くのアッセイがPKCの活性の特徴付けに特に有用であるが、これらは
また、それによってWD-40由来ペプチドの他のタンパク質への効果が評価され得
る実験の一般的な枠組みを例示する。
A.WD-40領域由来の推定の結合ペプチドの効力を評価するための重層アッセ イ
重層アッセイは、タンパク質ペアの結合する能力の破壊を評価するために使用
され得る。重層アッセイを行うための方法は当分野で周知である(例えば、Moch
ly-Rosenら、1991を参照せよ)。
PKC/RACK1の相互作用についての推定の結合ペプチドを評価するための重層ア
ッセイの適用は、本明細書の実施例4および5に示されている。これらのアッセ
イは一般に以下のように説明され得る。
相互作用するタンパク質(「固定化」タンパク質)ペアの1つのタンパク質は
、当業者に公知の方法により、SDS/PAGEゲルで分離され、そして適切な膜(例え
ば、ニトロセルロースまたはナイロン)上にブロットされ得る。続いて、ブロッ
トは、推定の結合ペプチドの存在下および非存在下で、相互作用するタンパク質
ペアの他方のタンパク質(「重層」タンパク質)を含む溶液と接触され得る。適
切な洗浄工程の後に、結合された重層タンパク質は、適切なプローブ(例えば、
この重層タンパク質に対する抗体)の使用により検出され得る。
上記プロトコールに対する変形が、結合していない結合ペプチドと結合された
重層タンパク質の存在を検出するために使用した抗体との間の可能な妨害を最小
限にするために行われ得る。この修飾は、重層タンパク質を結合させる工程と抗
体または他のプローブを用いてこの重層タンパク質を検出する工程との間での別
のSDS/PAGE電気泳動を行う工程からなる。これは、重層タンパク質が(結合ペプ
チドの存在下または非存在下で)ブロットと接触されかつ結合された後に、ブロ
ットをブロットされた固定化タンパク質により占められた面積を丁度含むサイズ
で片に切ることにより達成される。膜の片を、続いて、試料緩衝液でインキュベ
ートし、第2のSDSポリアクリルアミドゲルのウェルに置き、そして電気泳動に
かける。
電気泳動の後、ゲルを上記のようにブロットし、そしてプローブ(例えば、抗
体)と接触させて、結合された重層タンパク質を検出する。
B.RACK1のWD-40領域と相同のペプチドにβPKCを結合させる
ペプチドI(配列番号1)、ペプチドrVI(配列番号7)およびコントロールペプ
チド(配列番号9)へのβPKCの結合は、実施例6で、実施例3に記載のPKC重層ア
ッセイと類似のPKC重層アッセイを用いて評価した。ペプチドの漸増量を、スロ
ット−ブロット装置を用いてニトロセルロースにのせた。これらの膜を、PS、DG
、およびカルシウムの存在下および非存在下でPKCと共にインキュベートした。
データは図4に示されており、これらデータは、活性化されたPKCが5μmole
のような低いペプチド量でペプチドIおよびrVIの両方と結合するが、コントロ
ールペプチドと結合しないことを示す。活性化されていないPKCはペプチドIと
結合しないが、同じ濃度のペプチドrVIと結合する。
これらの結果は、これらのペプチドが互いに相同であり、かつ同じタンパク質
と結合し得る一方、その挙動は異なることを示す。ペプチドrVI(配列番号7;8
残基)は活性化型のPKCおよび活性化されていない型のPKCの両方と結合し得るが
、ペプチドI(配列番号1;15残基)は活性化されたPKCのみと結合し得る。この
結合特性間の相違は、例えば、2つのペプチド間の荷電の差および/または長さ
の差によるかもしれない。
C.RACK1へのPKCの結合に対するRACK1のWD-40領域と相同のペプチドの効果
RACK1 WD-40反復(図1C、下線部分)の領域と同じ2つのペプチド(ペプチドrI
II;配列番号4およびペプチドrVI;配列番号7)を、組換えRACK1へのPKCの結合
を阻害するそれらの能力について、先に記載の重層方法の修飾を用いて試験した
。実験は実施例4で詳述し、その結果は図3に示す。
ペプチドIは、ペプチドを添加しない場合の結合に比べて、組換えRACK1へのP
KCの結合の81±6%の阻害を引き起こした。ペプチドrIIIおよびrVIの両方は共に
PKCのRACK1への結合を阻害した。さらに、ペプチドrIおよびrIIもまた、PKCとRA
CK1との相互作用の効果的な阻害剤であった。ペプチドrIVおよびrVでは、より少
ない阻害効果が得られ、そしてペプチドrVIIでは、阻害が得られなかった。
結合を阻害するペプチドの能力の相違は、PKCとRACK1との間のタンパク質−タ
ンパク質相互作用における対応のWD-40反復により果たされる役割の相違を反映
し得る。しかし、重層アッセイによりアッセイされたタンパク質−タンパク質相
互作用を阻害するペプチドの能力または無能は、インビボおよびインビトロでの
アッセイの両方により測定され、そして以下パートD−Iで記載されるように、
これらのペプチドが有し得る、標的タンパク質の活性に対する効果とは必ずしも
相関しない。
D.PKC仲介の卵母細胞成熟に対するRACK1のWD-40領域と相同のペプチドの効 果
ペプチドI(配列番号1)、rIII(配列番号4)およびrVI(配列番号7)はまた、
実施例7で詳述され、そして図5Aおよび5Cに示されるように、アフリカツメガエ
ル卵母細胞におけるインスリン誘導の、PKC仲介の成熟に影響を及ぼすそれらの
能力について試験された。
PKCはアフリカツメガエル卵母細胞の成熟に関与する。PKCを活性化させるホル
ボールエステル、またはPKCの構成的に活性な変異体の微量注入は、ホルモンの
非存在下で卵母細胞の成熟の第1期を誘導する。インスリンへの曝露は、ジアシ
ルグリセロールレベルの増加をもたらし、そして活性化されたPKCの微量注入は
インスリン誘導の成熟を促進する(Stithら)。精製されたRACKタンパク質の微
量注入は、卵母細胞成熟率の有意な低下をもたらす(Smithら、1992)。従って
、インスリン誘導の卵母細胞成熟アッセイは、PKCの機能を妨害する化合物のた
めの効果的なインビボアッセイを提供する。
成熟応答は、卵母細胞の動物半球における白斑の出現(このことは、卵核胞崩
壊(GVBD)および成熟を示す)をモニターすることにより定量された。指示された
ペプチドをアフリカツメガエル卵母細胞に微量注入し、そしてインスリン曝露後
のGVBDを有する卵母細胞の割合を時間の関数として図5AおよびCに記入した。
インスリンに曝露した擬似注入(コントロール)の卵母細胞の約80〜85%は成
熟に達するのに対して、ペプチドIで注入した卵母細胞は45〜50%しか成熟して
いない。これらの成熟した卵母細胞の成熟率は2つ場合で類似であった。ペプチ
ドIの効果と対照的に、ペプチドrIIIおよびrVIは共に、成熟率および実験の間
に成熟する卵母細胞の全画分に関して、卵母細胞の成熟に対するインスリンの効
果を促進した。ペプチドrIIIまたはrVIの注入は、成熟する卵母細胞の画分を実
質的に100%まで増加させる。さらに、ペプチドrVIは、インスリン刺激の非存在
下で卵母細胞成熟を誘導した(図5B)。
上記のデータは共に、RACK1のWD-40領域と相同のペプチドはRACK1と相互作用
するタンパク質(例えば、PKC)の機能を調整し得ること、この調整はインビボ
で起こり得ること、およびこの調整は明確かつ大きな生理的効果を有し得ること
を示す。さらに、ペプチドrVIでの結果は、適切な条件下では、このペプチドが
他の活性化物質の非存在で単独でPKCを活性化させるように作用し得ることを示
唆する。
E.アフリカツメガエル卵母細胞におけるPKCトランスロケーションに対するR ACK1のWD-40領域と相同のペプチドの効果
インスリンは、卵母細胞ホモジネートの可溶性画分対粒子画分におけるPKCの
相対的レベルによって示されるように、βPKCのサイトゾル型から膜結合型への
再分布を引き起こすが、他のPKCイソザイムのサイトゾル型から膜結合型への再
分布を引き起こさない。インスリン誘導のPKCトランスロケーションに対するRAC
K1 WD-40由来のペプチドの効果を評価するために、指示されたペプチドを含む20
mMのNaCl溶液50nlをアフリカツメガエル卵母細胞に微量注入した。続いて、卵母
細胞をホモジナイズし、そして可溶性画分および粒子画分中のPKCの相対的な量
をアッセイした。続いてのプロトコールはSmithら(1992)により記載の方法の修
飾であった。結果は図6に示される。
ペプチドI(50μM)は、処理されていない卵母細胞におけるβPKCの分布に影響
を及ぼさなかったが、インスリン誘導のβPKCトランスロケーションを阻害した(
図3、レーン7、8)。これに対して、ペプチドrVI(50μM)はインスリン処理の
非存在下のβPKCトランスロケーションを誘導した(図3、レーン3、4)。こ
れらの結果は、ペプチドIがホルモン誘導PKCトランスロケーションのアンタゴ
ニストであるが、ペプチドrVIがPKCトランスロケーションのアゴニストおよびア
クチベーターであることを示唆する。実施例7に示された結果を照らして見れば
、これらのデータはまた、ペプチドI微量注入後のインスリン誘導のGVBDの阻害
が
βPKCトランスロケーションの阻害に起因することを示唆する。
F.Arg-CエンドペプチダーゼへのβPKCの感受性に対するRACK1のWD-40領域と 相同のペプチドの効果
PKCを活性化すると、PKCのN末端の偽基質自己阻害性配列は、触媒部位から解
離し、そしてこの分子をエンドペプチダーゼArg-Cに感受性にする(Orrら)。活
性化されたβPKCのArg-Cへの曝露により、この酵素の制限タンパク質加水分解ま
たは「ニッキング(nicking)」が起こる。ニッキングにより、代表的には、78kDa
のフラグメントおよびいくつかの小さなフラグメントが生じる。Arg-Cへの連続
的な曝露の結果、代表的には、βPKCが消失する(Orrら)。
ペプチドrIII(配列番号4)およびrVI(配列番号7)が他のアッセイでPKCアゴニ
スト活性を示した(例えば、実施例7および8を参照せよ)ため、実験を行って
、これらのペプチドがPKCをエンドペプチダーゼArg-Cに感受性にするようにPKC
を活性化し得るかどうかを測定した。この実験は実施例9に詳述され、そして結
果は図7に示されている。
PKCアクチベーターの効果的濃度(0.8μg/ml DG、50μg/ml PSおよび1mM CaCl2
)の存在下では、βPKCのArg-Cへの曝露の結果、ニッキングが起こり、78kDaフラ
グメントが生じた(図7、レーン2)。PKCアクチベーターの非存在下では、βP
KC(80kDa)のエンドペプチダーゼArg-Cへの曝露は、この酵素に効果を有しなかっ
た(図7、レーン1)。
低濃度のアクチベーター(2.5μg/ml PSおよび50μM CaCl2)では、βPKCとArg-
Cとのインキュベーションによっては、添加ペプチドの非存在下、コントロール
ペプチド(配列番号9)の存在下およびペプチドI(配列番号1)の存在下で有意な
ニッキング活性が生じなかった(それぞれ、図7のレーン4、レーン8およびレ
ーン9に示す)。しかし、ペプチドrIIIまたはrVIの存在下で同じ低濃度のアク
チベーターとのβPKCのインキュベーションにより、78kDaのニッキングされたPK
Cフラグメントが出現した(図4、レーン5〜7中のペプチドrVIの効果)。ペプ
チドrVIは10nMのような低濃度で、βPKC活性化を示すニッキング活性を生じるの
に十分であった。
これらの結果は、ペプチドrIIIおよびrVI(ペプチドIではない)は、PKCを活
性化されたコンホメーションに安定化するのに効果的であることを示す。この活
性化されたコンホメーションは、PKCをArg-Cに感受性にしないような低PKCアク
チベーターの条件下でこの酵素をArg-Cに感受性にする。
G.βPKCの自己リン酸化に対するRACK1のWD-40領域と相同のペプチドの効果
活性化されたPKCは自己リン酸化し得る。この自己リン酸化は、[γ-32P]ATPと
のインキュベーションによりアッセイされ得、そしてゲルのオートラジオグラフ
上に可視化される。抗偽基質抗体は、PKCアクチベーターの非存在下で自己リン
酸化を誘導することが以前に示された(Makowskeら)。ペプチドrVI(配列番号7
)は、PKCアクチベーターの非存在下でPKCトランスロケーションおよびGVBDを誘
導するのに効果的であるため、実験を行って、このペプチドがPKCの自己リン酸
化も誘導し得るかどうかを測定した。実験は実施例10に詳述され、そしてデータ
は図8に示される。
PS(50μg/ml)、DG(0.8μg/ml)およびCaCl2(1 mM)で活性化したPKCは、自己リ
ン酸化の正常レベルを示す(レーン1)。PKCアクチベーターの非存在下(レーン
2)、あるいはPKCアクチベーターの非存在下であるがペプチドIの存在下(配列
番号1;レーン5)またはコントロールペプチドの存在下(配列番号9;レーン6
)では、自己リン酸化が見られなかった。これに対して、PKCアクチベーターの非
存在下のペプチドrVIは、PKC自己リン酸化をPS、DG、およびカルシウムの最適濃
度の存在下でのPKC単独で得られたレベルの80%以上まで誘導した(図8のレー
ン1(コントロール)とレーン4(ペプチドrVI)とを比較する)。
H.βPKCによるヒストンリン酸化に対するRACK1のWD-40領域と相同のペプチ ドの効果
PKC活性の他の尺度は、ヒストンをリン酸化する活性化PKC酵素の能力である。
ヒストンのPKCリン酸化を、Mochly-Rosenら(1987)により記載されたプロトコー
ルの修飾を用いて行った。リン酸化を、PKCアクチベーター(PS、DGおよびカルシ
ウム)およびRACK1由来のペプチドの存在下または非存在下で行った。リン酸化さ
れたヒストンを、10%ゲル上のSDS-PAGEおよびそれに続くオートラジオグラフに
より検出した。
ペプチドrVI(配列番号7)はPKCアクチベーターの非存在下でPKCの自己リン酸
化を誘導するのに効果的であり、そしてペプチドrIII(配列番号4)およびrVIの
両方は共にPKCをArg-Cによるタンパク質加水分解に感受性にさせるため、実験を
行って、PKCによるヒストンIII型リン酸化に対するこのペプチドの効果を特徴づ
けた。この実験を実施例11で詳述し、そして結果を図9および10に示す。
これらの結果は、PKCの自己リン酸化に対するペプチドrVIの効果について得ら
れた結果と同様であった。すなわち、ペプチドrVIは、PKCアクチベーターPS、DG
およびカルシウムの非存在下でPKC仲介のヒストンリン酸化を誘導するのに効果
的であり、このことは、ペプチドrVIがPKC活性化のアゴニストであることを再び
裏つけた。ペプチドrIIIは同様にヒストンのリン酸化を誘導した(図10)。
VIII.有用性
A.標的細胞の同定のためのプローブとしてのペプチド
WD-40由来のペプチドは、例えば、標的タンパク質をコードするクローンを発
現ライブラリーから単離するために使用され得る。本明細書中で記載のクローニ
ング方法に対する変形は、このペプチドに結合し得る配列を発現するクローンを
同定するために使用され得る。例えば、WD-40由来のペプチドは、標準結合アッ
セイを用いて膜上の標的タンパク質を検出するために使用され得る。ポシティブ
なクローンは、例えば、このペプチドを放射標識し、そして膜をフィルムに曝す
ことにより検出され得る。
このような方法で単離した標的タンパク質は完全に新規で有り得、またはそれ
らは、(例えば、ホモジネート中の生物学的活性、またはタンパク質ゲル上のバ
ンドによって)部分的に特徴づけられ得る。
結合タンパク質をコードするcDNAを単離すると、このcDNAは、例えば、本明細
書に詳述されるように発現され得、そしてこのタンパク質は特徴づけられ得る。
このように単離した精製タンパク質は、抗体の生成を含む多くの用途のために使
用され得る。
本発明の方法に従って設計されたペプチドはまた、例えば、組織ホモジネート
のウェスタンブロットにおけるプローブとして使用されて、公知または推定の標
的タンパク質の分子量を同定および測定し得る。
先に記載のようなスクリーニングは、スクリーニングのために使用されるペプ
チドの種々のレポーター部分のいずれかを組み込む修飾により促進され得る。例
えば、このペプチドが、125Iで放射標識され得る。あるいは、これらのペプチ
ドは、配列標識(sequence-tag)または親和性カラムためのリガンドを用いて、
当業者に公知の方法により修飾され得る。
これらのペプチドはまた、例えば、架橋のための当業者に公知の種々の親和性
試薬のいずれかを用いて修飾されて、結合の後のこれらの標的に共有的に架橋さ
れ得る。このことは、これらのペプチドと比較的に弱く結合する標的タンパク質
の単離を可能にする。
B.欠損WD-40含有タンパク質のための代用品としてのペプチド
WD-40含有タンパク質がある疾患に関連する場合(例えば、Reinerらを参照せ
よ)、欠損タンパク質のWD-40領域由来のペプチドは、例えば、標的酵素を活性
化するための代用品として使用され得る。このようなアプローチは、無傷のタン
パク質を用いる治療の試みよりも容易であり得る。このアプローチは、冒された
遺伝子の染色体位置の知見を必要としないというさらなる利点を有する。
これらのペプチドは、当業者に公知のいくつかの方法(適切な発現ベクターの
使用、またはインビトロでの合成および効果的で便利な経路による投与を含む)
のいずれかにより、冒された細胞に導入され得る。インビトロ研究は、スキニン
グ(skinning)または微量注入技術を用いて行われ得る。
C.薬剤としてのペプチド
本発明のWD-40由来のペプチドは、先に記載のように、治療上に使用され得る
。このようなペプチドは、内因性の標的分子と相互作用してそれらの機能を増加
させるかまたは矯正するように設計され得る。あるいは、ペプチドは病原性生物
に対して特有な標的分子と特異的に相互作用するように設計され得る。
D.タンパク質-タンパク質の相互作用に関与するタンパク質の酵素活性の調 整因子としてのペプチド
本発明の方法に従って合成したペプチドは、標的分子の機能を調整するのに効
果的で有り得る(例えば、アゴニストまたはアンタゴニストとして作用する)。
本明細書に示されるように、例えば、ペプチドrVIIIおよびrVIは、PKCの活性化
を活性化するかまたは促進するために作用し得るが、ペプチドIはPKCを阻害し
得る。
これらの活性は、PKCのような標的分子の機能に影響し得る他の化合物を同定
するためのスクリーニングに使用され得る。特に、WD-40由来のペプチドがPKCと
インビボでの相互作用(すなわち、タンパク質結合)とより類似した方式で相互
作用し得るため、それらは、インビボでPKCの機能を妨害し得る分子または化合
物を同定するために有用であり得るが、インビトロでは必ずしもPKCを妨害しな
いかもしれない。
例えば、ペプチドrVIは、伝統的なPKCアクチベーターの非存在下でPKCを刺激
するために使用され得、そしてrVIで刺激された酵素は、例えば、新規なPKC阻害
化合物またはPKC増強化合物を同定するためのスクリーニングに使用され得る。
標的酵素の構造的活性化または不活性化が所望される場合、ペプチドは、組み
込まれたまたは誘導された架橋部を有して設計され得る。これらのペプチドは、
標的分子が標的分子の寿命の間に活性の所望の状態を帯びるように、結合によっ
てそれらの標的と架橋され得る。
逆に、PKCについて本明細書で記載のように、ペプチドはまた、標的分子の分
解を促進するように設計され得る。例えば、ペプチドrIIIは、心筋細胞中のPKC
の分解を促進した。
E.イソザイムの特異的な調整因子としてのWD-40由来のペプチド
本発明の方法に従って設計したペプチドはまた、標的イソザイムに特異的な調
整因子分子を提供するために使用され得る。例えば、ほとんどの細胞はいくつか
のPKCイソザイムを有し、これらの全ては同じ細胞刺激により活性化される。従
って、個々のイソザイムの機能を測定することは、困難である。
特異的な標的イソザイムまたはイソザイムのグループを選択的に刺激または阻
害するWD-40由来のペプチドは、治療の価値の点、ならびに細胞の機能および疾
患における異なるイソザイムの役割の測定の点の両方において有用で有り得る。
このような情報は、以下のパートFに記載されているように、薬物開発用の新し
い分子標的の同定のために有用で有り得る。
F.薬剤としての結合ペプチドの予測された構造に基づいて設計した化合物
WD-40反復由来のペプチドは、薬物開発用のリード化合物(lead compound)を
同定するに有用で有り得る。7残基のような小さなペプチドは、インビボでのそ
れらの標的との相互作用において特異的な生物活性を有することが本明細書で示
された。このような小さなペプチドの構造は、多くの方法(例えば、NMRおよび
X線結晶学)により容易に決定され得る。配列が同様であるが、標的分子におい
てそれらが引き出す生物学的活性が異なるペプチドの構造の比較は、標的酵素の
構造−活性相関(SAR)に関する情報を与え得る。
例えば、ペプチドIならびにRACK1由来のペプチドrIII(配列番号4)およびrVI
(配列番号7)は、それらの配列が相同であるにもかかわらず、インビボで反対の
効果を有していた。
構造−活性相関の試験から集めた情報は、標的酵素に関連して、予測された性
質(例えば、アゴニストまたはアンタゴニスト)について試験され得る修飾ペプ
チド、あるいは他の小分子またはリード化合物を設計するために使用され得る。
リード化合物の活性は、ペプチド結合効果の評価に使用されるアッセイと同様の
アッセイを用いて評価され得る。
標的酵素のSARに関する情報はまた、共同結晶化研究により得られる。このよ
うな研究では、所望の活性を有するペプチドが標的タンパク質と共同して結晶化
され、そしてこの複合体のX線構造が決定される。続いて、構造は、例えば、天
然状態の標的タンパク質の構造と比較され得、そしてこのような比較からの情報
は、特異的活性を有することが期待される化合物を設計するために使用され得る
。これらの化合物は、ペプチド結合効果の評価に使用されるアッセイと同様のア
ッセイを用いて評価され得る。
G.WD-40含有タンパク質における変異を同定するためのWD-40反復に対応する cDNAのPCR
本明細書で示した結果は、WD-40モチーフの中部領域がWD-40タンパク質とその
標的タンパク質との結合に関与することを示唆する。この結合は、相互作用する
タンパク質からなるポリペプチド複合体の活性に中心的役割を果たしているよう
であり、特定の遺伝的疾患は、WD-40含有タンパク質のこれらの領域における変
異を含み得る。従って、WD-40含有タンパク質が遺伝子疾患に関与する場合、PCR
を用いてWD-40領域由来のDNAを増幅させ、変異がWD-40モチーフの1つに含有さ
れるかどうかを迅速にチェックすることが可能である。プライマーは、(i)各反
復の隣接する領域または(ii)冒された遺伝子由来の一連のタンデム反復の隣接す
る領域のいずれかに対応して作成され得る。標準的な配列決定技術は、変異が存
在するがどうかを決定するために使用され得る。この方法は、冒された遺伝子の
事前の染色体マッピングを必要とせず、そして欠損WD-40タンパク質をコードす
る全遺伝子を配列決定する必要を除くことにより時間を節約し得る。
H.親和性リガンドとしてのWD-40に基づくポリペプチド
本発明のポリペプチド組成物は、一般に「第1のタンパク質」と呼ばれる目的
のタンパク質に結合し得るため、このポリペプチド組成物はまた、試料からの目
的のタンパク質を回収するために使用され得、そしてこのペプチドは、該タンパ
ク質を精製および分析するクロマトグラフィー手順のための親和性リガンドとし
て使用され得る。代表的には、このポリペプチドは、固体支持体にカップリング
され、そして第1のタンパク質を含有すると推定される試料は本発明のポリペプ
チド組成物と接触され、試料の結合されていない成分は除去され、そして所望で
あれば、支持体に結合されたこの第1のタンパク質は溶出および回収される。
I.候補物スクリーニング試験におけるペプチドの使用
必ずしもポリペプチドではない、種々の候補化合物は、本発明のポリペプチド
を競合物として用いて、第1のタンパク質に結合することが示され得る。これら
のスクリーニングアッセイでは、第1のタンパク質に結合する候補化合物の能力
は、この候補化合物の存在下および非存在下で第1のタンパク質を本発明のポリ
ペプチド組成物と接触させること、および候補物の非存在に対立した候補物の存
在下でのポリペプチドの結合のレベルを評価することにより評価され得る。候補
物の存在下でのポリペプチド結合の低下は、候補物が第1のタンパク質に結合す
ることを示す。
より一般的には、タンパク質と第2のタンパク質に含まれたポリペプチドサブ
配列との相互作用は、第1のタンパク質をサブ配列を表すポリペプチドと接触さ
せ、そしてポリペプチド組成物とのすべての相互作用を観察することにより評価
され得る。
IX.本発明のペプチドの生産
本発明のポリペプチドは、アミノ酸からのペプチドの合成用の標準技法を用い
て調製され得る。このような技法は、固相化学で行う場合、市販されている。
本発明のポリペプチドはまた、組換え方法を用いて生産され得る。これらの方
法は現在まで当分野で周知のものであり、所望のポリペプチドをコードするヌク
レオチド配列を含むDNA分子は容易に合成され、そして当分野で理解されるよう
にペプチドの生産のための発現系に結合され得る。広範囲の宿主が利用可能であ
り、これには、原核宿主および真核宿主が挙げられる。これらの宿主を修飾する
手段である発現ベクターの構築、およびポリペプチドの組換え生産のために修飾
された宿主を培養することは、標準的な技法用いて行われる。
以下の実施例は本発明を説明するが、本発明を限定しない。
材料および方法
ニトロセルロースフィルターをSchleicher and Schuell(Keene、NH)から得た
。
合成ペプチドを市販の自動ペプチド合成機を用いて調製した。あるいは、注文
設計されたペプチドを、例えば、Bachem Bioscinece(King of Prussia、PA)か
ら購入し得る。ペプチドはまた、ペプチドをコードするオリゴヌクレオチド配列
を発現することにより調製され得る。オリゴヌクレオチド配列は、オリゴヌクレ
オチド合成の標準方法により直接合成され得るか、または大きなコーディング配
列の場合はコーディング配列に対応する複数のオリゴヌクレオチドフラグメント
のタンデム配置を含む一連のクローニング工程により合成され得る(Crea;Yosh
ioら;Eatonら)。オリゴヌクレオチドコーディング配列は、標準的な組換え手
順により発現され得る(Maniatisら;Ausubelら)。
「Triton」とは、ポリオキシエチレンエーテルおよび他の表面活性化合物を含
む非イオン性界面活性剤を意味する。Triton界面活性剤の1例には、「TRITON X
-100」があり、Sigma Chemical Company(St.Louis、MO)から入手できる。
「Tween」とは、約55%のラウリン酸、および主としてミリスチン酸、パルミ
チン酸およびステアリン酸から構成される残量を有する脂肪酸組成物を伴うポリ
オキシエチレンソルビタンモノラウレートを含む非イオン性界面活性剤を意味す
る。Tweenの1例は、「TWEEN 20」であり、Sigma Chemical Company(St.Louis
、MO)から入手できる。
「SDS」とは、ドデシル硫酸ナトリウムを意味する。
「PAGE」とは、ポリアクリルアミドゲル電気泳動を意味する。
「IPTG」とは、イソプロピルβ-D-チオガラクトピラノシドを意味する。
実施例1
PKC結合タンパク質の発現クローニング
A.緩衝液。
重層ブロック緩衝液:50mM Tris-HCl(pH7.5)、0.2M NaCl、3%ウシ血清アルブ
ミン(BSA)、および0.1% ポリエチレングリコール。
重層緩衝液:50mM Tris-HCl pH7.5)、0.2M NaCl、12mM 2-メルカプトエタノー
ル、0.1% BSA、1% ポリエチレングリコール、10μg/mlのダイズトリプシンイン
ヒビターおよび10μg/mlのロイペプチン。
B.重層アッセイによる、PKC結合cDNAクローンの単離。
λファージクローニングベクター「UNI-ZAP XR」(Stratagene,La Jolla,CA)
中に構築された、ラット脳(Sprague Dawley)のcDNA発現ライブラリーを以下のよ
うに重層アッセイすることにより、スクリーニングした。
IPTGで誘導したcDNAライブラリープレートからのニトロセルロースフィルター
のリフトを重層ブロック緩衝液中で2時間インキュベートした。次いで、フィル
ターを、1ユニットのラット脳PKCアイソザイムの混合物(α、β、γ、δ、εお
よびζ、各約10nMの最終濃度)を含むまたは含まない重層緩衝液に移して、20分
間、室温で、PKCアクチベーター(60μg/ml ホスファチジルセリン(PS)、2μg/m
l ジアシルグリセロール(DG)、1mM CaCl2)とともにインキュベートした。
重層緩衝液中で3回の15分間洗浄を行った後、フィルターを、重層ブロック緩
衝液中、抗αPKCモノクローナル抗体、抗βPKCモノクローナル抗体、および抗γ
PKCモノクローナル抗体(1:1000希釈;Seikagaku Kogyo,Tokyo,Japan)、および抗
δPKCポリクローナル抗体、抗εPKCポリクローナル抗体および抗ζPKCポリクロ
ーナル抗体(1:500希釈;Life Technologies,Gaithersburg,MD)の混合物の存在
下でインキュベートした。室温で16時間インキュベートした後、重層緩衝液中、
フィルターを1回の洗浄当たり15分間で3回洗浄した。
アルカリホスファターゼ結合ヤギ抗-ウサギ抗体またはアルカリホスファター
ゼ結合ヤギ抗-マウス抗体(1:2000希釈、Boehringer Mannheim Biochemicals,In
dianapolis,IN)を使用して、PKCの結合を測定した。アルカリホスファターゼ反
応は、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドイルリン酸p-トルイジン塩を基質として使用
し、そして製造業者のプロトコルに従って実施した。
2.4×106の組換え「UNI-ZAP」λファージプラークのライブラリースクリーニン
グは1つのクローン、pRACK1を与え、これはPKC重層膜において抗-PKC抗体と反
応したが、コントロールの重層メンブレンにおいては反応しなかった。これらの
結果は、pRACK1が、PKC結合タンパク質をコードすることを示唆する。
C.陽性プラークからのcDNAのクローニングおよび配列決定。
上記Bにおいて詳述されるようにして同定されたpRACK1クローンを、プラーク
精製し、そして製造業者のプロトコルに従って(Stratagene,La Jolla,CA)、ク
ローニングベクターのインビボ切除によりcDNA挿入片をファージミドとして単離
した。pRACK1のDNA配列決定を、標準的なダイデオキシ配列決定技術(Maniatisら
)を使用して行った。RACK1のDNA配列を図1Aに示す。この配列はまた、配列
表の配列番号19に含まれる。
実施例2
E.coliにおける組換えRACK1タンパク質の発現および精製
pRACK1の推定翻訳開始部位(図1Aにおける下線を付したATG参照)から317アミ
ノ酸のオープンリーディングフレームおよび開始メチオニンの上流の8個の付加
的なヌクレオチドを含むPstI/XhoI DNAフラグメントを、E.coli発現ベクターpMA
L-c2(New England BioLabs,Beverly,MA)にサブクローニングした。このベクタ
ーは、マルトース結合タンパク質(MBP)をコードするma1E遺伝子を含有している
。ベクターを含有するE.coliを誘導することにより、MBP融合タンパク質を生成
する(Ausubelら)。このベクターはまた、プロテアーゼ因子Xaの認識部位を含み
、これにより、精製後タンパク質にベクター由来の任意の残基を付加することな
く、目的のタンパク質をMBPから切断することが可能になる。
RACK1含有pMAL-c2で形質転換したTB1 E.coliの培養物を、1.8mMのIPTGと3時
間インキュベートすることにより誘導した。MBPに融合したRACK1からなる78kDa
融合タンパク質を含むタンパク質画分を、標準的な方法(Ausubel)によって培養
したE.coliから単離した。製造業者のプロトコルに従って(New England BioLabs
,Beverly,MA)、アミロースアフィニティーカラム上で融合タンパク質を精製し
、そしてプロテアーゼXa(New England BioLabs)とインキュベートして、36kDaタ
ンパク質(RACK1)および34kDaタンパク質(おそらくはRACK1分解産物)を得た。
実施例3
組換えRACK1に対するPKCの結合
A.緩衝液。
PBS/Tween緩衝液:140mM NaCl、8mM Na2PO4、1.5mM KH2PO4、3mM KClおよび
0.05% Tween、pH7.0。
重層洗浄緩衝液:50mM Tris-HCl(pH7.5)、0.2M NaCl、12mM 2-メルカプトエタ
ノール、0.1% ポリエチレングリコールおよび0.1mM CaCl2
B.重層アッセイ。
精製された組換えRACK1タンパク質(100-250μg/レーン、実施例2において詳
述されるように生成した)をSDS/PAGEで泳動し、そしてニトロセルロースメンブ
レンにブロットした(Ausubel)。ニトロセルロースメンブレンを小片に切り、PKC
アイソザイム(α、β、γ、δ、εおよびζ、各最終濃度約10nM)、およびPKCア
クチベーター(60μg/ml ホスファチジルセリン(PS)、2μg/ml ジアシルグリセ
ロール(DG)、および1mM CaCl2)の混合物の存在下または非存在下で、0.5時間、
重層緩衝液(実施例1)中でインキュベートした。非結合物質を、重層洗浄緩衝液
中で、各5分間の5回の洗浄により除去した。示される場合、ニトロセルロース
小片とともにPKCをインキュベートする間、PKCアクチベーターが在した。各サン
プルの条件および対応する結果は、以下のDに示す。
C.結合したPKCの検出。
ニトロセルロース小片上に固定化されたRACK1に対して結合したPKCを次のよう
に検出した。実施例1のBにおいて詳述されるように、小片を、抗PKC抗体の混
合物とともに室温で16時間インキュベートし、次いでPBS/Tween緩衝液で1回の
洗浄当たり15分間で3回洗浄した。小片を、2%のBSAを補充したPBS-Tween緩衝液
で、1:1000希釈した抗マウスおよび抗ウサギ西洋ワサビペルオキシダーゼ結合2
次抗体(Amersham Life Science,Arlington Heights,IL)とともに1時間、室温
でインキュベートした。PBS/Tween緩衝液で1回の洗浄当たり15分間で3回洗浄
した後、小片について製造業者のプロトコル(Amersham Life Science,Arlingto
n Heights,IL)に詳述されるように、ルミノール(ジアシルヒドラジド)とともに
化学ルミネセンス反応を行い、次いで30秒間〜5分間オートラジオグラフィーフ
ィルム(Eastman Kodak,Rochester,NY)に直ちに感光した。
D.RACK1へのPKC結合に対するPKC活性化の効果。
図2において表される結果は、ニトロセルロースメンブレン上で固定化された
RACK1へのPKCの結合に対するPKCアクチベーターの影響を示す。重層アッセイは
、上記Bにおいて詳述されたように行った。各サンプル中に含まれる試験試薬お
よ
び図2において示されるブロット上の対応するレーンは次のようである。レーン
1:PKC、60μg/ml PS、2μg/ml DGおよび1mM CaCl2;レーン2:PKCおよび1
mM EGTA;レーン3:PKC、60μg/ml PSおよび2μg/ml DG;レーン4:PKCおよ
び1mM CaCl2;レーン5:PKC添加せず;レーン6および7:PKC、60μg/ml PS
、2μg/ml DG、1mM CaCl2、および10μM基質ペプチド(配列番号11;レーン6)
または10μM偽基質ペプチド(配列番号12;レーン7)。結果は3回の独立した実
験の代表例である。
抗PKC抗体により検出されるように、PKCの結合は、EGTAまたはカルシウム単独
の存在下では最少であり(それぞれ図2、レーン2、4)、ホスファチジルセリン
(PS)およびジアシルグリセロール(DG;レーン3)の存在下ではより大きく、そし
てPS、DGおよびカルシウムの存在下で最大である(レーン1)ことが理解され得る
。抗体結合は、添加PKCの非存在下においては見られなかった(レーン5)。さら
に、マルトース結合タンパク質単独、または非形質転換E.coli由来の抽出物は、
PKCに結合しなかった。
RACK1に対するPKC結合の濃度依存性は、βPKCで特徴づけた。なぜなら、この
このアイソザイムは重層アッセイで使用したPKC混合物の主要成分であるからで
ある。半最大結合(half maximal binding)の平均は約0.375nMであり、そして最
大結合は約4nMであった(n=3;値は他のPKCアイソザイム存在下でのβPKCアイソ
ザイムの結合を反映し、そしてMochly-Rosenら(1991)において詳述されるように
、検出の直線範囲でオートラジオグラムを走査することにより測定した。
上記で示した結果は、PKCがRACK1に結合するために、それが活性化されねばな
らないことを示す。インビトロでは、活性化は、例えば、ホスファチジルセリン
およびジアシルグリセロールにより、または、より好ましくは、ホスファチジル
セリン、ジアシルグリセロールおよびカルシウムにより達成され得る。
実施例4
RACK1に特異的なWD-40相同ペプチドによる、RACK1へのPKC結合の阻害
推定の結合ペプチドによるRACK1へのPKC結合の阻害についてのアッセイを、上
記の実施例3のBにおいて詳述される重層プロトコルの改変プロトコルと下記の
Bにおいて詳述される重層抽出アッセイとを組み合わせることにより行った。重
層プロトコルの改変プロトコルは、PKCアイソザイム混合物を、固定化RACK1を含
有するニトロセルロース小片に接触するために使用する前に、推定の結合ペプチ
ドをPKCアイソザイムの混合物と15分間室温でインキュベートすることからなっ
た。
A.緩衝液。
サンプル緩衝液:0.3M Tris HCl、5% SDS、50% グリセロール、0.01% ブロモ
フェノールブルーおよび5% β-メルカプトエタノール。
B.重層抽出プロトコル。
PKCアイソザイムの混合物を含有する溶液と接触させた、固定化RACK1を含有す
るニトロセルロース小片を洗浄し、そして36kDa(RACK1含有)のバンドに対応する
領域を切出した。この小断片(PKC/RACK1複合体含有)を、サンプル緩衝液ととも
に10分間、80℃でインキュベートした。次いで、サンプル緩衝液およびニトロセ
ルロース片をPAGEゲル中のウェルにおき、そしてSDS-PAGEを行い、結合したタン
パク質を溶出した。ゲルをニトロセルロース上にブロットし、そして実施例1の
Bにおいて記載した抗体の混合物(PKCα、β、γ、δ、εおよびζアイソザイム
に特異的)を使用して、ウェスタンブロット分析を行った。結合した抗体を125I-
プロテインAにより検出した。
C.結合性ペプチドの存在下でのPKC重層。
RACK1のWD-40反復に由来するペプチドまたは相同なペプチドを、組換えRACK1
に対するPKCの結合を阻害するそれらの能力について試験した。RACK1に対するPK
Cの結合を、実施例3のBにおいて記載される重層手順の改変手順を使用して行
った。実験サンプルにおいて、ペプチドをラット脳PKCアイソザイム類(各約10nM
)の混合物を含有する溶液と、15分間、室温でインキュベートした。
改変された重層プロトコルが完了した後、サンプルについて、上記Bにおいて
詳述される重層抽出プロトコルを行った。
図3における結果は、ペプチドを、PKCとプレインキュベートしないで(レーン
1)またはプレインキュベートして(レーン2〜4)行った、RACK1に対するPKCの
結合を示す。レーン2は、10μMのペプチドI(配列番号1)とプレインキュベート
した後のPKCの結合を示す。ペプチドIは、添加されるペプチドが存在しない場合
の結合に比べると、組換えRACK1に対するPKCの結合を81±6%阻害した(n=3)。
レーン3および4は、それぞれ、10μMのペプチドrIII(配列番号4)および10μM
のペプチドrVI(配列番号7)とプレインキュベートした後のPKCの結合を示す。両
方のペプチドがRACK1に対するPKCの結合を阻害する。ペプチドrIIIは、幾分ペプ
チドrVIよりも効果的であることが観察され得る。示される結果は、3回の独立
した実験の代表である。
重層抽出法(上記、B)を、RACK1に対するPKC結合阻害のある部分が、PKC/RACK
1複合体への抗-PKC抗体の結合阻害を表す可能性を減少するために、PKC結合のペ
プチド阻害に関する実験で使用した。抗-PKC抗体により固定化されたPKC/RACK1
複合体をブロットおよび検出する前に、2回目のSDS/PAGEの間に、遊離ペプチド
はPKC/RACK1複合体から効果的に除去される。
実施例5
WD-40反復を含有する配列決定されたタンパク質の同定
ENTREZプログラム、リリース6.0(National Center for Biotechnology Inform
ation,National Library of Medicine,National Institutes of Health,Beth
esda,MD)を使用して、WD-40モチーフを含有するタンパク質についてサーチを行
った。ENTREZデータベースをトランスデューシン(transducin)のβサブユニット
に関連するタンパク質配列についてサーチした。
βトランスデューシンに相同なタンパク質配列を、上記の明細書のセクション
Vに示されるWD-40反復の同定のための指針に従って、WD-40反復の存在について
試験した。
これらのタンパク質はまた、WD-40反復を含み得るが、トランスデューシンの
βサブユニットには相同でない他のタンパク質を同定するため、データベースの
さらなるサーチを行うために使用した。2回目のサーチの間に同定された配列を
、
再度WD-40反復について試験した。
このサーチ戦略で、WD-40配列を含有する30のタンパク質を同定した。並べら
れ、輪郭が示されたWD-40領域を有するこれらのタンパク質のアミノ酸配列は、
図12〜18、20〜27、29〜30、34〜35、37〜38、40および42〜50に示される。配列
は、配列番号29〜35、37〜44、46〜47、51〜52、54〜55、57および59〜67として
配列表に表される。図中の配列の検査で、異なるタンパク質のWD-40モチーフ間
に相違があり得るものの、一致したパターンが、上記の明細書の第V部において
示される技術に基づいて推論され得る。
WD-40のコンセンサス配列(配列番号262)を使用した別のサーチを、「MACVECTOR」
プログラム(Eastman Kodak Co.,New Haven,CT)を用いて行い、GenBank(1993
年12月にリリース)をサーチした。デフォルト設定(default setting)(マトリク
ス=250)をサーチのために使用した。サーチによりコンセンサス配列に最も高い
相同性を有する250個のタンパク質を同定した。これらのタンパク質を、上記の
第V部において詳述されるように、WD-40反復について検査した。WD-40反復を含
有する10個の別のタンパク質が、この戦略で同定された。並べられ、輪郭を示さ
れたWD-40反復を有するこれらのタンパク質のアミノ酸配列を、図11、19、28、3
1〜33、36、39、41および51に示す。配列を、配列番号28、36、45、48〜50、53
、56、58および68として配列表に示す。
実施例6
RACK1 WD-40に由来するペプチドに対するβPKCの結合
A.緩衝液。
ペプチド重層ブロック緩衝液:20mM Tris-HCl(pH7.5)、0.2M NaCl、3%ウシ血
清アルブミン(BSA)および0.1% ポリエチレングリコール。
重層洗浄緩衝液:50mM Tris-HCl(pH7.5)、0.2M NaCl、12mM 2-メルカプトエタ
ノール、0.1% ポリエチレングリコールおよび0.1mM CaCl2。
B.固定化ペプチドのPKC重層。
ペプチドI(配列番号1)、ペプチドrVI(配列番号7)およびコントロールペプチ
ド(配列番号9)に対するβPKCの結合を、実施例3において詳述したアッセイと
類似のPKC重層アッセイを用いて評価した。20mM NaClに懸濁した増加する量のペ
プチド(0.5μモル、1.0μモル、5.0μモルおよび10.0μM)を、スロットブロット
装置(SchleicherおよびSchuell,Keene,NH)を使用してニトロセルロース上に個
別に適用した。ニトロセルロースメンブレンをペプチド重層緩衝液中、1回の洗
浄当たり15分間で3回洗浄し、そしてペプチド重層ブロック緩衝液中で2時間イ
ンキュベートした。メンブレンを切片に切断し、そして切片を異なるPKC含有溶
液に移し、そして30分間、室温でインキュベートした。全ての溶液は、ペプチド
重層緩衝液中に5nMのラット脳PKCを含んでいた。いくつかの溶液は、さらに、P
S、DGおよびカルシウムを含んでいた。次いで、メンブレンをペプチド重層緩衝
液中、1回の洗浄当たり15分間で3回洗浄し、そして抗-βPKCモノクローナル抗
体(1:1000希釈;Seikagaku Kogyo,Tokyo,Japan)を含有するペプチド重層ブロ
ック緩衝液中でインキュベートした。室温で16時間インキュベートした後、フィ
ルターをペプチド重層緩衝液中、1回の洗浄当たり15分間で3回洗浄した。
PKCの結合を、実施例3のCにおいて記載されるように、化学ルミネセンス反
応を使用して測定した。PKC結合の定量を、「MICRO SCAN」1000ゲル分析器(Galai
Inc.,Yokneam,Israel)を使用して行った。
データは、5μモルという低ペプチド量で、活性化されたPKCがペプチドIおよ
びrVIの両方に結合したが、コントロールペプチドには結合しなかったことを示
す。活性化されないPKCは、同じ濃度で、ペプチドIには結合しなかったが、ペプ
チドrVIには結合した。
これらの結果は、ペプチドrVIが活性化された形態のPKCおよび活性化されない
形態のPKCの両方に結合し得るのに対して、ペプチドIは、活性化されたPKCにの
み結合することを示す。
実施例7
PKC介在卵母細胞成熟に対するRACK1 WD-40由来ペプチドの効果
インスリンへの曝露は、PKC依存性経路を介してアフリカツメガエル卵母細胞
における成熟を誘導する(Smithら、1992)。成熟応答は、卵核胞崩壊(GVBD)およ
び成熟を示す卵母細胞の動物半球(animal hemisphere)における白点の出現をモ
ニターすることにより定量され得る。インスリンで誘導されるPKC介在成熟に対
するRACK1 WD-40由来ペプチドの効果を評価するために、示されたペプチド[ペプ
チドI(配列番号1;●)、ペプチドrVI(配列番号7;■)、または注入液(□)](50
μMのペプチド)を含む50nlの20mM NaCl溶液をアフリカツメガエル卵母細胞中へ
マイクロインジェクトした。記号は、この実施例に由来するデータを示す図5で
使用される記号である。ペプチドを注入した1時間後、卵母細胞をインスリン(8
.25μg/ml)を含有する溶液に2分間曝した(t=0)。10〜15個の卵母細胞を各サン
プルについて使用した。
3回の独立した実験の代表であるデータを、インスリン曝露後にGVBDを有する
卵母細胞のパーセントとして表し、図5に時間の関数としてプロットする。
緩衝液またはコントロールペプチドを注入した卵母細胞において、成熟の開始
は、代表的には、インスリンへの曝露後4〜5時間後であった。この遅延の後は
、%GVBDは、ほぼ指数的時間経過に従い、約10〜12時間で約85〜90% GVBDのプラ
トーに達した。これらのデータは、t=0でインスリンに曝された偽注入された卵
母細胞の約80〜85%が成熟に達し、実験の時間経過(20時間)に対して比較的速く(
約10時間以内)成熟に達することを示す。
ペプチドI(配列番号1)を注入した卵母細胞は、プラトーが約45〜50% GVBDで
あった以外は、コントロール卵母細胞に類似した様式で応答した。これらのデー
タは、ペプチドIの注入が、通常は成熟へと促進し得る卵母細胞の約40〜45%で成
熟をブロックしたが、残り(50〜55%)の卵母細胞の成熟の動態または範囲にはほ
とんど影響がなかったことを示す。
ペプチドrVI(配列番号7)を注入した卵母細胞は、僅かにより短かい遅延(約3
〜4時間)で応答したが、コントロールの卵母細胞よりも速く(約5時間以内)、
より高いプラトー(約95〜100%のGVBD)に達した。これらのデータは、ペプチドrV
Iが、成熟速度に関しておよび実験の間に成熟する卵母細胞の全画分においての
両方で、卵母細胞の成熟に対するインスリンの効果を増すことを示唆する。ペプ
チドrVIの注入は、成熟する画分を本質的に100%まで増加する。
GVBDに対するペプチドIおよびペプチドrVIの両方の効果は、5μm〜500μMの
間で濃度依存性であった。
ペプチドrVIが、インスリンで誘導されるGVBDを増強するので、ペプチドrVIが
、インスリンの非存在下でGVBDを誘導し得るかどうかを決定するために実験を行
った。これらの実験からのデータを図5Bに示す。ペプチドrVI(50μM)単独のマ
イクロインジェクションは、GVBDを誘導したが、ペプチドI、コントロールペプ
チドまたは緩衝液はGVBDを誘導しなかった。成熟は、図5A中の、コントロール
のインスリン誘導卵母細胞において(約4〜5時間)よりも長い遅延(約6〜7時
間)で開始され、そして約50%GVBDのプラトーに到達した。
同時に、上記のデータは、RACK1のWD-40領域に相同なペプチドがPKCの機能を
調節することを示す。ペプチドIは、PKCが介在する卵母細胞成熟を約40%阻害し
、その一方ペプチドrVIは、インスリン誘導成熟を増加し、そしてインスリンの
非存在下でさえ限られた成熟応答を生じた。後者の結果は、適切な状況下で、ペ
プチドrVIが、他の活性化物質の非存在下で、PKCを活性化するために作用し得る
ことを示唆する。
実施例8
アフリカツメガエル卵母細胞におけるPKCトランスロケーションに対する
RACK1 WD-40由来ペプチドの効果
A.緩衝液。
ホモジナイズ緩衝液:20mM Tris HCl(pH7.5)、10mM EGTA、2mM EDTA、0.25M
スクロース、10μM フェニルメチルスルホニルフルオライド、ロイペプチンおよ
びダイズトリプシンインヒビター各20μg/ml。
B.卵母細胞におけるPKCのトランスロケーション。
インスリンは、可溶性画分と卵母細胞ホモジネートの粒子画分におけるPKCの
相対レベルにより証明されるように、βPKCの細胞質ゾル形態から膜結合形態へ
のトランスロケーションを引き起こすが、他のPKCアイソザイムのトランスロケ
ーションは引き起こさない。インスリンで誘導されるPKCトランスロケーション
に対するRACK1 WD-40由来ペプチドの効果を評価するために、示されたペプチド
を含有する50nlの20mM NaCl溶液をアフリカツメガエル卵母細胞にマイクロイン
ジェクションした。次いで、卵母細胞をホモジナイズし、そして可溶性画分およ
び粒子画分におけるPKCの相対量をアッセイした。従ったプロトコルは、Smithら
(1992)により記載される方法の改変方法である。結果を図6に示す。
50個の卵母細胞のバッチにペプチドrVI(配列番号7;50μM;レーン3、4)、
ペプチドI(配列番号1;50μM、レーン7、8)または注入液(NaCl 20mM、レーン
1、2および5、6)のいずれかをマイクロインジェクトした。各バッチ由来の
ホモジネートを、マイクロインジェクションの60分後(レーン1〜4)、またはイ
ンスリン添加の60分後(レーン5〜8)に調製した。ホモジネートを10,000gで3
分間遠心分離し、上層(脂質および卵母細胞黄を含有)を除去し、そして残りを-7
0℃で凍結した。使用する前に、サンプルを解凍し、200μlのホモジナイズ緩衝
液を添加し、そしてサンプルを100,000gで30分間、4℃で遠心分離した。上清(
可溶性画分)を取り出して「CENTRICON」濃縮装置(Amicon,Beverly,MA)を用いて2
0μlに濃縮した。ペレット(粒子画分)を20μlのホモジナイズ緩衝液に溶解した
。サンプルを8%のSDS/PAGEゲルで分析し、そしてニトロセルロース上にブロッ
トした。各画分におけるPKCの量を抗-βPKC抗体(1:1000希釈;Seikagaku Kogyo
,Tokyo,Japan)を使用してウェスタンブロットにより測定した。結合した1次抗
体を実施例3のCにおいて記載したように化学ルミネセンスにより検出した。
抗体は、βPKCに対応する約80kDaタンパク質との免疫反応性を示した。データ
は、3回の実験の代表である。
データを図6に示す。レーン1、3、5および7は、粒子画分(p)を含有し、
レーン2、4、6および8は、可溶性(細胞質ゾル)画分(c)を含有する。ペプチ
ドI(50μM)は、未処理の卵母細胞においてβPKCの分布に影響しなかったが、イ
ンスリンで誘導されるβPKCのトランスロケーションを阻害した(図3、レーン7
、8)。対照的に、ペプチドrVI(50μM)は、インスリン処理をしない場合におい
てβPKCのトランスロケーションを誘導した(図3、レーン3、4)。
上記の結果は、ペプチドIはインスリンで誘導されるPKCのトランスロケーショ
ンのアンタゴニストであり、その一方ペプチドrVIはアゴニストおよびPKCトラン
スロケーションのアクチベーターであることを示唆する。実施例7において示さ
れる結果を考慮すれば、このデータはまた、ペプチドIのマイクロインジェクシ
ョン後にインスリンで誘導されるGVBDの阻害は、βPKCトランスロケーションの
阻害に起因したことも示唆している。
実施例9
Arg-CエンドペプチダーゼへのPKCの感受性に対するRACK1 WD-40
由来ペプチドの効果
A.緩衝液。
サンプル緩衝液:0.3M Tris HCl、5% SDS、50% グリセロール、0.01% ブロ
モフェノールブルーおよび5% β-メルカプトエタノール。
B.Arg-CエンドペプチターゼによるβPKCのニッキング(nicking)。
PKCの活性化に際し、分子のN末端で偽基質の自己阻害配列は触媒部位から分
離され、そしてエンドペプチダーゼArg-Cに対して感受性になる(Orrら)。PKCア
クチベーターの非存在下では、80kDa βPKCのエンドペプチダーゼArg-Cへの曝露
は、酵素に対してなんら影響を有さない(図7、レーン1を参照のこと)。しかし
、PKCアクチベーターであるPS、DGおよびカルシウムの存在下では、βPKCのArg-
Cへの曝露は、PKCのニッキング(すなわち、78kDaのフラグメントおよびいくつか
の小さなフラグメントを生成する限定されたタンパク質分解(図7、レーン2を
参照のこと))を生じる。Arg-Cへの曝露を続けるとβPKCが消失する(Orrら)。本
実験は、RACK1のWD-40領域に由来するペプチドが、エンドペプチダーゼArg-Cに
対するβPKCの感受性を改変するかどうかを試験する。
Arg-C感受性をアッセイするために使用される方法は、Orrらにより記載される
方法の改変方法である。ラット脳PKC(約5nM)を、示されるペプチド(最終濃度10
μMまたは示されるように)、PS、DG、およびカルシウム(示されるように)の存在
下または非存在下で、500μlの20mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)単独またはArg-C(5
ユニット/ml)中室温でインキュベートした。示されるような(レーン5および6
を除き、全てのレーンでサンプルを30分間インキュベートし、レーン5および6
は、それぞれ5分間および15分間インキュベートした)反応の間、50μlのアリコ
ートを20μlのサンプル緩衝液中に移した。サンプルを10分間、80℃で煮沸し、
そして8%のSDS/PAGEにかけた。βPKCを、実施例6および8において記載したよ
うに抗-βPKC抗体を用いてウェスタンブロット分析により検出した。
結果を図7に示す。PKCを、単独で示される時間(レーン1)、またはArg-Cの存
在下(レーン2〜9)で、DG(0.8μg/ml)、PS(50μg/ml)およびCaCl2(1mM;レー
ン2)とともに、PS(50μg/ml)およびCaCl2(1mM;レーン3)とともに、PS(2.5μ
g/ml)およびCaCl2(50μM;レーン4)とともに;PS(2.5μg/ml)、CaCl2(50μM)お
よびペプチドrVI(配列番号7;10μM;レーン5〜7)、コントロールペプチド(
配列番号9;レーン8)のいずれかとともにまたはペプチドI(配列番号1;レー
ン9)とともにインキュベートした。
ペプチドを添加せずに低濃度のアクチベーター(2.5μg/mlのPSおよび50μMのC
aCl2)で、Arg-CとβPKCとをインキュベートすると、感知し得るニッキング活性
を生じなかった(図7レーン4)。同様に、この濃度のアクチベーターの存在下で
は、ペプチドI(レーン9)またはコントロールペプチド(レーン8)を使用しても
、βPKCのニッキングは生じなかった。しかし、ペプチドrVIの存在下では同じ濃
度のアクチベーターとβPKCのインキュベーションで、78kDaのニックの入ったPK
Cフラグメントが時間に依存して出現した(図4、レーン5−7)。10nM程度の低
濃度のペプチドrVIが、βPKC活性化を指示するニック活性を生じるに十分であっ
た。この結果は、ペプチドIではなく、ペプチドrVIが低濃度のPKCアクチベータ
ー条件下で(そうでなければArg-Cに酵素感受性を与えないであろう)、PKCをArg-
C感受性にする活性化形態に安定化するために有効であることを示す。
実施例10
PKCの自己リン酸化に対するRACK1 WD-40由来ペプチドの効果
活性化PKCは自己リン酸化し得る。ペプチドrVI(配列番号7)は、インスリンな
どのアクチベーターの非存在下で、PKCのトランスロケーションおよびGVBDを誘
導するために効果的であるので、PKCアクチベーターの非存在下でペプチドがPKC
自己リン酸化を誘導する能力を評価した。
Makowskeらにより記載される方法の改変方法を使用して、βPKCの偽基質抗体
または示されたペプチドの存在下で、PKC自己リン酸化を行った。先に、PKCアク
チベーターの非存在下で自己リン酸化を誘導することが示された抗-偽基質抗体(
Makowskeら)を陽性コントロールとして使用した。結果を図8に示す。
ラット脳PKC(約10nM)を、実施例1のように、抗-βPKC偽基質抗体(1:10希釈、
Life Technologies,Gaithersburg,MD)または示されたペプチド(10μM)のいず
れかとともに、最終容量250μlの重層緩衝液中、穏和な撹拌でインキュベートし
た。示される場合、PS(50μg/ml)、DG(0.8μg/ml)およびCaCl2(1mM)もまた添加
した。自己リン酸化の量を、抗-偽基質抗体との反応については2時間後、また
は他のサンプルについては15分後に測定した。50μlの緩衝液は、20m MTris-HCl
(pH7.5)、20mM MgCl2、20μM ATPおよび5μci/ml[γ-32P]ATPからなった。混合
液を15分間室温でインキュベートし、そして反応を60μlのサンプル緩衝液を添
加することにより停止した(実施例9を参照のこと)。次いでサンプルを10分間煮
沸し、10%のSDS/PAGEミニゲルにロードし、そして電気泳動した。ゲルを50%メタ
ノールおよび10%の酢酸で1時間固定し、そしてPKCの自己リン酸化をオートラジ
オグラフィーにより測定した。
図8における結果は、DG、PS、およびカルシウムの存在下(レーン1)、EGTAの
存在下(レーン2)、抗-βPKC偽基質抗体の存在下(20mM Tris-HCl中1:10希釈;レ
ーン3)、ペプチドrVIの存在下(配列番号7;10μM;レーン4)、ペプチドIの存
在下(配列番号1;10μM;レーン5)またはコントロールペプチドの存在下(配列
番号9;10μM;レーン6)におけるPKCの自己リン酸化を示す。
PKCアクチベーターの非存在下におけるペプチドrVIは、至適濃度のPS、DG、お
よびカルシウムの存在下において得られる自己リン酸化の80%以上のPKC自己リ
ン酸化を誘導した(図8レーン1(コントロール)とレーン4(ペプチドrVI)を比較
のこと)。ペプチドIまたはコントロールペプチドのいずれも、PKCアクチベータ
ーの非存在下で、PKCの自己リン酸化を誘導しなかった(それぞれ、図8のレーン
5および6)。
実施例11
PKCによるヒストンリン酸化に対するRACK1 WD-40由来ペプチドの効果
PKCをペプチドrVI(配列番号7)とインキュベートすると、PKCによるヒストン
リン酸化を誘導した。使用した方法は、Mochly-Rosenら(1987)によって記載され
るプロトコルの改変プロトコルであった。結果を図9に示す。
ペプチドrVIの非存在下(レーン1)および存在下(10μM)で(レーン2および3)
およびDG(0.8μg/ml)、PS(50μg/ml)およびCaCl2(1mM)の存在下および非存在下
で(レーン3)、ヒストンIII型(Sigma Chemical Company,St.Louis,MO)をPKC(
約10nM)によりリン酸化した。結果を、DG(0.8μg/ml)、PS(50μg/ml)およびCaCl2
(1mM)の存在下のPKCによるヒストンリン酸化の量をコントロールとしたパーセ
ンテージとして表す。結果は2回の独立した実験の平均±SEMである。PKCをまず
、上記のように重層緩衝液中、ペプチドrVI(10μM)とともに15分間インキュベー
トした。ヒストンIII型(40μg/ml)を、PS(50μg/ml)、DG(0.8μg/ml)およびCaCl2
(1mM)を含むかまたは含まないTris-HCl(20mM)、MgCl2(20mM)、ATP(20μM)およ
び[γ-32P]ATP(5μci/ml)中に添加した。ヒストンリン酸化を上記のようにオー
トラジオグラフィーにより測定した。
PKCアクチベーターであるPS、DG、およびカルシウムは、ペプチドrVIで誘導さ
れる自己リン酸化またはヒストンリン酸化のいずれにも必要とされず、ペプチド
rVIがPKC活性化のアゴニストであることを示唆した。
関連する実験において、ヒストンIII型(25μM)のPKC(10nM)によるリン酸化は
、RACK1により阻害されず;むしろ、約100nMのRACK1を同時にインキュベートし
た場合、ヒストンリン酸化を4.5±0.1倍増加した(n=2)。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
G01N 33/573 0276−2J G01N 33/573 A
//(C12N 1/21
C12R 1:19)
(C12P 21/02
C12R 1:19)
(72)発明者 ロン, ドリット
アメリカ合衆国 カリフォルニア 94114,
サンフランシスコ,アルバラド ストリ
ート 840
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1.第1のタンパク質の活性を変化させるのに効果的なポリペプチド組成物で あって、ここで、第1のタンパク質は第2のタンパク質と相互作用し、そして第 2のタンパク質は少なくとも1つのWD-40領域を含み、 該ポリペプチドは4および50の間のアミノ酸を有し、その配列が該第2のタン パク質のWD-40領域中の同じ長さの配列と同じである、 組成物。 2.前記ポリペプチドが前記第1のタンパク質と前記第2のタンパク質との間 の相互作用を阻害し;そして/または前記ポリペプチドが前記第1のタンパク質 の活性のアゴニストであり;そして/または前記ポリペプチドが前記第1のタン パク質の活性のアンタゴニストである、請求項1に記載の組成物。 3.前記WD-40領域が配列番号76から261よりなる群に由来するアミノ酸配列を 有する、請求項1または2に記載の組成物。 4.前記WD-40領域が配列番号76から261よりなる群から選択されるアミノ酸配 列を有する、請求項3に記載の組成物。 5.前記ポリペプチドが固体支持体に結合される、請求項1に記載のポリペプ チド組成物。 6.前記第1のタンパク質を選択的に結合させる方法であって、 該第1のタンパク質を含有すると推定される試料を請求項5に記載のポリペプ チド組成物と接触させる工程;および 該組成物からいずれもの結合しなかった試料成分を除去する工程 を包含する、方法。 7.第2のタンパク質のWD-40領域中に含まれる同じ長さの配列と同じ配列を 有するポリペプチドとの第1のタンパク質の相互作用を評価する方法であって、 該第1のタンパク質を含有する試料をポリペプチド組成物と接触させる工程で あって、ここで、該ポリペプチドは4および50の間のアミノ酸を有し、その配列 が該第2のタンパク質のWD-40領域中の同じ長さの配列と同じである、工程、お よび 該第1のタンパク質と該ポリペプチド組成物とのいずれもの相互作用を観察す る工程 を包含する、方法。 8.候補化合物の第1のタンパク質に結合する能力を評価する方法であって、 該候補化合物の存在下および非存在下で、該第1のタンパク質を該第1のタン パク質に結合するポリペプチド組成物と接触させる工程であって、ここで、該組 成物のポリペプチドは4および50の間のアミノ酸を有し、その配列が該第1のタ ンパク質と相互作用する第2のタンパク質のWD-40領域中の同じ長さの配列と同 じである、工程;および 該候補物の存在下および非存在下での該ポリペプチドの結合を測定する工程を 包含し、 ここで、該候補物の非存在下に対して該候補物の存在下での該ポリペプチドの 結合が減少することが、該候補物が該第1のタンパク質に結合することを示す、 方法。 9.第2のタンパク質と相互作用する第1のタンパク質の活性を変化させる方 法であって、ここで該第2のタンパク質は少なくとも1つのWD-40領域を含み、 4および50の間のアミノ酸を有し、その配列が第2のタンパク質中のWD-40領 域中の同じ長さの配列と同じであるポリペプチドを選択する工程、および 該ポリペプチドと該第1のタンパク質との間で複合体を形成させる条件下で該 ポリペプチドと該第1のタンパク質とを接触させる工程であって、ここで、該相 互作用が該第1のタンパク質の活性を変化させるのに効果的である、工程 を包含する、方法。 10.前記接触工程が前記第1および第2のタンパク質間の相互作用を阻害す るのに効果的であり;そして/または前記接触工程が前記第1のタンパク質の活 性を刺激するのに効果的であり;そして/または前記接触工程が前記第1のタン パク質の活性を阻害するのに効果的である、請求項9に記載の方法。 11.前記ポリペプチドが配列番号76から261よりなる群に由来する、請求項 5から10のいずれかに記載の方法。 12.前記ポリペプチドが配列番号76から261よりなる群から選択される、請 求項11に記載の方法。 13.請求項1から4のいずれかに記載のポリペプチドをコードするヌクレオ チド配列を有するDNA分子からなる、DNA分子組成物。 14.請求項1から4のいずれかに記載のポリペプチドの生産のための発現系 を含むDNA分子であって、ここで、該発現系は該ポリペプチドをコードするヌク レオチド配列を有し、該ヌクレオチド配列が、該コーディングヌクレオチド配列 の発現に影響を与え得る制御配列に作動可能に連結される、DNA分子。 15.請求項14に記載の発現系を含むように改変された、組換え宿主細胞。 16.4および50の間のアミノ酸を有し、その配列が第1のタンパク質と相互 作用する第2のタンパク質のWD-40領域中の同じ長さの配列と同じであるポリペ プチドを生産する方法であって、 前記ヌクレオチド配列が発現されて該ポリペプチドを生産する条件下で請求項 15に記載の細胞を培養する工程;および 必要に応じて該培養物から該ポリペプチドを回収する工程; を包含する、方法。 17.プロテインキナーゼCの活性を変化させるのに効果的なポリペプチド組 成物であって、該プロテインキナーゼCは第2のタンパク質と相互作用し、そし て該第2のタンパク質は少なくとも1つのWD-40領域を含み、 該ポリペプチドは4および50の間のアミノ酸を有し、その配列が第2のタンパ ク質のWD-40領域中の同じ長さの配列と同じである、 組成物。 18.前記第2のタンパク質が活性化プロテインキナーゼCのレセプターであ る、請求項17に記載の組成物。 19.前記第2のタンパク質が配列番号27により表される配列を有する、請求 項18に記載の組成物。 20.前記ポリペプチドがプロテインキナーゼCの活性のアゴニストであり; そして/または前記ポリペプチドがプロテインキナーゼCの活性のアンタゴニス トであり;そして/または前記ポリペプチドがプロテインキナーゼCと前記第2 のタンパク質との間の相互作用を阻害する、請求項17に記載の組成物。 21.前記ポリペプチドが、配列番号7、配列番号4、または配列番号2によ り表される配列を有する、請求項20に記載の組成物。 22.前記WD-40領域が、配列番号69から75よりなる群に由来するアミノ酸配 列を有する、請求項17に記載の組成物。 23.前記WD-40領域が配列番号69から75よりなる群から選択されるアミノ酸 配列を有する、請求項22に記載の組成物。 24.前記ポリペプチドが固体支持体に結合される、請求項17に記載のポリ ペプチド組成物。 25.プロテインキナーゼCを選択的に結合させる方法であって、 プロテインキナーゼCを含有すると推定される試料を請求項24に記載のポリ ペプチド組成物と接触させる工程;および 該組成物からいずれもの結合しなかった試料成分を除去する工程 を包含する、方法。 26.プロテインキナーゼCと第2のタンパク質のED-40領域中に含まれる同 じ長さの配列と同じ配列を有するポリペプチドとの相互作用を評価する方法であ って、 該プロテインキナーゼCを含有する試料をポリペプチド組成物と接触させる工 程であって、ここで、該ポリペプチドが、4および50の間のアミノ酸を有し、そ の配列が第2のタンパク質のWD-40領域中の同じ長さの配列と同じである、工程 、および プロテインキナーゼCと該ポリペプチド組成物とのいずれもの相互作用を観察 する工程 を包含する、方法。 27.候補化合物のプロテインキンーゼCを結合する佳力を評価する方法であ って、 該候補化合物の存在下および非存在下で、該プロテインキナーゼCを、該プロ テインキナーゼCを結合するポリペプチド組成物と接触させる工程であって、こ こで、該組成物のポリペプチドは4および50の間のアミノ酸を有し、その配列が 、該プロテインキナーゼと相互作用する第2のタンパク質のWD-40領域中の同じ 長さの配列と同じである、工程;および 該候補物の存在下および非存在下での該ポリペプチドの結合を測定する工程を 包含し、 ここで、該候補物の非存在下に対して該組成物の存在下で該ポリペプチドの結 合が減少することが、該候補物が該プロテインキナーゼCに結合することを示す 、方法。 28.第2のタンパク質と相互作用するプロテインキナーゼCの活性を変化さ せる方法であって、ここで、該第2のタンパク質は少なくとも1つのWD-40領域 を有し、 4および50の間のアミノ酸を有し、その配列が第2のタンパク質のWD-40領域 中の同じ長さの配列と同じであるポリペプチドを選択する工程、および 該ポリペプチドと該プロテインキナーゼCとの間で複合体を形成させる条件下 で該ポリペプチドを該プロテインキナーゼCと接触させる工程であって、ここで 、該相互作用が該プロテインキナーゼCの活性を変化させる、工程 を包含する、方法。 29.前記接触工程が前記プロテインキナーゼCと前記第2のタンパク質との 間の相互作用を阻害するのに効果的であり;そして/または前記接触工程が前記 プロテインキナーゼCの活性を刺激するのに効果的であり;そして/または前記 接触工程が前記プロテインキナーゼCの活性を阻害するのに効果的である、請求 項28に記載の方法。 30.前記ポリペプチドが、配列番号2、配列番号4、または配列番号7によ り表されるアミノ酸配列を有する、請求項29に記載の方法。 31.前記ポリペプチドが、配列番号69から75よりなる群に由来する、請求項 28に記載の方法。 32.前記ポリペプチドが、配列番号69から75よりなる群から選択される、請 求項31に記載の方法。 33.請求項17から23のいずれかに記載のポリペプチドをコードするヌク レオチド配列を有するDNA分子からなる、DNA分子組成物。 34.請求項17から23のいずれかに記載のポリペプチドを生産するための 発現系を含むDNA分子であって、ここで、該発現系が該ポリペプチドをコードす るヌクレオチド配列を有し、該ヌクレオチド配列が、該コーディングヌクレオチ ド配列の発現に影響を与え得る制御配列に作動可能に連結される、DNA分子。 35.請求項34に記載の発現系を含むように改変された、組換え宿主細胞。 36.4および50の間のアミノ酸を有し、その配列が、プロテインキナーゼC と相互作用する第2のタンパク質のWD-40領域中の同じ長さの配列と同じである ポリペプチドを生産する方法であって、 前記ヌクレオチド配列が発現されて該ポリペプチドを生産する条件下で請求項 35に記載の細胞を培養する工程;および 必要に応じて該培養物から該ポリペプチドを回収する工程 を包含する、方法。
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