JPH09297227A - 光導波路及びその製造方法 - Google Patents

光導波路及びその製造方法

Info

Publication number
JPH09297227A
JPH09297227A JP8134441A JP13444196A JPH09297227A JP H09297227 A JPH09297227 A JP H09297227A JP 8134441 A JP8134441 A JP 8134441A JP 13444196 A JP13444196 A JP 13444196A JP H09297227 A JPH09297227 A JP H09297227A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
core
refractive index
clad
optical waveguide
heat
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8134441A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsumi Morishita
克己 森下
Masamichi Yataki
正道 矢瀧
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tatsuta Electric Wire and Cable Co Ltd
Original Assignee
Tatsuta Electric Wire and Cable Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tatsuta Electric Wire and Cable Co Ltd filed Critical Tatsuta Electric Wire and Cable Co Ltd
Priority to JP8134441A priority Critical patent/JPH09297227A/ja
Publication of JPH09297227A publication Critical patent/JPH09297227A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Optical Fibers, Optical Fiber Cores, And Optical Fiber Bundles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 光導波路の形状と成分に変化を加えることな
く、その一部分のコアとクラッドの屈折率差を他の部分
とは異ならせ、その屈折率差の小さい部分で導波光の導
波モードの電磁界が拡大され又は導波光が放射される光
導波路及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 光学ガラスからなるコアの上にコアとは
転移温度が10℃以上異なる光学ガラスからなるクラッ
ドを被覆して光導波路を形成し、その一部分を熱処理す
ることによりコアとクラッドの屈折率差を変化させ、こ
の熱処理部分又は非熱処理部分のいずれかのコアとクラ
ッドの屈折率差が他の部分より小さいか又はクラッドの
方が大きくなっていることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光導波路及びその
製造方法に関するものであり、さらに詳しくは光導波路
のコアとクラッドの屈折率の差が局部的に他の部分と異
なる光導波路及び多様な屈折率差を有する光導波路を安
価に製造し得る光導波路の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、ファイバ形光デバイスには、通信
用光伝送路と同様、石英光ファイバが用いられていた。
ところが、石英光ファイバは帯域と損失に重点をおいて
作られているため、コアとクラッドの屈折率の差は光の
波長に依存せず、波長特性に多様性がないため、それを
利用したファイバ形光デバイスも種類が限られていた。
【0003】例えば、光ファイバを利用した光分岐・結
合器としては、導波される光の電磁界がある領域で別の
光ファイバのコアに伝搬されるようにする必要があり、
そのため図10に示すように、2本の石英光ファイバ1
11及び121を、その一部分Eを加熱し、部分Mを融
着させながら延伸して分岐部130を作製した光分岐・
結合器100が用いられている。石英光ファイバ11
1,121は、それぞれコア112,122の上にクラ
ッド113,123を被覆した光ファイバ本体114及
び124に図示しない保護被膜を施したものであるが、
少なくとも分岐部130はその保護被膜が除去されて光
ファイバ本体114及び124が熱融着されている。こ
の光分岐・結合器100では、矢印のように光ファイバ
111で導波される光Lの電磁界は、細くなっている分
岐部130のところで、コア112からクラッド113
の方に漏れて光ファイバ121にもアクセスされ、光L
1,L2に分岐される。しかし、この光分岐・結合器1
00は分岐部130の外径を部分Fにおける外径の10
分の1程度以下にする必要があり、製造及び使用時に損
壊しないよう最新の注意を払う必要がある。また、通常
の取り扱いに耐え得る実用的な素子とするためには、適
正な補強が必要であるため、高価なものとなる。さら
に、そのため製造にあたっては加熱や延伸を制御する高
度な制御技術と制御装置も必要となる。
【0004】そこで、このような延伸工程を必要とせ
ず、細径化部分のない光導波路とその製造方法が提案さ
れている。この光導波路は、石英光ファイバにおいて、
コアに添加されているドーパントを加熱することにより
拡散させ、コアとクラッドの屈折率の差を小さくしたも
のであり、コア内に閉じ込められて導波される光が、屈
折率差を小さくした部分でクラッドの方にも広がる(換
言すれば、導波光の電磁界が拡大される)ため隣接する
石英光ファイバにアクセスされる。しかし、材料が純度
の高い石英であるところから、ドーパントを所望のよう
に拡散させるためには、摂氏千数百度に及ぶ加熱が必要
であり、そのための加熱装置と光ファイバを溶融するこ
となくドーパントを拡散させるための高度な制御技術が
必要であり、所望の特性を出すためには、1時間程度の
作業時間が必要である。しかも、コアからクラッドへ拡
散するドーパントの濃度は、コアに残留するドーパント
の濃度に達すると平衡し、それ以上になることはないか
ら、クラッドの屈折率をコアの屈折率より大きくするこ
とはできない。
【0005】さらに、石英光ファイバにおいては、コア
とクラッドの屈折率の差はほぼ一定であるため、上記ド
ーパントの拡散部分においても、屈折率の差は全体とし
て減少するが、導波される光の波長によって屈折率の差
が異なるわけではなく、用途に応じた多様な特性を得る
ことも困難である。
【0006】光デバイスに多様な波長特性を与えるもの
として、コアとクラッドの屈折率の差が波長に大きく依
存する分散性光ファイバが理論的に提案されている(電
子通信学会論文誌C−1,Vol.J78−C−1,N
o.12,pp658−663,1955年12月)。
このような光ファイバがあれば、波長の選択によって光
デバイスに必要な任意の屈折率の差を有する光ファイバ
として使用できる。しかしながら、光デバイスに利用可
能な適切な屈折率分散を有するコア材とクラッド材を探
し出すことは容易ではなく、またそのような光導波路を
創り出す製造方法も見い出されていないため、その創出
が強く望まれていた。
【0007】
【発明が実現しようとする課題】本発明は、前記問題点
を解消し、要望に応えるべく鋭意研究の結果なされたも
ので、請求項1記載の発明は、光導波路の形状と成分に
変化を加えることなく、その一部分のコアとクラッドの
屈折率差を他の部分とは異ならせ、その屈折率差の小さ
い部分で導波光の導波モードの電磁界が拡大され又は導
波光が放射される光導波路を、安価に提供することを課
題とする。
【0008】請求項2の発明は、請求項1記載の発明の
課題のうち、前記一部分で導波光の高次モードが濾波さ
れ、それより低次のモードのみを通過させるとともに、
その電磁界を拡大させる光導波路の提供を課題とする。
【0009】請求項3記載の発明は、請求項1記載の発
明の課題のうち、前記一部分で導波光がすべて放射モー
ドとなり、導波を阻止される光導波路の提供を課題とす
る。
【0010】請求項4記載の発明は、請求項1乃至3記
載の発明の課題に加えて、波長の選択によって、前記一
部分で電磁界を拡大する程度を選択でき、又は導波光を
放射させるなど種々の用途に利用できる光導波路の提供
を課題とする。
【0011】請求項5記載の発明は、熱処理することに
より、コアとクラッドの屈折率差を容易且つ多様に変化
させうる光導波路の製造方法の提供を課題とする。
【0012】請求項6記載の発明は、請求項5記載の発
明の課題に加えて、コアとクラッドの屈折率差をさらに
容易に変化させうる光導波路の製造方法の提供を課題と
する。
【0013】請求項7記載の発明は、請求項5又は6記
載の発明の課題に加えて、コアとクラッドの屈折率差を
さらに多様に変化させうる光導波路の製造方法の提供を
課題とする。
【0014】請求項8記載の発明は、請求項7記載の発
明の課題に加えて、コアとクラッドの屈折率差の制御を
容易にし且つ熱処理時間を短縮しうる光導波路の製造方
法の提供を課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明のうち、請求項1記載の発明の光導波路は、
コアとクラッドを有し、その一部を熱処理することによ
り熱処理部分のコアとクラッドの屈折率差を非熱処理部
分とは異ならせた光導波路であって、前記コアとクラッ
ドは、転移温度の異なる光学ガラスからなることを特徴
とする。コア材とクラッド材が、転移温度と屈折率波長
特性の異なる光学ガラスからなるため、熱処理によって
それぞれが受ける影響の程度が異なり、屈折率が変化す
る程度も異なるため、形状に変化を与えることなく、熱
処理するだけでその部分のコアとクラッドの屈折率差を
異ならせた光導波路が得られ、屈折率差の小さい部分で
電磁界が拡大され、またコアよりもクラッドの方が屈折
率が大きい場合は導波光が放射されるなお、ここで屈折
率差とは、コアの屈折率からクラッドの屈折率を引いた
差をいい、その絶対値を意味するものではない。
【0016】請求項2記載の発明の光導波路は、請求項
1記載の発明の光導波路において、前記熱処理部分と前
記非熱処理部分は、いずれの部分も導波光に対する屈折
率がクラッドよりもコアの方が大きく、且つその屈折率
差はいずれかの部分が他の部分よりも小さいことを特徴
とする。熱処理部分と非熱処理部分のうち導波光に対す
るコアとクラッドの屈折率差の小さい部分で高次モード
を濾波し、それより低次のモードのみを導波するととも
に、その電磁界を拡大する。
【0017】請求項3記載の発明は、請求項1記載の発
明の光導波路において、前記熱処理部分と前記非熱処理
部分とは、導波光に対するコアとクラッドの屈折率の大
きさが逆転してなることを特徴とするものである。導波
光に対するコアとクラッドの屈折率の大きさが逆転して
いるので、コアよりもクラッドの屈折率が高い部分で導
波光がすべて放射もードとなり、導波光の導波が阻止さ
れる。
【0018】また、請求項4に記載の発明は、前記1乃
至3記載の光導波路において、前記熱処理部分又は非熱
処理部分のいずれかが、コアとクラッドの屈折率波長曲
線を交差させてなることを特徴とする。コアとクラッド
の屈折率波長曲線が交差する点で、コアとクラッドの屈
折率が逆転するので、特定の波長以上又は以下の波長の
光のみを導波し、その電磁界を拡大する。
【0019】次に、請求項5記載の発明の光導波路の製
造方法は、光学ガラスからなるコアの上にコアとは転移
温度の異なる光学ガラスからなるクラッドを被覆して光
導波路を形成する第1の工程と、前記光導波路を熱処理
してコアとクラッドの屈折率差を変化させる第2の工程
とを含み、前記コアとクラッドには、前記転移温度の差
が10℃以上である光学ガラスを選択することを特徴と
する。コアとクラッドには転移温度の異なる光学ガラス
を選択するので、熱処理することにより、コアとクラッ
ドの屈折率又は屈折率波長曲線を変化させることが容易
であり、転移温度の差が10℃以上あれば、熱処理がコ
アとクラッドに与える影響によって、屈折率差を変化さ
せる条件を選定することが容易である。
【0020】また、請求項6記載の発明は、請求項5記
載の光導波路の製造方法において、前記第2の工程は、
常温から所定の保持温度まで昇温する加熱ステップと、
所定の保持温度に所定時間保持する保持ステップと、保
持温度から常温まで冷却する冷却ステップとからなり、
前記保持温度の選択によって前記屈折率差の変化の程度
を調整することを特徴とする。保持温度の選択によっ
て、コアとクラッドに与える影響の程度を変えうるの
で、コアとクラッドの屈折率差をさらに容易に変化させ
ることができる。
【0021】さらに、請求項7記載の発明は、請求項5
又は6記載の光導波路の製造方法において、前記第2の
工程の冷却ステップの冷却速度によって前記屈折率差の
変化の程度を調整することを特徴とする。加熱ステップ
と保持ステップにおいて上昇した屈折率の冷却による低
下の度合いは冷却速度とガラス材の種類によって異なる
ので、コア材とクラッド材が異なる場合冷却速度によっ
ても屈折率差を変えることができ、屈折率差の変化を多
様化させることができる。
【0022】そして、請求項8の発明は、請求項7記載
の光導波路の製造方法において、前記第2の工程の冷却
ステップは、保持温度から中間温度まで冷却する徐冷過
程と中間温度から常温まで冷却する急冷過程とからなる
ことを特徴とする。冷却速度が遅いと、保持ステップに
おいて変化させた屈折率差があまり変らないので、中間
温度までの徐冷過程を設けることにより、屈折率差の制
御が容易になり、中間温度からの急冷過程を設けること
により、熱処理時間を短縮できる。
【0023】
【実施の形態】以下、本発明の実施の形態について説明
する。図1は、本発明の光導波路の断面図で、同図
(a)は縦断面図、同図(b)はそのY−Y断面図であ
る。光導波路1は、コア2の上にクラッド3を被覆した
光導波路本体4に保護被膜5を被覆してなる分散性光フ
ァイバである。コア2及びクラッド3は、転移温度の異
なる光学ガラスからなり、光導波路本体4の一部4bは
後述する熱処理が施されていて、コア2とクラッド3の
屈折率差が非熱処理部分4aとは異なる。保護皮膜5
は、シリコーン樹脂、紫外線硬化樹脂など適宜選択され
る材料で形成される。
【0024】図2は、屈折率波長特性を示す図であり、
図2(a)は、非熱処理部分4aの屈折率波長特性の一
例であり、A1 はコアの屈折率波長特性、B1 はクラッ
ドの屈折率波長特性である。そして、図2(b)は、熱
処理部分4bの屈折率波長特性の一例であり、A2 はコ
アの屈折率波長特性、B2 はクラッドの屈折率波長特性
である。両者を比較すれば明らかなように、熱処理によ
って、コア2bの屈折率波長曲線がA1 からA2 に、ク
ラッド3bの屈折率波長曲線がB1 からB2 に変化した
ものである。
【0025】導波光の波長がλ1の場合、屈折率差は、
非熱処理分ではδ11であったものが熱処理部分ではδ12
に減少しており、また波長λ2に対しては、非熱処理分
ではδ21であったものが熱処理部分では逆転した差がδ
22となっている。図3は光導波路を伝搬する光の電磁界
の模式図である。非熱処理部分4aでは、屈折率は、波
長がλ1であっても、λ2であってもコア2aの方がク
ラッド3aよりも屈折率が大きいから、図3に示すよう
に、導波光Laはコア内に閉じ込められて伝搬される。
しかし、熱処理部分4bに至ると、波長がλ1の場合の
ように屈折率差δ12が小さいか、又はδ22のように逆転
しているため、導波光の電磁界Lbがコアの外へと広が
り、又は放射される。
【0026】導波光の波長がλ1の場合は、熱処理部分
4bでの屈折率差はδ12が小さいからあるモード番号以
上の高次モードは濾波され、それより低次のモードは導
波されるとともに、その電磁界が拡大される。また、波
長λ2の場合は、熱処理部分4bで屈折率の大きさが逆
転するので、導波の条件が成立しなくなり、光導波路外
に放射される。さらに、熱処理部分のコア2bとクラッ
ド3bの屈折率波長曲線A2 ,B2 が交差する場合は、
この交点の波長を上限又は下限とする波長域の光のみが
導波され、その電磁界が拡大される。
【0027】上記の例では、非熱処理部分4aのコアの
屈折率波長曲線A1 が、クラッドの屈折率波長曲線B1
よりも大きいものとしたが、その逆であってもよい。ま
た、非熱処理部分4aが図2(b)のように屈折率波長
曲線が交差していて、熱処理部分が図2(a)のように
両屈折率波長曲線が離れたものであってもよい。後述す
るように、コア材、クラッドー材の性質と熱処理のしか
たによって、両屈折率波長曲線が接近し、交差する場合
もあれば、逆に離れる場合もあるので、コアとクラッド
の材料に応じて、熱処理方法を適宜選択すればよい。
【0028】また、導波路の種類も、図1のようなコア
が1本で横断面円形の光ファイバに限定されるものでは
なく、コアが複数のもの、クラッドが矩形状のもの、水
平に配設された複数のコアを矩形状にクラッドで被覆し
た光ファイバアレイなど各種の形態のものが含まれる。
【0029】次に、本発明の光導波路の製造方法の実施
の形態について説明する。図4は、本発明の光導波路の
製造方法の説明図である。図4において、光導波路本体
4は、例えばロッドインチューブ法などによって、光学
ガラスからなるコア2の上にコア2とは転移温度の異な
る光学ガラスからなるクラッド3を被覆して形成され
る。さらに、その上に適宜選択されるシリコーン樹脂、
紫外線硬化樹脂などが塗布され硬化されて保護被膜5と
なり、分散性光ファイバ1が形成される。コア2及びク
ラッド3の材料は、転移温度の異なる光学ガラスであれ
ばよいが、例えば、コア材にHOYA社製のBaCED4(主
な成分SiO2-B2O3-BaO )を、クラッド材には小原硝子社
製のF11 (主な成分SiO2-B2O3-Na2O-K2O-TiO2 )などの
多成分ガラスを用いることが好ましい。コア2の転移温
度TA とクラッド3の転移温度TB との差θが、10℃
以上あれば、加熱により屈折率差δを変化させるのが容
易であるが、10℃未満であるとコア2とクラッド3に
与える熱処理の影響の差が少ないため屈折率差δの変化
も生じにくい。また、転移温度の差θが大き過ぎると母
材やファイバの製造がむずかしくなるので、100℃以
下であることが望ましい。
【0030】次いで、その一部の区間4cの保護被膜5
を除去し、光導波路本体4を露出させる。露出した光導
波路本体4の一部4bを所定の条件で加熱器H、例えば
電熱ヒータを用いて熱処理する。加熱器Hは電熱ヒータ
に限られるものではなく、ガスバーナその他温度制御が
可能なものであればよい。図5は、熱処理工程の温度−
時間曲線の一例である。熱処理工程は、時間t0から時
間t1 までの加熱により温度を上昇させる加熱ステップ
a、時間t1 から時間t2 までのほぼ一定の温度に保持
する保持ステップb、時間t2 から時間t3 までの冷却
により温度を下降させる冷却ステップcからなる。
【0031】保持温度TMAX の選択によって、コア2と
クラッド3に与える影響の程度を変えうるので、コアと
クラッドのうち転移温度が保持温度TMAX に近い方が、
相対的に屈折率が大きく変化するので、屈折率差も変化
する。また、保持温度TMAX は、コアの転移温度TA
クラッドの転移温度TB のうち低い方の温度よりもあま
り高くし過ぎると、転移温度の低い方の材料が溶融して
しまうおそれがあり好ましくない。保持温度TMAX は上
記二つの点を考慮して適宜選択し所望の屈折率差を得
る。
【0032】冷却ステップcにおいて、冷却速度が速い
ほど屈折率の低下は大きく、この低下の度合はガラスの
材質により異なるので、材質に応じた冷却速度の選択に
よって屈折率の低下の度合が変化する。したがって、冷
却速度の調整によっても、屈折率差を調整できる。冷却
速度を遅くすると、加熱ステップ、保持ステップで拡大
された屈折率差が保持され易いので好ましい。また、冷
却ステップを、時間t2 から時間tm までの間に相対的
に遅い速度で最高温度TMAX から中間温度TMED まで冷
却する徐冷ステップc1と、時間tmから時間t3 まで
の間に相対的に速い速度で中間温度TMED から常温T0
まで冷却する急冷ステップc2とに分けるのが好まし
い。中間温度までの徐冷過程を設けることにより、加熱
ステップ、保持ステップで拡大された屈折率差が保持さ
れ易くなるので屈折率差の制御が容易になり、しかも中
間温度からの急冷過程を設けることにより、熱処理時間
を短縮できるからである。
【0033】
【実施例】コア材にHOYA社製のBaCED4(主な成分Si
O2-B2O3-BaO )を、クラッド材小原硝子社製の F11(主
な成分SiO2-B2O3-Na2O-K2O-TiO2 )を用いてロッドイン
チューブ法により分散性光ファイバ1を製造した。クラ
ッド径127μm、コア径12.5μmであった。転移
温度は、BaCED4が645℃、F11 が590℃、線膨張係
数は、BaCED4が71×10-7/K、F11 が89×10-7
/Kである。線引後のファイバについて、RNF(re
fracted near−field)法によって波
長0.633μmで屈折率分布の測定をおこなったとこ
ろ、図6の通りであった。FA はファイバのコアの屈折
率、FB はクラッドの屈折率である。比較のためにバル
クのコア材の屈折率分布Mを示した。MA はコア材の屈
折率、MB はクラッド材の屈折率である。コア2よりも
クラッド3の方が、線引時の冷却による屈折率の低下は
大きいことがわかる。バルクの屈折率波長曲線を計算に
より求め、これをコア2とクラッド3の上記屈折率差に
したがって各屈折率波長特性を平行移動して、分散性光
ファイバ1の屈折率波長特性を推定した。その結果を図
7に示す。図7において、A0 はコア材のバルクの屈折
率波長曲線、B0 はクラッド材のバルクの屈折率波長曲
線、A1 はファイバのコアの屈折率波長曲線、B1 はフ
ァイバのクラッドの屈折率波長曲線である。バルクの波
長屈折率曲線A0 及びB0の交点は0.75μmである
のに対し、ファイバでは、両曲線は波長0.52μmの
付近で交差している。すなわち、交点は短波長側に移行
している。
【0034】上記の分散性光ファイバ1を、図5に示す
熱処理曲線にしたがって熱処理した。保持時間を1時
間、保持温度TMAX から中間温度TMED までの温度差を
150℃、徐冷過程c1での冷却速度50℃/hrと
し、保持温度を440℃、530℃、590℃と変化さ
せて試料を作製した。作製した分散性光ファイバ約15
cmについてその両端に石英系シングルモード光ファイ
バを接続し、白色光源とスペクトラムアナライザを用い
てカットバック法で挿入損失を測定した。その結果を図
8に示す。図8において、は熱処理なし、は保持温
度590℃、は保持温度530℃、は保持温度44
0℃の場合である。挿入損失が無限大に近づく波長は、
コア2とクラッド3の屈折率波長曲線の交差する点であ
るが、この交点の波長が、440℃、590℃、530
℃の順で長波長側に移動していることが分かる。590
℃の方が530℃よりも熱処理の影響は大きいのに59
0℃よりも移動が少ないのは、転移温度の低いクラッド
3だけでなく転移温度の高いコア2にも影響を与えるた
めと考えられる。また、440℃の場合に交点の移動が
少ないのは、転移温度の高いコア2に対しては勿論、転
移温度の低いクラッド3へのの影響も少なく両方とも屈
折率の変化が小さいためである。
【0035】次に、上記の保持温度590℃の場合で、
徐冷過程c1での冷却速度を5℃/hr、2℃/hrと
した場合の試料についても同様の挿入損失を測定した。
その結果を、図9に示す。図9において、は冷却速度
が50℃/hrの場合、は冷却速度が5℃/hrの場
合、は冷却速度が2℃の場合である。冷却速度の遅い
方が交点が長波長側に移動することが分かる。これは、
冷却速度が遅くなるほどバルクの屈折率に近づくためで
あり、またクラッド材F11 の方がコア材のBaCED4よりも
転移温度が低いために、冷却速度を遅くするとバルクの
屈折率により近づくからである。
【0036】同様にして、コア材をHOYA社製の BaC
D9(主な成分SiO2-B2O3-BaO )でクラッド材を F11(主
な成分SiO2-B2O3-Na2O-K2O-TiO2 )としたものを作製し
た。保谷硝子社製のBaCD9 の転移温度は640℃、線膨
張係数は73×10-7/Kである。クラッド径は12
4.3μm、コア径は11.7μmである。保持温度T
MAX を610℃としたとき、保持時間は1分〜数分で十
分な屈折率差の変化が得られた。
【0037】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明のうち請
求項1記載の発明は、コア材とクラッド材が、転移温度
の異なる光学ガラスからなるため、熱処理によってそれ
ぞれが受ける影響の程度が異なり、屈折率が変化する程
度も異なるため、構造に変化を与えることなく、熱処理
するだけでその部分のコアとクラッドの屈折率差を異な
らせた光導波路が安価に得られ、屈折率差の小さい部分
で導波光の電磁界が拡大され、またコアよりもクラッド
の方が屈折率が大きい場合は導波光が放射されるので、
各種の光デバイスに使用できる。
【0038】請求項2記載の発明の光導波路は、請求項
1記載の発明の効果のうち、熱処理部分と前記非熱処理
部分のうちコアとクラッドの屈折率差の小さい部分で高
次モードを濾波し、それより低次のモードのみを導波す
るとともに、その電磁界を拡大するので、他の光導波路
素子とのアクセスを容易にする。
【0039】請求項3記載の発明は、請求項1記載の発
明の効果のうち、導波光に対するコアとクラッドの屈折
率の大きさが逆転しているので、コアよりもクラッドの
屈折率が高い部分で導波光がすべて放射モードとなり、
導波を阻止されるので、フィルターなどに利用できる。
【0040】また、請求項4に記載の発明は、前記1乃
至3記載の発明の効果に加え、コアとクラッドの屈折率
波長曲線が交差する点で、コアとクラッドの屈折率が逆
転するので、コアの方がクラッドよりも屈折率が大きい
波長域では、波長の選択によって光の電磁界の拡大の程
度を適切に選択でき、クラッドの方がコアよりも屈折率
が大きい波長域の導波光は導波を阻止されるのでフィル
ターとして利用されるなど、種々の用途に利用できる。
【0041】次に、請求項5記載の発明は、コアとクラ
ッドには転移温度の異なる光学ガラスを選択するので、
熱処理することにより、コアとクラッドの屈折率を変化
させることが容易であり、転移温度の差が10℃以上あ
れば、熱処理がコアとクラッドに与える影響によって、
屈折率差を変化させる条件を選定することが容易であ
る。
【0042】また、請求項6記載の発明は、請求項5記
載の発明の効果に加えて、保持温度の選択によって、コ
アとクラッドに与える影響の程度を変えうるので、コア
とクラッドの屈折率差をさらに容易に変化させることが
できる。
【0043】さらに、請求項7記載の発明は、請求項5
又は6記載の発明の効果に加えて、加熱ステップと保持
ステップにおいて上昇した屈折率の冷却による低下の度
合いは冷却速度とガラス材の種類によって異なるので、
コア材とクラッド材が異なる場合冷却速度によっても屈
折率差を変えることができ、屈折率差の変化を多様化さ
せることができる。
【0044】そして、請求項8の発明は、請求項7記載
の発明の効果に加えて、冷却速度が遅いと、保持ステッ
プにおいて変化させた屈折率差があまり変らないので、
中間温度までの徐冷過程を設けることにより、屈折率差
の制御が容易になり、中間温度からの急冷過程を設ける
ことにより、熱処理時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光導波路の断面図
【図2】屈折率波長特性を示す図
【図3】光導波路を伝搬する光の電磁界の模式図
【図4】本発明の光導波路の製造方法の説明図
【図5】熱処理工程の温度−時間曲線
【図6】本発明の分散性光ファイバの屈折率分布
【図7】本発明の分散性光ファイバの屈折率波長曲線
【図8】本発明の分散性光ファイバの挿入損失特性図
【図9】本発明の分散性光ファイバの挿入損失特性図
【図10】従来の光分岐・結合器の模式図
【符号の説明】
1 光導波路 2 コア 2a 非熱処理部分のコア 2b 熱処理部分のコア 3 クラッド 3a 非熱処理部分のクラッド 3b 熱処理部分のクラッド 4 光導波路本体 4a 光導波路本体の非熱処理部分 4b 光導波路本体の熱処理部分 5 保護被膜 A1 非熱処理部分のコアの屈折率波長曲線 B1 非熱処理部分のクラッドの屈折率波長曲線 A2 熱処理分のコアの屈折率波長曲線 B2 熱処理分のクラッドの屈折率波長曲線 δ 屈折率差 λ 導波光の波長 TMAX 保持温度

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コアとその上に被覆されたクラッドとを
    有する光導波路であって、その一部分を熱処理すること
    によりこの熱処理部分のコアとクラッドの屈折率差を非
    熱処理部分とは異ならせてなり、前記コアとクラッド
    は、転移温度の異なる光学ガラスからなることを特徴と
    する光導波路。
  2. 【請求項2】 前記熱処理部分と前記非熱処理部分は、
    いずれの部分も導波光に対する屈折率がクラッドよりも
    コアの方が大きく、且つその屈折率差はいずれかの部分
    が他の部分よりも小さいことを特徴とする請求項1記載
    の光導波路。
  3. 【請求項3】 前記熱処理部分と前記非熱処理部分と
    は、導波光に対するコアとクラッドの屈折率の大きさが
    逆転してなることを特徴とする請求項1記載の光導波
    路。
  4. 【請求項4】 前記熱処理部分又は非熱処理部分のいず
    れかが、コアとクラッドの屈折率波長曲線を交差させて
    なることを特徴とする請求項1乃至3記載の光導波路。
  5. 【請求項5】 光学ガラスからなるコアの上にコアとは
    転移温度の異なる光学ガラスからなるクラッドを被覆し
    て光導波路を形成する第1の工程と、前記光導波路を熱
    処理してコアとクラッドの屈折率差を変化させる第2の
    工程とを含み、前記コアとクラッドには、前記転移温度
    の差が10℃以上である光学ガラスを選択することを特
    徴とする光導波路の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記第2の工程は、常温から所定の保持
    温度まで昇温する加熱ステップと、所定の保持温度に所
    定時間保持する保持ステップと、保持温度から常温まで
    冷却する冷却ステップとからなり、前記保持温度の選択
    によって前記屈折率差の変化の程度を調整することを特
    徴とする請求項5記載の光導波路の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記第2の工程の冷却ステップの冷却速
    度によって前記屈折率差の変化の程度を調整することを
    特徴とする請求項5又は6記載の光導波路の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記第2の工程の冷却ステップは、保持
    温度から中間温度まで冷却する徐冷過程と中間温度から
    常温まで冷却する急冷過程とからなることを特徴とする
    請求項7記載の光導波路の製造方法。
JP8134441A 1996-04-30 1996-04-30 光導波路及びその製造方法 Pending JPH09297227A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8134441A JPH09297227A (ja) 1996-04-30 1996-04-30 光導波路及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8134441A JPH09297227A (ja) 1996-04-30 1996-04-30 光導波路及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09297227A true JPH09297227A (ja) 1997-11-18

Family

ID=15128434

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8134441A Pending JPH09297227A (ja) 1996-04-30 1996-04-30 光導波路及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09297227A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002539616A (ja) * 1999-03-08 2002-11-19 オプティゲイン インコーポレイテッド 側面ポンプ・ファイバ・レーザ
JP2014211516A (ja) * 2013-04-18 2014-11-13 日立金属株式会社 通信光検知構造並びにこれを備えた通信光検知光コネクタ及び通信光検知光ケーブル
WO2020195411A1 (ja) * 2019-03-28 2020-10-01 株式会社フジクラ 余剰光除去ファイバ、余剰光除去ファイバの製造方法、及びファイバレーザ装置

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002539616A (ja) * 1999-03-08 2002-11-19 オプティゲイン インコーポレイテッド 側面ポンプ・ファイバ・レーザ
JP2014211516A (ja) * 2013-04-18 2014-11-13 日立金属株式会社 通信光検知構造並びにこれを備えた通信光検知光コネクタ及び通信光検知光ケーブル
US9246581B2 (en) 2013-04-18 2016-01-26 Hitachi Metals, Ltd. Communication light detecting structure, communication light detecting optical connector including the communication light detecting structure, and communication light detecting optical cable including the communication light detecting structure
WO2020195411A1 (ja) * 2019-03-28 2020-10-01 株式会社フジクラ 余剰光除去ファイバ、余剰光除去ファイバの製造方法、及びファイバレーザ装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Suzuki et al. Integrated-optic double-ring resonators with a wide free spectral range of 100 GHz
Shiraishi et al. Beam expanding fiber using thermal diffusion of the dopant
US7677060B2 (en) Method for manufacturing optical fiber and the cooling of the optical fiber
JPH07294767A (ja) 単一モード・エバネセント波光結合器の製造方法
US9354395B2 (en) Optical waveguide element and method of producing the same
AU3779200A (en) Method of manufacturing polarization-maintaining optical fiber coupler
JP3802843B2 (ja) 光ファイバの製造方法
JP2855832B2 (ja) 石英系光導波路の製造方法
JPH09297227A (ja) 光導波路及びその製造方法
US7200304B2 (en) Multimode optical fiber coupler and fabrication method
US6856734B1 (en) Waveguide structure using polymer material and method
JPS6333706A (ja) フアイバ型光波回路素子及びその製造方法
Nishimura et al. Control of spectral characteristics of dispersive optical fibers by annealing
US6775450B2 (en) Micro-structured optical fibers
JP2582062B2 (ja) 光ファイバの線引き方法
GB2329721A (en) Optical attenuator
Melloni et al. TriPleX: A new concept in optical waveguiding
KR100321855B1 (ko) 광대역파장대에서도파로특성의분산광섬유
JPH09304637A (ja) 光デバイス
JP2828251B2 (ja) 光ファイバカプラ
Morishita et al. Refractive-index changes and long-period fiber gratings made by rapid solidification
JPH02145448A (ja) 光フアイバ母材の製造方法
CA2306325A1 (en) Mmi thermo-optic coupler
Hewak et al. The fabrication and modelling of non-silica microstructured optical fibres
JPH07253516A (ja) モードフィールド径拡大光導波路及びその製造方法