JPH09292100A - パイプラインの電磁誘導電圧低減方法 - Google Patents

パイプラインの電磁誘導電圧低減方法

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JPH09292100A
JPH09292100A JP10932096A JP10932096A JPH09292100A JP H09292100 A JPH09292100 A JP H09292100A JP 10932096 A JP10932096 A JP 10932096A JP 10932096 A JP10932096 A JP 10932096A JP H09292100 A JPH09292100 A JP H09292100A
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electromagnetic induction
pipeline
voltage
induction voltage
grounding
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Application number
JP10932096A
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English (en)
Inventor
Taisaku Sato
泰作 佐藤
Fumio Kajiyama
文夫 梶山
Kiyoshi Okamura
潔 岡村
Norio Shoji
憲生 庄司
Tatsuo Kashiwagi
達夫 柏木
Morio Sumiyama
守男 炭山
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Nippon Kokan Koji KK
JFE Engineering Corp
Tokyo Gas Co Ltd
Original Assignee
Nippon Kokan Koji KK
Tokyo Gas Co Ltd
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、最小限必要な電気防食電流で電気
防食を行ない、パイプラインの常時電磁誘導電圧を充分
に低減し、メンテナンスが容易で、且つ地絡電流による
サージにもパイプラインを保護する。 【解決手段】 送電線4の電磁誘導範囲を通過して埋設
されたパイプライン1の電磁誘導電圧低減方法におい
て、前記パイプライン1の電磁誘導範囲の両端の通過点
寄りに接地体5a,5bを一個以上設け、両端の通過点
内の常時電磁誘導電圧を25V以下にする。また、パイ
プライン1と該接地体5a,5bとの間に衝撃保護装置
10を接続し、該衝撃保護装置10により電圧設定を行
ない、パイプライン1の電磁誘導電圧が該電圧設定値以
下では前記接地体5a,5bに交流電流を導通して直流
電流を遮断する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、送電線の電磁誘
導範囲を通過して埋設されたパイプラインの電磁誘導電
圧低減方法、特に電気防食パイプラインの電磁誘導電圧
低減方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、人口の都市集中化、その周辺工業
地帯の大規模な工場建設等の増加に伴い、パイプライン
が、ガス、石油、上水、工業用水、海水等の輸送手段と
して、多く敷設されている。
【0003】パイプラインは地中に埋設して敷設したも
のが多く採用されているが、用地等の制約等からパイプ
ラインの一部が送電線に近接した場所に埋設される場合
がある。
【0004】パイプラインが送電線に近接した場所に埋
設されると、送電線が一般に高圧送電線であることか
ら、様々な電気的影響をパイプラインに与える。これら
は、大別すると高圧送電線からの静電誘導や電磁誘導に
よる常時の管電位の上昇(常時誘導)と、高圧送電線事
故時に鉄塔に流れる地絡電流による管電位の異常上昇
(サージ)である。
【0005】前者は、人体に対する感電や管の交流腐食
が懸念され、後者は鉄塔とパイプラインが近接している
場合は管体溶損等の重大な損傷を与える危険性がある。
一方、通常、パイプラインには、ポリエチレンライニン
グパイプ(例えばPLP管)が多く使用されている。こ
れはPLP管がその塗膜抵抗が非常に高いことによるも
のである。
【0006】また、PLP管によるパイプラインにはM
g電極等の犠牲アノ一ド防食法や外部からの直流電源を
用いた外部電源法による電気防食を施して腐食を防止し
ている。
【0007】上記PLP管によるパイプラインが埋設さ
れた場合、常時静電誘導電圧の影響は埋設され、接地さ
れているので問題がなく、また、常時電磁誘導電圧につ
いても、古くから知られている計算式等から算出された
値等からみて特に着目されていなかった。
【0008】これに対して、サージ電圧ついては、種々
の対策が検討されており、例えば電磁誘導を受ける区間
のパイプラインの両端部に絶縁体を介装して電気的に分
割すると共に、上記区間の外部のパイプラインを接地す
る等の技術が開示されている(特開昭56−55800
号公報)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述したパイプライン
に与える電気的影響に対して、安全性を保持することが
必要である。パイプラインの場合は、現場作業等で、雨
により濡れた状態でパイプラインに接触する場合も多
く、このような状態でも安全である許容接触電圧として
25V以下が知られている(日本電気協会指針・種別第
2種)。
【0010】特開昭56−55800号公報に開示され
た技術では、電磁誘導を受ける区間のパイプラインの両
端部を絶縁して、区間の外側のパイプラインと電気的に
分割して、区間の外側のパイプラインの終端部、中間部
の一般設備等に移行する電圧を低減させることができ
る。しかし、区間内については人の近づく必要のある箇
所とか、各種の中間設備を保護する必要のある場所等を
接地すればよいとして、その具体的な処置については記
載されていない。
【0011】上記したような観点から、従来、特に問題
とされていなかったパイプラインの常時電磁誘導電圧に
ついても、実態を把握して、それらを含めた電気的影響
についての安全性の保持と、そのメンテナンスの容易な
電磁誘導電圧低減方法が要望されている。
【0012】本発明は上記のような要望に応えるべく成
されたものであり、本発明によれば、パイプラインの電
気防食を外部電源方式で行なった場合でも、最小限必要
な電気防食電流で電気防食を行ない、パイプラインの常
時電磁誘導電圧を充分に低減し、メンテナンスが容易
で、且つ地絡電流によるサージにもパイプラインを保護
することかできるパイプラインの電磁誘導電圧低減方法
を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は送
電線の電磁誘導範囲を通過して埋設されたパイプライン
の電磁誘導電圧低減方法において、前記パイプラインの
電磁誘導範囲の両端の通過点寄りに接地体を一個以上設
け、両端の通過点内の常時電磁誘導電圧を25V以下に
することを特徴としたパイプラインの電磁誘導電圧低減
方法である。
【0014】請求項2に係る発明は送電線の電磁誘導範
囲を通過して埋設された電気防食パイプラインの電磁誘
導電圧低減方法において、前記パイプラインの電磁誘導
範囲の両端の通過点寄りに接地体を一個以上設け、かつ
該パイプラインと該接地体とを衝撃保護装置を介して接
続し、該衝撃保護装置により電圧設定を行ない、パイプ
ラインの電磁誘導電圧が該電圧設定値以下では前記接地
体に交流電流を導通して直流電流を遮断し、電磁誘導電
圧が該電圧設定値を超えると該接地体に交流電流と直流
電流を導通することを特徴としたパイプラインの電磁誘
導電圧低減方法である。
【0015】請求項3に係る発明は請求項1または請求
項2に係る発明において、接地体の接地抵抗を0.5Ω
以下としたものてある。請求項4、請求項5、請求項6
に係る発明は、請求項1、請求項2または請求項3に係
る発明において、接地体をケーシング管、矢板、又はケ
ーシング管と矢板の組合せとしたものである。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を用いて説明する。 (発明の第1の実施の形態)図1は本発明の第1の実施
の形態を適用した電磁誘導を受けているパイプラインの
概略全体説明図である。
【0017】図1において、実線で表示したPLP管に
よるパイプライン1がガス供給工場2からガス需要工場
3まで埋設されている。パイプライン1のP点からQ点
までが点線で表示した架空送電線4に略並走して埋設さ
れている。以降P点、Q点はパイプライン1における電
磁誘導範囲の両端の通過点として取扱う。
【0018】本実施形態では通過点P、Q間の通過点
P、Q寄りに接地抵抗が0.5Ω以下の接地体5a、接
地体5bが設けられている。また、本実施形態ではパイ
プライン1における電磁誘導範囲の両端の通過点P、Q
(以降特に強調する場合を除いて単に通過点P、Qとい
う)内において、作業者等が現場作業等で、雨により濡
れた状態でパイプラインに接触した場合でも、安全を保
持できる25V以下に常時電磁誘導電圧が低減されてい
ることが必要である。
【0019】後述する実験例に基づいて、通過点P、Q
間の通過点P、Q寄りに接地体を一個以上接地すること
によって、通過点P、Q間の常時電磁誘導電圧が25V
以下にできることを得たものである。この場合の接地体
の接地抵抗は0.5Ω以下であり、このように接地体は
低接地抵抗のものを用いることが好ましい。
【0020】上記のように通過点P、Q寄りに接地体5
a、接地体5bを設けた場合、接地体5a、接地体5b
間の電磁誘導電圧は非常に小さくなる。理想的にはパイ
プライン1における電磁誘導範囲の両端の通過点P、Q
に1箇所づつ接地体を設けて低接地をとると、その間に
は電磁誘導を打ち消す電流が流れ、ほとんど電磁誘導電
圧が生じない。
【0021】しかし、現実にはパイプライン1における
電磁誘導範囲の両端の通過点P、Qに接地体を設けるこ
とが困難な場合もあるので、本実施形態では通過点P、
Q寄りに接近さぜた位置に接地体を設けたものも含むも
のとした。但し、いずれの場合でも通過点P、Q内の常
時電磁誘導電圧が25V以下に低減していることが必要
である。
【0022】また、後述する実験例に示すように、接地
箇所を2箇所から3箇所、5箇所と増加した場合でも、
2箇所の場合に比べて著しく電磁誘導電圧が低減される
わけではない。したがって、通常はパイプライン1にお
ける電磁誘導範囲の両端の通過点P、Q寄りに最少限の
接地体5a、5bを設ければ、電磁誘導電圧の低減効果
を得るには十分である。しかし、電磁誘導電圧の低減を
行なうのに、接地箇所を3箇所、5箇所と増加させても
よい。
【0023】図2は本実施の形態に係るパイプラインの
電磁誘導電圧低減方法を適用したパイプラインの要部を
示す説明図である。図2において鉄塔6に支持された架
空送電線4の電磁誘導範囲に位置してパイプライン1が
大地7に埋設されている。
【0024】上記電磁誘導範囲に位置したパイプライン
1の通過点Pと通過点Qの間には、電磁誘導電圧を低減
させるための接地体5a、接地体5bが通過点P側と通
過点Q側に近接して設けられている。
【0025】ここでは接地体5aに矢板として鋼矢板を
用い、接地体5bにケーシング管として鋼製ケーシング
管を用いた。鋼矢板の接地抵抗は0.32Ω、鋼製ケー
シング管の接地抵抗は0.45Ωである。
【0026】矢板、ケーシング管はパイプライン1の埋
設工事等にはかかせないものであり、本実施形態では矢
板、ケーシング管をパイプライン1の所定の位置に導線
により接続するという簡単な手段によって、架空送電線
4の電磁誘導範囲に位置したパイプライン1の常時電磁
誘導を低減させることができるものである。
【0027】矢板、ケーシング管は鋼矢板、鋼製ケーシ
ング管が一般的であるが、これに限定されるものではな
く、上記のような鋼矢板、鋼製ケーシング管と同様な低
接地抵抗を有するものてあればよい。
【0028】接地体5a、接地体5bの接地によって、
図2の特殊矢印(交流電流の方向)に示すように誘導に
対する電圧を打ち消す様に交流電流11が流れる。上記
接地体5a、接地体5bの接地抵抗は大地比抵抗計によ
る測定結果である。
【0029】上記接地抵抗が電磁誘導電圧の低減に必要
不可欠なものであることから、接地抵抗を正確に測定す
るために、補助電極の位置や方向を変えて確立した最適
な測定方法によったものである。
【0030】測定方法は送電線と直角に離して、大地比
抵抗計の2電極による電位降下法で測定する。通電電極
は電流が100mA以上流れるようにしっかり打ち込ん
で接地をとり、接地体と二つの電極の間隔が50m、1
00mの場合に安定した接地抵抗を測定できるのでそれ
を採用した。
【0031】ここでは接地体が通常パイプラインに用い
られている既存の鋼製ケーシング管、鋼矢板のうち、パ
イプラインに接続できるターミナルのある鋼製ケーシン
グ管と鋼矢板を用いたが、本発明はこれらに限定される
ものではなく、ケーシング管とケーシング管、矢板と矢
板又は他の低接地体等を用いることかできる。 (発明の第2の実施の形態)図3は本発明の第2の実施
の形態に係るパイプラインの電磁誘導電圧低減方法を適
用したパイプラインの要部を示す説明図である。
【0032】図3では図2との共通の箇所については同
じ符号を用い、また共通の箇所についての説明を省略す
る。図3において、電磁誘導範囲に位置したパイプライ
ン1の両端の通過点Pと通過点Qの間には、外部電源9
による電気防食をしている。外部電源9には電気防食用
電極8が接続されている。
【0033】外部電源9による電気防食は、電気防食用
電極8から矢印で示す直流電流(防食電流)12が大地
7を流れ、通過点Pと通過点Qの間で、PLP管の被覆
部にコーテング上の損傷があると、そこから直流電流
(防食電流)12がPLP管に流入して防食する。
【0034】このような外部電源9による電気防食を施
している場合、上述した図2に示すように接地体5a、
接地体5bをパイプライン1に直接接続すると、特殊矢
印(交流電流の方向)に示すように誘導に対する電圧を
打ち消す様に交流電流11が流れるとともに、外部電源
9による直流電流(防食電流)12は接地体かPLP管
の損傷部よりも接地抵抗が小さいため、管路全体を防食
電位にするには接地抵抗に反比例した防食電流が流れ、
多大な電気防食電流が必要となるので実用的でない。
【0035】そこで、本実施形態では、パイプライン1
と接地体5a,パイプライン1と接地体5bをそれぞれ
衝撃保護装置10を介して接続し、衝撃保護装置10に
おいて所定の電圧を設定して以下の機能を発揮させてい
る。
【0036】衝撃保護装置10は、電磁誘導電圧が設定
電圧以下では接地体5a、接地体5bに交流電流11を
導通して直流電流12を遮断し、設定電圧を超えると接
地体5a、接地体5bに交流電流11と直流電流12を
導通する。
【0037】これによって、常時電磁誘導電圧が設定電
圧以下のパイプライン1において、外部電源9による防
食に必要な微少な直流電流(防食電流)12のみを常時
供給させることができる。
【0038】衝撃保護装置の設定電圧は25V以下の範
囲で行う。設定電圧は電磁誘導電圧が直流(DC)と交
流(AC)(実効値)を合成して扱うので、電圧の絶対
値は極性の正負にかかわらず正数として取り扱った電圧
値である。
【0039】電磁誘導電圧を25V以下に設定したの
は、25Vを超えた場合には上述したように接触状態と
許容接触電圧の関係からみて、作業員の安全性が問題と
なることによる。また、電磁誘導電圧の下限については
実用的には5Vである。設定電圧が5V未満では衝撃保
護装置10の作動が鋭敏になり過ぎ、逆に電気防食への
影響を生じる。
【0040】衝撃保護装置10としては、サージプロテ
クターとして市販されているものを用いることができ
る。図4(a)、(b)、(c)は上記衝撃保護装置の
機能を示す概略図であり、(a)は常時モードの状態を
示す図、(b)と(b)は異常モードの状態を示す図で
ある。衝撃保護装置10の設定電圧は上記した正数の取
扱で25Vである。
【0041】図4(a)では、衝撃保護装置10の設定
電圧は25Vとしているので、衝撃保護装置10の入力
側に直流(DC)か−5V、交流(AC)が実効値とし
て7V負荷されて常時モード(整数の取扱で−12〜+
2V)の状態にある。常時モードでは直流(DC)は衝
撃保護装置10で絶縁されて、出力が0Vであるので、
直流(DC)は流れない。
【0042】一方、交流(AC)は衝撃保護装置7で導
通され、出力側で交流(AC)の出力が実効値として7
V負荷されて、交流波形で示すように、交流(AC)が
流れる。
【0043】図4(b)では、衝撃保護装置10が設定
電圧を25Vとしているので、衝撃保護装置10の入力
側に直流(DC)が−5V、交流(AC)が実効値とし
て30V負荷されて異常モード(整数の取扱て−35〜
+25V)の状態にある。
【0044】そのために、直流(DC)と交流(AC)
が衝撃保護装置10で導通されて、出力側で直流(D
C)の出力が−5V負荷され、交流(AC)の出力が実
効値として30V負荷されて、直流(DC)と交流(A
C)が流れる。
【0045】図4(C)では、衝撃保護装置10が設定
電圧を25Vとしているので、衝撃保護装置10の入力
側に直流(DC)が−30V、交流(AC)が実効値と
して7V負荷されて異常モード(整数の取扱て−37〜
+23V)の状態にある。
【0046】そのために、直流(DC)と交流(AC)
が衝撃保護装置10で導通されて、出力側で直流(D
C)の出力が−30V負荷され、交流(AC)の出力が
実効値として7V負荷されて、直流(DC)と交流(A
C)が流れる。
【0047】従って、前記した図3に示すように、衝撃
保護装置10をパイプライン1と接地体5a及び接地体
5aの間に接続することによって、パイプラインの電磁
誘導電圧が常時モードの状態ではパイプライン〜接地体
間の直流電流が遮断されることから、パイプライン1の
電気防食として設けた外部電源9からの防食電流(直
流)が供給されても、接地体5a、接地体5bによる影
響を受けない。
【0048】このように、本発明の各実施の形態に示し
たパイプラインの電磁誘導電圧低減方法によれば、以下
の効果を奏することができる。 (イ)パイプラインが送電線の電磁誘導範囲を通過して
も、その両端の通過点寄りに接地体を各々一個所以上接
地すれば電磁誘導電圧を25V以下に低減することがで
きる。 (ロ)上記(イ)において、接地体は接地抵抗が0.5
Ω以下のものを用いた場合、電磁誘導電圧を25V以下
に低減することができる。 (ハ)接地体に通常パイプラインの敷設等で用いられる
矢板やケーシング管、矢板とケーシング管の組合わせを
用いて、それらをパイプラインに接続すると云う手段に
よって電磁誘導電圧を25V以下に低減することができ
る。 (ニ)衝撃保護装置をパイプラインと接地体の間に設置
することによって、外部電源による電気防食パイプライ
ンは電磁誘導電圧の常時モードの状態で、電気防食を安
定して行うことができる。 (ホ)パイプラインの電磁誘導範囲の両端の通過点寄り
に、最少限2個の低接地体を設けているので、送電線の
事故等による地絡電流のサージからパイプラインを保護
することができる。 なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されるもので
なく、その要旨を逸脱しない範囲で種々に変形すること
が可能である。
【0049】
【実施例】上記図1、図2によるパイプラインで実験し
た結果を次に具体的に説明する。実験の主な条件は以下
のようである。電磁誘導電圧の測定点はパイプライン1
の測定用ターミナルT1〜T47 の47箇所から選択したも
のである。測定は電磁誘導電圧の測定方法によった。
【0050】計器として交流電圧計(実際には交流変換
器と記録計)を用いた。パイプライン1のうち架空送電
線4に並走しているパイプライン1の電磁誘導範囲の両
端の通過点P、通過点Q間を対象とした。
【0051】パイプライン1は300A×6300mで
PLP管を用いた。送電電圧は66KVである。 (1)上記実施形態を適用したパイプラインにおける接
地体の電磁誘導電圧(2点接地) 通過点P、通過点Q間の距離において、測定用ターミナ
ルのうちの長い2点間としてT-13とT-40の位置で接地体
を接続して、パイプライン1の通過点P、Q点間の測定
用ターミナルの11地点で測定した。
【0052】接地体は、T-13の地点で鋼矢板による接地
体5a、T-40の地点で鋼製ケーシング管による接地体5
bをパイプライン1と接続した。その測定結果を表1に
示す。
【0053】
【表1】 (2)比較例として、誘導電圧低減について未対策の電
磁誘導電圧(片端接地) パイプライン1の通過点P、通過点Q間のMg陽極を全
部外して、通過点P点をアースメッシュに接続して、通
過点P、通過点Q点間の測定用ターミナルの10箇所で
測定した。その測定結果を表2に示す。
【0054】
【表2】
【0055】表1、表2から明らかなように、本実施例
ではパイプライン1の通過点P、通過点Q間の接地体5
aと接地体5bとの2箇所で接地をとった場合、その2
点間の電磁誘導電圧は非常に小さくなる。
【0056】また、2箇所で接地をとった外側は無接地
と同じとなり、電磁誘導電圧の勾配が残っている。従っ
て、理想的にはパイプライン1の電磁誘導の両端の通過
点P、Qに低接地体を設けると、その間には電磁誘導を
打ち消す交流電流が流れ、ほとんど電磁誘導電圧が生じ
ないことがわかる。
【0057】しかし、現実にはパイプライン1の通過点
P、Qに接地体を設けることが困難な場合もあるので、
その場合はパイプライン1の通過点P、Qに近接させた
電磁誘導電圧25V以下にできる位置に、接地体を設け
る。
【0058】これに対して、比較例の電磁誘導に対して
未対策の場合は、Q点側で電磁誘導電圧が48.OVであ
り、この値は人が感電する危険性のある高い電圧であっ
た。 (3)上記実施形態を適用したパイプラインにおける接
地体の電磁誘導電圧(複数点接地) 接地体を前記2箇所から3箇所、5箇所と増加して接続
した結果を図5に示す。
【0059】図5は本発明の一実施例にて複数箇所に接
地体を設けたときの電磁誘導電圧を示す図である。図5
において、接地体2箇所の場合は□、3箇所の場合は
Δ、5箇所の場合は○印で示す。
【0060】まず、接地体2箇所の場合には、T-13の地
点で鋼矢板による接地体、T-40の地点で鋼製ケーシング
管による接地体が接地されている。次に、接地体3箇所
の場合には、T-13とT-21の地点で鋼矢板による接地体
(0.32Ω、0.21Ω)、T-40の地点で鋼製ケーシ
ング管による接地体(0.45Ω)が接地されている。
【0061】さらに、接地体5箇所の場合には、T-4 と
T-13とT-21の地点で鋼矢板による接地体(0.29Ω、
0.32Ω、0.21Ω)、T-4OとT-43の地点で鋼製ケ
ーシング管による接地体(0.45Ω、0.43Ω)が
接地されている。
【0062】図5から明らかなように、接地体を増加し
ても、それほど誘導電圧が低減されていない。従って通
過点P、通過点Q側に近接させた2箇所に接地体を設け
れば誘導電圧の低減効果としては充分であり、2箇所で
あれば接地体の取付け、取付けた後のメンテナンス等も
容易である。
【0063】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、パイプ
ラインの電気防食を外部電源方式で行なった場合でも、
最小限必要な電気防食電流で電気防食を行ない、パイプ
ラインの常時電磁誘導電圧を充分に低減し、メンテナン
スが容易で、且つ地絡電流によるサージにもパイプライ
ンを保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を適用した電磁誘導
を受けているパイプラインの概略全体説明図。
【図2】同実施の形態に係るパイプラインの電磁誘導電
圧低減方法を適用したパイプラインの要部を示す説明
図。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係るパイプライン
の電磁誘導電圧低減方法を適用したパイプラインの要部
を示す説明図。
【図4】本発明に用いる衝撃保護装置の機能を示す模式
図。
【図5】本発明の一実施例にて複数箇所に接地体を設け
たときの電磁誘導電圧を示す図。
【符号の説明】
1…パイプライン 2…ガス供給工場 3…ガス需要工場 4…架空送電線 5a,5b…接地体 6…鉄塔 7…大地 8…電気防食用電極 9…外部電源 10…衝撃保護装置 11…交流電流 12…直流電流
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 梶山 文夫 東京都港区海岸1丁目5番20号 東京瓦斯 株式会社内 (72)発明者 岡村 潔 東京都港区海岸1丁目5番20号 東京瓦斯 株式会社内 (72)発明者 庄司 憲生 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 柏木 達夫 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 炭山 守男 神奈川県横浜市鶴見区小野町88番地 日本 鋼管工事株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 送電線の電磁誘導範囲を通過して埋設さ
    れたパイプラインの電磁誘導電圧低減方法において、 前記パイプラインの電磁誘導範囲の両端の通過点寄りに
    接地体を一個以上設け、両端の通過点内の常時電磁誘導
    電圧を25V以下にすることを特徴とするパイプライン
    の電磁誘導電圧低減方法。
  2. 【請求項2】 送電線の電磁誘導範囲を通過して埋設さ
    れた電気防食パイプラインの電磁誘導電圧低減方法にお
    いて、 前記パイプラインの電磁誘導範囲の両端の通過点寄りに
    接地体を一個以上設け、かつ該パイプラインと該接地体
    とを衝撃保護装置を介して接続し、 該衝撃保護装置により電圧設定を行ない、パイプライン
    の電磁誘導電圧が該電圧設定値以下では前記接地体に交
    流電流を導通して直流電流を遮断し、 前記電磁誘導電圧が該電圧設定値を超えると該接地体に
    交流電流と直流電流を導通することを特徴とするパイプ
    ラインの電磁誘導電圧低減方法。
  3. 【請求項3】 接地体の接地抵抗が0.5Ω以下である
    ことを特徴とする請求項1または請求項2記載のパイプ
    ラインの電磁誘導電圧低減方法。
  4. 【請求項4】 接地体がケーシング管であることを特徴
    とする請求項1、請求項2または請求項3のうち何れか
    1項記載のパイプラインの電磁誘導電圧低減方法。
  5. 【請求項5】 接地体が矢板であることを特徴とする請
    求項1、請求項2または請求項3のうち何れか1項記載
    のパイプラインの電磁誘導電圧低減方法。
  6. 【請求項6】 接地体がケーシング管と矢板の組合せで
    あることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項
    3のうち何れか1項記載のパイプラインの電磁誘導電圧
    低減方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008132880A (ja) * 2006-11-28 2008-06-12 Nippon Steel Engineering Co Ltd 埋設パイプラインの電磁誘導電圧低減方法および埋設パイプラインの電磁誘導電圧低減装置
JP2011007224A (ja) * 2009-06-23 2011-01-13 Nippon Steel Pipeline Co Ltd パイプラインの電磁誘導電圧低減装置
EA024094B1 (ru) * 2013-08-08 2016-08-31 Арна Сериковна ШИЛИКБАЕВА Способ контроля состояния магистральных трубопроводов
WO2018157224A1 (en) * 2017-03-02 2018-09-07 Wilsun Xu Reducing induced voltages and currents in pipelines

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