JPH09304795A - 液晶表示素子 - Google Patents

液晶表示素子

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JPH09304795A
JPH09304795A JP9059304A JP5930497A JPH09304795A JP H09304795 A JPH09304795 A JP H09304795A JP 9059304 A JP9059304 A JP 9059304A JP 5930497 A JP5930497 A JP 5930497A JP H09304795 A JPH09304795 A JP H09304795A
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JP
Japan
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liquid crystal
ferrielectric
voltage
state
glass substrate
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Application number
JP9059304A
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English (en)
Inventor
Masahiro Kino
正博 城野
Takahiro Matsumoto
隆宏 松本
Tomoyuki Yui
知之 油井
Maki Ito
真樹 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Original Assignee
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 連続的に階調表示できることを特徴とするア
クティブマトリックス液晶表示素子を提供する。 【解決手段】 絶縁膜、配向膜からなる絶縁層が形成さ
れた2枚のガラス基板のうち、第1のガラス基板に画素
電極と画素電極に接続されたアクティブ素子がマトリッ
クス状に配置されており、第2のガラス基板に前記画素
電極に対向する共通電極が設置され、ガラス基板の間隙
を1〜3μmとし、この間隙に層構造を持つ液晶が挟持
され、この液晶は前記画素電極と共通電極に電圧を印加
した際、電場の作用により、2つのフェリ誘電相の共存
状態と2つの強誘電状態およびその中間状態で変化する
ことができるフェリ誘電性液晶或いはフェリ誘電性液晶
組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フェリ誘電性液晶また
はフェリ誘電性液晶組成物を画素電極に接続された薄膜
トランジスタあるいはダイオード等のアクティブ素子を
使用して、各画素毎に駆動するアクティブマトリクス型
の液晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示素子(LCD) は、従来のブラウン
管ディスプレイに代わるフラットパネルディスプレイと
して、既にポータブル機器を中心に普及しつつある。最
近のパーソナルコンピュータやワードプロセッサの機能
拡大、および処理情報の大量化にともない、LCD にもよ
り高い機能、即ち大表示容量化、フルカラー表示、広視
野角、高速応答、高コントラスト化等が要求されてい
る。この様な要求に応える液晶表示方式(液晶駆動方
式)として、画面の各画素毎に薄膜トランジスタ(TFT)
あるいはダイオード(MIM) を形成し、各画素毎に独立し
て液晶を駆動する方式であるアクディブマトリクス(AM)
表示素子が提案実施されている。この表示方式は、製造
歩留まりが低いため低コスト化が困難である、大画面化
が困難である等の問題はあるものの表示品位の高さによ
り従来主流であったSTN表示方式を凌駕し、CRTに
迫る勢いとなっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらこのよう
なAM表示素子において、液晶材料としてTN(ツイス
テッドネマチック)液晶を用いているため、次のような
問題が生じている。 (1) TN液晶はネマチック液晶であり、応答速度が一般
的に遅く(数十ms)、動画表示を行うとき良好な画質
が得られない。 (2) 液晶分子のねじれ状態(ツイスト配向)を利用して
表示するため、視野角が狭い。特に階調表示を行うと、
視野角が急激に狭くなる。すなわち、ディスプレイを見
る角度によって、コントラスト比、色などが変わってし
まう。
【0004】これらの問題を解決するため、TN液晶に
代えて、強誘電性液晶や反強誘電性液晶を採用したAM
パネルの提案も近年行われているが(特開平5-249502、
同5-150257、同6-95080 等)、次のような問題点があり
実用化には至っていない。 (1) 強誘電性液晶は自発分極を有しているが、自発分極
が常に存在するため画面の焼き付きが起こりやすく駆動
が困難となる。また、一般的な表示モードである表面安
定化型強誘電性液晶素子の場合は、原理的には黒、白の
2値表示しかできないため、階調表示はきわめて困難で
ある。階調表示を行うとするときには特別な工夫が必要
であり(例えば単安定を使用した強誘電性液晶素子;Ke
iichi NITO et.al.,SID'94、Preprint, p48 )、極めて
高度な技術開発が必要とされる。 (2) 反強誘電性液晶は、永久自発分極が存在しないため
上記(1)で述べられている焼き付の問題は回避されて
いる。しかしながら反強誘電性液晶は一般にしきい値電
圧が大きく、低電圧駆動は困難である。また、光学応答
に履歴(ヒステリシス)があるため階調表示が困難であ
るなどの問題を有している。
【0005】本発明の目的は、以上のような問題点を改
善し、より高画質のアクティブマトリックス液晶素子を
実現する事にあるが、フェリ誘電性液晶を各画素毎に薄
膜トランジスタあるいはダイオード等の非線形能動素子
を設置した基板間に狭持することによって目的を達成す
るものである。
【0006】フェリ誘電相(SCγ* 相)は、1989年、4-
(4−オクチルオキシフェニル)安息香酸-4-(1-メチルヘ
プチロキシカルボニル)フェニル(略称 MHPOBC)におい
て初めて発見された(Japanese Journal of Applied Phy
sics, Vol.29, No.1, 1990,pp.L131-137)。MHPOBCの構
造式ならびに相系列を次に示した。 構造式 : C8H17-O-Ph-Ph-COO-Ph-COO-C*H(CH3)C6H13 但し、アルキル基は直鎖、-Ph-は1,4-フェニレン基、C*
は不斉炭素を表す。 相系列 : Cr(30)SIA*(65)SCA*(118)SCγ*(119)SC*(12
1)SCα*(122)SA(147)I 但し、Crは結晶相、SIA*は反強誘電性のスメクチックI
相、SCA*はカイラルスメクチックCA相(反強誘電
相)、SCγ* はカイラルスメクチックCγ相(フェリ誘
電相)、SC* はカイラルスメクチックC相(強誘電
相)、SCα* はカイラルスメクチックCα相、SAはスメ
クチックA相、()内は相転移温度(℃)を示す。
【0007】コノスコープ像の観察は、フェリ誘電相の
確認に極めて有力な手段である。該MHPOBC について、
強誘電相(SC*) 、フェリ誘電相 (SCγ*)、反強誘電相(S
CA*)のコノスコープ像 (写真) を図示したものを図2に
示した。なお、図2には、後記の実施例1に用いた液晶
A のコノスコープ像も同様に示した。コノスコープ像の
観察は、文献(Japanese Journal of Applied Physics,
Vol.31, No. 6B, 1992, pp.L793-796)にしたがって行っ
た。図1にコノスコープ像の観察に用いたセルの構造を
示した。
【0008】図2のA-1 は 120℃で印加電圧 0 (リファ
ランス) 、A-2 は印加電圧 80Vで観察した強誘電相のコ
ノスコープ像である。図2のB-2 は 118.5℃で印加電圧
50Vで観察したフェリ誘電相のコノスコープ像である。
図2のC-2 は 117℃で印加電圧500Vで観察した反強誘電
相のコノスコープ像である。図2のD-2 は実施例1の液
晶A を69℃で印加電圧 2V で観察したコノスコープ像で
ある。上記において、電界の方向は図の上向きである。
【0009】図2において、B-2, C-2およびD-2 の測定
においても、各温度において電界無印加時のコノスコー
プ像、その後、電界印加時のコノスコープ像をとった。
電界無印加時の場合、いずれも、分子の長軸が層法線か
ら傾いており、かつ、螺旋構造を取っているので、光軸
が層法線に平行な1軸性物質となり、1軸性のコノスコ
ープ像(A-1) と実質的に同一のものが観察された。
【0010】これに対して、適度な電界を印加した状態
が、図2の A-2, B-2, C-2およびD-2 であり、各相独特
のコノスコープ像が観察される。図2の A-2は、光軸が
電界と垂直な方向に2本あり、かつ同方向に像の中心が
シフトしている。図2の B-2は、光軸が電界と平行な方
向に2本あり、像の中心は A-2と同じように電界と垂直
な方向にシフトしている。図2の C-2は、 A-2と同じよ
うに光軸が電界と垂直な方向に2本あるが、像の中心は
シフトしていない。図2の D-2は、光軸が電界と平行な
方向に2本あり、像の中心は電界と垂直な方向にシフト
している。このコノスコープ像の特徴は、B-2 のフェリ
誘電相のコノスコープ相と同一であり、フェリ誘電相と
認定される。
【0011】次に、液晶セルに封入した状態におけるフ
ェリ誘電相の印加電圧に対する挙動を説明するために、
図3にフェリ誘電相における分子配列状態を、図4にフ
ェリ誘電相の三角波に対する光学応答を示した。フェリ
誘電相では、図3の FI(+)あるいは FI(-)の分子配列を
している。電場のない状態 (印加電圧 0) では、 FI(+)
と FI(-)は等価であるので、共存していると考えられ
る。従って、平均的な光軸は層法線方向となり、図3に
示した偏光板の条件下では暗状態となる。この状態は図
2において電圧0で透過光強度が0のところに相当す
る。また、 FI(+)およびFI(-) は、分子配列状態から明
らかなようにそれぞれ自発分極を有するが、これらの共
存状態では自発分極を打ち消し合うため、平均的な自発
分極は零となる。このことから、フェリ誘電相において
は、反強誘電相と同様に強誘電相に見られる焼き付き現
象から逃れられる。
【0012】フェリ誘電相に電圧を印加していくとある
電圧で、層法線方向と強誘電状態の光軸方向の間に消光
位を持つ領域(ドメイン)が一つ現れる。このことは、
この領域が強誘電状態ほどではないが層法線方向より傾
いた方向に光軸を有していることを示している。この中
間的な状態が FI(+)またはFI(-) と考えられる。尚、こ
の場合、図4において電圧 0〜4 Vの間では、透過光強
度の変化は連続的ではなく階段状の透過光強度変化が観
測されるはずである。ところが、図4のように連続的な
透過光強度の変化が観測される。これは、 FI(±) から
FO(±)へ変化するときのしきい値が急峻でないこと、
すなわち、しきい値を示さないことによると考えられ
る。
【0013】さらに、フェリ誘電相に電場を印加する
と、電場の向きに応じ安定な状態である強誘電相 FO(+)
またはFO(-) に相転移する。すなわち、図4において透
過光強度が飽和状態(左右の平坦部)となったものが F
O(+)またはFO(-) である。図3に示した偏光板の条件下
では、両強誘電状態は明状態となる。以上のように、フ
ェリ誘電相では、 FI(+)と FI(-)の共存状態を暗、強誘
電状態 FO(+)およびFO(-) を明として使用できる。従来
の強誘電相は FO(+)とFO(-) との間のスイッチングであ
ったのに対し、フェリ誘電相では FO(+), FI(+), FI(-)
および FO(-)の4状態間でスイッチングをするという大
きな特徴を有している。
【0014】これらの液晶相による表示原理はいずれも
液晶の複屈折性を利用したものであるが、視角依存性の
小さな表示素子の作製が可能である。フェリ誘電相では
図4に示されているように、一般的にフェリ誘電状態か
ら強誘電状態へ変化する電圧と、強誘電状態からフェリ
誘電状態へ変化する電圧の差が小さい即ちヒステリシス
の幅が狭い傾向が強くAM駆動及びAM駆動における階
調表示に適した性質を持っている。また、フェリ誘電相
では、電圧による変化において、フェリ誘電状態から強
誘電状態へ変化する電圧 (以下「スイッチング電圧」と
記す) は、反強誘電性液晶に比べて小さい傾向を有し、
この点からもフェリ誘電相はAM駆動に適しているとい
える。
【0015】しかしながら、ヒステリシスが小さく、十
分に小さいスイッチング電圧とコントラストに大きな影
響をもたらす印加電圧0における良好な暗状態などを得
るためには、フェリ誘電相の本質的に有する特性のみで
は十分ではなく、AM駆動用の液晶セルの最適化が必要
である。本発明はフェリ誘電相をAM駆動する為の、好
適なAM駆動素子の形成に関するものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、絶縁膜、配向
膜からなる絶縁層が形成された2枚のガラス基板のう
ち、第1のガラス基板に画素電極と画素電極に接続され
たアクティブ素子がマトリックス状に配置されており、
第2のガラス基板に前記画素電極に対向する共通電極が
設置され、該第1のガラス基板と第2のガラス基板の間
隙を1〜3μmとし、この間隙に層構造を持つ液晶が挟
持され、この液晶は前記画素電極と共通電極に電圧を印
加した際、電場の作用により、2つのフェリ誘電相の共
存状態と2つの強誘電状態およびその中間状態で変化す
ることができるフェリ誘電性液晶或いはフェリ誘電性液
晶組成物であり、該第1のガラス基板と第2のガラス基
板に、直交する偏光膜が前記2つの強誘電状態が明とな
るごとく配置され、前記画素電極と共通電極との間に印
加する電圧を制御することによって、フェリ誘電状態か
ら強誘電状態への変化の際と、強誘電状態からフェリ誘
電状態への変化の際との履歴が小さく、しきい値がなく
電圧によって連続的に階調表示できることを特徴とする
アクティブマトリックス液晶表示素子である。
【0017】該第1のガラス基板と第2のガラス基板の
間隙(セルギャップ)は、印加電圧0における光漏れ
と、履歴に関係する。印加電圧0における光漏れは、基
板間隙が広くなるほど大きくなり、また、履歴も大きく
なる傾向を有する。なお、印加電圧0における光漏れの
大小は、コントラストに大きく影響し光漏れは小さいほ
ど好ましい。これらの点から、基板間隙は1〜3μm、
好適には1〜2μmが適当である。
【0018】本発明において、基板に形成する絶縁層の
静電容量の大小は、履歴の大小、並びに、2つのフェリ
誘電相の共存状態から強誘電状態へ変化する際の電圧、
強誘電状態から2つのフェリ誘電相の共存状態へ変化す
る際の電圧(以下「スイッチング電圧」と記す)に関係
する。履歴は絶縁層の静電容量が大きい場合に大きく、
小さくなるにしたがって、小さくなる傾向を有する。一
方、スイッチング電圧は、絶縁層の静電容量が小さくな
るほど(厚くなるほど)大きくなる傾向を有する。
【0019】絶縁層の静電容量は次の式で表される。 C=ε・ε0 ・S/d C:静電容量、ε:絶縁層の誘電率、ε0 :真空の誘電
率、S:面積、d:絶縁層の膜厚をそれぞれ表す。従っ
て、絶縁層の静電容量は、次式で示されるパラメーター
Pで評価することが出来る。 P=d/ε 履歴、スイッチング電圧の両面を考慮して好ましいPの
範囲は10〜24nm、もっとも好ましくは13〜20である。
【0020】また、基板に塗布される絶縁膜の種類とし
ては、通常用いられている種類のものでよく、SiO2、Zr
O2、Al2O3 等を用いることが出来る。また、絶縁膜、配
向膜からなる絶縁層の厚さが 60〜90nmであることが好
ましい。そして、特に実用素子とするためには、より低
い電圧で駆動できることが必須である。この点から、該
フェリ誘電性液晶またはフェリ誘電性液晶組成物が、2
つの強誘電状態の光透過率を 100%、光透過率が最低の
ときの光透過率を0%としたときに、2つのフェリ誘電
相の共存状態から強誘電状態へ変化する際の光透過率
90%における電圧(以下「U90」と記す) 、並びに強誘
電状態から2つのフェリ誘電相の共存状態へ変化する際
の光透過率 90%における電圧(以下「D90」と記す)
が 5V 以下であり、また、このときの電圧の差が 0.6 V
以下であることが好ましい。
【0021】本発明において用いるフェリ誘電性液晶ま
たはフェリ誘電性液晶組成物としては、下記一般式(1)
で表されるフェリ誘電性液晶またはそれを含むフェリ誘
電性液晶組成物が好ましい。そして、該フェリ誘電性液
晶またはフェリ誘電性液晶組成物は、ラセンピッチが 1
μm以上、より好ましくは 1.5μm以上である。
【0022】
【化2】 (式中のmは 9〜12、pは 2〜4 、nは 2〜4 、X, Yは
Hまたはいずれか一方がF原子である。)
【0023】
【発明の効果】フェリ誘電性液晶またはフェリ誘電性液
晶組成物を充填したAM駆動液晶表示素子において、適
切な絶縁膜の種類、膜厚、セルギャップ(=基板間の間
隙) を設定することにより高速応答性、視野角に優れた
AM駆動液晶素子を実現できる。
【0024】
【実施例】以下、本発明を実施例にて更に詳細に説明す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。 参考例1 フェリ誘電相を有する液晶として、4-(4−オクチルフェ
ニル)安息香酸-4-(1-メチルヘプチロキシカルボニル)
フェニルを用いた。この化合物の構造式ならびに相転移
温度(℃)は次の通りである。尚、この化合物がフェリ
誘電相を示すことは(Japanese Journal of Applied Phy
sics, Vol.31, No.6B, 1992, pp.L793-796) に記載され
ている。
【0025】 構造式 : C8H17-Ph-Ph-COO-Ph-COO-C*H(CH3)C6H13 但し、アルキル基は直鎖、Phは1,4-フェニレン基、C*は
不斉炭素を表す。 相系列 : I(109.0)SA(76.3)SCα*(72.1)AF*(66.4)SC
γ*(64.9)SCA* ・・ 但し、Iは等方相、SAはスメクチックA相、SCα* はカ
イラルスメクチックCα相、AF* はSCA*とは分子配列が
異なる反強誘電相、SCγ* はカイラルスメクチックCγ
相(フェリ誘電相)、SCA*はカイラルスメクチックCA相
(反強誘電相)を表し、括弧内の数値は降温時の転移温
度 (℃) である。
【0026】平行配向セルを用いフェリ誘電相における
液晶の電気光学応答を調べた。セルは以下の手順で作製
した。ITO 電極付きのガラス基板をポリイミドコーティ
ング後(膜厚約30nm、誘電率3.2)、一対のガラス基板の
片方のみをラビング処理した。粒系 1.6μmのスペーサ
ーを介し、一対のガラス基板を貼り合わせテストセルと
した。このセルの絶縁層の静電容量を示すパラメーター
Pは 9.4nmである。セル厚 (基板間の間隙) は2μmで
あった。
【0027】液晶が等方相となる温度まで加熱し、毛細
管現象によりテストセル中に前記液晶を注入した。その
後、1℃/分の速度で徐冷し液晶を平行配向させ、更に
65.5℃(フェリ誘電相)まで冷却した。テストセルに±
10V,30 Hz の三角波電圧を印加し駆動を行い、透過光
変化を調べた。結果を図2に示した。透過光強度が90%
となる電圧は 2.5Vと小さく、光学応答のヒステリシス
も比較的小さかった。以上より、フェリ誘電性液晶はA
M駆動に適した材料であることが分かる。
【0028】参考例2、3 参考例1において、液晶化合物として下記の化学構造式
で示される強誘電性液晶(B) 、反強誘電性液晶(C) をそ
れぞれ用いる他は参考例1と同様にして、光学応答履歴
を調べた。結果を図5、6にそれぞれ示した。 液晶B : C8H17-O-Ph-Ph-COO-Ph(3F)-COO-C*H(CF3)
(CH2)3OC2H5 液晶C : C9H19-O-Ph-Ph-COO-Ph(3F)-COO-C*H(CF3)
(CH2)5OC2H5 Phは1,4-フェニレン基、Ph(3F)は3位にF置換された1,
4-フェニレン基、C*は不斉炭素を示す。強誘電性液晶
(B) は、W字型履歴を示し、かつ電圧0における光透過
量が大きく、また、反強誘電性液晶(C) は、明白なヒス
テリシスを示し、いずれもAM駆動には適さない光学応
答性であった。
【0029】実施例1、2および比較例1、2 ITO 電極付きのガラス基板の両面にそれぞれ絶縁膜とし
てSiO2を 20nm(実施例1)、 40nm(実施例2)、 70nm(比較
例1)および100nm(比較例2)の膜厚でそれぞれコーティン
グし、更に両面にポリイミドコーティング後(膜厚約30
nm、誘電率誘電率 3.2) 、一対のガラス基板の片方のみ
をラビング処理した。このセルの絶縁層の静電容量を示
すパラメーターPは 14.6nm(実施例1)、 19.9nm(実施例
2)、27.8nm(比較例1)および 35.7nm(比較例2)であっ
た。
【0030】この液晶セルに、次の化学構造式で示され
るフェリ誘電性液晶 (液晶A)を充填し、50℃で参考例1
と同様にして光学応答を調べた(但し、印加電圧は25
V、周波数 1Hzとした)。結果を図7〜10に示した。 液晶A : C9H19-O-Ph-Ph-COO-Ph(3F)-COO-C*H(CF3)
(CH2)3OC2H5 Phは1,4-フェニレン基、Ph(3F)は3位にF置換された1,
4-フェニレン基、C*は不斉炭素を示す。 相系列 : Cr(34)SCγ*(101)SCα*(103)I 但し、括弧内の数値は転移温度 (℃) 、Crは結晶相、SC
γ* はカイラルスメクチックCγ相(フェリ誘電相)、
SCα* はカイラルスメクチックCα相、Iは等方相であ
る。
【0031】また、この液晶A の螺旋ピッチを測定した
結果、 1.7μmであった。螺旋ピッチの測定は、自己保
持膜(8mm×1.5mm の貫通孔を有するガラスプレートの
該貫通孔に形成した膜) を用い、温度35℃において、分
光器で吸収スペクトル (螺旋構造による選択反射) を測
定し、次式から求めた。 λ=P・n (λ:選択反射波長、P:ピッチ、n:平
均屈折率(約 1.5)
【0032】図7 (実施例1) 及び図8 (実施例2) で
は、2つの強誘電状態の光透過率を100%、光透過率が
最低のときの光透過率を0%としたときに、2つのフェ
リ誘電相の共存状態から強誘電状態へ変化する際の光透
過率 90%における電圧(U90) 、並びに強誘電状態か
ら2つのフェリ誘電相の共存状態へ変化する際の光透過
率 90%における電圧(D90) が 5V 以下であり、特に
図7 (実施例1) は2V程度と極めて小さく、また、図8
(実施例2) では、U90, D90の電圧差も殆どなく、A
M駆動に最適な光学応答性を示した。これに対して、図
9 (比較例1) では、U90, D90の電圧が高く、さらに
図10 (比較例2) では、その電圧差も大きくなり、実
用上問題であった。
【0033】実施例3、4 絶縁膜であるSiO2の膜厚を40nmとし、セルギャップを1
μm(実施例3)、3μm(実施例4)として実施例1
と同様にして光学応答を調べた。結果を図11、図12
に示した。いずれも、U90, D90は5V以下であり、電
圧差も 0.6V 以下と許容できるものであった。
【0034】比較例3、4 絶縁膜であるSiO2の膜厚を40nmとし、セルギャップを5
μm(比較例3)、10μm(比較例4)として光学応答
を調べた。結果を図13、図14に示した。U90, D90
はが大きくなるとともに、履歴が生じ、また、印加電圧
0における光漏れが極めて増大する傾向を示した。
【0035】実施例5〜7 絶縁膜の種類をSiO2、ZrO2、Al2O3 とし、Pの値が概ね
同じになるように膜厚を設定して、しきい値電圧を調べ
た結果を下記表1に示した。いずれの絶縁膜でもU90,
D90は低く、又、履歴の幅も小さかった。
【0036】
【表1】 実施例 絶縁膜 誘電率 絶縁層 P U90 D90 No. の種類 (ε) 厚(nm) (V/μm) 5 SiO2 3.8 40 19.9 1.9 1.8 6 ZrO2 10 100 19.4 1.6 1.0 7 Al2O3 13 100 17.1 1.2 1.1
【図面の簡単な説明】
【図1】コノスコープ像の観察に用いたセルの構造を示
す図。
【図2】MHPOBC の、強誘電相(SC*) 、フェリ誘電相 (S
Cγ*)、反強誘電相(SCA*)のコノスコープ像、および実
施例1に用いた液晶A のコノスコープ像。
【図3】フェリ誘電相の分子配列を示す図。FI(+), FI
(-)はフェリ誘電状態、FO(+), FO(-)は強誘電状態を表
す。
【図4】フェリ誘電性液晶の三角波電圧に対する光学応
答を示す図。
【図5】強誘電性液晶の三角波電圧に対する光学応答を
示す図。
【図6】反強誘電性液晶の三角波電圧に対する光学応答
を示す図。
【図7】絶縁膜の種類 SiO2 、膜厚 20.0nm 、セルギャ
ップ 2μmのセルにおけるフェリ誘電性液晶の三角波電
圧に対する光学応答を示す図。
【図8】絶縁膜の種類 SiO2 、膜厚 40.0nm 、セルギャ
ップ 2μmのセルにおけるフェリ誘電性液晶の三角波電
圧に対する光学応答を示す図。
【図9】絶縁膜の種類 SiO2 、膜厚 70.0nm 、セルギャ
ップ 2μmのセルにおけるフェリ誘電性液晶の三角波電
圧に対する光学応答を示す図。
【図10】絶縁膜の種類 SiO2 、膜厚 100.0nm、セルギ
ャップ 2μmのセルにおけるフェリ誘電性液晶の三角波
電圧に対する光学応答を示す図。
【図11】絶縁膜の種類 SiO2 、膜厚 40.0nm 、セルギ
ャップ 1μmのセルにおけるフェリ誘電性液晶の三角波
電圧に対する光学応答を示す図。
【図12】絶縁膜の種類 SiO2 、膜厚 40.0nm 、セルギ
ャップ 3μmのセルにおけるフェリ誘電性液晶の三角波
電圧に対する光学応答を示す図。
【図13】絶縁膜の種類 SiO2 、膜厚 40.0nm 、セルギ
ャップ 5μmのセルにおけるフェリ誘電性液晶の三角波
電圧に対する光学応答を示す図。
【図14】絶縁膜の種類 SiO2 、膜厚 40.0nm 、セルギ
ャップ 10μmのセルにおけるフェリ誘電性液晶の三角
波電圧に対する光学応答を示す図。
フロントページの続き (72)発明者 伊藤 真樹 茨城県つくば市和台22番地 三菱瓦斯化学 株式会社総合研究所内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁膜、配向膜からなる絶縁層が形成さ
    れた2枚のガラス基板のうち、第1のガラス基板に画素
    電極と画素電極に接続されたアクティブ素子がマトリッ
    クス状に配置されており、第2のガラス基板に前記画素
    電極に対向する共通電極が設置され、 該第1のガラス基板と第2のガラス基板の間隙を1〜3
    μmとし、この間隙に層構造を持つ液晶が挟持され、こ
    の液晶は前記画素電極と共通電極に電圧を印加した際、
    電場の作用により、2つのフェリ誘電相の共存状態と2
    つの強誘電状態およびその中間状態で変化することがで
    きるフェリ誘電性液晶或いはフェリ誘電性液晶組成物で
    あり、 該第1のガラス基板と第2のガラス基板に、直交する偏
    光膜が前記2つの強誘電状態が明となるごとく配置さ
    れ、 前記画素電極と共通電極との間に印加する電圧を制御す
    ることによって、フェリ誘電状態から強誘電状態への変
    化の際と、強誘電状態からフェリ誘電状態への変化の際
    との履歴が小さく、しきい値がなく電圧によって連続的
    に階調表示できることを特徴とするアクティブマトリッ
    クス液晶表示素子。
  2. 【請求項2】 該第1のガラス基板と第2のガラス基板
    の間隙が、 1〜2 μmである請求項1記載のアクティブ
    マトリックス液晶表示素子。
  3. 【請求項3】 該絶縁膜の種類が SiO2, ZrO2, Al2O3
    いづれかである請求項1記載のアクティブマトリックス
    液晶表示素子。
  4. 【請求項4】 該絶縁層の厚さが 60〜90nmである請求
    項3記載のアクティブマトリックス液晶表示素子。
  5. 【請求項5】 該絶縁層の静電容量を示すパラメーター
    Pの値が10〜24 nmである請求項3記載のアクティブマ
    トリックス液晶表示素子。
  6. 【請求項6】 該絶縁層の静電容量を示すパラメーター
    Pの値が13〜20 nmである請求項3記載のアクティブマ
    トリックス液晶表示素子。
  7. 【請求項7】 該フェリ誘電性液晶またはフェリ誘電性
    液晶組成物が、2つの強誘電状態の光透過率を 100%、
    光透過率が最低のときの光透過率を0%としたときに、
    2つのフェリ誘電相の共存状態から強誘電状態へ変化す
    る際の光透過率 90%における電圧、並びに強誘電状態
    から2つのフェリ誘電相の共存状態へ変化する際の光透
    過率 90%における電圧が 5V 以下である請求項1記載
    のアクティブマトリックス液晶表示素子。
  8. 【請求項8】 該光透過率 90%における電圧の差が
    0.6 V以下である請求項7記載のアクティブマトリクス
    液晶表示素子。
  9. 【請求項9】 該フェリ誘電性液晶またはフェリ誘電性
    液晶組成物が、下記一般式(1) で表されるフェリ誘電性
    液晶またはそれを含むフェリ誘電性液晶組成物である請
    求項1記載のアクティブマトリクス液晶表示素子。 【化1】 (式中のmは 9〜12、pは 2〜4 、nは 2〜4 、X, Yは
    Hまたはいずれか一方がF原子である。)
  10. 【請求項10】 該フェリ誘電性液晶またはフェリ誘電
    性液晶組成物のラセンピッチが 1μm以上であることを
    特徴とする請求項9記載のアクティブマトリクス液晶表
    示素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002532613A (ja) * 1998-12-11 2002-10-02 クラリアント ゲーエムベーハー 広い作動温度範囲を有する強誘電性アクティブマトリックスディスプレイ

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