JPH09295940A - 発情及び排卵誘発剤 - Google Patents

発情及び排卵誘発剤

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JPH09295940A
JPH09295940A JP10916196A JP10916196A JPH09295940A JP H09295940 A JPH09295940 A JP H09295940A JP 10916196 A JP10916196 A JP 10916196A JP 10916196 A JP10916196 A JP 10916196A JP H09295940 A JPH09295940 A JP H09295940A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 残留性の問題がなく、使用量の設定が容易
で、子宮内へ直接投与することによって、正常な家畜の
みならず、生殖器の機能異常を有する家畜に対しても正
常な発情及び排卵を誘発することができ、更に、子宮内
膜炎や卵胞嚢腫等の繁殖障害を引き起こす生殖器疾患の
治癒を促進させると共に、それらの家畜に正常な発情及
び排卵をも誘発することができる発情及び排卵誘発剤を
提供する。 【解決手段】 キチンを有効成分とする。前記キチンが
粒径500μm以下の微粉末状である。前記キチンがβ
型結晶構造を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、牛、馬、豚等の
家畜の雌に対し、その子宮内へ投与することによって発
情及び排卵を誘発することができる発情及び排卵誘発剤
に関する。
【0002】
【従来の技術】周知のように、牛、馬、豚等の家畜の雌
の繁殖活動とは、卵巣の卵胞発育に始まり、発情、排
卵、黄体形成、更に胚の発生、着床、妊娠の維持、分
娩、黄体の退行、及び子畜の育成等の一連の過程をい
う。分娩後、家畜の雌は、それぞれの動物種に固有な繁
殖活動の静止期間をおいて、再び繁殖活動を繰り返す。
【0003】このような一連の繁殖活動は、内分泌的及
び神経的要因等の生体側の要因に加え、栄養、気象、あ
るいは飼育管理等の環境要因の影響を大きく受けてい
る。本来、家畜の雌は、こうした要因の変化に対応でき
る機能を備えているが、種々の原因によって一時的又は
持続的に繁殖活動が正常に行われなくなることがある。
【0004】このような状態は繁殖障害と呼ばれ、その
原因としては、大別して、細菌・ウイルス・原虫・リケ
ッチア・真菌等の病原体による子宮内感染症と、卵胞嚢
腫・黄体嚢腫・黄体形成不全・黄体遺残・排卵障害等の
生殖器の機能異常によるものに分けられ、これらは、無
発情や、あるいは卵胞の発育・排卵・黄体形成は周期的
に見られるものの卵胞の成熟時に発情徴候を示さない鈍
性発情等の発情異常によって特徴付けられている。
【0005】前記子宮内感染症による発情異常の治療法
としては、子宮洗浄後の抗生物質の子宮内投与が行われ
ている。また、卵胞嚢腫・黄体嚢腫・黄体異常・排卵障
害等の生殖器の機能異常による発情異常の治療法として
は、性腺刺激ホルモン(GTH)・性腺刺激ホルモン放
出ホルモン(GnRH)・プロスタグランディンF2α
(PGF2 α)等の種々のホルモン剤投与が行われてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような子宮内感染症に対する抗生物質の使用について
は、食肉用の家畜や乳汁中への残留性の問題からその使
用が制限されている。
【0007】また、生殖器の機能異常に対する種々のホ
ルモン剤の使用については、最適投与量が各個体で異な
るため、その投与量の設定が困難であり、この場合、投
与量が不足すると効果がないと共に、過度に投与すると
重度の副作用が発生する等の不可逆的な異常を引き起こ
すことがあるという問題点がある。
【0008】特に、黄体を退行させて発情を誘発するホ
ルモン剤として、前記プロスタグランディンF2 α(P
GF2 α)を使用した場合では、鈍性発情が多く見ら
れ、このような症例では受胎率は決して高いものではな
く、発情を誘発できたとしても、次回の発情が無排卵に
陥ることが多く、不妊症に対する根本的な解決法とはな
っていないのが現状である。
【0009】この発明は、上記のような事情や問題点に
鑑みてなされたものであり、残留性の問題がなく、使用
量の設定が容易で、子宮内へ直接投与することによっ
て、正常な家畜のみならず、生殖器の機能異常を有する
家畜に対しても正常な発情及び排卵を誘発することがで
き、更に、子宮内膜炎や卵胞嚢腫等の繁殖障害を引き起
こす生殖器疾患の治癒を促進させると共に、それらの家
畜に正常な発情及び排卵をも誘発することができる発情
及び排卵誘発剤を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の手段とするところは、第1に、キチンを有効成分とす
ることにある。第2に、前記キチンが粒径500μm以
下の微粉末状であることにある。第3に、前記キチンが
β型結晶構造を有することにある。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態につい
て説明する。この実施形態に係る発情及び排卵誘発剤
は、キチンを有効成分とするものである。
【0012】前記キチンとは、N−アセチル−D−グル
コサミンのみを構成単位とするホモ多糖、又はN−アセ
チル−D−グルコサミンとD−グルコサミンを構成単位
とする多糖であって、D−グルコサミンの割合(脱アセ
チル化度)が50%以下のものである。このキチンは、
天然に存在するバイオポリマーであり、例えば、カニ・
エビ等の甲殻類のクチクラ、イカの軟甲、あるいは昆虫
の外骨格等から精製することによって得ることができ
る。
【0013】このキチンの精製方法としては、天然に存
在する上記のようなキチン源を、アルカリ処理による蛋
白の除去、酸処理による灰分の除去を順次行い、更に必
要に応じて色素等の除去を行う等の公知の精製方法が挙
げられる。
【0014】当該発情及び排卵誘発剤の製造方法として
は、例えば、上記のような操作によって精製されたキチ
ンを、塩酸あるいは硫酸等の可溶性溶媒に溶解後、多量
の水を加えることによりコロイド状のキチンを製造する
方法(キチン、キトサン実験マニュアル,第5頁,
「1.2 コロイド状キチンの調製法」)等の沈殿法、
あるいは粉砕機等による粉砕法等により微粉末状に成形
し、あらかじめ生理食塩水等の生理的に許容される分散
媒に懸濁させておくことにより製造するか、あるいは家
畜の雌への投与に際して分散媒に懸濁させることにより
製造する方法等が挙げられる。なお、この発情及び排卵
誘発剤には、必要に応じて、医学的に許容される補佐
薬、安定剤、乳化剤、pH調節剤、増粘剤、分散助剤等
の添加剤を加えることができる。
【0015】前記微粉末状に成形されたキチンを生理的
に許容される分散媒に懸濁させる方法としては、所定量
の微粉末状キチンと前記分散媒を混合した後、例えば超
音波照射又は振盪等によって分散させる方法が挙げられ
る。
【0016】また、投与に際して微粉末状キチンを前記
分散媒に懸濁させる方法としては、分散助剤として微粉
末状の易水溶性物質等を用い、あらかじめこの易水溶性
物質と前記微粉末状に成形されたキチンとを乾燥状態で
所定の割合で均一に混合しておき、投与に際して前記分
散媒を添加し、軽く振り混ぜてキチンを均一に分散させ
る方法が挙げられる。
【0017】なお、分散助剤としての前記易水溶性物質
としては、乾燥状態で微粉末状に成形でき、容易に水に
溶解する生理学的に許容される物質であればいかなるも
のでも使用できるが、好適には、例えば塩化ナトリウム
・炭酸水素ナトリウム・リン酸水素二アンモニウム・ク
エン酸ナトリウム等の塩類、ソルビトール・グルコース
・フルクトース・マンニトール等の単糖類、乳糖・シク
ロデキストリン等のオリゴ糖類等の低分子量のものが挙
げられる。
【0018】前記キチンを微粉末状に粉砕する粉砕機と
しては、例えばジェット気流によってキチンをミル内壁
等に衝突させることにより粉砕するジェットミル、高速
で回転するピンにキチンを衝突させることにより粉砕す
るピンミル、メディアであるボールを振動させることに
より粉砕する振動ボールミル、自転するミルを自転軸と
平行な公転軸のまわりに大きく公転させることにより粉
砕する遊星ミル、あるいは回転するミルの下部で遠心力
を与えられたメディアが静止したミル上部との間を往復
することにより粉砕する遠心流動化ミル等の乾燥状態で
キチンを微細に粉砕できる乾式粉砕機等が挙げられる。
【0019】上記のような沈殿法あるいは粉砕法によっ
て微粉末状に成形されたキチンの粒径としては、500
μm以下、更に好ましくは200μm以下とすることが
望ましい。このように、キチンを粒径500μm以下の
微粉末状としておけば、水に溶解しないキチンを生理学
的に許容される分散媒に均一に懸濁させることができる
ため、良好な流動性を付与することができ、そのため当
該発情及び排卵誘発剤を、子宮内薬物注入用カテーテル
等の注入用器具を使用して子宮内へ容易に投与すること
ができる。また、微粉末状であるためにキチンと生殖器
との接触面積を広くできるので、少量で十分な効果を発
揮させることができると共に、酵素に対する受容性をも
向上できるので、子宮内における長期間の残存を有効に
防止できるという利点がある。
【0020】なお、キチンは、その結晶構造から、多糖
鎖が互いに逆方向に配向しているα型、多糖鎖が互いに
同一方向に配向しているβ型、これらα型とβ型が混在
するγ型の3種類に分けられる(『最後のバイオマス
キチン、キトサン』,第2章,「2.1.1 キチ
ン」,キチン、キトサン研究会編,1988年2月20
日1版1刷発行,技報堂出版)が、これらのうち、当該
発情及び排卵誘発剤に使用する前記キチンとしては、β
型結晶構造を有するものが望ましい。このように、β型
結晶構造を有するキチンを使用すれば、α型やγ型に比
較して結晶構造がルーズであるため、これらα型やγ型
の結晶構造を有するキチンと比較して、水に対する膨潤
性やリゾチーム等の分解酵素に対する受容性を高くする
ことができる。
【0021】このβ型結晶構造を有するキチンは、例え
ば、スルメイカ・アカイカ・ドスイカ・ヤリイカ・ホタ
ルイカ・マイカ・モンゴウイカ等のツツイカ目に属する
イカや、あるいはコウイカ目に属するイカ等の軟甲から
精製することによって得ることができる。
【0022】上記のように構成される発情及び排卵誘発
剤を家畜の雌の子宮内へ投与する方法としては、前記分
散媒等に分散させた発情及び排卵誘発剤を、例えば子宮
内薬物注入用カテーテル等を使用して子宮内へ投与する
方法等が挙げられる。
【0023】なお、この発情及び排卵誘発剤の投与量と
しては、家畜の種類や体重、繁殖障害の有無、及びその
原因や程度によって種々異なるが、家畜の雌の子宮内へ
投与して正常な発情を誘発するのに十分な量であればよ
い。投与量の目安としては、例えば、体重約400kg
の健康な雌牛に対しては、一頭当たり、発情及び排卵誘
発剤に有効成分であるキチンが約300mg含有される
量で投与すればよい。この場合、最少有効投与量を大き
く上回っても、前記キチンは生殖器に穏やかに反応する
ため、特に副作用を発することはない。また、前記キチ
ンは、特に粘膜等の生体内に存在する酵素であるリゾチ
ームによって、その構成単位であって生体内に多量に存
在するN−アセチル−D−グルコサミンやD−グルコサ
ミンに分解されるため、毒性や残留性の問題はない。仮
に、前記キチンが子宮内へ残存した場合でも、このキチ
ンは食品添加物としても認められている生体に安全な物
質であるので、当該発情及び排卵誘発剤を投与した家畜
の肉を食用に供しても特に問題はないという利点があ
る。
【0024】
【実施例】次に、実施例を挙げてこの発明をより詳しく
説明するが、この発明は係る実施例に限定されるもので
はない。
【0025】実施例1 イカの軟甲10kgをフェザーミル(5mmスクリーン
通過)により粉砕し、この粉砕物を1Nの水酸化ナトリ
ウム水溶液に投入し、90℃で3時間保持した後、洗液
が中性になるまで水洗し、次いで0.1Nの塩酸水溶液
に室温で2時間浸漬した。
【0026】次に、再度、洗液が中性になるまで水洗し
た後、更に1Nの水酸化ナトリウム水溶液(90℃)中
に1時間保持し、十分に水洗後、オーブン(50℃)で
10時間乾燥し、イカ由来のβ型結晶構造を有する精製
キチン1.8kgを得た。元素分析による測定の結果、
この精製キチンの構成単位に占めるD−グルコサミンの
割合(脱アセチル化度)は5%であった。
【0027】この精製イカキチンを粉砕し、最大粒径3
2μm、平均粒径8.2μm(粒度分布測定:SKレー
ザPRO−7000S,セイシン企業社製,エタノール
中で測定)の微粉末状キチンを得た。
【0028】得られた微粉末状キチンをエチレンオキサ
イドガス滅菌し、所定量の無菌的な生理食塩水を加え、
超音波照射によってこの微粉末状キチンを均一に分散さ
せ、キチン濃度が6mg/mlの発情及び排卵誘発剤を
製造した。
【0029】この発情及び排卵誘発剤50ml(キチン
300mg含有)を、黄体が形成されて無発情を呈して
いた雌牛の子宮内へ子宮内薬物注入用カテーテルを使用
して投与した。投与後5日目に頚管粘液の粘度が低下
し、外陰部から透明な粘液を漏出する等の良好な発情徴
候が見られたので、人工授精を行ったところ妊娠した。
なお、投与後5日目に子宮内粘液を観察したところ、残
存しているキチンは見られなかった。
【0030】また、上記で製造した発情及び排卵誘発剤
50ml(キチン300mg含有)を、膿汁を排泄して
子宮内膜炎を発症している雌牛の子宮内へ、あらかじめ
子宮を1回洗浄した後、子宮内薬物注入用カテーテルを
使用して投与した。投与前のこの雌牛は、5回の人工授
精によっても妊娠せず(リピートブリーダー)に黄体が
形成されていたが、上記のようにして発情及び排卵誘発
剤を投与した後、5日目には、頚管粘液の粘度が低下
し、外陰部から透明な粘液を漏出する等の良好な発情徴
候が見られたので、人工授精を行ったところ妊娠した。
なお、投与後5日目に排出された子宮粘液を観察したと
ころ、投与したキチンは消失しており、また膿の貯留も
見られず、子宮内膜炎も治癒していた。
【0031】更に、上記で製造した発情及び排卵誘発剤
を、黄体期の正常雌牛4頭の子宮内へ、1頭当たり、そ
れぞれ有効成分であるキチンが90mg、150mg、
300mg、600mg含有される量で投与した。その
結果、90mg、150mgのキチンをそれぞれ子宮内
へ投与した雌牛では、子宮収縮等の弱い発情徴候が見ら
れたが、排卵を起こすまでには到らなかった。これに対
し、300mg、600mgのキチンをそれぞれ子宮内
へ投与した雌牛では、投与後5日目に頚管粘液の粘度が
低下し、外陰部から透明な粘液を漏出する等、副作用も
なく正常で十分な発情兆候が見られ、人工授精を行った
ところ妊娠した。
【0032】実施例2 カニのクチクラ10kgを2Nの塩酸の中に室温で1日
浸漬し、新しい2Nの塩酸に交換し、再度室温で1日浸
漬して脱灰した後、十分に洗浄した。この脱灰したカニ
のクチクラを1Nの水酸化ナトリウムの中に入れ、時々
撹拌しながら6時間煮沸し、新しい1Nの水酸化ナトリ
ウムに交換し、再度24時間煮沸して脱灰及び脱蛋白を
行ったカニのクチクラを調製した。
【0033】この脱灰及び脱蛋白を行ったカニのクチク
ラを95%のエタノール中で5時間環流して色素等の除
去を行い、カニ殻由来のα型結晶構造を有する精製キチ
ン2.9kgを調製した。元素分析による測定の結果、
この精製キチンの構成単位に占めるD−グルコサミンの
割合(脱アセチル化度)は15%であった。
【0034】この精製キチンを粉砕し、最大粒径180
μm、平均粒径45μm(粒度分布測定:SKレーザP
RO−7000S,セイシン企業社製,エタノール中で
測定)の微粉末状キチンを得た。
【0035】得られた微粉末状キチン10gと、分散助
剤としての粒径250μm以下に微粉末化した乳糖(和
光純薬工業社製)15gを、卓上型粉体混合機で1分間
混合し(重量混合比40:60)、所定量に分注し、エ
チレンオキサイドガス滅菌して、用時懸濁タイプの発情
及び排卵誘発剤を製造した。
【0036】この発情及び排卵誘発剤を卵胞嚢腫の雌牛
に投与した。投与前のこの雌牛は、1ヶ月前に人工授精
を行ったが妊娠せず、診断を行った結果、約7cmの卵
胞嚢腫が形成されており、この時の性腺ホルモンである
プロジェステロン量は0.4ng/mlであった。そし
て、前記卵胞嚢腫を外科的に破壊した後、黄体を形成さ
せるために性腺刺激ホルモン(商品名:ゴナトロピン,
帝国臓器社製)を15000単位投与した結果、プロジ
ェステロン量は6.2ng/mlまで上昇し、黄体の形
成が見られたので、上記で製造した用時懸濁タイプの発
情及び排卵誘発剤750mg(キチン300mg含有)
に生理食塩水50mlを添加し、軽く振り混ぜてキチン
を懸濁させ、子宮内へ投与した。その結果、子宮収縮等
の弱い発情徴候が見られたが、排卵を起こすまでには至
らなかったので、再度この発情及び排卵誘発剤1500
mg(キチン600mg含有)を投与した。
【0037】その結果、投与後5日目に頚管粘液の粘度
が低下し、外陰部から透明な粘液を漏出する等の正常で
十分な発情兆候が見られ、排卵も行われた。また、プロ
ジェステロン量が0.3ng/mlに低下すると共に、
その後の卵胞嚢腫の発生もなかった。
【0038】また、子宮内修復を目的として分娩後に早
期に妊娠させるために、上記で製造した用時懸濁タイプ
の発情及び排卵誘発剤1500mg(キチン600mg
含有)に生理食塩水50mlを添加し、軽く振り混ぜて
キチンを懸濁させ、分娩後30日の雌牛の子宮内へ投与
した。
【0039】その結果、投与後6日目に頚管粘液の粘度
が低下し、外陰部から透明な粘液を漏出する等の正常で
十分な発情兆候が見られたので、人工授精を行ったとこ
ろ妊娠した。
【0040】また、上記で製造した用時懸濁タイプの発
情及び排卵誘発剤1500mg(キチン600mg含
有)に生理食塩水50mlを添加し、軽く振り混ぜてキ
チンを懸濁させ、鈍性発情の雌牛に対して投与した。
【0041】その結果、投与後5日目に頚管粘液の粘度
が低下し、外陰部から透明な粘液を漏出する等の正常で
十分な発情兆候が見られたので、人工授精を行ったとこ
ろ妊娠した。
【0042】
【発明の効果】以上のように、請求項1記載の発明によ
れば、キチンを有効成分とするので、正常な牛、馬、豚
等の家畜の雌のみならず、生殖器の機能異常を有する家
畜の雌に対しても、子宮内へ投与することによって生殖
器に穏やかに反応し、極めて自然発情と類似した発情及
び排卵を誘発することができると共に、子宮内膜炎や卵
胞嚢腫等の繁殖障害を引き起こす生殖器疾患を有する家
畜に対しても、その疾患の治癒を促進し、次いで極めて
自然発情と類似した発情及び排卵をも誘発することがで
きる。
【0043】また、キチンは生殖器に穏やかに反応する
ため、有効投与量を越えても特に副作用を発することが
ないと共に、特に粘膜等の生体内に存在する酵素である
リゾチームによって、その構成単位であって生体内に多
量に存在するN−アセチル−D−グルコサミンやD−グ
ルコサミンに分解されるため、残留性の問題がない。仮
に、子宮内へ残存する場合でも、前記キチンは食品添加
物としても認められている生体に安全な物質であり、そ
の家畜の肉を食用に供しても安全性の面では特に問題は
ない。
【0044】更に、有効投与量を投与した後、約4乃至
7日の間に発情が誘発されるので、計画的に発情を起こ
させることができ、そのため、子宮内修復を目的とした
分娩後早期の妊娠・分娩間隔の短縮・多数の家畜に対し
て一度に人工授精や胚移植を行うための性周期の同期化
・良好な発情を誘発させることによる授精率及び胚移植
成功率の向上等を図ることができる。従って、大幅なコ
ストダウンをより有効に図ることができる。
【0045】請求項2記載の発明によれば、前記キチン
が粒径500μm以下の微粉末状であり、水に溶解しな
いキチンを生理学的に許容される分散媒に均一に懸濁さ
せることができるため、良好な流動性を付与することが
でき、そのため、当該発情及び排卵誘発剤を、子宮内薬
物注入用カテーテル等の注入用器具を使用して子宮内へ
容易に投与することができる。また、微粉末状であるた
めにキチンと生殖器との接触面積を広くできるので、少
量で十分な効果を発揮させることができると共に、酵素
に対する受容性をも向上できるので、子宮内におけるキ
チンの長期間の残存を防止することができる。
【0046】請求項3記載の発明によれば、前記キチン
が比較的構造がルーズなβ型結晶構造を有するので、生
理学的に許容される分散媒や体液と接することにより膨
潤し、キチンと生殖器との接触面積をより広くできるこ
とから、より少量で十分な効果を発揮させることができ
る。更に、酵素に対する受容性をも向上させることがで
きるので、子宮内におけるキチンの長期間の残存をより
有効に防止できる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 キチンを有効成分とする発情及び排卵誘
    発剤。
  2. 【請求項2】 前記キチンが粒径500μm以下の微粉
    末状である請求項1記載の発情及び排卵誘発剤。
  3. 【請求項3】 前記キチンがβ型結晶構造を有する請求
    項1又は2記載の発情及び排卵誘発剤。
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