JPH09268469A - 防しわ性蛋白質繊維構造物及びその製造方法 - Google Patents
防しわ性蛋白質繊維構造物及びその製造方法Info
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- JPH09268469A JPH09268469A JP9775096A JP9775096A JPH09268469A JP H09268469 A JPH09268469 A JP H09268469A JP 9775096 A JP9775096 A JP 9775096A JP 9775096 A JP9775096 A JP 9775096A JP H09268469 A JPH09268469 A JP H09268469A
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Abstract
が増加したり、高湿度条件下における吸湿性が低下した
りする等、蛋白質繊維本来の性質を損なうことなく、更
には安全性に支障をきたすということもなく、蛋白質繊
維構造物に対して優れた防しわ性が付与されるようにす
る。 【解決手段】蛋白質繊維構造物の分子間及び/又は分子
内にジスルフィド結合等を有する架橋を導入して架橋数
を増加させた防しわ性蛋白質繊維構造物を得るように
し、またこの防しわ性蛋白質繊維構造物を得るにあた
り、蛋白質繊維構造物にチオール基等の架橋性の置換基
を導入し、この置換基を結合させて、蛋白質繊維構造物
の分子間及び/又は分子内にジスルフィド結合等を有す
る架橋を導入して架橋を増加させるようにした。
Description
白質繊維で構成された蛋白質繊維構造物における防しわ
性を向上させた防しわ性蛋白質繊維構造物及びその製造
方法に関するものである。
繊維及びその製品について、その防しわ性を向上させる
ための研究が行なわれているが、未だ十分に防しわ性を
向上させる方法が開発されていないのが現状である。
製品からなる蛋白質繊維構造物に対して防しわ性を付与
する防しわ加工法としては、従来より以下に示すような
物理的方法と化学的方法とが開発されている。
白質繊維に本来備わっている性質、すなわちエイジン
グ、アンニーリング現象を利用したものであり、高圧デ
カタイジング,真空オートクレープ等を用いて蛋白質繊
維構造物をセットし、これにより蛋白質繊維構造物に防
しわ性を付与する方法が一般に知られている。
を付与した場合、この蛋白質繊維構造物をスチームプレ
スしたり、水の中に入れたりすると、防しわ性が容易に
失われてしまい、蛋白質繊維構造物に対して長続きのす
る十分な防しわ性を付与することができなかった。
物を蛋白質繊維構造物内に導入する方法と、蛋白質繊維
構造物に樹脂加工等を行ない、蛋白質繊維構造物の構造
を樹脂等で安定化させる方法とが一般に知られている。
ルキー化合物としては、ニンヒドリン、ベンゾキノン、
フェニルイソシアネート、タンニン酸、ミッチンFF等
が用いられており、これらの化合物によって蛋白質繊維
構造物に防しわ性を付与した場合、物理的方法に比べて
長続きのする防しわ性が付与されるが、このようなバル
キー化合物の導入によっては、80%RH以上の高湿度
において吸湿性が低下したり、蛋白質繊維構造物の重量
が増加する等の問題点が指摘されている(J.D.Le
eder,J.A.Ass;Text.Chem.Co
lor.,3,193(1971−8),繊維加工,2
4,343(1972))。
酢酸第2水銀や重クロム酸カリウムを用いた場合、蛋白
質繊維構造物に優れた防しわ性が付与されるが、これら
の化合物を用いた場合、安全性に問題があったり、蛋白
質繊維構造物が着色される等の問題があり、どちらも実
用化されていない。
う場合の加工剤としては、一般にトルエンジイソシアネ
ート、ピロガロール/ホルムアルデヒド樹脂等が用いら
れており、これらの加工剤を用いて蛋白質繊維構造物に
防しわ性を付与した場合、蛋白質繊維構造物に有効な防
しわ性が付与されるが、このような樹脂加工により、蛋
白質繊維構造物の風合いが損なわれたり、蛋白質繊維構
造物の重量が増加する等の問題点が指摘されている。
やグリオキザール等の架橋性の加工剤を用いて、蛋白質
繊維構造物に防しわ性を付与することを試みた研究例も
報告されているが、この方法によっても蛋白質繊維構造
物に対して十分な防しわ性が得られていない(J.D.
Leeder,J.A.Ass;Text.Chem.
Color.,3,193(1971−8),繊維加
工,24,343(1972))。
せた蛋白質繊維構造物の防しわ加工法の研究も報告され
ており、アンニーリングの効果を安定させるために、蛋
白質繊維構造物をレゾルシノール、メラミン、モノメチ
ロールメラミンで前処理した後、パラホルムアルデヒド
の存在下においてアンニーリングして、蛋白質繊維構造
物に防しわ性を付与することが提案されている。
性を付与した場合、蛋白質繊維構造物に有効な防しわ性
が付与されるようになるが、蛋白質繊維構造物における
引張強度や摩擦強度が低下して、風合いが損なわれると
いう問題点等が指摘されている(改森道信;染色工業,
41(No.6),289−303(1993))。
する方法として、蛋白質繊維構造物にビニル系モノマ
ー、メチル置換スチレン誘導体等を用いてグラフト重合
する方法や、エポキシ化合物をアルカリ金属触媒下で含
浸させ、マイクロ波照射処理する方法、或いは羊毛ケラ
チン、絹フィブロイン、コラーゲン等の誘導体を吸着さ
せる方法等も提案されているが、蛋白質繊維本来の性質
を損なうことなく、防しわ性を向上させるといった効果
は得られていないのが現状である。
等の蛋白質繊維で構成された蛋白質繊維構造物に防しわ
性を付与する場合における上記のような様々な問題を解
決することを課題とするものである。
維構造物に防しわ性を付与するにあたり、蛋白質繊維本
来の性質を損なうことなく、具体的には、蛋白質繊維の
風合いや色相を変化させず、またその重量が増加した
り、80%RH以上の高湿度条件下における吸湿性が低
下したりするということがなく、更には、安全性に支障
をきたすということもなく、蛋白質繊維構造物に対して
優れた防しわ性が付与されるようにすることを課題とす
るものである。
性蛋白質繊維構造物においては、上記のような課題を解
決するため、蛋白質繊維構造物の分子間及び/又は分子
内に架橋を導入して、架橋数を増加させるようにしたの
である。
維構造物の製造方法においては、上記のような課題を解
決するため、蛋白質繊維構造物に架橋性の置換基を導入
し、この置換基を結合させて、蛋白質繊維構造物の分子
間及び/又は分子内における架橋を増加させるようにし
たのである。
物は、羊毛,モヘヤ,カシミヤ,アルパカ等の獣毛繊
維、家蚕,野蚕等の絹繊維、またはこれらの繊維から得
られる毛糸,絹糸、或いはこれらの繊維又は糸から得ら
れる織物,編物,不織布等、更には他の繊維、例えば、
ポリエステル繊維,ナイロン繊維,アクリル繊維,セル
ロース繊維,麻繊維等との混紡品や交編織品や交撚品等
も含む意味である。
子間及び/又は分子内に架橋を導入させる方法として
は、(1)蛋白質の官能基と官能基の間にスペーサーを
入れることなく直接結合させる方法と、(2)スペーサ
ーRを介して2個の反応基X,Yを持つ2価性架橋化学
薬品(X−R−Y)を用いる方法がある。
白質繊維構造物におけるチオール基同士を結合させてジ
スルフィド結合により架橋させる方法や、蛋白質繊維構
造物におけるカルボキシル基とアミノ基とを結合させて
アミド結合により架橋させる方法とが存在する。
る試薬としては、例えば、1−エチル−3−(3−ジメ
チルアミノ)プロピルカルボジイミド(EDC)等のカ
ルボジイミド類、クロロギ酸エチル、ウッドワード試
薬、カルボニルジイミダゾール等を用いることができ
る。
記の2個の反応基X,Yが同じ反応基であるホモ二価性
架橋化学薬品と、異なる反応基であるヘテロ二価性架橋
化学薬品を使用する場合がある。
用いる反応は、通常、一段階で行なわれ、アミノ基相互
間を架橋させる架橋化学薬品としては、例えば、ジメチ
ルスクシンイミデート、ジメチルアジピンイミデート等
のアルキルジイミデート類、酒石酸ジアジド等のアシル
アジド類、ジスクシンイミジルスペレート、ジスクシン
イミジルタルタレート、ジチオビス(スクシンイミジル
プロピオネート)等のN−ヒドロキシスクシンイミドエ
ステル類、キシレン−m−ジイソシアネート等のイソシ
アネート類、1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベ
ンゼン等のアリールジハライド類、グルタルアルデヒド
等のジアルデヒド類等を用いることができる。
化学薬品としては、例えば、N,N−p−フェニレンジ
マレイミド等のジマレイミド類、ジブロモアセトン、
N,N−ジヨードアセチルポリメチレンジアミン等を用
いることができる。
アミノ基相互間を架橋させる架橋化学薬品としては、例
えば、ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネー
ト)、ジチオビス(スルホスクシンイミジルプロピオネ
ート)、ビス(β−イソシアナートエチル)ジスルフィ
ド等を用いることができる。
それぞれの反応基が異なる反応性を示すので、反応は段
階的に行なわれ、アミノ基とチオール基との間を架橋さ
せる架橋化学薬品としては、例えば、γ−マレイミド酪
酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル等のマレイミ
ドカルボン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル類
等を用いることができる。
アミノ基とチオール基との間を架橋させる架橋化学薬品
としては、例えば、スルホスクシンイミジル3−[2−
(4−アジドサリチルアミド)エチルジチオ]プロピオ
ネート、スクシンイミジル3−(4−アジドフェニルジ
チオ)プロピオネート等を用いることができる。
ば、ブロムシアン、塩化シアヌル、スクシンイミジル5
−アジド−2−ニトロベンゾエート等のニトレン類等を
用いることができる。
方法としては、蛋白質中におけるアミノ基をチオール化
し、SH/SS交換反応を利用して、分子内或いは分子
間にジスルフィド結合を形成させて、分子内或いは分子
間に架橋を導入する方法が極めて有効な方法である。
としては、例えば、3−メルカプトプロピオンイミデー
ト、メチル4−メルカプトブチルイミデート、2−イミ
ノチオラン、N−アセチルホモシステインチオールラク
トン、チオール基が2−ピリジルジスルフィド基で保護
されたスクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)プ
ロピオネート、チオール基がアセチル基で保護されたS
−アセチルメルカプトコハク酸無水物、スクシンイミジ
ルS−アセチルチオアセテート等を用いることができ
る。なお、これらの保護基は、蛋白質繊維構造物と反応
させた後、ジチオスレイトール等の還元剤で処理し、或
いはヒドロキシルアミンで処理することによって容易に
除去することができる。
し、分子内或いは分子間にジスルフィド結合を形成させ
て、分子内或いは分子間に架橋を導入させるにあたって
は、チオール基を導入させる化学薬品を1×10-6M〜
1M含有する緩衝液(pH5〜10)中に、浴比2〜4
00倍の割合で処理する蛋白質繊維構造物を浸漬させ、
必要に応じて撹拌、振とう等を加えながら、1分〜24
時間、0〜100℃の温度で反応させ、蛋白質繊維構造
物にチオール基を導入する。その後、必要であれば、水
洗等により、未反応のチオール基導入試薬を取り除いて
乾燥させる。次いで、上記蛋白質繊維構造物に過酸化水
素等の過酸化剤を噴霧或いは塗布したり、またスチーミ
ング処理して、これを酸化させた後、この蛋白質繊維構
造物を自然乾燥或いは強制乾燥させる。
導入された大部分のチオール基がジスルフィド結合を形
成し、最終的に蛋白質繊維構造物中に三次元の分子間架
橋が多数導入され、これにより蛋白質繊維構造物におけ
る防しわ性が向上される。
のようにジスルフィド結合を有している場合、上記のよ
うにチオール基を導入し、これを水洗した後、この蛋白
質繊維構造物を還元剤を含む水溶液中に浸漬し、蛋白質
繊維構造物が本来の持っているジスルフィド結合を還元
により開裂させ、その後、上記のように酸化させてジス
ルフィド結合を形成すると、蛋白質繊維構造物により優
れた防しわ性が得られるようになる。
チオグリコール酸アンモニウム、メルカプトエタノー
ル、L−システイン、N−アセチル−L−システイン等
を使用することができるが、特にこれらに限定されるも
のではない。
すると共に、比較例のものと比較して、この発明の実施
例の方が防しわ性の点で優れているということを明らか
にする。但し、この発明は以下に示す実施例に限定され
るものではなく、この発明の要旨を変更しない範囲で適
宜変更して実施することができる。
質繊維構造物として、羊毛繊維で構成された布帛を用
い、この羊毛繊維の布帛を、グルタルアルデヒドを1重
量%含有する0.1Mりん酸緩衝溶液(pH7)中に浴
比67倍の割合で浸漬させ、振とうを加えながらこの羊
毛繊維の布帛を、50℃の下で3時間反応させた。その
後、この布帛を水洗し、自然乾燥させて実施例1の加工
布を得た。
質繊維構造物として、上記の実施例1と同じ羊毛繊維の
布帛を用い、この羊毛繊維の布帛を、グルタルアルデヒ
ドが含有されていない0.1Mりん酸緩衝溶液(pH
7)中に浴比67倍の割合で浸漬させ、上記の実施例1
の場合と同様に、振とうを加えながらこの羊毛繊維の布
帛を、50℃の下で3時間反応させ、その後、これを水
洗し、自然乾燥させて比較例1の加工布を得た。
の実施例1と同じ羊毛繊維の布帛を用い、この羊毛繊維
の布帛を、2−イミノチオランを2.9mM含有する
0.05Mりん酸緩衝溶液(pH8)中に浴比67倍の
割合で浸漬させ、振とうを加えながらこの羊毛繊維の布
帛を50℃の下で3時間反応させて、羊毛繊維にチオー
ル基を導入した後、この羊毛繊維の布帛を水洗して未反
応の試薬を取り除いた。
−システイン水溶液中に浸漬させて還元し、羊毛繊維に
存在するジスルフィド結合を開裂させた後、ピックアッ
プ(絞り率)を調整し、スチームアイロンを用いてこの
羊毛繊維の布帛をフラット形状に保持し、この状態でこ
の羊毛繊維の布帛をスチーミングにより酸化して実施例
2の加工布を得た。
の実施例1と同じ羊毛繊維の布帛を用い、この羊毛繊維
の布帛を、N−アセチルホモシステインチオールラクト
ンを2.9mM含有する0.05Mりん酸緩衝溶液(p
H8)中に浴比67倍の割合で浸漬させ、振とうを加え
ながらこの羊毛繊維の布帛を50℃の下で3時間反応さ
せて、羊毛繊維にチオール基を導入した後、この羊毛繊
維の布帛を水洗して未反応の試薬を取り除いた。
−システイン水溶液中に浸漬させて還元し、羊毛繊維に
存在するジスルフィド結合を開裂させた後、ピックアッ
プ(絞り率)を調整し、スチームアイロンを用いてこの
羊毛繊維の布帛をフラット形状に保持し、この状態でこ
の羊毛繊維の布帛をスチーミングにより酸化して実施例
3の加工布を得た。
の実施例1と同じ羊毛繊維の布帛を用い、この羊毛繊維
の布帛を、0.05Mりん酸緩衝溶液(pH8)中に浴
比67倍の割合で浸漬させ、上記の実施例1の場合と同
様に、振とうを加えながらこの羊毛繊維の布帛を、50
℃の下で3時間反応させた後、これを水洗し、ピックア
ップ(絞り率)を調整し、スチームアイロンを用いてこ
の羊毛繊維の布帛をフラット形状に保持し、この状態で
この羊毛繊維の布帛をスチーミングにより酸化して比較
例2の加工布を得た。
ける防しわ性の評価を行なうようにした。
を行なうにあたっては、縦糸方向に大きさ15mm×4
0mmの試験片を各加工布から採取し、各試験片を温度
20℃、湿度65%RH下で予め約24時間保存した
後、更に各試験片を恒温恒湿器を用いて、温度30℃、
湿度90%RH下で24時間保存し、試料調整を行な
い、次いで、各試験片を折り、この各試験片に対して温
度20℃、湿度65%RH下において800g荷重を9
0分間加えてしわ付けを行ない、その後、モンサント型
試験器を用いて30分後の開角度を測定すると共にしわ
回復率(%)を求め、その結果を下記の表1に示した。
橋を導入した実施例1の加工布は、グルタルアルデヒド
を用いていない比較例1の加工布に比べて開角度が大き
くなって、しわ回復率が高くなっていた。
ホモシステインチオールラクトンを用いて羊毛繊維にチ
オール基を導入した後、この羊毛繊維の布帛を還元して
羊毛繊維に存在するジスルフィド結合を開裂させ、その
後、羊毛繊維の布帛をスチーミングにより酸化してジス
ルフィド結合させ、ジスルフィド結合による架橋を増加
させた実施例2,3の各加工布は、チオール基を導入さ
せなかった比較例2の加工布に比べて、開角度が非常に
大きくなって、しわ回復率が著しく向上されており、ま
たグルタルアルデヒドを用いて架橋を導入した実施例1
の加工布よりもしわ回復率が更に向上していた。
質繊維構造物として羊毛繊維の布帛を用い、この羊毛繊
維の布帛を、2−イミノチオランを0.725mM含有
する0.05Mりん酸緩衝溶液(pH8)中に浴比27
倍の割合で浸漬させ、振とうを加えながらこの羊毛繊維
の布帛を70℃の下で4時間反応させて、羊毛繊維にチ
オール基を導入した後、この羊毛繊維の布帛を水洗して
未反応の試薬を取り除いた。
プ(絞り率)を調整し、スチームアイロンを用いてこの
羊毛繊維の布帛をフラット形状に保持し、この状態でこ
の羊毛繊維の布帛をスチーミングにより酸化して実施例
4の加工布を得た。
の実施例4と同じ羊毛繊維の布帛を用い、この羊毛繊維
の布帛を、2−イミノチオランを0.725mM含有す
る0.05Mりん酸緩衝溶液(pH8)中に浴比27倍
の割合で浸漬させ、振とうを加えながらこの羊毛繊維の
布帛を70℃の下で4時間反応させて、羊毛繊維にチオ
ール基を導入した後、この羊毛繊維の布帛を水洗して未
反応の試薬を取り除いた。
L−システイン水溶液中に浸漬させて還元し、羊毛繊維
に存在するジスルフィド結合を開裂させた後、ピックア
ップ(絞り率)を調整し、スチームアイロンを用いてこ
の羊毛繊維の布帛をフラット形状に保持し、この状態で
この羊毛繊維の布帛をスチーミングにより酸化して実施
例5の加工布を得た。
の実施例4と同じ羊毛繊維の布帛を用い、この羊毛繊維
の布帛を、0.05Mりん酸緩衝溶液(pH8)中に浴
比27倍の割合で浸漬させ、振とうを加えながらこの羊
毛繊維の布帛を70℃の下で4時間反応させた後、これ
を水洗し、ピックアップ(絞り率)を調整し、スチーム
アイロンを用いてこの羊毛繊維の布帛をフラット形状に
保持し、この状態でこの羊毛繊維の布帛をスチーミング
により酸化して比較例3の加工布を得た。
び比較例3の各加工布についても、前記の場合と同様に
して防しわ性の評価を行ない、各加工布における開角度
を測定して、しわ回復率(%)を求め、その結果を下記
の表2に示した。
にチオール基を導入し、このチオール基を結合させてジ
スルフィド結合による架橋を増加させた実施例4,5の
各加工布は、チオール基を導入させなかった比較例3の
加工布に比べて、開角度が大きくなって、しわ回復率が
著しく向上されていた。
の実施例2,3のように羊毛繊維にチオール基を導入し
た後、これを還元して羊毛繊維に存在するジスルフィド
結合を開裂させ、その後、これを酸化してジスルフィド
結合させた実施例5の方が、チオール基の導入後に還元
を行なわなかった実施例4のものよりも、しわ回復率が
向上していた。
の実施例4と同じ羊毛繊維の布帛を用い、この羊毛繊維
の布帛を、グルタルアルデヒドを1重量%含有する0.
05Mりん酸緩衝溶液(pH7)中に浴比54倍の割合
で浸漬させ、振とうを加えながらこの羊毛繊維の布帛
を、50℃の下で24時間反応させた。
のピックアップ(絞り率)を調整した後、スチームアイ
ロンを用いてこの羊毛繊維の布帛をフラット形状に保持
し、この状態でこの羊毛繊維の布帛をスチーミングによ
り酸化して実施例6の加工布を得た。
の実施例4と同じ羊毛繊維の布帛を用い、この羊毛繊維
の布帛を、2−イミノチオランを2.9mM含有する
0.05Mりん酸緩衝溶液(pH8)中に浴比54倍の
割合で浸漬し、振とうを加えながらこの羊毛繊維の布帛
を50℃の下で24時間反応させて、羊毛繊維にチオー
ル基を導入した後、この羊毛繊維の布帛を水洗して未反
応の試薬を取り除いた。
L−システイン水溶液中に浸漬させて還元し、羊毛繊維
に存在するジスルフィド結合を開裂させた後、ピックア
ップ(絞り率)を調整し、スチームアイロンを用いてこ
の羊毛繊維の布帛をフラット形状に保持し、この状態で
この羊毛繊維の布帛をスチーミングにより酸化して実施
例7の加工布を得た。
の実施例4と同じ羊毛繊維の布帛を用い、この羊毛繊維
の布帛を、0.05M酢酸緩衝溶液(pH5)中に浴比
54倍の割合で浸漬させ、振とうを加えながらこの羊毛
繊維の布帛を50℃の下で24時間反応させた後、これ
を水洗し、ピックアップ(絞り率)を調整し、スチーム
アイロンを用いてこの羊毛繊維の布帛をフラット形状に
保持し、この状態でこの羊毛繊維の布帛をスチーミング
により酸化して比較例4の加工布を得た。
の実施例4と同じ羊毛繊維の布帛を用い、この羊毛繊維
の布帛を、ホルマリンを8重量%含有する0.05M酢
酸緩衝溶液(pH5)中に浴比53倍の割合で浸漬し、
振とうを加えながら50℃の下で25時間反応させた
後、これを水洗し、ピックアップ(絞り率)を調整し、
スチームアイロンを用いてこの羊毛繊維の布帛をフラッ
ト形状に保持し、この状態でこの羊毛繊維の布帛をスチ
ーミングにより酸化して比較例5の加工布を得た。
及び比較例4,5の各加工布についても、前記の場合と
同様にして防しわ性の評価を行ない、各加工布における
開角度を測定して、しわ回復率(%)を求め、その結果
を下記の表3に示した。
橋を導入した実施例6の加工布や、羊毛繊維にチオール
基を導入してジスルフィド結合による架橋を増加させた
実施例7の加工布は、グルタルアルデヒドやチオール基
を導入させて架橋を増加させることを行なわなかった比
較例4や、従来のようにホルムアルデヒトを用いて防し
わ性の加工を行なった比較例5の加工布に比べて開角度
が大きくなって、しわ回復率が高くなっていた。なお、
従来のようにホルムアルデヒトを用いた比較例5の加工
布において、防しわ性の向上が低いのは、羊毛繊維内に
十分な架橋が導入されないことによると考えられる。
繊維構造物として羊毛繊維の布帛を用い、この羊毛繊維
の布帛に対するチオール基の導入量と、羊毛繊維の布帛
に付与される防しわ性との関係を調べた。
ノチオランを1.18×10-1mM、3.63×10-1
mM、7.25×10-1mM、2.9mM、29mM含
有する0.05Mりん酸緩衝溶液(pH8)中に羊毛繊
維の布帛をそれぞれ浴比54倍の割合で浸漬し、振とう
を加えながら各羊毛繊維の布帛を70℃の下で4時間反
応させてそれぞれ羊毛繊維にチオール基を導入させた。
その後、各羊毛繊維の布帛を水洗して未反応の試薬を取
り除き、各羊毛繊維の布帛に導入されたチオール基の導
入量を測定し、その結果を下記の表4に示した。なお、
チオール基の導入量を測定するにあたっては、予め、
0.05Mりん酸緩衝溶液(pH8)中に羊毛繊維の布
帛をそれぞれ浴比54倍の割合で、振とうを加えなが
ら、70℃の下で4時間浸漬させ、その羊毛繊維粉砕品
に既知のL−システインを添加し、20φの螢光X線試
料を作製し、蛍光X線により、S−Kαピーク強度に対
するL−システインの検量線を作成し、この検量線に基
づいて各羊毛繊維の布帛におけるチオール基の導入量を
算出した。
%L−システイン水溶液中に浸漬させて還元し、羊毛繊
維に存在するジスルフィド結合を開裂させた後、ピック
アップ(絞り率)を調整し、スチームアイロンを用いて
各羊毛繊維の布帛をフラット形状に保持し、この状態で
各羊毛繊維の布帛をスチーミングにより酸化して各加工
布を得た。
いても、前記の場合と同様にして防しわ性の評価を行な
い、各加工布における開角度を測定して、しわ回復率
(%)を求め、その結果を下記の表4に示した。なお、
同表には、2−イミノチオランを含有させない0.05
Mりん酸緩衝溶液を用い、チオール基を導入させずに処
理した加工布についても開角度及びしわ回復率(%)を
求めて示した。
維にチオール基を導入した後、これを還元して羊毛繊維
に存在するジスルフィド結合を開裂させ、その後、これ
を酸化してジスルフィド結合させた場合には、チオール
基を導入させなかった場合に比べて、開角度が大きくな
って、しわ回復率が著しく向上しており、またチオール
基の導入量が0.06重量%以上であれば、しわ回復率
がほぼ一定しており、チオール基を0.06重量%程度
導入させれば十分なしわ回復率が得られた。
うにして蛋白質繊維構造物に防しわ性を付与すると、従
来のように、蛋白質繊維の風合いや色相を変化させず、
またその重量が増加したり、80%RH以上の高湿度条
件下における吸湿性が低下したりするということがな
く、更には、安全性に支障をきたすということもなく、
蛋白質繊維構造物に対して優れた防しわ性が付与される
ようになった。
Claims (4)
- 【請求項1】 蛋白質繊維構造物の分子間及び/又は分
子内に架橋が導入されて、架橋数が増加されてなること
を特徴とする防しわ性蛋白質繊維構造物。 - 【請求項2】 請求項1に記載した防しわ性蛋白質繊維
構造物において、蛋白質繊維構造物の分子間及び/又は
分子内にジスルフィド結合を有する架橋が導入されてな
ることを特徴とする防しわ性蛋白質繊維構造物。 - 【請求項3】 蛋白質繊維構造物に架橋性の置換基を導
入し、この置換基を結合させて、蛋白質繊維構造物の分
子間及び/又は分子内における架橋を増加させることを
特徴とする防しわ性蛋白質繊維構造物の製造方法。 - 【請求項4】 蛋白質繊維構造物にチオール基を導入し
た後、この蛋白質繊維構造物を酸化処理して、この蛋白
質繊維構造物の分子間及び/又は分子内にジスルフィド
結合を有する架橋を導入させたことを特徴とする防しわ
性蛋白質繊維構造物の製造方法。
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CN105828879A (zh) * | 2013-12-19 | 2016-08-03 | 宝洁公司 | 用于使纤维材料成形的方法和用于其的处理组合物 |
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