JPH09510433A - 生物学的に活性な物質を細胞に送達する方法 - Google Patents

生物学的に活性な物質を細胞に送達する方法

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JPH09510433A JP7516980A JP51698094A JPH09510433A JP H09510433 A JPH09510433 A JP H09510433A JP 7516980 A JP7516980 A JP 7516980A JP 51698094 A JP51698094 A JP 51698094A JP H09510433 A JPH09510433 A JP H09510433A
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エフ.エイチ. ウォラック,ドナルド
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Abstract

(57)【要約】 生物学的に活性な物質を細胞に伝達する方法を提供する。この方法は、伝達すべき物質を、細胞との融合に際して細胞を溶解させない少ラメラ非リン脂質キャリアー小胞に封入し、そのキャリアー小胞を細胞に最も近い位置に送達し、そのキャリアー小胞の非リン脂質二重層をその細胞の膜と融合させて、封入した物質をその細胞中に拡散させることを含む。この方法を用いて、様々な生物学的に活性な物質を、イン・ビトロ又はイン・ビボで細胞に伝達することができる。この方法は、生物学的に活性な物質を、直接、細胞の細胞質に伝達するための手段を提供する。細胞との融合に際して、非リン脂質小胞の二重層と結合した物質は、細胞の外膜中に取り込まれる。従って、二重層に結合した物質を細胞に伝達する方法をも提供する。

Description

【発明の詳細な説明】 生物学的に活性な物質を細胞に送達する方法発明の背景 本発明は、生物学的に活性な物質を細胞に送達する方法を特徴とする。特に、 本発明は、生物学的に活性な物質を非リン脂質小胞に封入し、その小胞を細胞に 送達し、その小胞と細胞とを融合させて生物学的に活性な物質を細胞内に拡散さ せ、それにより、生物学的に活性な物質を細胞内に送達する方法を特徴とする。 この脂質小胞は、封入された物質を、細胞外不活性化から保護し、標的細胞の外 膜に融合することにより、封入された物質を直接その細胞の細胞質中に送達する 。この細胞との融合において、非リン脂質小胞の二重層と結合した物質は直接標 的細胞膜中に取込まれる。従って、本発明は又、二重層に結合した物質を細胞に 送達する方法をも特徴とする。 生物学的に活性な物質の細胞への送達は、広範囲の治療の必須要素である。か かる治療は、細胞に必要な酵素活性を有する蛋白質を供給すること、新規なDN A分子を細胞に供給すること(遺伝子治療)、患者を外来蛋白質に対して免疫に すること(ワクチン接種)、蛋白質をコードする遺伝子を導入することにより患 者をその蛋白質に対して免疫にすること(遺伝子ワクチン接種)及び 細胞における蛋白質の産生を、その細胞に、その蛋白質をコードするmRNAに 対してアンチセンスである核酸分子を与えるか或はその蛋白質をコードするmR NAを邪魔することによって阻止することを含む。生物学的に活性な物質の細胞 への導入が、しばしば、望ましいのであるが、これを達成するためには克服すべ き幾つかの障害がある。生物学的に活性な物質の細胞への送達は、物質を、その 活性を維持しつつ且つ標的細胞にダメージを与えずに、細胞の外側から細胞の内 側へ運ぶことを含む。細胞の外膜の多くを構成するリン詣質二重層は、物質の細 胞中への無差別の侵入を阻止する。ある種の疎水性分子が、外膜を通って受動的 に細胞質中へ拡散し得ても、細胞と出会った殆どの物質は、その細胞内に自由に 入ることはできない。細胞膜を通る「チャネル」を形成するトランスポーター蛋 白質は、ある種の特定の分子(通常、小分子)の細胞内への通過を与える(例え ば、イオンチャネル)。細胞は又、特定のリガンドと結合してそれらの細胞内へ の侵入を与える表面レセプター(一般に、膜内在性蛋白質の形態である)を発現 する。特定の細胞表面レセプターに結合した分子は、一般に、レセプター媒介の エンドサイトーシスにより細胞に入る。他の細胞外物質は、非特異的エンドサイ トーシス(例えば、ピノサイトーシス)によって、細胞により取込まれ得る。し かしながら、エンドサイトーシス経路により細胞に入る物質は、一般に、分解酵 素を含むリソソーム小 胞に合体する。それ故、このルートで細胞に入る物質は、しばしば、破壊され又 は修飾される。更に、物質は、細胞に入る前に破壊され得る。体内においては、 細胞外物質は、それらが何らかの方法で保護されていないならば、多くの異なる 機構による不活性化及び/又は分解にさらされている。 生物学的に活性な物質を細胞内に取込むための様々なアプローチが為されたが 、それらのアプローチの殆どは、運ぶことのできる型の物質に限る等の制限を受 け、これはそれらの有用性を制限している。例えば、核酸例えばDNAを、多く のトランスフェクション技術によって細胞内に導入することができ、その多くは 、細胞膜を化学的に(例えば、リン酸カルシウム沈殿、DEAE−デキストラン 、リポフェクション)又は電気的に(例えば、エレクトロポレーション)かき乱 す。化学媒介のトランスフェクション技術の幾つか(DNAがカチオン性脂質と 複合体を形成するリポフェクション等)は、恐らく、DNAのエンドサイトーシ スによる取込みを含むのであろう。これらの技術は核酸を細胞に導入するのに有 用であるが、それらは、多くの他の型の物質に適用できない。細胞に物質を送達 するための多くの公知のアプローチの他の制限は、それらがイン・ビボ状況で適 用できず、それ故、標的細胞がイン・ビトロで利用可能であることを必要として いることである。例えば、多くの上記のDNAトランスフェクション技術は、イ ン・ビトロ では有用であるが、イン・ビボ状況に転用することはできない。他の型の技術で あるマイクロインジェクションを用いて種々の型の物質を細胞質中に導入するこ とができるが、これは技術的に単調で退屈であり且つ改変し得る幾つかの細胞に 限られている。他のアプローチは、ウイルス例えばレトロウイルスを使用して物 質を細胞に導入することを含む。ウイルス媒介のトランスファーは、イン・ビボ で実施することができるが、それは、主としてDNAを細胞に導入するために有 用であり、他の型の物質については有用ではないであろうし、又、DNAについ てさえも、能力が限られている(例えば、トランスファーし得るDNAの長さに おける制限)。イン・ビボにおける物質の細胞への伝達を可能にする技術は限ら れており且つ通常望まれる特定の細胞を標的として物質を送達することを可能に しないであろうから、物質の大規模な系統的投与の要求へと導く。 種々の生物学的に活性な物質の細胞への伝達をイン・ビボ又はイン・ビトロで 可能にする送達システムは、送達前の細胞外及び送達後の細胞内の両方において 物質を不活性化から保護し、特定の細胞を標的として物質を送達することのでき るものが多くの治療応用に非常に望ましい。かかるシステムの開発における一つ のアプローチは、生物学的に活性な物質を運び且つ保護し、必要ならば標的を定 めて送達することができ、その物質の細胞内への侵入を媒介することのできるキ ャリアービヒクルを デザインすることである。物質の細胞への送達のための可能なキャリアービヒク ルは、脂質小胞である。脂質小胞は、脂質が脂質二重層の形態に組織された高脂 質含量を有する物質から作られた実質的に球形の構造である。単ラメラ小胞は、 水性容積を封入することのできる不定形の中央空隙を囲む単一の脂質二重層を有 する。単ラメラ小胞は、大きな単ラメラ小胞(LUV;約1mより大きい直径) 又は小さな単ラメラ小胞(SUV;約0.2mより小さい直径)の何れかとして 製造することができる。多重ラメラ小胞(MLV)は、脂質二重層の多くのタマ ネギ様の殻を有する。それらの高脂質含量の故に、MLVは、ある種の小さい親 油性分子を運ぶための用途を有するが、水性物質に対しては低い運搬容量を有す る。少ラメラ小胞(PLV)は、脂質二重層を含まない中央空隙を囲む水性層に より分離された実質的に球形の殻の形状に配置された約2〜10の二重層を有す る。PLVは、水性及び疎水性物質の両者を封入することができ、それ故、多種 類の物質を運ぶことができる。 リン脂質及び/又は糖脂質の単一二重層からなる単ラメラ小胞は、リン脂質が 細胞外膜を含む天然の膜の一次構造成分であるので、細胞膜構造のモデリングの ために最も普通に用いられる脂質小胞である。リン脂質小胞は、生物学的に活性 な物質を細胞に送達するためのキャリアービヒクルとして用いられてきた。しか しながら、かかる小胞は、細胞の外膜と融合せず、むしろ、一般 に、エンドサイトーシスにより細胞に取込まれてリソソーム分解経路に入る。次 いで、この脂質小胞により運ばれた生物学的に活性な物質は、リソソームの酵素 によって破壊される。この運命を回避するリン脂質小胞を構築する試みが為され てきた。リソソーム経路を回避するために用いられた方法は、エンドソームの酸 性環境においてエンドソーム膜と融合し、それにより、それらの内容物をリソソ ームの酵素にさらされる前に放出するpH感受性リポソームの使用、及びウイル ス性融合蛋白質をリン脂質小胞に取込ませて小胞と細胞外膜との融合を促進し、 それにより、小胞のエンドサイトーシスを回避することを含む。リン脂質小胞の 媒介による物質のトランスファーの総説は、Mannino,R.J.及びGould-Fogerite, S.,BioTechniques,6:682(1988); Litzinger,D.C.及びHuang,L.,Biochim.e t Biophys.Acta,1113:201(1992)を参照されたい。 生物学的に活性な物質の細胞への送達のためのキャリアービヒクルとしてのリ ン脂質小胞の使用は、封入した物質のリソソームでの破壊を回避するように小胞 を操作する必要性により制限される。更に、リン脂質小胞は、製造するのに高価 であり得て、イン・ビトロで不安定であり、且つイン・ビボのホスホリパーゼの 活性のためにイン・ビボで長期間安定でいられない。生物学的に活性な物質の送 達のための別のキャリアービヒクルは、少ラメラ非リン脂質小胞である。少ラメ ラ非リン脂質小胞の 利点は、それらがリン脂質小胞よりも製造するのが安価であり、イン・ビボでリ ン脂質小胞よりも一層安定であり、且つ封入する物質に対する大きい運搬容量を 有することを含む。今や、ある種の少ラメラ非リン脂質小胞が細胞と接触した場 合には、それらが細胞の溶解を引き起こさず且つエンドサイトーシスによっては 細胞に取込まれず、むしろ細胞の外膜と融合することが発見されている。従って 、エンドサイトーシス経路に導かれ最終的にリソソーム経路に導かれることなく 、少ラメラ非リン脂質小胞により運ばれる物質は、細胞の細胞質に直接導入され る。更に、融合に際して、この小胞の非リン脂質二重層は、細胞の外膜に取込ま れる。 従って、この発明の目的は、生物学的に活性な物質を非リン脂質小胞キャリア ーを用いて細胞に伝達する方法を提供することである。 この発明の他の目的は、生物学的に活性な物質を、非リン脂質小胞キャリアー を用いて、哺乳動物のイン・ビボの細胞に伝達する方法を提供することである。 この発明の更なる目的は、生物学的に活性な物質を、その物質を運ぶ非リン脂 質小胞と細胞外膜との融合により直接細胞質に送達する方法を提供することであ る。 この発明の更なる目的は、非リン脂質小胞の二重層と結合した物質を、その非 リン脂質小胞と細胞外膜との融合によって細胞のリン脂質外膜に送達する方法を 提供することである。 この発明のこれらの及び他の目的及び特徴は、後述の説明及び請求の範囲から 明らかとなろう。発明の要約 本発明は、生物学的に活性な物質を、イン・ビボ又はイン・ビトロで、細胞に 伝達する方法を特徴とする。生物学的に活性な物質を非リン脂質小胞中に封入し 、その小胞を細胞と接触させ、その小胞を細胞の外膜と融合させて生物学的に活 性な物質を細胞中に拡散させ、それにより、小胞中に封入した物質を細胞に送達 する。この発明は、少なくとも部分的に、ある種の非リン脂質小胞は、細胞のす ぐ近くの位置に置かれたときに、エンドサイトーシスにより細胞に取り込まれ又 は細胞の溶解を引き起こすよりはむしろ細胞の外膜と融合するという発見に基づ いている。細胞との融合に際して、小胞に封入された物質は、細胞中に自由に拡 散する。この発明の方法は、小胞に封入された物質を活性な形態で細胞の細胞質 に直接送達する手段を提供する。更に、非リン脂質小胞と細胞との融合は、小胞 の二重層に結合した物質の細胞外膜へのトランスファーを生じる。 生物学的に活性な物質を細胞に伝達する方法は、物質を脂質小胞中に封入する 初期工程を有する。この小胞は、1)その物質を細胞への送達の前に細胞外不活 性化から保護し、2)その物質を細胞に運び、そして3)その物質を細胞外膜と の融合により細胞内に送達するよう に機能する。この発明で使用する脂質小胞の二重層の一次構造脂質は、非リン脂 質である。これらの小胞は、約2〜10の脂質二重層を有する少ラメラ小胞であ り、それらは、水性及び疎水性物質の両者に対する大きい運搬容量を提供し且つ 単ラメラ小胞よりも一層安定である。これらの小胞の製造方法及びこれらの小胞 それ自体は、米国特許第4,911,928号、米国特許第5,147,723 号、米国特許第5,032,457号、米国特許4,895,452号及び米国 特許第5,260,065号に一層詳細に記載されており、その開示をすべて本 明細書中に参考として援用する。この発明の非リン脂質小胞は、非リン脂質物質 が細胞との接触に際して細胞を溶解させることなく細胞と融合する小胞を形成す るという特性を有する。これらの小胞で用いるのに好ましい非リン脂質物質は、 式:R-CO(C2H4O)nH(式中、nは2〜4であり、Rはセチルアルコール、ステア リルアルコール及びオレオイルアルコール又はこれらの誘導体よりなる群から選 択する炭化水素鎖である)を有するポリオキシエチレン脂肪エーテルを含む。非 リン脂質壁形成物質に加えて、これらの小胞は、ステロール例えばコレステロー ル、コレステロールに基づく塩又はエステル、フィトコレステロール又はヒドロ コーチゾンを含むことができる。電荷生成剤も又、この小胞に加えることができ る。好適な電荷生成剤は、ジセチルホスフェート、コレステロールヘミスクシネ ート及びオレイン 酸等の負電荷を生成するものである。正に帯電した小胞は好ましくない。 水性溶液に可溶性の生物学的に活性な物質を、非リン脂質小胞の内部水性空間 に、その小胞の製造中に封入することができる。この非リン脂質を任意のステロ ール又は他の親油性添加剤と一緒にブレンドして液体脂質相を形成する。水相は 、通常、脂質を水和するために用いられる水和用液体例えば水、塩溶液又は任意 の他の水溶液及び小胞に取り込まれるべき水溶性物質を加熱することにより形成 する。これらの水相及び脂質相を、次いで、「剪断混合」条件下でブレンドして 小胞を形成する。剪断混合は、脂質を水和するのに十分な混合を与え且つ脂質小 胞を形成する乱流又は剪断条件下で親油相を水相と混合することとして定義され る。剪断混合は、合わせた相についての直径1mmのオリフィスを通る約5〜3 0m/sの相対的流速に実質的に等しい液体剪断により達成される。小胞は、手 作業で作ることができ、又は米国特許第4,895,452号に記載されたよう な小胞製造装置を使用して作ることができる。水性溶液に可溶性であり、従って 、水相に加えることのできる好適な生物学的に活性な物質には、核酸例えばRN A及びDNA並びにそれらの断片(例えば、オリゴヌクレオチド、リボザイム) 及び誘導体、蛋白質並びにそれらの断片(例えば、ペプチド)及び誘導体、酵素 、酵素の基質及び親水性の薬剤が含まれる。疎水性(即ち、水不混和性)であ る生物学的に活性な物質も又、非リン脂質小胞に封入することができる。油充填 した小胞例えば水不混和性の油性物質で満たした中央空隙を有する小胞を、米国 特許第4,911,928号に開示された「ホットローディング」技術又は米国 特許第5,160,669号に開示された「コールドローディング」技術の何れ かを用いて形成することができ、該特許の開示も又、本明細書中に参考として援 用する。好適な疎水性の生物学的に活性な物質には、ステロイド及び他のホルモ ン、脂溶性ビタミン並びに疎水性の薬剤が含まれる。 小胞形成及び生物学的に活性な物質の封入の後に、その小胞をその物質を送達 すべき細胞に最も近い位置に置く。その細胞は、培養培地中の細胞のようにイン ・ビトロであってよく、又は哺乳動物中の細胞のようにイン・ビボの細胞であっ てよい。イン・ビトロでは、この小胞を、この細胞を含む培養培地又は他の溶液 に加えることができる。イン・ビボでは、この小胞を、例えば静脈、鼻腔、筋肉 、皮下、経皮、気管又は局所投与により導入することができる。これらの小胞を 、スプレー、クリーム、ゲル又は他の溶液中に取り込ませて、特定の経路による それらの投与を助成することができる。更に、小胞を特定の細胞型に向けるター ゲティング分子を脂質小胞に取り込むことができる。例えば、細胞膜レセプター に結合する抗体、ウイルス蛋白質又はリガンドを脂質小胞に結合することができ る。結合は、例えば、米国特許第 5,000,960号に開示された方法によって達成することができ、その開示 を本明細書中に参考として援用する。ターゲッティング分子を含む小胞を細胞に 最も近い位置に置いてターゲッティング分子に細胞を捜させ、それにより、その 小胞をその細胞に向けさせる。ターゲッティング分子が標的細胞に結合する際に 、これらの小胞は、標的細胞の外膜と融合し、それにより、封入された物質を細 胞に送達する。 物質を伝達するのに用いる脂質小胞の組成及び濃度は、小胞の融合化活性が未 だ細胞を溶解させる程には大きくないうちに、小胞が封入した物質を送達すべき 細胞の外膜と融合するようなものである。融合に際して、小胞の脂質二重相は、 細胞の外膜の脂質二重層中に取り込まれ、封入された物質は、小胞から拡散によ り細胞に送達されて細胞質に送達される。こうして、この発明の方法は、封入し た物質を直接細胞質に送達し、それにより、物質が分解性のリソソーム経路にさ らされるのを回避する手段を提供し、更に、小胞の脂質二重層と結合した物質( 例えば、非リン脂質自体及び任意の他の取り込んだ物質)を細胞の外膜に送達す る手段を提供する。 この発明の方法は、広範囲の治療応用に有用である。生物学的に活性な物質を 細胞に伝達してその細胞における活性を刺激することができる。例えば、機能性 蛋白質又は機能性蛋白質をコードする遺伝子を、その蛋白質が減少し又は不在の 細胞に送達し、それにより、その細胞 において、その蛋白質により媒介される機能的活性を刺激することができる。或 は、生物学的に活性な物質を細胞に伝達してその細胞における活性を阻止するこ とができる。例えば、アンチセンス核酸又はリボザイムを細胞に送達してmRN Aの機能性蛋白質への翻訳を阻止し、それにより、その細胞におけるその蛋白質 により媒介される機能的活性を阻止することができる。図面の簡単な説明 図1は、非リン脂質小胞との融合後の赤血球の凍結破断電子顕微鏡写真である 。禿げた領域は、融合の際に非リン脂質小胞により赤血球膜中に挿入された膜物 質を表している。倍率=×63,000発明の詳細な説明 本発明は、生物学的に活性な物質を細胞に伝達する方法に関係する。この方法 は、伝達すべき物質を封入した少ラメラ非リン脂質小胞のレシピエント細胞の外 膜との融合に基づいている。非リン脂質小胞のリン脂質細胞膜への融合は、細胞 膜のリン脂質とこれらの小胞で用いた非リン脂質の性質には大きな差異があるの で、予想外の発見である。非リン脂質小胞で用いた単一炭素鎖と比べて、リン脂 質は、2炭素鎖構造を有する。この発明の方法は、1)伝達すべき物質を少ラメ ラ非リン脂質小胞に封入し、2)その物質を運ぶ小胞を細胞に最も近い位置 に送達し、3)その小胞を細胞と融合させ、そして4)その物質を細胞中に拡散 させる工程を含む。 生物学的に活性な物質を細胞に送達するのに用いた小胞は、該生物学的に活性 な物質を封入する約2〜10の脂質二重層を有する少ラメラ小胞である。非リン 脂質物質が、これらの二重層における一次構造脂質である。この非リン脂質物質 は、細胞と接触した際に細胞を溶解させることなく細胞と融合する小胞を形成す るという特性を有する。この小胞の二重層中の一次構造脂質としての使用に好適 な非リン脂質物質は、式:R-CO(C2H4O)nH(式中、nは2〜4に及び、Rは、セ チルアルコール、ステアリルアルコール及びオレオイルアルコール並びにこれら の誘導体よりなる群から選択する炭化水素鎖である)を有するポリオキシエチレ ン脂肪エーテルよりなる群から選択する。この小胞の二重層は、更に、ステロー ル例えばコレステロール、コレステロールに基づく塩又はエステル、フィトコレ ステロール又はヒドロコーチゾンを含むことができる。この小胞の二重層は、更 に、負の電荷生成剤例えばジセチルホスフェート、コレステロールヘミスクシネ ート及びオレイン酸を含むことができる。この小胞の二重層は、更に、リン脂質 を含むことができる。 多くの異なる型の生物学的に活性な物質を、細胞に送達することができる。用 語「生物学的に活性な物質」は、それら自身が細胞に機能的活性を与える物質及 び細 胞内の内在性の機能的活性を刺激し又は阻止する物質を含むことを意図するもの である。この物質の機能的活性は、その細胞への送達において維持される。非リ ン脂質小胞キャリアーを用いて、水性物質又は疎水性物質の何れかを送達するこ とができる。送達することのできる親水性物質の例には、ペプチドホルモン例え ばインシュリン、カルシトニン及びグルカゴン、視床下部ペプチド、下垂体ホル モン、成長因子例えば血管成長因子、上皮成長因子及び表皮成長因子、リンホカ イン例えばインターロイキン及びインターフェロン、並びに血中蛋白質例えばヘ モグロビン及び因子VIIIを含む蛋白質並びにその断片(例えば、ペプチド断片) 及び誘導体;核酸例えば断片(例えば、オリゴヌクレオチド)及び誘導体を含む DNA及びRNA;抗癌剤、免疫抑制剤、駆虫剤及び抗生物質を含む水溶性薬剤 ;酵素;酵素の基質;並びに細胞を標識する物質例えば蛍光色素、放射性ヌクレ オチド及び放射線診断及びNMR診断用のコントラスト剤が含まれる。封入し得 る疎水性物質の例には、ホルモン例えばステロイド;親油性ビタミン;疎水性薬 剤例えばシクロスポリンA;フェロモン;ポルフィリン並びに有機農薬及び殺菌 剤が含まれる。脂質小胞に封入し得る薬剤の型の一層完全な目録は、Gregoriadi s,G.,編Liposome Technology(CRC,Boca Raton,Fla),Vol.1-3(1984)に含まれ ている。 好適な型の蛋白質は、必要な酵素活性を細胞に供給す ることのできる酵素である。好適な型の核酸は、細胞に供給すべき蛋白質をコー ドする遺伝子を、その遺伝子がmRNAに転写され且つmRNAが蛋白質に翻訳 され、それにより、その蛋白質が細胞に供給されるような形態で含むDNA分子 である。他の好適な型の核酸は、アンチセンス核酸例えば細胞中のmRNAに相 補的であってそのmRNAに結合することによってそのmRNAの翻訳を阻止す るオリゴヌクレオチドである。更に他の好適な型の核酸は、細胞内の標的mRN Aを破壊することのできる触媒RNA分子であるリボザイムである。薬剤、ホル モン、酵素基質及びビタミン等の物質を用いて、細胞内の応答を刺激し又は阻止 することができる。放射線不透過性又は常磁性の分子を、細胞を、例えばその体 内の位置が検出され得るように標識するために使用することができる(例えば、 腫瘍細胞の検出)。 一度非リン脂質小胞内に封入すれば、その小胞を細胞に最も近い位置に送達す ることによって、その生物学的に活性な物質を、イン・ビトロ又は好ましくはイ ン・ビボの何れかで細胞に送達することができる。イン・ビトロでは、これらの 小胞を、細胞とインキュベートすることによって細胞に最も近い位置にもたらす 。例えば、患者から細胞を単離することができ、物質をイン・ビトロでその細胞 に伝達することができ、次いで、その細胞を患者に再導入することができる。イ ン・ビボでは、これらの小胞を、標的細胞に最も近い位置にもたらす経路で 患者(例えば、哺乳動物)に投与することができる。細胞外で、標的細胞との融 合の前に、この小胞は、その内部に封入された物質を不活性化又は分解から、並 びに免疫学的認識から保護する。これは、蛋白質が細胞外分解を非常に受け易く 且つその蛋白質に対する免疫応答を誘発し易いので、蛋白質を細胞に伝達すると きに、特に有用な面である。 イン・ビボでこれらの小胞を投与する可能な経路には、静脈、鼻腔、筋肉、皮 下、経皮、気管又は局所投与が含まれる。例えば、これらの小胞の注射によって 、小胞を静脈、筋肉内及び皮下に投与することができる。或は、小胞をカテーテ ル法によって経皮的に投与することができ、例えば、カテーテルを動脈若しくは 静脈に挿入することができ又はカテーテルを特定の器官若しくは腫瘍に挿入して これらの小胞をその位置に送達することができる。これらの小胞は、組成物例え ばスプレー、クリーム、ゲル又は製薬上許容し得るキャリアー(例えば、注射可 能な塩類水溶液)に取り込ませて適当なイン・ビボ投与を可能にする。 この小胞の組成及び濃度は、これらの小胞と細胞との融合を引き起こすが細胞 溶解を引き起こさないように選択する。小胞調製物の融合化活性対毒性を、後述 の実施例に記載のアッセイにおいて、イン・ビトロで、試験することができる。 例えば、赤血球膜に対するこれらの小胞の効果を評価することができる(実施例 6を参照され たい)。こうして、細胞融合及び物質のトランスファーの条件を、イン・ビトロ で細胞を用いて最適化することができる。小胞の融合化活性を、高度に融合化活 性な非リン脂質よりなる非リン脂質と融合化活性でないリン脂質とのブレンドで 小胞を形成することによって調節することができる。例えば、ポリオキシエチレ ン(2)セチルエーテルを含む小胞の融合化活性を、バチルアルコールをそれら の小胞中に取り込むことにより下方調節することができる(実施例6、表4を参 照されたい)。ブレンドした脂質小胞の形成は、米国特許第5,260,065 号に記載されており、その開示を本明細書中に参考として援用する。更に、一次 壁形成物質が非リン脂質物質である小胞は、更に、リン脂質を含むことができる 。 物質を特定の型の細胞に特異的に送達すべきであるが小胞が1種より多くの型 の細胞の最も近い位置に送達される場合(例えば、多くのイン・ビボの状況)に は、ターゲティング分子を小胞中に取り込ませることによりその小胞を直接関心 ある標的細胞に向けることができる。このターゲッティング分子は、関心ある標 的細胞を捜してその標的細胞に結合するように機能し、それにより、この小胞を 標的細胞に向ける。好適なターゲッティング分子には、関心ある標的細胞の表面 構造に結合する抗体例えばモノクローナル抗体、関心ある標的細胞の表面上のレ セプターに対するリガンド及び、特定の細胞型に対 するウイルスの結合を媒介するウイルス蛋白質例えばエンベロープを有するウイ ルスからの膜蛋白質が含まれる。このターゲッティング分子を、それがこの小胞 の脂質二重層中に取り込まれ得るように修飾することができる。例えば、可溶性 蛋白質を、その蛋白質を脂質小胞につなぎ留めることを可能にする疎水性のアン カー分子と共に与えることができる。或は、ターゲッティング分子を、米国特許 第5,000,960号(前に、参考として援用)に開示された手順等によって 二特異性のカップリング剤を用いて取り込むことができる。この手順においては 、チオコレステロールを、先ず、非リン脂質小胞に取り込ませ、次いで、スルフ ヒドリル基及びアミノ基と反応性のカップリング剤を用いて、蛋白質を、それら のアミノ基を介して、小胞に、チオコレステロールのスルフヒドリル基を介して 架橋する。 生物学的に活性な物質を封入する非リン脂質小胞が標的分子を含む場合には、 その小胞を細胞に最も近い位置に送達してターゲティング分子にその細胞を捜さ せることによりその小胞を細胞に送達することができる。生物学的に活性な物質 を送達すべき細胞がイン・ビボ例えば哺乳動物中にある場合には、この小胞をそ の哺乳動物の血流中に送達してターゲティング分子に細胞を捜させることにより 細胞に送達することができる。 この発明の方法を用いて、生物学的に活性な物質を実質的に任意の型の細胞に 送達することができる。この 細胞は、哺乳動物細胞であってよい。例えば、物質を伝達することのできる細胞 には、赤血球、リンパ球、繊維芽細胞、腫瘍細胞、ウイルス感染細胞、上皮細胞 、内皮細胞、筋細胞、肝細胞、内分泌細胞、神経細胞、真皮細胞、生殖細胞、卵 母細胞、精子細胞、幹細胞、造血幹細胞、胚細胞、M細胞、ランゲルハンス細胞 及びマクロファージが含まれる。更に、この細胞は、植物細胞であってよい。例 えば、植物細胞に対する破壊因子に対する耐性を与える等の生物農業的目的で物 質を植物細胞に伝達することができる。更に、この細胞は、寄生虫の細胞であっ てよい。例えば、寄生虫に対して破壊的である薬剤を寄生虫に伝達することがで きる。 この発明の方法は、多くの治療応用に使用することができる。この発明の一具 体例において、生物学的に活性な物質を赤血球に送達する。赤血球への物質の伝 達のための治療用途には、細胞内環境の調節による鎌状赤血球の発症の治療、及 び赤血球内寄生虫例えば赤血球ステージのマラリアの抗寄生虫剤の赤血球への送 達による治療が含まれる。小胞を、静脈投与により、イン・ビボで、赤血球に最 も近い位置に送達することができる。 この発明の他の具体例において、生物学的に活性な物質をリンパ球に送達する 。リンパ球への物質の伝達の治療用途には、アデノシンデアミナーゼのリンパ球 への送達によるアデノシンデアミナーゼ欠乏症の治療、免疫抑制剤例えばシクロ スポリンをリンパ球に送達することに よる組織移植片の拒絶の予防、及びBリンパ球(又は、他の抗原提示細胞)に抗 原のペプチド断片を送達することによる外来抗原に対する免疫化が含まれる。こ の発明の方法によるペプチド断片の細胞への送達は、それらのペプチドの細胞質 への送達を生じ、その結果、それらのペプチドはMHCクラスIプロセッシング 経路を通って運ばれる。この様式でプロセスを受けて提示されたペプチドは、細 胞毒性T細胞(CTL)応答を誘導する。従って、この発明の方法を用いて、外 来抗原に対するCTL応答を誘導することができる。小胞を、リンパ球に特異的 なターゲティング分子をその小胞に取り込ませることによってリンパ球を標的と して送達することができる。例えば、抗CD4モノクローナル抗体を用いて、C D4+Tリンパ球を小胞の標的とすることができるであろう。これは、抗ウイル ス剤をHIV感染CD4+Tリンパ球に送達するのに有用であり得るであろう。 この発明の方法を用いて、脳内の細胞に物質を送達することもできる。例えば 鼻内噴霧による物質を封入した小胞の鼻腔内投与は、嗅覚器経路を介して物質の 脳細胞への伝達を可能にする。これは、血液−脳関門を超えられない薬剤につい ての送達機構として特に有用であり得よう。 他の治療応用には、筋ジストロフィーを患っている患者の筋肉細胞中に、病気 を軽減するために、ジストロフィンを封入した小胞の筋肉内注射によってジスト ロフィ ン蛋白質を導入することが含まれる。腫瘍も又、抗腫瘍剤例えば化学療法剤を、 抗腫瘍剤を腫瘍中に運ぶ注射用小胞によって腫瘍細胞に送達することによって治 療することができる。 この発明の方法の更なる治療応用は、遺伝子治療のためのものである。近年、 多くの遺伝病の分子的基礎が解明され、これらの病気に関連する遺伝子が単離さ れた。これは、機能的遺伝子をその遺伝子に欠陥を有する患者に供給することに 基づく治療の潜在的可能性を与えた。生物学的に活性な物質を細胞に伝達する伝 達する現在の方法を用いて、機能的遺伝子産物をコードする遺伝子を患者の細胞 中に送達してその患者におけるその遺伝子の活性を回復することができる。この 発明の方法を用いて遺伝子治療により治療することのできる公知の遺伝子中の突 然変異と関連した幾つかの病気は、次の通りである(それぞれの病気は、それぞ れの遺伝子に従う):鎌状細胞貧血症(b−グロビン)、サラセミア(b−グロ ビン)、嚢胞性繊維症(CFTR)、デュシェーヌ筋ジストロフィー(ジストロ フィン)、アデノシンデアミナーゼ欠乏症(アデノシンデアミナーゼ)、血友病 A(因子VIII)、血友病B(因子IX)及びテイ−サックス病(a1−ヘキソサミ ニダーゼ)。遺伝子治療により治療し得るであろう遺伝病の広範囲のリストは、 Antonarakis,New England J.of Medicine,320:153-163(1981)に含まれている 。更に、遺伝子治療のアプローチを後天性の 病気にも、例えば、患者の免疫系の応答性を増大させる遺伝子産物をコードする 遺伝子を患者の細胞中に導入することによって、同様に適用することができる。 従って、癌及びAIDS等の病気の治療又は予防を、遺伝子治療のためのこの発 明の方法を用いて行なうことができるであろう。例えば、HIVgp160蛋白 質をコードするDNAの細胞中への導入は、gp160蛋白質の発現へと導いて HIVに対する免疫を誘出することができる(遺伝子ワクチン接種)。 この発明の他の面は、非リン脂質小胞の二重層と結合した物質の細胞への伝達 方法に関係する。細胞の外膜との融合に際して、この発明で使用する非リン脂質 小胞の脂質二重層は、その細胞の外膜中に取り込まれる。こうして、非リン脂質 小胞の細胞との融合は、二重層に結合した物質の細胞への伝達のための方法を提 供する。二重層に結合した物質には、非リン脂質小胞の二重層の一次成分である リン脂質でない脂質自身が含まれ、他の物質例えばステロール(例えば、コレス テロール、コレステロールに基づく塩又はエステル、フィトコレステロール、又 はヒドロコーチゾン)、負電荷生成剤(例えば、ジセチルホスフェート、コレス テロールヘミスクシネート及びオレイン酸)及び/又はリン脂質も含まれ得る。 更に、二重層に結合した物質には、非リン脂質小胞の非リン脂質二重層中に取り 込まれた分子が含まれ得る。例えば、蛋白質又はその断片(例えば、ペプチド) 若しく は誘導体を、小胞の二重層中に取り込み、その小胞と細胞との融合によって細胞 の膜に伝達することができる。ミクソウイルスウイルスの膜スパニングエンベロ ープ蛋白質が、小胞とウイルスエンベロープとの融合の後に、非リン脂質小胞の 非リン脂質二重層中に取り込まれた(米国特許出願第08/005,008号を 参照されたい。該出願を本明細書中に参考として援用する)。 非リン脂質小胞と細胞との融合における非リン脂質二重層に結合した物質の細 胞の外膜への伝達を用いて、標的細胞の特性及び機能を改変することができる。 これは、細胞の外膜に取り込まれる小胞の非リン脂質二重層が正常の細胞膜と異 なる特性を有し、細胞透過性の変化及び変化した能動輸送機構へと導くという事 実に基づいている。例えば、非リン脂質小胞の細胞との過剰の融合は、これらの 細胞のイン・ビトロでの複製を減じる(実施例8参照)。こうして、細胞の複製 を、この発明の非リン脂質小胞をその細胞を標的として送達してそれらの小胞を その細胞と融合させ、それにより、二重層に結合した物質をその細胞の外膜に、 それらの細胞の複製を阻止する程度に伝達することによって阻止することができ る。例えば、腫瘍細胞又はウイルス感染細胞を、かかる細胞に対する特異的モノ クローナル抗体をターゲティング分子として用いて(例えば、腫瘍に結合した抗 原又はウイルスにコードされた細胞表面蛋白質と反応性のモノクローナル抗体を 用いて)非リン脂質小胞との融合の標 的とし、それらの細胞の複製を減少させることができる。更に、二重層に結合し た物質の細胞への伝達を用いて、外来の刺激(例えば、ホルモン、成長因子等) に応答する細胞内のシグナル変換を、その細胞の外膜の組成を変えることにより 変えることができる。 下記の実施例は、制限するものと解釈してはならないが、この発明及びその効 力を一層明確に説明するであろう。実施例1 この実施例においては、少ラメラ非リン脂質小胞キャリアーを用いて、酵素の 基質をトリ赤血球中に導入した。この基質のこれらの細胞への伝達を、これらの 小胞を赤血球と接触させた後に、赤血球中に内生的に存在する酵素のその基質に 対する反応性を測定することにより測定した。 化学剤2,2’−アジノ−ビス(3−エチルベンズチアゾリン−6−スルホン 酸)(ABTS;SigmaA1888)を、ポリオキシエチレン(2)セチル エーテル(Brij52;ICI Americas Inc.)/コレステロール/ジセチルホ スフェート(3/1/0.01;M/M/M)からなる少ラメラ非リン脂質小胞 中に封入した。ABTSは、赤血球中に内生的に存在するペルオキシダーゼ酵素 活性に対する基質である。 これらの非リン脂質小胞を、米国特許第4,911, 928号に示された一般的手順を用いて作成した。簡単に言えば、この小胞の壁 の脂質成分を流動状態まで加熱し(75℃)、第1の注射器に入れた(10ml の注射器中の1mlの脂質)。水性成分も又、加熱して(55℃)、第2の注射 器中に入れた(10mlの注射器中の4mlのABTS溶液)。これらの2つの 注射器を活栓により繋ぎ、これらの物質を、小胞が形成されるまで1分又は2分 間にわたって、活栓を通して往復させた(約60往復。各20往復毎に、冷却し た)。この調製物は、液体であり且つ顕微鏡検査において全く均一な小胞を示し た。これらの小胞の1:10稀釈物を作成した。最終的ABTS濃度は、2mg /mlであった。ABTSを封入してない「ブランク」の非リン脂質小胞も調製 した。 ニワトリ赤血球(Vineland Laboratories)を、リン酸緩衝塩溶液で2回洗っ た。20mlの細胞を、2mlの(a)ABTSをロードした小胞の1:10稀釈 物、(b)ブランク小胞の1:10稀釈物、又は(c)未封入のABTS(2mg/m l)と共にインキュベートした。細胞を、これらの溶液と37℃で1時間インキ ュベートし、次いで、室温で2時間インキュベートした。顕微鏡検査で、細胞の 溶解は見られなかった。これらの非リン脂質小胞にさらした赤血球は、これらの 小胞にさらさなかった細胞より膨潤して見え且つ一層明るい細胞質を有した。 インキュベーションに続いて、各混合物の200mlのアリコートを洗って1 00mlの0.3%過酸化水素(これは、赤血球膜を透過して、ABTSの存在 下で、細胞内でペルオキシダーゼ反応を開始する)にさらした。1/2〜1時間 以内に、ABTSをロードした小胞にさらした細胞は、ペルオキシダーセ活性を 示す薄紫色を示した。対照的に、ブランク小胞又は未封入ABTSの何れかにさ らした細胞は、これらの細胞中に存在するメトヘモグロビンに特徴的な茶色がか った赤色のままであった。ABTSをロードした小胞で処理した細胞の紫色は、 過酸化水素の第2の100mlのアリコートの添加に際して暗くなった。これら の細胞中の検出可能なペルオキシダーゼ活性は、紫色により示されたように、ペ ルオキシダーセの基質のABTSが、ABTSをロードした小胞と細胞との融合 に際して細胞にトランスファーされたことを示している。実施例2 この実施例においては、少ラメラ非リン脂質小胞キャリアーを用いて、酵素を トリ赤血球中に導入した。この酵素のこれらの細胞への伝達を、これらの小胞を これらの細胞に接触させた後に存在する細胞に結合した酵素活性の量を測定する ことにより測定した。 この酵素セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP;Sigma P-6782)を、実施 例1に記載のように、ポリオキ シエチレン(2)セチルエーテル(Brij52)/コレステロール/オレイン 酸からなる少ラメラ非リン脂質小胞に封入した。未封入酵素を、デキストラン密 度勾配上の複数遠心洗浄により除去した。最後の洗液は保存した。封入酵素を有 しない「ブランク」の非リン脂質小胞も調製した。 HRPをロードした小胞の1:10稀釈物を2.3×106のニワトリ赤血球 (Vineland Laboratoriesより入手)と37℃で1時間インキュベートした。対 照用赤血球も又、(a)最終洗浄溶液の1:10稀釈物、(b)同じ稀釈のブランク小 胞及び、(c)最終洗液の1:10稀釈物にて作成したブランク小胞の1:10稀 釈物とインキュベートした。このインキュベーションの最後に、赤血球を小胞か ら遠心分離した。細胞溶解は起きなかった。これらの細胞を、100mlのオク チルグルコシド(100mg/ml)にて破砕し、次いで、100mlの基質( ABTS;10mg/ml)及び100mlのH22(0.3%)を加えた。色 を、405nmで、標準曲線に対して読んだ。これらの結果を表1に示す。 実施例3 この実施例においては、少ラメラ非リン脂質小胞キャリアーを用いて、酵素を マウスリンパ球に導入した。この酵素のこれらの細胞への伝達を、これらの小胞 をこれらの細胞と接触させた後に存在する細胞に結合した酵素活性の量を測定す ることにより測定した。 実施例2に記載したように、HRPを、ポリオキシエチレン(2)セチルエー テル(Brij52)/コレステロール/オレイン酸からなる少ラメラ非リン脂 質小胞に封入し、未封入酵素を、デキストラン密度勾配上の複数遠心洗浄により 除去した。最終洗液を保存した。封入酵素を有しない「ブランク」の非リン脂質 小胞も調製 した。 HRPをロードした非リン脂質小胞の1:20稀釈物を、1.3×106のS P2ミエローマ細胞(分化したBリンパ球)と37℃で1時間インキュベートし た。対照として、SP2細胞も、(a)HRPをロードした非リン脂質小胞の最終 洗液の1:20稀釈物、(b)ブランクの非リン脂質小胞の1:20稀釈物、及び( c)最終洗液の1:20稀釈物にて作成したブランクの非リン脂質小胞の1:20 稀釈物とインキュベートした。インキュベーション期間の最後に、SP2細胞を 、非リン脂質小胞から、洗浄及び遠心分離により分離した。これらの条件下で、 細胞溶解は認められなかった。 これらの細胞ペレットを、200mlのオクチルグルコシド(100mg/m l)中で再懸濁してSP2細胞膜を崩壊させた。これらの崩壊させた細胞に、2 00mlのHRP酵素の基質(ABTS;Sigma;10mg/ml)及び200m lの過酸化水素(0.3%)を加えた。生じた色を、30分後に、405nmに て読んだ。これらの結果を表2に示す。 発色は、細胞を非リン脂質小胞に封入したHRPとインキュベートした後に、 対照の二倍強であった。これは、非リン脂質小胞/細胞融合及び細胞当り5×1 06分子のHRPを超える酵素の標的細胞中へのトランスファーを示唆する。非 リン脂質小胞の細胞への接着は、このアッセイによっては十分に妨げることはで きないが、実施例4に記載したDNAトランスファー実験によって排除される。実施例4 この実施例においては、非リン脂質小胞キャリアーを用いて、DNA分子をマ ウス繊維芽細胞に導入した。DNA分子のこれらの細胞への伝達を、これらの細 胞をこれらの小胞と接触させた後にこれらの細胞中に存在するDNA分子により コードされる蛋白質の活性を測定することにより測定した。 脂質小胞の内容物の標的細胞の細胞質への送達を測定するアッセイは、真の小 胞−細胞融合と、小胞の細胞表面への単なる接着または封入した内容物の放出を 伴わない小胞のエンドサイトーシスとを区別しなければならない。小胞内容物の 細胞質への送達を定量する1つの方法は、細胞質へ活性型で送達されたときに蛋 白質合成を開始する分子を利用することである。かかる分子の一つは、測定可能 な酵素活性を有する蛋白質をコードする遺伝子を含み且つその遺伝子の転写及び その結果生成したmRNAの翻訳を可能にする適当な制御配列を含むDNAプラ スミッドである。細胞中に存在する蛋白質の酵素活性の測定は、その細胞の細胞 質中へのそのDNAのトランスファーの評価を与える。 この実施例で用いた系は、T7プロモーターのT7RNAポリメラーゼ(A) との相互作用から生じる哺乳動物細胞における高効率の蛋白質合成に基づいてい る。T7RNAポリメラーゼを構成的に発現しているNIH3T3繊維芽細胞を 使用した。これらの細胞に導入した DNAプラスミッドは、T7プロモーターの制御下でlacZ遺伝子を発現させ るpEMC−LacZbgAnであった。T7RNAポリメラーゼからの転写物 が5’キャップを有しないので、EMCウィルスからの5’UTRをこのプラス ミッド中に組み込んで高効率の翻訳を与えた。更に、ポリ(A)配列を3’末端 に加えてmRNAの安定性を増大させた。 このプラスミッドを、実施例1に記載したように、ポリオキシエチレン(2) セチルエーテル(Brij52)/コレステロールからなる非リン脂質小胞に封 入した。20mgプラスミッドDNA/mlを封入に用いた(全非リン脂質=5 ml;封入効率は測定しなかったが、典型的には35%を超える)。中性の、正 に帯電した及び負に帯電した非リン脂質小胞を試験した。DNAをロードした非 リン脂質小胞の様々な希釈物を、T7RNAポリメラーゼを内生的に発現してい るNIH3T3細胞に加えて一晩インキュベートし、それから、培養培地を交換 した。非リン脂質小胞の1:1000希釈物(ウェル当たり0.375ngのプ ラスミッドDNAに等しい)を、記載した実験に用いて、一晩のインキュベーシ ョンの際に過剰の融合による毒性を回避した。正の対照として、これらの細胞を 、同じプラスミッドを用いて、リン酸カルシウム技術によって、トランスフェク トもした(ウェル当たり123.33ngのプラスミッドDNA濃度)。負の対 照として、遊離のプラス ミッドDNA(ウェル当たり123.33ngのプラスミッドDNA濃度)をこ れらの細胞の加えた。48時間後、これらの細胞をb−ガラクトシダーセ活性に ついてアッセイした。 下記に与えたこれらの結果は、3つの別々のウェルの平均であり且つ3つの異 なる実験を表わす。b−ガラクトシダーゼ活性を、OD570/ウェルで表現して ある。これらの結果を、表3に示す。 ウェル当たり添加した非リン脂質DNAの全量が、封入された及びされなてない DNAの両者を含み、300回より多く(CaPO4正の対照より少ない)且つ 600 回より多い(封入したDNAに関しては少ない)ことは注意すべきである。たと え正の対照DNAより遥かに低い濃度で存在するにしても、非リン脂質に封入さ れたDNA(NPL DNA)は、細胞をNPL DNAとインキュベートした 後に存在するb−ガラクトシダーゼ活性が遊離DNAの負の対照と比較して2〜 2%倍に増大していることにより示されるように、インキュベーション中に細胞 に伝達されている。実施例5 この実施例においては、オリゴヌクレオチドを非リン脂質小胞中に封入し、封 入効率を測定した。 32P−グアニン標識した抗−c−myc−5G、未標識の抗−c−myc、標 識した抗−VSV−5G及び未標識の抗−VSVの混合物を封入に用いた。0. 4mlのポリオキシエチレン(2)セチルエーテル/コレステロール/ジセチル ホスフェート(3.0/1.0/0.1;M/M/M)を、実施例1に記載した 注射器技術を用いて、20mg(100,000dpm)のアンチセンス混合物 を含む0.5mlの10mM トリスHCl、150mM NaCl(pH7. 4)と合わせた。その結果生成した小胞を、4mlに希釈し、これらの小胞をデ キストラン勾配上で遠心分離した(20%;10%;40分間、40,000r pm)。遠心管の底に穴を開けて内容物を溶出させた。すべての実験におい て、未封入のオリゴヌクレオチドが1〜10滴中に出現し、封入された物質は、 画分12に現われた。封入効率は、72.4〜76.0%であった。実施例6 この実施例においては、種々の組成の非リン脂質小胞を、それらの相対的な融 合化活性についてアッセイした。融合化活性を、これらの小胞をヒト赤血球とイ ンキュベートし、光学顕微鏡検査により赤血球膜に対するこれらの小胞の影響を 調べることによってアッセイした。様々な非リン脂質小胞配合物を調製して、1 %クエン酸塩添加したヒト赤血球と室温及び37℃でインキュベートした。赤血 球膜を時間を追って(直ちに、1時間、2時間、一晩など)顕微鏡で監視した。 ヒト赤血球を種々の小胞とインキュベートすることは顕微鏡で検出可能な種々の 質的効果を生じることが見出された。認められた赤血球膜に対する効果のスペク トルは、最も僅かの影響を受けた膜から最も影響を受けた膜まで、次の通りであ った:1)丸い、本質的に変形してない膜;2)丸い、僅かに変形した「毛」様 の突起を有する膜;3)丸い、僅かに一層変形した「針」様及び「棒」様の突起 を有する膜;4)中位に円鋸歯状の、凝集した膜粒子を有するが「棒」様の突起 を有しない膜;5)ひどく円鋸歯状となった、凝集した膜粒子並びに「棒」様及 び管状の突起を有する膜;6)部分的に溶解した膜及び赤血球「ゴー スト」;並びに7)破裂膜を伴う急速な溶解。これらの結果を表4にまとめる。 表4に記載したものと同様の結果が、種々の非リン脂質小胞組成物をトリ赤血 球とインキュベートしたときに得られた。 種々の脂質組成の小胞の融合化活性は、赤血球膜に対する影響を、良好な融合 化活性を有することが知られているPOE(2)CE(Brij52)含有小胞 (実施例1〜4参照)のそれと比較することにより予想することができる。表4 に示したように、POE(2)CE−含有小胞は、赤血球を溶解させ又はゴース ト形成することなく赤血球膜の円鋸歯形成を引き起こした。赤血球膜を変形させ ないが又は最小の変形を生じた小胞例えばPOE(3)GMS及びPOE(9) GMSを一次壁形成物質として含むものは、融合化活性を有しないか又は低い融 合化活性を有すると予想されるが、他方、赤血球のゴーストの形成又は完全な溶 解を引き起こした小胞例えばGMO、POE(9)GMS/GMO、POE(4 )LE/GDL、POE(10)CE、DMATO及びリノール酸アミドを含む ものは、細胞への物質のトランスファーに有用であるには反応性過ぎるであろう 。物質を細胞に伝達するのに好適な小胞は、赤血球膜の中位の変形乃至膜から形 成される棒様及び管状突起を有するひどい円鋸歯形成を引き起こす。これらは、 POE(2)SE及びPOE(2)CEからなる小胞を含む。これらの脂質から 形成した小胞(即ち、ブレンドした脂質小胞)への他の成分の添加を用いて、小 胞の融合化活 性を調節することができる。例えば、バチルアルコールのPOE(2)SE(B rij72)及びPOE(2)CE(Brij52)小胞への添加は、それらの 小胞の赤血球への影響を減少させた。この実施例に記載した赤血球アッセイを用 いて種々の組成の非リン脂質小胞をそれらの融合化能力についてスクリーニング することができる。次いで、小胞を、細胞と融合して物質を送達するそれらの能 力について、実施例1〜4に記載したようなアッセイによって直接試験すること ができる。実施例7 この実施例においては、非リン脂質小胞との融合の際の赤血球の変形過程の性 質を、凍結破断電子顕微鏡検査により研究した。新鮮な、リン酸緩衝塩溶液中で 洗ったヒト赤血球を、実施例1に記載したように調製したポリオキシエチレン( 2)セチルエーテル(Brij52)/コレステロール/オレイン酸小胞と混合 した。これらの赤血球を、これらの小胞(約105小胞/細胞)と室温で18時 間インキュベートし、次いで、凍結破断電子顕微鏡検査により調べた。代表的電 子顕微鏡写真を図1に示す。電子顕微鏡検査は、棒及び管は、赤血球の細胞質で 満たされており、即ち、それらは赤血球膜の突起であって、単に脂質小胞によっ て形成されたものではないことを示した。更に、膜内粒子の分布は、赤血球の膜 貫通蛋白質を代表するが、これらの小胞との相互作用 によりひどく変化した。顕著な粒子を有しないドメインのない粒子の統計的分布 の代わりに、処理した赤血球の破断面は、殆ど又は全く膜内粒子を有しない大き い「禿げた」領域を示している(それらの粒子の殆どは、堅いクラスターに凝集 していた)。これらの禿げた領域は、1〜3m2に及び、用いた非リン脂質小胞 の表面積の2〜6倍に等しい。これらの電子顕微鏡写真は、非リン脂質小胞の赤 血球膜との融合に際して、これらの小胞の二重層に結合した物質が赤血球の外膜 にトランスファー(即ち、挿入)されたことを示した。 上記の凍結破断電子顕微鏡実験を、同じ非リン脂質小胞組成を用いて、NIH 3T3繊維芽細胞について繰り返した。同様の結果がNIH3T3細胞について 得られた(即ち、大きい禿げた区画及び凝集した粒子が認められた)が、これは 、これらの小胞の細胞膜との融合及び二重層結合物質の細胞膜への伝達を示唆し ている。実施例8 この実施例においては、過剰の融合の細胞複製に対する影響を、種々の濃度の 非リン脂質小胞を、培養繊維芽細胞と、時間を変えてインキュベートし、次いで 、細胞増殖を測定することにより試験した。 実施例7に記載した凍結破断電子顕微鏡実験は、非リン脂質小胞の標的細胞と の融合は、正常の外側細胞膜中に挿入された小胞二重層の大きい部分を有する細 胞を生 成することを示した。小胞の二重層が正常の細胞膜と異なる特性を有し且つ細胞 透過性及び能動輸送機構を変え得るので、イン・ビトロで過剰の融合が細胞複製 を変え得るか否かを調べた。 非リン脂質小胞の量を増して、NIH3T3繊維芽細胞と時間を増してインキ ュベートした。細胞膜に対する細胞融合の影響を、光学顕微鏡検査によって視覚 的に調べ、細胞複製に対する影響を、細胞増殖アッセイを用いて測定した。それ らの結果を表5に示す。 このデータは、3×1010/mlを超える小胞濃度の少しの増加及び細胞を小 胞に曝露する増大した時間が、 細胞複製を阻止する過剰の融合へと導き得ることを示している。これは、細胞膜 と非リン脂質二重層の相対的表面積に基づく計算から予想されよう。例えば、半 径3〜7ミクロンを有する106の球形細胞は、7−>20×1072の表面積 を有するであろう。非リン脂質小胞は、通常、1014粒子/mlの濃度で調製す る。2二重層及びほぼ0.25ミクロンの半径を有する小胞については、これは 、約2×10132(106倍までの膜表面積過剰)に相当する。同等物 当業者は、ここに記載した発明の特定の具体例に対する多くの同等物を、常例 的実験を用いて認識し、又は確認することができよう。かかる同等物は、後述の 請求のの範囲により包含されることを意図する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI A61K 48/00 ADU 9051−4C A61K 37/48 ABD

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.下記の工程を含む、生物学的に活性な物質を細胞に伝達する方法: (a) 該生物学的に活性な物質を封入する約2〜10の脂質二重層を有するキャ リアー小胞を形成し、該キャリアー小胞は、非リン脂質物質を該二重層における 一次構造脂質として有する少ラメラ脂質小胞であり、該非リン脂質物質は、下記 式を有するポリオキシエチレン脂肪エーテルからなる郡より選択し: R−CO(C24O)nH (式中、nは2〜4に及び、Rは、セチルアルコール、ステアリルアルコール及 びオレオイルアルコール又はこれらの誘導体からなる郡より選択する炭化水素鎖 である)、 (b) 該生物学的に活性な物質を含む該キャリアー小胞を該細胞に最も近い位置 に送達し、 (c) 該キャリアー小胞の該脂質二重層と該細胞の膜とを融合させ、そして (d) 該生物学的に活性な物質を該細胞中に拡散させる。 2.前記の脂質二重層が、更に、ステロールを含む、請求項1に記載の方法 3.前記の脂質二重層が、更に、負の電荷生成剤を含む、請求項1に記載の方法 。 4.前記の生物学的に活性な物質が、蛋白質又はその断片若しくは誘導体を含む 、請求項1に記載の方法。 5.蛋白質が酵素である、請求項4に記載の方法。 6.前記の生物学的に活性な物質が核酸を含む、請求項1に記載の方法。 7.前記の核酸がDNA又はその断片若しくは誘導体である、請求項6に記載の 方法。 8.前記の核酸がRNA又はその断片若しくは誘導体である、請求項6に記載の 方法。 9.前記の生物学的に活性な物質が、前記の細胞中のmRNA又はその断片に相 補的である、請求項1に記載の方法。 10.前記の生物学的に活性な物質がリボザイムを含む、請求項1に記載の方法 。 11.前記の生物学的に活性な物質が薬剤を含む、請求項1に記載の方法。 12.前記の細胞が、イン・ビトロである、請求項1に記載の方法。 13.前記の細胞が、哺乳動物中でイン・ビボである、請求項1に記載の方法。 14.前記の細胞が、赤血球である、請求項1に記載の方法。 15.前記の細胞が、リンパ球である、請求項1に記載の方法。 16.前記の細胞が、繊維芽細胞である、請求項1に記 載の方法。 17.前記の細胞を、腫瘍細胞、ウイルス感染細胞、上皮細胞、内皮細胞、筋細 胞、肝細胞、内分泌細胞、神経細胞、表皮細胞、生殖細胞、卵母細胞、精子細胞 、幹細胞、造血幹細胞、胚細胞、M細胞、ランゲルハンス細胞、マクロファージ 、植物細胞及び寄生虫細胞よりなる郡から選択する、請求項1に記載の方法。 18.前記のキャリアー小胞が、更に、ターゲティング分子を含み且つ、該キャ リアー小胞を細胞に最も近い位置に送達する工程が、該キャリアー小胞を該細胞 に最も近い位置に送達して該ターゲティング分子に該細胞を捜させることを含む 、請求項1に記載の方法。 19.前記のターゲティング分子が抗体である、請求項18に記載の方法。 20.前記のターゲティング分子がウイルス蛋白質である、請求項18に記載の 方法。 21.前記のターゲティング分子が前記の細胞上のレセプターに対するリガンド である、請求項18に記載の方法。 22.前記のキャリアー小胞を前記の細胞に最も近い位置に送達する工程が、該 キャリアー小胞を、静脈投与、筋肉内投与、鼻腔投与、皮下投与、経皮投与、気 管投与及び局所投与より選択する経路によって前記の哺乳動物に投与することを 含む、請求項13に記載の方法。 23.前記のキャリアー小胞が、更に、ターゲティング 分子を含み、キャリアー小胞を前記の細胞に最も近い位置に送達する工程が、該 キャリアー小胞を前記の哺乳動物の血流に送達して該ターゲティング分子に該細 胞を捜させることを含む、請求項13に記載の方法。 24.前記の生物学的に活性な物質が、前記の細胞の細胞質中に拡散する、請求 項1に記載の方法。 25.前記の生物学的に活性な物質が、前記の細胞における活性を刺激する、請 求項1に記載の方法。 26.前記の生物学的に活性な物質が、前記の細胞における活性を阻止する、請 求項1に記載の方法。 27.下記の工程を含む、二重層に結合した物質を細胞に伝達する方法: (a) 該二重層に結合した物質を取り込んだ約2〜10の脂質二重層を有するキ ャリアー小胞を形成し、該キャリアー小胞は、該二重層における一次構造脂質と して非リン脂質物質を有する少ラメラ脂質小胞の形態であり、該非リン脂質物質 は、下記式を有するポリオキシエチレン脂肪エーテルからなる郡より選択し: R−CO(C24O)nH (式中、nは2〜4に及び、Rは、セチルアルコール、ステアリルアルコール及 びオレオイルアルコール又はこれらの誘導体からなる郡より選択する炭化水素鎖 である)、 (b) 該二重層に結合した物質を取り込んだ該キャリアー小胞を該細胞に最も近 い位置に送達し、 (c) 該キャリアー小胞の該脂質二重層と該細胞の膜とを融合させ、そして (d) 該二重層に結合した物質を該細胞の膜に伝達させる。 28.前記の脂質二重層が、更に、ステロールを含む、請求項27に記載の方法 。 29.前記の脂質二重層が、更に、負の電荷生成剤を含む、請求項27に記載の 方法。 30.前記の二重層に結合した物質が、前記のキャリアー小胞の前記の非リン脂 質物質を含む、請求項27に記載の方法。 31.前記の二重層に結合した物質が、該二重層に挿入された蛋白質又はその断 片若しくは誘導体を含む、請求項27に記載の方法。 32.前記の細胞が、イン・ビトロである、請求項27に記載の方法。 33.前記の細胞が、哺乳動物中で、イン・ビボである、請求項27に記載の方 法。 34.前記のキャリアー小胞が、更に、ターゲティング分子を含み、該キャリア ー小胞を細胞に最も近い位置に送達する工程が、該キャリアー小胞を該細胞に最 も近い位置に送達して該ターゲティング分子に該細胞を捜させることを含む、請 求項27に記載の方法。 35.前記のターゲティング分子が抗体である、請求項34に記載の方法。 36.前記のターゲティング分子がウイルス蛋白質である、請求項34に記載の 方法。 37.前記のターゲティング分子が前記の細胞上のレセプターに対するリガンド である、請求項34に記載の方法。 38.前記のキャリアー小胞を前記の細胞に最も近い位置に送達する前記の工程 が該キャリアー小胞を前記の哺乳動物に、静脈、筋肉、鼻腔、皮下、経皮、気管 及び局所投与よりなる郡から選択する経路によって投与することを含む、請求項 33に記載の方法。 39.前記のキャリアー小胞が、更に、ターゲティング分子を含み、そのキャリ アー小胞を前記の細胞に最も近い位置に位置に送達する前記の工程が、該キャリ アー小胞を前記の哺乳動物の血流に送達して該ターゲティング分子に該細胞を捜 させることを含む、請求項33に記載の方法。 40.下記の工程を含む、生物学的に活性な物質を細胞に伝達する方法: (a) 該生物学的に活性な物質を封入する約2〜10の脂質二重層を有するキャ リアー小胞を形成し、該キャリアー小胞は、該脂質二重層における一次構造脂質 として非リン脂質物質を有する少ラメラ脂質小胞の形態であり、該非リン脂質物 質は、細胞との接触に際して細胞を溶解させることなく細胞と融合する小胞を形 成するポリオキシエチレン脂肪酸エーテルであり、 (b) 該生物学的に活性な物質を含む該キャリアー小胞を該細胞に最も近い位置 に送達し、 (c) 該キャリアー小胞の該脂質二重層と該細胞の膜とを融合させ、そして (d) 該生物学的に活性な物質を該細胞中に拡散させる。 41.前記の脂質二重層が、更に、リン脂質を含む、請求項40に記載の方法。 42.下記の工程を含む、二重層に結合した物質を細胞に伝達する方法: (a) 該二重層に結合した物質を含んだ約2〜10の脂質二重層を有するキャリ アー小胞を形成し、該キャリアー小胞は、該脂質二重層における一次構造脂質と して非リン脂質物質を有する少ラメラ脂質小胞の形態であり、該非リン脂質物質 は、細胞との接触に際して細胞を溶解させることなく細胞と融合する小胞を形成 するポリオキシエチレン脂肪酸エーテルであり、 (b) 該二重層に結合した物質を取り込んだ該キャリアー小胞を該細胞に最も近 い位置に送達し、 (c) 該キャリアー小胞の該脂質二重層と該細胞の膜とを融合させ、そして (d) 該二重層に結合した物質を該細胞の膜に伝達させる。 43.前記の脂質二重層が、更に、リン脂質を含む、請求項42に記載の方法。
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