JPH09296535A - 吸音板およびその製法 - Google Patents

吸音板およびその製法

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JPH09296535A
JPH09296535A JP8111029A JP11102996A JPH09296535A JP H09296535 A JPH09296535 A JP H09296535A JP 8111029 A JP8111029 A JP 8111029A JP 11102996 A JP11102996 A JP 11102996A JP H09296535 A JPH09296535 A JP H09296535A
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sound absorbing
layer
resin
base material
surface decorative
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JP8111029A
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Masao Imanishi
正夫 今西
Akira Kaneko
明 金子
Kenji Ito
研二 伊藤
Yasutaka Nakamura
康敬 中村
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Yamaha Corp
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Yamaha Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基材粒子が樹脂で結着されてなる基材層と表
面化粧層とからなる吸音板において、前記表面化粧層の
接着状態が良好で、かつ容易に製造でき、十分な吸音性
能を有する吸音板を提供する。 【解決手段】 基材粒子6・・・を樹脂で被覆し、結着し
てなる基材層7と、表面化粧層4とを、高開口率の繊維
状材料に樹脂が含浸、硬化されてなる接着層5aを介し
て接着して吸音板8とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は音響スタジオの壁や
天井に貼設されて好適な吸音板とその製法に関し、特に
その表面化粧層の接着状態が良好な吸音板に関する。
【0002】
【従来の技術】従来この種の吸音板として、特開平06
−202668号公報には図7に示したような構造の吸
音板2が開示されている。この吸音板2は、セラミック
粒子などの基材粒子6・・・が相互に結着されてなる基材
層7と、音響透過性の表面化粧層4とから構成されてお
り、この基材層7がある程度の剛性を有するため、支持
体などの部材を必ずしも必要としないものである。この
吸音板2は、表面化粧層4となる表面化粧材上に、予め
樹脂で被覆した基材粒子6・・・を散布、積層し、これら
を熱圧一体成形して製造する。このとき前記基材粒子6
・・・を被覆した樹脂によって、これら基材粒子6・・・が相
互に結着されるとともに、表面化粧層4と基材層7とが
接着され、この吸音板2が形成される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
吸音板2においては、表面化粧層4と基材層7の接触は
複数の基材粒子6・・・の点接触であり、これら基材粒子
6・・・に被覆された樹脂によってのみ表面化粧層4と基
材層7とが接着されているので、この表面化粧層4の接
着状態が十分ではない場合がある。特に大板成形に供す
る場合、成形用金型からの脱型後、表面化粧層4を構成
する表面化粧材の一部がはがれて浮きあがってしまった
りすることが、わずかではあるが起こることがあった。
【0004】また、前記表面化粧層4の接着状態を改善
するために、基材粒子6・・・を被覆する樹脂量を増加さ
せる方法が考えられるが、このようにすると基材層7の
空隙率が低下し、結果として、吸音板2の吸音性能が低
下する。本発明は、このような事情に鑑みてなされたも
のであって、基材粒子が樹脂で結着されてなる基材層と
表面化粧層とからなる吸音板において、前記表面化粧層
の接着状態が良好で、かつ容易に製造でき、十分な吸音
性能を有する吸音板を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記課題は、基材粒子を
樹脂で結着してなる基材層と、表面化粧層とを、高開口
率の繊維状材料に樹脂を含浸、硬化されてなる接着層を
介して接着して吸音板とすることによって解決できる。
また、前記吸音板において、基材層の表面化粧層が接着
されていない面には、高開口率の繊維状材料に樹脂が含
浸、硬化されてなる補強層を設けることもできる。ま
た、前記吸音板は、表面化粧材、高開口率の繊維状材料
に樹脂を含浸、半硬化されてなるプリプレグ、樹脂被覆
基材粒子または粒状吸音材を積層し、これらを同時に熱
圧一体成形することによって製造できる。
【0006】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の吸音板の一例の
構造を示したもので、複数個の基材粒子6・・・を樹脂で
被覆し、結着してなる基材層7の片面に、高開口率の繊
維状材料に樹脂が含浸、硬化されてなる接着層5aを介
して、表面化粧層4が接着されて吸音板8が構成されて
いる。図2は、図1に示したものに補強層5bを設けた
もので、基材層7の他の面に、高開口率の繊維状材料に
樹脂が含浸、硬化されてなる補強層5bが接着されてこ
の吸音板10が構成されている。
【0007】前記表面化粧層4には、厚さが0.1〜1.
0mm程度の木質単板、クロス、不織布などの表面化粧材
が用いられ、具体的にはナラ、チーク、タモなどの突き
板が好適に用いられる。この表面化粧層4は、音響的に
は吸音性をほとんど示さず、音響透過性である。
【0008】前記基材層7を形成する基材粒子6・・・と
しては、天然石、砂、セラミック粒体あるいは、黒曜
石、真珠石、抗火石、シラスなどの天然石の発泡体やガ
ラスおよび各種セラミックの発泡体などが用いられ、特
にこれらの発泡体を用いると軽量化が図れるので好まし
い。その粒径は、0.1〜2.0mm程度とされる。また、
これらを被覆し、結着する樹脂としては、熱硬化性樹脂
が好ましく、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、フェノ
ール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂などが用いられ
る。これら基材粒子6・・・と樹脂との割合は、基材粒子
6・・・に対して樹脂が2.0〜20.0重量%程度とされ
る。2.0重量%未満であると、基材粒子6・・・を十分に
結着させることができず、20.0重量%を越えると基
材層7の吸音性能が低下する。基材層7の厚さは、要求
される吸音性能に応じて決定されるが、通常10〜30
mm程度とされ、その空隙率は5〜50体積%とされる。
5体積%未満では十分な吸音性能が得られず、50体積
%を越えると、吸音板の強度が低下する。
【0009】前記接着層5aまたは補強層5bを形成す
る繊維状材料としては、ガラス繊維、カーボン繊維、合
成繊維等の繊維からなる織布、編布などが用いられ、な
かでもガラスクロスなどが好ましい。この接着層5aの
開口率(目開きの割合)は、35〜95面積%とされ
る。35%未満であると接着層5aの音響透過性が得ら
れず、95%を越えると樹脂を十分に含浸させることが
できないため、接着層5aの接着能力が低下する。この
繊維状材料の繊維束の幅は0.1〜2.0mmであると望
ましく、0.1mm未満であると前記接着層5aの接着能
力が低下し、2.0mmを越えると接着層5aの音響透過
性が得られない。また、この繊維状材料の繊維間の平均
間隔は0.5〜10mmであると望ましく、0.5mm未満
であると接着層5aの音響透過性が得られず、10mmを
越えると接着層5aの接着能力が低下する。
【0010】この接着層5aに含浸する樹脂としては、
フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹
脂、メラミン樹脂などの熱硬化性樹脂を好適に用いるこ
とができる。これらの樹脂を前記繊維状材料に含浸する
割合は、この繊維状材料に対して10〜50重量%程度
であると好ましい。10重量%未満であると接着が不十
分となり、50重量%を越えると、接着層5aの音響透
過性が得られなくなる。また、接着層5aの厚さは、通
常0.1〜0.2mmとされる。このように、この接着層
5aは、十分な開口率が確保された高開口率の繊維状材
料に樹脂が含浸、硬化されたものであるので、表面化粧
層4と同様に音響透過性であり、基材層7の吸音性能を
低下させることがないようになっている。また、補強層
5bは開口率、繊維束の幅、繊維間の平均間隔などは特
に制限されない。含浸する樹脂とその含浸樹脂量は、接
着層5aと同様であることが望ましい。また、この補強
層5bは必須ではなく、補強が必要な場合に適宜設ける
ことができる。
【0011】上述の図1に示した吸音板8にあっては、
基材層7は無数の微小な空隙を有し、通気性を有するた
め、優れた吸音性能をもち、この基材層7の空隙率を変
化させることにより、その吸音率を任意に設定すること
ができる。また、接着層5aに含浸、硬化された樹脂に
よって、接着層5aと表面化粧層4とは十分に面接着さ
れ、基材層7も接着層5aと十分に接着されているの
で、表面化粧層4の接着状態が良好で、成形用金型から
の脱型後にこの表面化粧層4を構成する表面化粧材の一
部がはがれて浮きあがってしまったりすることがないよ
うになっている。
【0012】また、この接着層5aは、開口率が十分に
確保された高開口率の繊維状材料に樹脂が含浸、硬化さ
れたものであるので、表面化粧層4と同様に音響透過性
であり、基材層7の吸音性能を低下させることがないよ
うになっている。また、この接着層5aは、吸音板8の
剛性を高める補強材の役割もするようになっている。さ
らに、表面化粧層4はこの接着層5aによって十分に接
着されているので、この表面化粧層4もこの吸音板8の
剛性を高める補強材の役割をする。このように、この吸
音板8は、基材層7の吸音性能を低下させずに、表面化
粧層4の接着状態を向上させ、さらに接着層5aと表面
化粧層4とによって剛性が高められるようになってい
る。また、図2に示した吸音板10は、上述の効果に加
えて、さらに補強層5bによって剛性が高められたもの
である。この補強層5bは前記接着層5aと同様に高開
口率繊維状材料からなり、音響透過性であるので、やは
り基材層7の吸音性能を低下させないようになってい
る。
【0013】つぎに、図1、2に示した吸音板8、10
の製法の例について説明する。 [材料準備工程]表面化粧材を所定の寸法に切断する
(表面化粧層4の材料)。繊維状材料に熱硬化性樹脂を
含浸させ、半硬化してプリプレグとし、これを所定の寸
法に切断する。この樹脂の半硬化温度は、例えばフェノ
ール樹脂を用いる場合は、約100℃である(接着層5
aまたは補強層5bの材料)。所定の粒度に調節された
基材粒子を80〜200℃に加熱し、水冷されている撹
拌容器に投入する。撹拌開始後、粉体状あるいは液状の
未硬化の熱硬化性樹脂を加えて、基材粒子を熱硬化性樹
脂にて被覆する(基材層7の材料)。
【0014】[フォーミングおよび成形工程]成形用金
型を構成する成形用金属下板上に、順次、所定の寸法に
裁断した離型紙、表面化粧材、プリプレグを配し、この
上に、前記樹脂被覆基材粒子を散布し、積層する。最後
に離型剤を塗布した成形用金属板上板をかぶせ、ホット
プレス定盤内に置き、150〜160℃、0.1〜2.
0MPa、5〜30分の条件で熱圧一体成形する。解圧
後、成形用金型(成形用金属上板および下板)より直ち
に脱型し、自然冷却する。冷却後、所定の寸法に切断す
る。補強層5bを設ける場合には、上述の材料の積層操
作において、上述のプリプレグと同様のものを任意の位
置に配すればよい。また、離型剤を塗布した成形用金属
板下板上に、前記樹脂被覆基材粒子を散布して積層し、
この上にプリプレグ、表面化粧材、離型紙を順次積層
し、最後に成形用金属板上板をかぶせ、上述の積層順序
を逆にすることもできる。
【0015】上述の吸音板の製法において、樹脂被覆基
材粒子を散布し、積層するのにかえて、予め基材粒子を
樹脂で被覆し、結着してなる粒状吸音材を基材層7の材
料として配してもよい。この粒状吸音材は、上述のよう
にして樹脂被覆基材粒子を作成し、離型剤を塗布した成
形用金属下板上に散布し、積層し、さらに、離型剤を塗
布した成形用金属板上板をかぶせ、ホットプレス定盤内
に置き、150〜200℃、0.1〜2.0MPa、5〜
30分の条件で熱圧一体成形して製造する。解圧後、成
形用金型(成形用金属上板および下板)より直ちに脱型
し、自然冷却する。冷却後、所定の寸法に切断し、粒状
吸音材とする。
【0016】また、これら吸音板8、10の基材層7の
空隙率を変化させるには、基材粒子の径を変化させる
か、フォーミングの際の樹脂被覆基材粒子の散布量を変
化させればよい。粒状吸音材を用いる場合も同様で、基
材粒子の径またはこの粒状吸音材を製造する際の樹脂被
覆基材粒子の散布量を変化させればよい。このように、
図1、2に示した吸音板8、10は、各層を構成する材
料を順に積層し、同時に熱圧一体成形するため、製造工
程が少なく、製造コストの低減が図れる。
【0017】
【実施例】次に、実施例示して、本発明を詳細に説明す
る。表1に、実施例1〜7および比較例1〜2の吸音板
の表面化粧層および基材層について、共通の材料と、そ
の特性を示した。また、表2には接着層の材料として、
開口率の異なる繊維状材料(ガラスクロス)と3種類の
樹脂を示し、各実施例および比較例においては、これら
を1種ずつ表3に示したように組み合わせて用いた。以
下、各実施例および比較例についての具体的な手順を示
す。
【0018】(実施例1〜5,比較例2)樹脂被覆基材
粒子を用いて、以下のようにして吸音板を製造した。 [材料準備工程]表面化粧材を所定寸法に切断した。繊
維状材料(ガラスクロス)に樹脂を含浸し、半硬化させ
てプリプレグとし、所定寸法に裁断した。基材粒子60
kgを200℃に加熱し、水冷されている撹拌容器に投入
し、撹拌開始後、未硬化の樹脂4.2kgを加え、熱溶融
させ、前記基材粒子を被覆して樹脂被覆基材粒子を作成
した。
【0019】[フォーミングおよび成形工程]成形用金
属下板上に、順次、所定の寸法に裁断した離型紙、表面
化粧材、プリプレグを配し、この上に、前記樹脂被覆基
材粒子を5.5kg/m2になるように散布し、積層した。最
後に離型剤を塗布した成形用金属板上板をかぶせ、ホッ
トプレス定盤内に置き、150℃、1.5MPa、20分
の条件で熱圧一体成形した。解圧後、直ちに取り出し、
自然冷却した後、所定の寸法に切断し、吸音板とした。
このようにして製造した吸音板の厚さは10mmであっ
た。
【0020】(比較例1)プリプレグを配さない以外
は、上述の実施例1〜5、比較例2と同様にして吸音板
を製造した。
【0021】(実施例6〜7)粒状吸音材を用いて、吸
音板を製造した。 [材料準備工程]実施例1〜5,比較例2と同様にし
て、表面化粧材とプリプレグを準備した。また、実施例
1〜5、比較例2と同様にして作成した樹脂被覆基材粒
子を、フッ素系離型剤の希釈液を塗布した成形用金属下
板上に5.5kg/m2になるように散布、積層し、この上に
離型剤を塗布した成形用金属板上板をかぶせ、ホットプ
レス定盤内に置き、150℃、1.5MPa、20分の条
件で成形した。解圧後、成形用金型(成形用金属上板お
よび下板)より直ちに脱型し、自然冷却した後、所定の
寸法に切断して粒状吸音材とした。この粒状吸音材の厚
さは10mmであった。
【0022】[フォーミングおよび成形工程]成形用金
属下板上に、順次、所定の寸法に裁断した離型紙、表面
化粧材、プリプレグ、粒状吸音材を配した。最後に離型
剤を塗布した成形用金属板上板をかぶせ、ホットプレス
定盤内に置き、150℃、2.0MPa、12分の条件で
熱圧一体成形した。解圧後、成形用金型(成形用金属上
板および下板)より直ちに脱型し、自然冷却した後、所
定の寸法に切断し、吸音板とした。このようにして製造
した吸音板の厚さは10mmであった。
【0023】このようにして製造した吸音板について、
表面化粧層の接着状態の試験と、吸音率の測定を行っ
た。表面化粧層の接着状態は、上述の吸音板の製造にお
いて、成形用金型からの脱型後の表面化粧層の浮きの有
無を観察し、また、図8に示した片面粘着テープによる
試験を行って評価した。図8中符号8は、片面粘着テー
プであり、テープ状の薄いセロハンの片面に粘着剤が塗
布されたものである。以下にこの試験方法について説明
する。まず、幅23mmの片面粘着テープ8の一端の50
mm分を表面化粧層4上に十分に接着した(片面粘着テー
プ8の接着された部分の大きさは23mm×50mm)。つ
いで、この片面粘着テープ8の接着されていない部分の
端を持ち、表面化粧層4に対して斜め45度に向けて勢
いよく引っ張り、片面粘着テープ8を一気に剥し、前記
表面化粧層4を形成する表面化粧材の一部がはがれて前
記片面粘着テープ8に付着するかどうか観察した。
【0024】この結果、接着層を設けた実施例1〜7お
よび比較例2においては、成形用金型からの脱型後の表
面化粧層の浮きは観察されず、また片面粘着テープに表
面化粧材が付着することもなく、表面化粧層の接着状態
が良好であった。これに対して、接着層が設けられてい
ない比較例1は、成形用金型からの脱型後の表面化粧層
の浮きが観察され、また片面粘着テープに表面化粧材が
付着し、表面化粧層の接着状態が不十分であることがわ
かった。表3に、これらの結果をまとめて、表面化粧層
の接着状態が良好であった場合には○、その接着状態が
不十分であった場合には×で示した。
【0025】吸音率は、残響室法(JIS A 140
9)により、背後空気層を設けない場合について測定
し、吸音板が望ましい吸音性能を有するかどうか評価し
た。すなわち、測定試料(試料サイズ:2730×36
40×10mm)を容積267.55m3の残響室内の床面
の中央部に集中配置した場合の残響時間と、残響室内に
試料を入れない場合の所定の中心周波数における残響時
間を測定し、これら残響時間測定値の平均値から以下の
式によって残響室法吸音率(以下吸音率と略記する)を
算出した。このとき、残響時間測定時の温度は20℃、
湿度は60%であった。 α=(55.3 V/cS)(1/T1−1/T2) ここに、α : 吸音率*1 : 試料を残響室内に入れた状態における残響時間
(s) T2 : 試料を残響室内に入れない状態における残響時
間(s) V : 残響室容積(m3) S : 試料面積(m2) c : 空気中の音速(m/s) c=331.5+0.61t t : 空気の温度(℃) *)吸音率を百分率にて表す場合はαの値を百倍とす
る。
【0026】図3〜5には周波数と吸音率の関係を示し
た。図3には、接着層が設けられていない比較例1(曲
線1b)と、接着層を形成するガラスクロスの開口率が
異なる比較例2(曲線2b)および実施例1〜3(曲線
1a〜3a)の結果を示した。図4には接着層のガラス
クロスに含浸した樹脂の異なる実施例2,4,5(曲線
2a,4a,5a)の結果を示した。図5には、粒状吸
音材の測定結果(曲線A)と、この粒状吸音材を用い、
接着層を形成するガラスクロスの開口率が異なる実施例
6,7(曲線6a,7a)の結果を示した。
【0027】ところで、音響スタジオなどの音響コント
ロールがなされた部屋における平均吸音率は、使用目的
周波数域において25〜35%程度である必要がある。
この条件を満足するためには、この部屋の床の吸音性能
は設計上期待できないので、その壁や天井に貼設される
吸音板の平均吸音率が30%以上であることが望まし
い。30%未満であると設計上の制限を受けることにな
り、実用上好ましくない。
【0028】そこで、表3には、上述の吸音率の測定結
果より、250〜2000Hzの吸音率の平均値(平均吸
音率)と、吸音性能の評価として、この平均吸音率が3
0%以上である場合は○、30%未満である場合には×
を示した。また、図6には、吸音板の接着層を形成する
ガラスクロスの開口率の変化に対する前記平均吸音率の
関係を示した(接着層を設けない場合は開口率100%
とした)。図中、樹脂被覆基材粒子を用いた吸音板につ
いては実線にて示し(比較例1,2:点1b’,2
b’;実施例1〜5:点1a’〜5a’)、粒状吸音材
を用いた吸音板については破線で示した(粒状吸音材:
A’;実施例6,7:点6a’,7a’)。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】上述の結果より、接着層を設けた実施例1
〜7および比較例2においては表面化粧層の接着状態が
良好であるのに対して、接着層を設けない比較例1は表
面化粧層の接着状態が不十分であることがわかる。ま
た、前記接着層を設けた吸音板のうち、ガラスクロスの
開口率が好ましい35〜95面積%の範囲内である実施
例1〜7においては、樹脂被覆基材粒子または粒状吸音
材のいずれを用いても良好な吸音性能が得られており、
ガラスクロスの開口率が24面積%、すなわち好ましい
35〜95面積%の範囲に属さない比較例2において
は、満足な吸音性能が得られていないことがわかる。ま
た、実施例2、4、5は、接着層を構成する樹脂をそれ
ぞれフェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミ
ン樹脂としたもので、いずれも表面化粧層の接着状態お
よび吸音性能は同等で、実用に適していることがわか
る。
【0033】
【発明の効果】本発明の吸音板においては、接着層を介
して表面化粧層および基材層とが十分に接着され、この
結果、従来の吸音板よりも表面化粧層の接着状態が良好
で、成形用金型からの脱型後にこの表面化粧層を構成す
る表面化粧材の一部がはがれて浮きあがってしまったり
することがないようになっている。また、前記接着層
は、十分な開口率が確保された高開口率の繊維状材料か
らなるので、音響透過性であり、基材層の吸音性能を低
下させることがないようになっている。また、この接着
層は、吸音板の剛性を高める補強材の役割もするように
なっている。さらに、表面化粧層はこの接着層によって
十分に接着されているので、この表面化粧層も吸音板の
剛性を高める補強材の役割をするようになっている。ま
た、基材層の空隙率を変化させてその吸音率を変化させ
ることができるので、吸音板の吸音特性を任意に設定す
ることができる。このように、本発明の吸音板は、基材
層の吸音性能を低下させずに、表面化粧層の接着状態を
向上させ、さらに接着層と表面化粧層とによって剛性が
高められるようになっている。また、前記接着層と同様
の構成からなる音響透過性の補強層を、前記基材層の表
面化粧層が設けられていない面に設けて、さらにこの吸
音板の剛性を高めることもできる。また、本発明の吸音
板は、表面化粧材、プリプレグ、樹脂被覆基材粒子また
は粒状吸音材を積層し、これらを同時に熱圧一体成形し
て製造できるので、製造工程が少なく、製造コストを低
減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の吸音板の一例を示す側断面図である。
【図2】本発明の吸音板の他の例を示す側断面図であ
る。
【図3】比較例1,2および実施例1〜3の吸音板の周
波数と吸音率の関係を示すグラフである。
【図4】実施例2,4,5の吸音板の周波数と吸音率の
関係を示すグラフである。
【図5】実施例6,7の吸音板とこれらに使用した粒状
吸音材の周波数と吸音率の関係を示すグラフである。
【図6】比較例1,2、実施例1〜7の吸音板および粒
状吸音材において、ガラスクロスの開口率と250〜2
000Hzの平均吸音率の関係を示したグラフである。
【図7】従来の吸音板の一例を示す断面図である。
【図8】吸音板の表面化粧層の接着状態を評価する片面
接着テープによる試験方法の説明図である。
【符号の説明】
4・・・表面化粧層 5a・・・接着層 5b・・・補強層 6・・・基材粒子 7・・・基材層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 康敬 静岡県浜松市中沢町10番1号 ヤマハ株式 会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材粒子を樹脂で結着してなる基材層
    と、表面化粧層とが、高開口率の繊維状材料に樹脂が含
    浸、硬化されてなる接着層を介して接着されていること
    を特徴とする吸音板。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の吸音板において、基材層
    の表面化粧層が接着されていない面に、高開口率の繊維
    状材料に樹脂が含浸、硬化されてなる補強層が設けられ
    ていることを特徴とする吸音板。
  3. 【請求項3】 表面化粧材、高開口率の繊維状材料に樹
    脂が含浸、半硬化されてなるプリプレグ、樹脂被覆基材
    粒子または粒状吸音材を積層し、これらを同時に熱圧一
    体成形することを特徴とする吸音板の製法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6489585B1 (en) 1999-07-27 2002-12-03 Matsushita Electric Works, Ltd. Electrode for plasma generation, plasma treatment apparatus using the electrode, and plasma treatment with the apparatus
JP2016504209A (ja) * 2012-11-06 2016-02-12 現代自動車株式会社Hyundaimotor Company 高耐熱吸遮音材の成形方法

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