JPH09235253A - 芳香族モノニトロ化合物の製造方法 - Google Patents

芳香族モノニトロ化合物の製造方法

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JPH09235253A
JPH09235253A JP8333739A JP33373996A JPH09235253A JP H09235253 A JPH09235253 A JP H09235253A JP 8333739 A JP8333739 A JP 8333739A JP 33373996 A JP33373996 A JP 33373996A JP H09235253 A JPH09235253 A JP H09235253A
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正章 飯島
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弘毅 大垣
Hiroaki Matsuno
博明 松野
Takashi Yamaguchi
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 混合効率の不充分さ、反応速度の低下、それ
に伴う反応器の容積の増大、複雑化、安全性の確保等の
問題を解決し、極めて、短時間で副生物の少ない芳香族
モノニトロ化合物の改良された製造方法が提供する。 【解決手段】 硝酸、硫酸または燐酸、および水よりな
る混酸と芳香族化合物と反応させて芳香族モノニトロ化
合物を製造する方法において、内部に複数の湾曲した板
状部材2をその先端縁を先行する板状部材の後端縁に略
直交せしめて順次連続して配列してなる導管1を有する
反応管を用い、該反応管中に混酸と芳香族化合物とを流
して反応させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は硝酸を含む混酸を用
いて芳香族化合物をニトロ化して芳香族モノニトロ化合
物を製造する方法に関する。詳しくは、特定の構造を有
する反応器内で芳香族モノニトロ化合物を製造する方法
に関する。
【0002】芳香族モノニトロ化合物は、染料、顔料、
工業薬品の原料、中間体として、また、還元して、芳香
族アミノ化合物にして、ポリアミドやウレタン等の高分
子材料の原料として使用される工業的に有用な化合物で
ある。
【0003】
【従来の技術】芳香族モノニトロ化合物を製造する方法
は古くからよく知られており、たとえばニトロベンゼン
を例にすれば、工業的には、バッチ法または連続法でベ
ンゼンを硝酸、硫酸および水よりなる混合液(混酸とよ
ばれる)と反応させることにより製造され、通常反応熱
を除去しながら60〜70℃の制御された温度下で行わ
れる。この場合、混酸は20〜30%の高濃度の硝酸を
含んだ状態で使用され、混酸対ベンゼンの比は通常は3
〜4:1である。使用ずみの酸は実質的に硝酸がなくな
っており、一般には70%硫酸の廃液となり、93〜9
5%に濃縮されて再使用される。反応熱の除去に要する
大規模な冷却と温度制御および使用後の廃酸を濃縮して
再使用するために必要な大量の用役がこの方法の問題点
である。
【0004】混合熱および反応熱の大部分を散逸させる
ことなく、反応に利用して反応速度を増加させると共
に、高温度の使用済みの酸をフラッシュ蒸発法のような
方法で濃縮することにより有効に利用するいわゆる断熱
プロセスが米国特許2,256,999において提案さ
れている(カストナー法と呼ばれている)。該カストナ
ー法において用いられた混酸は75%の硫酸と63%の
硝酸の混合物であり、混酸中の硝酸濃度は10%以下、
具体的には3%であった。また、反応開始温度は約90
℃で攪拌槽型反応器にベンゼンを滴下する方式でおこな
われている。
【0005】この方法では(1)滞留時間が長い、
(2)反応の制御が難しい、(3)高温度になりやす
い、(4)ジニトロベンゼン等の副反応の生成がおこり
やすい、(5)気相部が存在するため反応が危険なもの
となりやすい、等の問題点があり、そのためにカストナ
ー法が工業的に成功しなかったものとされている。
【0006】その後、カストナー法を改良した断熱プロ
セスによるニトロベンゼンの製造方法がアレキサンダー
らによって提案された(特公昭61−20534号公報
および特開昭54−32424号公報)。これらの方法
はいずれも1〜8.5%の硝酸、60〜70%の硫酸お
よび25%以上の水という特定の組成の混酸を使用する
ことを反応条件として規定している。このような条件下
で反応させることにより副生成物のジニトロベンゼンを
500ppm以下に抑制できるとされている。また、彼
らはベンゼンを分散させるために「強力な攪拌」が必要
であることを述べており、いずれも攪拌槽型の反応器を
用いている。
【0007】攪拌槽を用いての混合では本質的に気相部
を生成させる。ニトロ化反応のように硝酸が存在する系
で高温下でベンゼン等の有機化合物を含む気相の存在は
爆発等の危険性を有し、好ましくなく、硝酸が存在する
系ではできるだけ気相部を生じさせない装置が要望され
ている。
【0008】また、断熱反応条件下では反応温度は必然
的に高温になり、高温下に反応物が曝される時間が長い
ほど、望ましくない副生成物が増加するので好ましくな
い。従って、断熱反応プロセスで芳香族モノニトロ化合
物を製造する場合には、できるだけ反応を促進させ、短
時間で反応を完結させることが要求される。
【0009】芳香族モノニトロ化合物の製造法としては
また、混酸またはベンゼンの流れをアトマイジングノズ
ルまたは同様なオリフィスを用いて10ミクロン以下の
微小滴にして一方の流れに乱流ジェット流で吹き込むこ
とにより反応を促進してニトロベンゼンを製造する方法
が提案されている(米国特許4,973,770)。し
かし、この方法においても約3分の滞留時間で反応率は
約55%にしか達しておらず、反応完結には6分以上か
かると推定される。
【0010】また、含有する硝酸が完全にニトロニウム
イオンに解離するような特定範囲の混酸(硝酸濃度3%
以下)を用いて管状反応器内でニトロ化する方法が提案
されている(米国特許5,313,009)。
【0011】また、米国特許4,453,027には特
定組成の混酸を用いる断熱ニトロ化によるハロニトロベ
ンゼンの製造方法が開示されている。
【0012】また、最近、トルエンまたはクロロベンゼ
ンの断熱ニトロ化法に関して、反応参与物を激しく混合
するために攪拌動力として一定範囲の混合エネルギーを
加えることを規定した方法が開示されている(特開平7
−258173号公報、特開平7−278062号公
報)。
【0013】しかしながら、これらの方法は、反応器の
構成や反応経路が複雑化するという問題を有している。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明の方法は上述の
ような従来の技術が有する反応速度の低下、反応器の容
積の増大、複雑化、安全性の確保等の問題を解決し、極
めて短時間で副生物の少ない芳香族モノニトロ化合物を
製造する改良された方法を提供するものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は以下の構成を含
む。 (1)内部に複数の湾曲した板状部材をその先端縁を先
行する板状部材の後端縁に略直交せしめて順次連続して
配列してなる導管を含む反応管に硝酸を含む混酸と芳香
族化合物を流して反応させることを特徴とする芳香族モ
ノニトロ化合物の製造方法。 (2)反応管が前記導管と前記板状部材を内包しない中
空管より構成されたものである(1)に記載の方法。 (3)湾曲した板状部材の材質がセラミックスである
(1)または(2)に記載の方法。 (4)反応管内の反応温度が160℃以下である(1)
または(2)に記載の方法。 (5)混酸の組成が硝酸を1〜10重量%、水を20〜
40重量%、そして残りが硫酸および/または燐酸であ
る(1)または(2)に記載の方法。 (6)反応管内の流体の線速度が20〜300cm/s
ecである(1)または(2)に記載の方法。 (7)芳香族化合物がベンゼン、トルエン、クロロベン
ゼン、ナフタレン、またはアントラキノンである(1)
または(2)に記載の方法。 (8)反応器より出る反応混合物を酸相と有機相に分離
したのち、酸相をフラッシュ蒸発によって蒸留し、分離
された酸相の濃度を調整しこれを反応器にもどし、さら
に反応させる(1)または(2)に記載の方法。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明において反応管は特殊な形
状を有する導管を含む。この導管について図面を参照し
て説明する。図1に於て、1で示すものは円形断面の中
空管で、混酸と芳香族化合物を反応せしめるミキサー導
管である。導管1の内部には複数の、湾曲した板状部材
2が直列に配されている。図1において、導管1の一部
を切開して内部を示しているが、その内部にはこれら板
状部材2の数個が内蔵されているのが見られる。これら
の板状部材2は任意の数にすることが出来るが、その数
の選択については後述する。これらの板状部材2はそれ
ぞれ巾が導管1の内径にほぼ等しく、長さが巾の数倍程
度の平板材料から作られている。各板状部材2はねじら
れて、その前後端は相互に対しある角度を有している
が、その角度は60度ないし210度の範囲が望まし
い。また、各板状部材2は先行する板状部材2とは逆方
向にねじられ、また隣接する板状部材2の端同士はある
角度をなしており、その角度を90度にするのが望まし
い。各板状部材2のねじり方向を1個毎に逆にする代わ
りに、数個毎にして複数の同方向にねじられた板状部材
2の次に複数の逆方向にねじられた板状部材2を配する
こともできる。したがって、板状部材2は右ねじりのグ
ループと左ねじりのグループが交互に配列されているも
のとし、各グループは1個あるいは数個の板状部材2か
らなるものとする。なお、図2に、図1のミキサー導管
1に内蔵された湾曲板状部材2の数個を取り出して示し
た外観図を示す。
【0017】また、断熱ニトロ化法では高温で硫酸等の
強い酸を取り扱うので、通常の金属材質では耐食性が不
充分であり、上述の板状部材の材質は硫酸等の強い酸に
対して充分な耐食性を有するセラミックスであることが
望まれる。例えば、アルミナ、ジルコニア、ムライト、
炭化珪素等が挙げられる。
【0018】上述の形状と機能を有する導管としては、
例えば、Perry & Chilton著"Chemical Engineers, Hand
book" McGraw-Hill社出版 6th Edition 19-22にKen
icsstatic mixerの名称で、主として、粘度が高い物質
を混合する機器として紹介されている。日本国内では、
ノリタケカンパニーより「ノリタケスタティックミキサ
ー」として販売されている。この型の混合器内で流体は
分割、反転、および転換の3つの作用をうけて混合され
る。この型の混合器は特に断熱ニトロ化反応に用いた場
合、槽型容器内での攪拌機による混合や他の形式の無駆
動型の混合器、たとえばスルザースタティックミキサー
(Sulzer static mixer, Koch Engineering Co., Inc.
)等に比較して、(1)構造が単純であるためデッド
スペースがなく、圧力損失がすくない、(2)スケール
アップが容易である、(3)メインテナンスが容易であ
る、(4)系の安定化、単純化が容易である、(5)セ
ラミックス等の耐酸性の特殊材料が使用できる、(6)
駆動部がないため騒音、振動がなく、それによる故障が
ない、(7)反応部で実質的に気相部を生じないので安
全である等の多くの利点を有する。
【0019】芳香族化合物と混酸はポンプを使用して2
液同時に導管内へ送液する。芳香族化合物Bと混酸Aの
送液量が著しく異なる場合は、2液を導管内に均一に挿
入することが困難となるので、送液量の少ない方に図1
に記載のような誘導管3を設けるのが好ましい。誘導管
3の出口は導管入口中心の延長線上にあり、誘導管の管
径は導管の管径未満である。誘導管径は小さくなるほど
出口の線速が上がり混合状態の改善に効果があるが、同
時に導管の耐圧も必要となるので、誘導管の管径を2m
m以上にするのが好ましい。断熱ニトロ化反応では送液
量に関係なく誘導管を設けた方が好ましく、図1に示す
ように一般的に芳香族化合物Bの送液ラインに誘導管3
を設ける。
【0020】本発明における芳香族化合物とは、熱硫酸
および熱燐酸の存在下において安定であり、約40〜8
0℃の温度範囲において液化可能であり、且つそのニト
ロ化生成物が熱硫酸水溶液および熱燐酸水溶液の存在下
においてもまた安定である任意の芳香族化合物を指し、
例えば、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ナフタ
レン、またはアントラキノンが挙げられる。
【0021】板状部材2を有する導管内で、一定個数の
板状部材2を通過した芳香族化合物の微小化させた液滴
は、もはやそれ以上には微小化されない領域がある。通
常その限界の板状部材の個数は50以下、場合によって
は20ないし30以下である。断熱ニトロ化反応ではそ
の領域でも反応は進行し、反応を完結できる。一度微小
化された直後であれば、一定時間内において板状部材が
存在しない中空パイプ内でも反応の進行が維持できるの
で、一定個数の板状部材を有する導管とグラスライニン
グ製の中空管を交互に組み合わせることも可能である。
導管と中空管を組合せた反応管の方が導管のみの反応管
より、反応を完結させるのに必要な導管の数を減らすこ
とが可能であり、導管のみの装置と大きさをほとんど変
えることなく、圧力損失を低減できる。中空管の長さ
は、板状部材数で40以下、場合によっては20以下に
相当する長さである。
【0022】本発明の方法は断熱系で実施されるため、
混酸組成および芳香族化合物/硝酸モル比などの原料供
給条件およびそれに基づく反応量によって反応および混
合に基づく発生熱量が定まり、それにより温度上昇量が
定まる。原料供給条件は種々の組合せが可能であるが、
安全性および副生物抑制の見地から系内の温度が160
℃を超える温度に上昇しない条件を選ぶことが好まし
い。通常、混酸中の硝酸は1〜10%、好ましくは1〜
8%であり、それ以外の硫酸または燐酸と水の組成に関
しては、反応系内の温度が160℃以下になるような温
度上昇量の範囲内で、ある程度組成を変えることが出来
る。系内温度を160℃以下に保つためには50〜75
%、好ましくは55〜70%の硫酸または燐酸、および
20〜40%、好ましくは28〜37%の水からなる組
成が好ましい。特にクロロベンゼンのニトロ化の場合に
はP25濃度として74〜80%に濃縮された濃縮燐酸
と硫酸とを使い分けることにより、芳香族ニトロ化合物
の異性体比を制御することも可能である。このような混
酸と化学量論的に過剰の芳香族化合物の流れがスタティ
ックミキサーの中で混合される。反応は通常50〜10
0℃で開始され、130〜150℃に達する。
【0023】芳香族化合物の供給量は混酸中の硝酸に対
して1モル比以上が好ましい。1モル比未満での実施も
可能であるが、反応後未反応の硝酸が残存するため、安
全上問題がある。従って、芳香族化合物の供給量は通常
硝酸に対し1〜3モル比の範囲で使用される。
【0024】次に反応流体の速度について述べる。最適
反応速度は反応器の大きさや反応条件等により変わるた
め、一概には決められないが、通常内径10〜150m
mの混合器では導管内を通過する線速度は通常20〜3
00cm/sec、好ましくは50〜150cm/se
cである。線速度が20cm/sec未満では反応速度
が低下する傾向がある。また、線速度が300cm/s
ecを越えた条件で行うことは可能であるが、反応が進
行する最適な液滴サイズには限界があり、過剰にエネル
ギーを付加しても、損失するのみであることと、圧力損
失が大きくなり、高耐圧のポンプおよび配管、装置が必
要となること等の、経済面の問題がある。
【0025】流体の反応管内の滞留時間は反応条件によ
り異なるが、通常0.l秒から5分であり、本発明の方
法では、これまでの公知の方法にくらべてはるかに短時
間で反応が完結する。その結果、副生物の生成が抑制さ
れる。
【0026】反応管から出た反応混合液は分離器内で有
機相と酸相に分離されるが、分離器内の圧力は有機相、
酸相が共にフラッシュ蒸発しないような圧力に加圧して
おくことが望ましい。この時の圧力は導管入口での圧力
もそれに伴って上昇するので、通常2〜5Kg/cm2
G、好ましくは2〜3Kg/cm2Gで実施される。分
離された酸相は公知の手段、たとえば、反応または混合
によって発生した熱を利用する真空フラッシュ蒸発器を
用いて再濃縮され、必要に応じて再利用される。有機相
は芳香族化合物のニトロ化において通常用いられる手
段、例えば洗浄、蒸留等により含まれる不純物を分離精
製して目的物の芳香族ニトロ化合物を得ることができ
る。
【0027】
【実施例】以下、実施例により本発明の方法を具体的に
説明する。
【0028】実施例1 内部に長方形の板を左または右に180度に捻った形状
のセラミックス製の板状部材を交互に8個有する内径1
2mmのセラミックス製のノリタケスタティックミキサ
ー(型式CSM−12−5)を45本直列につないだも
のを導管として用い、24℃のベンゼン(Bzと略す)
を52kg/hの速度で、硫酸65重量%、硝酸5.2
重量%、水29.8重量%からなる99℃の混酸を57
0kg/hの速度で連続的にポンプで反応器に供給し、
断熱的に反応をおこなった。この条件下では、ベンゼン
/硝酸モル比は1.4、スタティックミキサー内の線速
度は1.05m/sec、スタティックミキサーを通過
する滞留時間は24本目で2.6秒、45本目で4.8
秒になる。反応開始1時間後の定常状態では入口温度は
94℃で出口温度は148℃であった。スタティックミ
キサー24本目と45本目でサンプリングした反応液の
酸相の分析結果から仕込み硝酸に対する硝酸反応率はそ
れぞれ73.0%と99.8%であった。45本目の有
機相の分析結果から生成したニトロベンゼンに対して副
生したジニトロベンゼン(DNBと略す)は300pp
mであり、ジニトロフェノール(DNPと略す)は15
00ppmであり、トリニトロフェノール(TNPと略
す)は200ppmであつた。
【0029】実施例2 板状部材4個を有する内径30mmのセラミックス製の
ノリタケスタティックミキサー(型式CSM−30−
5)を40本直列につないだものを導管として用い、ス
タティックミキサー内の線速度を1.05m/secに
維持するために混酸とBzの送液量を変更する以外は実
施例1と同じ操作を行った。この条件下では、スタティ
ックミキサー(40本)を通過する滞留時間は5.1秒
になる。反応開始1時間後の定常状態では入口温度は9
4℃で出口温度は140℃であった。4本目、5本目、
7本目、40本目でサンプリングした反応液の酸相の分
析結果から仕込み硝酸に対する硝酸反応率はそれぞれ,
31,32,33,90%であった。40本目の有機相
の分析結果から生成したニトロベンゼンに対して副生し
たDNBは260ppmであり、DNPは1400pp
mであり、TNPは150ppmであった。
【0030】実施例3 混酸組成を、硫酸65.8重量%、硝酸4.0重量%、
水30.2重量%とし、ベンゼン/硝酸モル比を1.
4、スタティックミキサー内の線速度を1.05m/s
ecに維持するために送液量を混酸3660kg/h、
Bz254kg/hに変更する以外は実施例2と同じ操
作を行った。出口でサンプリングした反応液の酸相の分
析結果から仕込み硝酸に対する硝酸反応率は95%であ
った。有機相の分析結果から生成したニトロベンゼンに
対して副生したDNBは300ppmであり、DNPは
950ppmであり、TNPは70ppmであった。
【0031】実施例4 スタティックミキサー内の線速度を0.4m/secに
するために、送液量を混酸1400kg/hとBz97
kg/hに変更する以外は実施例3と同じ操作を行っ
た。この条件下では、スタティックミキサー(40本)
を通過する滞留時間は13.2秒となる。出口でサンプ
リングした反応液の酸相の分析結果から仕込み硝酸に対
する硝酸反応率は70%であった。有機相の分析結果か
ら生成したニトロベンゼンに対して副生したDNBは2
60ppmであり、DNPは700ppmであり、TN
Pは50ppmであった。
【0032】実施例5 反応開始温度を120℃とした以外は実施例3と同じ操
作を行った。1時間後の定常状態で出口温度は155℃
であった。出口でサンプリングした反応液の酸相の分析
結果から仕込み硝酸に対する硝酸反応率は99.8%で
あった。有機相の分析結果から生成したニトロベンゼン
に対して副生したDNBは945ppmであり、DNP
は2580ppmであり、TNPは450ppmであっ
た。
【0033】実施例6 板状部材8個を有する内径12mmのセラミックス製の
ノリタケスタティックミキサー(型式CSM−12−
5)を2本、そのあとにグラスライニング製の内径12
mm、長さ300mmの中空管をつないだ組合せ12組
を直列につないだものを反応管として用い,24℃のB
zを51kg/hの速度で、硫酸65重量%、硝酸5.
2重量%、水29.8重量%からなる99℃の混酸を5
65kg/hの速度で送液した。この条件下では、スタ
ティックミキサーを通過する滞留時間は2.6秒、中空
管を通過する滞留時間は8.8秒になる。出口でサンプ
リングした反応液の酸相の分析結果から仕込み硝酸に対
する硝酸反応率は87%であった。有機相の分析結果か
ら生成したニトロベンゼンに対して副生したDNBは2
70pmであり、DNPは1200ppmであり、TN
Pは100ppmであった。
【0034】実施例7 グラスライニング製の中空管の長さを800mmにする
以外は実施例6と同じ操作を行った。この条件下では、
スタティックミキサーを通過する滞留時間は2.6秒、
中空管を通過する滞留時間は23.4秒になる。出口で
サンプリングした反応液の酸相の分析結果から仕込み硝
酸に対する硝酸反応率は99.6%であった。有機相の
分析結果から生成したニトロベンゼンに対して副生した
DNBは300ppmであり、DNPは1500ppm
であり、TNPは200ppmであった。
【0035】実施例8 24℃のクロロベンゼンを144kg/hの速度で、燐
酸(P25)70重量%、硝酸5.2重量%、水24.
8重量%からなる99℃の混酸を517kg/hの速度
で連続的にポンプで反応管に供給する以外は実施例1と
同じ操作を行った。この条件下では、クロロベンゼン/
硝酸モル比は3、スタティックミキサー内の線速度は
1.0m/sec、スタティックミキサーを通過する滞
留時間は4.8秒になる。反応開始1時間後の定常状態
では入口温度は94℃で出口温度は135℃であった。
出口でサンプリングした反応液の酸相の分析結果から仕
込み硝酸に対する硝酸反応率は99%でパラニトロクロ
ロベンゼンとオルソニトロクロロベンゼンの異性体比
(P/O比と略す)は1.15であった。有機相の分析
結果から生成したニトロクロロベンゼンに対して副生し
たジニトロクロロベンゼン(DNCBと略す)は100
0ppmであり、クロロフェノール(CPと略す)は4
00ppmであった。
【0036】実施例9 混酸の組成を硫酸62重量%、硝酸5.2重量%、水3
2.8重量%とする以外は実施例8と同じ操作を行っ
た。この条件下では、出口でサンプリングした反応液の
酸相の分析結果から仕込み硝酸に対する硝酸反応率は5
0%で、P/O比は1.66であった。有機相の分析結
果から生成したニトロクロロベンゼンに対して副生した
DNCBは600ppmであり、CPは240ppmで
あった。
【0037】実施例10 20℃のトルエンを62kg/hの速度で、燐酸(P2
5)70重量%、硝酸4.5重量%、水25.5重量
%からなる90℃の混酸を560kg/hの速度で連続
的にポンプで反応管に供給する以外は実施例1と同じ操
作を行った。この条件下では、トルエン/硝酸モル比は
1.68、スタティックミキサー内の線速度は1.04
m/sec、スタティックミキサー(45本目)を通過
する滞留時間は4.8秒になる。反応開始1時間後の定
常状態では入口温度は82℃で出口温度は130℃であ
った。出口でサンプリングした反応液の酸相の分析結果
から仕込み硝酸に対する硝酸反応率は99%であった。
モノニトロトルエンに対して副生したDNT(ジニトロ
トルエン)類は950ppmであり、ニトロクレゾール
類は540ppmであった。また、モノニトロトルエン
の異性体比率は、オルソニトロトルエン:55.3(相
対比率)、メタニトロトルエン:4.8%(相対比
率)、パラニトロトルエン:39.9%(相対比率)で
あった。
【0038】比較例1 500mlのオートクレーブに硫酸63.5重量%、硝
酸5.2重量%、水31.3重量%の混酸268gを仕
込み99℃に昇温後、窒素で15℃のベンゼン22.4
gをオートクレーブ内に圧入し、系内圧力(ゲージ圧)
を3×105パスカルにした後、回転数600rpmで
300秒反応させた。この条件下では、ベンゼン/硝酸
モル比は1.3でオートクレ−ブの温度は140℃に到
達した。反応液の酸相の分析結果から仕込み硝酸に対す
る硝酸反応率は99%であった。有機相の分析結果から
生成したニトロベンゼンに対して副生したDNBは38
0ppmであり、DNPは1500ppmであり、TN
Pは1000ppmであった。
【0039】比較例2 クロロベンゼン70gをオートクレーブ内で昇温し、燐
酸(P25)70重量%、硝酸5.2重量%、水24.
8重量%の混酸250gを圧入する以外は比較例1と同
じ操作を行った。この条件下では、クロロベンゼン/硝
酸モル比は3でオートクレーブの温度は138℃に到達
した。反応液の酸相の分析結果から仕込み硝酸に対する
硝酸反応率は99%であった。有機相の分析結果から生
成したニトロクロロベンゼンに対して副生したDNCB
は2400ppmであり、CPは1000ppmであっ
た。
【0040】
【発明の効果】本発明の方法によれば、従来の方法にく
らべ、簡単な装置で、極めて高い反応速度で、安全に、
断熱的に芳香族化合物をニトロ化でき、副生物が少ない
高品質の芳香族モノニトロ化合物を製造することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用される連続反応装置の一例を示す
説明図で、ミキサー導管の内部を示すためにその1部が
切開されている。
【図2】図1のミキサー導管に内蔵された湾曲板状部材
の数個を取り出して示した外観図である。
【符号の説明】
1 導管 2 湾曲板状部材 3 誘導管 A 混酸 B 芳香族化合物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大垣 弘毅 福岡県大牟田市浅牟田町30番地 三井東圧 化学株式会社内 (72)発明者 松野 博明 福岡県大牟田市浅牟田町30番地 三井東圧 化学株式会社内 (72)発明者 山口 貴史 福岡県大牟田市浅牟田町30番地 三井東圧 化学株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部に複数の湾曲した板状部材をその先
    端縁を先行する板状部材の後端縁に略直交せしめて順次
    連続して配列してなる導管を含む反応器に、硝酸を含む
    混酸と芳香族化合物を流して反応させることを特徴とす
    る芳香族モノニトロ化合物の製造方法。
  2. 【請求項2】 反応器が前記導管と板状部材を内包して
    いない中空管を含む構成である請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 湾曲した板状部材の材質がセラミックス
    である請求項1または2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 反応器内の反応温度が160℃以下であ
    る請求項1または2に記載の方法。
  5. 【請求項5】 混酸の組成が硝酸1〜10重量%、水2
    0〜40重量%、残りが硫酸および/または燐酸である
    請求項1または2に記載の方法。
  6. 【請求項6】 反応器内における流体の線速度が20〜
    300cm/secである請求項1または2に記載の方
    法。
  7. 【請求項7】 芳香族化合物がベンゼン、トルエン、ク
    ロロベンゼン、ナフタレン、またはアントラキノンであ
    る請求項1または2に記載の方法。
  8. 【請求項8】 反応器より出る反応混合物を酸相と有機
    相に分離したのち、酸相をフラッシュ蒸発によって蒸留
    し、分離された酸相の濃度を調整し、これを反応器にも
    どしてさらに反応させる請求項1または2に記載の方
    法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001151725A (ja) * 1999-11-22 2001-06-05 Nippon Shokubai Co Ltd アルデヒド処理剤混合装置およびアクリル酸の精製方法
JP2010077126A (ja) * 2008-09-24 2010-04-08 Bayer Materialscience Ag ニトロベンゼンの連続製造法
JP2016527310A (ja) * 2013-08-06 2016-09-08 オクシア・ビショップ・エルエルシー 増加した熱伝達及び向上した温度制御でのメチロールアルカンの製造
EP3555039B1 (de) 2017-02-03 2020-08-05 Josef Meissner GmbH & Co. KG Verfahren und anlage zur adiabatischen nitrierung von aromaten

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