JPH09298853A - 電機巻線 - Google Patents

電機巻線

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JPH09298853A
JPH09298853A JP11140896A JP11140896A JPH09298853A JP H09298853 A JPH09298853 A JP H09298853A JP 11140896 A JP11140896 A JP 11140896A JP 11140896 A JP11140896 A JP 11140896A JP H09298853 A JPH09298853 A JP H09298853A
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JP
Japan
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coil
varnish
coils
winding
electric machine
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JP11140896A
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English (en)
Inventor
Yuji Mizutani
雄二 水谷
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インバータ装置等で運転した際のサージに対
する絶縁性能の向上を図る。 【解決手段】 複数のコイルには、電源ラインに近い側
から順に高いサージが作用する事情があり、このうち最
も高いサージが作用する第1コイル2には、全ターンの
中間部に位置して絶縁紙8〜10が挿着されている。従
って、第1コイル2に加わるサージがCSV(コロナ開
始電圧)以下になり、第1コイル2の絶縁耐力が増加す
るので、第1コイル2の内部絶縁破壊が防止される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インバータ装置で
制御される回転電機等に用いられる電機巻線に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】近年、インバータ装置
を用いて回転電機を制御する機会が増加している。この
インバータ装置には、半導体スイッチング素子によりパ
ルス信号の幅を換えて正弦波を模擬するパルス幅変調制
御方法(以下、PWM制御と称する)が採用されること
が多い。
【0003】この構成の場合、パルス信号個々の電圧変
化率(以下、dV/dtと称する)が非常に大きい。こ
のため、回転電機に接続した電源ケーブルと回転電機で
反射現象や共振現象が原因で、電源電圧がパルス電圧の
約2倍になり、複数のコイルに不平等に分担することが
知られている(具体的には、電源線に近い第1コイル,
第2コイル……の順に高い電圧が加わることが知られて
おり、詳しくは、本出願人により出願された特願昭62
−284215号公報に開示されている)。
【0004】例えば、575Vrms の回転電機の電源ラ
インに加わる最高電圧は、下式で与えられる。
【0005】
【数1】 上式から明らかなように、低電圧電機と言えども電圧変
化率が大きいサージが作用する。従って、複数のコイル
に電圧が不平等に分担すると、電位分担が大きいコイル
(例えば、80%の電圧を分担する第1コイル)の内部
で絶縁破壊が生じたり、電位差が大きい異相コイルの重
なり部分(例えばコイルエンド)で絶縁破壊が生じる虞
れがある。
【0006】特に巻線に無溶剤形ワニス処理を施す場合
には、コイルエンドが硬くなり、コイルエンドにクラッ
クが生じ易い事情がある。従って、電圧変化率が大きい
サージが作用すると、クラック部分でコロナ放電が起こ
り、絶縁がコロナ劣化する虞れがある。また、無溶剤形
ワニス処理を施す場合には、コイル内にワニスを完全に
含浸させることが困難であり、未含浸部やボイドが生じ
易い。しかも、比誘電率が溶剤形のものより高いことか
ら、コロナ開始電圧が低くなってしまう。
【0007】そこで、高圧電機で用いられているマイカ
テープをエナメル線に巻回した後、真空加圧含浸処理を
行うことに伴い、絶縁劣化の生じないレベルにまで未含
浸部やボイドを低下させることが考えられる。しかしな
がら、低圧電機の場合、経済的な問題(例えば、製造経
費や材料費の大幅な増加)や機器の大形化という問題か
ら、マイカテープによる対策ができず、エナメル線の被
膜の厚さを増加させることが行われていた。しかし、こ
れも機器の大形化を防ぎきれず、場合によっては、新し
く機器の設計をやり直す必要が生じる。
【0008】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので
あり、その目的は、インバータ装置による運転時のサー
ジに対する絶縁性能の向上を図り得る電機巻線を提供す
ることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の電機巻線
は、鉄心に複数のコイルを装着してなるものにおいて、
少なくとも電位分担が大きいコイルには、コイルエンド
およびスロット内部に位置して絶縁体が挿着されている
ところに特徴を有する。上記手段によれば、電位分担が
大きいコイルに加わるサージがCSV(コロナ開始電
圧)以下になり、該コイルの絶縁耐力が増加するので、
該コイル内での絶縁破壊が防止される。
【0010】請求項2記載の電機巻線は、鉄心に複数の
コイルを装着してなるものにおいて、少なくとも電位分
担が大きいコイルあるいは該コイルに隣接するコイルに
は、コイルエンドに位置して半導電材料あるいは導電材
料が混合されたワニスによる処理が施されているところ
に特徴を有する。請求項3記載の電機巻線は、半導電材
料あるいは導電材料が混合されたワニスの乾燥後の固有
抵抗値が10〜10Ωcmであるところに特徴を有
する。◎上記手段によれば、電位が高く放電が起こる部
分(コイルエンド)の表面抵抗値が下がり、空気の火花
電圧以下に抑えられる。このため、電位差が大きい異相
コイル相互間での絶縁破壊が防止される。
【0011】請求項4記載の電機巻線は、鉄心に複数の
コイルを装着してなるものにおいて、少なくとも電位分
担が大きいコイルあるいは該コイルに隣接するコイルに
は、コイルエンドに位置して比誘電率が小さい樹脂が混
合されたワニスによる処理が施されているところに特徴
を有する。上記手段によれば、ワニスの誘電率が小さく
なり、CSVが高くなる。このため、電位差が大きい異
相コイル相互間での絶縁破壊が防止される。
【0012】請求項5記載の電機巻線は、鉄心に複数の
コイルを巻装してなるものにおいて、少なくとも電位分
担が大きいコイルあるいは該コイルに隣接するコイルに
は、コイルエンドに位置して中空体が混合されたワニス
による処理が施されているところに特徴を有する。上記
手段によれば、比誘電率が低い中空体内の気体がワニス
に取込まれる。このため、ワニスの誘電率が小さくな
り、CSVが高くなるので、電位差が大きい異相コイル
相互間での絶縁破壊が防止される。
【0013】請求項6記載の電機巻線は、中空体の内径
寸法が15μm以上であるところに特徴を有する。上記
手段によれば、中空体の火花電圧が極小値よりずれた高
い値になるので、気体の絶縁破壊電圧が著しく小さい欠
点がカバーされる。
【0014】請求項7記載の電機巻線は、中空体には、
絶縁耐力が高い気体が大気圧以上で封入されているとこ
ろに特徴を有する。上記手段によれば、内径寸法が一層
小さい中空体に至るまでコロナ放電が抑制される。この
ため、中空体の許容内径寸法が小さくなるので、製造上
の内径寸法のばらつきが吸収される。
【0015】請求項8記載の電機巻線は、鉄心に複数の
コイルを装着してなるものにおいて、少なくとも電位分
担が大きいコイルを形成する素線あるいは該コイルに隣
接するコイルを形成する素線には、比誘電率が小さい樹
脂が混合されたワニスによる処理が施されているところ
に特徴を有する。上記手段によれば、ワニスの誘電率が
小さくなり、CSVが高くなるので、電位差が大きい異
相コイル相互間での絶縁破壊が防止される。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第1実施例を図1
および図2に基づいて説明する。尚、本実施例は、本発
明を三相6極回転電機の巻線に適用したものである。ま
ず、図2において、鉄心1の各スロット1a(図1参
照)内には、最外周部に位置してU相のコイル2が巻装
され、コイル2の内周部に位置してV相のコイル3が巻
装され、最内周部に位置してW相のコイル4が巻装され
ている。そして、各スロット1a内には、図1に示すよ
うに、外周部に位置して対地絶縁紙5が挿着され、内周
部に位置して楔6が挿着されている。
【0017】尚、図2の符号7は、鉄心1にコイル2〜
4を装着してなる巻線を示すものである。また、各コイ
ル2〜4はエナメル線を巻回することにより形成された
ものであり、エナメル線は、素線に相当する銅線にワニ
ス処理を施すことにより形成されている。
【0018】U相のコイル2のうち電源に最も近い第1
コイル2,V相のコイル3のうち電源に最も近い第1コ
イル3,W相のコイル4のうち電源に最も近い第1コイ
ル4には、図1に示すように、スロット1a内およびコ
イルエンドに位置して絶縁体に相当する絶縁紙8〜10
が挿着されている。これら絶縁紙8〜10は、第1コイ
ル2〜4の全ターンの略中間部に配置されたものであ
り、第1コイル2〜4を略2つに分割している。
【0019】上述したように、コイル2〜4には電圧が
不平等に分担しており、第1コイル2〜4には、約70
%の1120Vpeakの電圧が分担している。従って、第
1コイル2〜4の巻き始めと巻き終りとが直接、あるい
は、数ターンの間隔で接触していたら、1120Vpeak
の電圧の殆どがエナメル線の絶縁被膜に作用することに
なるので、絶縁被膜がサージに耐えることができない。
【0020】これに対して上記実施例では、絶縁紙8〜
10により、第1コイル2〜4の全ターンが約半分に分
割されているため、エナメル線が接触する最高の電圧が
約半分の560Vpeakになる。このため、第1コイル2
〜4の絶縁耐力が増加するので、第1コイル2〜4内で
の絶縁破壊が防止される。
【0021】尚、巻線7を回転電機(4極−15kW−
575Vrms )に組込み、50mの電源ケーブルを介し
てインバータ装置に接続し、運転試験を行った。このと
きの回転電機の端子部の電圧をオシロスコープにより測
定したところ、1600Vpeakのサージが発生してい
た。この状態で巻線7の温度を200°Cまで上昇さ
せ、加熱による寿命促進劣化試験を行ったところ、従来
の巻線は10〜50時間という短い時間で焼損したが、
本実施例の巻線7は400時間以上経過しても焼損しな
かった。
【0022】この試験結果を別の角度から考察した裏付
けデータとして、コロナ測定器によるエナメル線間のC
SV(コロナ放電開始電圧)調査結果がある。例えば、
2本に束ねた1種エナメル線間のCSVは約850Vpe
akであり、これを越える電圧ではコロナが発生し、エナ
メル線が短時間でコロナ劣化する。従来の巻線は、この
コロナ劣化が発生した状態でサージによるコロナが生
じ、エナメル線が焼損したのである。これに対して本実
施例の巻線7は、上述したように、巻線に加わるサージ
がCSV(約850Vpeak)以下の約560Vpeakにな
るので、焼損が防止される。
【0023】尚、上記第1実施例においては、巻線7に
溶剤形あるいは無溶剤形ワニスによる含浸処理を施して
も良い。また、上記第1実施例においては、第1コイル
2〜4を2分割するように絶縁紙8〜10を挿着した
が、これに限定されるものではなく、例えば、第1コイ
ル2〜4を3分割以上するように絶縁紙8〜10を挿着
しても良い。
【0024】また、上記第1実施例においては、絶縁紙
8〜10を第1コイル2,3,4に挿着したが、これに
限定されるものではなく、第1コイル2,3,4〜第2
コイル2,3,4に装着したり、第1コイル2,3,4
〜第3コイル2,3,4に装着したり、要は、サージが
CSVと同等、あるいは、同等以上のコイル(分担電圧
が高いコイル)に装着すれば良い。
【0025】次に本発明の第2実施例を図3および図4
に基づいて説明する。尚、上記第1実施例と同一の部材
については同一の符号を付して説明を省略し、以下、異
なる部材についてのみ説明を行う。まず、図3におい
て、各コイル2〜4のコイルエンド相互間には、ポリエ
ステルフィルムからなる相間絶縁紙11が挿着されてい
る。
【0026】各コイル2〜4の表面および内部,鉄心1
の表面,各対地絶縁紙5および楔6の表裏面には第1の
ワニス層12が形成されている。このワニス層12は、
ワニスが注入されたタンク(図示せず)内に巻線7を沈
めた後、巻線7を乾燥炉(図示せず)内に収納してワニ
スを加熱硬化させることに伴い得られたものであり、ワ
ニスには、スチレン系無溶剤形エポキシエステルワニス
が用いられている。
【0027】第1のワニス層12の表面および内部に
は、各コイル2〜4のコイルエンドに位置して第2のワ
ニス層13が形成されている。このワニス層13は、半
導電材料である窒化ケイ素(SiC)の粉末が混合され
たスチレン系無溶剤形エポキシエステルワニスを第1の
ワニス層12の上に塗布することに伴い得られたもので
あり、固有抵抗値が10〜10Ωcmになってい
る。
【0028】通常の商用交流電源周波数ではコロナが生
じないターン間(数)でも、dV/dtが大きいサージ
では大きな電位差となり、コロナが生じる。サージによ
る絶縁劣化は、このコロナによって電位差が大きい異相
コイル相互間(例えば、U相のコイル2とV相のコイル
3)の空気(絶縁物の表面)、あるいは、エナメル線相
互間の空気が絶縁破壊し、エナメル線の絶縁が浸食劣化
されることに伴い、生じる。このような放電は一般的に
部分放電と言われ、一般的な電気的等価回路は、図9に
示す通りである。但し、Vsは回路の電圧、Caは斜線
以外の部分の容量、Cbは斜線部分の容量、Cgはボイ
ドの容量である。
【0029】これに対して本実施例では、電位傾度に抵
抗値が反比例する半導体を含んだワニスをコイルエンド
に塗布することに伴い、第2のワニス層13を形成し
た。図4は、本実施例の等価回路を示すものであり、
R,rは本実施例における抵抗である。同図に示すよう
に、電位が高く放電が起こる部分(コイルエンド)の表
面抵抗値が下がり、空気の火花電圧以下に抑えられる。
このため、エナメル線の表面のコロナがなくなるので、
電位差が大きい異相コイル相互間での絶縁劣化が防止さ
れる。
【0030】しかも、第1のワニス層12の上に第2の
ワニス層13を形成した。このため、コイル2〜4の導
体に第2のワニス層13が接触しないので、漏れ電流が
抑制され、その結果、抵抗損失や発熱の増加が最小限に
抑えられる。
【0031】上記効果の確認として、巻線7を回転電機
(4極−15kW−460Vrms )に組込み、50mの
電源ケーブルを介してインバータ装置に接続し、運転試
験を行った。このとき、回転電機の端子には1300V
peakのサージが発生していた。この状態で、上述の寿命
試験を行ったところ、従来の巻線は約100時間で焼損
したが、本実施例の巻線7は4000時間以上経過して
も焼損しなかった。
【0032】いずれの巻線にも、第1コイルには約70
%の910Vpeakの電圧が分担していた。従来のコイル
では、第1コイルの分担電圧がエナメル線のCSVの8
50Vpeakを越えていたため、コロナ劣化したのであ
る。しかしながら、本実施例の巻線7は、エナメル線相
互間に第2のワニス層13があり、ここに微小な電流が
流れるため、エナメル線の交差部分で放電し難くなる。
【0033】この裏付けデータとして、コロナ測定器に
より、JIS C 3003の11項で示される2個よ
り法により、2本のエナメル線をよじったモデルに対し
て本実施例のワニス処理を行ったところ、試料のCSV
を約950Vpeakまで上げることが可能であることが判
った。
【0034】尚、上記第2実施例においては、各コイル
2〜4のコイルエンドに第2のワニス層13を形成した
が、これに限定されるものではなく、例えば、同一スロ
ット内に異相コイルが収納される場合には、各コイル2
〜4のコイルエンドおよびスロット内部に上述のワニス
処理を施すと良い。
【0035】また、上記第2実施例においては、各コイ
ル2〜4のコイルエンドに第2のワニス層13を形成し
た。しかしながら、コロナが起こる部位は電位分担が大
きい第1コイルや第2コイル、あるいは、これに隣接す
るコイルである。従って、これらのコイル以外には上述
の処理が不要であり、同コイルに限定して上述の処理を
行っても同様の効果が得られる。
【0036】また、上記第2実施例においては、窒化ケ
イ素(半導電材料)の粉末が混合されたワニスを用いた
が、これに限定されるものではなく、導電材料の粉末が
混合されたワニスを用いても良い。この場合にも、ワニ
ス層の表面抵抗値を10〜10Ωcmにすると良
い。また、上記第2実施例においては、窒化ケイ素の粉
末を無溶剤形ワニスに混合したが、これに限定されるも
のではなく、溶剤形ワニスに混合しても良い。
【0037】また、上記第2実施例においては、第2の
ワニス層13を形成するにあたって、半導体ワニスを第
1のワニス層12の表面に塗布したが、これに限定され
るものではなく、半導体ワニスが注入されたタンク内に
コイルエンドを沈める(含浸処理)構成としても良い。
また、上記第2実施例においては、第1のワニス層12
の上に第2のワニス層13を形成したが、コイル2〜4
の表面に第2のワニス層13を直接形成しても良い。
【0038】次に本発明の第3実施例を図5に基づいて
説明する。尚、上記第2実施例と同一の部材については
同一の符号を付して説明を省略し、以下、異なる部材に
ついてのみ説明を行う。各コイル2〜4を構成するエナ
メル線の絶縁層には、エステルイミド樹脂が焼き付けら
れている。
【0039】各コイル2〜4の表面および内部,鉄心1
の表面,各対地絶縁紙5および楔6の表裏面にはワニス
層14が設けられている。このワニス層14は、ワニス
が注入されたタンク(図示せず)内に巻線7を沈めた
後、巻線7を乾燥炉(図示せず)内に収納してワニスを
加熱硬化させることに伴い得られたものであり、ワニス
には、フッ素樹脂を液体窒素により凍結粉砕してなる粉
末が混合されたスチレン系無溶剤形ワニスが用いられて
いる。
【0040】一般的なコロナ放電の等価回路は図9に示
す通りである。ここで、サージによるコロナ放電の等価
回路が図9で示されると仮定すると、CSV(コロナ放
電開始電圧)は下式で与えられる。 CSV=Vg×(1+D/ε/d) ここで、Vgは空気の火花電圧(dの大きさに依存す
る)、Dは絶縁物の厚さ、εは絶縁物の比誘電率、dは
放電が起こる距離(ギャップ寸法)である。
【0041】上式から明らかなように、絶縁物の比誘電
率が小さい程、CSVが大きくなる。これに対して上記
実施例では、フッ素樹脂の粉末が混合されたワニスを加
熱硬化させることに伴い、コイルエンドの表面にワニス
層14を形成した。このため、ワニス層14の誘電率が
低くなるので、CSVが高くなる。従って、電位差が大
きい異相コイル相互間での絶縁破壊が防止される。尚、
U相のコイル2およびV相のコイル3のCSVをコロナ
試験器により測定したところ、従来の1300Vpeakよ
り約30%高い1690Vpeakであることが判った。
【0042】尚、上記第3実施例においては、比誘電率
が小さい樹脂として粉末化されたフッ素系樹脂を用いた
が、これに限定されるものではなく、例えば、粉末化さ
れた耐熱ポリエチレン樹脂,耐熱ポリスチレン樹脂,耐
熱塩化ビニル樹脂等(いずれもワニスより低い比誘電率
を有する)を用いても良い。また、上記第3実施例にお
いては、比誘電率が小さい樹脂を無溶剤形ワニスに混合
したが、これに限定されるものではなく、例えば溶剤形
ワニスに混合しても良い。
【0043】次に本発明の第4実施例を図6および図7
に基づいて説明する。尚、上記第3実施例と同一の部材
については同一の符号を付して説明を省略し、以下、異
なる部材についてのみ説明を行う。まず、図6におい
て、ワニス層14の基材であるスチレン系無溶剤形ワニ
スには、中空体に相当するフッ素樹脂の中空粉末15が
混合されている。これら各中空粉末15の内部には空気
が封入されており、各中空粉末15の内径寸法は約17
μmに設定されている。
【0044】気体の比誘電率は種類に拘らず概ね「1.
0」であり、ワニス材料に比べて小さい。これに対して
上記実施例では、空気が封入された中空粉末15をワニ
ス層14に混合した。従って、ワニス層14の比誘電率
が小さくなるので、CSVが高くなる。このため、電位
差が大きい異相コイル相互間での絶縁破壊が防止され
る。
【0045】ところで、気体はワニスに比べて絶縁破壊
電圧が著しく小さい欠点がある。気体の火花電圧は、図
7に示すように、概ねパッシェン則、即ち、気体の圧力
pと直径dとの積(以下、pdと称する)に依存し、こ
の火花電圧はpdの変化に対して極小値を持つことが知
られている。この極小値は、空気の場合、pを大気圧と
すると、dは約6μmになる。
【0046】これに対して上記実施例では、中空粉末1
5の内径寸法が15μm以上(火花電圧が約400Vpe
akになる)に設定されている。このため、中空粉末15
の火花電圧が極小値よりずれた高い値になるので、気体
の絶縁破壊電圧が著しく小さい欠点がカバーされる。
尚、U相のコイル2およびV相のコイル3のCSVをコ
ロナ試験器により測定したところ、従来の1300Vpe
akより約20%高い1560Vpeakであることが判っ
た。
【0047】尚、上記第4実施例においては、フッ素系
樹脂の中空粉末15を用いたが、これに限定されるもの
ではなく、例えば、耐熱ポリエチレン樹脂,耐熱ポリス
チレン樹脂,耐熱塩化ビニル樹脂(以上、ワニスより低
い比誘電率を有する材料),エポキシ樹脂,ポリカーボ
ネイト樹脂,ポリイミド樹脂,アクリル樹脂(以上、ワ
ニスと同程度の比誘電率を有する材料),シリカ,アル
ミナ,ジルコニア等のファインセラミック,ガラス等
(以上、ワニスより高い比誘電率を有する材料)の中空
粉末を用いても良い。また、上記第4実施例において
は、中空粉末の内径寸法を17μmとしたが、これに限
定されるものではなく、15μm以上であることが好ま
しい。
【0048】また、上記第4実施例においては、中空粉
末15内に空気を封入したが、これに限定されるもので
はなく、例えば六沸化硫黄ガス(SF)等、絶縁耐力
が高い気体を大気圧以上の圧力で封入しても良い。この
構成の場合、SFの破壊電圧が空気より高いため、内
径寸法が一層小さい中空端末15に至るまでコロナ放電
が抑制される。このため、中空粉末15の許容内径寸法
が小さくなるので、製造上、防ぎ切れない寸法のばらつ
きが吸収される。
【0049】次に本発明の第5実施例を図8に基づいて
説明する。尚、上記第1実施例と同一の部材については
同一の符号を付して説明を省略し、以下、異なる部材に
ついてのみ説明を行う。エナメル線16の絶縁層を構成
する溶剤形エステルイミドワニスには、比誘電率が小さ
い樹脂に相当するフッ素樹脂を液体窒素で凍結粉砕した
粉末が混合されており、エナメル線は、このワニスを銅
線に処理することにより形成されている。尚、絶縁紙8
〜10は廃止されている。
【0050】図8は、2本のエナメル線16を捩ってな
るモデルを示すものであり、このモデルは、JIS C
3003の11項に規定された2個より法に基づいて
いる。このモデルのCSVをコロナ試験器により測定し
たところ、従来のCSVの850Vpeakより約33%高
い1133Vpeakであった。従って、電位差が大きい異
相コイル相互間での絶縁破壊が防止される。
【0051】尚、上記第5実施例においては、比誘電率
が小さい樹脂として粉末化されたフッ素系樹脂を用いた
が、これに限定されるものではなく、例えば、粉末化さ
れた耐熱ポリエチレン樹脂,耐熱ポリスチレン樹脂,耐
熱塩化ビニル樹脂等(いずれもワニスより低い比誘電率
を有する)を用いても良い。また、上記第5実施例にお
いては、比誘電率が小さい樹脂を溶剤形ワニスに混合し
たが、これに限定されるものではなく、例えば無溶剤形
ワニスに混合しても良い。
【0052】また、上記第1〜第5実施例においては、
絶縁紙8〜10(第1実施例),半導電材料あるいは導
電材料が混合されたワニス層13(第2実施例),比誘
電率が小さい樹脂が混合されたワニス層14(第3実施
例),中空体が混合されたワニス層14(第4実施
例),エナメル線16(第5実施例)を単独で用いた
が、これに限定されるものではなく、複数の構成を組合
わせても良い。
【0053】例えば、上記第5実施例に対して、フッ素
系樹脂の粉末が混合されたワニスによる含浸処理(第3
実施例)、第1コイル2〜4の全ターンの中間部に絶縁
紙8〜10を挿着する構成(第1実施例)を組合わせて
も良い。この構成の場合、第1コイル2〜4の内部での
絶縁破壊、異相コイル相互間での絶縁破壊の双方が防止
される。尚、U相のコイル2とV相のコイル3のCSV
をコロナ試験器により測定したところ、従来のCSV1
300Vpeakより約40%高い1820Vpeakであっ
た。
【0054】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の電機巻線は次の効果を奏する。請求項1記載の手段に
よれば、電位分担が大きいコイルのコイルエンドおよび
スロット内部に絶縁体を挿着した。このため、該コイル
に加わるサージがCSV(コロナ開始電圧)以下になる
ので、該コイル内での絶縁破壊が防止される。
【0055】請求項2および3記載の手段によれば、電
位分担が大きいコイルあるいは該コイルに隣接するコイ
ルのコイルエンドに、半導電材料あるいは導電材料が混
合されたワニスによる処理を施した。このため、コイル
エンドの表面抵抗値が下がり、空気の火花電圧以下に抑
えられるので、電位差が大きい異相コイル相互間での絶
縁破壊が防止される。請求項4記載の手段によれば、電
位分担が大きいコイルあるいは該コイルに隣接するコイ
ルのコイルエンドに、比誘電率が小さい樹脂が混合され
たワニスによる処理を施した。このため、ワニスの誘電
率が小さくなり、CSVが高くなるので、電位差が大き
い異相コイル相互間での絶縁破壊が防止される。
【0056】請求項5記載の手段によれば、電位分担が
大きいコイルあるいは該コイルに隣接するコイルのコイ
ルエンドに、中空体が混合されたワニスによる処理を施
した。このため、ワニスの誘電率が小さくなり、CSV
が高くなるので、電位差が大きい異相コイル相互間での
絶縁破壊が防止される。請求項6記載の手段によれば、
中空体の内径寸法を15μm以上に設定した。このた
め、中空体の火花電圧が極小値よりずれた高い値になる
ので、気体の絶縁破壊電圧が著しく小さい欠点がカバー
される。
【0057】請求項7記載の手段によれば、絶縁耐力が
高い気体を中空体に大気圧以上で封入した。このため、
内径寸法が一層小さい中空体に至るまでコロナ放電が抑
制されるので、中空体の許容内径寸法が小さくなる。従
って、製造上の内径寸法のばらつきが吸収される。請求
項8記載の手段によれば、電位分担が大きいコイルある
いは該コイルに隣接するコイルを形成する素線に、比誘
電率が小さい樹脂が混合されたワニスによる処理を施し
た。このため、ワニスの誘電率が小さくなり、CSVが
高くなるので、電位差が大きい異相コイル相互間での絶
縁破壊が防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す図(巻線の縦断面
図)
【図2】巻線の上面図
【図3】本発明の第2実施例を示す図1相当図
【図4】等価回路を示す図
【図5】本発明の第3実施例を示す図1相当図
【図6】本発明の第4実施例を示す図(中空粉末の断面
図)
【図7】空気のpd値と火花電圧との関係を示す図
【図8】本発明の第5実施例を示す図(2本のエナメル
線を捩ったモデルを示す図)
【図9】従来例を示す図4相当図
【符号の説明】
1は鉄心、1aはスロット、2〜4はコイル、7は巻
線、8〜10は絶縁紙(絶縁体)を示す。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄心に複数のコイルを装着してなるもの
    において、 少なくとも電位分担が大きいコイルには、コイルエンド
    およびスロット内部に位置して絶縁体が挿着されている
    ことを特徴とする電機巻線。
  2. 【請求項2】 鉄心に複数のコイルを装着してなるもの
    において、 少なくとも電位分担が大きいコイルあるいは該コイルに
    隣接するコイルには、コイルエンドに位置して半導電材
    料あるいは導電材料が混合されたワニスによる処理が施
    されていることを特徴とする電機巻線。
  3. 【請求項3】 半導電材料あるいは導電材料が混合され
    たワニスの乾燥後の固有抵抗値が10〜10Ωcm
    であることを特徴とする請求項2記載の電機巻線。
  4. 【請求項4】 鉄心に複数のコイルを装着してなるもの
    において、 少なくとも電位分担が大きいコイルあるいは該コイルに
    隣接するコイルには、コイルエンドに位置して比誘電率
    が小さい樹脂が混合されたワニスによる処理が施されて
    いることを特徴とする電機巻線。
  5. 【請求項5】 鉄心に複数のコイルを巻装してなるもの
    において、 少なくとも電位分担が大きいコイルあるいは該コイルに
    隣接するコイルには、コイルエンドに位置して中空体が
    混合されたワニスによる処理が施されていることを特徴
    とする電機巻線。
  6. 【請求項6】 中空体の内径寸法が15μm以上である
    ことを特徴とする請求項5記載の電機巻線。
  7. 【請求項7】 中空体には、絶縁耐力が高い気体が大気
    圧以上で封入されていることを特徴とする請求項5記載
    の電機巻線。
  8. 【請求項8】 鉄心に複数のコイルを装着してなるもの
    において、 少なくとも電位分担が大きいコイルを形成する素線ある
    いは該コイルに隣接するコイルを形成する素線には、比
    誘電率が小さい樹脂が混合されたワニスによる処理が施
    されていることを特徴とする電機巻線。
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