JPH0927317A - 非水電解質二次電池およびその負極の製造方法 - Google Patents

非水電解質二次電池およびその負極の製造方法

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JPH0927317A
JPH0927317A JP7158232A JP15823295A JPH0927317A JP H0927317 A JPH0927317 A JP H0927317A JP 7158232 A JP7158232 A JP 7158232A JP 15823295 A JP15823295 A JP 15823295A JP H0927317 A JPH0927317 A JP H0927317A
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JP
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negative electrode
carbon
nitrogen
battery
sulfur
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Application number
JP7158232A
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English (en)
Inventor
Shuji Ito
修二 伊藤
Toshihide Murata
年秀 村田
Masaki Hasegawa
正樹 長谷川
Yasuhiko Mifuji
靖彦 美藤
Yoshinori Toyoguchi
▲吉▼徳 豊口
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高容量でサイクル特性に優れた非水電解質二
次電池を提供する。 【構成】 充放電可能な正極、非水電解質および充放電
可能な負極を具備し、負極が7〜35wt%の硫黄、
6.5〜25wt%の酸素および10.5〜18.3w
t%の窒素の少なくとも一種を含有する(ただし、二種
以上を含有する場合は併せて35wt%を限度とする)
炭素材料からなる非水電解質二次電池。硫黄原子、酸素
原子または窒素原子を含む環式化合物、鎖式化合物、そ
れらの誘導体または重合体と、ハロゲンおよびハロゲン
化物よりなる群から選ばれる一種とを反応容器内で加熱
して、硫黄、酸素または窒素を含有する炭素材料を得る
工程を有する負極の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、非水電解質二次電池お
よびその負極の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】リチウムなどのアルカリ金属を負極とす
る非水電解質二次電池は、起電力が高く、従来のニッケ
ルーカドミウム蓄電池や鉛蓄電池に較べ高エネルギー密
度になると期待され、盛んに研究がなされている。特
に、Liを負極とする非水電解質二次電池について多く
の研究がなされている。しかし、金属状のアルカリ金属
を負極に用いると、充電時にデンドライトが発生し、短
絡を起こし易く信頼性の低い電池となる。この問題を解
決するために、アルカリ金属としてのLiとアルミニウ
ムや鉛との合金負極を用いることが検討された。これら
合金負極を用いると、充電によりLiは負極合金中に吸
蔵され、デンドライトの発生がなく信頼性の高い電池と
なる。しかし、合金負極の放電電位は金属Liに比べ、
約0.5V貴であるため、電池の電圧も0.5V低く、
これにより電池のエネルギー密度も低下する。一方、黒
鉛などの炭素とLiの層間化合物を負極とする研究もな
されている。この化合物負極においても、充電によりL
iは炭素の層間に入りデンドライトは発生しない。放電
電位は金属Liに比べ約0.1V貴であり、電池電圧の
低下も小さい。これにより、より好ましい負極と言え
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この負極にも
大きい問題があった。充電によりLiが層間に入れるの
は、理論上、最高の値でC6Liであり、その場合の電
気容量は372Ah/kgである。しかし、通常の電池
の充放電では、負極の電気容量は230Ah/kg程度
と小さい。本発明は、このような課題を解決するもの
で、より高エネルギー密度で、デンドライトによる短絡
のない信頼性の高い非水電解質二次電池を提供すること
を目的とする。本発明は、またそのような非水電解質二
次電池を与える負極の製造方法を提供することを目的と
する。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の非水電解質二次
電池は、充放電可能な正極、非水電解質、および充放電
可能な負極を具備し、前記負極が硫黄、酸素、および窒
素よりなる群から選択される少なくとも一種を含有する
炭素材料から構成されるものである。ここで、前記炭素
材料の硫黄含有量は7〜35wt%、酸素含有量は6.
5〜25wt%、窒素含有量は10.5〜18.3wt
%であり、二種以上を含む場合は併せて35wt%を限
度とする。本発明の一面において、前記炭素材料は、硫
黄、酸素、および窒素の少なくとも一種を含む有機化合
物の熱分解反応の炭素残さである。本発明の非水電解質
二次電池用負極の製造方法は、硫黄、酸素、および窒素
よりなる群から選択される少なくとも一種を含む有機化
合物と、金属ハロゲン化物およびハロゲンよりなる群か
ら選択される一種とを、不活性雰囲気中において500
〜1,400℃に加熱することにより、硫黄、酸素、お
よび窒素よりなる群から選択される少なくとも一種を含
有する炭素材料を得る工程を有する。ここで、前記有機
化合物には、環式化合物、鎖式化合物、それらの誘導体
および重合体よりなる群から選ばれる化合物が用いられ
る。
【0005】
【作用】硫黄、酸素、および窒素の少なくとも一種を含
有した炭素材料をLiやNa等のアルカリ金属イオンを
含有する非水電解質中で充電すると、従来の炭素負極と
同様に負極中にアルカリ金属が吸蔵され、放電すると吸
蔵されたアルカリ金属が電解質中にイオンとして放出さ
れる。したがって、充電によりアルカリ金属が金属状で
析出することはなく、デンドライトによる短絡は起こら
ない。充電により、硫黄、酸素、および窒素の少なくと
も一種を含有した炭素中に吸蔵されたアルカリ金属イオ
ンは、炭素より電子が過剰な状態にある硫黄、酸素、あ
るいは窒素から電子を供給されることにより、アルカリ
金属と炭素材料は安定した化合物をつくると考えられ
る。したがって、硫黄、酸素、および窒素の少なくとも
一種を含有した炭素材料を用いる負極は、従来の炭素負
極よりも、高容量となる。炭素材料中の硫黄含有量は7
〜35wt%が適当である。また、酸素含有量は6.5
〜25wt%、窒素含有量は10.5〜18.3wt%
が適当である。これより硫黄、酸素、あるいは窒素の含
有量が少ないと容量が小さく、逆にこれより硫黄、酸素
あるいは窒素の含有量が大きいとサイクル特性が低下す
る。硫黄含有量のより好ましい範囲は10〜35wt%
であり、15〜35wt%が特に好ましい。酸素含有量
のより好ましい範囲は10〜25wt%であり、15〜
25wt%が特に好ましい。また、窒素含有量のより好
ましい範囲は13.5〜18.3wt%である。
【0006】硫黄を含有する炭素材料の合成には、出発
原料としてチオフェン、ポリチオフェン、テトラヒドロ
チオフェン、チアン、ジチアン、トリチアン、チオフテ
ン、ベンゾチオフェン、チアントレン、それらの誘導体
または重合体などの硫黄原子を含む複素環式化合物を用
いるのが好ましい。また、メタンチオール、エタンチオ
ール、プロパンチオール、ブタンチオール、ヘキサンチ
オール、ヘプタンチオール、エタンジチオール、プロパ
ンジチオール、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィ
ド、ジプロピルスルフィド、ジメチルジスルフィド、ジ
エチルジスルフィド、ジプロピルジスルフィド、あるい
はそれらの誘導体または重合体などの硫黄原子を含む鎖
式化合物が好ましい。
【0007】酸素を含有する炭素材料の合成には、出発
原料としてフラン、ポリフラン、テトラヒドロフラン、
ピラン、ジオキサン、トリオキサン、ジオキソラン、オ
キソラン、ベンゾフラン、ブチロラクトン、クロメン、
クロマン、ベンゾキノン、ナフトール、ナフトキノン、
フェノール、フェノール樹脂あるいはそれらの誘導体ま
たは重合体などの酸素原子を含む環式化合物が好まし
い。また、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオ
キサイドなどのポリエーテル系、ポリエチレンテレフタ
レート、アルキド樹脂、マレイン酸樹脂などのポリエス
テル系、ポリビニルアルコールなどの重合体あるい共重
合体、さらにはエチルアルコールなどのアルコール類、
アセトアルデヒドなどのアルデヒド類、酢酸などのカル
ボン酸類など酸素原子を含む鎖式化合物が好ましい。
【0008】窒素を含有する炭素材料の合成には、出発
原料としてアニリン、アニリンなどの環式化合物あるい
はその誘導体または重合体、ピロール、ポリピロール、
ピペラジン、ピラジン、ピラゾ ール、トリアジン、ト
リアゾール、キノリン、テトラヒドロキノン、メラミン
あるいはそれらの誘導体、重合体などの窒素原子を含む
複素環式化合物が好ましい。また、ジメチルホルムアミ
ドあるいはアセトニトリル、アクリロニトリル、プロピ
オニトリル、ブチロニトリル、ペンタノニトリルに代表
される鎖式ニトリルあるいはそれらの誘導体、さらには
ポリアクリロニトリルあるいはその共重合体などの窒素
原子を含む鎖式化合物が好ましい。
【0009】ハロゲンあるいはハロゲン化物は、加熱時
に水素と反応し、ハロゲン化水素として水素を脱離させ
るため、硫黄、酸素あるいは窒素の脱離を抑制する働き
がある。ハロゲンとしては塩素が、ハロゲン化物として
は、塩化銅、塩化鉄、塩化ニッケル、塩化パラジウムが
好ましい。加熱温度としては、容量およびサイクル特性
の点から500℃〜1400℃が好ましい。これより温
度が低いと合成反応が充分に進まない。また、反応温度
が高くなると、硫黄、酸素あるいは窒素が脱離し容量が
低下する傾向がある。加熱温度のより好ましい範囲は6
00〜1,000℃である。
【0010】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明する。 [実施例1]本実施例では、出発原料に硫黄原子を含む
複素環式化合物であるチオフェンまたはポリチオフェン
と塩素、および硫黄原子を含む鎖式化合物であるメタン
チオールまたはジメチルスルフィドと塩素をそれぞれ反
応容器内で加熱することにより、硫黄を含有した炭素材
料を合成し、負極の特性を検討した。また、比較例とし
て、ベンゼンのみを反応管内に導入して合成した熱分解
炭素の結果も示す。まず、次のようにして硫黄を含有し
た炭素材料を合成した。反応管には石英管を用い、反応
温度を900℃に固定した。この反応管を真空排気後、
窒素で大気圧に戻し、表1〜4に示すように各種割合で
出発原料を石英管内に導入し、各種割合の硫黄を含有し
た炭素材料を合成した。なお、チオフェン、メタンチオ
ールおよびジメチルスルフィドは、加熱して気化させ、
これを窒素をキャリアガスとして反応管内に導入した。
また、ポリチオフェンは、あらかじめ反応管中央部に設
置しておき、塩素を反応管へ導入する方法をとった。
【0011】
【表1】
【0012】
【表2】
【0013】
【表3】
【0014】
【表4】
【0015】以上のようにして得た、硫黄を含有した炭
素粉末100gに結着剤のポリフッ化ビニリデン10g
を加え、ジメチルホルムアミドを用いてペースト状に
し、ニッケルの芯材に塗布乾燥し、圧延することにより
負極板を作製した。一方、正極板は、正極活物質LiM
24100gに導電剤の炭素粉末10gおよび結着剤
のポリフッ化ビニリデン5gを加え、ジメチルホルムア
ミドを用いてペースト状にし、チタンの芯材に塗布乾燥
し、圧延することで作製した。上記の負極板と正極板と
を多孔性ポリプロピレン製セパレータを介在して全体を
渦巻状に捲回して電極体を構成し、図1に示すような電
池に組み立てた。図1において、1は正極板、2は負極
板、3はセパレータを表す。正極板1および負極板2
は、それぞれ極板の芯材と同材質のリード4および5を
有する。渦巻状の電極体は、上下にポリプロピレン製の
絶縁板6、7を配して電槽8に挿入されている。電槽8
は、電極体挿入後、上部に段部を形成させた後、1モル
/lの過塩素酸リチウム(LiClO4)を溶解したプ
ロピレンカーボネートからなる非水電解液を注入し、正
極端子10を設けた合成樹脂封口板9で密閉してある。
比較例のベンゼンより合成した熱分解炭素についても、
上記と同様に負極を作製し、電池を組み立てた。
【0016】硫黄含有量が4wt%、7wt%、15w
t%、35wt%、および45wt%の炭素を負極に用
いた電池をそれぞれa、b、c、d、およびeとする。
また、熱分解炭素(C)を負極に用いた電池をfとす
る。これら電池は、正極の電気容量の方が大きく、電池
の容量は負極の容量で決まる。以上の各電池を0.5m
A/cm2の定電流で4.4Vまで充電し、次に2.5
Vまで放電する充電放電を繰り返した。図2〜5に、1
サイクル目の放電曲線を示す。また、表5〜8に1サイ
クル目の放電容量ならびに500サイクル目の放電容量
と1サイクル目に対する500サイクル目の放電容量維
持率を示す。なお、放電容量は、硫黄を含有した炭素負
極1g当たりの容量で示す。
【0017】
【表5】
【0018】
【表6】
【0019】
【表7】
【0020】
【表8】
【0021】初期放電容量については、硫黄を含有した
炭素を負極に用いた電池は、いずれの出発原料を用いた
ものもベンゼンから合成した熱分解炭素を用いた電池に
比べて大きい。また、初期容量は硫黄含有量が増加する
につれて増加している。一方容量維持率については、硫
黄含有量が増加するにつれて低下している。硫黄含有量
が4wt%の炭素電極に関しては、硫黄量が少ないた
め、熱分解炭素とほぼ同等の容量、容量維持率を示し
た。二次電池の特性として必要な容量とサイクル性の観
点から、硫黄を7〜35wt%含有した炭素を用いた電
極は、非水電解質二次電池用負極として優れていること
がわかる。
【0022】[実施例2]本実施例では、出発原料に硫
黄原子を含む複素環式化合物であるジチアンと塩化第二
銅、および硫黄原子を含む鎖式化合物であるエタンチオ
ールと塩化第二鉄をそれぞれ反応容器内で加熱すること
により、硫黄を含有した炭素材料を合成した。硫黄を含
有した炭素材料の合成方法は、実施例1と同様とした。
ただし、塩化第二銅および塩化第二鉄は、あらかじめ反
応管中央部に導入しておいた。また、ジチアンおよびエ
タンチオールは、加熱して気化させ、窒素をキャリアガ
スとして反応管内に導入する方法をとった。なお、塩化
第二銅を用いた場合は、生成する硫黄を含有した炭素
は、溶融状態の塩化第二銅表面に堆積する。一方、塩化
第二鉄は、気化してエタンチオールと気相で反応する。
いずれの場合も、加熱後は硫黄成分を含有した炭素のみ
を分離し負極とした。表9および表10に原料の供給割
合と得られた炭素の硫黄含有量を示す。
【0023】
【表9】
【0024】
【表10】
【0025】合成した硫黄を含有する炭素を用いて、実
施例1と同様にして二次電池を構成して、容量ならびに
サイクル特性を調べた。硫黄含有量が4wt%、7wt
%、15wt%、35wt%、および45wt%の炭素
を負極に用いた電池をそれぞれg、h、i、j、および
kとする。これらの電池を0.5mA/cm2の定電流
で4.4Vまで充電し、次に2.5Vまで放電する充電
放電を繰り返した。図6および図7に、1サイクル目の
放電曲線を示す。表11および表12に、1サイクル目
の放電容量ならびに500サイクル目の放電容量と1サ
イクル目に対する500サイクル目の放電容量維持率を
示す。なお、放電容量は、硫黄を含有した炭素負極1g
当たりの容量で示す。
【0026】
【表11】
【0027】
【表12】
【0028】初期放電容量は、硫黄含有量が増加するに
つれて増加している。一方、容量維持率は、硫黄含有量
が増加するにつれて低下している。硫黄含有量が4wt
%の炭素電極に関しては、硫黄量が少ないため、熱分解
炭素とほぼ同等の容量、容量維持率を示した。二次電池
の特性として必要な容量とサイクル性の観点から、硫黄
を7〜35wt%含有した炭素電極は、非水電解質二次
電池用負極として優れていることがわかる。
【0029】[実施例3]実施例1および実施例2で
は、充電により負極炭素に挿入されるアルカリ金属はL
iであったが、本実施例ではNaとした。負極には、実
施例1で示したポリチオフェンと塩素から合成した硫黄
含有量が4wt%、7wt%、15wt%、35wt
%、および45wt%の炭素を用いた。正極活物質には
NaNiO2、非水電解質には1モル/lの過塩素酸ナ
トリウム(NaClO4)を溶解したプロピレンカーボ
ネートを用いた以外は、実施例1と全く同じである。比
較例として、ベンゼンより合成した熱分解炭素について
も、同様に電極を作製し、電池を組み立てた。硫黄含有
量が4wt%、7wt%、15wt%、35wt%、お
よび45wt%の炭素を負極に用いた電池をそれぞれ
l、m、n、o、およびpとする。また、負極に熱分解
炭素を用いた電池をqとする。これら電池は、正極の電
気容量の方が大きく、電池の容量は負極の容量で決ま
る。これらの電池を0.5mA/cm2の定電流で4.
0Vまで充電し、次に2.5Vまで放電する充電放電を
繰り返した。図8に、1サイクル目の放電曲線を示す。
また、表13に1サイクル目の放電容量ならびに500
サイクル目の放電容量と1サイクル目に対する500サ
イクル目の放電容量維持率を示す。
【0030】
【表13】
【0031】硫黄を含有した炭素を負極に用いた電池
は、ベンゼンから合成した熱分解炭素を用いた電池に比
べて、初期放電容量が大きい。また、硫黄含有量が増加
するにつれて、初期容量は増加している。一方、容量維
持率は、硫黄含有量が増加するにつれて低下している。
硫黄含有量が4wt%の炭素電極に関しては、硫黄量が
少ないため、熱分解炭素とほぼ同等の容量、容量維持率
を示した。二次電池の特性として必要な容量とサイクル
性の観点から、硫黄成分を7〜35wt%含有した炭素
電極は、非水電解質二次電池負極として優れていること
がわかる。このように、本発明の硫黄を含有した炭素電
極は、充電で負極に吸蔵されるアルカリ金属がNaとな
る非水電解質二次電池においても、優れた負極である。
なお、実施例3では、出発原料にポリチオフェンと塩素
を用いて合成した負極について説明したが、これ以外の
実施例1および実施例2で示した負極についても、アル
カリ金属がNaとなる非水電解質二次電池において、同
様の効果が得られることが確認された。
【0032】実施例1〜3では、出発原料にチオフェ
ン、メタンチオール、ジメチルスルフィド、ポリチオフ
ェン、ジチアン、エタンチオールを用いて合成した負極
について説明したが、テトラヒドロチオフェン、チア
ン、トリチアン、チオフテン、ベンゾチオフェン、チア
ントレンあるいはそれらの誘導体または重合体などの硫
黄原子を含む複素環式化合物、またプロパンチオール、
ブタンチオール、ヘキサンチオール、ヘプタンチオー
ル、エタンジチオール、プロパンジチオール、ジメチル
スルフィド、ジエチルスルフィド、ジプロピルスルフィ
ド、ジメチルジスルフィド、ジエチルジスルフィド、ジ
プロピルジスルフィドあるいはそれらの誘導体または重
合体などの硫黄原子を含む鎖式化合物に関してもほぼ同
様の効果が得られる。
【0033】[実施例4]本実施例では、出発原料に酸
素原子を含む複素環式化合物であるフラン、ポリフラ
ン、またはピランと塩素、および酸素原子を含む鎖式化
合物であるポリエチレンオキサイドと塩素をそれぞれ反
応容器内で加熱することにより、酸素を含有した炭素材
料を合成し、負極の特性を検討した。また、比較例とし
て、ベンゼンから合成した熱分解炭素を用いた電極につ
いても検討した。まず、次のようにして酸素を含有した
炭素材料を合成した。反応管には石英管を用い、反応温
度を750℃に固定した。この反応管を真空排気後、窒
素で大気圧に戻し、表14〜17に示すように各種割合
で出発原料を石英管内に導入し、各種割合の酸素を含有
した炭素材料を合成した。なお、フランおよびピラン
は、加熱して気化させ、窒素をキャリアガスとして反応
管内に導入した。また、ポリフランおよびポリエチレン
オキサイドは、反応管中央部に設置しておき、塩素を反
応管に導入する方法をとった。
【0034】
【表14】
【0035】
【表15】
【0036】
【表16】
【0037】
【表17】
【0038】上記の炭素材料を用い、実施例1と同様に
して負極を作製し、二次電池を組み立て、容量ならびに
サイクル性を調べた。酸素含有量が3wt%、6.5w
t%、10wt%、25wt%、および30wt%の炭
素を負極に用いた電池をA、B、C、D、およびEとす
る。また、熱分解炭素を用いた電池をFとする。これら
電池は、正極の電気容量の方が大きく、電池の容量は負
極の容量で決まる。これらの電池を0.5mA/cm2
の定電流で4.4Vまで充電し、次に3.0Vまで放電
する充電放電を繰り返した。図9〜12に、1サイクル
目の放電曲線を示す。また、表18〜21に1サイクル
目の放電容量ならびに500サイクル目の放電容量と1
サイクル目に対する500サイクル目の放電容量維持率
を示す。なお、放電容量は、酸素を含有した炭素負極1
g当たりの容量で示す。
【0039】
【表18】
【0040】
【表19】
【0041】
【表20】
【0042】
【表21】
【0043】酸素を含有した炭素を負極に用いた電池
は、いずれの出発原料を用いた場合もベンゼンから合成
した熱分解炭素に比べて、初期放電容量が大きい。ま
た、初期容量は、酸素含有量が増加するにつれて増加し
ている。一方、容量維持率は、酸素含有量が増加するに
つれて低下している。酸素含有量が3wt%の炭素電極
に関しては、酸素量が少ないため、熱分解炭素とほぼ同
等の容量、容量維持率を示した。二次電池の特性として
必要な容量とサイクル性の観点から、酸素成分を6.5
〜25wt%含有した炭素電極は、非水電解質二次電池
用負極として優れていることがわかる。
【0044】[実施例5]本実施例では、出発原料に酸
素原子を含む複素環式化合物であるジオキサンと塩化第
二鉄、および酸素原子を含む鎖式化合物であるポリビニ
ルアルコールと塩化第二銅をそれぞれ反応容器内で加熱
することにより、酸素を含有した炭素材料を合成し、負
極の特性を検討した。酸素を含有した炭素材料の合成
は、反応温度を700℃とした他は実施例4と同様とし
た。ただし、ジオキサンは加熱して気化させ、窒素をキ
ャリアガスとして反応管内に導入した。また、塩化第二
銅および塩化第二鉄は、あらかじめ反応管中央部に導入
しておいた。塩化第二銅を用いた場合は、生成する酸素
を含有した炭素は溶融状態の塩化第二銅表面に堆積す
る。一方、塩化第二鉄は、気化してジオキサンと気相で
反応する。いずれも加熱後は酸素を含有した炭素のみを
分離し負極とした。表22および表23に原料の供給割
合と得られた炭素の酸素含有量を示す。
【0045】
【表22】
【0046】
【表23】
【0047】上記の炭素材料を用い、実施例1と同様に
して負極を作製し、二次電池を組み立て、容量ならびに
サイクル性を調べた。酸素含有量が3wt%、6.5w
t%、10wt%、25wt%、および30wt%の炭
素を負極に用いた電池をG、H、I、J、およびKとす
る。これら電池は、正極の電気容量の方が大きく、電池
の容量は負極の容量で決まる。これらの電池を0.5m
A/cm2の定電流で4.4Vまで充電し、次に3.0
Vまで放電する充電放電を繰り返した。図13および図
14に、1サイクル目の放電曲線を示す。また、表24
および表25に1サイクル目の放電容量ならびに500
サイクル目の放電容量と1サイクル目に対する500サ
イクル目の放電容量維持率を示す。なお、放電容量は、
酸素を含有した炭素負極1g当たりの容量で示す。
【0048】
【表24】
【0049】
【表25】
【0050】初期放電容量は、酸素含有量が増加するに
つれて増加している。一方、容量維持率は、酸素含有量
が増加するにつれて低下している。酸素含有量が3wt
%の炭素電極に関しては、酸素量が少ないため、熱分解
炭素とほぼ同等の容量、容量維持率を示した。二次電池
の特性として必要な容量とサイクル性の観点から、酸素
を6.5〜25wt%含有した炭素電極は、非水電解質
二次電池負極として優れていることがわかる。
【0051】[実施例6]実施例4および実施例5で
は、充電により負極に吸蔵されるアルカリ金属はLiで
あったが、本実施例ではNaとした。負極には、実施例
4で示したポリフランと塩素から合成した酸素含有量が
3wt%、6.5wt%、10wt%、25wt%、お
よび30wt%の炭素を用いた。正極活物質にNaNi
2、非水電解質に1モル/lの過塩素酸ナトリウムを
溶解したプロピレンカーボネートを用いた以外は、実施
例1と全く同じである。酸素含有量が3wt%、6.5
wt%、10wt%、25wt%、および30wt%の
炭素を負極に用いた電池をL、M、N、O、およびPと
する。また、熱分解炭素を用いた電池をQとする。これ
ら電池は、正極の電気容量の方が大きく、電池の容量は
負極の容量で決まる。これらの電池を0.5mA/cm
2の定電流で4.0Vまで充電し、次に3.0Vまで放
電する充電放電を繰り返した。図15に、1サイクル目
の放電曲線を示す。また、表26に1サイクル目の放電
容量ならびに500サイクル目の放電容量と1サイクル
目に対する500サイクル目の放電容量維持率を示す。
【0052】
【表26】
【0053】酸素を含有した炭素を負極に用いた電池
は、ベンゼンから合成した熱分解炭素を用いた電池に比
べて、初期放電容量が大きい。また、初期容量は、酸素
含有量が増加するにつれて増加している。一方、容量維
持率は、酸素含有量が増加するにつれて低下している。
酸素含有量が3wt%の炭素電極に関しては、酸素量が
少ないため、熱分解炭素とほぼ同等の容量、容量維持率
を示した。二次電池の特性として必要な容量とサイクル
性の観点から、酸素成分を6.5〜25wt%含有した
炭素電極は、非水電解質二次電池用負極として優れてい
ることがわかる。このように、本発明の酸素を含有した
炭素電極は、充電で負極に吸蔵されるアルカリ金属がN
aとなる非水電解質二次電池においても、優れた負極で
ある。なお、実施例6では、出発原料にポリフランと塩
素を用いて合成した負極について説明したが、これ以外
の実施例4および5で示した負極についても、アルカリ
金属がNaとなる非水電解質二次電池において、同様の
効果が得られることが確認された。
【0054】実施例4〜6では、出発原料にフラン、ポ
リフラン、ピラン、ジオキサン、ポリエチレンオキサイ
ド、ポリビニルアルコールを用いて合成した負極につい
て説明した。この他テトラヒドロフラン、トリオキサ
ン、ジオキソラン、オキソラン、ベンゾフラン、ブチロ
ラクトン、クロメン、クロマン、ベンゾキノン、ナフト
ール、ナフトキノン、フェノール、フェノール樹脂ある
いはそれらの誘導体または重合体などの酸素原子を含む
環式化合物、またポリプロピレンオキサイドなどのポリ
エーテル系、ポリエチレンテレフタレート、アルキド樹
脂、マレイン酸樹脂などのポリエステル系などの重合体
あるい共重合体、さらにはエチルアルコールなどのアル
コール類、アセトアルデヒドなどのアルデヒド類、酢酸
などのカルボン酸類など酸素原子を含む鎖式化合物に関
してもほぼ同様の効果が得られる。
【0055】[実施例7]本実施例では、出発原料に窒
素原子を含む環式化合物であるアニリンまたはポリアニ
リンと塩素、窒素原子を含む複素環式化合物であるトリ
アジン、ピラジンまたはポリピロールと塩素と、さらに
は窒素原子を含む鎖式ニトリルであるアセトニトリルま
たはポリアクリロニトリルと塩素とをそれぞれ反応容器
内で加熱することにより、窒素を含む炭素材料を合成
し、それらの特性を検討した。また、比較例として、出
発原料に窒素原子を1個だけ含む複素環式化合物である
ピリジンのみを用いて合成した炭素材料、ピリジンと塩
素を用いて合成した炭素材料、ならびにベンゼンだけを
導入し合成した熱分解炭素の特性を示す。これらの窒素
を含有した炭素材料の合成は、反応温度を1000℃に
固定した。反応管に石英管を用い、管内を真空に排気
後、窒素を導入して大気圧に戻し、表27〜34に示す
各種割合で出発原料を石英管内に導入し、各種割合の窒
素を含有した炭素材料を合成した。なお、アニリン、ト
リアジン、ピラジン、アセトニトリルならびにピリジン
は、加熱して気化させ、窒素をキャリアガスに用いて反
応管内に導入した。また、ポリアニリン、ポリピロール
およびポリアクリロニトリルは、反応管中央部に設置し
ておき、塩素のみを導入した。ピリジンのみを加熱して
得られた炭素材料は、窒素含有量が2.58%であり、
炭素量の多いものであった。
【0056】
【表27】
【0057】
【表28】
【0058】
【表29】
【0059】
【表30】
【0060】
【表31】
【0061】
【表32】
【0062】
【表33】
【0063】
【表34】
【0064】上記のようにして得られた各種の炭素材料
を負極とする二次 電池を構成して、容量ならびにサイ
クル特性を調べた。非水電解液として、1モル/lのト
リフルオロメタンスルフォン酸リチウム(LiCF3
3)を溶解したプロピレンカーボネート溶液を用いた
他は、電極および電池構成は実施例1と同じである。窒
素含有量が7.2wt%、10.5wt%、13.5w
t%、18.3wt%、18.9wt%の炭素、ピリジ
ンのみから合成した炭素、および熱分解炭素(C)を負
極に用いた電池をそれぞれa1、b1、c1、d1、e
1、f1、およびg1とする。これら電池は、正極の電
気容量の方が大きく、電池の容量は負極の容量で決ま
る。0.5mA/cm2の定電流で、電池を4.4Vま
で充電し、次に3Vまで放電し、この充電放電を繰り返
した。図16〜23に、1サイクル目の放電曲線を示
す。また表35〜42に1サイクル目の放電容量ならび
に500サイクル目の放電容量と1サイクル目に対する
500サイクル目の放電容量維持率を示す。なお、放電
容量は、負極の窒素を含有した炭素1g当たりの容量で
示す。表35〜42において、窒素含有量2.58%の
比較例は、ピリジンのみから合成した炭素を表してい
る。
【0065】
【表35】
【0066】
【表36】
【0067】
【表37】
【0068】
【表38】
【0069】
【表39】
【0070】
【表40】
【0071】
【表41】
【0072】
【表42】
【0073】初期放電容量は、いずれの出発原料を用い
た場合も窒素含有量18.9wt%の炭素を負極に用い
た電池が最も大きい。二次電池として重要な特性の一つ
であるサイクル特性は、ピリジンと塩素より合成した炭
素を負極に用いた比較例電池よりも本発明の電池の方が
優れており、500サイクル目には、本発明の電池の方
が大きな容量を示した。また、窒素を含有した炭素材料
を用いた電極の容量は、窒素含有量が増加するにつれて
増加している。一方、容量維持率は、窒素含有量が増加
するにつれて低下している。窒素含有量7.2wt%の
炭素を用いた電極は、酸素量が少ないため、熱分解炭素
とほぼ同等の容量、容量維持率を示した。二次電池の特
性として必要な容量とサイクル性の観点から、本発明の
窒素含有量10.5〜18.3wt%の炭素を用いた電
極は、非水電解質二次電池として、優れた負極である。
【0074】[実施例8]本実施例では、出発原料に窒
素原子を含む複素環式化合物であるピロールまたはピペ
ラジンと塩化第二銅とを、さらには窒素原子を含む鎖式
ニトリルであるアセトニトリルと塩化第二鉄とをそれぞ
れ反応容器内で加熱することにより窒素を含有する炭素
を合成し、それらの特性を検討した。窒素を含有した炭
素の合成は、反応温度を800℃に固定して行った。反
応管に石英管を用い、真空排気後、窒素で大気圧に戻
し、表43〜45に示す割合で出発原料であるピロー
ル、ピペラジンあるいはアセトニトリルを石英管内に導
入し、各種割合の窒素を含む炭素材料を合成した。ピロ
ール、ピペラジンならびにアセトニトリルは、加熱して
気化させ、窒素をキャリアガスに用いて反応管内に導入
した。なお、塩化第二銅および塩化第二鉄は、あらかじ
め反応管中央部に導入しておいた。塩化第二銅の場合、
窒素を含有した炭素は溶融状態の塩化第二銅表面に堆積
する。一方、塩化第二鉄は気化しており、アセトニトリ
ルとは気相で反応する。両者とも加熱後は窒素含有炭素
のみを分離し負極とした。
【0075】
【表43】
【0076】
【表44】
【0077】
【表45】
【0078】得られた各種炭素材料を負極とする二次電
池を構成して、容量ならびにサイクル特性を調べた。電
極および電池構成は実施例7と同じである。窒素含有量
が7.2wt%、10.5wt%、13.5wt%、1
8.5wt%、および18.9wt%の炭素を負極に用
いた電池をそれぞれh1、i1、j1、k1、およびl
1とする。これら電池は、正極の電気容量の方が大き
く、電池の容量は負極の容量で決まる。0.5mA/c
2の定電流で、電池を4.4Vまで充電し、次に3V
まで放電し、この充電放電を繰り返した。図24〜26
に、1サイクル目の放電曲線を示す。また、表46〜4
8に1サイクル目の放電容量ならびに500サイクル目
の放電容量と1サイクル目に対する500サイクル目の
放電容量維持率を示す。なお、放電容量は、負極の炭素
材料1g当たりの容量で示す。
【0079】
【表46】
【0080】
【表47】
【0081】
【表48】
【0082】初期放電容量は、いずれの出発原料を用い
た場合も窒素含有量18.9wt%の炭素電極を負極に
用いた電池が最も大きい。二次電池として重要な特性の
一つであるサイクル特性は、実施例7で示したピリジン
と塩素より合成した炭素を負極に用いた比較例電池より
も本発明の電池の方が優れており、500サイクル目に
は、本発明の電池の方が大きな容量を示した。なかでも
窒素原子を2個含む複素環式化合物であるピペラジン、
または窒素原子を含む鎖式ニトリルであるアセトニトリ
ルから合成した炭素を用いた電池が良好な特性を示し
た。窒素を含有した炭素電極の容量は、窒素量が低下す
ると低下するが、逆に容量維持率は向上した。窒素含有
量が7.2wt%の炭素電極に関しては、窒素量が少な
いため、実施例7で示した熱分解炭素(C)とほぼ同等
の容量、容量維持率を示した。二次電池の特性として必
要な容量とサイクル性の観点から、窒素含有量10.5
〜18.3wt%の炭素電極は、非水電解質二次電池の
優れた負極である。
【0083】[実施例9]実施例7および実施例8で
は、充電により負極に含有されるアルカリ金属はLiで
あったが、本実施例ではNaを検討した。負極には実施
例7で示したポリアクリロニトリルと塩素で合成した窒
素含有量が7.2wt%、10.5wt%、13.5w
t%、18.3wt%および18.9wt%の炭素を用
いた。正極活物質にNaNiO2、非水電解質に1モル
/lの過塩素酸ナトリウム(NaClO4)を溶解した
ガンマーブチロラクトンを用いる以外は、重量や組成比
などの条件は実施例7と全く同じである。比較例とし
て、ベンゼンより合成した熱分解炭素についても、同様
に電極を作製し、電池を組み立てた。窒素含有量が7.
2wt%、10.5wt%、13.5wt%、18.3
wt%、18.9wt%の炭素、および熱分解炭素
(C)電極を負極に用いた電池をそれぞれm1、n1、
o1、p1、q1、およびr1とする。これら電池は、
正極の電気容量の方が大きく、電池の容量は負極の容量
で決まる。0.5mA/cm2の定電流で、電池を4.
0Vまで充電し、次に3.0Vまで放電し、この充電放
電を繰り返した。図27に、1サイクル目の放電曲線を
示す。また、表49に1サイクル目の放電容量ならびに
500サイクル目の放電容量と1サイクル目に対する5
00サイクル目の放電容量維持率を示す。
【0084】
【表49】
【0085】初期放電容量は、窒素含有量18.9wt
%の炭素を負極に用いた電池が最も大きい。また、二次
電池として重要な特性の一つであるサイクル特性は、窒
素含有量10.5〜18.3wt%の炭素を用いた本発
明による電池の方が優れており、500サイクル目に
は、窒素含有量7.2wt%の炭素を負極に用いた電池
は勿論、窒素含有量18.9wt%の炭素を負極に用い
た電池よりも大きな容量を示した。このように、窒素含
有量10.5〜18.3wt%の炭素を用いた電極は、
充電により負極に吸蔵されるアルカリ金属がNaとなる
非水電解質二次電池においても、優れた負極である。な
お、実施例9では、出発原料にポリアクリロニトリルと
塩素を用いて合成した負極について説明したが、これ以
外の実施例7、8で示した負極についてもアルカリ金属
がNaとなる非水電解質二次電池において、同様の効果
が得られることが確認された。
【0086】実施例7、8、9では、出発原料にアニリ
ン、ポリアニリン、トリアジン、ピラジン、ピペラジ
ン、ピロール、ポリピロール、アセトニトリル、ポリア
クリロニトリルを用いて合成した負極について説明し
た。この他出発原料として、窒素原子を含む複素環式化
合物である、トリアゾール、ピラゾール、メラミン、ま
た窒素原子を含む鎖式化合物であるジメチルホルムアミ
ドあるいアクリロニトリル、プロピオニトリル、ブチロ
ニトリル、ペンタノニトリルに代表される鎖式ニトリル
あるいはそれらの誘導体を用いてもほぼ同様の効果が得
られる。
【0087】[実施例10]本実施例では、出発材料に
窒素原子を含むピロール、硫黄原子を含むチオフェンお
よび酸素原子を含むフランと塩素を用い、以下のように
して窒素、硫黄および酸素の少なくとも2種を含む炭素
を合成し、それらの特性を検討した。石英管を真空排気
後、窒素で大気圧に戻し、表50に示す割合で原料を石
英管に導入した。ピロール、チオフェン、およびフラン
は、加熱して気化させ窒素をキャリアガスとして石英管
に導入した。反応温度は、表50に示した。
【0088】
【表50】
【0089】上記のようにして得られた窒素、硫黄およ
び酸素の少なくとも2種を含む炭素を負極とする電池を
構成して容量およびサイクル特性を調べた。電極および
電池の作り方は実施例1と同じである。0.5mA/c
2の定電流で、各電池を4.4Vまで充電し、次に3
Vまで放電し、この充電放電を繰り返した。表51に、
1サイクル目の放電容量ならびに500サイクル目の放
電容量と1サイクル目に対する500サイクル目の放電
容量維持率を示す。なお、放電容量は、負極の炭素1g
当たりの容量で示す。
【0090】
【表51】
【0091】本実施例の電池は、初期放電容量および5
00サイクル目の放電容量とも、ベンゼンから合成した
熱分解炭素を用いた電池に比べて大きく、優れていた。
上記のように、窒素、硫黄、酸素をそれぞれ単独で含む
炭素と同様に、これらの元素の少なくとも2種を含む炭
素についても優れた負極を与えることが明らかである。
また、上記実施例では、円筒型電池を用いた場合につい
て説明したが、本発明はこの構造に限定されるものでは
なく、コイン型、角型、偏平型などの形状の二次電池に
おいても同様の効果があることは言うまでもない。
【0092】
【発明の効果】本発明によれば、高エネルギー密度でサ
イクル特性に優れた非水電解質二次電池を得ることが可
能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における非水電解質二次電池の
縦断面図である。
【図2】各種の割合で硫黄を含有する炭素を負極に用い
た電池の1サイクル目の放電曲線である。
【図3】各種の割合で硫黄を含有する炭素を負極に用い
た電池の1サイクル目の放電曲線である。
【図4】各種の割合で硫黄を含有する炭素を負極に用い
た電池の1サイクル目の放電曲線である。
【図5】各種の割合で硫黄を含有する炭素を負極に用い
た電池の1サイクル目の放電曲線である。
【図6】各種の割合で硫黄を含有する炭素を負極に用い
た電池の1サイクル目の放電曲線である。
【図7】各種の割合で硫黄を含有する炭素を負極に用い
た電池の1サイクル目の放電曲線である。
【図8】各種の割合で硫黄を含有する炭素を負極に用い
た電池の1サイクル目の放電曲線である。
【図9】各種の割合で酸素を含有する炭素を負極に用い
た電池の1サイクル目の放電曲線である。
【図10】各種の割合で酸素を含有する炭素を負極に用
いた電池の1サイクル目の放電曲線である。
【図11】各種の割合で酸素を含有する炭素を負極に用
いた電池の1サイクル目の放電曲線である。
【図12】各種の割合で酸素を含有する炭素を負極に用
いた電池の1サイクル目の放電曲線である。
【図13】各種の割合で酸素を含有する炭素を負極に用
いた電池の1サイクル目の放電曲線である。
【図14】各種の割合で酸素を含有する炭素を負極に用
いた電池の1サイクル目の放電曲線である。
【図15】各種の割合で酸素を含有する炭素を負極に用
いた電池の1サイクル目の放電曲線である。
【図16】各種の割合で窒素を含有する炭素を負極に用
いた電池の1サイクル目の放電曲線である。
【図17】各種の割合で窒素を含有する炭素を負極に用
いた電池の1サイクル目の放電曲線である。
【図18】各種の割合で窒素を含有する炭素を負極に用
いた電池の1サイクル目の放電曲線である。
【図19】各種の割合で窒素を含有する炭素を負極に用
いた電池の1サイクル目の放電曲線である。
【図20】各種の割合で窒素を含有する炭素を負極に用
いた電池の1サイクル目の放電曲線である。
【図21】各種の割合で窒素を含有する炭素を負極に用
いた電池の1サイクル目の放電曲線である。
【図22】各種の割合で窒素を含有する炭素を負極に用
いた電池の1サイクル目の放電曲線である。
【図23】各種の割合で窒素を含有する炭素を負極に用
いた電池の1サイクル目の放電曲線である。
【図24】各種の割合で窒素を含有する炭素を負極に用
いた電池の1サイクル目の放電曲線である。
【図25】各種の割合で窒素を含有する炭素を負極に用
いた電池の1サイクル目の放電曲線である。
【図26】各種の割合で窒素を含有する炭素を負極に用
いた電池の1サイクル目の放電曲線である。
【図27】各種の割合で窒素を含有する炭素を負極に用
いた電池の1サイクル目の放電曲線である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 美藤 靖彦 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 豊口 ▲吉▼徳 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 充放電可能な正極、非水電解質、および
    充放電可能な負極を具備し、前記負極が7〜35wt%
    の硫黄、6.5〜25wt%の酸素、および10.5〜
    18.3wt%の窒素よりなる群から選択される少なく
    とも一種を含有する(ただし、二種以上を含有する場合
    は併せて35wt%を限度とする)炭素材料からなるこ
    とを特徴とする非水電解質二次電池。
  2. 【請求項2】 硫黄、酸素、および窒素よりなる群から
    選択される少なくとも一種を含む有機化合物と、金属ハ
    ロゲン化物およびハロゲンよりなる群から選択される一
    種とを、不活性雰囲気中において500〜1,400℃
    に加熱することにより、硫黄、酸素、および窒素よりな
    る群から選択される少なくとも一種を含有する炭素材料
    を得る工程を有する非水電解質二次電池用負極の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記ハロゲンが塩素である請求項2記載
    の非水電解質二次電池用負極の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記金属ハロゲン化物が、塩化銅、塩化
    鉄、塩化ニッケルおよび塩化パラジウムよりなる群から
    選択される化合物である請求項2記載の非水電解質二次
    電池用負極の製造方法。
  5. 【請求項5】 硫黄を含む有機化合物が、硫黄原子を含
    む環式化合物、硫黄原子を含む鎖式化合物、それらの誘
    導体および重合体よりなる群から選ばれる化合物である
    請求項2、3または4記載の非水電解質二次電池用負極
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 酸素原子を含む有機化合物が、酸素原子
    を含む環式化合物、酸素原子を含む鎖式化合物、それら
    の誘導体および重合体よりなる群から選ばれる化合物で
    ある請求項2、3または4記載の非水電解質二次電池用
    負極の製造方法。
  7. 【請求項7】 窒素原子を含む有機化合物が、窒素原子
    を含む環式化合物、窒素原子を含む鎖式化合物、それら
    の誘導体および重合体よりなる群から選ばれる化合物で
    ある請求項2、3または4記載の非水電解質二次電池用
    負極の製造方法。
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