JPH09270626A - ヘリカルループアンテナ - Google Patents

ヘリカルループアンテナ

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JPH09270626A
JPH09270626A JP11405996A JP11405996A JPH09270626A JP H09270626 A JPH09270626 A JP H09270626A JP 11405996 A JP11405996 A JP 11405996A JP 11405996 A JP11405996 A JP 11405996A JP H09270626 A JPH09270626 A JP H09270626A
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JP
Japan
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antenna
helical
spiral
loop
shape
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JP11405996A
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English (en)
Inventor
Sadao Ito
貞男 伊藤
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ITEC KK
Original Assignee
ITEC KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】移動通信方式における無線基地局用或いは移動
端末用アンテナとして適する、特性が良好、製作容易で
経済的なアンテナを実現する。 【構成】金属針金をその有する曲率半径が使用波長に比
し小さい値を保った螺旋状に巻き、その全長を使用波長
の数分の1程度の長さに切断し、その螺旋状金属導体を
ループ形状としたヘリカルループアンテナにおいて、ル
ープを形成する螺旋の一部を直線、円等金属針金、もし
くは前記螺旋と異なる物理的特性を有する形状の螺旋状
に巻かれた針金で置換した上、ループ形状の励振素子の
両端を給電線と接続している。 【効果】アンテナの有する特性インピーダンス、共振波
長、指向特性等を置換された部分の形状、置換される位
置等を選択する事により、変更が可能となり、アンテナ
の設計・製作が容易となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は無線通信システム用アン
テナ、特に移動通信システムの無線基地局アンテナ或い
は移動無線端末用のアンテナとして使用するのに適する
アンテナに関する。
【0002】
【従来の技術】移動通信システムの無線基地局アンテナ
としては各種のアンテナが使用されている。例えばわが
国の代表的な移動無線システムである携帯・自動車電話
システム用としては4角鉄塔の上に多数のダイポールア
ンテナを上下に多段に取り付けたアンテナ群4組を、鉄
塔各面に取り付け無指向性アンテナとした形式が使用さ
れている。或いは最近サービスが開始されたPHSシス
テム用無線基地局用として、コリニアアンテナが使用さ
れている。その他、一般の移動無線システムでは上記の
外、ブラウンアンテナ、スリーブアンテナ等も使用され
ている。これらのアンテナは線状アンテナと呼ばれ、線
状に形成されたアンテナ素子から電磁波が送信される形
式で現在ほとんどがこの形式である。
【0003】また、移動無線機では車載用としてスリー
ブ形式の半波長ダイポールアンテナを原理に用い、使用
に便ならしめる様に若干変形したアンテナが使用されて
いる。或いは、携帯無線機用としては逆F形アンテナ
や、ホイップアンテナを原理としたものが使用されてい
る。一方、ダイポールアンテナの先端を互いに接続し
て、これらのダイポールのうちの一つを中央で給電した
「折り返しダイポールアンテナ」と呼ばれるアンテナ形
式がある。一般に給電部からみてアンテナ全体が閉じた
電気回路を形成しているものはループアンテと呼ばれて
いる。図10は公知のループアンテナの一例である。
「折り返しダイポールアンテナ」もこの範疇にはいる。
「折り返しダイポールアンテナ」は上記の公衆用の移動
通信システムとしては使用された例はないが、アマチュ
ア無線や、特殊通信等で広く使用されている。
【0004】さらに、図11に示す様に波長に比べて長
いヘリックス導体を反射板の前に置き、それを導体板上
で給電した構造がヘリカルアンテナである。このアンテ
ナの基本的特性は、ヘリックスのピッチ角が12゜〜1
5゜で、ヘリックス周(図11ではπD)が0.75〜
1.33波長になるとき、ヘリックスの軸方向に放射波
として軸比のよい円偏波が得られる事が知られている。
ヘリカルアンテナはいわゆる遅波形の進行波アンテナと
して動作し、衛星通信等で使用されている。また、ヘリ
カル構造を有する他のアンテナとして、垂直モードヘリ
カルアンテナ、ヘリカルホイップと呼ばれるアンテナも
公知である。これは図12に示す様にアンテナ長の短縮
を目的に、波長に比べ小さい半径で誘電体棒に巻き上げ
たヘリカル導体のダイポールの形態をしている。これは
垂直モードヘリカルアンテナやヘリカルホイップと呼ば
れている。簡単に考えればこのアンテナはいたるところ
にリアクタンスを分布して装荷させたダイポールアンテ
ナと考える事が出来る。
【0005】しかしながら、金属針金をその有する曲率
半径が使用波長に比し小さい値を保った形状の螺旋状に
巻き、前記螺旋の全長が使用波長の数分の1程度の長さ
とした前記螺旋を円、矩形、三角形等の形状を有するル
ープとし、前記金属針金の両端を給電線と接続して構成
されたアンテナ(ヘリカルループアンテナと称すべきで
あるが以下特に誤解を生じない場合はヘリカルアンテナ
もしくは単にアンテナと略称する)は上記の公知例に比
較して、一層の小形化が可能となるが、このようなアン
テナが実用された例はなく、またその呈するアンテナ特
性も公知例はない様である。さらに、ヘリカルアンテナ
のループを形成する螺旋の一部を直線、円等金属針金、
もしくは前記螺旋と異なる物理的特性を有する形状の螺
旋状に巻かれた針金で置換したヘリカルアンテナに関し
ても公知例はない様である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】最近の移動通信システ
ムは周波数の有効利用度の向上をはかるため、多数の無
線基地局をサービスエリアに設置し、一つの無線基地局
から放射される無線電力を少なくして、同一無線周波数
を場所的に異なるエリアで再使用するといういわゆる小
ゾーン方式が使用されている。このような無線基地局で
はシステムコストの逓減のため基地局に設置されるアン
テナは可能な限り小型・軽量化・高性能でかつ安価なも
のが望まれている。また、移動無線端末に使用されるア
ンテナも同様で小型・軽量・高性能・低コストを有する
ものが望まれている。
【0007】上記の内、小形化の問題は、アンテナの大
きさは使用周波数や、アンテナを取り巻く周辺(媒体)
の誘電率等が定まると、その形状に対応して、基本的に
定まってしまうと言う原理的な制約があり、いかに小型
化するかは、いかなる形状のアンテナを開発するかと言
うことが問題となった。また、一般にアンテナを小形化
するとその有する利得が減少する事になる。もしも利得
の減少を押さえると、アンテナの有する特性インピーダ
ンスが数オームと言った様に極めて低い値になり、給電
ケーブル(通常50オーム)との整合がいちぢるしく劣
化する。その外、アンテナの共振周波数近傍におけるイ
ンピーダンスや指向特性が急激に変化する。これはアン
テナの共振周波数においてインピーダンス整合が得られ
たとしても、周波数が若干離れると定在波比が急激に悪
化し、また、アンテナの有する指向特性(アンテナ利
得)も急激に変化(利得低下)する事になる。この現象
を有するアンテナを使用周波数帯域が広い無線通信シス
テムに使用した場合、使用周波数の中央においては満足
な特性を示していても、端の周波数においては定在波比
や指向特性が劣化しており良好なシステム動作を期待出
来ない事になる。
【0008】アンテナの有する諸特性の内、上記の共振
周波数近傍における定在波比や指向特性の変化が余り急
激でない特性を有するアンテナを以下の説明では「共振
周波数近傍における特性の良好なアンテナ」或いは、誤
解のない場合は単に「特性の良好なアンテナ」と略記し
て説明する。さて、上述の様に従来の小型アンテナでは
アンテナの形状が定まると、その有する諸特性が一元的
に決定され、アンテナの形状を若干変更してその有する
諸特性を変更する事、例えばアンテナの有する利得の減
少をなるべく押さえ、かつ、形状の変化を所望の変化範
囲におさめると言ったアンテナ開発上のパラメータを得
る事は出来なかった。したがって、設計の容易化が要求
の一つであった。
【0009】本発明では今まで公知例になかった新しい
形のアンテナを考案して、アンテナの具備している諸特
性が設計時のパラメータとして得られる様なアンテナを
考案した。その結果、余り重要でない特性を許される範
囲で低下させれば、従来にない小型・軽量でかつ、共振
周波数近傍においてシステムの要求する特性を満たすア
ンテナとして、従来のアンテナでは得られない良好な特
性を得る事が可能となった。
【0010】
【課題を解決するための手段】金属針金をその有する曲
率半径が使用波長に比し小さい値を保った形状の螺旋状
に巻き、その螺旋の全長が使用波長の数分の1程度の長
さとした上、形状をループ形状とし、前記金属針金の両
端を給電線と接続する形式のアンテナを構成した(正確
にはヘリカルループアンテナと称すべきであるが、以下
特に誤解を生じない場合はヘリカルアンテナもしくは単
にアンテナと略称する)。また、ヘリカルアンテナを構
成するループの形状を矩形ならばその2辺の比、楕円形
ならば短軸と長軸の比を変化させることにより、その有
する特性インピーダンスを変化可能とし、アンテナと接
続される給電線との整合を容易にさせた。また、ヘリカ
ルアンテナに用いている金属針金の断面の大きさを変更
すること、螺旋の曲率半径を許される範囲で変化させる
こと、単位長あたりの巻線数(ピッチ)を変化する等に
より、アンテナの有する特性インピーダンス、共振波
長、指向特性等を変更可能とし、アンテナ設計の容易化
に寄与させた。さらに、ヘリカルアンテナのループを形
成する螺旋の一部を直線、円等金属針金、もしくは前記
螺旋と異なる物理的特性を有する形状の螺旋状に巻かれ
た針金で置換する事により、一層アンテナ設計の際の可
変パラメータ数を多くし、設計の容易化が可能となっ
た。
【0011】
【作用】本発明を適用したヘリカルアンテナは以上述べ
たループアンテナ(折り返しダイポールアンテナ)、ヘ
リカルアンテナ、或いは垂直モードヘリカルアンテナ
(ヘリカルホイップ)等と比較して次の様に全く異なる
作用を有している。まずループアンテナ(折り返しダイ
ポールアンテナ)と同様に給電部からみてアンテナ全体
が閉じた電気回路を形成しているが、ループアンテナの
様にアンテナを構成する励振素子が単なる針金状の金属
線でなく、ヘリカル状に巻かれているためループを流れ
る電流による放射電界の作成はいたるところにリアクタ
ンスを分布して装荷したダイポールアンテナと見なされ
る。その結果、ヘリカルアンテナは、全長がヘリカル部
で占められている場合は半波長の1/3程度でもその周
波数で共振状態が発生する。ただし、ヘリカル部が漸次
減少するにともない、共振周波数は順次高い周波数へ上
昇し、ヘリカル部分が消滅すれば、通常のループアンテ
ナのそれと同様になる。
【0012】次にヘリカルアンテナ(ヘリカルホイッ
プ)と比較すると、次の様な相違点がある。まず、基本
的にヘリカルアンテナは給電部からみてアンテナ全体が
開放された電気回路を形成しているのに対し、本発明の
アンテナは閉じた電気回路を形成している。その結果、
前者が電気的な耐圧の問題が厳しいのに対し、後者では
ほとんど問題とならない。次に、前者では基本的に軸方
向に長細い形状を取らざるを得ないと言う制約があるの
に対し、後者では円、矩形、三角形等のループ形状を取
り得るのでアンテナ全体を小さな面内に収容可能と言う
特徴を有する。
【0013】第三に前者の共振周波数はアンテナの軸方
向の長さが決まると一元的に決定され、その時のアンテ
ナの有する特性インピーダンスも決定されるのに対し、
後者では、例えば矩形状のヘリカルループアンテナの場
合、全長が一定の条件、すなわち共振周波数が一定の条
件の下で、矩形の縦横比を変化させるとアンテナの有す
る特性インピーダンスが変化すると言う特徴を有する。
また、ヘリカルループアンテナの場合はその形状が必ず
しも矩形である必要はなく、円、楕円、三角形等の形状
にしてその有する特性インピーダンスや指向特性を変化
させることが可能である。加えて、ループを構成するヘ
リカル形状の有する曲率半径や、ヘリカルループを構成
する線条金属の寸法を変化させることにより、種々の特
徴を有するヘリカルアンテナが作成可能となる。さら
に、ヘリカルアンテナのループを形成する螺旋の一部を
直線、円等金属針金、もしくは前記螺旋と異なる物理的
特性を有する形状の螺旋状に巻かれた針金で置換する事
により、アンテナの有する特性を一層変化に富ませる事
が可能となる。
【0014】
【実施例】図1(a)〜図1(h)は本発明の実施例を
示す各種ヘリカルループアンテナの外観図を示す。ヘリ
カルアンテナの特性を決める諸元は以下である。すなわ
ち、ヘリカルアンテナの全長、ヘリカルアンテナの形
状、ヘリカルアンテナを構成するヘリカル形状の有する
曲率半径(ヘリカル形状の大きさ)、ヘリカルアンテナ
を構成する線条金属の寸法(線条金属の太さ、断面の大
きさ)、ヘリカルアンテナを構成する単位長あたりの巻
線数(ヘリカル形状のピッチ)等である。また、図10
に示したループアンテナの縮尺は参考のため、図1
(a)〜図1(h)とほぼ同一としている。なお、図1
(a)〜図1(h)の形状のヘリカルアンテナの有する
共振周波数は、たとえループ長が同一としてもアンテナ
の形状により若干異なっている。
【0015】なお、図中でループを構成する銅線の一部
が切断されている様に見えるのは撮影時の光線の影響で
あり、実際は一本の線条良導電体で給電部へ接続されて
いる(以下の図も同様)。まず、ヘリカルアンテナのヘ
リカル素子の作成法を説明する。使用周波数が1GHz
以上(1〜3GHz)ではヘリカルアンテナの全長が2
0cm程度以下となるので、量産時や特に正確な特性調
査時は別として、開発・試作段階では次の様な簡便な方
法を採用する事が可能である。すなわち、絶縁物(例え
ばポリエチレン、ポリウレタン等)で被覆された銅線
(直径1mm程度以下の)を直径0.5〜1mm程度の
直線状の針金(ピアノ線)を軸として、出来るだけ、む
ら(ピッチを変える等)のない様に巻き、後で針金(ピ
アノ線)を抜き取る方法を採用した。ピッチを変えない
一つとして、針金が重ならない程度で、かつ出来るだけ
稠密に巻く方法(撚り戻しを防止するため若干の接着材
を表面に塗布してもよい)がある。このようにして作成
したヘリカル素子は精度の面で若干の誤差はあるもの
の、実用的には十分使用に耐えるヘリカルアンテナを得
る事が可能である。
【0016】さて、この様にして作成されたヘリカル素
子をループ状に折り曲げればヘリカルループアンテナが
得られる。ただし、ヘリカルループアンテナの有する特
性を多様にするため、ループを構成する螺旋の一部を直
線、円等金属針金、もしくは前記螺旋と異なる物理的特
性を有する形状の螺旋状に巻かれた針金で置換してい
る。図1(a)、(b)及び(c)は上記のヘリカル部
分を出来るだけ稠密に巻く方法で作成したヘリカルアン
テナ(以下の例も出来るだけ稠密に巻いてある)の一例
である。図の場合、使用した被覆銅線の直径は0.3m
m(これにポリウレタンの被覆の厚さが0.02mm程
度が加わる)であった。これをヘリカル部分では、直径
0.70mmの直線状の針金に巻き(一重巻き)つけて
作成し、全長を約60mmとして切断した後、円、矩
形、三角形等に折り曲げて作成したものである。ただ
し、図でヘリカル部分は図1(a)の矩形ループ、図1
(c)の三角形ループではそれぞれ1辺だけ、図1
(b)の円形ループでは円弧の1部分だけで他の部分
は、直線状もしくは円弧状の金属針金(直径は0.3m
m)で構成されている。なお、ループの変形を防止する
ため適宜、接着材で固定した。また、ループ両端部の同
軸ケーブルとの結合部分はループ長には含まれていない
(以下の例、後述の実測例も同様)。
【0017】次に図1(d)、(e)及び(f)は図示
のような部分の2か所にヘリカル部分で構成されてい
る。さらに図1(g)及び(h)はループ全長がヘリカ
ル部分で構成されているが、その一部のヘリカル部分が
他の部分とは異なる物理的寸法を有するヘリカルで置換
されている実施例である。以下ヘリカルアンテナの有す
る諸特性について実験的に求めた結果を説明し、本発明
を適用したヘリカルループアンテナが極めて優れた特性
を有する事を明らかにする。電波環境の良好な場所にお
いて、測定はネットワークアナライザを用いた。ネット
ワークアナライザの出力端子(出力10dBm)にケー
ブル(50オーム)を接続し、その約1メートル先に被
試験用のヘリカルアンテナを接続(給電)する。ヘリカ
ルアンテナから放射される電磁波(垂直偏波)は、約2
メートル程度離れた場所に設置された垂直偏波受信用の
広帯域アンテナ(2GHzで利得7.5dBi)で受信
し、ネットワークアナライザの受信部へ導入し、被試験
アンテナの諸特性を測定した。測定はヘリカルループア
ンテナの1つのパラメータのみを変化させ、他の条件は
固定すると言う一般に広く使われている方法をとった。
また、得られた特性を公知のアンテナの有するそれらと
比較するため、図10に示す通常のループアンテナと、
ブラウンアンテナの有する特性を図13、図14にそれ
ぞれ示す。
【0018】まず、ヘリカルアンテナの長さ(全長)を
変えた時の共振周波数(正確には最低の共振周波数、以
下省略)の関係について説明する。図1(b)に示され
る円形を有するヘリカルアンテナを被試験用に用い、ル
ープ全長を一定に保つ条件でヘリカル部分の長さを変更
した。この場合、ヘリカル以外の部分はそれに応じて増
減することとなる。その他のパラメータである、ヘリカ
ルアンテナを構成する線条金属の寸法(線条金属の太
さ、断面の大きさ)、ヘリカルアンテナを構成する単位
長あたりの巻線数(ヘリカル形状のピッチ)等は一定と
した。その結果、ヘリカル部分の長さが大きい程共振周
波数は低くなる事が明らかになったが、これは、他の形
状のヘリカルアンテナでも同様で一般的に言える結論で
ある。これは、ループを構成する銅線の全長(ヘリカル
部分は直線状に引伸ばして計測する)がヘリカル部分の
長さが大きい程大きくなるためと推定される。また、ル
ープの有する特性インピーダンスも変化し、その状態が
ループアンテナの形状により異なる事が判明したが、こ
のアンテナ入力インピーダンス値の変化については、別
の例で後述する。
【0019】次に、図1(a)に示すような矩形ヘリカ
ルアンテナを用い、ループアンテナの全長を118mm
で固定、ヘリカル部分の長さを一定(24mm)とし、
また矩形の縦横長も変化させないとし、ただヘリカル部
分の設置部分を図2(a)〜(e)に示すように、ヘリ
カルアンテナを構成する矩形の各辺を変化させた場合の
共振周波数、特性インピーダンス等の変化を測定した。
ただし、ループを構成するのに使用した被覆銅線の直径
は0.3mmで、ヘリカル部分はこれを前述の様に直径
0.7mmの直線状の針金(ピアノ線)を軸として巻き
付けて作成したものを使用した。定在波比特性と放射特
性の測定結果を図3(a)〜(c)、および図4(a)
〜(b)に示す。また、共振周波数におけるアンテナ入
力インピーダンス値(単位はオーム)は図3、および図
4の各図の順にそれぞれ、 52.3−j6.4, 46.1+j5.3, 4
2.3+j20.7 48.2+j21.8, 95.1+j52.7, であった。
【0020】以上の結果から、矩形状のヘリカルアンテ
ナでヘリカル部を図3〜図4の様に設置した場合の特性
は次の様に表現することが可能である。まずヘリカル部
分を矩形の垂直辺に設置した方が共振周波数は低くな
る。逆にヘリカル部分を矩形の水平辺に設置した部分が
大きくなれば共振周波数はそれに比例して高くなる。ア
ンテナ入力インピーダンス値は図3(a)の状態で整合
がとれる様に矩形の縦横比を調整しても、ヘリカル部分
の設置位置が次第にこれより遠ざかるに従い、大きくな
る。指向特性は図3(b)の時が最も広帯域性に富み、
図4(b)の時が最も広帯域性に乏しい。
【0021】上記の様に、矩形ヘリカルアンテナでは、
ループアンテナの全長や、形状が同一でも、ヘリカル部
分の設置場所により共振周波数やアンテナ入力インピー
ダンス値が大きく変化することが明らかになった。ま
た、図3(a)〜(c)、および図4(a)〜(b)の
特性を既存の他のアンテナの有する特性と比較すれば以
下の事が明らかになる。上図の本発明を適用したアンテ
ナの測定結果を、図13のループアンテナや、図14の
ブラウンアンテナの測定結果とを比較すれば明らかな様
に、本発明を適用したアンテナの特性は既存のアンテナ
に比較して遜色はない。なお、図13のループアンテナ
と図14のブラウンアンテナとの測定結果からは両者は
特性上の優劣はほとんどない事がわかる。また、図15
(a)は後述する様に、矩形ヘリカルアンテナの構成を
すべてヘリカル部で作成したものであり、この場合に比
べて本発明を適用したアンテナでは、ループの全長は若
干大きくなるが、従来のアンテナに比較すれば小型でか
つ、共振周波数近傍において良好な特性を得ている事が
わかる。なお、既存のアンテナの特性測定は図3(b)
等本発明を適用したアンテナの測定系と同一である。
【0022】次に、図15(a)に示すような矩形ヘリ
カルアンテナを用い、同図の給電点から見て反対側の辺
を構成するヘリカル部を種々のピッチの異なるヘリカル
で置換した場合の特性について説明する。まず図15の
諸元は以下である。ループを構成するのに使用した被覆
銅線の直径は0.3mmで、ヘリカル部分の作成法は直
径0.3mmの直線状の針金を軸として巻き付けて作成
し、全長を64mm(縦16mm×2、横16mm×
2)とした。特性は図15(b)に示される。図5
(a)は上記のヘリカルアンテナで、給電点から見て反
対側の辺を構成するヘリカル部の一部を、ピッチが1.
4倍のヘリカルで置換(実際には上記のヘリカル部の5
mmの部分を7mmに引伸ばし、そのために長くなった
2mmの部分を削除し、ヘリカルアンテナの全長を62
mmに固定した。以下の事例も同様)した場合の構成図
を図5(a)に示す。図5(a)の示すヘリカルアンテ
ナの電気的特性を図5(b)に示す。同図より明らかな
様に、共振周波数近傍においてはアンテナ利得は通常の
ループアンテナに比較して遜色ないが、定在波比特性
や、指向特性は図15(b)よりは若干緩和されている
とは言え、かなり急峻な周波数特性を有している事がわ
かる。
【0023】図6(a)は給電点から見て反対側の辺を
構成するヘリカル部の内5mmの部分を10mmに引伸
ばした場合の構成図を示す。図6(a)の示すヘリカル
アンテナの電気的特性を図6(b)に示す。同図より明
らかな様に、共振周波数は図6(b)より高い周波数へ
移行し、共振周波数近傍における急峻な周波数特性も図
6(b)より緩和されているのがわかる。図7(a)は
給電点から見て反対側の辺を構成するヘリカル部の内5
mmの部分を、さらに16mmに引伸ばした場合の構成
図を示す。図7(a)の示すヘリカルアンテナの電気的
特性を図7(b)に示す。同図より明らかな様に、共振
周波数は図6(b)よりさらに高い周波数へ移行し、共
振周波数近傍における急峻な周波数特性も図6(b)よ
りさらに緩和されているのがわかる。上記の結果はアン
テナの設計パラメータとして有益な情報を与えている。
【0024】一般に無線送受信用のアンテナは小形化す
ると前述した様に、共振周波数近傍の諸特性の変化が激
しくなり、広帯域信号の送受信特性が劣化する。すなわ
ち、共振周波数近傍から少し離れた周波数におけるアン
テナの入力インピーダンス特性、指向特性等が共振周波
数におけるそれらと大きく変化(劣化)する事になる。
しかしながら、本発明を適用したヘリカルループアンテ
ナにおいては、小形化を図りつつ、この劣化をかなり軽
減する事が可能となる。すなわち、ループを構成する螺
旋部分を少なくとも2つの物理的諸元の異なる形状の螺
旋を使用する事により、アンテナの有する共振波長近傍
の定在波比、指向特性等をかなり広域にわたり良好な値
に保持可能となる。以下実測値を用いて説明する。
【0025】図8(a)は被測定ヘリカルループアンテ
ナの一例であり、図8(a)は給電点から見て反対側の
辺を構成するヘリカル部を次の構成で作成した。使用し
た被覆銅線の直径は0.3mmで、直径2.0mmの直
線状の針金を軸として巻き付け密に作成(太いヘリカル
部と略称)し、7mm(11回巻)とし、これを全長1
6mmになるように可能な限り一様に引伸ば(ピッチを
大きく)した。また、その他の部分の内、上辺と、給電
点近くの辺は直径0.3mmの銅線を用い、直径0.7
mmの直線状の針金を軸として巻き付け密に作成し、全
長を22mmとし、これを図8(a)に示す様に折り曲
げて使用した。また、下辺と、給電点近くの残りの辺は
直径は0.3mmの直線銅線を単に折り曲げて使用し
た。図8(a)に示すヘリカルアンテナの電気的特性を
図8(b)に示す。同図より明らかな様に、共振周波数
近傍における定在波比、指向特性等の対周波数特性は図
7(b)等と比較すれば明らかな様に、かなり広帯域に
わたり、良好な値を保っている事がわかる。
【0026】図9(a)は図8(a)に比較して太いヘ
リカル部を長くし、16巻とし、これを全長16mmに
なる様に引伸ばした場合であり、他の条件は図8(a)
に示すヘリカルアンテナと同様である。図9(a)の示
すヘリカルアンテナの電気的特性を図9(b)に示す。
同図より明らかな様に、共振周波数近傍における定在波
比、指向特性等の対周波数特性は図8(b)と比較すれ
ば明らかな様に、さらに広帯域にわたり、良好な値を保
っている事がわかる。共振周波数が図8(a)のヘリカ
ルアンテナに比較して低い方へシフトしたのは、ループ
を構成する全銅線長が増加したためと推定される。な
お、上記に説明した様な2つの物理的諸元の異なる形状
の螺旋を使用する事により、アンテナの有する共振波長
近傍の諸特性を改善出来る条件は使用周波数、使用する
銅線の太さ、螺旋の内径、ピッチ等諸条件が微妙に作用
しており、所要の効果を得るためには最適の諸元を決定
する必要がある。
【0027】
【発明の効果】本発明を適用したヘリカルループアンテ
ナはアンテナ固有の特性インピーダンスや共振周波数さ
らには指向性を、形状に応じて変化可能となったから、
以下の様な利点を有する事になった。すなわち、無線シ
ステム上の要求として、アンテナの特性インピーダン
ス、指向特性(利得)、形状(小型・軽量)等があり、
これらの要求条件を満たすアンテナ設計が可能となる。
例えば、移動無線端末として小型・軽量の要求が優先し
て求められれば、若干の指向特性(利得)、共振周波数
近傍における定在波比を犠牲にして実現可能となる。ま
た、アンテナの形状として、平面的に一定の広がりを許
容されれば、放射特性が従来の半波長ダイポールアンテ
ナとほぼ同等の性能が得らる外、所要周波数帯域が広帯
域にも耐えられると言う、従来の小型アンテナでは実現
が困難であった特性を実現可能となった。さらにアンテ
ナと給電線との整合の容易さも実現出来る上、多数のヘ
リカルアンテナを多段結合させることが出来るので、無
線基地局においても従来困難であったループアンテナの
高利得化が可能となった。したがって、本発明の効果は
大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のヘリカルループアンテナの種々の実施
例を示す図である。
【図2】本発明によるヘリカルループアンテナの他の実
施例を示す図である。
【図3】本発明によるヘリカルループアンテナの種々の
実施例の特性を測定した結果を示す図である。
【図4】本発明によるヘリカルループアンテナの他の実
施例の特性を測定した結果を示す図である。
【図5】本発明によるヘリカルループアンテナの他の実
施例とその特性を測定した結果を示す図である。
【図6】本発明によるヘリカルループアンテナの他の実
施例とその特性を測定した結果を示す図である。
【図7】本発明によるヘリカルループアンテナの他の実
施例とその特性を測定した結果を示す図である。
【図8】本発明によるヘリカルループアンテナの他の実
施例とその特性を測定した結果を示す図である。
【図9】本発明によるヘリカルループアンテナの他の実
施例とその特性を測定した結果を示す図である。
【図10】公知のループアンテナの一例である。
【図11】公知のヘリカルアンテナの一例である。
【図12】公知の垂直モードヘリカルアンテナの一例で
ある。
【図13】図10に示す公知のループアンテナの特性を
測定した結果を示す図である。
【図14】公知のブラウンアンテナの特性を測定した結
果を示す図である。
【図15】ヘリカルループアンテナの一例とその特性を
測定した結果を示す図である。
【符号の説明】
1: ヘリカルアンテナ素子 2: 給電線

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属針金をその有する曲率半径が使用波
    長に比し小さい値を保った形状の螺旋状に巻き、前記螺
    旋状金属導体の全長が使用波長の数分の1程度の長さに
    切断した上、ループ形状とし、前記螺旋状金属導体の両
    端を給電線と接続して構成されたヘリカルループアンテ
    ナにおいて、 前記ループを形成する螺旋状金属導体の一部を直線状、
    円状等の金属針金、もしくは前記螺旋と異なる物理的諸
    元を有する形状の螺旋状金属導体で置換したヘリカルル
    ープアンテナ。
  2. 【請求項2】 前記「請求項1」のヘリカルループアン
    テナを形成する前記螺旋状金属導体の一部を直線状、円
    状等の金属針金、もしくは前記螺旋と異なる物理的諸元
    を有する形状の螺旋状金属導体で置換する事により、 アンテナの有する特性インピーダンス、共振波長、指向
    特性等を変更可能としたヘリカルループアンテナ。
  3. 【請求項3】 前記「請求項1」のヘリカルループアン
    テナを形成する前記螺旋状金属導体の一部を直線状、円
    状等の金属針金、もしくは前記螺旋と異なる物理的諸元
    を有する形状の螺旋状金属導体で置換する事により、 アンテナの有する共振波長近傍の定在波比、指向特性等
    を広域にわたり良好な値に保持可能な事を特徴とするヘ
    リカルループアンテナ。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100763596B1 (ko) * 2006-06-30 2007-10-05 한국전자통신연구원 루프 구조와 헬리컬 구조를 이용한 안테나, 이를 이용한rfⅰd 태그 및 안테나 임피던스 정합 방법
JP2014518059A (ja) * 2011-04-28 2014-07-24 アライアント・テクシステムズ・インコーポレーテッド 近接場エネルギーを用いてワイヤレスでエネルギーを伝送するための機器

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