JPH0941117A - 水車部材及びその製造方法 - Google Patents

水車部材及びその製造方法

Info

Publication number
JPH0941117A
JPH0941117A JP7198303A JP19830395A JPH0941117A JP H0941117 A JPH0941117 A JP H0941117A JP 7198303 A JP7198303 A JP 7198303A JP 19830395 A JP19830395 A JP 19830395A JP H0941117 A JPH0941117 A JP H0941117A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
sand
ceramics
turbine member
water turbine
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7198303A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenichi Usami
賢一 宇佐美
Hiroshi Takayasu
博 高安
Shigeyoshi Nakamura
重義 中村
Kazuo Niikura
和夫 新倉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP7198303A priority Critical patent/JPH0941117A/ja
Publication of JPH0941117A publication Critical patent/JPH0941117A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Coating By Spraying Or Casting (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 砂含有河川水を利用するフランシス水車流水
面部材の土砂摩耗及び腐食による損傷を抑制し、寿命向
上を図る水車部品を製造すること。 【構成】 土砂含有河川水の流水面となるランナ、ガイ
ドベ−ン、ステ−ベ−ン、ランナライナ等部材表面をピ
−ニング処理し、その凹凸面上に容量%で90%以下のセ
ラミックスを複合したプラスチックス被覆層を超高速フ
レ−ム溶射によって0.5〜5mm積層する。 【効果】 セラミック及びサ−メット系溶射材より厚肉
施工が可能で、かつ安価である被膜層が得られるため、
経済性、高信頼性水車の製造が図れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は土砂含有地点で使用され
る水力発電用水車の流水面部材に係り、特に、耐土砂摩
耗性に優れた新規なセラミックス複合プラスチック溶射
被覆層を有する水車部材及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】土砂を含む河川水を利用する水力発電用
水車において、その流水面となるランナ、ガイドべ−
ン、ステ−ベ−ン及びドラフトチュ−ブ等部材はその形
状、流速、水質との相関によってキャビテ−ションによ
る壊食、土砂による摩耗、化学的腐食による損傷を受け
ることが知られている。特に、土砂による摩耗損傷は河
川水中土砂量が多く、高流速になるほど過酷となる。
【0003】従来の水車材料は主に、回転体のランナ、
バケットが Niを含む13Crマルテンサイト系ステンレス
鋳鋼、ランナライナ、カバ−ライナ、ステ−ベ−ン、ガ
イドベ−ン及びニ−ドルバルブ等の固定部品並びに揺動
部品は炭素鋼、ビッカ−ス硬さがHV200〜300となる熱処
理を施した13Cr鋼やNiを含む13Crマルテンサイト系ステ
ンレス鋼で製作されている。
【0004】しかし、これらの材料は土砂量の多い河川
水を発電用水とする水車部品材料としては土砂による損
傷が十分とは言えない。すなわち、これらの材料硬さは
河川水中土砂(ビッカ−ス硬さHV約1150のSiO2を主成分)
の硬さよりかなり低いため、その流水面が土砂の衝突や
切削的作用によって摩耗損傷されやすいためである。
【0005】なお、キャビテ−ションによる壊食は高速
流水中で発生したキャビティが材料表面に衝突して崩壊
する際、流速35〜120m/sにおいて514〜1745atmと高い衝
撃圧力が発生するため、その崩壊圧力により材料表面が
損傷する現象である。そのため、材料に関して見ると、
高硬度材の溶射層及び樹脂等のコ−ティング層は金属材
料に比べ、キャビティの衝撃圧力による耐壊食性が小さ
く、かつ母材との接着性が低いための剥離等を考慮し、
部材表面には耐壊食性に優れたCo基合金やオ−ステナイ
ト系ステンレス鋼及びセラミックス複合粉体等の溶接材
料による肉盛を施しているのが現状である。これらの材
料は、高硬度を有するもの、又は、キャビティの衝撃圧
力により表面層が加工硬化する肉盛溶接材料が多い。
【0006】一方、土砂を含む河川水中では、土砂の主
成分である硬質のSiO2、Al2O3による衝突や切削的作用
のために流水面の部材表面が侵食される。従って、一般
的には、流水面部材を土砂に近いかそれ以上の硬度を有
する材料で構成すれば土砂による摩耗損傷は軽減される
と言われている。例えば、これらの高硬度材としては超
硬合金、セラミックスが考えられる。
【0007】しかしながら、大型構造物への適用を考慮
すると、このような高硬度材料自身で機器部材を構成さ
せるのは強度性、製造性、加工性等の問題から、その適
用性は非常に小さい。特に、問題になるのは回転機器へ
の適用であり、このような超硬合金、セラミックス構造
体は非常に困難となる。そのため、現状における部材の
寿命向上を図る手段はその部材表面に高硬度合金や合金
とセラミックス複合材料による溶接肉盛、高硬度合金や
セラミックス及びこれらの複合材料による溶射並びに樹
脂とセラミックスとの複合物によるコ−ティング等の高
硬度耐摩耗性材料による被膜層を形成する対策が主流を
なしている。
【0008】なお、これらの耐摩耗性材料は樹脂系のコ
−ティング材が特開昭59-45363〜45366号公報、特開昭5
9-68349号公報、特開昭60-226550号公報、特開昭62-373
79号公報、特開昭62-72922〜72923号公報、特開昭63-22
7439号公報、特開平3-47477号公報等に開示されてい
る。
【0009】また、水力機器への金属やセラミックス系
材料による溶射は特開昭64-42563号公報、特開平6-8820
1号公報等に開示され、水力機器への溶射技術に関し、
日立評論 VoL.27(1982)に「金属溶射の水力機械への応
用」として公表されている。
【0010】さらに、溶接肉盛による高硬度合金や合金
とセラミックスとの複合材は特開昭57-152447号公報、
特開昭57-156894号公報、特開昭57-199593号公報、特開
昭62-221630〜221631号公報、特開平2-230968号公報、
特開平4-94890号公報、特開平6-170584号公報等に開示
されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】土砂を含む流水中にお
ける部品の耐土砂摩耗性を向上する手段はその部品を高
硬度材で構成するか、その部品の流水面に高硬度材によ
る被覆層を形成させることにある。理想的な手段として
は材料の硬さを土砂の硬度より高くすることが考えられ
る。
【0012】しかしながら、上記従来技術では以下のよ
うな問題があった。
【0013】まず、部品表面に樹脂とセラミックスとの
複合物をコ−ティングする手段においては樹脂中に土砂
の硬度より高いセラミツクスを分散することで耐土砂摩
耗性を向上させるものの、部材との接着強度が低いため
特に高流速部での剥離が問題となる。
【0014】また、肉盛溶接による手段においては溶接
入熱が大きいため、熱影響による施工部材の変形や強度
変化等が懸念される。また、被覆ア−ク溶接やTiG溶接
は母材との希釈が大きいため、肉盛層を厚くする必要が
ある。また、粉体プラズマ溶接は母材との希釈が小さい
ため、薄肉でもその材料の特性が発揮できる。しかし、
肉盛溶接は母材との関連はあるものの、溶接部の割れ性
を考慮すると、高硬度材の適用が難しい。
【0015】一方、溶射による手段は溶射材料の種類が
多く、各種金属、セラミツクス、プラスチックス及びこ
れらの複合材をコ−ティングできるとともに、これらの
材料をあらゆる被溶射物(母材)表面に施工できる特徴を
有している。従って、高硬度皮膜を形成する技術として
は溶射法が適している。しかし、水力機械への溶射技術
は公知例でも示したように大気中での溶射法や減圧プラ
ズマ溶射法が主流のようである。しかし、大気中での溶
射法は溶射層の気孔率が高く、かつ被溶射物との接着強
度が低いため、回転体等の高速回転や土砂等の膜表面へ
の衝突及び膜と母材との間における河川水の浸透等によ
って剥離される問題がある。
【0016】一方、減圧プラズマ溶射は溶射層の気孔率
も低く、接着強度も高いことから、部材表面への高硬度
材の施工には適している技術である。しかしながら、溶
射ト−チヘッドと被溶射物を減圧チャンバ−内にセット
する必要があるため被溶射物の大きさが限定され、特
に、水力機械等大型形状物への工場並びに現地施工性に
問題がある。
【0017】そこで、被溶射物表面に粒子を約500m/s以
上の速度で溶射するため、従来の溶射技術より、高密
度、高硬度で気孔率が低い皮膜層を形成し、かつ被溶射
物との高密着性を有する超高速フレ−ム溶射法に着目し
た。
【0018】そこで、この溶射法によるWC-12Co、WC-25
NiCr、Cr2C3-20NiCr等高硬度溶射皮膜層の耐壊食性と耐
土砂摩耗性につて検討した。その結果、現用の水車材料
に比べ、耐土砂摩耗性は非常に優れた特性を有するもの
の、耐壊食性に問題が有ることが知られた。
【0019】また、部材の寿命をより向上させる手段で
ある厚肉層の形成は薄肉層の重ね盛等の施工性、これら
粉末のコストが高いための経済的な問題が残る。従っ
て、これらの材料に比べ、安価で、かつ一度の施工で厚
肉層の形成が可能な材料を探索した。その結果、火力発
電や水力発電等の機器部材の防食、部材との接着性の向
上、かつ、耐衝撃性、表面平滑性等が良好なことから、
火炎溶射やプラズマ溶射等によるプラスチック溶射技術
が各工業分野で広く使用されていることが知られた。な
お、これらのプラスチックによる溶射法や材料は特開昭
60-153968号公報、特開昭60-153969号公報、特開平4-12
2472号公報等に開示されている。
【0020】また、機器の防食を考慮した技術に関して
は日本鋼管技報 No.135(1991)に「海水取水管防食のた
めのプラスチック溶射」や溶射技術 Vol.13(1993)に
「各産業分野における溶射技術応用の現状と将来(その
3)」等公表されている。
【0021】そこで、このプラスチック材料による超高
速フレ−ム溶射層について、耐壊食性と耐土砂摩耗性に
ついて検討したところ、耐壊食性は現用の水車材料より
劣るものの、耐土砂摩耗性に関してはセラミックスを複
合化することによって、WC-12Co、WC-25NiCr、Cr2C3-20
NiCr等の高硬度溶射皮膜層に近い特性となることが知ら
れた。
【0022】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであり、土砂を含む河川水による水力機械部品の土
砂摩耗による損傷を抑制し、部品の寿命向上を図るた
め、部品表面に超高速フレ−ム溶射によるセラミックス
を複合したプラスチック溶射層を形成させた水車部材及
びその製造方法を提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】上記目的は、土砂を含む
河川水中で使用される水車部材の土砂摩耗及び腐食によ
る損傷を受ける流水面の一部を、土砂を構成する主組成
物のSiO2、Al2O3のセラミックスを複合したプラスチッ
ク溶射材料で被覆層を形成することにより達成される。
【0024】水車部材の土砂を含む河川水により損傷を
受ける部分の被覆層は、少なくとも平均粒径30〜150μm
を有するポリエステル、ポリエチレン、ナイロン、エポ
キシ、酢酸ビニル、アクリ−ル、ふつそ樹脂から選定さ
れた少なくとも1つのプラスチック粉体に、平均粒径10
〜100μmを有するAl2O3、SiO2からなる酸化物系のセラ
ミックス粉体の少なくとも1つを容量%で80%以下を複
合した溶射材料を供し、超高速フレ−ム溶射によって0.
5〜5mmの厚さに形成するようにする。
【0025】なお、プラスチック溶射層の機能に関与す
る複合物として、土砂に含まれる主組成物であるSiO2
Al2O3の酸化物系セラミックスとした理由は次のことに
よる。すなわち、少なくとも土砂を含む河川水の衝突や
水中で回転する部材における土砂摩耗は土砂の切削的摩
耗(研削摩耗)が主である。従って、最も理想的な方法は
流水面の部材硬さを土砂の硬さ以上にすることである。
そのため、本発明では、プラスチックの耐土砂摩耗性を
向上させるために、土砂を構成する主組成物と同じ高硬
度酸化物系セラミックスを複合し、その溶射層の硬さを
少しでも土砂の硬さに類似させることによる。
【0026】また、本発明ではセラミックスよりプラス
チックスの平均粒径を大きくした。これはプラスチック
の融点が低いため、溶射時の熱による粒子表面の溶融状
況を考慮したためである。
【0027】さらに、その溶射層にはセラミックスが容
量%で80%以下が複合されている。これは、流速が遅
く、かつ炭素鋼や低合金鋼からなるドラフトチュ−ブ等
が土砂による摩耗よりは河川水による化学的腐食が主に
なる傾向のある部材には、セラミックスを複合しないか
少量含むプラスチック材料による溶射層を形成させるこ
とにより、その機能は効果的に発揮される。しかし、ラ
ンナ等流速が大きく、かつ土砂摩耗が主となる部分には
セラミックスを複合したプラスチック溶射層を形成させ
る。その損傷度合い(河川水の流速)によってはそのセ
ラミックス複合量を変化させる。しかし、そのセラミッ
ク量が増すとともに耐土砂摩耗性は向上するものの、容
量%で80%以上とすると溶射層表面の平滑性及び接合強
度及び施工性がそこなわれるとともに、プラスチックと
セラミックスとの結合性が低下し、溶射層としての機能
性を発揮できない不安定要素が現出する被膜が形成され
ため注意が必要となる。そのため、容量%で80%以下と
した。
【0028】さらに母材と溶射層との接合強度を高める
ために溶射前にショトピーニング処理またはワイヤーピ
ーニング処理により母材表面を表面粗さ20μm程度にす
ることが好ましい。
【0029】また、溶射層の厚さはあまり薄いと損傷に
よる寿命向上の期待が小さく、過剰の厚さにすると損傷
による寿命はより向上するものの、層間剥離及び部材の
肉厚を薄くしなければならず強度的な問題等が懸念され
る。そのため、プラスチック溶射層は部材との密着性を
高くする超高速フレ−ム溶射により部材表面に0.5〜5mm
の厚さに形成させるようにしたことである。このような
方法により高品質の皮膜を形成できる。
【0030】ここで、本発明のセラミックス複合プラス
チック溶射被覆層を形成する超高速フレ−ム溶射法の一
例について説明する。
【0031】図6に超高速フレ−ム溶射装置の概略構成
を示す。この装置は燃料チャンバ−12内で燃焼させた
高速ガス流中に粉末の溶射材料14を供給し、半溶融状
態の粒子を超高速状態で被溶射物(母材)15に溶射し、
溶射層16を積層するものである。すなわち、酸素10
と燃料11(灯油、アセチレン、プロパン、プロピレン)
の一種を燃料チャンバ−12内に流入して点火燃焼さ
せ、高温・高圧の高速ガス流とし、そのガス流中に粉体
送給装置13から溶射材料14(プラスチック並びにプ
ラスチックとセラミックスからなる粉体)を供給し、ガ
ス温度によって半溶融状態にした粉体を高温あるいは高
温・高圧の高速状態で被溶射物(母材)15に衝突吹付
け、積層した溶射層16を形成させる。
【0032】
【作用】本発明のセラミックス複合プラスチック溶射被
覆層を形成させた水車部材及びその製造方法によれば、
セラミックスあるいはサ−メット系溶射材料に対し安価
な被覆層が得られ、かつ、厚肉の被膜層が形成できるた
め、耐土砂摩耗性が付与され、水車部品の寿命の向上が
図れるとともに水車の効率や保守管理が容易になされ
る。
【0033】プラスチックスとしてポリエステル、ポリ
エチレン、エポキシ樹脂、ポリエーテルイミド、ナイロ
ン、アクリル樹脂等が用いられる。
【0034】セラミックス粒子として酸化物、炭化物、
窒化物等が用いられるが、特に酸化物が好ましく、その
内でもSiO2、Al23がより好ましい。
【0035】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に従って説明
するが、本発明はこれに限定されない。
【0036】実施例1 本発明におけるセラミックス複合プラスチックス溶射層
の耐エロ−ジョン性評価試験結果を述べる。
【0037】本発明の代表的プラスチック溶射材料であ
るポリエステル系樹脂粉末に、Al203とSiO2を容量%で90
%以下を複合した溶射層の耐エロ−ジョン性を評価し
た。これらの溶射材料は図6に示す高速フレ−ム溶射装
置により、溶射ノズルと被溶射物との距離300mm、ガン
圧8kg/cm2、酸素圧12kg/cm2、燃料圧11kg/cm2、ガン移
動速度50mm/sの溶射条件で、板厚20mmの5Ni-13Cr鋼板上
に1mm積層した。なお、耐エロ−ジョン性評価は耐土砂
摩耗性について6t×25mm×50mmの板状表面に溶射層を形
成させ、その溶射層を試験面とした。
【0038】耐土砂摩耗性評価試験は水中噴流式土砂摩
耗試験装置を用い、噴流速度40m/s、衝突角度45deg.、
土砂とその濃度は平均粒径8μmのAl2O3を30g/lとした条
件で60min間試験した。なお、上記試験における損傷量
は試験後の減量を密度で除した体積減量(cm3)とし、侵
食量として表した。
【0039】図1は耐土砂摩耗性評価試験結果を示す。
同図より、各溶射層の耐土砂摩耗性は現用水車材料に比
べ優れており、かつ複合セラミックス量が増すほど良く
なる結果を示している。なお、複合セラミックスのAl20
3とSiO2を比べると、硬さが高いAl203複合層の耐土砂摩
耗性が優れた結果を有しているが、部品表面へのセラミ
ックス複合プラスチックス溶射層の形成は現用水車材料
の土砂摩耗による損傷軽減に有効な手段であることが判
る。
【0040】実施例2 次に本発明に係る水車部材のフランシス水車への適用に
ついて述べる。
【0041】図2は本発明に係る水車部材が適用された
フランシス水車の断面図及び斜視図を示す。図2(A)が
断面図、図2(B)はX方向から見たランナの斜視図であ
る。本水車はクラウン1とシュラウド2との間に複数の
羽根3が設けられたランナ、ランナコ−ン4、ガイドベ
−ン5、ステ−ベ−ン6、ランナライナ7、シ−トライ
ナ8、バンド9で構成され、土砂を含む流水は図示しな
いケ−シングからステ−ベ−ン6、ガイドベ−ン5を通
って羽根3に流れ、羽根に回転エネルギ−を与えた後、
図示しない排水路へ流出する。
【0042】まず、図2に示す13Crマルテンサイト系ス
テンレス鋼製羽根3に適用した。図3に、その状況を示
す。図3に示すように、河川水と接触する作用面側と反
作用面すなわち羽根表面の全面にわたり溶射層16を形
成した。なお、本実施例におけるこの羽根3の表面は他
の部品に比べ35m/sと流速が速いため摩耗損傷が激し
い。従って、溶射層16はポリエステル樹脂粉末に対
し、Al2O3を容量%で75%複合した材料を供し、実施例
1に示した溶射条件で施工した。溶射層の表面は溶射の
ままで、その厚さは4mmとした。
【0043】次に、13Crマルテンサイト系ステンレス鋳
鋼製ガイドベ−ン5とランナライナ7及びに18Cr-8Niオ
−ステナイト系ステンレス鋼板製シ−トライナ8に適用
した。なお、ガイドベーン5は流速が約20m/sでAl2O3
を40容量%とし、ステーベーンは流速が10m/sでAl2O3
を20容量%とし、ランナライナはAl2O3量を70容量%と
し、これら部品への溶射条件は実施例1と同じとし、溶
射層はポリエステル樹脂粉末に対し、Al2O3を前述の含
有量とした溶射材料で形成させ、表面加工後、その厚さ
を2.5〜3mmとした。なお、溶射層の表面加工はこれらの
部品の特性を考慮し、平滑化が要求されるために溶射
後、研削加工を施すものである。
【0044】次に図4にガイドベ−ン5表面に溶射層を
形成した状態を、図5にシ−トライナ8表面に溶射層を
形成した状態をそれぞれを示す。
【0045】この図3乃至図5の各水車部品を組み合
せ、図2に示したフランシス水車を製作し、この水車を
土砂を含む河川水中で実際に運転したところ、溶射層の
剥離等の異常は見られず、土砂による摩耗損傷に対し優
れた特性を示した。
【0046】図7は水車部材の流水面に形成される溶射
層の流速に対するセラミックス含有量の最適な範囲を示
し、同図において曲線Pはその上限を、曲線Qはその下
限をそれぞれ、示している。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のセラミッ
クス複合プラスチックス溶射層を高速プラズマ溶射法に
より部品表面に形成した水車部材及びその製造方法によ
ると、河川水中に含まれる土砂による摩耗損傷が軽減で
き、水車部品の交換周期の延長が図れるため機器の寿命
及び信頼性の向上に大きく貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Al2O3及びSiO2の複合量と侵食量との関係を示
す図である。
【図2】本発明に係る水車部材が適用されるフランシス
水車の断面図及び斜視図である。
【図3】羽根表面へ溶射層が形成された状態を示す説明
図である。
【図4】ガイドベ−ン表面に溶射層が形成された状態を
示す説明図である。
【図5】シ−トライナ表面に溶射層が形成された状態を
示す説明図である。
【図6】超高速フレーム溶射装置の概略構成図である。
【図7】水車部材の流水面に形成される溶射層の流速に
対するセラミックス含有量の最適な範囲を示す説明図で
ある。
【符号の説明】
1 クラウン 2 シュラウド 3 羽根 4 ランナコ−ン 5 ガイドベ−ン 6 ステ−ベ−ン 7 ランナライナ 8 シ−トライナ 9 バンド 10 酸素 11 燃料 12 燃料チャンバ− 13 粉体送給装置 14 溶射材料 15 被溶射物(母材) 16 溶射層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新倉 和夫 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 土砂を含む河川水による損傷をうける流
    水面の一部にセラミックスを少なくとも1つ含むプラス
    チック複合粉体材料からなる溶射層を形成する水車部材
    であって、該水車部材表面に接触する河川水の流速差に
    応じてセラミックスの容量を異にした溶射層で前記流水
    面の一部を被覆したことを特徴とする水車部材。
  2. 【請求項2】 前記セラミックスは、土砂の主成分を構
    成するSiO2またはAl2O3であることを特徴とする請求項
    1に記載の水車部材。
  3. 【請求項3】 前記セラミックスは、前記プラスチック
    に対して容量%で河川水の流速が最も大きいランナ表面
    (約30m/s以上)には60〜80%、ガイドベーンやステー
    ベーン表面(約15〜30m/s)には40〜60%、より流速が
    小さい(約15m/s以下)配管等の内面では20〜40%を含
    むことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載
    の水車部材。
  4. 【請求項4】 前記プラスチックはポリエステル、ポリ
    エチレン、ナイロン、エポキシ、酢酸ビニル、アクリ−
    ル及びふつそ樹脂系から選定した少なくとも1つの粉体
    を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記
    載の水車部材。
  5. 【請求項5】 前記セラミックスを含むプラスチック複
    合材料からなる溶射層は0.5〜5mmの厚さに形成されてい
    ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の
    水車部材。
  6. 【請求項6】 前記複合材料は平均粒径が30〜150μmか
    らなるプラスチックと、平均粒径が10〜100μmからなる
    セラミックスであることを特徴とする請求項1乃至5の
    いずれかに記載の水車部材。
  7. 【請求項7】 土砂を含む河川水により損傷をうける水
    車部材において、少なくともその流水面の一部を20μm
    以下の表面粗さとするショットピーニング処理またはワ
    イヤピ−ニング処理後、平均粒径30〜150μmからなるプ
    ラスチック粉体に平均粒径10〜100μmのセラミックス粉
    体を容量%で80%以下を含むプラスチック複合材料を超
    高速フレーム溶射法により溶射被覆層を0.5〜5mmの厚さ
    に形成し、河川水と接触する部分の流速が大きい程、セ
    ラミックス粉体の容量を大きくしたことを特徴とする水
    車部材の製造方法。
JP7198303A 1995-08-03 1995-08-03 水車部材及びその製造方法 Pending JPH0941117A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7198303A JPH0941117A (ja) 1995-08-03 1995-08-03 水車部材及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7198303A JPH0941117A (ja) 1995-08-03 1995-08-03 水車部材及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0941117A true JPH0941117A (ja) 1997-02-10

Family

ID=16388897

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7198303A Pending JPH0941117A (ja) 1995-08-03 1995-08-03 水車部材及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0941117A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003093525A1 (en) * 2002-04-30 2003-11-13 Ebara Corporation Abrasion resistant surface treatment method of a rotary member, runner, and fluid machine having runner
JP2008536016A (ja) * 2005-04-13 2008-09-04 アルバニー インターナショナル コーポレイション 溶射された防護コーティングを有する工業用ベルト

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003093525A1 (en) * 2002-04-30 2003-11-13 Ebara Corporation Abrasion resistant surface treatment method of a rotary member, runner, and fluid machine having runner
EP1499754A1 (en) * 2002-04-30 2005-01-26 Ebara Corporation Abrasion resistant surface treatment method of a rotary member, runner, and fluid machine having runner
US7347663B2 (en) 2002-04-30 2008-03-25 Ebara Corporation Abrasion resistant surface treatment method of a rotary member, runner, and fluid machine having runner
EP1499754A4 (en) * 2002-04-30 2008-05-21 Ebara Corp METHOD FOR TREATING THE ABRASIVE SURFACE OF A TURNING ELEMENT, RUNNER AND FLUID MACHINE WITH RUNNERS
JP2008536016A (ja) * 2005-04-13 2008-09-04 アルバニー インターナショナル コーポレイション 溶射された防護コーティングを有する工業用ベルト

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Singh et al. Cavitation erosion in hydraulic turbine components and mitigation by coatings: current status and future needs
Govande et al. Carbide-based thermal spray coatings: A review on performance characteristics and post-treatment
US7141110B2 (en) Erosion resistant coatings and methods thereof
Kumar et al. HVOF sprayed WC based cermet coating for mitigation of cavitation, erosion & abrasion in hydro turbine blade
CN103510035A (zh) 一种水轮机表面抗磨蚀处理方法
US4241110A (en) Method of manufacturing rotor blade
JP2010526204A (ja) 耐食・耐摩耗性非晶質金属組成物および構造化皮膜
CN106893961A (zh) 一种强化水轮机叶片表面的超音速火焰喷涂方法
JPH06170584A (ja) 高C高Si含有溶接金属粉体及びその被覆層を持つ機器部材
Singla et al. Development, characterization, and cavitation erosion analysis of high velocity oxy-fuel (HVOF) sprayed TiC and (70Cu-30Ni)-Cr based composite coatings on SS316 steel
Bansal et al. Effect of HVOF sprayed TiC+ 25% CuNi-Cr coatings on sustainability and cavitation erosion resistance of SS316 steel
Singh et al. Modification of SS316 steel with the assistance of high velocity oxy fuel (HVOF) process to upsurge its sustainability
JPH0941117A (ja) 水車部材及びその製造方法
JP2001107833A (ja) 水力機械およびその製造方法
Kumar et al. Slurry erosion behaviour of HVOF sprayed coatings on hydro turbine steel: A review
Tripathi et al. Study on tribological behavior of HVOF developed coatings especially for hydroturbine runner application—a concise review
JP3099104B2 (ja) ニードルバルブ
JPH0772529B2 (ja) 水車及びその製造方法
JP3080380B2 (ja) 水車及び機器とその製造方法
JPH08333670A (ja) 水力機械の固定並びに揺動部品及びその製造方法
JPH08254173A (ja) 水車及びその製造方法
Kumar et al. Mechanisms of slurry erosion in coatings of hydro-turbines
JPH0494890A (ja) 耐エロージョン性被覆材とその形成方法
Boy et al. Cavitation-and erosion-resistant thermal spray coatings
JPH1047224A (ja) 耐土砂摩耗性溶接構造の水車ランナの製造方法