JPH0930977A - 升麻抽出物を含有する骨疾患治療剤 - Google Patents

升麻抽出物を含有する骨疾患治療剤

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JPH0930977A
JPH0930977A JP7184117A JP18411795A JPH0930977A JP H0930977 A JPH0930977 A JP H0930977A JP 7184117 A JP7184117 A JP 7184117A JP 18411795 A JP18411795 A JP 18411795A JP H0930977 A JPH0930977 A JP H0930977A
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JP
Japan
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therapeutic agent
extract
formula
active ingredient
bone
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JP7184117A
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English (en)
Inventor
Tsuneo Nanba
恒雄 難波
Shigetoshi Kadota
重利 門田
Tatsuro Miyahara
龍郎 宮原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kaken Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Kaken Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 升麻の根茎部分から、骨疾患治療に薬効を示
し、かつ副作用の少ない有効成分を適切な溶媒を用いる
ことにより、効率よく抽出して提供すること。 【解決手段】 式(I) 【化56】 (ただしR1はβ−キシロシルで、R2は=CH2;また
はR1はβ−キシロシルでR2は 【化57】 を示す)で表されるテルペン化合物を有効成分とする骨
疾患治療剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、升麻抽出物を有効
成分として含有する骨疾患治療剤に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】升麻
は古くから抗菌作用、循環器系作用、鎮静作用、抗炎症
作用、解熱作用などを示すことが知られている。中国で
は抗炎症薬、鎮痛薬として単独でまたは他の生薬ととも
に用いられている。
【0003】本発明の目的は、適切な溶媒を用いること
により、升麻の根茎から骨疾患治療作用を有する有効成
分を効率よく抽出することである。
【0004】本発明の他の目的は、骨疾患治療に薬効を
示し、かつ副作用の少ない升麻抽出物を得、副作用の少
ない骨疾患治療剤を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、適切な溶
媒を用いて分画を行うことにより、これまで升麻の薬効
として知られていなかった骨疾患治療作用を強く示すテ
ルペン化合物を升麻から抽出しうることを見出し、本発
明を完成するに至った。
【0006】本発明は、升麻抽出物を有効成分として含
有する骨疾患治療剤に関する。とりわけ、前記升麻抽出
物が、升麻をメタノールで抽出することにより得られる
メタノール抽出物であるもの、前記升麻抽出物が、升麻
をメタノールで抽出し、得られる残渣をさらにヘキサン
で抽出することにより得られるヘキサン抽出物であるも
の、前記升麻抽出物が、升麻をメタノールで抽出し、得
られる残渣をさらに酢酸エチルで抽出することにより得
られる酢酸エチル抽出物であるものおよび前記升麻抽出
物が、升麻をメタノールで抽出し、得られる残渣をさら
にブタノールで抽出することにより得られるブタノール
抽出物であるものが好ましい。メタノールによる抽出は
加熱下で行うことが好ましい。
【0007】また本発明は、式(I)
【0008】
【化17】
【0009】(ただしR1はβ−キシロシルで、R2は=
CH2;またはR1はβ−キシロシルで、R2
【0010】
【化18】
【0011】を示す)で表されるテルペン化合物を有効
成分とする骨疾患治療剤、式(II)
【0012】
【化19】
【0013】(ただしR3はアラビノシルで、R4
【0014】
【化20】
【0015】;またはR3およびR4は共に水素を示す)
で表されるテルペン化合物を有効成分とする骨疾患治療
剤、式(III)
【0016】
【化21】
【0017】(ただし、R5はβ−キシロシルを示す)
で表されるテルペン化合物を有効成分とする骨疾患治療
剤、式(IV)
【0018】
【化22】
【0019】(ただしR6はβ−キシロシルを示す)で
表されるテルペン化合物を有効成分とする骨疾患治療
剤、式(V)
【0020】
【化23】
【0021】(ただしR7はβ−キシロシルで、R8は水
素;またはR7およびR8は共に水素を示す)で表される
テルペン化合物を有効成分とする骨疾患治療剤、式(V
I)
【0022】
【化24】
【0023】(ただしR9はβ−キシロシルで、R10
11およびR12は共に水素;またはR9はβ−キシロシ
ル、R10およびR12は共に水素で、R11は水酸基を示
す)で表されるテルペン化合物を有効成分とする骨疾患
治療剤、式(VII)
【0024】
【化25】
【0025】(ただしR13、R14、R15およびR16は共
に水素;R13はβ−キシロシルで、R14、R15およびR
16は共に水素;またはR13はβ−キシロシル、R14およ
びR16は共に水素で、R15は水酸基を示す)で表される
テルペン化合物を有効成分とする骨疾患治療剤、ノルビ
スナジンを有効成分とする骨疾患治療剤、アンゲリカイ
ンを有効成分とする骨疾患治療剤、イソフェルリック酸
を有効成分とする骨疾患治療剤、イソインペラトリンを
有効成分とする骨疾患治療剤、式(VIII)
【0026】
【化26】
【0027】(ただしR17は−OH;=O;
【0028】
【化27】
【0029】を示す)で表されるテルペン化合物を有効
成分とする骨疾患治療剤、式(IX)
【0030】
【化28】
【0031】(ただしR18は水素;またはR18はアセチ
ルを示す)で表されるテルペン化合物を有効成分とする
骨疾患治療剤、式(X)
【0032】
【化29】
【0033】で表されるテルペン化合物を有効成分とす
る骨疾患治療剤、式(XI)
【0034】
【化30】
【0035】で表されるテルペン化合物を有効成分とす
る骨疾患治療剤、式(XII)
【0036】
【化31】
【0037】で表されるテルペン化合物を有効成分とす
る骨疾患治療剤および式(XIII)
【0038】
【化32】
【0039】で表されるテルペン化合物を有効成分とす
る骨疾患治療剤に関する。
【0040】
【発明の実施の形態】本発明に用いる升麻は、西升麻
Cimicifuga foetida L.、以下Cimicifuga foetida L.
と記す)、関升麻(Cimicifuga heracleifolia KOM
AROV、以下、Cimicifuga heracleifolia KOMA
ROVと記す)、北升麻(Cimicifuga dahurica(TU
RCZ.)MAXIM)およびサラシナ升麻(Cimicifu
ga simplexWORMSKARL)などの根茎であればい
ずれのものでもよい。とくに中国、四川省におけるCimi
cifuga foetida L.および中国、東北三省(黒龍江省、
吉林省および遼寧省)におけるCimicifuga herecleifol
ia KOMAROVが好ましい。
【0041】本発明の有効成分として用いる升麻抽出物
は、つぎのようにして製造することができる。
【0042】まず、前記升麻の根茎を粉末にし、第1の
溶媒を加えて抽出し、抽出液から溶媒を留去した残渣に
第2の溶媒を加えて可溶部を抽出する。
【0043】前記第1の溶媒の具体例としては、たとえ
ばメタノール、エタノールなどがあげられるが、メタノ
ールが好ましい。
【0044】前記第2の溶媒の具体例としては、たとえ
ばヘキサン、酢酸エチル、ブタノールなどがあげられ
る。とくに好ましくは酢酸エチルである。
【0045】本発明の有効成分として用いるメタノール
抽出物とは、第1の溶媒としてメタノールを使用して抽
出することにより得られる抽出物のことである。
【0046】本発明の有効成分として用いるヘキサン抽
出物、酢酸エチル抽出物またはブタノール抽出物とは、
第1の溶媒としてメタノールを使用し、第2の溶媒とし
てそれぞれヘキサン、酢酸エチルまたはブタノールを使
用して抽出することにより得られる各抽出物のことであ
る。
【0047】本発明の有効成分として用いるテルペン化
合物は、前記ヘキサン抽出物、酢酸エチル抽出物または
ブタノール抽出物を、常法にしたがい、精製、分取のた
めのカラムクロマトグラフィーに付すことにより得られ
る。
【0048】前記テルペン化合物の具体例としては、た
とえば式(I)
【0049】
【化33】
【0050】(ただしR1はβ−キシロシルで、R2は=
CH2;またはR1はβ−キシロシルで、R2
【0051】
【化34】
【0052】を示す)で表されるテルペン化合物、式
(II)
【0053】
【化35】
【0054】(ただしR3はアラビノシルで、R4
【0055】
【化36】
【0056】;またはR3およびR4は共に水素を示す)
で表されるテルペン化合物、式(III)
【0057】
【化37】
【0058】(ただし、R5はβ−キシロシルを示す)
で表されるテルペン化合物、式(IV)
【0059】
【化38】
【0060】(ただしR6はβ−キシロシルを示す)で
表されるテルペン化合物、式(V)
【0061】
【化39】
【0062】(ただしR7はβ−キシロシルで、R8は水
素;またはR7およびR8は共に水素を示す)で表される
テルペン化合物、式(VI)
【0063】
【化40】
【0064】(ただしR9はβ−キシロシルで、R10
11およびR12は共に水素;またはR9はβ−キシロシ
ル、R10およびR12は共に水素で、R11は水酸基を示
す)で表されるテルペン化合物、式(VII)
【0065】
【化41】
【0066】(ただしR13、R14、R15およびR16は共
に水素;R13はβ−キシロシルで、R14、R15およびR
16は共に水素;またはR13はβ−キシロシル、R14およ
びR16は共に水素で、R15は水酸基を示す)で表される
テルペン化合物、ノルビスナジン、アンゲリカイン、イ
ソフェルリック酸、イソインペラトリン、式(VII
I)
【0067】
【化42】
【0068】(ただしR17は−OH;=O;
【0069】
【化43】
【0070】を示す)で表されるテルペン化合物、式
(IX)
【0071】
【化44】
【0072】(ただしR18は水素;またはR18はアセチ
ルを示す)で表されるテルペン化合物、式(X)
【0073】
【化45】
【0074】で表されるテルペン化合物、式(XI)
【0075】
【化46】
【0076】で表されるテルペン化合物、式(XII)
【0077】
【化47】
【0078】で表されるテルペン化合物および式(XI
II)
【0079】
【化48】
【0080】で表されるテルペン化合物などがあげられ
る。
【0081】前記テルペン化合物は、常法にしたがっ
て、アセチル化されたアセチル体も含む。
【0082】本発明の骨疾患治療剤は、升麻抽出物を有
効成分として含有するばあいは、成人経口投与量として
0.1〜5g/kg、好ましくは0.1〜3g/kgで
投与し、各テルペン化合物を有効成分として含有するば
あいは、成人経口投与量として0.01〜0.5g/k
g、好ましくは0.01〜0.3g/kgで投与する。
【0083】本発明の骨疾患治療剤(升麻抽出物を有効
成分とするばあい)をラットに経口投与するばあいのL
50値は、2000mg/kg以上である。
【0084】本発明の骨疾患治療剤は、経口投与で充分
に活性を示し、製剤としては、たとえば錠剤、カプセル
剤、エキス剤、散剤、顆粒剤、液剤などとして使用でき
る。
【0085】本発明の骨疾患治療剤を製剤するにあたっ
ては、とくに制限はなく、通常用いられるキャリアーを
用い常法にしたがって行なえばよい。
【0086】本発明の骨疾患治療剤は、副甲状腺ホルモ
ン(以下、PTHと略す)による骨吸収を抑制し、また
骨密度の減少も抑制するというすぐれた骨疾患治療作用
を有する。また、本発明の骨疾患治療剤は現在、治療に
用いられているカルシトニン、ビタミンD3、ビスホス
ホネートとは異なる天然物生薬であり、緩やかな薬効を
示し、かつ副作用がないため、長期にわたる薬剤の連続
投与が可能になることが見出された。
【0087】本発明の骨疾患治療剤の好ましい適応症と
しては、たとえば骨粗鬆症、関節炎、関節症、高カルシ
ウム血症などがあげられる。
【0088】本発明における有効成分である抽出物はそ
の成分の種類、混合比率が骨疾患治療剤として、薬効を
示す上で好ましい状態にある。
【0089】以下に実施例をあげて本発明の骨疾患治療
剤を説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定され
るものではない。
【0090】実施例1 (a)1993年7月に中国四川省において採取された
Cimicifuga foetida L.の風乾した根茎(4kg)を粉
末にし、メタノール(10リットル)を加え、3時間加
熱還流した。この抽出を3回繰り返し、得られたメタノ
ール抽出液からメタノールを留去してメタノール抽出物
600g(A)を得た。この残渣に水(1000ml)
を加えて懸濁液とし、n−ヘキサン(1000ml)を
加えて激しく撹拌してn−ヘキサン層を分離し、n−ヘ
キサン抽出液を得た。この操作を3回繰り返して抽出し
た。残りの懸濁水から同様にして酢酸エチル抽出液、n
−ブタノール抽出液を得た。それらの抽出液からそれぞ
れ溶媒を留去して、n−ヘキサン抽出液から130g
(B)、酢酸エチル抽出液から236g(C)、n−ブ
タノール抽出液から50g(D)の抽出物を得た。
【0091】つぎにこれらの抽出物を、クロロホルム−
メタノール(7:3、v/v)(ただし、ヘキサン抽出
物のばあいは、クロロホルム−メタノール(9:1、v
/v))を用いて、薄層クロマトグラフィーにより分画
し、発色試薬(10%Ce(SO42硫酸水溶液)を用
いて発色させた。
【0092】図1に、メタノール、n−ヘキサン、酢酸
エチルおよびn−ブタノール抽出物の薄層クロマトグラ
フィーのパターンを示す。
【0093】(b)前記(a)で得られた酢酸エチル抽
出物(C)(200g)を、シリカゲル(1.8kg)を用いたカラ
ムクロマトグラフィーに付し、クロロホルムおよびクロ
ロホルム−メタノール(19:1、4:1、7:3および6:4、v/
v)で順次溶出し、以下のI〜VIIの7画分、すなわち画
分I(1.5g)、画分II(1.0g)、画分III(12.0g)、画分IV(3
6.0g)、画分V(43.0g)、画分VI(19.0g)および画分VII(1
5.0g)を得た。
【0094】(c)前記(b)で得られた画分III(12.0
g)を活性炭カラムに付し、酢酸エチルおよびn-ヘキサン
−酢酸エチル(7:3、3:2および1:1、v/v)で順次展開し
て、以下の物性恒数を有するテルペン化合物1(100mg)
を得た。
【0095】化合物1の物性恒数 mp: 197〜198℃ [α]D:-50.58゜(c=0.16、CHCl3:MeOH=1:1、v/v) EI-MS: m/z 484、468 高分解能マススペクトルでC30H44O5の組成であることを
確認した。 IR: 3450、1720、1700、1440、1380cm-1 (d)前記(b)で得られた画分IV(36.0g)をシリカゲ
ルカラムクロマトグラフィーに付し、ヘキサン−酢酸エ
チル−メタノール(1:1:0.01および1:1:0.05、v/v)で順
次展開し、さらに画分IV−1(8.0g)、画分IV−2(2.5
g)、画分画分IV−3(1.5g)、画分IV−4(4.0g)および画
分IV−5(15.0g)に分画した。
【0096】得られた画分IV−2(2.5g)を、さらにシリ
カゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチ
ル−MeOH=1:1:0.01、v/v)で精製して、以下の物性恒数
を有するテルペン化合物2(25mg)と3(30mg)を得た。
【0097】化合物2の物性恒数 mp:255〜256℃ [α]D:-93.50゜(c=0.12、CHCl3:MeOH=1:1、v/v) EI-MS: m/z 444, 438 元素分析: C27H40O5 計算値: C,72.94、H,9.07, 実測値: C,73.18、H,8.79 IR: 3450、1718、1620cm-1 化合物3の物性恒数 mp:245〜246℃ [α]D:+8.42゜(c=0.14、CHCl3:MeOH=1:1、v/v) ポジティヴイオンFAB-MS: m/z 603[M+H]+ 高分解能マススペクトルでC35H55O8の組成であることを
確認した。 IR: 3400、1400cm-1 (e)前記(d)で得られた画分IV−4(4.0g)をシリカ
ゲルカラムに付し、ヘキサン−酢酸エチル−メタノール
(1:1:0.05、v/v)で展開し、以下の物性恒数を有する
テルペン化合物4(20mg)、5a(25mg)および6(3.0g)を
得た。
【0098】化合物4の物性恒数 mp:157〜158℃ [α]D:+14.02゜(c=0.30、CHCl3: MeOH=1:1、v/v) ポジティヴイオンFAB-MS: m/z 601[M+H]+ 高分解能マススペクトルでC35H5308の組成であることを
確認した。 IR: 3420、2960、2920、1620、1380、1040cm-1 化合物5aの物性恒数 mp:234〜235℃ [α]D: -99.33゜(c=0.30、CHCl3: MeOH=1:1、v/v) ポジティヴイオンFAB-MS: m/z 659[M+H]+ 高分解能マススペクトルでC37H55O10の組成であること
を確認した。 IR: 3420、2950、1740、1720cm-1 化合物6の物性恒数 mp:182〜183℃ [α]D: -66.06゜ (c=0.30、CHCl3:MeOH=1:1、v/v) ポジティヴイオンFAB-MS: m/z 677[M+H]+ 高分解能マススペクトルでC37H57O11の組成であること
を確認した。 IR: 3420、2960、2920、1740cm-1 (f)前記(e)で得られた化合物5a(10mg)を、乾燥
させたピリジン(1ml)に溶解し、無水酢酸(0.5ml)を加
え、25〜27℃で12時間撹拌した。減圧下、40℃でこの反
応液から溶媒を留去し、得られた残渣を分取用薄層クロ
マトグラフィーに付し、クロロホルムを用いて展開する
ことにより、生成したアセチル体(化合物5b)を精
製、分取した。
【0099】(g)前記(b)で得られた画分V(43.0
g)を、クロロホルム−メタノール(7:3、v/v)で繰り返し
て再結晶化し、以下の物性恒数を有するテルペン化合物
7a(2.0g)を得た。
【0100】化合物7aの物性恒数 mp: 214〜215℃ [α]D: -42.32゜ (c=0.20、CHCl3:MeOH=1:1、v/v) ネガティヴイオンFAB-MS: m/z 615[M−H]- 高分解能マススペクトルでC35H51O9の組成であることを
確認した。 IR: 3450、2960、2925、2850、1720、1380、1040cm-1 (h)前記(f)と同様にして、前記(g)で得られた
化合物7aのアセチル化を行ない、化合物7bを得た。
【0101】(i)前記(b)で得られた画分VI(19.0
g)をコスモシル(Cosmosil) 140 C18((株)ナカライテ
スク製、85.0g)を充填したカラムクロマトグラフィー
に付し、メタノール−水(1:1および7:3、v/v)で順次展
開し、最初の溶出画分から以下の物性恒数を有するテル
ペン化合物8a(1.5g)を得た。後の溶出画分をさらにコ
スモシル 140 C18(50.0g)を充填したカラムクロマトグ
ラフィーに付し、メタノール−水(1:1および7:3、v/v)
で展開し、以下の物性恒数を有するテルペン化合物9(3
mg)および10(5mg)を得た。
【0102】化合物8aの物性恒数 mp:171〜172℃ [α]D: -30.73゜(c=0.60、CHCl3:MeOH=1:1、v/v) ポジティヴイオンFAB-MS: m/z 635[M+H]+ 高分解能マススペクトルでC35H55O10の組成であること
を確認した。 IR: 3400、2950、2900、1720、1040cm-1 化合物9の物性恒数 mp:212〜213.5℃ [α]D: -43.46゜(c=0.27、CHCl3:MeOH=1:1、v/v) ポジティヴイオンFAB-MS: m/z 577[M+H]+ 高分解能マススペクトルでC32H49O9の組成であることを
確認した。 IR: 3400、2900、2850、1720、1040cm-1 化合物10の物性恒数 mp:164〜165℃ [α]D: -73.64゜(c=0.36、CHCl3:MeOH=1:1、v/v) ポジティヴイオンFAB-MS: m/z 593[M+H]+ 高分解能マススペクトルでC32H49O10の組成であること
を確認した。 IR: 3400、2900、2850、1720、1040cm-1 (j)前記(f)と同様にして、前記(i)で得られた
化合物8aのアセチル化を行ない、化合物8bを得た。
【0103】(k)前記(b)得られた画分VII(10.0
g)を活性炭カラムに付し、メタノールで溶出させ、そ
の溶出画分をさらにコスモシル 140 C18を充填したカラ
ムクロマトグラフィーに付し、メタノール−水(1:1およ
び7:3、v/v)で順次展開して、以下の物性恒数を有する
テルペン化合物11(20mg)を得た。
【0104】化合物11の物性恒数 mp:134〜135℃ [α]D: -45.70°(c=0.38、CHCl3:MeOH=1:1、v/v) ポジティヴイオンFAB-MS: m/z 651[M+H]+ 高分解能マススペクトルでC35H57O11の組成であること
を確認した。 IR: 3400、2950、2900,1720、1040cm-1 各化合物1〜11の1H−NMRデータを、それぞれ化合
物1〜4は表1−1および1−2、化合物5〜8は表1
−3および1−4、化合物9〜11は表1−5および1
−6に示す。
【0105】
【表1】
【0106】
【表2】
【0107】
【表3】
【0108】
【表4】
【0109】
【表5】
【0110】
【表6】
【0111】各化合物1〜11の構造式を以下に示す。
【0112】
【化49】
【0113】
【化50】
【0114】
【化51】
【0115】つぎに実施例1で得た升麻の抽出物の薬効
を、in vitroでの試験例を挙げて説明する。
【0116】試験例1 実施例1でメタノール抽出により得たメタノール抽出物
(A)を、100ml中にHam´s F−12粉末
(日水製薬(株)製)1.06g、非働化ウマ血清(H
S、阪大微生物病研究会より入手)5ml、NaHCO
3 0.22g、20mM CaCl2 5mlを含む培
養液を用いて、440μg/mlおよび44μg/ml
となるように試験液を調製した。
【0117】2日齢のマウスに45CaCl2 2μCi
を皮下投与し、2日後にその頭頂骨を摘出単離し、37
℃において5%CO2を含む空気を通じて24時間前培
養し、その培養液にPTHを最終濃度が2×10-9Mと
なるように加えたのち、2種の濃度の前記試験液をそれ
ぞれ1ml加えた。これを前培養と同条件でさらに72
時間培養した。培養液中に放出された45Caを測定した
(測定値1)。この培養液を新しい培養液(1ml)に
取り替え、前記と同条件でさらに72時間培養した。こ
の培養液中の45Caを前記と同様に測定した(測定値
2)。さらに培養液から頭頂骨を取り出し、0.01M
EDTA−酢酸(pH5.5)1mlを用い、4℃で7
2時間脱灰し、その脱灰液中の45Caを測定した(測定
値3)。これらの測定値を用いて、つぎの計算式で45
aの放出量を%で算出した。
【0118】
【数1】
【0119】結果を表2に示す。
【0120】
【表7】
【0121】この結果より、実施例1で得たメタノール
抽出物(A)は、PTHによる骨吸収を強く抑制するこ
とが明らかである。
【0122】試験例2 実施例1で得たヘキサン抽出物(B)を、440μg/
mlおよび44μg/mlの濃度となるように試験例1
と同様にして2種の試験液を調製した。この試験液を用
いて試験例1と同様の試験を行った。結果を表3に示
す。
【0123】
【表8】
【0124】この結果より、実施例1で得たヘキサン抽
出物(B)は、PTHによる骨吸収を強く抑制すること
が明らかである。
【0125】試験例3 実施例1で得た酢酸エチル抽出物(C)を、440μg
/mlおよび44μg/mlの濃度となるように試験例
1と同様に2種の濃度の試験液を調製した。
【0126】この試験液を用いて試験例1と同様の試験
を行った。結果を表4に示す。
【0127】
【表9】
【0128】この結果より、実施例1で得た酢酸エチル
抽出物(C)は、PTHによる骨吸収を強く抑制するこ
とが明らかである。
【0129】試験例4 実施例1で得たブタノール抽出物(D)を、440μg
/mlおよび44μg/mlの濃度となるように試験例
1と同様にして2種の濃度の試験液を調製した。この試
験液を用いて試験例1と同様の試験を行った。結果を表
5に示す。
【0130】
【表10】
【0131】この結果より、実施例1で得たブタノール
抽出物(D)は、PTHによる骨吸収を強く抑制するこ
とが明らかである。
【0132】実施例2 中国、黒龍江省において採取されたCimicifuga heracle
ifolia KOMAROVの根茎を風乾した粉末(5.5
kg)をメタノール(12リットル)中に加え、3時間
加熱還流して抽出した。この操作を3回繰り返して抽出
液を合わせ、抽出液からメタノールを留去してメタノー
ル抽出物(902g)(E)を得た。この抽出物質
(E)に水1000mlを加えて懸濁液とし、ヘキサン
1000mlを加えて抽出した。
【0133】これを3回繰り返してヘキサン抽出液を
得、ヘキサンを留去してヘキサン抽出物(50g)
(F)を得た。さらにこの水懸濁液を同様な抽出方法に
よって酢酸エチル抽出物(250g)(G)、ブタノー
ル抽出物(50g)(H)を得た。つぎにこれらの抽出
物を実施例1と同様にして薄層クロマトグラフィーによ
り分画し、発色させた。図2に、メタノール、ヘキサ
ン、酢酸エチルおよびブタノール抽出物の薄層クロマト
グラフィーのパターンを示す。
【0134】前記酢酸エチル抽出物から実施例1と同様
にして各テルペン化合物(12〜22)を精製した。各
化合物12〜22の1H−NMRデータを、それぞれ化
合物12、13、17および18は表6−1および6−
2、化合物14、15、16および19は表6−3およ
び6−4、化合物20〜22は表6−5および6−6に
示す。
【0135】
【表11】
【0136】
【表12】
【0137】
【表13】
【0138】
【表14】
【0139】
【表15】
【0140】
【表16】
【0141】各化合物12〜22の構造式を以下に示
す。
【0142】
【化52】
【0143】
【化53】
【0144】
【化54】
【0145】
【化55】
【0146】試験例5 実施例2で得たメタノール抽出物(E)を、440μg
/mlおよび44μg/mlの濃度となるように試験例
1と同様にして2種の濃度の試験液を調製した。この試
験液を用いて試験例1と同じ試験を行った。結果を表7
に示す。
【0147】
【表17】
【0148】この結果より、実施例2で得たメタノール
抽出物(E)は、PTHによる骨吸収を強く抑制するこ
とが明らかである。
【0149】試験例6 実施例2で得たヘキサン抽出物(F)を、440μg/
mlおよび44μg/mlの濃度となるように試験例1
と同様にして2種の濃度の試験液を調製した。この試験
液を用いて試験例1と同じ試験を行った。結果を表8に
示す。
【0150】
【表18】
【0151】この結果より、実施例2で得たヘキサン抽
出物(F)は、PTHによる骨吸収を強く抑制すること
が明らかである。
【0152】試験例7 実施例2で得た酢酸エチル抽出物(G)を、440μg
/mlおよび44μg/mlの濃度となるように試験例
1と同様にして2種の試験液を調製した。この試験液を
用いて試験例1と同じ試験を行った。結果を表9に示
す。
【0153】
【表19】
【0154】この結果より、実施例2で得た酢酸エチル
抽出物(G)は、PTHによる骨吸収を強く抑制するこ
とが明らかである。
【0155】試験例8 実施例2で得たブタノール抽出物(H)を、440μg
/mlおよび44μg/mlの濃度となるように試験例
1と同様にして2種の試験液を調製した。この試験液を
用いて試験例1と同じ試験を行った。結果を表10に示
す。
【0156】
【表20】
【0157】この結果より、実施例2で得たブタノール
抽出物(H)は、PTHによる骨吸収を強く抑制するこ
とが明らかである。
【0158】つぎにCimicifuga foetida L.からの酢酸
エチル抽出物(C)とCimicifuga heracleifoliaからの
酢酸エチル抽出物(G)の卵巣摘出動物を用いた生物活
性の試験例を示す。
【0159】試験例9 8ヶ月齢の経産ウィスターラットを卵巣抽出し、卵巣摘
出群(グループ1)、抽出物(C)投与群(グループ
2)、抽出物(G)投与群(グループ3)に分けた。ま
た疑似手術群(グループ4)を1群作成した。
【0160】グループ1と4には蒸留水、グループ2と
3には抽出物(C)と(G)をそれぞれ100mg/k
g/day、6週間投与した。投与終了後ラットを麻酔
して、二重エネルギーX線吸収法(DXA)により、第
2から第4腰椎までの平均骨密度を測定した。結果を表
11に示す。
【0161】
【表21】
【0162】この結果より、Cimicifuga foetida L.か
らの抽出物(C)およびCimicifugaheracleifoliaから
の抽出物(G)は明らかに骨密度の減少を抑制すること
が確認され、骨粗鬆症治療薬としての有用性が示され
た。
【0163】実施例3 本発明の化合物の製剤例を示す。下記の処方にしたがっ
て1錠あたり、実施例1で得た酢酸エチルからの抽出物
(C)50mgを含有する錠剤を調製した。
【0164】 成 分 mg 抽出物(C) 50 結晶セルロース 50 カルボキシメチルセルロースカルシウム 10 ラウリル硫酸ナトリウム 1 メチルセルロース 3 ステアリン酸カルシウム 4 実施例4 本発明の化合物の製剤例を示す。下記の処方にしたがっ
て1錠あたり、実施例1で得た酢酸エチルからの抽出物
(C)50mgを含有する200mgの混合成分を、カ
プセルに充填してカプセル剤を調製した。
【0165】 成 分 mg 抽出物(C) 50 ラクトース 50 コーンスターチ 40 結晶セルロース 50 ステアリン酸カルシウム 10 試験例10Cimicifuga foetida L.からの酢酸エチル抽出物の中か
ら単離された化合物2、3、4、6、7、8、9および
11およびCimicifuga heracleifolia KOMAROV
から単離された化合物12、13、14、15、16お
よび19のinvitro薬効の試験を試験例1と同様
に行った。各化合物を200μMおよび20μMの濃度
を用いて添加した。結果を表12に示す。
【0166】
【表22】
【0167】これらの結果から、これらの化合物は単独
でもPTHによる骨吸収を抑制することが明らかであ
る。
【0168】
【発明の効果】本発明により、升麻抽出物を有効成分と
する骨疾患治療剤が得られる。
【0169】本発明の骨疾患治療剤により、骨粗鬆症、
関節炎、関節症および高カルシウム血しょうなどの治療
を有効に行なうことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1(a)においてえられた、メ
タノール、n−ヘキサン、酢酸エチルおよびn−ブタノ
ール抽出物の画分パターンを示すクロマトグラムであ
る。
【図2】本発明の実施例2においてえられた、メタノー
ル、n−ヘキサン、酢酸エチルおよびn−ブタノール抽
出物の画分パターンを示すクロマトグラムである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07J 71/00 C07J 71/00 (72)発明者 門田 重利 富山市五福末広町2556−4−2−402 (72)発明者 宮原 龍郎 富山市山室203−1

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 升麻抽出物を有効成分として含有する骨
    疾患治療剤。
  2. 【請求項2】 前記升麻抽出物が、升麻をメタノールで
    抽出することにより得られるメタノール抽出物である請
    求項1記載の骨疾患治療剤。
  3. 【請求項3】 前記升麻抽出物が、升麻をメタノールで
    抽出し、得られる残渣をさらにヘキサンで抽出すること
    により得られるヘキサン抽出物である請求項1記載の骨
    疾患治療剤。
  4. 【請求項4】 前記升麻抽出物が、升麻をメタノールで
    抽出し、得られる残渣をさらに酢酸エチルで抽出するこ
    とにより得られる酢酸エチル抽出物である請求項1記載
    の骨疾患治療剤。
  5. 【請求項5】 前記升麻抽出物が、升麻をメタノールで
    抽出し、得られる残渣をさらにブタノールで抽出するこ
    とにより得られるブタノール抽出物である請求項1記載
    の骨疾患治療剤。
  6. 【請求項6】 式(I) 【化1】 (ただしR1はβ−キシロシルで、R2は=CH2;また
    はR1はβ−キシロシルで、R2は 【化2】 を示す)で表されるテルペン化合物を有効成分とする骨
    疾患治療剤。
  7. 【請求項7】 式(II) 【化3】 (ただしR3はアラビノシルで、R4は 【化4】 ;またはR3およびR4は共に水素を示す)で表されるテ
    ルペン化合物を有効成分とする骨疾患治療剤。
  8. 【請求項8】 式(III) 【化5】 (ただし、R5はβ−キシロシルを示す)で表されるテ
    ルペン化合物を有効成分とする骨疾患治療剤。
  9. 【請求項9】 式(IV) 【化6】 (ただしR6はβ−キシロシルを示す)で表されるテル
    ペン化合物を有効成分とする骨疾患治療剤。
  10. 【請求項10】 式(V) 【化7】 (ただしR7はβ−キシロシルで、R8は水素;またはR
    7およびR8は共に水素を示す)で表されるテルペン化合
    物を有効成分とする骨疾患治療剤。
  11. 【請求項11】 式(VI) 【化8】 (ただしR9はβ−キシロシルで、R10、R11およびR
    12は共に水素;またはR9はβ−キシロシル、R10およ
    びR12は共に水素で、R11は水酸基を示す)で表される
    テルペン化合物を有効成分とする骨疾患治療剤。
  12. 【請求項12】 式(VII) 【化9】 (ただしR13、R14、R15およびR16は共に水素;R13
    はβ−キシロシルで、R14、R15およびR16は共に水
    素;またはR13はβ−キシロシル、R14およびR16は共
    に水素で、R15は水酸基を示す)で表されるテルペン化
    合物を有効成分とする骨疾患治療剤。
  13. 【請求項13】 ノルビスナジンを有効成分とする骨疾
    患治療剤。
  14. 【請求項14】 アンゲリカインを有効成分とする骨疾
    患治療剤。
  15. 【請求項15】 イソフェルリック酸を有効成分とする
    骨疾患治療剤。
  16. 【請求項16】 イソインペラトリンを有効成分とする
    骨疾患治療剤。
  17. 【請求項17】 式(VIII) 【化10】 (ただしR17は−OH;=O; 【化11】 を示す)で表されるテルペン化合物を有効成分とする骨
    疾患治療剤。
  18. 【請求項18】 式(IX) 【化12】 (ただしR18は水素;またはR18はアセチルを示す)で
    表されるテルペン化合物を有効成分とする骨疾患治療
    剤。
  19. 【請求項19】 式(X) 【化13】 で表されるテルペン化合物を有効成分とする骨疾患治療
    剤。
  20. 【請求項20】 式(XI) 【化14】 で表されるテルペン化合物を有効成分とする骨疾患治療
    剤。
  21. 【請求項21】 式(XII) 【化15】 で表されるテルペン化合物を有効成分とする骨疾患治療
    剤。
  22. 【請求項22】 式(XIII) 【化16】 で表されるテルペン化合物を有効成分とする骨疾患治療
    剤。
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