JPH09504786A - ハプロタイプ適合サイトカイン分泌細胞および免疫応答を刺激するための使用方法 - Google Patents

ハプロタイプ適合サイトカイン分泌細胞および免疫応答を刺激するための使用方法

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JPH09504786A JP7508816A JP50881695A JPH09504786A JP H09504786 A JPH09504786 A JP H09504786A JP 7508816 A JP7508816 A JP 7508816A JP 50881695 A JP50881695 A JP 50881695A JP H09504786 A JPH09504786 A JP H09504786A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、サイトカイン遺伝子を発現するように遺伝学的に改変されたハプロタイプ適合腫瘍細胞を含有する組成物、および、サイトカイン遺伝子を発現するように遺伝学的に改変された自己の繊維芽細胞と非改変腫瘍細胞とを含有する組成物に関する。本発明はまた、癌患者の中枢神経系に位置する腫瘍に対する免疫応答を刺激するためにハプロタイプ適合サイトカイン分泌細胞を用いる方法に関する。本発明はさらに、ハプロタイプ適合サイトカイン分泌細胞で患者を免疫することにより、患者の中枢神経系における腫瘍細胞の増殖を阻害または抑制する方法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】 ハプロタイプ適合サイトカイン分泌細胞および免疫応答を刺激するための 使用方法 発明の背景 発明の分野 本発明は一般的に癌の遺伝子療法および免疫療法の分野に関する。さらに詳細 には、サイトカイン遺伝子を発現するように遺伝学的に改変されたハプロタイプ 適合腫瘍細胞を含有する組成物、およびサイトカイン遺伝子を発現するように遺 伝学的に改変された自己の繊維芽細胞と非改変腫瘍細胞とを含有する組成物に関 する。本発明はまた、ハプロタイプ適合サイトカイン分泌細胞を用いて、癌患者 の中枢神経系に位置する腫瘍に対する免疫応答を刺激する方法に関する。本発明 はさらに、ハプロタイプ適合サイトカイン分泌細胞で患者を免疫することにより 、患者の中枢神経系における腫瘍細胞の増殖を阻害または抑制する方法に関する 。 背景技術情報 サイトカインは、抗腫瘍免疫に関する多くの免疫応答を媒介する免疫系モジュ レーターである。いくつかのサイトカインは、組換えDNA法を用いて産生され、 癌患者の治療における有効性が評価されている。リンホカイン(リンパ球により 産生されたサイトカイン)および関連する免疫モジュレーターの投与により、種 々の型の新生物の患者に陽性応答が生じた。しかし、サイトカインの投与はしば しば毒性を伴い、これらの薬剤の治療価値を限定する。 インターロイキン-2(IL-2)は、抗腫瘍免疫の発生に中心的役割を有するリンホ カインである(Rosenbergら、J.Natl.Canc.Inst.,10:73-77(1990))。腫瘍抗原に 応答してヘルパーT細胞が少量のIL-2を分泌し、これは腫瘍抗原部位で局所的に 作用して、細胞障害性T細胞およびナチュラルキラー細胞を活性化する。後者の 細胞は全身性腫瘍細胞を破壊する。 高用量のIL-2の静脈内投与、リンパ内投与、および病巣内投与は、数人の癌患 者において臨床的に重要な応答を引き起こした。しかし、重篤な毒性(低血圧お よび浮腫を含む)が用量を限定し、従って、静脈内およびリンパ内IL-2投与の有 用性を限定する(Lotzeら、J.Amer.Med.Assn.,256:3117-3124(1986); Pizzaら、L ymphokine Res. ,7:45-48(1988); Gandolfiら、Hepato-Gastroenterology,36:3 52-356(1989); Sarnaら、J.Biol.Resp.Mod.,9:81-86(1990)を参照のこと)。全 身投与のリンホカインの毒性は、これらの薬剤が局所細胞相互作用を媒介し、通 常は非常に少量分泌されるため驚くべきことではない。 他のサイトカイン(例えばインターロイキン-4、インターロイキン-7、コロニ ー刺激因子、αインターフェロン、およびγインターフェロン)もまた、腫瘍細 胞への免疫応答を刺激するために用いられている(例えば、Hockら、J.Exp.Med. ,174:1291-1298(1991); Thomassenら、Canc.Res.,51:857-862(1991)を参照の こと。いずれも本明細書中に参考として援用されている)。しかしIL-2のように 、これらのサイトカインの現在の投与形態は、患者に悪い副作用を引き起こす。 全身性サイトカイン投与の毒性を回避するために、IL-2の病巣内注入の有効性 を検討した。このアプローチは、全身性仕-2投与に伴う毒性を除去するが、多数 回の病巣内注入が治療効能を最適化するために要求される(Bubenikら、Immunol. Lett. ,19:279-282(1988); Bubenikら、Immunol.Lett.,23:287-292(1989/1990) )。従ってこれらの注入は、多くの患者には、特に腫瘍部位が注入しにくいまた は患者の生命の危険を引き起こす場合には実行不可能である。 サイトカイン療法の別のアプローチには、腫瘍細胞内にサイトカイン遺伝子を 挿入することが挙げられる。この方法を用いて、腫瘍細胞へのサイトカイン遺伝 子転移後のサイトカイン遺伝子産物の発現が、同遺伝子型の宿主に挿入された場 合にサイトカイン分泌腫瘍細胞の腫瘍形成性をなくす。IL-2(Fearonら、Cell,38 7-403(1990); Gansbacherら、J.Exp.Med.,172:1217-1224(1990))、γインター フェロン(Watanabeら、Proc.Natl.Acad.Sci.,USA, 86:9456-9460(1989))、イン ターロイキン-4(Tepperら、Cell,57:503-512(1989))、または顆粒球マクロファ ージコロニー刺激因子(Dranoffら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:3539-3543(199 3))をコードする遺伝子の転移が、数種の異なる組織学的タイプのネズミの腫瘍 の増殖を著しく減少または除去する。 IL-2を発現するように遺伝学的に改変された腫瘍細胞を用いた研究において、 治療された動物は、サイトカイン分泌腫瘍細胞を拒絶し、腫瘍細胞に対する全身 性免疫を発生させ、非改変腫瘍細胞での次の腫瘍細胞感染から保護される(Fearo nら、1990、およびGansbacherら、1990を参照のこと)。免疫が非改変の親腫瘍細 胞と遺伝学的に改変された腫瘍細胞(IL-2を発現する)との混合物で行われる場合 、腫瘍増殖の同様の阻害および保護免疫もまた示された。局在するリンホカイン 導入遺伝子発現に伴う毒性は、これらの動物腫瘍研究では報告されていなかった (Fearonら、1990; Gansbacherら、1990; およびTepperら、1989; また、Kriegle rら、Gene Transfer and Expression: A Laboratory manual(Stockton Press 19 90)を参照のこと。これらは本明細書中に参考として援用されている)。 原発性脳腫瘍およびCNS腫瘍の15,600の新症例が1990年に生じた(Ransohoffら 、American Cancer Society Textbook of Clinical Oncology, Hollebら編、第2 4章(American Cancer Society,Inc.1991)中の中枢神経系および下垂体の癌)。 さらに、多くの非CNS原発性腫瘍はCNSに転移する。ヒトの寿命が増加するに従っ て、CNS病変を有する癌患者数が増加すると予期される。 脳の癌患者の予後は悪い。例えば、1987年の原発性CNS腫瘍の推定12,000の新 症例のうち、1990年に11,000の死亡例が示された(Ransohoffら、1991)。さらに 、神経膠腫系列の原発性CNS腫瘍を有する全ての患者はやがてはその疾患で死亡 する。明確な境界はないが、神経膠腫系列の腫瘍は、一般的に良性の神経膠星状 細胞腫、未分化神経膠星状細胞腫、または神経膠芽細胞腫に分類されている(本 明細書中では「神経膠腫」として一般的に呼んでいる)(Ransohoffら、1991)。 例えば、神経膠腫は現在、外科、放射療法、または化学療法により、単独また は種々の組合せのいずれかで治療される(Levinら、Int.J.Rad.Oncol.Biol.Phys. ,18:321-324(1990))。さらに研究的治療が用いられており、それには自己のリン ホカイン活性化キラー細胞と組み合わせたIL-2の局所投与が挙げられる(Ransoho ffら、1991)。しかし、この方法の有効性は確立されておらず、あるケースでは 上記のように腫瘍部位でのこのような処方物の局所注入に伴う疾病状態の問題に 悩まされる。 例えば、サイトカイン分泌腫瘍細胞またはリンパ球活性化キラー細胞を用いる CNSの局所治療に伴う問題を考えても、能動免疫応答がCNS以外の部位で誘導され 得るがそれでもなお腫瘍部位で効果をもたらす場合には有利である。しかし、CN S外の能動免疫応答の誘導が、CNS内の腫瘍に対して治療有効性をもたらすかどう かは明らかではない。例えば、CNSは部分的に免疫学的に特有の(privilege)部位 (Oldfieldら、Hum.Gene Ther.,4:39-69(1993))であると考えられ、血液-脳関門 を越えると免疫エフェクター細胞が不活性であることを示唆する。この「免疫学 的特有」は、遺伝学的に改変された腫瘍細胞での免疫がCNS内の腫瘍細胞に対す る免疫応答を誘導することを推論するのみである。実際、最近のRamらによる報 告(要約、Amer.Assn.Neurosurg.,Boston,MA,1993の会合で示された)は、IL-2 遺伝子を発現するように遺伝学的に改変された腫瘍細胞に対する免疫応答がCNS 内で生じないことを示す。Ramらは、ラットの脳腫瘍モデルである9Lを用いてI L-2をコードする遺伝子を導入することにより、9L腫瘍細胞を遺伝学的に改変 した。IL-2分泌腫瘍細胞が末梢に注入された場合、大部分の動物は腫瘍を形成し なかった。しかし、IL-2分泌9L細胞がCNSに注入された場合、腫瘍がラットCNS 中で増殖することが観察された。CNSにおけるこれらの結果は、IL-2を発現する ように遺伝学的に改変された腫瘍細胞を用いる他の腫瘍系で報告された結果と対 照的である(例えば、Fearonら、1990、およびGansbacherら、1990を参照のこと) 。これらの結果は、CNSが免疫学的に特有の部位であること、および、他の腫瘍 系におけるサイトカイン遺伝子療法を用いる結果からCNS腫瘍の治療におけるこ のような療法の治療上の価値が予測されないことを示す。 Mahaleyら、J.Neurosurg.,59:201-207(1983)は、神経膠腫患者を同種異系ヒ ト神経膠腫組織培養細胞株の皮下注射で免疫した。患者はまた、レバミソールな らびに放射線療法およびBCNU化学療法で治療された。U-251MG細胞株を接種した 患者は、レバミソール、放射線療法、および化学療法で治療した免疫していない 組織学的コントロール患者に比較して有意に長期間生存した。しかし、Mahaley らの結果は有望であるようであったが、類似の方法を用いる最近の研究はあいま いな結果を生じた(Bullardら、Sem.Oncol.,13:94-109(1986); FrankおよびTrib olet,Neurosurg.Rev.,9:31-37(1986))。 神経膠腫の動物研究において、エクスビボでラット神経膠腫に対して感作した 免疫ラット細胞障害性T細胞が、大脳内に神経膠腫をもつラットに静脈内投与さ れ、これらの脳腫瘍の減退が誘導された(Holladayら、J.Neurosurg.,77:757-76 2(1992); Holladayら、Neurosurg.,30:499-504(1992); Holladayら、Neurosurg. ,31:528-533(1992)、これらの各々は本明細書中に参考として援用されている)。 従って、神経膠腫を生じたラットの受動免疫は、本研究における治療上の有利性 を提供する。しかし、CNS腫瘍は部分的に免疫学的に特有の位置のため、CNSの原 発性腫瘍およびCNS内の転移病変の増殖を阻害または抑制するために活性免疫療 法を用いる方法はまだ開発されていない。 従って、患者の免疫系が腫瘍細胞の増殖を抑制または阻害し得るように、原発 性CNS腫瘍またはCNS内に位置する転移病変を有する患者の免疫応答を刺激するた めの有効な手段の必要性がある。本発明はこの必要性を満たし、さらに関連する 有利性を提供する。 発明の要旨 本発明は、サイトカイン遺伝子を発現するように遺伝学的に改変されたハプロ タイプ適合腫瘍細胞を含有する組成物、およびサイトカイン遺伝子を発現するよ うに遺伝学的に改変された自己の繊維芽細胞と非改変の腫瘍細胞とを含有する組 成物を提供する。本発明はまた、癌患者の中枢神経系に位置する腫瘍に対する免 疫応答を刺激するために、ハプロタイプ適合サイトカイン分泌細胞を用いる方法 を提供する。本発明はさらに、ハプロタイプ適合サイトカイン分泌細胞で患者を 免疫することにより患者の中枢神経系における腫瘍細胞の増殖を阻害または抑制 する方法に関する。 ハプロタイプ適合の遺伝学的に改変された細胞により発現されたサイトカイン は、有効量で免疫部位で分泌され、この有効量は全身性抗腫瘍免疫応答を誘導ま たは増強するに十分なサイトカインレベルとして定義される。ハプロタイプ適合 の遺伝学的に改変された細胞は腫瘍細胞であり得、免疫応答を誘導するために必 要とされる適切な腫瘍抗原を含む。さらに、このハプロタイプ適合の遺伝学的に 改変された細胞は自己の繊維芽細胞であり得、この場合、腫瘍抗原は患者を免疫 するために用いられた組成物中に非改変腫瘍細胞を含有することにより提供され る。免疫は、CNS内の腫瘍部位でまたはCNS以外の部位でのいずれかであり得る。 有効量のサイトカイン分泌により、受容できない患者の毒性は生じなかった。分 泌されたサイトカインレベルが全身のサイトカイン濃度にあまり影響しないため である。 ハプロタイプ適合の遺伝学的に改変された細胞により分泌されたサイトカイン 量は抗腫瘍免疫を誘導するには十分であるが、受容できない患者の毒性を生じる には十分低いため、本アプローチは、望ましくない副作用を生じることなく局所 のサイトカイン投与の利点を提供する。さらに、免疫部位でのサイトカインの持 続的な局所発現は、断続的なサイトカイン注入に比較して患者の腫瘍細胞に対す る免疫応答をより有効に増強する。また、開示された発明は、ハプロタイプ適合 の遺伝学的に改変された細胞での局所免疫の有利性を提供し、従って、腫瘍浸潤 リンパ球数の増大のようなエクスビボで活性化された細胞での免疫療法に必要な 面倒な静脈内点滴の必要がない(例えば、Rosenbergら、New Engl.J.Med.,323:5 70-578(1990)を参照のこと)。 図面の簡単な説明 図1は、レトロウイルスベクターDC/ADA/R/IL-2およびGlNaCvi2.23の概略図を 示す。 発明の詳細な説明 本発明は、サイトカイン遺伝子を発現するように遺伝学的に改変されたハプロ タイプ適合腫瘍細胞を含有する組成物を提供し、そして、サイトカイン遺伝子を 発現するように遺伝学的に改変された自己の繊維芽細胞と非改変腫瘍細胞とを含 有する組成物を提供する。本発明はまた、癌患者の中枢神経系に位置する腫瘍に 対する免疫応答を刺激するために、ハプロタイプ適合サイトカイン分泌細胞を用 いる方法を提供する。本発明はさらに、ハプロタイプ適合サイトカイン分泌細胞 で患者を免疫することにより、患者の中枢神経系における腫瘍細胞の増殖を阻害 または抑制する方法を提供する。 本発明は、以下の工程によって、原発性CNS腫瘍またはCNS内に位置する転移病 変に対する患者の免疫応答の刺激を幾分期待する:(a)患者のハプロタイプに適 合するハプロタイプを有する腫瘍細胞を得る工程;(b)IL-2のようなサイトカイ ンをコードする遺伝子(所望の場合、単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼ 遺伝子(HSV-TK)のような自殺遺伝子)をハプロタイプ適合腫瘍細胞に導入する工 程であって、ここで、サイトカイン遺伝子産物が、ハプロタイプ適合腫瘍細胞に より有効量で発現および分泌され、そして所望の場合、自殺遺伝子の発現が誘導 され得る、工程;(c)所望の場合、細胞がインビボで増殖することを避けるよう に腫瘍細胞を放射線照射する工程;および、(d)ハプロタイプ適合サイトカイン 分泌腫瘍細胞で患者を免疫する工程であって、ここで、サイトカイン遺伝子産物 の発現および分泌が、患者の免疫応答を刺激するが受容できない患者の毒性を生 じない、工程。 本発明はさらに以下の工程により、原発性CNS腫瘍またはCNS内に位置する転移 病変に対する患者の免疫応答の刺激を期待する:(a)患者のハプロタイプに適合 するハプロタイプを生得的に有する自己の繊維芽細胞を得る工程;(b)IL-2のよ うなサイトカインをコードする遺伝子(所望の場合、単純ヘルペスウイルスのチ ミジンキナーゼ遺伝子(HSV-TK)のような自殺遺伝子)を自己の繊維芽細胞に導入 する工程であって、ここで、サイトカイン遺伝子産物が、サイトカイン分泌繊維 芽細胞により有効量で発現および分泌され、そして所望の場合、自殺遺伝子の発 現が誘導され得る、工程;(c)腫瘍抗原のソースを提供する腫瘍細胞を得る工程 ;(d)細胞がインビボで増殖することを避けるように腫瘍細胞を放射線照射する 工程;および、(e)サイトカイン分泌繊維芽細胞および放射線照射した非改変腫 瘍細胞で患者を免疫する工程であって、ここでサイトカイン遺伝子産物の発現お よび分泌が、患者の免疫応答を刺激するが受容できない患者の毒性を生じない、 工程。 本明細書では、「遺伝子」はサイトカインあるいはサイトカイン活性を有する タンパク質またはペプチドの活性フラグメントのような所望の遺伝子産物をコー ドするヌクレオチド配列を意味する。従って、「遺伝子産物」はタンバク質また はペプチドであり、ここでそのタンパク質またはペプチドは細胞中で通常発現さ れるようなタンパク質またはペプチドの活性フラグメントであり得る。本明細書 で用いられる「活性フラグメント」はこのペプチドまたはタンパク質がサイトカ イン活性を有することを意味する。このような活性は、当該分野で周知であり本 明細書中に記載されたアッセイを用いて容易に測定され得る。 本発明はサイトカイン遺伝子を発現するように遺伝学的に改変されたハプロタ イプ適合細胞を提供する。本明細書で用いられる「ハプロタイプ適合」は、腫瘍 細胞のような遺伝学的に改変された細胞と治療される患者とが、1つ以上の主要 組織適合性遺伝子座ハプロタイプを共有することを意味する。例えば、神経膠腫 を有する患者が主要組織適合性遺伝子座HLA-A2ハプロタイプを発現する場合、こ の患者はサイトカイン遺伝子産物を発現および分泌するように遺伝学的に改変さ れたHLA-A2神経膠腫細胞で免疫される。患者のハプロタイプは当該分野で周知の 方法を用いて容易に決定される。 ハプロタイプ適合腫瘍細胞は自己または同種異系であり得る。例えば、サイト カイン分泌細胞は自己の繊維芽細胞または患者から得られた腫瘍細胞であり得る 。組織培養で増殖して遺伝学的に改変された自己の細胞は、生得的に患者とハプ ロタイプ適合する。 さらに、種々のHLA-Aハプロタイプがヒト集団に存在することが知られている ので、遺伝学的に改変された腫瘍細胞のパネルが作成され得る。このような同種 異系の腫瘍細胞のパネルは、例えば、集団中に存在する種々の異なるHLA-Aハプ ロタイプを発現し得る。さらに種々のパネルが、神経膠腫、神経芽腫、および他 の原発性CNS腫瘍細胞のような異なる組織学的起源の腫瘍、ならびに、肺癌腫、 乳癌腫、メラノーマ、およびCNSに転移する他の腫瘍のような他の非CNS腫瘍を提 示し得る。従って、本発明は、種々のハプロタイプを発現し、そしてCNS中に種 々のタイプの腫瘍を有する癌患者を免疫するに有用なハプロタイプ適合サイトカ イン分泌細胞を提供する。 本明細書中では、「遺伝学的に改変された」という用語は、ハプロタイプ適合 細胞を、この細胞が腫瘍細胞に導入するサイトカイン遺伝子を発現および分泌し 得るように組換えDNA技法を受けたことを意味する。細胞ヘサイトカイン遺伝子 を導入する方法は当該分野で周知であり、以下に記載する。 免疫に関して、腫瘍細胞は患者の腫瘍と同じ組織学的起源である。所望のハプ ロタイプを有する腫瘍細胞は、樹立された同種異系細胞株から得られ得るか、あ るいは治療される患者から得られた自己の細胞であり得る。腫瘍細胞が患者から 得られる場合、この腫瘍細胞は組織培養の当業者に周知の方法を用いる培養で増 殖される。例えば、原発性ヒト神経膠芽腫細胞を培養する方法は、Bignerら、J. Neuropathol.Exp.Neurol. ,40: 201-229(1981)により記載されており、これは本 明細書中に参考として援用されている。所望の場合、細胞は本明細書に記載され た方法または当該分野で周知の方法を用いて遺伝学的に改変され得る。あるいは 、腫瘍細胞は非改変のままであり得、そして患者における免疫応答を刺激するた めにサイトカイン分泌繊維芽細胞とともに注射され得る。 多くのサイトカイン遺伝子がクローニングされ、このプロトコルで使用するた めに利用可能である。例えば、種々のインターロイキン、γインターフェロン、 および顆粒球マクロファージコロニー剌激因子をコードする遺伝子が、アメリカ ンタイプカルチャーコレクションから入手可能である(ATCC/NIH ヒトおよびマウ スのDNAプローブおよびライブラリーの在庫カタログ、第6版、1992を参照のこ と)。さらに、インターロイキン-6、顆粒球コロニー刺激因子、およびヒト幹細 胞因子を含むサイトカインをコードする遺伝子が、市販されていて入手可能であ る(Amgen,Thousand Oaks,CA; 例えば、Patchenら、Exptl.Hematol.,21:338-3 44(1993)、および、Broudyら、Blood,82:436-444(1993)を参照のこと。それぞ れ本明細書中に参考として援用されている)。同様に、TGF-β1、TGF-β2、TGF -β3、TGF-β4、およびTGF-β5を含む種々のイソ型のTGF-βをコードする遺 伝子もまた当業者に入手可能である。 さらに、ネオマイシン耐性(NeoR)遺伝子のような選択マーカー遺伝子が市販さ れていて入手可能であり、このような選択マーカー遺伝子の使用が、例えば、Sa mbrookら、1989に記載されている。選択マーカー遺伝子の組み込みが、所望の遺 伝子を首尾良く受け取って、発現する腫瘍細胞の選択を可能にする。 免疫応答の刺激後に腫瘍細胞の選択的に誘導可能な死滅を可能にするために、 自殺遺伝子が、ハプロタイプ適合の遺伝学的に改変された腫瘍細胞中に組み込ま れる。本明細書の「自殺遺伝子」は、その発現の結果、細胞がある薬剤にさらさ れる場合に自殺遺伝子を発現する細胞死を生じ得る遺伝子を意味する。本発明で 有用な自殺遺伝子の例はHSV-TK遺伝子である。転移されたHSV-TK遺伝子を発現す るように誘導された腫瘍細胞は、アシクロビルまたはガンシクロビルのような薬 剤にさらされた場合、選択的に死滅する。自殺遺伝子はまた、非分泌細胞毒性ポ リペプチドをコードする遺伝子であり得る。自殺遺伝子は誘導可能なプロモータ ーに接続され得、ハプロタイプ適合サイトカイン分泌腫瘍細胞の破壊が望ましい 場合、プロモーターを誘導する薬剤が投与され得、細胞毒性ポリペプチドの発現 がハプロタイプ適合サイトカイン分泌腫瘍細胞を死滅させる。しかし、ハプロタ イプ適合サイトカイン分泌腫瘍細胞の破壊は必須ではなく、所望されなくてもよ い。 多くの方法がインビトロで細胞への核酸配列を導入するために利用可能である (Krieglerら、1990、およびSambrookら、1989を参照のこと)。例えば、適切な核 酸配列がプラスミドまたはウイルスベクターのような発現ベクターに挿入され得 、これは、トランスフェクション、形質導入、エレクトロポレーション、および リポフェクション(lipofection)のような当該分野で周知の方法を用いて細胞中 に導入される。有用なウイルスベクターの例は、アデノウイルスおよびアデノ関 連ベクターを含む(例えば、Flotte,J.Bioenerg.Biomemb.,25:37-42(1993)、 およびKirshenbaumら、J.Clin.Invest,92:381-387(1993)を参照のこと。これら のそれぞれは本明細書中に参考として援用されている)。ベクターは、このベク ターがプロモーター配列を含む場合特に有用であり、クローン化核酸配列の構成 的発現または誘導可能な発現を提供し得る。このようなベクターは、当該分野で 周知であり(例えば、Methods in Enzymology,185巻、D.V.Goeddel編、(Academic Press,Inc.,1990)を参照のこと)、そして市販の供給者から入手可能である( 例えば、Promega,Madison,WI)。 細胞内に遺伝子または他の核酸配列を転移する効果的な方法は、レトロウイル ス遺伝子形質導入を用いることによる。レトロウイルスが遺伝子転移に用いられ た場合、複製能力を有するレトロウイルスは、レトロウイルスベクターを産生す るために用いられたパッケージング細胞株のレトロウイルスベクターとウイルス 遺伝子配列との間への組換えにより、理論的には開発され得る。しかし、組換え により複製能力を有するウイルス(replication competent virus)の産生は低 減されるかまたは除去されるパッケージング細胞株が用いられ得る。いずれの場 合においても、患者の細胞を感染するために用いた全レトロウイスルベクターの 上清は、PCRおよび逆転写酵素アッセイのような標準アッセイにより複製能力を 有するウイルスについてスクリーニングされ得る(例えば、Rosenbergら、New En gl.J.Med. ,323:570-578(1990)を参照のこと、これは本明細書中に参考として援 用されている)。 サイトカインを発現するに有用なレトロウイスルベクターが当該分野で周知の 方法を用いて構築され得る。例えば、IL-2遺伝子産物のDC/AD/R/IL-2を発現する レトロウイルスベクターが、Gansbacherら、Canc.Res.,50:7820-7825(1990); G ansbacherら、Blood,80:2817-2825(1992); Gastlら、Canc.Res.,52:6229-6236 (1992)に記載され、これらのそれぞれは本明細書中に参考として援用されている (図1を参照のこと)。さらに、サイトカイン発現レトロウイルスベクター(GlN aCvi2.23と命名)がGenetic Therapy,Inc.から得られた(Gaithersburg,MD;図1 を参照のこと)。 免疫の前に、インビボで腫瘍細胞が増殖するのを避けるために、腫瘍細胞を放 射線照射し得る。約106から107の遺伝学的に改変されたサイトカイン分泌細胞が 各免疫に必要である。しかし、細胞の数は有効量のサイトカインを分泌するに十 分な数の細胞を提供するように調整し得る。本明細書に用いられた「有効量」の サイトカインは、患者に受容できない毒性を生じずに患者の免疫応答を誘導する 量である。例えば、開示された方法を用いて治療された最初の患者では、IL-2用 量が100ユニット/24時間を越えるまで、免疫部位での一時的な紅斑および腫瘍壊 死は観察されなかった。従って、治療はこの用量のIL-2を分泌する形質導入され た腫瘍細胞で開始され得る。形質導入された細胞は代表的には約20〜40ユニット のIL-2/106細胞/24時間を分泌するので、初回免疫は約5×106の遺伝学的に改変 されたサイトカイン分泌細胞の注入が必要である。適切な数のサイトカイン分泌 細胞を、所望であれば非改変腫瘍細胞とともに、皮下、筋肉内、または免疫に適 用し得るあらゆる様式で注射し得る。 目的の核酸配列はまた、ベクターへの核酸配列の最初の導入が必要ではない方 法を用いてハプロタイプ適合細胞に導入され得る。例えば、サイトカイン遺伝子 および選択マーカーを含有する核酸が、カチオン性リポソーム調製物を用いて細 胞内に導入され得る(Morishitaら、J.Clin.Invest.,91:2580-2585(1993)、これ は本明細書中に参考として援用されている)。さらに、核酸は、例えばアデノウ イルス-ポリリシンDNA複合体を用いてハプロタイプ適合細胞中に導入され得る( 例えば、Michaelら、J.Biol.Chem.,268:6866-6869(1993)を参照のこと、これは 本明細書中に参考として援用されている)。核酸内に含まれる遺伝子が発現され 得るように腫瘍に核酸配列を導入する他の方法が周知であり、例えば、Methods in Enzymology ,185巻、1990に記載されている。 以下の実施例は例示の目的であり、本発明の範囲を限定するものではない。 実施例I ハプロタイプ適合の遺伝学的に改変された細胞の調製 本実施例は、神経膠芽腫細胞を培養するために、およびこの細胞を腫瘍細胞が サイトカイン遺伝子産物を発現および分泌するように遺伝学的に改変するために 用いられる方法を例示する。原発性ヒト神経膠芽腫細胞株の樹立 レトロウイルス遺伝子転移に適切な継続培養で50%を越える原発性神経膠芽腫 腫瘍の樹立を可能にする方法が開発された(Bignerら,1981)。簡単に述べると、 患者の腫瘍を臨床的に指示された外科切除から得、細かく切断し、そしてRichte rの亜鉛選択培地に置いた。細胞のアリコートを遠心分離し、Richterの亜鉛選択 培地で洗浄し、次いで10%ジメチルスルホキシドおよび50%牛胎児血清を含む溶液 中で「バックアップ」培養として低温貯蔵した。樹立した腫瘍細胞株の一部分を 、IL-2レトロウイルスベクターでの形質導入、および免疫応答モニタリングアッ セイでの適用に発展させた。 神経膠芽腫細胞培養物を、60mm組織培養プレートへ腫瘍組織を移すこと、およ び、正常な脳および壊死組織から「純粋な」腫瘍サンプルを無菌の鉗子、鋏、お よび小刀を用いて切除することにより調製した。選択した腫瘍片を、可能な限り 細かく無菌の鋏で刻んだ。50μg/mlのゲンタマイシンを含有する無血清培地中の 0.4%コラゲナーゼの4mlを組織培養プレート中の腫瘍組織に添加し、次いでCO2イ ンキュベーター中で37℃で1〜4時間インキュベートした。(大きな腫瘍サンプル の場合、腫瘍片を100mm組織培養プレート中に入れ、上記のように、8mlの培地を 加える)。サンプルをピペットで混ぜて(worked up and down)分離を促進し、そ してさらなる工程に最適な時間を評価するために、プレートを、1時間おきにチ ェックした。 腫瘍細胞を十分に分離したら、サンプル全体を50mlの遠心分離用チューブに移 した。プレートを、無血清培地ですすぎ、全細胞を回収した。遠心分離をIEC PR 6遠心分離機で1000rpmにて5分間行った。上清を吸引し、ペレットを、記載され たように(Bignerら、1981)、20%の牛胎児血清を含む10mlの培地で7×106細胞/10 0mmディッシュを認めるに十分な数のディッシュに細胞を分配するために適切な 量に、50μg/mlのゲンタマイシンを含むRichterの亜鉛選択培地で再懸濁した。 次いで、細胞を5%のCO2インキュベーター中37℃でインキュベートした。培養培 地が極めて酸性にならなければ、細胞を接着させるために48時間前には元の培地 を交換しなかった。ゲンタマイシンを含まない培地を続く培地交換に用いた。腫 瘍細胞がコンフルエントに達したら、細胞をトリプシンを用いてプレートから剥 がし、培養物が十分に増殖するまで1:1または1:2の低分割比率で継代する。得ら れたHLA-A2の神経膠芽腫細胞株をGT9と命名した。 細胞遺伝学的研究および他の細胞株の特性研究が行われ、例えば、p53、PDGF 、EGFR、およびTGF-βの遺伝子型ならびに表現型を同定する。これらの研究は、 悪性細胞の存在を決定するために最初の72〜96時間以内に行われ、20〜30継代レ べル間隔でおよび腫瘍が樹立される70番目の継代レベルで繰り返される。通常の 蛍光電球由来の染色体の破壊を避けるために、Westinghouse F40G0(Gold)電球を 層流フードおよび培養物が樹立される細胞培養室中で用いる。 遺伝学的に改変された腫瘍細胞ワクチンのパネルが、HLA型の原発性神経膠腫 細胞培養物を用いて、Bignerら(1981)により記載されたように調製され得る。細 胞パネルは数種の異なる組織学的タイプの腫瘍細胞を示し得、そしてHLA-A2遺伝 子座またはHLA-A1遺伝子座を発現し得、これらは北アメリカ人口のそれぞれ約40 %および25%に発現される。種々のハプロタイプを有する腫瘍細胞のパネルの有 用性(availability)は、著しい割合の北アメリカ人口についてこれらの遺伝子座 で適合した遺伝学的に改変した全細胞ワクチンを開発する機会を与える。悪性黒 色腫(メラノーマ)の患者における研究は、HLA-A2遺伝子座が、細胞障害性T細胞 によりMHC制限された腫瘍破壊を媒介し得る腫瘍抗原提示について優性のハプロ タイプであることを示した(Crowleyら、Canc.Res.,50:492(1990); Crowleyら、J.Immunol. ,146:1692-1699; Pandolfiniら、Canc.Res.,51:3164-3170(1991))。 従って、例えば、IL-2を発現するように遺伝学的に改変されたGT9のような自己 のHLA-A2腫瘍細胞が、有意な数の神経膠腫患者の免疫応答を刺激するために用い られ得る。自己の繊維芽細胞の初代培養物の調製: 自己由来の培養物の初代培養が、当業者に周知の方法を用いて得られ得る。繊 維芽細胞は、皮膚のパンチ生検から得られ得る。IL-2含有レトロウイルスベクターでの原発性ヒト神経膠芽腫の腫瘍細胞への形質 導入: 標準的レトロウイルス遺伝子転移法を、IL-2レトロウイルスベクターで神経膠 芽腫培養物を形質導入するために用いた。培養した腫瘍細胞(5×104細胞/10cmプ レート)をポリブレン(8mg/ml)の存在下で適切なパッケージング細胞株由来の上 清とともに、Xuら、Virology,171:311-341(1989)およびMillerおよびRosman,Bi oTechniques ,7:980(1989)(それぞれ参考として本明細書中に援用されている)に 記載されたように、インキュベートした。24時間後、細胞を洗浄し、次いで100 〜150μg/mlのネオマイシン類似物であるG418を含有する培地中で培養して、形 質導入された細胞を選択した。次いで、細胞を10%の牛胎児血清(FCS)を添加した DMEM中で48時間培養した。トランスフェクトされた細胞を、G418での選択を始め た10〜14日後に選択した。G418耐性細胞を、培養上清中のIL-2を下記のELISAア ッセイを用いて測定することによりIL-2遺伝子発現について試験した。G418耐性 細胞のアリコートを免疫に必要になるまで-70℃で貯蔵した。 同様の方法を、患者から得られた自己の繊維芽細胞を形質導入するために用い た。IL-2発現の測定: 形質導入された細胞培養上清を、市販のヒトIL-2に特異的な抗体を含有する酵 素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)キット(GenzymeまたはT Cell Sciences )を用いて、IL-2分泌レベルを分析した。簡単に述べると、一次抗体でコートし た96ウェルプラスチックマイクロタイタープレートをテストサンプルとともにイ ンキュベートし、洗浄し、次いでペルオキシダーゼまたはアルカリフォスファタ ーゼに結合した適切な二次抗血清とともにインキュベートした。酵素反応を発色 団基質を用いて発色させ、吸光度をマイクロELISAプレートリーダーで読みとっ た。これらのキットは、IL-2レベルの定量を可能にする代理のコントロール抗体 および既知の濃度の標準IL-2溶液を含有する。 実施例II 自己のIL-2分泌細胞での患者の免疫 本実施例は、IL-2を発現および分泌するように遺伝学的に改変した自己の神経 膠腫細胞で、ならびにIL-2を発現および分泌するように遺伝学的に改変した自己 の繊維芽細胞と自己の放射線照射した非改変の腫瘍細胞との組合せでのヒト患者 の治療の有効性を例示する。患者の病歴: 多形性神経膠芽腫(GBM)患者をIL-2遺伝子療法で治療した。患者は1992年12月 に診断された右側頭葉のGBMを有する52歳の老婦人である。彼女は、最初に、外 科切除、従来の放射線療法、およびPCV化学療法(プロカルバジン、CCNU、および ビンクリスチン)で治療された。9ヶ月後、腫瘍の再発について2度目の切除を 行った。患者の腫瘍は、アキュタン(accutane)でおよびヨウ素131標識抗テナシ ン(tenacin)モノクローナル抗体での実験的な治療後に進行した。続いて、患者 を腫瘍病変部位を含有するように設計された実験的な定位固定性放射線療法で治 療した。IL-2遺伝子療法: IL-2遺伝子療法を、最初の腫瘍切除後約1年の1993年1月に開始した。患者は 、自己の放射線照射したIL-2形質導入腫瘍細胞(実施例Iに記載されたGT9細胞) かまたは放射線照射した非改変腫瘍細胞とIL-2形質導入繊維芽細胞との混合物の いずれかで、2から4週の間隔で、9回の皮下免疫を受けた。治療プロトコルは 表1に示す。 2つのIL-2レトロウイルスベクターがこの研究に用いられた。レトロウイルス ベクター(DC/AD/R/IL-2)は、IL-2発現を御するためにアデノシンデアミナーゼプ ロモーターを使用した(図1;Gansbacherら、1990,1992; Gastlら、1992も参照の こと)。レトロウイルスベクター(GlNaCvi2.23)は、サイトメガロウイルスプロモ ーターを用いた(図1;Genetic Therapy,Inc.,Gaithersburg,MD)。 表1に、形質導入した細胞型および各免疫で投与したIL-2用量を挙げる。イン ビトロで形質導入した細胞によるIL-2分泌をELISAで測定した。DC/AD/R/IL-2ま たはGlNaCvi2.23で形質導入した腫瘍細胞は、同様の量のIL-2をインビトロで発 現した(10〜43ユニットのIL-2/106細胞/24時間)。しかし、GlNaCvi2.23ベクター で形質導入された繊維芽細胞は、DC/AD/R/IL-2ベクターで形質導入されたものに 比べて約5〜10倍高レベルのIL-2を分泌した(表1)。投与された全IL-2用量は、3 から440ユニット/24時間の範囲であった。各免疫のための総腫瘍細胞用量は107 細胞であり、この用量は非改変腫瘍細胞を用いて調整した。 臨床経過: 重大な反対の反応は免疫部位では観察されず、治療に関連した異常は、患者の 完全な血球数、血清化学、および尿試料のモニターの間、観察されなかった。一 時的に、24時間未満持続した弱い紅斑が、100ユニット/24時間より多いIL-2用量 で免疫後の注入部位で観察された。タモキシフェン(2×80mg/日)を、初回免疫後 最初の約3ヶ月間投与した。 磁気共鳴画像(MRI)スキャンを、治療の最初の5ヶ月間に約4週間隔で行った 。このスキャンにより、デカドロン用量の変更(データは示さず)に伴って、腫瘍 周辺浮腫(peritumoral edema)の漸増化および漸減化を有する全腫瘍サイズの小 さな変化が明らかになった。治療の開始の6ヶ月後(最終および最高用量のIL-2 の投与後4週)行ったMRIスキャンは、有意な腫瘍周辺浮腫を伴う顕著な腫瘍壊死 を示した(データは示さず)。 臨床的には、MRI所見は患者のベースラインの左側衰弱(baseline left-sided weakness)の悪化に関連していた。しかし、この衰弱は増加した用量のデカドロ ンの投与後徐々に改善され、次いで徐々に少なくなった。定位固定性脳室内吻合 術(intraventriculostomy)を行い、第三左脳室における昇圧を緩和した。脳脊髄 液の細胞学的評価により、検出可能な腫瘍細胞がない炎症細胞の存在が明らかに なった。 つまり、IL-2遺伝子治療により免疫部位での重大な毒性は生じず、そして細胞 の抗神経膠腫免疫応答の発生に関連していた(下記参照)。顕著な腫瘍壊死が、最 終IL-2免疫用量後に観察された。従って、この結果は、ハプロタイプ適合サイト カイン分泌腫瘍細胞での免疫により患者の免疫応答を刺激することによって、CN Sにおける腫瘍細胞の増殖を阻害または抑制する開示された方法の可能性のある 治療価値を確立する。免疫応答性: 患者由来の末梢血単核細胞および血清サンプルを分析し、自己の腫瘍細胞に対 する細胞性および液性の抗神経膠腫細胞免疫応答を評価した。 細胞媒介免疫を測定するために、標準クロム放出アッセイを用いた。簡単に述 ベると、末梢血単核(PBM)細胞を、ヘパリン処理した血液のFicoll-Hypaque密度 勾配遠心分離により単離し、96ウェル丸底プレート中でIL-2の存在下7日間、種 々の割合のPBM:腫瘍細胞で、放射線照射した自己の腫瘍細胞とともに細胞をイン キュベートすることによりインビトロで刺激した。次いで細胞を洗浄し、さらに 6日間再刺激した。標的の腫瘍細胞を100μCiのクロム51で、37℃にて一晩標識 した。標識した細胞を十分に洗浄し、96ウェルV底プレート中で種々の数のエフ ェクター細胞と混合した。37℃で4時間のインキュベーション後、プレートを40 0×gで5分間遠心分離し、100μlアリコートの培養上清中で放射活性を測定した 。比溶解率(%)を以下の式を用いて計算した: {(cpmexp−cpmbkgd/(CPmtotal−CPmbkgd)}×100。 クロム放出アッセイの結果は、30:1の末梢血単核細胞:腫瘍細胞の割合で、 腫瘍細胞の細胞溶解活性のレベルが、第3のおよび次の免疫の後のベースライン レベルを越えて3〜4倍増加したことを示した。これらの所見は、細胞性抗神経膠 腫細胞免疫応答の発生と一致する。 液性免疫応答を間接免疫蛍光を用いて測定し、患者血清中に存在する抗腫瘍抗 体を同定した。自己の腫瘍細胞に対する液性応答は観察されなかった。 実施例III ハプロタイプ適合サイトカイン分泌細胞を用いる CNSに腫瘍を有する患者の治療 本実施例は、原発性CNS腫瘍またはCNS中の転移病巣を有する患者への本発明の 一般的な適用を例示する。患者の選択: 患者は、原発性CNS腫瘍またはCNS内に存在する転移病巣の存在を示すことが組 織学的に確定診断されている。腫瘍を有する患者は、治療目的で切除されなけれ ばならず、または本明細書に開示されなければならない。自己の繊維芽細胞およ び腫瘍細胞は、上記のまたはさもなければ当業者に公知の方法を用いて培養され 得る。 しかし、上記の患者および腫瘍細胞サンプルが得られない患者は、このような 腫瘍細胞が患者の腫瘍と同じ組織学的起源であるかぎり、同種異系のハプロタイ プが適合する遺伝学的に改変された腫瘍細胞で免疫され得る。例えば、HLA-A2ハ プロタイプを有する患者が神経膠腫系列の腫瘍を有する場合、実施例Iに記載さ れたように、免疫は遺伝学的に改変されたGT9細胞を用い得る。他の適切な同種 異系のハプロタイプが適合する遺伝学的に改変された腫瘍細胞は、継続培養細胞 として樹立されたこのような腫瘍細胞のパネルから得られ得る。治療前評価: 標準的治療前評価は次のように行われる: 1)患者の疾病活性および組織タイピングの記載および定量を含む病歴および 理学的試験。 2)動作状態評価 0=正常、症候なし 1=限度があるが歩行可能 2=歩行時間の50%以上、自己管理が可能 3=ベッドまたは椅子の範囲の歩行が50%以上、自己管理に限度がある 4=寝たきり 3)完全血球数(鑑別計算、血小板数、PT、PTT、グルコース、BUN、クレアチニ ン、電解質、SGOT、SGPT、LDH、アルカリホスファターゼ、ビリルビン、尿酸、 カルシウム、および総蛋白アルブミンを含む)を含む治療前検査所分析。 他の分析が適切と考えられる場合に行われ、それは、尿分析、血清補体レベル 、および末梢血B細胞およびT細胞サブセット(subset)の免疫表現型決定を含む 。さらに、治療前評価には、疾患活性の程度を記載および定量するために、胸部 X線ならびにコンピュータ化断層撮影(CT)、磁気共鳴画像(MRI)、または放射性 核種スキャンを含む他の診断研究が含まれ得る。これらの評価の追跡評価が、治 療への患者の応答をモニターするためにおよび毒性の潜在的な兆候を同定するた めに、一連の治療の間(約1から3ヶ月ごとに)、規則的な間隔で行われ、従って 免疫の数および分布における調整を可能にする。同時進行の治療における制限: この治療の最適な効果のために、患者は免疫系を抑制することが知られている 同時進行の治療を受けるべきではない。治療プロトコル: 各患者は、自己のまたは同種異系のハプロタイプ適合サイトカイン分泌腫瘍細 胞(例えばIL-2を発現および分泌するように遺伝学的に改変され得る)で、ならび に、遺伝学的に改変されたサイトカイン分泌自己繊維芽細胞および非改変の放射 線照射した腫瘍細胞で、皮下免疫を受ける。免疫前に、腫瘍細胞は約7000radの 放射線で照射され、腫瘍細胞がインビボで増殖し得ないようにする。治療は、本 質的には実施例IIに記載のように進められる。 一般的に、腫瘍生検は免疫の開始の約2ヶ月前に行われる。腫瘍細胞は、組織 培養に適用され、所望の場合、サイトカイン遺伝子を発現するように遺伝学的に 改変される。サイトカイン分泌腫瘍細胞は単離され得、そして免疫に用いられ得 る。しかし、自己の腫瘍細胞が組織培養での増殖に利用できないまたは適用され 得ない場合、同種異系のハプロタイプ適合サイトカイン分泌腫瘍細胞が患者の免 疫に用いられ得る。 患者は、ハプロタイプ適合サイトカイン分泌腫瘍細胞で、またはサイトカイン 分泌自己繊維芽細胞および1〜4週間隔で放射線照射した非改変腫瘍細胞で、必要 に応じて作成された免疫スケジュールに合わせて皮下に免疫される。免疫が、例 えばIL-2分泌細胞の使用を含む場合、免疫部位で分泌されるIL-2のレベルは、免 疫スケジュール初期の100ユニット/24時間から、スケジュール後期の400ユニッ ト/24時間まで上昇する。注入されたIL-2分泌細胞の数は、適切な数の放射線照 射非改変腫瘍細胞を、腫瘍免疫療法の分野の当業者により決定されたような適切 なレベルのIL-2を分泌することが要求されるIL-2分泌腫瘍細胞に加えることによ り、約1×I06から1×107腫瘍細胞/免疫部位で比較的一定に維持される。患者へ のIL-2用量が増加することが望ましい場合、多数の免疫部位が用いられ得る。患 者は、免疫後各3日連続で理学的に試験され、理学的および検査所評価が毎週の 間隔で行われる。 あるいは、患者はCNSにおける腫瘍部位で治療され得る。例えば、CNS腫瘍を除 去するための外科手順の間、ハプロタイプ適合サイトカイン分泌細胞は、腫瘍が 外科的に除去された領域に位置し得る。ほとんどの場合に、外科手術時でのサイ トカイン分泌腫瘍細胞での免疫は、遺伝学的に改変された腫瘍細胞のパネルから 選択された同種異系のハプロタイプ適合の遺伝学的に改変された腫瘍細胞を利用 する。しかし、自己の腫瘍細胞が外科手術の前に利用可能である場合、このよう な自己の腫瘍細胞が遺伝学的に改変され得、そしてCNSにおける腫瘍部位で患者 を免疫するのに用いられ得、あるいは、非改変腫瘍細胞がサイトカイン分泌の自 己繊維芽細胞と組合せて投与され得る。CNS内の腫瘍部位に遺伝学的に改変され たサイトカイン分泌細胞を置く定位固定性外科手順を用いることに加えて、超音 波またはコンピュータ化断層撮影で示された微細針の挿入が、腫瘍部位へのサイ トカイン分泌細胞を導入するために用いられ得る。用量調整: サイトカイン分泌細胞を用いる免疫が1〜4週間隔で投与される。患者は免疫後 各連続3日間、理学検査され、理学的および検査所評価が毎週間隔で行われる。 さらに、患者の免疫応答性が上記のアッセイを用いて決定され、それは、例えば 、患者での細胞性免疫応答活性の変化を決定するためのアッセイを含む。 毒性が観察されない限り、1〜4週間隔で次の免疫が投与される。細胞性および 液性免疫応答性アッセイおよび腫瘍モニタリング研究の結果は、腫瘍免疫療法の 分野の当業者により決定された治療プロトコルを最適化するために用いられ得る 。毒性の副作用はこれらの免疫から生じるとは予期されないが、潜在的な副作用 が上記のように治療される。潜在的な毒性の治療: 免疫部位での受容できない毒性の副作用は、実施例IIに記載されたように治療 された患者では観察されず、従ってこれらの免疫から生じるとは予測されない。 しかし、これらの免疫の潜在的な副作用は必要に応じて治療され得る。例えば、 塊状腫瘍細胞溶解が生じる場合、あらゆる生じた尿酸腎障害、成人呼吸促進症候 群、伝染した血管内凝集、または高カリウム血症が当該分野で周知の標準法を用 いて治療される。免疫部位での局所毒性は、局所ステロイドおよび必要な場合の 注入部位の外科切除のいずれかで治療される。「悪寒」、発熱、または発疹のよ うな一般的な過敏反応は、解熱薬および抗ヒスタミン薬で症候的に治療される。 患者は予防的に治療すべきではない。浮腫、関節痛、リンパ節疾患、または腎障 害は、コルチコステロイドおよび/または抗ヒスタミン薬を用いて治療し得る。 アナフィラキシーは、エピネフリン、体液、およびステロイドの投与のような標 準的手段により治療される。他のアッセイ: 十分な材料が評価のために入手可能であるとすれば、次のアッセイもまた行わ れる。標準免疫蛍光フローサイトメトリー手順が、サイトカイン遺伝子療法に伴 うT細胞、ナチュラルキラー細胞、およびB細胞の割合の変化を評価するために 有用である。T細胞(CD2、CD3、CD4、CD8)、ナチュラルキラー細胞(CD16、CD57 、CD58)、およびB細胞(CD19、CD20)に特異的なモノクローナル抗体がこれらの 研究に用いられ得る。 簡単に述べると、Ficoll-Hypaque精製単核細胞を、室温で1時間一次抗体とイ ンキュベートし、洗浄し、次いで蛍光発色団結合二次抗体とインキュベートする 。細胞を洗浄し、固定化し、そして陽性細胞の割合を、Coulter Epics 4 フロー サイトメーターを用いて測定する。一次抗体の代わりにイソタイプ適合コントロ ール抗体との細胞のインキュベーションが、陰性の代替コントロールとして有用 である。 上記の造血細胞サブセットに特異的なモノクローナル抗体を用いる標準免疫組 織学的方法が、遅延型過敏皮膚試験の生検部位で観察された免疫エフェクター細 胞浸潤を特徴付けるために用いられ得る。新鮮な凍結クリオスタット組織切片の 免疫組織学的評価方法が当該分野で周知である。 実施例IV 動物研究 Holladayら、1990、1992に記載されたラット神経膠腫腫瘍モデルは、被検体の 腫瘍に対する被検体における免疫応答を刺激する開示された方法の有用性を示す 。神経膠腫が上記のようにラットで産生され、種々の治療様式が用いられる。 簡単に述べると、神経膠腫を生じたラットは、サイトカイン遺伝子を発現する ように遺伝学的に改変されたハプロタイプ適合神経膠腫細胞で、または、非改変 腫瘍細胞と遺伝学的に改変されたサイトカイン分泌自己繊維芽細胞とで治療され る。免疫はCNS以外の部位またはCNS内の部位である。細胞性および液性免疫応答 の刺激が上記のように決定される。さらに、治療開始後種々の時間でラットを屠 殺し、腫瘍の肉眼および組織学的解剖で検査することにより、腫瘍における治療 効果がモニターされる。次の腫瘍感染を拒絶する免疫動物の能力もまた測定され る。 本発明を開示された実施例に関連して記載したが、種々の修飾が本発明の主旨 から逸脱することなく行われ得ることが理解されるべきである。従って、本発明 は以下の請求の範囲によってのみ制限される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI A61K 38/46 9051−4C A61K 37/54 C12N 5/10 9281−4B C12N 5/00 B 15/09 9162−4B 15/00 A (72)発明者 ロイストン,アイボア アメリカ合衆国 カリフォルニア 92037, ラ ホヤ,エル カミノ デル ティアト ロ 1515 (72)発明者 ファクライ,ハビーブ アメリカ合衆国 カリフォルニア 92037, ラ ホヤ,カミニト プリマベラ 8886

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.患者の中枢神経系における腫瘍細胞の増殖を阻害または抑制する方法であ って、サイトカイン遺伝子産物を発現および分泌するように遺伝学的に改変され たハプロタイプ適合細胞で該患者を免疫することによる該腫瘍細胞に対する該患 者の免疫応答の刺激を包含する、方法。 2.前記免疫が中枢神経系内以外の部位である、請求項1に記載の方法。 3.前記ハプロタイプ適合細胞が自己の細胞である、請求項1に記載の方法。 4.前記ハプロタイプ適合細胞が同種異系細胞である、請求項1に記載の方法 。 5.前記ハプロタイプ適合細胞が腫瘍細胞である、請求項1に記載の方法。 6.前記ハプロタイプ適合細胞が繊維芽細胞である、請求項1に記載の方法。 7.非改変腫瘍細胞で免疫する工程をさらに包含する、請求項6に記載の方法 。 8.前記適合するハプロタイプがHLA-A2である、請求項1に記載の方法。 9.前記細胞が多形性神経膠芽腫細胞である、請求項5に記載の方法。 10.前記腫瘍細胞が、サイトカイン遺伝子産物を発現および分泌するように 遺伝学的に改変されたHLA-A2多形性神経膠芽腫細胞を含むGT9細胞であり、ここ で、該サイトカイン遺伝子産物がインターロイキン-2である、請求項5に記載の 方法。 11.前記サイトカインが、インターロイキン-1、インターロイキン-2、イン ターロイキン-3、インターロイキン-4、インターロイキン-5、インターロイキ ン-6、インターロイキン-7、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、顆粒球 コロニー刺激因子、ヒト幹細胞因子、およびγインターフェロンの群より選択さ れる、請求項1に記載の方法。 12.前記サイトカインがインターロイキン-2である、請求項1に記載の方法 。 13.前記サイトカイン遺伝子が発現ベクター中に存在する、請求項1に記載 の方法。 14.前記発現ベクターが自殺遺伝子を含む、請求項13に記載の方法。 15.前記発現ベクターが、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクタ ー、アデノウイルス関連ウイルスベクターの群より選択される、請求項13に記 載の方法。 16.前記レトロウイルスベクターが、有効量のサイトカイン遺伝子産物の持 続的な発現および分泌を引き起こすプロモーターを有する、請求項14に記載の 方法。 17.前記遺伝学的改変が、アデノウイルス-ポリリシンDNA複合サイトカイン 遺伝子転移、直接サイトカイン遺伝子転移、およびカチオン性リポソーム媒介サ イトカイン遺伝子転移の群より選択される方法を用いて、前記細胞に前記サイト カイン遺伝子を含有する核酸配列を導入する工程を包含する、請求項1に記載の 方法。 18.以下の工程を包含する、中枢神経系内に位置する腫瘍細胞への患者の免 疫応答を刺激する方法: a.該患者により発現されたハプロタイプに適合するハプロタイプを有する腫 瘍細胞を得る工程; b.該ハプロタイプ適合腫瘍細胞にサイトカインをコードする遺伝子を導入す る工程であって、該サイトカインが該ハプロタイプ適合腫瘍細胞により発現およ び分泌され、所望であれば、単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼ遺伝子の ような自殺遺伝子であってその発現が誘導可能である、工程;および c.該患者を該ハプロタイプ適合サイトカイン分泌腫瘍細胞で免疫する工程で あって、該細胞が、該免疫応答を剌激するに十分であるが、受容できない患者の 毒性を生じない有効量の該サイトカイン遺伝子産物を発現および分泌する、工程 。 19.以下の工程を包含する、中枢神経系内に位置する腫瘍細胞への患者の免 疫応答を刺激する方法: a.該患者から繊維芽細胞を得る工程; b.該繊維芽細胞にサイトカインをコードする遺伝子を導入する工程であって 、該サイトカインが該繊維芽細胞により発現および分泌され、所望であれば、単 純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼ遺伝子のような自殺遺伝子であってその 発現が誘導可能である、工程; c.該患者から腫瘍細胞を得る工程;および d.該患者を該サイトカイン分泌繊維芽細胞と腫瘍細胞とで免疫する工程であ って、該細胞が、該免疫応答を刺激するに十分であるが受容できない患者の毒性 を生じない有効量の該サイトカイン遺伝子産物を発現および分泌する、工程。 20.前記免疫が中枢神経系内以外の部位である、請求項18または請求項1 9に記載の方法。 21.前記サイトカインが、インターロイキン-1、インターロイキン-2、イン ターロイキン-3、インターロイキン-4、インターロイキン-5、インターロイキ ン-6、インターロイキン-7、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、顆粒球 コロニー刺激因子、ヒト幹細胞因子、およびγインターフェロンの群より選択さ れる、請求項18または請求項19に記載の方法。 22.前記サイトカインがインターロイキン-2である、請求項18または請求 項19に記載の方法。 23.サイトカイン遺伝子産物を発現および分泌するように遺伝学的に改変さ れたハプロタイプ適合腫瘍細胞を含有する、中枢神経系に位置する腫瘍細胞への 患者の免疫応答を増強する組成物。 24.サイトカイン遺伝子産物を発現および分泌するように遺伝学的に改変さ れた自己の繊維芽細胞、および腫瘍細胞を含有する、中枢神経系に位置する腫瘍 細胞への患者の免疫応答を増強する組成物。 25.前記サイトカインが、インターロイキン-1、インターロイキン-2、イン ターロイキン-3、インターロイキン-4、インターロイキン-5、インターロイキ ン-6、インターロイキン-7、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、顆粒球 コロニー刺激因子、ヒト幹細胞因子、およびγインターフェロンの群より選択さ れる、請求項23または請求項24に記載の組成物。 26.前記サイトカインがインターロイキン-2である、請求項23または請求 項24に記載の組成物。 27.前記サイトカイン遺伝子産物が、前記免疫応答を刺激するに十分である が受容できない患者の毒性を生じない有効量で発現および分泌される、請求項2 3または請求項24に記載の組成物。
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