JPH094406A - タービン翼及びその製造方法 - Google Patents

タービン翼及びその製造方法

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JPH094406A
JPH094406A JP8201515A JP20151596A JPH094406A JP H094406 A JPH094406 A JP H094406A JP 8201515 A JP8201515 A JP 8201515A JP 20151596 A JP20151596 A JP 20151596A JP H094406 A JPH094406 A JP H094406A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の目的は、狭隘で複雑な形状の冷却用内
部通路各部の被覆の厚さが均一なアルミニウム拡散被覆
を有するタービン翼及びその製造方法を提供することに
ある。 【解決手段】翼部内部に冷却空気によって前記翼部を冷
却する内部通路が設けられているタービン翼において、
前記内部通路にアルミニウム拡散被覆層が設けられ、該
被覆層の厚さが前記内部通路の全領域にわたって最大厚
さに対し80%以上の厚さを有することを特徴とするタ
ービン翼及びその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規な冷却用内部通
路にAl被覆を有するタービン翼とその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ガスタービンあるいはジェットエンジン
などにおいて、高温に加熱され、且つ腐食性のガスに接
する主要部品は高温域での機械的性質に優れるとともに
耐酸化性も要求され、一般にはニッケル(Ni)基ある
いはコバルト(Co)基の合金が使用されてきた。この
ような合金は一般に耐熱合金と総称されており、主に高
温強度の向上が開発の主題となっている。高温における
高強度化の合金組成は多くの場合に耐高温腐食性が低下
し、高温主要部の寿命は機械的な破壊よりも、高温腐食
による影響が大きい。例えば、前記したガスタービンあ
るいはジェットエンジンは燃料中の硫黄(S),塩素
(Cl),バナジウム(V),ナトリウム(Na)およ
び鉛(Pd)などのイオンおよび吸入空気中のNaCl
(海塩粒子)などの腐食性,酸化性の燃焼ガス雰囲気に曝
され、この雰囲気中では前記合金は侵されてしまう。耐
熱合金の耐食性および耐酸化性を改善するためには、安
定な酸化物を生成するクロム(Cr),アルミニウム
(Al)などの元素の添加が有効であるといわれている
が、機械的性質の低下などを生じてもろくなるために、
Ni基あるいはCo基耐熱合金に添加できるCr,Al
の量にはおのずから制限がある。そのため、現状では耐
熱合金の表面に耐熱性および耐酸化性を付与する各種の
表面処理を施すことが不可欠となっている。Ni基ある
いはCo基耐熱合金に対する耐食性被覆としては、A
l,Cr,MCrAlY(MはNi,CoおよびFeな
どで主成分)合金および各種セラミックスなどがあり、
その方法あるいは被覆物質によってパック法(拡散浸透
法),CVD法(Chemical VaporDepositiom),PVD
法(Physical Vapor Deposition)および溶射法などで行
われている。このうち最も広く行われている方法にパッ
ク法によるAl被覆がある。これは被処理材を被覆剤
(AlまたはAl化合物)とキヤリアあるいは活性剤
(通常ハロゲン化アンモニウムあるいはハロゲン化アル
カリ金属)と、Al23のような不活性充填剤とを含有
するパック粉末中に埋没して非酸化性雰囲気中で750
〜1250℃に加熱保持することにより、Alを被処理
材に拡散浸透させてNi−AlあるいはCr−Alなど
の金属間化合物を形成させる。この化合物が高温域で保
護膜Al23を生成して耐食性を高めている。この被覆
層の厚さは熱処理の保持時間および処理温度で制御でき
る。また、ハロゲン化物はAl源から被処理材へのAl
の移行を容易にするキヤリアあるいは活性剤として作用
している。このようなパック法を開示している代表的な
ものとして特開昭55−82784号公報,特開昭58−177456
号公報がある。
【0003】一方、ガスタービンあるいはジェットエン
ジンの熱効率は、圧縮機による圧力の比を上げタービン
入口ガス温度を上げると向上することから、高効率化を
図るため高温主要部のブレードおよびノズルの使用温度
が高温化する傾向にある。この際グレードおよびノズル
の使用温度を下げるために内部を空胴にして冷却空気を
通す構造になっている。このような内部通路についても
先に述べた耐食性の観点から被覆を施すことが望まれて
いる。この内部通路は狭隘で複雑形状を呈しているため
適用できる被覆方法に制限がある。
【0004】上記従来技術では、例えばパック法により
被覆しようとする場合には内部通路内をパック剤で充填
する必要がある。すなわち、パック剤と被処理材である
内部通路が接していることが望ましい。したがって、内
部通路が単純形状であれば適用も可能であるが、狭隘で
複雑形状になりつつある現状の構造への適用は困難であ
る。また、パック法はパック剤中から被覆原料が供給さ
れることから目的の被覆層の厚さを得ようとした際に
は、それに応じた量のパック剤を必要とする。しかし、
内部通路は形状の点から充填できるパック剤の量は制限
されるので、被覆層の厚さも限定され、任意の被覆層を
得ることができない。さらに、処理後はパック剤を完全
に除去することが冷却空気の流通上必要不可欠であり、
固化したパック剤の除去にも問題がある。
【0005】一方、PVD法、例えばスパッタ法では被
覆材の基となるターゲットからスパッタされた粒子の運
動は一直線であるため、内部通路の狭隘部へ浸入する距
離に限度があり、つき回り性が悪いために適用できな
い。
【0006】溶射法もPVD法と同様に被覆材の粒子は
直線運動のみであり、適用できない。
【0007】このようなことから、被覆物質をガスの状
態で供給する気相から被覆する方法が検討されており、
特公昭56−18671号公報,特公昭59−19988号公報にその
例が示されている。この方法はガス相被覆法(Gas Pha
se Deposition,GPD法)とよばれ、チューブで互い
に連通接続された下部室と上部室からなる包囲体があ
り、この下部室内に被覆材、例えばAlをNaAlF2
の粉末と触媒の混合粉のパック粉を充填し、被覆される
中空物品を前記チューブと連通するように配設した状態
で、この包囲体を適当な加熱装置内に配置してパック粉
を気化するとともにキヤリアガスで前記中空物品内に輸
送して被覆を行うものである。この方法では、被覆材を
ガスで供給するので狭隘な内部通路にも被覆することが
できる。しかし、被覆処理が常圧で行われているために
均一性に劣る可能性がある。すなわち、キヤリアガスに
よる輸送圧力で行っているために、ガス流速の制御をキ
ヤリア流量のみで行っており、その流速範囲に制限があ
ることから、場所により流れの悪くなるところが生じて
被膜の厚さに差を生じる可能性がある。
【0008】一方、CVD法によるAlの被覆である
が、一般的にAlCl3 等のハロゲン化物と水素ガスと
の還元によりAlを析出させるようにすると、熱力学的
な反応の自由エネルギーによって1200℃程度を必要
とし、耐熱合金の機械的性質の低下などを生じているた
めに熱履歴上好ましくない。
【0009】そこで、AlのCVDの低温化を可能にす
る方法としてAlの低次塩化物AlClを生成してCVDを
行う方法がオーストリア国特許第182024号公報に示され
ている。この方法によれば、ワイヤーなどの表面にAl
を700〜1050℃の低温域で被覆できる。
【0010】また、上述のCVD法を電気材料用配線材
料のAl薄膜形成方法として、150〜500℃の低温範
囲内でできることを示した特公昭59−48952 号公報もあ
る。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のいずれ
の方法においてもタービン翼の内部通路が狭隘なため十
分な量の混合ガスが流入せず、また、内部通路の出口近
傍における急激な流速の変化,圧力の変動および反応生
成ガスの逆拡散等が生じるため、内部流路の内面にAl
被覆を均一性に優れた状態に、且つNi基およびCo基
耐熱合金の特性を損うことのない熱履歴範囲で可能にな
らしめるAl被覆方法とその方法を実施できる装置は示
されておらず、適切な処理法の開発が望まれている。
【0012】本発明の目的は、狭隘で複雑な形状の冷却
用内部通路各部の被覆の厚さが均一なアルミニウム拡散
被覆を有するタービン翼及びその製造方法を提供するこ
とにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、翼部内部に冷
却空気によって前記翼部を冷却する内部通路が設けられ
ているタービン翼において、前記内部通路にアルミニウ
ム拡散被覆層が設けられ、該被覆層の厚さが前記内部通
路の全領域にわたって最大厚さに対し80%以上の厚さ
を有することを特徴とするタービン翼にある。
【0014】更に、本発明は、内部通路を有するタービ
ン翼を反応炉内に配設して減圧し、前記タービン翼を加
熱した状態で前記内部通路の一方から混合ガスを供給
し、他方から排出ガスを排出させて化学気相蒸着を行う
前記内部通路にアルミニウム拡散被覆を形成するタービ
ン翼の製造方法であって、前記内部通路の一方にガス供
給槽を接続して前記内部通路へハロゲン化アルミニウム
とキヤリアガスとからなる混合ガスを供給し、前記内部
通路の他方にガス流速制御槽を接続して、該ガス流速制
御槽から前記反応炉内へ前記排出ガスを排出する速度を
制御して化学気相蒸着を行うことを特徴とするタービン
翼の製造方法にある。
【0015】減圧容器内に配設した耐熱部材の内部通路
の一方にガス供給槽を密着状態に接続してその内部通路
内へハロゲン化アルミニウムとキヤリアガスとからなる
混合ガスを供給することにより混合ガスを内部通路内へ
直接供給できるので、内部通路内でアルミニウムの被覆
を形成し化学気相蒸着が行われ、反応生成ガスと反応に
関与しなかつた未反応ガスとキヤリアガスとからなる排
出ガスが内部通路の他方から排出される。
【0016】さらに、前記内部通路の他方にガス流速制
御槽を接続して前記混合ガスが前記内部通路内を流れて
化学気相蒸着が行われ、反応生成ガス,未反応ガス,キ
ヤリアガスからなる排出ガスとなって前記減圧容器内に
排出される際の流速を制御することにより、内部通路の
出口近傍の排出ガスの流速を大きく変化させることがな
く、且つ減圧容器内に充満している反応生成ガスが内部
通路内あるいはその近傍へ逆拡散するのを防ぎ、そのた
め内部通路内での反応ガス濃度が低下することがなく、
したがってその部分の被覆形成が阻害されない。
【0017】化学気相蒸着(CVD)法においては、一
般的に被処理品を多数個反応炉内に配設し、各被処理品
に対して均一な被膜を形成するために反応ガスの均一な
分散供給方法および炉内に拡散した反応ガス(未反応)
および反応生成ガス(副成ガス)を滞留なく反応炉外に
排出するように考慮されている。しかし、このような方
法は本発明では望ましくない。なぜならば、被処理部は
タービン翼の内部通路であり、炉内に拡散した反応ガス
を内部通路に導いて被覆することは導入した反応ガス量
から析出する析出量の比率の面から効果的ではない。一
方、反応炉内に拡散した反応ガス濃度は反応炉内の体積
に応じて各位置で濃度が低下している。このような低濃
度状態の反応ガスを被処理品のタービン翼内部通路に供
給しても被覆の形成速度は遅い。このようなことから本
発明では反応ガスを被処理品の内部通路(通常一方から
冷却空気が入り、他方から排出される通路構造で、複数
の通路になっている場合もある)に直接供給する。この
結果、反応ガスは反応炉内に拡散せずに内部通路内で被
覆を形成して化学気相蒸着反応が終了し、排出ガス、す
なわち未反応ガス,反応生成ガス(副成ガス),キヤリ
アガスが内部通路の他方から排出される。この結果、反
応ガスから単位面積に析出する被覆の効率は高まり、被
覆形成速度も速くなる。
【0018】一方、被覆の均一性についてみると、被処
理品の温度分布,処理圧力,反応ガス濃度および反応ガ
ス流速などの影響を受ける。温度は適切な加熱源とその
制御系により行われる。ガス濃度も適切な組成に制御さ
れて供給されるが、圧力,ガス流速によって変化する。
ガス流速はガス流量,圧力,温度および内部通路の形状
によって異なる。このように均一性は種々の因子によっ
て影響を受けるが、一定温度で一定濃度の反応ガスおよ
び処理圧力で処理された際、流速の制御が重要になる。
タービン翼の内部通路の場合、内部通路に直接供給され
た反応ガスは供給条件と内部通路の形状によってガス流
速は定まってくる。しかし、内部通路の出口近傍では、
反応炉内への自由放出の場合は形状の差,圧力の差が生
じる。すなわち、内部通路内は狭く、反応炉内は広い空
間のため両者間で圧力の差を生じており、反応炉内は内
部通路よりも低い値である。この結果、一定流量の反応
ガスの流速は内部通路近傍で遅くなる。一般的なCVD
において、被膜の均一性を改善する方法として下流側で
ガス流速を速くすることが行われている。したがって、
前述のように内部通路の出口近傍すなわち下流側で流速
が遅くなることは好ましくない。そこで、本発明では内
部通路の出口部に内部通路と同様な流速が得られるガス
流速制御槽を設ける。すなわち、内部通路の出口部が内
部通路の途中であるように内部通路出口に気密状態に密
着させたガス流速制御槽に移行させる。このような機能
を持たせるために、ガス流速制御槽は、その接続部にお
いて内部通路と同一形状であることが望ましい。すなわ
ち、形状の変化により、流速は変化するため、影響のな
いように配慮する必要がある。したがって、このガス流
速制御槽はガス留となる中空部からなっている。また、
ガス流速制御槽から排出ガスを排出するための排出口
は、内部通路のガス流速を大きく変化させない大きさが
よく、流れの均一性を考慮して複数個分散させて設ける
のもよい。
【0019】このガス流速制御槽の他の異なった機能と
しては、反応生成ガスである副成ガス、例えば塩化水素
(HCl)の内部通路内あるいはその近傍への逆拡散を
防止できる。すなわちこれらの副成ガスは反応ガスが終
了して生成され、反応炉内に充満している。内部通路の
出口近傍では未反応ガス,副成ガスに接しており、これ
らのガスのうち副成ガスが逆拡散してくると反応ガス濃
度が低下し、被膜が形成されないか、形成されてもその
形成速度が遅くなるという悪影響がある。したがって、
この副成ガスの逆拡散を制御することも被覆の均一性に
影響する。そこで、本発明のガス流速制御槽を設けるこ
とにより、被処理品のタービン翼内部通路まで影響のな
い距離を設けることで目的を達成できる効果もある。こ
のようにして内部通路内へのガス供給および反応炉内へ
の排出ガスの排出を制御する本発明により均一性の優れ
た被覆を行うことができる。
【0020】一方、アルミニウムのCVDであるが、本
発明では減圧雰囲気中において、3価のハロゲン化アル
ミニウムと金属アルミニウムとの不均化反応によって低
次の1価のハロゲン化アルミニウムを生成させて、1価
のハロゲン化アルミニウムあるいは3価のハロゲン化ア
ルミニウムと1価のハロゲン化アルミニウムから内部通
路内にアルミニウムを析出させる。すなわち、金属アル
ミニウムを加熱保持し、その表面に3価のハロゲン化
物、例えばAlCl3 を導入してAlCl3 +2Al→
2AlClの反応でAlClを生成する。このAlCl
および未反応のAlCl3 を被処理品の内部通路へガス
供給槽によって直接供給する。この反応ガスにより、低
温側ではAlClからAlが析出し、高温になるとAl
Cl3 からもAlが析出するようになる。ここでAlC
3 とAlの反応によって生成するAlClの加熱温
度,圧力,AlCl3 流量によって制御できる。また3
価のハロゲン化アルミニウムはAlBr3 およびAlI
3 であってもよい。さらに3価のハロゲン化アルミニウ
ムはキヤリアガスによって輸送され、キヤリアガスとし
て水素ガス,希ガスなどを用いる。
【0021】
【発明の実施の形態】
〔実施例1〕図1は本発明を実施する一装置の例を示し
ている。同図において、反応炉1は、耐熱性に優れた合
金あるいはセラミックス製が望ましく、反応炉1の中に
内部通路を有するタービン翼2を配設し、このタービン
翼2と反応炉1は反応炉の外側の加熱源3により処理温
度に加熱保持され、反応炉内は真空排気装置6により処
理圧に減圧される。CVD用のガスとしては、被覆原料
の金属ハロゲン化物5をキヤリアガス4によりガス変成
室7に輸送し、ここで、活性状態に保持されている反応
金属8と金属ハロゲン化物5とが反応して、金属ハロゲ
ン化物5が低次のハロゲン化物に変成される。タービン
翼2には、その内部通路の一端に密着してガス供給槽9
が接続されており、低次ハロゲン化物とキヤリアガスか
らなる混合ガスが内部通路に均一に供給され、内部通路
の他端にはガス供給槽9が密着して接続されて、その排
出口11から反応生成ガス,未反応ガス,キヤリアガス
からなる排出ガスが排出され、その際の排出ガスの流速
を制御する機能をもつ。
【0022】図2は前記ガス流速制御槽10の他の例を
示し、複数の内部通路をもつタービン翼2に複数のガス
流速制御槽10a,10bを配設し、各々のガス流速制
御槽10からガス排出口11a,11bよりガスが排出
される例を示す。
【0023】図3〜図5は図2のガス流速制御槽10a
の詳細を示している。このガス流速制御槽10aはター
ビン翼2の内部通路の出口形状に合わせた形状になって
おり、タービン翼2の翼部の一部を嵌め合わせて密着さ
せて固定する翼結合部13が設けられている。また、内
部通路から排出される排出ガスをガス留12で流速を調
整した後、複数個設けられたガス排出口11aより反応
炉1内に排出される排出ガスの流速を制御する機能を果
す。
【0024】ガス供給槽9は、図6,図7に示すように
内部通路へ均一にガスを供給するための機能を果すもの
であり、内部通路が複数ある場合は、ガス供給槽9をそ
れぞれの内部通路に設けるか、あるいはガス供給槽9の
ガス留14a,14bにガス分配部15a,15b(オ
リフィス)を設けて各内部通路の流量に合わせて全体に
均一に供給されるように工夫することによってもでき
る。
【0025】図1に示した被覆装置によって被覆処理を
行うには、反応炉1内にタービン翼2の内部通路の一方
にガス供給槽9を密着させ、このガス供給槽9とガス変
成室7を連通するように接続するとともにタービン翼2
の他方の内部通路にガス流速制御槽10を配設する。ガ
ス変成室7内には反応金属8、すなわち金属アルミニウ
ムを収納してある。このように配設された反応炉1内を
真空排気装置6により10-2Torr以下に減圧する。減圧
された反応炉1内にキヤリアガス4として水素ガス、あ
るいはアルゴンガスなどの不活性ガスを導入しながら、
加熱源3によりタービン翼2およびガス変成室7を変成
温度(例えば1200℃)に昇温する。この際、ガス変
成室の加熱源は分割されたが、熱源3あるいはさらに内
部に補助加熱源を配置して行ってもよい。タービン翼2
およびガス変成室7が目的の処理温度に加熱保持された
後、金属ハロゲン化物5から三塩化アルミニウム(AlCl
3)を昇華させるとともにキヤリアガス4を流入しながら
ガス変成室7に導入して被覆処理を開始する。この際、
処理圧力はキヤリアガス流量,三塩化アルミニウム流
量、および真空排気量の制御などにより1〜100Torr
に制御される。ガス変成室7に導入された三塩化アルミ
ニウムの一部は高温に加熱保持されて溶融した金属アル
ミニウムと不均化反応(AlCl3 +2Al→3AlC
l)を生じて低次の一塩化アルミニウム(AlCl)が
生成される。このようにして混合ガス(キヤリアガスの
水素ガス,三塩化アルミニウムおよび一塩化アルミニウ
ム)がガス供給槽9に導入され、ここで、内部通路へ均
一に分散されて供給される。内部通路内において加熱温
度によって一塩化アルミニウムからのアルミニウムの析
出、三塩化アルミニウムからのアルミニウムの析出ある
いはこれらの混在した状態からアルミニウムが析出して
被覆され、その結果、反応生成ガスとして三塩化アルミ
ニウムおよび塩化水素(HCl)が生成し、未反応ガス
とともに排出されることになる。これらの排出ガスはガ
ス流速制御槽10を経て反応炉1内に排出されることに
よって、内部通路出口近傍における急激な流速の変化,
圧力の変動および反応生成ガスの逆拡散などが防止さ
れ、内部通路の末端まで均一性に優れた被覆がされる。
排出された排出ガスは真空排気装置6によって外部に排
気される。このようにして、被覆処理温度に加熱保持し
て被膜を形成した後、混合ガスの供給を停止するととも
に、加熱源での加熱保持を停止し冷却して処理を終了す
る。
【0026】なお、被覆処理中の処理温度が約850℃
以下ではNiAl3 が、約900〜1050℃ではNi
Alが、約1050℃以上ではNi3Al が形成される
が、被膜の均一性の点から900〜1050℃が望まし
く、その結果、形成された被膜はNiAl層であり、脆
弱で耐食性のよくないNi2Al3を再び拡散処理によっ
てNiAlに変える必要がないという特徴もある。
【0027】以上の処理装置を用いた処理方法により、
被処理品のタービン翼内部通路にアルミニウムを被覆す
ることができる。
【0028】〔実施例2〕図1および図2,図3〜図
5,図6,図7に示した方法により、タービン翼2の内
部通路にアルミニウムの被覆を行った。
【0029】被処理品は40×90×160の大きさの
Ni基超合金製ガスタービン翼を用いた。内部通路は2
分割されており、一方の通路の断面は大きく変化せず上
部へ抜けており、他方は出口部で翼端面全体から吹出す
るようになっている。そこで図2のようなガス供給槽9
とガス流速制御槽10a,10bを設け、ガス流速制御
槽10aは図3〜図5のような構造として、タービン翼
2のガス吹出し部に配設した。ガス供給槽9は2分割さ
れた内部通路へ均一に処理ガスが供給されるようにガス
留とオリフィスを設けた構造で、これらの材質はSUS
304製である。ガス変成室7の黒鉛製るつぼ内に20
0gの4ナインの純アルミニウムを装入し、ガス変成室
7とガス供給槽9とはφ15,長さ200mmのAl23
チューブで連通させた。反応炉1は内径φ26,高さ1
000mmの耐熱合金製で、反応炉1内の真空排気装置6
にはロータリーポンプを用いた。キヤリアガスは7ナイ
ンの純水素ガスを用い、金属ハロゲン化物は3ナインの
三塩化アルミニウムを用いた。加熱源3は上,中,下に
3分割されて独立制御できる電気炉である。
【0030】処理は反応炉1内を10-2Torr以下に排気
した後、純水素ガスを1SLM(Standard Literper Mi
nute:質量流量)供給しながら、タービン翼およびガス
変成室を1000℃に加熱した。加熱保持後、三塩化ア
ルミニウムを150℃に加熱して昇華させるとともにキ
ヤリアガスの純水素ガスを三塩化アルミニウム容器内に
流入させるようにバルブを切換えてガス変成室7内に導
入した。この際、処理圧力は反応炉内において40Torr
で保持した。このようにして1時間の被覆処理を行っ
た。比較としてガス供給槽およびガス流速制御槽を設け
ないで処理した従来法についても示してある。
【0031】処理後、翼を切断して各部の被覆層の膜厚
を測定した。図8は被覆層の膜厚を示したものである。
【0032】本発明法では各部の膜厚は30〜40μm
の範囲内でありその比率は80%程度で均一性に優れて
いる。また得られた被膜の微少部X線回折によりNiA
lの回析線のみであり、NiAlのみが形成されてい
た。一方、従来法による比較例では、内部通路の内部で
被膜が十分形成されておらず、被膜が形成されていない
部分も見られた。また内部通路の入口近傍では被覆され
て被膜は形成されているが、膜厚は15μmと薄い。こ
のように、本発明によればタービン翼の内部通路に均一
性に優れ、且つ効率の高いアルミニウム被覆処理が可能
であることが確認された。
【0033】なお、上記のごとき効果はNi基合金に限
られるものでなく、Niを多量に含む合金、例えばCo
基合金(約10%以上のNi含有)Fe−Ni合金(N
iを約20%以上含有)でも同様に得られる。
【0034】
【発明の効果】本発明の構成によれば、減圧した反応炉
内に配設された耐熱部材の内部通路の一方にガス供給槽
を気密状態に密着させてハロゲン化アルミニウムとキヤ
リアガスの混合ガスを供給するとともに、他方にガス流
速制御槽を気密状態に密着させて前記反応炉内へ排出さ
れる排出ガスの流速を制御して化学気相蒸着を行うこと
により、タービン翼の内部通路の出口近傍において急激
な流速変化,圧力変動が生じず、さらに内部通路内へ反
応生成ガスが逆拡散するのが防止できるので、内部通路
内面に均一なアルミニウム被覆を形成することができ
る。
【0035】また、ガス供給槽を経由してタービン翼の
内部通路内へのみ混合ガスを供給することができるので
アルミニウム被膜形成の効率が高まり、迅速な被膜処理
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を実施する被膜装置の一例を示す
説明図。
【図2】タービン翼にガス供給槽と2個のガス流速制御
槽とを取付けた状態を示す説明図。
【図3】図1および図2に示したガス流速制御槽の構造
を示す縦断面図。
【図4】図3のB−B矢視図。
【図5】図3のC−C矢視断面図。
【図6】同一形状の複数の内部通路を有するタービン翼
にガス供給槽を密着させた状態を示す断面図。
【図7】形状の異なる複数の内部通路を有するタービン
翼にガス供給槽を密着させた状態を示す断面図。
【図8】本発明によるAl被膜の膜厚分布を示す説明
図。
【符号の説明】
1…反応炉、2…タービン翼、3…加熱源、4…キヤリ
アガス、6…真空排気装置、7…ガス変成室、9,9
a,9b…ガス供給槽、10,10a,10b…ガス流
速制御槽、11…ガス排出口、12…ガス流速制御槽内
ガス留、14a,14b…ガス供給槽内ガス留、15
a,15b…ガス分配部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 児島 慶享 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内 (72)発明者 山口 常雄 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内 (72)発明者 黒沢 宗一 茨城県日立市幸町3丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】翼部内部に冷却空気によって前記翼部を冷
    却する内部通路が設けられているタービン翼において、
    前記内部通路にアルミニウム拡散被覆層が設けられ、該
    被覆層の厚さが前記内部通路の全領域にわたって最大厚
    さに対し80%以上の厚さを有することを特徴とするタ
    ービン翼。
  2. 【請求項2】内部通路を有するタービン翼を反応炉内に
    配設して減圧し、前記タービン翼を加熱した状態で前記
    内部通路の一方から混合ガスを供給し、他方から排出ガ
    スを排出させて化学気相蒸着を行う前記内部通路にアル
    ミニウム拡散被覆を形成するタービン翼の製造であっ
    て、前記内部通路の一方にガス供給槽を接続して前記内
    部通路へハロゲン化アルミニウムとキヤリアガスとから
    なる混合ガスを供給し、前記内部通路の他方にガス流速
    制御槽を接続して、該ガス流速制御槽から前記反応炉内
    へ前記排出ガスを排出する速度を制御して化学気相蒸着
    を行うことを特徴とするタービン翼の製造方法。
  3. 【請求項3】前記ハロゲン化アルミニウムが、キヤリア
    ガスにより3価のハロゲン化アルミニウムがガス変成室
    に導入されて溶融金属アルミニウムと一部反応して生成
    した1価のハロゲン化アルミニウムと、未反応の3価ハ
    ロゲン化アルミニウムとからなる請求項2に記載のター
    ビン翼の製造方法。
  4. 【請求項4】前記反応炉内の被覆処理圧力が1〜100
    Torrである請求項2に記載のタービン翼の製造方法。
  5. 【請求項5】前記タービン翼の加熱温度が900〜10
    50℃である請求項1に記載のタービン翼の製造方法。
  6. 【請求項6】前記内部通路表面にニッケルとアルミニウ
    ムとの金属間化合物からなる被覆層が形成される請求項
    1に記載のタービン翼の製造方法。
  7. 【請求項7】前記金属間化合物がNiAl相である請求
    項6に記載のタービン翼の製造方法。
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