JPH09263460A - 大粒径パーライト発泡体の製造方法 - Google Patents

大粒径パーライト発泡体の製造方法

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JPH09263460A
JPH09263460A JP8074168A JP7416896A JPH09263460A JP H09263460 A JPH09263460 A JP H09263460A JP 8074168 A JP8074168 A JP 8074168A JP 7416896 A JP7416896 A JP 7416896A JP H09263460 A JPH09263460 A JP H09263460A
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JP
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pearlite
perlite
foam
particle size
stone
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JP8074168A
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English (en)
Inventor
Keiji Suenaga
圭司 末永
Kenzo Hanawa
健三 塙
Ryuma Fuda
龍馬 附田
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Mitsui Mining and Smelting Co Ltd
Original Assignee
Mitsui Mining and Smelting Co Ltd
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  • Porous Artificial Stone Or Porous Ceramic Products (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軟質パーライト原石を原料として、土壌改良
材など幅広い用途に使用可能な大粒径パーライト発泡体
を、収率良く、効率的に製造する方法の提供。 【解決手段】 加熱・発泡時に微粒化する特性を有する
パーライト原石を粉砕し、かつ分級して得られるパーラ
イト精石の粒子表面に、水酸化ナトリウムである軟化剤
を付着させた後、加熱・発泡せしめる大粒径パーライト
発泡体の製造方法、および、パーライト原石を粉砕し、
かつ分級して得られるパーライト精石の試料を、加熱炉
において加熱・発泡せしめ、得られた発泡体の粒径測定
結果に基づき軟化剤付着の要否を予め判定し、軟化剤付
着が必要と判定された前記パーライト精石の粒子表面に
水酸化ナトリウムである軟化剤を付着させた後、加熱・
発泡せしめる大粒径パーライト発泡体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、土壌改良材、モル
タル用資材、軽量骨材、サイジングボードなどに添加す
る軽量骨材、無機保温材、あるいは濾過助剤などに用い
られるパーライト発泡体の製造方法に関し、特に土壌改
良材、軽量骨材、モルタル用資材などに用いられる大粒
径のパーライト発泡体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】パーライト発泡体は、天然火山ガラスで
ある真珠岩、または、松脂岩を粉砕して、加熱、膨張さ
せたもので、小気泡からなり、極めて軽い粒状のもので
ある。パーライト発泡体は、その特性から前記した用途
に幅広く使用されており、製品の粒度分布がその重要な
要求特性の一つとなっている。
【0003】表1に、用途別のパーライト発泡体の粒度
分布を示す。すなわち、土壌改良材、軽量骨材の場合、
粒径が0.3mm 以上、5mm以下、モルタル用資材の場合、
製品の40〜75vol %が0.6mm 以上、すなわち大粒径であ
ることが要求される。
【0004】
【表1】
【0005】従来の天然ガラス質鉱物からの発泡体の製
造方法としては、特開昭47−34607 号公報、特開昭
53−22520 号公報、特開昭60−36352 号公報、特開
昭60−77145 号公報、特開昭63−144144号公報、特
開昭61−163148号公報が挙げられる。以下、これらの従
来技術の特徴を述べる。
【0006】特開昭47−34607 号公報:予め粗砕した
火山岩を 200μm (0.2mm) を超えない大きさに粗砕した
後、さらに少なくとも40〜50%が25μm (0.025mm) 以下
になるように粉砕し、アルカリ溶液処理後、成形し、加
熱・発泡する発泡体の製造方法が開示されており、この
場合、鉱石の軟化点を下げるために10%以上のアルカリ
が添加されている。
【0007】特開昭53−22520 号公報:真珠岩の粉末
をその表面にアルカリまたはアルカリ土類金属の化合物
を付着させた状態で加熱膨張せしめる膨張パーライト発
泡体の製造方法が開示され、真珠岩を粉砕した後の前記
粉末の粒径としては、−48mesh( −0.3mm )=72%が、
また、本公報で実際に使用可能な前記化合物としては炭
酸カルシウム、塩化カルシウム、水酸化カルシウムなど
のアルカリ土類金属の化合物、および塩化ナトリウムが
開示されている。
【0008】特開昭60−36352 号公報、特開昭60−
77145 号公報、特開昭63−144144号公報:粒子径20μ
m (0.02mm)以下の天然ガラスにアルカリ成分を、天然ガ
ラス100 重量部に対して各々20〜50重量部、20〜50重量
部、15〜25重量部添加する方法が開示されている。
【0009】特開昭61−163148号公報:微粉パーライ
トに予め水、少量の無機物と水、無機塩の水溶液のいず
れかを添加し顆粒化した後、焼成発泡させる膨張パーラ
イトの製造方法が開示され、微粉パーライトとしては−
100mesh(−0.15mm) の微粉パーライトを用い、無機物と
してはベントナイトが、無機塩としては水ガラス、ソー
ダ灰が開示されている。
【0010】しかし、前記従来技術の、、、
は、原石の微粉砕が必要であり、また軟化点を下げる目
的で、アルカリを添加するので、最低でも10%、一般に
は20%、多い時には50%のアルカリの添加が必要であ
る。このため、粉砕に多くのエネルギーを必要とし、ま
た組成の調整に多量のアルカリを添加するため、得られ
る発泡体のアルカリ度が著しく高くなり、土壌改良材な
どには使用できず、その用途が限定されるという問題が
ある。
【0011】また、これらの方法の場合、アルカリが原
石の粒子内部迄十分拡散するために10分以上の加熱時間
が必要とされ、加熱・発泡工程における生産性にも問題
があった。さらに、これらの方法によれば、軟化点が変
わるほど組成を変えてしまうので、焼成条件も全く異な
ってしまい、現行のパーライト原石を加熱・発泡させる
焼成方法である急速焼成炉が適用できず、これらの方法
によって得られた製品は、閉気孔が多いため吸水性が小
さく、土壌改良材などの用途には使用し難く、強度を特
に要求する用途に限定される。
【0012】また、に開示された方法は、嵩比重の小
さい、すなわち良く発泡した優良膨化パーライトを得る
ことを目的としており、加熱発泡時に割れ易い軟質パー
ライトの加熱発泡時の割れを防止し原料粒径より大きい
大粒径のパーライト発泡体を得ることを目的としていな
い。また、に開示された方法は、原料微粉の有効活用
を目的としており、加熱発泡時に割れ易い軟質パーライ
トから所望の大粒径のパーライト発泡体を収率良く得る
ことを目的としていない。
【0013】以上述べたように、従来技術によれば、大
粒径の発泡体の製造に際しては、原料の粉砕のために
多くのエネルギーが必要である、また多量のアルカリ
が必要であり、土壌改良材などには使用できず、その用
途が限定されるという問題があった。また、軟質パーラ
イトから大粒径のパーライト発泡体を収率良く生産する
ことができなかった。
【0014】一方、原料であるパーライト原石におい
て、同一種類のパーライト原石であっても、加熱・発泡
後に、微粒化が少なく原料の精石粒径より大きい大粒径
の発泡体が多量に得られる原石(以下、硬質パーライト
と記す)と、原料の精石粒径より粒径が小さい小粒径の
発泡体が多量に発生する原石(以下、軟質パーライトと
記す)とがあることが判明しており、前者は大粒径の発
泡体を収率良く得たい場合、後者は嵩比重が小さければ
微粒径でも差支えない濾過助剤等の用途に用いる微粒径
の発泡体を得たい場合に、両者は従来使い分けられてい
た。
【0015】しかし、良質の硬質パーライトの原料の枯
渇により、軟質パーライトの有効活用および製造工程管
理上、パーライト原石の適切な評価方法および軟質パー
ライトからの大粒径パーライト発泡体の製造方法の開発
が必要となった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術の問題点を解決し、軟質パーライト原石を原料とし
て、土壌改良材など幅広い用途に使用可能な大粒径パー
ライト発泡体を、収率良く、効率的に、安価に製造する
方法の提供を目的とする。また、本発明は、パーライト
原石の粉砕、分級時に得られた細粒を用いて大粒径のパ
ーライト発泡体を効率的に安価に製造し、製品であるパ
ーライト発泡体の対原料歩留りを向上し、省資源が達成
できる方法の提供を目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、加熱・発
泡時に微粒化する特性を有する軟質パーライト原石を粉
砕し、かつ分級して得られるパーライト精石(以下、パ
ーライト原石を粉砕後、分級して得られた原料粉を精石
と記す。)の粒子表面に、水酸化ナトリウムである軟化
剤を付着させた後、加熱・発泡せしめることを特徴とす
る大粒径パーライト発泡体の製造方法である。
【0018】第2の発明は、パーライト原石を粉砕し、
かつ分級して得られるパーライト精石の試料を、加熱炉
において加熱・発泡せしめ、得られた発泡体の粒径測定
結果に基づき軟化剤付着の要否を予め判定し、軟化剤付
着が必要と判定された前記パーライト精石の粒子表面に
水酸化ナトリウムである軟化剤を付着させた後、加熱・
発泡せしめることを特徴とする大粒径パーライト発泡体
の製造方法である。
【0019】第3の発明は、加熱・発泡時に微粒化する
特性を有する軟質パーライト原石を粉砕し、かつ分級し
て得られる粒径が大なる側のパーライト精石の粒子表面
に、水酸化ナトリウムである軟化剤を付着させた後、加
熱・発泡せしめ、さらに、前記粉砕、分級で得られる粒
径が小なる側のパーライト精石を、水酸化ナトリウムを
バインダーとして造粒した後、加熱・発泡せしめること
を特徴とする大粒径パーライト発泡体の製造方法であ
る。
【0020】前記第1の発明、第2の発明においては、
前記した粉砕し、かつ分級して得られるパーライト精石
の粒径は、好ましくは 0.3mm以上、より好ましくは 0.6
mm以上、さらに好ましくは 1.0〜2.5mm であることが好
ましい。また、前記第1の発明、第3の発明は、加熱・
発泡時に割れて微粒化する特性を有する軟質パーライト
原石として、該パーライト原石を粉砕、分級して得られ
る1.2 〜2.5mm の精石である試料を、電気炉中の、予
め、1150℃に制御された試料保持部に3分間保持し、加
熱・発泡させ、得られたパーライト発泡体の粒度分析結
果において、下記式(1) で規定されるXが好ましくは10
wt%以上、より好ましくは20wt%以上であるパーライト
原石に好ましく適用される。
【0021】 X={〔粒径が1.2mm 未満の発泡体の重量(g) 〕/〔発泡体の全重量(g) 〕} ×100 (wt%)・・・・(1) また、前記第1の発明、第2の発明、第3の発明におい
ては、前記軟化剤およびバインダーの添加量が、前記粉
砕、分級後の前記パーライト精石 100重量部に対して
0.1〜5重量部であることが好ましい。
【0022】さらには、前記第1の発明、第2の発明、
第3の発明においては、前記軟化剤を付着させた後のパ
ーライト精石および造粒後のパーライト精石の加熱・発
泡において、該精石を加熱炉内の燃焼バーナーの燃焼帯
に供給し、該精石を燃焼ガスと同一方向に随伴せしめ急
激に加熱・発泡を行うことが好ましい。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳細に説明
する。本発明者らは、加熱発泡時に割れて微粒化の激し
い軟質パーライトを使用して大粒径パーライト発泡体を
製造する方法に関して鋭意検討を行った。図3に、本発
明に係わるパーライト発泡体の製造工程を示す。
【0024】すなわち、例えば真珠岩などのパーライト
原石を乾燥、粉砕、分級して、原料粉(精石A、精石
B、精石C)を調製する。得られた精石A、B、Cは、
それぞれ別個に焼成・発泡工程を経て、用途別に規定さ
れた前記粒度分布を有するパーライト発泡体である製品
A、B、Cを製造する。
【0025】すなわち、土壌改良材、モルタル用資材と
して用いられる大粒径パーライト発泡体を製造する場合
は、採掘した真珠岩などのパーライト原石を粉砕、分級
し、粒径がそれぞれ1.1 〜2.0mm (精石C)または0.42
〜1.1mm (精石B)の大粒径の精石を得た後、加熱・発
泡して大粒径パーライト発泡体(製品C、製品B)を製
造する。
【0026】しかしこの場合、下記の問題点が生じる。 (1) 精石の加熱・発泡時の大粒径パーライト発泡体の収
率の低下:大粒径の精石を焼成することにより、発泡体
は原料粉の精石より大きくなると期待されるが、実際
は、原料粉の精石より小さな発泡体が多量に発生し、精
石より大きい大粒径発泡体の収率は著しく低い。
【0027】この現象は、合成無機原料を用いた時には
問題とならず、天然ガラスの内でもパーライト原石を用
いた時に特徴的なことである。表3に、採掘場所の異な
るパーライト原石〔真珠岩〕(パーライト原石I、II)
を粉砕、分級して得たパーライト精石I、IIに関する、
電気炉加熱・発泡試験結果およびロータリーキルン加熱
・発泡試験結果を示す〔:後記実施例1〕。
【0028】なお、電気炉加熱・発泡試験は、パーライ
ト原石を粉砕、分級して得られた 1.2〜2.5mm の精石で
ある試料を、電気炉中の、予め1150℃に制御された試料
保持部に3分間保持し、加熱・発泡させ、得られたパー
ライト発泡体の粒度分析結果から、下記式(1) で規定さ
れるXをパーライト原石の硬質度、軟質度の評価指標と
した。
【0029】 X={〔粒径が1.2mm 未満の発泡体の重量(g) 〕/〔発泡体の全重量(g) 〕} ×100 (wt%)・・・・(1) 表3に示されるとおり、前記評価指標Xが31wt%と大き
いパーライト精石Iは、ロータリーキルン加熱・発泡試
験において、得られた発泡体中の0.6mm 以下の含有率が
72vol %と多く、一方、前記評価指標Xが5wt%と小さ
いパーライト精石IIは、ロータリーキルン加熱・発泡試
験において、得られた発泡体中の0.6mm以下の含有率が3
6vol %と少ないことが分かった。
【0030】以上の結果から、同じ種類のパーライト原
石(真珠岩)でも、特に加熱・発泡時に微粒化し易いパ
ーライト原石(軟質パーライト)が存在し、パーライト
原石の評価方法として前記の方法が、実際の製造工程管
理上有効であることが分かり、また、軟質パーライトを
用いた場合、目的とする大粒径パーライト発泡体の収率
が著しく低くなることから、軟質パーライトの有効活
用、省資源の観点から、軟質パーライトからの大粒径パ
ーライト発泡体の製造方法の開発が必要となった。
【0031】(2) 粉砕、分級により得られる各粒径範囲
の精石の量と粒径範囲の異なる用途別需要量とのアンバ
ランス:粉砕、分級により得られる粒径範囲の異なる精
石A、B、Cの粉砕、分級における収率と粒径範囲の異
なる用途別需要量とが釣り合うとは限らず、細かい精石
Aが余る。
【0032】このため、製品の対原料歩留りの向上のた
めに、粉砕、分級後の細かい精石を大粒径のパーライト
発泡体に転換する製造方法の開発が必要となった。 〔軟質パーライト発泡体の小粒径化の原因究明およびそ
の防止対策の検討:〕本発明者らは、前記した背景に基
づき、パーライト精石、特に軟質パーライト精石を加
熱、発泡せしめる時に、粒子が膨張するにもかかわらず
原料の精石粒子径よりも小さな発泡体が生成する機構を
鋭意研究の結果、その機構を解明し、その結果に基づき
本発明に到った。
【0033】すなわち、軟質パーライト精石の急速加熱
中の発泡状態を、顕微鏡で観察可能な発泡観察装置を用
いて観察した。この結果、通常の真珠岩だけでなく、水
分量の少ない真珠岩についても発泡粒の微粒化が認めら
れ、軟質パーライトが微粒化する原因は、多量の水分の
膨張によるものではないことが分かった。
【0034】さらに、微粒化は、発泡の最中に生じてい
ることが認められ、また、発泡状態の観察中に、気泡の
膨張に伴い、気泡接合部が割れていくことが分かった。
この現象は、気泡接合部分が内部より硬いことを示し、
この結果、パーライト原石である鉱石の段階から存在す
る亀裂に沿った部分、あるいは粉砕工程で発生した亀裂
に沿った部分において分離(割れ)が生じると結論づけ
られた。
【0035】これは、パーライト原石に含まれる結晶水
の発泡剤としての効果を発揮させるためには焼成時間は
数秒以内が必須となり、この急速昇温により、下記の本
発明者らが見出した機構により、軟質パーライト精石の
割れが生じ、この割れにより、原料である精石よりも粒
径が小さいパーライト発泡体が多量に形成されるためと
考えられる。
【0036】すなわち、軟質パーライト精石を加熱、発
泡せしめる時に原料である精石の粒子径よりも小さな発
泡体が生成する機構は、図2に示すように以下のとおり
であると考えられる。大粒子径の軟質パーライト精石1
の内部には、鉱石の段階からの亀裂2、あるいは粉砕工
程で発生した亀裂2が存在する〔図2(a)〕。
【0037】軟質パーライト精石1を加熱すると、精石
中の水分が表面から蒸発し、水分量の低下した表面部が
内部より軟化点が上昇し硬くなる。この際に、原料のパ
ーライトに亀裂が存在すると、亀裂を通って水分が蒸発
し、亀裂周辺も同時に硬くなり軟化・膨張性が失われた
亀裂周辺部3が形成される〔図2(b)〕。次に、粒子
の内部において水分などに起因するガスの発生と軟化が
同時に起こると、パーライトの膨張が内部より起こり、
亀裂周辺を押し広げる。
【0038】この結果、パーライト内部の膨張力により
軟化・膨張性のない亀裂周辺部3が破壊され、亀裂に沿
ってパーライト粒の分離が生じ、原料の精石粒子径より
も小さな発泡体4が生成する〔図2(c)〕。本発明者
らは、軟質パーライト精石を加熱・発泡せしめた時の前
記した知見に基づき、軟質パーライト原石を粉砕、分級
して得られる加熱・発泡時に割れて微粒化し易い軟質パ
ーライト精石に関して、原料の精石粒子径よりも小さな
発泡体の生成を防止する方法を検討し、原料である軟質
パーライト精石の亀裂周辺の硬さを発泡体内部と同等に
するため、パーライトを軟化させる成分を亀裂内部に含
浸せしめ発泡を行うことを考えた。
【0039】この結果、軟質パーライト精石の表面に、
該精石を軟化させうる元素を含む化合物を軟化剤として
少量付着せしめることにより、粉砕、分級後の大粒径の
精石における亀裂に沿った加熱発泡時の分離(割れ)が
防止可能であり、軟質パーライト精石から精石粒径より
大粒径のパーライト発泡体が収率良く製造可能であるこ
と〔第1の発明〕、さらには、パーライト原石の加熱発
泡時の微粒化の程度を定量的に事前に評価し、その結果
に基づき、採掘したパーライト原石から大粒径パーライ
ト原石発泡体の製造条件、すなわち前記した軟化剤の添
加の要否を決定することにより、特性の異なるパーライ
ト原石を最大限有効に活用可能であること〔第2の発
明〕を見出した。
【0040】また、軟質パーライト原石の粉砕、分級後
に発生する微粉のパーライト精石の造粒物から大粒径の
パーライト発泡体が製造可能であること〔第3の発明〕
を見出した。この結果、軟質パーライト原石を原料とし
て、例えば製品の40vol %以上が0.3mm 以上の大粒径の
パーライト発泡体を、収率良く、効率的に、安価に製造
することを可能にした。
【0041】また、本発明においては、原料であるパー
ライト精石の粒子表面を軟化させ得る化合物(以下、軟
化剤またはバインダーと記す)としては、パーライト精
石中に固溶し軟化点を低下させる程度が大きく、また単
位添加量当たりのパーライト精石への固溶量が多い水酸
化ナトリウムが好ましい。以下、第1の発明、第2の発
明、および第3の発明についてさらに詳細に説明する。
【0042】〔第1の発明:〕第1の発明は、加熱・発
泡時に微粒化する特性を有する軟質パーライト原石を粉
砕し、かつ分級して得られるパーライト精石の粒子表面
に、水酸化ナトリウムである軟化剤を付着させた後、加
熱・発泡せしめる大粒径パーライト発泡体の製造方法で
ある。
【0043】第1の発明においては、加熱・発泡時に微
粒化する特性を有する軟質パーライト原石を粉砕、分級
して得られるパーライト精石すなわち軟質パーライト精
石の粒子の表面および粒子の亀裂表面に前記軟化剤を付
着させることにより、原料であるパーライト精石よりも
小粒径の発泡体が生成することを防止できる。この新た
に見出した事実は、図1に示すように、以下のとおり説
明される。
【0044】大粒子径の軟質パーライト精石1の内部に
は、鉱石の段階から存在する亀裂2、あるいは粉砕工程
で発生した亀裂2が存在する〔図1(a)〕。大粒子径
の軟質パーライト精石1は、加熱中に軟化と水分などの
気化が同時に起こると発泡するが、軟化が起こる前にも
粒子の表面と粒子の亀裂2の表面での水分の蒸発が生じ
ており、これによって亀裂周辺が硬化し軟化・膨張性が
失われた亀裂周辺部が形成される。
【0045】その後発泡が起こると亀裂に沿って分離が
起こり、微小発泡体が生成し、大粒子径の発泡体の収率
が大きく低下してしまう。この防止のためには、亀裂周
辺の硬化を防ぐ必要があり、そのためにパーライト精石
を軟化させる成分(軟化剤)を粒子表面に付着させる。
この結果、軟質パーライト精石の加熱・発泡時には、既
に亀裂周辺部に存在した軟化剤および亀裂周辺部に拡散
した軟化剤の作用により、水分の気化によって形成され
た軟化・膨張性が失われた亀裂周辺部が軟化状態の亀裂
周辺部5となり〔図1(b)〕、粒子の亀裂に沿った分
離が防止され、大粒子径の発泡体6が得られることにな
る〔図1(c)〕。
【0046】本第1の発明においては、粉砕、分級後の
パーライト精石の粒径は、好ましくは0.3mm 以上、より
好ましくは0.6mm 以上、さらに好ましくは1.0 〜2.5mm
の粒径範囲であることが好ましい。粒径が、0.3mm 未満
では、加熱・発泡させても、モルタル用資材、土壌改良
材、骨材などの規格に適合した大きさの発泡体を得るこ
とができない。
【0047】また、2.5mm 超えの粒子を含む場合、短時
間の加熱・発泡に十分な昇温速度を得ることが困難とな
り、発泡させること自体が困難となり、また発泡させた
としても製品である発泡体の粒径が大きくなりすぎて取
扱上問題が生じる。本第1の発明は、加熱・発泡時に微
粒化する特性を有するパーライト原石として、該パーラ
イト原石を粉砕、分級して得られる1.2 〜2.5mm の精石
である試料を、電気炉中の、予め、1150℃に制御された
試料保持部に3分間保持し、加熱・発泡させ、得られた
パーライト発泡体の粒度分析結果において、下記式(1)
で規定されるXが好ましくは10wt%以上、より好ましく
は20wt%以上であるパーライト原石に好ましく適用され
る。
【0048】 X={〔粒径が1.2mm 未満の発泡体の重量(g) 〕/〔発泡体の全重量(g) 〕} ×100 (wt%)・・・・(1) これは、上記特性を有するパーライト原石が、加熱・発
泡時に特に割れて微粒化し易く、また、軟化剤付着効果
が顕著であるためである。軟化剤の添加量は、軟化剤が
亀裂表面近傍のみに付着、拡散し、該表面近傍のみを軟
化させるのが目的であるので、好ましくは、原料である
パーライト精石 100重量部に対して 0.1〜5重量部、さ
らに好ましくは 0.3〜1.5 重量部であることが好まし
い。
【0049】0.1重量部未満であると、軟化剤添加の効
果が期待できない。また、逆に5重量部超えの場合、焼
成後も、軟化剤の一部が粒子表面内部に拡散・固溶せず
に、粒子表面に残存し、発泡体を浸漬した水溶液のpH
がアルカリ性となり、土壌改良材などの用途では使用で
きなくなる。さらに、軟化剤の添加量が5重量部超えの
場合、焼成時に軟化剤の相当量が粒子内部に拡散した時
に粒子内部の組成が変化し、それに伴い粒子全体の軟化
点が変動し、適正な焼成(加熱)条件が変動してしまう
ので、急速昇温用の焼成炉が使用できなくなるため好ま
しくない。
【0050】上記したように、本発明における軟化剤添
加の目的、作用、効果は、パーライト精石粒子の亀裂表
面近傍の軟化、およびそれに伴う、粒子の亀裂に沿った
分離(割れ)の防止であり、軟化剤の添加量が少ないた
め、パーライト精石の発泡挙動は軟化剤添加によってほ
とんど変化しない。すなわち、本発明の基本構成は、原
料のパーライト精石の表面処理であり、焼成(加熱)条
件などは、軟化剤を添加しない場合とほとんど同じでよ
く、焼成(加熱)炉の設備仕様の制限が少なく、同一焼
成炉(=加熱炉)を用いて種々の粒径のパーライト発泡
体を製造可能であるという効果も有する。
【0051】本発明の加熱(:焼成)・発泡方式として
は、前記軟化剤を付着させた後のパーライト精石の加熱
・発泡において、該精石を加熱炉内の燃焼バーナーの燃
焼帯に供給し、該精石を燃焼ガスと同一方向に随伴せし
め急激に加熱・発泡を行うことが好ましい。これは、本
方式を用いることにより、パーライト精石の急速加熱、
瞬時の膨張によって、大粒径の発泡体を、生産性良く製
造可能であると共に、開気孔を多数有するパーライト発
泡体が製造可能となり、得られるパーライト発泡体の吸
水性、保水性が良好となり、土壌改良材などの用途に好
適に用いることが可能となるためである。
【0052】本発明における加熱(焼成)温度は、前記
したとおり軟化剤を添加しない場合と同じでよい。すな
わち、加熱・発泡時の焼成温度は、好ましくは 600〜11
00℃、さらに好ましくは 800〜1000℃であることが好ま
しい。これは、 600℃未満では、粒子内の熱伝達速度が
遅く、本発明方法の特徴とする急速加熱、瞬時の膨張に
よって形成される大粒径のパーライト発泡体を、生産性
良く製造することが困難となり、1100℃超えの場合、発
泡体が炉体内壁に融着し始めるので、長時間継続して生
産を続けることが困難となるためである。
【0053】本発明における、水酸化ナトリウムなどの
軟化剤の添加方法としては、軟化剤をパーライト精石
に添加し乾式でよく混合する方法、軟化剤を添加し乾
式で混合後、水を添加しさらに混合した後、乾燥する方
法、軟化剤を含有する水溶液を添加し粒子表面に均一
に付着せしめた後、乾燥する方法などを用いることがで
き、好ましくは、の方式、特にの方式が好ましい
が、その方式に制限されるものではない。
【0054】前記の方式の場合、軟化剤の水溶液中に
おける濃度は薄すぎると乾燥する際にコストがかかり、
濃すぎると全ての粒子に軟化剤が均一に付着しなくなり
好ましくない。本発明においては、粒子の表面および粒
子の亀裂表面に、軟化剤の皮膜が均一に形成されること
が好ましく、そのためには水溶液で処理した場合でも、
液を亀裂内に侵入せしめるために一定の時間保持するこ
とが好ましい。 〔第2の発明:〕次に、第2の発明についてさらに詳細
に説明する。
【0055】第2の発明は、パーライト原石を粉砕し、
かつ分級して得られるパーライト精石の試料を、加熱炉
において加熱・発泡せしめ、得られた発泡体の粒径測定
結果に基づき軟化剤付着の要否を予め判定し、軟化剤付
着が必要と判定された前記パーライト精石の粒子表面に
水酸化ナトリウムである軟化剤を付着させた後、加熱・
発泡せしめることを特徴とする大粒径パーライト発泡体
の製造方法である。
【0056】本第2の発明は、前記したように、同一種
類のパーライト原石においても、加熱・発泡時に微粒化
が少なく原料の精石粒径より大きい大粒径の発泡体が多
量に得られる硬質パーライトと、原料の精石粒径より粒
径が小さい小粒径の発泡体が多量に発生する軟質パーラ
イトとが存在し、省資源および製造工程管理の観点か
ら、パーライト原石の適切な評価方法が必要となり、そ
の結果に基づいて達成された発明である。
【0057】第2の発明においては、例えば、パーライ
ト原石を粉砕し、かつ分級して得られる粒径が大なる側
のパーライト精石の試料を、加熱炉において焼成・発泡
せしめ、前記試料の最小粒径より小さい発泡体の発生率
により前記パーライト原石の割れ性を予め判定し、発生
率が基準値以上である場合、前記粒径が大なる側のパー
ライト精石の粒子表面に水酸化ナトリウムである軟化剤
を付着させた後、加熱・発泡せしめることにより大粒径
パーライト発泡体を製造する。
【0058】本第2の発明によれば、硬質パーライトで
あるか軟質パーライトであるかを、予め定量的に判断可
能となり、前記した軟化剤付着の要否などパーライト発
泡体の製造条件を予め決定できるため、大粒径パーライ
ト発泡体を、最も収率良く、効率的に製造することが可
能となり、このため、粒径範囲の異なる用途別需要量に
相応した原石を採掘することにより、省資源が達成可能
となる。
【0059】〔第3の発明:〕第3の発明は、加熱・発
泡時に割れて微粒化する特性を有する軟質パーライト原
石を粉砕し、かつ分級して得られる粒径が大なる側のパ
ーライト精石(以下大粒径軟質パーライト精石と記す)
の粒子表面に、水酸化ナトリウムである軟化剤を付着さ
せた後、加熱・発泡せしめ、さらに、前記粉砕、分級で
得られる粒径が小なる側のパーライト精石(以下小粒径
軟質パーライト精石と記す)を、水酸化ナトリウムをバ
インダーとして造粒した後、加熱・発泡せしめる大粒径
パーライト発泡体の製造方法である。
【0060】本第3の発明によれば、製品の 40vol%以
上が 0.3mm以上の大粒径パーライト発泡体を、収率良
く、効率的に製造することが可能であり、このため、粒
径の大きい発泡体の需要量が増加した場合でも、粒径の
小さい精石で粒径の大きい発泡体が得られるので、従来
の如く、粒径の小さい精石が山積みされることなく有効
に活用され、省資源が達成可能となる。
【0061】本第3の発明においては、前記した分級粒
径すなわちカット径は所望の発泡体の粒子径に応じ任意
に設定できる。カット径が所望の発泡体の粒子径が得ら
れる精石粒子径より大きい場合は、大粒径パーライト発
泡体の製造方法、製造条件は、前記した第1の発明と同
様でよいため、以下に、分級して得られる小粒径軟質パ
ーライト精石からの大粒径パーライト発泡体の製造方
法、製造条件について述べる。
【0062】本第3の発明は、軟質パーライト原石の粉
砕、分級時に得られた小粒径軟質パーライト精石を造粒
することにより、大粒径軟質パーライト精石から製造し
た発泡体と同様の機能を有する大粒径パーライト発泡体
を製造し、大粒径パーライト発泡体の対原料歩留を飛躍
的に向上させることを目的とした。この場合、小粒径軟
質パーライト精石を単に造粒しただけでは、加熱・発泡
する段階で粒子が分離してしまうため、発泡温度である
600〜900 ℃の温度においても接着力があるバインダー
を見出す必要があり、鋭意研究した。
【0063】この結果、原料であるパーライト精石の粒
子表面を軟化させうる化合物として、水酸化ナトリウム
をバインダーとして造粒すると、造粒した精石が大粒径
の精石と同様の働きをすることを見出した。本第3の発
明によれば、基本的に、造粒工程の付加のみで、他の工
程は大粒径軟質パーライト精石を焼成する工程と全く同
じでよい。
【0064】したがって、粒度別に異なる需要量と、粉
砕・分級によって生じた粒度別の精石の量のバランスが
崩れても、大粒径、小粒径いずれの軟質パーライト精石
にも対応できるので、製品の対原料歩留が向上し、軟質
パーライト原石を有効利用可能となり、省資源を達成で
きる。本発明者らは、造粒時のバインダーとして、前記
したパーライト精石の粒子表面を軟化させ得る化合物と
して水酸化ナトリウムを使用した結果、昇温時に粒子表
面だけの軟化が生じ、発泡後も各粒子の分離を防止する
ことが可能となった。
【0065】前記した水酸化ナトリウムであるバインダ
ーの添加量としては、好ましくは、原料である小粒径軟
質パーライト精石 100重量部に対して 0.1〜5重量部、
さらに好ましくは 0.3〜2.5 重量部であることが好まし
い。0.1重量部未満の場合、造粒が困難となり目的とす
る大粒径パーライト発泡体が得られず、5重量部超えの
場合、焼成後も、バインダーの一部が粒子表面内部に拡
散・固溶せずに粒子表面に残存し、発泡体を浸漬した水
溶液のpHがアルカリ性となり、土壌改良剤などの用途
では使用できなくなる。
【0066】さらに、バインダーの添加量が5重量部超
えの場合、焼成時にバインダーの相当量が粒子内部に拡
散し、粒子内部の組成が変化し、それに伴い粒子全体の
軟化点が変動し、適正な焼成(加熱)条件が変動し、工
業的に好ましくない。造粒方法は、転動造粒法、圧縮成
形法、押し出し造粒法、流動層造粒法、混合攪拌造粒
法、噴射造粒法などを用いることができる。
【0067】効率の面から押し出し造粒法が好ましい
が、造粒方法は制限されない。本第3の発明において
は、前記した水酸化ナトリウムであるバインダーは、水
に溶解し水溶液として小粒径軟質パーライト精石に添加
して用いるか、該パーライト精石にバインダーを添加し
た後、さらに水を添加して用いることが好ましい。
【0068】また、本第3の発明においては、造粒
後、乾燥し、要求される製品の粒径に対応して、造粒物
を予め篩分けし、所定の粒度範囲の造粒物を加熱・発泡
せしめることも好ましく、また造粒後、加熱・発泡せ
しめ、その後、要求される製品の粒径に篩分けする方法
を用いることも可能であり、また造粒後、加熱・発泡
せしめた平均粒径が大きい発泡体をそのまま使用するこ
とも可能である。
【0069】以上、第1の発明、第2の発明および第3
の発明について述べたが、前記した従来技術に開示され
ている方法は、火山岩などの原料の粒子内部の軟化点を
調節するためにアルカリ処理を行っており、アルカリを
粒子内部までできるだけ迅速に拡散せしめるため、前記
したように、粒子ができるだけ微粒であることが必須で
ある。
【0070】しかも、粒子内部の軟化点を調節するため
には、多くの場合アルカリ化合物の添加量が10%以上必
要であり、その場合、発泡温度がアルカリ化合物の添加
によって大きく変化する。これに対して、前記した本発
明の製造方法は、前記した従来技術とは基本的に全く異
なり、粉砕かつ分級後の大粒子径の精石、さらには分級
で発生した小粒子を使用することを基本技術とし、水酸
化ナトリウムなどの軟化剤またはバインダーの添加によ
っても発泡温度などは無添加の場合に対してほとんど変
化せず、このため急速昇温用のパーライト焼成炉が使用
でき、大粒径のパーライト発泡体を、収率良く、生産性
良く、効率的に製造可能である。
【0071】さらに、第3の発明の製造方法は、製造工
程の面からも、基本的に、パーライト原石粉砕後の分級
工程で発生した小粒径の精石の造粒工程の付加のみで、
他の工程は、大粒径の軟質パーライト精石を原料として
大粒径パーライト発泡体を製造する工程と全く同じでよ
く、原料として粒径の大きな精石を用いる場合(第1の
発明、第2の発明)、造粒物を用いる場合(第3の発
明)のいずれの場合も、同一の焼成(加熱)炉および焼
成条件を使用できるという工業的に優れた効果も有す
る。
【0072】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明
する。 (実施例1)採掘場所の異なる2種類のパーライト原石
〔真珠岩〕(パーライト原石I、パーライト原石II)を
用い、各々の原石について別個に粉砕・分級を行い、表
2に示す粒径分布を有するパーライト精石I、パーライ
ト精石IIを得た。ついでそれらの一部を採取、分級して
粒径が 1.2〜2.5mm の粒度範囲の精石(パーライト精石
0 、パーライト精石II0 )を得た。
【0073】
【表2】
【0074】得られた2種類の精石I0 、II0 から4g
の試料を採取し、該試料を、電気炉中の予め1150℃に温
度制御された試料保持部に3分間保持し、加熱・発泡試
験を行った。得られたパーライト発泡体の粒度分析結果
から、下記式(1) で規定されるXをパーライト原石の硬
質度、軟質度の評価指標とした。
【0075】 X={〔粒径が1.2mm 未満の発泡体の重量(g) 〕/〔発泡体の全重量(g) 〕} ×100 (wt%)・・・・(1) 得られた各精石の評価指標Xを、表3に示す。次に、炉
心管長さ:1m、加熱帯長さ:60cm、均熱帯長さ:20cm
のロータリーキルン(傾斜角:5°)を使用し、発泡体
原料である前記精石I、IIを、各々別々に1075℃で加
熱、発泡させパーライト発泡体を試作した。
【0076】得られた発泡体の粒度分析結果を、各精石
の評価指標Xと併せて表3に示す。
【0077】
【表3】
【0078】表3に示されるとおり、前記評価指標Xが
31wt%と大きいパーライト精石Iは、ロータリーキルン
加熱・発泡試験において、得られた発泡体中の0.6mm 以
下の発泡体の含有率が72vol %と多く、一方、前記評価
指標Xが5wt%と小さいパーライト精石IIは、ロータリ
ーキルン加熱・発泡試験において、得られた発泡体中の
0.6mm 以下の発泡体の含有率が36vol %と少ないことが
分かった。
【0079】以上の結果から、同じ種類のパーライト原
石〔真珠岩〕でも、特に加熱・発泡時に小粒径化し易い
パーライト原石(軟質パーライト)が存在し、パーライ
ト原石の評価方法として、前記の方法が、実際の製造工
程管理上有効であることが分かった。 (実施例2)実施例1のパーライト精石Iを使用し、精
石1kgに対し、10g のNaOHを含有する水酸化ナトリウム
水溶液60mlを、精石を攪拌する条件下で噴霧添加した。
【0080】その後、110 ℃の乾燥器中で7時間乾燥
し、発泡体原料を得た。次いで、実施例1で用いたロー
タリーキルンを使用し、前記発泡体原料を、1075℃で加
熱・発泡させパーライト発泡体を試作した。得られた発
泡体の粒度分析結果を、実施例1の結果と併せて表3に
示す。表3に示されるように、特に加熱・発泡時に小粒
径化し易いパーライト精石(軟質パーライト精石)であ
るパーライト精石Iに水酸化ナトリウムである軟化剤を
付着させた後、加熱・発泡せしめることにより、得られ
る発泡体中の0.6mm 以下の発泡体の含有率を72vol %か
ら33vol %に大幅に低減可能となり、硬質パーライト原
石IIを用いた場合と同等以上の収率で、大粒径パーライ
ト発泡体が製造可能であることが分かった。
【0081】(実施例3〜5)実施例1のパーライト原
石Iを用い、粉砕、分級工程を経て、粒径が 0.85 〜1.
18mmの粒度範囲の精石を得た。得られた精石1kgに対
し、5g 、10g 、15g のNaOHを含有する水酸化ナトリウ
ム水溶液60mlを、精石を攪拌する条件下で噴霧添加し
た。
【0082】その後、110 ℃の乾燥器中で7時間乾燥
し、発泡体原料を得た。次いで、実施例1で用いたロー
タリーキルンを使用し、前記発泡体原料を、1075℃で加
熱・発泡させパーライト発泡体を試作した。 (比較例1)水酸化ナトリウム水溶液を無添加とし、乾
燥器による乾燥を行わなかった以外は実施例3〜5と同
様の方法でパーライト発泡体を試作した。
【0083】上記した実施例3〜5、比較例1で試作し
たパーライト発泡体について、下記に示す方法で特性を
評価した。評価結果を水酸化ナトリウムの添加量と併せ
て表4に示す。 〔特性評価方法〕 (発泡体嵩比重:)発泡体 10gを秤り取り、メスシリン
ダでその体積を測定し、重量を体積で除することにより
求めた。
【0084】(発泡体粒子強度:)発泡体1個の粒子の
破壊荷重をプッシュプルスケールにより測定した。各試
作品につき10個の粒子の破壊荷重を測定し、測定値の最
大値と最小値を除いた8個の粒子の測定値についての平
均値を求めた。 (小粒子発生率:)発泡体を篩で篩分けし、使用した原
料精石の下限粒子径より小さい発泡体の重量を全発泡体
重量で除することにより求めた。
【0085】(発泡体浸漬イオン交換水のpH:)発泡
体5g を、イオン交換水 250mlに浸漬し、5分間攪拌
し、室温で放置した後、pHメーターで測定した。表4
に示される結果から、得られた発泡体の嵩比重は、実施
例3〜5、比較例1ともに、 0.13 〜0.24g/ccであり、
十分実用となる発泡状態であった。
【0086】一方、比較例1の小粒子発生率は、23%と
著しいが、実施例3〜5では小粒子発生率は、1〜7%
と少なく、いずれも小粒子の発生が大幅に抑制されてい
ることが分かる。特に、実施例4、5では、小粒子発生
率が1〜3%と小粒子の発生がほぼ完全に抑制されてい
る。また、本発明の方法によれば、pHの上昇の程度
は、水酸化ナトリウムの添加量が最も多い実施例5の場
合でもpHは7.8 と中性域にあり、建築用途だけでなく
土壌改良用途への応用も十分可能である。
【0087】さらに、表4に示されるとおり、発泡体粒
子強度も水酸化ナトリウムの添加により、飛躍的に向上
しており、発泡体のハンドリング中に壊れて微粒子が生
じる可能性が皆無となり、例えば土壌改良剤として使用
される場合の通気性の改善、および種々の用途に用いら
れる際のハンドリング中の発塵防止が達成された。
【0088】
【表4】
【0089】(実施例6)実施例1のパーライト原石I
を用い、粉砕、分級工程を経て粒径が 0.5mm以下の精石
を得た。得られた精石1kgに対し、10g のNaOHを含有す
る水酸化ナトリウム水溶液 200mlを噴霧添加し、回転羽
式造粒機を用いて造粒した。
【0090】得られた造粒物を、乾燥器中で 120℃の条
件下、3時間乾燥した後、篩を用いて分級し、1〜2mm
の粒度範囲の発泡体原料を得た。次いで、この発泡体原
料を、実施例1と同じロータリーキルンを使用し、1075
℃で加熱・発泡させパーライト発泡体を試作した。 (実施例7)実施例1のパーライト原石Iを用い、粉
砕、分級工程を経て粒径が 0.5mm以下の精石を得た。
【0091】得られた精石1kgに対し、10g のNaOHを含
有する水溶液 200mlを添加し、コンクリーミキサーを用
いて攪拌混合した。得られたスラリーを押し出し造粒機
を用いて造粒し、造粒物を棚段乾燥機を用いて 120℃の
条件下、3時間乾燥した後、整粒機を通し、篩を用いて
分級し、1〜2mmの粒度範囲の発泡体原料を得た。
【0092】次いで、この発泡体原料を、実施例1と同
じロータリーキルンを使用し、1075℃で加熱・発泡させ
パーライト発泡体を試作した。 (実施例8、9)水酸化ナトリウムの量を、5g 、50g
とした以外は実施例7と同様の方法でパーライト発泡体
を試作した。
【0093】(比較例2)10g の水酸化ナトリウムを含
有する水溶液に代えて、20g の水酸化カルシウムを含有
する水溶液 200mlを用いた以外は実施例7と同様の方法
でパーライト発泡体を試作した。 (比較例3)実施例1のパーライト原石Iを用い、粉
砕、分級工程を経て 0.5〜2mmの粒度範囲の精石を得
た。
【0094】得られた発泡体原料を、実施例1と同じロ
ータリーキルンを使用し、1075℃で加熱・発泡させパー
ライト発泡体を試作した。 (比較例4、5)水酸化ナトリウムの量を、3g 、60g
とした以外は実施例7と同様の方法でパーライト発泡体
を試作した。
【0095】(比較例6〜8)10g の水酸化ナトリウム
を含有する水溶液に代えて、水 200ml、20g のPVI
(ポリビニルアルコール)または20g の水ガラスを含有
する各 200mlの水溶液を用いた以外は実施例7と同様の
方法でパーライト発泡体を試作した。上記した実施例6
〜9、比較例2〜8で試作したパーライト発泡体につい
て、実施例3〜5、比較例1で用いたと同様の方法で特
性を評価した。評価結果を各種バインダーの添加量と併
せて表5に示す。
【0096】試作したパーライト発泡体の嵩比重は、実
施例6〜9、比較例2〜8いずれも0.16 〜0.18g/ccで
あり、十分実用となる発泡状態であった。一方、比較例
2、3、4、6、7、8のパーライト発泡体の小粒子発
生率は、24〜100 %と著しいが、実施例6〜9のパーラ
イト発泡体の小粒子発生率は3〜20%と少なく、いずれ
も小粒子の発生が大幅に抑制されていることが分かる。
【0097】また、本発明の方法によればpHの上昇の
程度は、バインダーの添加量が最も多い実施例9の場合
でもpHは 8.5と中性域にあり、建築用途だけでなく土
壌改良用途への応用も十分可能である。
【0098】
【表5】
【0099】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、軟
質パーライト原石を粉砕、分級後、得られた大粒径の精
石を加熱発泡させた際に、原料の粒子径より小さな発泡
体が発生することを防止し、強度に優れた、大粒径のパ
ーライト発泡体を、収率良く、省エネルギーを達成して
製造することが可能となった。
【0100】また、得られるパーライト発泡体が中性域
にあり、強度にも優れているため、例えば土壌改良材に
よる通気性の改善、建築用途など多用途における性能の
改善、ハンドリング時の発塵の防止が可能となった。さ
らに、本発明によれば、軟質パーライト原石の粉砕、分
級時に発生した細粒を用いて大粒径のパーライト発泡体
を効率的に製造可能となり、製品であるパーライト発泡
体の対原料歩留を向上し、省資源が達成できるという工
業的に優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における、大粒子径の発泡体が生成する
機構を示す模式図である。
【図2】軟質パーライト精石の加熱・発泡時に小粒径の
発泡体が生成する機構を示す模式図である。
【図3】本発明に係わるパーライト発泡体の製造工程図
である。
【符号の説明】
1 軟質パーライト精石 2 亀裂 3 軟化・膨張性が失われた亀裂周辺部 4 小粒径の発泡体 5 軟化状態の亀裂周辺部 6 大粒子径の発泡体

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軟質パーライト原石を粉砕し、かつ分級
    して得られるパーライト精石の粒子表面に、水酸化ナト
    リウムである軟化剤を付着させた後、加熱・発泡せしめ
    ることを特徴とする大粒径パーライト発泡体の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 パーライト原石を粉砕し、かつ分級して
    得られるパーライト精石の試料を、加熱炉において加熱
    ・発泡せしめ、得られた発泡体の粒径測定結果に基づき
    軟化剤付着の要否を予め判定し、軟化剤付着が必要と判
    定された前記パーライト精石の粒子表面に水酸化ナトリ
    ウムである軟化剤を付着させた後、加熱・発泡せしめる
    ことを特徴とする大粒径パーライト発泡体の製造方法。
  3. 【請求項3】 軟質パーライト原石を粉砕し、かつ分級
    して得られる粒径が大なる側のパーライト精石の粒子表
    面に、水酸化ナトリウムである軟化剤を付着させた後、
    加熱・発泡せしめ、さらに、前記粉砕、分級で得られる
    粒径が小なる側のパーライト精石を、水酸化ナトリウム
    をバインダーとして造粒した後、加熱・発泡せしめるこ
    とを特徴とする大粒径パーライト発泡体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記軟化剤を付着させた後のパーライト
    精石および造粒後のパーライト精石の加熱・発泡におい
    て、該精石を加熱炉内の燃焼バーナーの燃焼帯に供給
    し、該精石を燃焼ガスと同一方向に随伴せしめ加熱・発
    泡を行う請求項1〜3いずれかに記載の大粒径パーライ
    ト発泡体の製造方法。
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