JPH09307156A - 磁気抵抗デバイス - Google Patents

磁気抵抗デバイス

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JPH09307156A
JPH09307156A JP8120249A JP12024996A JPH09307156A JP H09307156 A JPH09307156 A JP H09307156A JP 8120249 A JP8120249 A JP 8120249A JP 12024996 A JP12024996 A JP 12024996A JP H09307156 A JPH09307156 A JP H09307156A
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spin
magnetoresistive device
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ferromagnetic
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JP8120249A
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Inventor
Tetsuya Yamamoto
哲也 山本
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Sanyo Electric Co Ltd
Original Assignee
Sanyo Electric Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 GMR(巨大磁気抵抗)効果を有する動作領
域を持つトランジスタを備えた磁気抵抗デバイスにおい
て、動作領域の磁気抵抗の変化率を向上する。前記磁気
抵抗デバイスを利用する磁場センサにおいて、感度を向
上する。 【解決手段】 磁気抵抗デバイスにおいて、GMR効果
を有する第1動作領域12と、第1動作領域12の磁性
を示す電子のスピン方向の一方の方向にスピン偏極方向
を持つスピン偏極電子を選択的に第1動作領域12に注
入する第2動作領域13と、を備える。第2動作領域1
3はスピン偏極電子を注入する非磁性金属体領域13b
及び特定方向にスピン偏極方向を持つスピン偏極電子を
選択し注入するポテンシャルバリア領域13aで形成さ
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気抵抗デバイス
に関し、特に金属人工格子の巨大磁気抵抗(Giant M
agnetro-Resistance :以下、単にGMRという。)効
果を利用した磁気抵抗デバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】磁場センサとしての応用が期待される、
GMR効果を利用したスピンバルブトランジスタ(The
Spin Valve Transistor )の研究が注目されてい
る(例えば、D. J. Monsma et al., Phys.Rev. L
ett.74(1995),pp.5260. )。図10は従来技術に係るス
ピンバルブトランジスタの断面構造図である。図10に
示すように、スピンバルブトランジスタはコレクタ領域
1、ベース領域2、エミッタ領域3を順次積層した、S
iバイポーラトランジスタに類似する3端子構造で構成
される。図中、符号Vebはエミッタ領域−ベース領域間
電圧、符号Vbcはベース領域−コレクタ領域間電圧であ
る。ベース領域2は複数の強磁性金属体領域2aと複数
の非磁性金属体領域2bとがそれぞれ交互に配列された
金属人工格子薄膜で形成され、この金属人工格子薄膜は
GMR効果を有する。強磁性金属体領域2aはCoで形
成され、非磁性金属体領域2bはCuで形成される。同
図に示すスピンバルブトランジスタにおいては、ベース
領域2の強磁性金属体領域2a、非磁性金属体領域2b
がそれぞれ上方向に向かって積層され、これらの積層膜
に対して垂直方向に電流を流すCPP(Current Per
pendicular to the Plane)構造が採用される。コレク
タ領域1は半導体領域例えばSiで形成され、エミッタ
領域3は同様に半導体領域で形成される。
【0003】図11は前記スピンバルブトランジスタの
エネルギバンド構造図である。エミッタ領域3とベース
領域2との間の接合界面にはショットキーバリアSBEB
が形成される。ベース領域2とコレクタ領域1との間の
接合界面にはショットキーバリアSBBC が形成される。
フェルミ準位EF からの障壁高さはショットキーバリア
BEB において 0. 7eV、ショットキーバリアS
BBC において 0. 6eVにそれぞれ設定される。エミ
ッタ領域3の電子(注入キャリア)はホットエレクトロ
ン(hot electron)としてエミッタ領域3−ベース領域
2間のショットキーバリアSBEB を通してベース領域2
に注入される。ベース領域2においては、複数の強磁性
金属体領域2aにおいて磁性を示す電子のスピン方向の
配列の仕方に応じてベース領域2を流れる電子の散乱の
仕方が変化する。このベース領域2を流れる電子の散乱
の仕方の変化はベース抵抗の変化として表わされる。強
磁性金属体領域2aであるCo原子の3d軌道に位置す
る電子は磁性を示す電子であり、この3d軌道に位置す
る電子のスピン方向に応じてベース抵抗が変化する。エ
ミッタ領域1からベース領域2に注入された電子はベー
ス領域2を通過し、この通過した電子はベース領域2−
コレクタ領域1間のショットキーバリアSBBCを通して
コレクタ領域1に注入される。
【0004】前記強磁性金属体領域2aの電子のスピン
方向は外部磁場を与えることにより制御できる。すなわ
ち、外部磁場が存在するとベース抵抗が変化するので、
このベース抵抗の変化をコレクタ電流の変化として検出
することにより外部磁場が検知できる。スピンバルブト
ランジスタはこのように磁場センサとしての応用が期待
される。コレクタ電流の相対的な変化率が大きいほど磁
場センサは高感度になり、現在報告されている磁場セン
サにおいてコレクタ電流の相対的な変化率は250%に
も達している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来技
術に係るスピンバルブトランジスタにおいては、ベース
領域2の強磁性金属体領域2aの電子のスピン方向に対
して、エミッタ領域3からベース領域2に様々なスピン
偏極方向を持つ電子が注入される。このため、ベース領
域2においてベース抵抗の変化率が小さく、コレクタ電
流の相対的な変化率が充分に得られないので、高感度の
磁場センサが実現できない、という課題があった。
【0006】本発明は上記課題を解決するためになされ
たものである。従って、本発明の目的は、GMR効果を
有する動作領域を持つトランジスタを備えた磁気抵抗デ
バイスにおいて、前記動作領域の磁気抵抗の変化率を向
上することにある。さらに、本発明の目的は、前記磁気
抵抗デバイスを利用する磁場センサにおいて、感度を向
上することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1に記載された発明は、磁気抵抗デバイスに
おいて、磁気抵抗を有する第1動作領域と、前記第1動
作領域の磁性を示す電子のスピン方向の一方の方向にス
ピン偏極方向を持つスピン偏極電子を選択的に前記第1
動作領域に注入する第2動作領域と、を備えたことを特
徴とする。請求項1に記載された発明においては、特定
方向にスピン偏極方向を持つスピン偏極電子が第2動作
領域から磁気抵抗を有する第1動作領域に選択的に注入
される。第1動作領域の電子(磁性を示す電子)のスピ
ン方向と第2動作領域から第1動作領域に注入されるス
ピン偏極電子のスピン方向とが一致する(双方のスピン
方向が平行になる)ことにより、第1動作領域を流れる
注入されたスピン偏極電子の散乱は減少し、第1動作領
域の抵抗は減少する。一方、第1動作領域の電子のスピ
ン方向に変化を与え、第1動作領域の電子のスピン方向
と注入されたスピン偏極電子のスピン偏極方向とが不一
致(双方のスピン方向が反平行になる)の場合には、第
1動作領域を流れる注入されたスピン偏極電子の散乱が
顕著になり、第1動作領域の抵抗は増大する。従って、
第1動作領域の電子のスピン方向に対してスピン偏極電
子のスピン偏極方向を一致させた場合と不一致の場合と
の間に大きな抵抗変化が実現できる。第1動作領域の電
子のスピン方向は外部磁場によって変化するので、逆に
第1動作領域の抵抗変化を測定することにより外部磁場
が測定でき、高感度の磁場センサが実現できる。
【0008】請求項2に記載された発明は、前記請求項
1に記載された磁気抵抗デバイスにおいて、前記第1動
作領域が複数の強磁性金属体領域、複数の非磁性金属体
領域のそれぞれを交互に配列した金属超格子薄膜で形成
されたことを特徴とする。
【0009】請求項3に記載された発明は、前記請求項
2に記載された磁気抵抗デバイスにおいて、前記第1動
作領域の強磁性金属体領域/非磁性金属体領域がCo/
Cu、Co/Ag、Fe/Cu、Fe/Cr、Ni/A
g、NiFe/Cuのいずれかで形成されることを特徴
とする。
【0010】請求項4に記載された発明は、前記請求項
3に記載された磁気抵抗デバイスにおいて、前記第2動
作領域が、互いに異なるスピン偏極方向を持つ複数のス
ピン偏極電子を注入する非磁性金属体領域又は半導体領
域と、前記非磁性金属体領域又は半導体領域から第1動
作領域に前記特定方向のスピン偏極方向を持つスピン偏
極電子を選択的に注入するポテンシャルバリア領域と、
を備えたことを特徴とする。前記請求項4に記載された
発明においては、第2動作領域の非磁性金属体領域又は
半導体領域から第1動作領域に注入されるスピン偏極電
子のうち、特定方向のスピン偏極方向を持つスピン偏極
電子が第2動作領域のポテンシャルバリア領域により選
択的に注入される。第2動作領域のポテンシャルバリア
領域は特定方向のスピン偏極方向を持つスピン偏極電子
のみを、又は特定方向のスピン偏極方向を持つスピン偏
極電子を特定方向以外のスピン偏極方向を持つスピン偏
極電子に比べて多量に注入する機能を備える。
【0011】請求項5に記載された発明は、前記請求項
4に記載された磁気抵抗デバイスにおいて、前記第2動
作領域のポテンシャルバリア領域は、強磁性絶縁体領域
又は強磁性半導体領域で形成されたことを特徴とする。
前記請求項5に記載された発明においては、ポテンシャ
ルバリア領域の強磁性絶縁体又は強磁性半導体は前記第
2動作領域の非磁性金属体領域又は半導体領域から第1
動作領域に注入されるスピン偏極電子のスピン偏極方向
に応じてポテンシャルバリア領域の障壁高さ(バリアハ
イト)が変化する。例えば、注入されるスピン偏極電子
のスピン偏極方向が上向きであるアップスピン偏極電子
の場合には、このアップスピン偏極電子のスピン偏極方
向に対応してポテンシャルバリア領域の障壁高さが低く
なる。従って、第2動作領域から第1動作領域にはアッ
プスピン偏極電子が選択的に注入される。また、注入さ
れるスピン偏極電子のスピン偏極方向が下向きであるダ
ウンスピン偏極電子の場合には、このダウンスピン偏極
電子のスピン偏極方向に対応してポテンシャルバリア領
域の障壁高さが高くなる。ダウンスピン偏極電子におい
ては第2動作領域から第1動作領域への注入が抑制又は
阻止される。すなわち、スピンフィルタ効果が実現でき
る。
【0012】請求項6に記載された発明は、前記請求項
5に記載された磁気抵抗デバイスにおいて、前記第2動
作領域の非磁性金属体領域はAu、Ag、Al、Cuの
いずれかで形成され、前記ポテンシャルバリア領域の強
磁性絶縁体領域はEuS、EuOのいずれか、強磁性半
導体領域はEuB6 で形成されることを特徴とする。
【0013】請求項7に記載された発明は、前記請求項
1に記載された磁気抵抗デバイスにおいて、前記第1動
作領域が、La1-x Srx MnO3 (0. 16<x<
0. 50)、Pr1-x Cax MnO3 、Nd0.5 Sr
0.5 MnO3 、(La0.068 Sn0.937 1/2 Sr1/2
MnO3 のいずれかのペロブスカイト結晶構造を有する
Mn酸化物で形成され、前記第2動作領域が、互いに異
なるスピン偏極方向を持つ複数のスピン偏極電子を前記
第1動作領域に注入するLa1-x Sr1-x TiO3から
なる半導体領域と、前記半導体領域から第1動作領域に
前記特定方向のスピン偏極電子を選択的に注入するLa
1-x Srx MnO3 (0. 09<x<0. 16)からな
る強磁性絶縁体領域のポテンシャルバリア領域とで形成
されることを特徴とする。前記請求項7に記載された発
明においては、複数の強磁性金属体領域と複数の非磁性
金属体領域とを交互に配列した人工的な金属超格子薄膜
に対して、Mn酸化物の結晶構造自体が磁気抵抗を有
し、このMn酸化物により第1動作領域が形成できる。
Mn酸化物はペロブスカイト結晶構造を有しているの
で、このMn酸化物からなる第1動作領域には同様なペ
ロブスカイト結晶構造を有する第2動作領域の半導体領
域、強磁性絶縁体領域(ポテンシャルバリア領域)が順
次エピタキシャル成長により成膜できる(逆方向の成膜
も可能である。)。従って、磁気抵抗デバイスの動作領
域がすべて同様の結晶構造で形成できる。特に、磁気抵
抗デバイスの製造プロセスにおいては同一の結晶成長室
内で動作領域のすべてが形成できるので、それぞれの動
作領域の膜質の向上、膜厚の制御、結晶構造の制御、動
作領域間の接合状態の向上等が容易に実現でき、安定し
た磁気抵抗特性が得られるとともに優れた磁気抵抗特性
を有する磁気抵抗デバイスが実現できる。
【0014】請求項8に記載された発明は、前記請求項
3に記載された磁気抵抗デバイスにおいて、前記第2動
作領域が、特定方向のスピン偏極方向を持つスピン偏極
電子を選択的に前記第1動作領域に注入する強磁性金属
体領域と、前記強磁性金属体領域から第1動作領域に注
入される前記特定方向のスピン偏極電子の注入量を制御
するポテンシャルバリア領域と、を備えたことを特徴と
する。前記請求項8に記載された発明においては、第2
動作領域の強磁性金属体領域に存在するスピン偏極電子
のスピン偏極方向は特定方向に限られるので、この特定
方向のスピン偏極方向を持つスピン偏極電子が第2動作
領域のポテンシャルバリア領域による障壁高さの制御に
より第1動作領域に注入できる。第2動作領域のポテン
シャルバリア領域はスピン偏極電子の注入量を制御する
単なる障壁としての機能を備えていればよいので、ポテ
ンシャルバリア領域の材料選択範囲が拡張される。
【0015】請求項9に記載された発明は、前記請求項
8に記載された磁気抵抗デバイスにおいて、前記第2動
作領域の強磁性金属体領域がFe、Co、Niのいずれ
かで形成され、前記ポテンシャルバリア領域がMgO、
Al2 3 のいずかの非磁性絶縁体領域、又はEuS、
EuOのいずれかの強磁性絶縁体領域で形成されること
を特徴とする。
【0016】請求項10に記載された発明は、前記請求
項2又は請求項8に記載された磁気抵抗デバイスにおい
て、前記第1動作領域には前記第2動作領域から第1動
作領域に注入されたスピン偏極電子を収集する第3動作
領域が接合されることを特徴とする。
【0017】請求項11に記載された発明は、前記請求
項10に記載された磁気抵抗デバイスにおいて、前記第
3動作領域がSi、GaAs、InAs、La1-x Sr
x MnO3 のいずれかの半導体領域で形成されることを
特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態である
磁気抵抗デバイスについて、図面を参照し説明する。
【0019】実施形態1 <トランジスタの構造>図1は本発明の実施形態1に係
る磁気抵抗デバイスに搭載されたスピンバルブトランジ
スタの断面構造図である。図1に示すように、スピンバ
ルブトランジスタは第3動作領域11、第1動作領域1
2、第2動作領域13を順次積層した3端子構造で構成
される。図中、符号V1は第1動作領域−第2動作領域
間電源、符号V12は第1動作領域−第2動作領域間電圧
である。符号V2は第2動作領域−第3動作領域間電
源、符号V23は第2動作領域−第3動作領域間電圧であ
る。
【0020】前記第1動作領域12は複数の強磁性金属
体領域12aと複数の非磁性金属体領域12bとがそれ
ぞれ交互に配列された金属人工格子薄膜で形成され、こ
の金属人工格子薄膜はGMR効果を有する。同図に示す
スピンバルブトランジスタにおいては、第1動作領域1
2の強磁性金属体領域12a、非磁性金属体領域12b
がそれぞれ上方向に向かって積層され、これらの積層膜
に対して垂直方向に電流を流すCPP構造が採用され
る。本実施形態において、強磁性金属体領域12aはC
oで形成され、非磁性金属体領域12bはCuで形成さ
れる。Co/Cuで形成される金属人工格子薄膜は現在
最も抵抗変化率が高い材料の組み合わせとして知られて
いる。本実施形態において、Coは例えば4層の薄膜で
形成され、それぞれのCo薄膜は 1. 5nm程度の膜
厚で形成される。Cuは例えばCoと同様の層数である
4層の薄膜で形成され、それぞれのCu薄膜は 2. 0
nmで形成される。つまり、第1動作領域12は4層の
Co薄膜、4層のCu薄膜のそれぞれを交互に重ね合せ
た合計8層の薄膜で形成され、第1動作領域12の合計
の寸法は14nmで形成される。強磁性金属体領域12
aはGMR効果を示すので膜厚、層数は重要な要素であ
るが、強磁性金属体領域12aの膜厚、層数及び前述の
非磁性金属体領域12bの膜厚、層数はいずれも前述の
例に限定されない。さらに、第1動作領域12の強磁性
金属体領域12aと非磁性金属体領域12bとの材料の
組み合わせとしては、他にCo/Ag、Fe/Cu、F
e/Cr、Ni/Ag、NiFe/Cuのいずれかが使
用できる。
【0021】前記第2動作領域13は前記第1動作領域
12の強磁性金属体領域12aの磁性を示す電子(3d
軌道の電子)のスピン方向の一方の方向にスピン偏極方
向を持つスピン偏極電子を選択的に前記第1動作領域1
2に注入する機能を備える。この第2動作領域13は非
磁性金属体領域13b及びポテンシャルバリア領域(ト
ンネルバリア領域)13aで形成される。
【0022】図2は前記スピンバルブトランジスタのエ
ネルギバンド構造図である。第2動作領域13の非磁性
金属体領域13bは互いに異なるスピン偏極方向を持つ
複数のスピン偏極電子を前記第1動作領域12に注入す
る。同図に示すように、非磁性金属体領域13bから第
1動作領域12にはスピン偏極方向が上向きであるアッ
プスピン偏極電子eup及びスピン偏極方向が下向きであ
るダウンスピン偏極電子edwonが注入される。本実施形
態において非磁性金属体領域13bはAuで形成され
る。また、非磁性金属体領域13bとしては他にAg、
Al、Cuのいずれかが使用できる。
【0023】前記第2動作領域13のポテンシャルバリ
ア領域13aは第1動作領域12と第2動作領域13の
非磁性金属体領域13bとの間に形成される。このポテ
ンシャルバリア領域13aは非磁性金属体領域13bか
ら第1動作領域12に前記特定方向のスピン偏極方向を
持つスピン偏極電子を選択的に注入する。ポテンシャル
バリア領域13aは強磁性絶縁体領域又は強磁性半導体
領域で形成される。強磁性絶縁体領域又は強磁性半導体
領域で形成されるポテンシャルバリア領域13aは、図
2に示すように、第2動作領域13の非磁性金属体領域
13bから第1動作領域12に注入されるスピン偏極電
子のスピン偏極方向に応じてポテンシャルバリア領域1
3aの障壁高さ(バリアハイト)が変化する。例えば、
注入されるスピン偏極電子がアップスピン偏極電子eup
の場合には、このアップスピン偏極電子eupに対応して
ポテンシャルバリア領域13aの障壁高さBupは低くな
る。従って、第2動作領域13から第1動作領域12に
はアップスピン偏極電子eupが選択的に(アップスピン
偏極電子eupのみが、又アップスピン偏極電子eupがダ
ウンスピン偏極電子edwonに比べて多量に)注入され
る。また、注入されるスピン偏極電子がダウンスピン偏
極電子edwonの場合には、このダウンスピン偏極電子e
dwonのスピン偏極方向に対応してポテンシャルバリア領
域13aの障壁高さBdwonは高くなる。ダウンスピン偏
極電子edwonにおいては第2動作領域13から第1動作
領域12への注入が抑制又は阻止される。すなわち、ポ
テンシャルバリア領域13aにおいてスピンフィルタ効
果が実現できる。本実施形態において、ポテンシャルバ
リア領域13aの強磁性絶縁体領域はEuSで形成され
る。また、強磁性絶縁体領域としては他にEuOが使用
でき、さらに強磁性半導体領域としてはEuB6 が使用
できる。
【0024】前記第3動作領域11においては第2動作
領域13から第1動作領域12に注入されたスピン偏極
電子(アップスピン偏極電子eup)が注入される。図2
に示すように、第1動作領域12と第3動作領域11と
の間はショットキーバリア領域SB23 を介して接合され
る。本実施形態において第3動作領域11は半導体領
域、具体的にはSiで形成される。また、第3動作領域
としては他の半導体領域としてGaAs、InAsのい
ずれかが使用できる。
【0025】<動作原理>前述のスピンバルブトランジ
スタの動作原理は以下の通りである。図2に示すよう
に、第2動作領域13の非磁性金属体領域13bから第
1動作領域12にアップスピン偏極電子eup及びダウン
スピン偏極電子edwonが注入されようとする。アップス
ピン偏極電子eupに対して第2動作領域13のポテンシ
ャルバリア領域13aの障壁高さBupは低くなるので、
第1動作領域12にはアップスピン偏極電子eupが注入
される。一方、ダウンスピン偏極電子edwonに対してポ
テンシャルバリア領域13aの障壁高さBdwonは高くな
るので、ダウンスピン偏極電子edwonの注入は抑制され
又は阻止される。すなわち、ポテンシャルバリア領域1
3aのスピンフィルタ効果によりアップスピン偏極電子
upが第1動作領域に選択的に注入される。
【0026】第1動作領域12に注入されたアップスピ
ン偏極電子eupは強磁性金属体領域12a及び非磁性金
属体領域12bで形成された金属超格子薄膜を通過する
際にGMR効果により強磁性金属体領域12aの磁性を
示す電子(3d軌道の電子)のスピン方向に応じて抵抗
が大きく変化する。図1に示すように、第1動作領域
(金属超格子薄膜)12に外部磁場Hを印加し強磁性金
属体領域12aの電子のスピン方向に変化を与えること
により、第1動作領域12に流れる電流が変調され、第
3動作領域11から取り出される電流が変調される。ま
た、逆に、第1動作領域に流れる電流変化を検出するこ
とにより、外部磁場Hの検出が行える。
【0027】<第1動作領域の抵抗変化>図3(A)は
従来技術に係るスピンバルブトランジスタの抵抗変化を
説明するベース領域2の概略構成図である。図3(A)
に示すように、スピンバルブトランジスタのベース領域
2に外部磁場Hが印加されない場合には、最も安定なエ
ネルギ状態が確保され、強磁性金属体領域2aの磁性を
示す電子のスピン方向がアップスピン状態の電子s12up
とダウンスピン状態の電子s12dwonとが強磁性金属体領
域2aの配列方向に沿って交互に存在する(反平行状
態)。従来技術に係るスピンパルブトランジスタにおい
ては、エミッタ領域3からベース領域2にはエミッタ領
域3のアップスピン偏極電子eup、ダウンスピン偏極電
子edwonがいずれも注入される。エミッタ領域3のスピ
ン偏極電子のスピン偏極方向とベース領域2の強磁性金
属体領域2aの磁性を示す電子のスピン方向とが互いに
一致する場合の抵抗(低抵抗)をR1 、不一致の場合の
抵抗(高抵抗)をR2 とすると、アップスピン偏極電子
upの通過経路においては下記の抵抗が発生する。
【0028】 R1 +R2 +R1 +R2 =2(R1 +R2 ) また、ダウンスピン偏極電子edwonの通過経路において
は下記の抵抗が発生する。
【0029】 R2 +R1 +R2 +R1 =2(R1 +R2 ) 従って、ベース領域2の全抵抗RAPは以下の通り求めら
れる。
【0030】
【数1】 一方、スピンバルブトランジスタのベース領域2に外部
磁場Hが印加された場合には、外部磁場Hにより強磁性
金属体領域2aのアップスピン状態の電子s12 up(又は
ダウンスピン状態の電子s12dwon)だけが存在する(平
行状態)。従来技術に係るスピンパルブトランジスタに
おいては、エミッタ領域3からベース領域2にエミッタ
領域3のアップスピン偏極電子eup、ダウンスピン偏極
電子edw onがいずれも注入されるので、同様にアップス
ピン偏極電子eupの通過経路においては下記の抵抗が発
生する。
【0031】R1 +R1 +R1 +R1 =4R1 また、ダウンスピン偏極電子edwonの通過経路において
は下記の抵抗が発生する。
【0032】R2 +R2 +R2 +R2 =4R2 従って、ベース領域2の全抵抗RP は以下の通り求めら
れる。
【0033】
【数2】 スピンバルブトランジスタのベース領域2に外部磁場H
が印加されない反平行状態と外部磁場Hが印加された平
行状態との間の抵抗変化ΔRは以下の通り求められる。
【0034】
【数3】 ここで、式(3)に例えば低抵抗R1 として1、高抵抗
2 として10(R2=10R1 )をそれぞれ代入する
と、抵抗変化ΔRは約67%になる。
【0035】図3(B)、図3(C)はそれぞれ本実施
形態に係るスピンバルブトランジスタの抵抗変化を説明
する第1動作領域12の概略構成図である。図3(B)
に示すように、本実施形態に係るスピンバルブトランジ
スタの第1動作領域12に外部磁場Hが印加されない反
平行状態の場合において、第2動作領域13から第1動
作領域12には第2動作領域の非磁性金属体領域13b
のアップスピン偏極電子eupだけがポテンシャルバリア
領域13aにより選択的に注入される。従って、アップ
スピン偏極電子eupの通過経路においては下記の抵抗が
発生する。
【0036】RAP=2(R1 +R2 ) 一方、スピンバルブトランジスタの第1動作領域12に
外部磁場Hが印加された場合には、外部磁場Hにより強
磁性金属体領域12aのアップスピン状態の電子s12up
だけが存在する(平行状態)。同様に本実施形態に係る
スピンパルブトランジスタにおいては、第2動作領域1
3から第1動作領域12に第2動作領域13の非磁性金
属体領域13bのアップスピン偏極電子eupが選択的に
注入されるので、アップスピン偏極電子eupの通過経路
においては下記の抵抗が発生する。
【0037】RP =4R1 スピンバルブトランジスタの第1動作領域12に外部磁
場Hが印加されない反平行状態と外部磁場Hが印加され
た平行状態との間の抵抗変化ΔRは以下の通り求められ
る。
【0038】
【数4】 ここで、式(4)に同様な値、例えば低抵抗R1 として
1、高抵抗R2 として10をそれぞれ代入すると、抵抗
変化ΔRは約81%になり、大きな抵抗変化が得られ
る。
【0039】さらに、図3(C)に示すように、本実施
形態に係るスピンバルブトランジスタの第1動作領域1
2に外部磁場Hが印加された平行状態から外部反転磁場
H’が印加された反平行状態の場合においては、第2動
作領域13から第1動作領域12に第2動作領域13の
非磁性金属体領域13bのアップスピン偏極電子eup
けがポテンシャルバリア領域13aにより選択的に注入
されるので、アップスピン偏極電子eupの通過経路にお
いては下記の抵抗が発生する。
【0040】RAP=4R2 スピンバルブトランジスタの第1動作領域12に外部磁
場Hが印加された平行状態と外部反転磁場H’が印加さ
れた反平行状態との間の抵抗変化ΔRは以下の通り求め
られる。
【0041】
【数5】 ここで、式(5)に同様に低抵抗R1 として1、高抵抗
2 として10をそれぞれ代入すると、抵抗変化ΔRは
約90%になり、さらに大きな抵抗変化が得られる。
【0042】<第1動作領域の非磁性金属体領域の厚さ
>図4(A)は第1動作領域12の強磁性金属体領域1
2aと非磁性金属体領域12bとの配列状態を示す概略
構成図である。強磁性金属体領域12aはCo薄膜、非
磁性金属体領域12bはCu薄膜であり、Co/Cu金
属超格子薄膜である。Cu薄膜の膜厚dが変化すると、
複数のCo薄膜のそれぞれの磁性を示す電子間に働く相
互作用が変化し(磁性を示す電子のスピン方向が変化
し)、Co薄膜の磁性を示す電子の安定なスピン方向の
配列状態が変化する。隣接し配列されるCo薄膜のそれ
ぞれの磁性を示す電子間にフェロー(ferro )的相互作
用が働くと、それぞれの電子のスピン方向は一致し平行
に揃う。逆に、磁性を示す電子間にアンチフェロー(an
ti ferro)的相互作用が働くと、それぞれの電子のスピ
ン方向は反平行に揃う。
【0043】図4(B)はCo薄膜の磁性を示す電子間
に働く相互作用を実験的に求めた結果を示す図である。
図4(B)中、横軸はCu薄膜の膜厚(nm)を示し、
縦軸は磁気抵抗レシオ(%)を示す。大きな抵抗変化
(GMR効果)を実現するにはCo薄膜の磁性を示す電
子のスピン方向が反平行状態の配列(AF:anti ferr
o)が望ましい。従って、同図4(B)に示すように、
Cu薄膜の膜厚は約1. 0nm、2. 0nm、3. 5n
mのいずれかに設定することが望ましい。
【0044】<ポテンシャルバリア領域のバリア形状>
本実施形態に係るスピンバルブトランジスタにおいて、
第2動作領域13のポテンシャルバリア領域13aは非
磁性金属体領域13bのアップスピン偏極電子eupを選
択的に第1動作領域12に注入するとともにダウンスピ
ン偏極電子edw onの注入を制限する機能を備える。本発
明者が行った実験結果に基づき理想的なポテンシャルバ
リア領域13aの形状について説明する。図5はポテン
シャルパリア領域13aの形状を示す部分的なエネルギ
バンド構造図である。実験には、ポテンシャルバリア領
域13aを形成する強磁性絶縁体領域にEuSが使用さ
れ、Au/EuS/Al接合構造についてポテンシャル
パリア領域13aの理想的な形状を求めた。図5中、符
号φ1 はAu/EuS接合界面間の障壁高さの平均値、
符号φ2 はEuS/Al接合界面の障壁高さの平均値、
符号Wはポテンシャルバリア領域13aの障壁幅であ
る。ポテンシャルバリア領域13aの障壁高さの平均φ
は(φ1 +φ2 )/2で表わされる。実験結果によれ
ば、障壁幅Wが17. 6〓に対して、アップスピン偏極
電子eupを選択的に注入するために必要な障壁高さの平
均φは 1. 97eV、ダウンスピン偏極電子edwon
注入を阻止するために必要な障壁高さの平均φは 2.
33eVである。また、障壁幅Wが18. 9〓に対し
て、アップスピン偏極電子eupを選択的に注入するため
に必要な障壁高さの平均φは 1. 84eV、ダウンス
ピン偏極電子edwonの注入を阻止するために必要な障壁
高さの平均φは 2. 20eVである。このような実験
結果から、強磁性絶縁体領域としてEuSが使用された
ポテンシャルバリア領域13aにおいては、アップスピ
ン偏極電子eupを選択的に注入しかつダウンスピン偏極
電子edwonの注入を阻止することを目的とした場合、障
壁幅Wは0. 1−5. 0nmの範囲に設定する。
【0045】実施形態2 本実施形態2は、スピンバルブトランジスタの第1動作
領域にMn酸化物を使用した、本発明の他の実施形態で
ある。本実施形態に係るスピンバルブトランジスタは、
第1動作領域12にペロブスカイト結晶構造を有するM
n酸化物が使用される。前述の実施形態1において説明
した複数の強磁性金属体領域12aと複数の非磁性金属
体領域12bとを交互に配列した人工的な金属超格子薄
膜に対して、Mn酸化物の結晶構造自体にGMR効果が
ある。本実施形態においてMn酸化物にはLa1-x Sr
x MnO3 (0. 16<x<0. 50)が使用される。
また、Mn酸化物としては他にPr1-x Cax Mn
3 、Nd0.5 Sr0.5 MnO3 、(La0.068 Sn
0.937 1/2 Sr1/2 MnO3 のいずれかが使用でき
る。
【0046】第1動作領域12がペロブスカイト結晶構
造で形成される場合には、基本的に同様なペロブスカイ
ト結晶構造を有する結晶体で第2動作領域13、第3動
作領域11がいずれも形成できる。製造プロセス的な表
現をすれば、同様なペロブスカイト結晶構造を備えてい
れば、同一のエピタキシャル成長室において連続結晶成
長が実現できる。本実施形態において、第2動作領域1
3は、いずれもペロブスカイト結晶構造を有するLa
1-x Sr1-x TiO3 からなる半導体領域13bと、L
1-x Srx MnO3 からなる強磁性絶縁体領域のポテ
ンシャルバリア領域13aとで形成される。半導体領域
13bであるLa1-x Sr1-x TiO3 は互いに異なる
スピン偏極方向を持つ複数のスピン偏極電子を第1動作
領域12に注入する。ポテンシャルバリア領域13aで
あるLa1-x Srx MnO3 は前記半導体領域13bか
ら第1動作領域12にアップスピン偏極電子eupを選択
的に注入する。第3動作領域11にはペロブスカイト結
晶構造を有するLa1-x Srx TiO3 からなる半導体
領域が使用される。
【0047】図6はLa1-x Srx MnO3 の結晶の電
子相図である。図6中、横軸は組成比xの割合を示し、
縦軸は温度(K)を示す。符号TF は反強磁性転移点、
Cは強磁性転移点、PIは常磁性絶縁体、PMは常磁
性金属体、CIはスピンキャント絶縁体、FIは強磁性
絶縁体、FMは強磁性金属体である。ポテンシャルバリ
ア領域13aとしてのLa1-x Srx MnO3 を使用す
る場合には強磁性絶縁体FIの領域が使用される。すな
わち、La1-x Srx MnO3 のxの組成化は0. 09
−0. 16の範囲に設定される。
【0048】このように構成されるスピンバルブトラン
ジスタにおいては、第3動作領域11、第1動作領域1
2及び第2動作領域13(半導体領域13b及びポテン
シャルバリア領域13a)を含むすべての動作領域が同
様なペロブスカイト結晶構造において形成できる。
【0049】実施形態3 本実施形態3は、前述の実施形態1に係るスピンバルブ
トランジスタにおいて特定方向のスピン偏極方向を持つ
スピン偏極電子を選択的に第1動作領域に注入する第2
動作領域の構造を代えた、本発明の他の実施形態であ
る。図7は本発明の実施形態3に係る磁気抵抗デバイス
に搭載されたスピンバルブトランジスタの断面構造図、
図8(A)は前記スピンバルブトランジスタのエネルギ
バンド構造図である。図7及び図8(A)に示すよう
に、本実施形態に係るスピンバルブトランジスタの第2
動作領域13は強磁性金属体領域13d及びポテンシャ
ルバリア領域13cで形成される。強磁性金属体領域1
3dは特定方向のスピン偏極方向を持つスピン偏極電
子、具体的にはアップスピン偏極電子eupを選択的に前
記第1動作領域に注入する。図8(B)は強磁性金属体
領域13dの状態密度図である。図8(B)に示すよう
に、強磁性金属体領域13dはフェルミ準位面上の動け
る電子がアップスピン偏極電子eup、ダウンスピン偏極
電子edwonのいずれか一方に限られる。すなわち、一方
のスピン偏極電子(本実施形態においてはアップスピン
偏極電子eupに限られる)だけを第1動作領域12に選
択的に注入できる。強磁性金属体領域13dはFe、C
o、Niのいずれかで形成される。ポテンシャルバリア
領域13cは強磁性金属体領域13dから第1動作領域
12に注入されるアップスピン偏極電子eupの注入量を
制御する。すなわち、ポテンシャルバリア領域13cは
単なるアップスピン偏極電子eupの注入量を制御する障
壁として使用されるので、ポテンシャルバリア領域13
cを形成する材料の選択範囲が拡張できる。ポテンシャ
ルバリア領域13cは、例えばMgO、Al2 3 のい
ずかの非磁性絶縁体領域、又はEuS、EuOのいずれ
かの強磁性絶縁体領域で形成される。
【0050】実施形態4 本実施形態4は、前述の実施形態1に係るスピンバルブ
トランジスタにおいて第1動作領域12の強磁性金属体
領域2aの膜表面に平行に電流を流すCIP(Current
in Plane)構造が採用された、本発明の他の実施形態
である。図9(A)、図9(B)はそれぞれ本発明の実
施形態4に係る磁気抵抗デバイスに搭載されたスピンバ
ルブトランジスタの断面構造図である。
【0051】図9(A)に示すスピンバルブトランジス
タは、第3動作領域11と第2動作領域13との間に第
1動作領域12が形成され、この第1動作領域12の金
属人工格子薄膜を形成する複数の強磁性金属体領域12
aと複数の非磁性金属体領域12bとがそれぞれ水平方
向に交互に配列される。電流は強磁性金属体領域12a
の表面に平行において強磁性金属体領域12a内部に流
れる。
【0052】図9(B)に示すスピンバルブトランジス
タは、基板14の表面上に島領域の形状で互いに離間し
て形成された第3動作領域13eと第2動作領域13と
を備え、この第3動作領域13eと第2動作領域13と
間に第1動作領域12が形成される。
【0053】それぞれのCIP構造を採用するスピンバ
ルブトランジスタにおいては、前述の実施形態1に係る
CPP構造を採用するスピンバルブトランジスタのGM
R効果に比べて若干は劣るものの、同様にGMR効果が
改善できる。
【0054】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、GMR
効果を有する動作領域を持つトランジスタを備えた磁気
抵抗デバイスにおいて、前記動作領域の磁気抵抗の変化
率を向上できる。さらに、本発明は、前記磁気抵抗デバ
イスを利用する磁場センサにおいて、感度を向上でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態1に係る磁気抵抗デバイス
に搭載されたスピンバルブトランジスタの断面構造図で
ある。
【図2】 前記スピンバルブトランジスタのエネルギバ
ンド構造図である。
【図3】(A)は従来技術に係るスピンバルブトランジ
スタの抵抗変化を説明するベース領域の概略構成図、
(B)、(C)はそれぞれ本実施形態に係るスピンバル
ブトランジスタの抵抗変化を説明する第1動作領域の概
略構成図である。
【図4】(A)は第1動作領域の強磁性金属体領域と非
磁性金属体領域との配列状態を示す概略構成図、(B)
はCo薄膜の磁性を示す電子間に働く相互作用を実験的
に求めた結果を示す図である。
【図5】 ポテンシャルパリア領域の形状を示す部分的
なエネルギバンド構造図である。
【図6】 本発明の実施形態2に係る磁気抵抗デバイス
に搭載されたスピンバルブトランジスタの動作領域に使
用されるLaSrMnOの結晶の電子相図である。
【図7】 本発明の実施形態3に係る磁気抵抗デバイス
に搭載されたスピンバルブトランジスタの断面構造図で
ある。
【図8】(A)は前記スピンバルブトランジスタのエネ
ルギバンド構造図、(B)は強磁性金属体領域の状態密
度図である。
【図9】(A)、(B)はそれぞれ本発明の実施形態4
に係る磁気抵抗デバイスに搭載されたスピンバルブトラ
ンジスタの断面構造図である。
【図10】 従来技術に係るスピンバルブトランジスタ
の断面構造図である。
【図11】 前記スピンバルブトランジスタのエネルギ
バンド構造図である。
【符号の説明】
11、13e 第3動作領域、12 第1動作領域、1
2a、13d 強磁性金属体領域、12b 非磁性金属
体領域、13 第2動作領域、13a、13cポテンシ
ャルバリア領域、13b 非磁性金属体領域又は半導体
領域。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気抵抗を有する第1動作領域と、 前記第1動作領域の磁性を示す電子のスピン方向の一方
    の方向にスピン偏極方向を持つスピン偏極電子を選択的
    に前記第1動作領域に注入する第2動作領域と、 を備えたことを特徴とする磁気抵抗デバイス。
  2. 【請求項2】 前記請求項1に記載された磁気抵抗デバ
    イスにおいて、 前記第1動作領域は、複数の強磁性金属体領域、複数の
    非磁性金属体領域のそれぞれを交互に配列した金属超格
    子薄膜で形成されたことを特徴とする磁気抵抗デバイ
    ス。
  3. 【請求項3】 前記請求項2に記載された磁気抵抗デバ
    イスにおいて、 前記第1動作領域の強磁性金属体領域/非磁性金属体領
    域は、Co/Cu、Co/Ag、Fe/Cu、Fe/C
    r、Ni/Ag、NiFe/Cuのいずれかで形成され
    ることを特徴とする磁気抵抗デバイス。
  4. 【請求項4】 前記請求項3に記載された磁気抵抗デバ
    イスにおいて、 前記第2動作領域は、 互いに異なるスピン偏極方向を持つ複数のスピン偏極電
    子を注入する非磁性金属体領域又は半導体領域と、 前記非磁性金属体領域又は半導体領域から第1動作領域
    に前記特定方向のスピン偏極方向を持つスピン偏極電子
    を選択的に注入するポテンシャルバリア領域と、 を備えたことを特徴とする磁気抵抗デバイス。
  5. 【請求項5】 前記請求項4に記載された磁気抵抗デバ
    イスにおいて、 前記第2動作領域のポテンシャルバリア領域は、強磁性
    絶縁体領域又は強磁性半導体領域で形成されたことを特
    徴とする磁気抵抗デバイス。
  6. 【請求項6】 前記請求項5に記載された磁気抵抗デバ
    イスにおいて、 前記第2動作領域の非磁性金属体領域はAu、Ag、A
    l、Cuのいずれかで形成され、 前記ポテンシャルバリア領域の強磁性絶縁体領域はEu
    S、EuOのいずれか、強磁性半導体領域はEuB6
    形成されることを特徴とする磁気抵抗デバイス。
  7. 【請求項7】 前記請求項1に記載された磁気抵抗デバ
    イスにおいて、 前記第1動作領域は、La1-x Srx MnO3 (0. 1
    6<x<0. 50)、Pr1-x Cax MnO3 、Nd
    0.5 Sr0.5 MnO3 、(La0.068 Sn0.9371/2
    Sr1/2 MnO3 のいずれかのペロブスカイト結晶構造
    を有するMn酸化物で形成され、 前記第2動作領域は、互いに異なるスピン偏極方向を持
    つ複数のスピン偏極電子を前記第1動作領域に注入する
    La1-x Sr1-x TiO3 からなる半導体領域と、前記
    半導体領域から第1動作領域に前記特定方向のスピン偏
    極電子を選択的に注入するLa1-x Srx MnO
    3 (0. 09<x<0. 16)からなる強磁性絶縁体領
    域のポテンシャルバリア領域とで形成されることを特徴
    とする磁気抵抗デバイス。
  8. 【請求項8】 前記請求項3に記載された磁気抵抗デバ
    イスにおいて、 前記第2動作領域は、 特定方向のスピン偏極方向を持つスピン偏極電子を選択
    的に前記第1動作領域に注入する強磁性金属体領域と、 前記強磁性金属体領域から第1動作領域に注入される前
    記特定方向のスピン偏極電子の注入量を制御するポテン
    シャルバリア領域と、 を備えたことを特徴とする磁気抵抗デバイス。
  9. 【請求項9】 前記請求項8に記載された磁気抵抗デバ
    イスにおいて、 前記第2動作領域の強磁性金属体領域はFe、Co、N
    iのいずれかで形成され、 前記ポテンシャルバリア領域はMgO、Al2 3 のい
    ずかの非磁性絶縁体領域、又はEuS、EuOのいずれ
    かの強磁性絶縁体領域で形成されることを特徴とする磁
    気抵抗デバイス。
  10. 【請求項10】 前記請求項2又は請求項8に記載され
    た磁気抵抗デバイスにおいて、 前記第1動作領域には前記第2動作領域から第1動作領
    域に注入されたスピン偏極電子を収集する第3動作領域
    が接合されることを特徴とする磁気抵抗デバイス。
  11. 【請求項11】 前記請求項10に記載された磁気抵抗
    デバイスにおいて、 前記第3動作領域はSi、GaAs、InAs、La
    1-x Srx MnO3 のいずれかの半導体領域で形成され
    ることを特徴とする磁気抵抗デバイス。
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