JPH09234247A - 人工呼吸装置および改良された加温加湿装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 加湿を要するガス例えば医療用ガス中の湿度
を監視し、あるいは前記湿度を適正に制御することので
きる人口呼吸装置及び加温加湿装置を提供すること。 【課題解決手段】 加湿されたガス例えば加湿医療用ガ
スが流通するチューブ中の温度及び相対湿度を測定し、
これらのデータから絶対湿度を算出し、得られる絶対湿
度が所定の範囲にあるように加湿器による加湿の程度及
び加湿医療用ガスの温度及び湿度を制御するように形成
してなる人口呼吸装置及び加温加湿装置。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は人工呼吸装置およ
び改良された加温加湿装置に関する。さらに詳しくは、
この発明は、吸気チューブ内を流通する加湿吸気が所定
の湿度に維持されているかを監視することのできる人工
呼吸装置、及び吸気チューブ内を流通する加湿吸気が所
定の湿度、正確には、所定温度における絶対湿度が同温
度における絶対飽和水蒸気量未満であり、かつ絶対湿度
が前記温度範囲で設定された値以上となるように自動制
御することのできる人工呼吸装置、並びに、発生する加
湿ガスの湿度が所定の湿度に維持されているかを監視す
ることのできる改良された加温加湿装置、及び発生した
加湿ガス吸気が所定の湿度、正確には、所定温度におけ
る絶対湿度が同温度における絶対飽和水蒸気量未満であ
り、かつ絶対湿度が前記温度範囲で設定された値以上と
なるように自動制御することのできる改良された加温加
湿装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の人工呼吸装置は、吸気を供給する
吸気チューブと呼気を排出する呼気チューブと、吸気チ
ューブおよび呼気チューブを接続する三叉ピース（「ミ
ツマタピース」と呼称し、たとえばＹ字状をなすＹピー
スあるいはＴ字状をなすＴピースなどを挙げることがで
きる。）と、この三叉ピースから患者に到る気管内チュ
ーブまたは気管切開チューブ（以下において、これら両
者を総称して「気管チューブ」と称することがある。）
とを有し、酸素ガス等のガス源から前記吸気チューブ、
三叉ピースおよび気管チューブを通じて所定のガスを患
者に供給し、患者から排出される呼気は前記気管チュー
ブ、三叉ピースおよび呼気チューブを通じて排出され
る。

【０００３】ここで、重要なことは患者に供給するガス
は所定の湿気を必要とすることである。この重要性のた
めに、従来の人工呼吸装置においては、吸気チューブに
加温加湿器が装着され、吸気チューブを通過するガスに
適度の湿度が付与されるようになっている。

【０００４】この加温加湿器は、水加熱用ヒータで水を
加熱することにより発生する水蒸気を前記吸気チューブ
内を流通する吸気に供給する加湿器と、前記吸気チュー
ブにおける加湿器出口の加湿吸気の温度を測定する第１
温度センサーと、前記加湿器出口から吸気の流通方向に
沿って吸気チューブ内に配設された吸気加熱用ヒータ
と、前記吸気加熱用ヒータの配設先端部近傍における吸
気の温度を測定する第２温度センサーとを有する。この
ような加温加湿器を有する人口呼吸装置においては、第
１温度センサーで測定する吸気の温度とこの第１温度セ
ンサーよりも下流側に配設された第２温度センサーとで
測定する吸気の温度との差を監視することにより、吸気
チューブ内の加湿吸気の保温状態を監視し、かつ制御す
ることができる。

【０００５】しかしながら、このような加温加湿器を有
する人口呼吸装置では、吸気中の湿度を飽和状態にする
ことはできるのであるが、加湿器が飽和水分量に近い量
の水を吸気チューブに供給することにより吸気チューブ
内に水滴が多量に付着し、この付着水分が患者に悪影響
を及ぼす恐れがあった。吸気チューブ内に水滴が多量に
付着すると患者に悪影響を及ぼすことから、操作者は吸
気チューブ内の水滴を排除する操作を頻繁に行わなけれ
ばならないので、操作者に過度の負担がかかっていた。
また、この人工呼吸装置では、加温加湿器自体の故障を
迅速に発見することができなかった。というのは、この
人工呼吸装置では、故障により加温加湿器の動作が停止
しても、吸気チューブ内に多量の水滴が付着しているの
で、操作者は加温加湿器が動作しているものと誤認して
しまう。その故に、適切な処置を施さないまま時間が経
過し、吸気チューブ内の水滴が消滅して初めて操作者は
加温加湿器の故障に気がつくのであって、操作者が加温
加湿器の故障に気がついた時点では加温加湿器の故障時
点よりはるかに時間が経過しており、患者に重篤な悪影
響が発生することもあった。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】この発明はこのような
問題を解消することを目的とする。

【０００７】この発明の目的は、加湿器の故障を知らせ
る警報あるいは吸気チューブ内に水滴が付着しないよう
に適切な湿度の管理のために、吸気チューブ内の湿度を
監視することのできる人工呼吸装置を提供することにあ
る。この発明の目的は、吸気チューブ内に水滴を発生さ
せることによる患者への悪影響のない人工呼吸装置を提
供することにある。この発明の目的は、吸気チューブ内
を流通する加湿吸気の湿度を監視し、吸気チューブ内の
加湿吸気中の水分量が絶対飽和水蒸気量未満であり、か
つ所定の絶対湿度以上になるように制御することのでき
る人工呼吸装置を提供することにある。この発明の目的
は吸気チューブ内に水滴が付着することがなく、したが
ってドレイン抜きなどの煩雑な作業を払拭することので
きる操作性の優れた人工呼吸装置を提供することにあ
る。

【０００８】この発明の他の目的は、人工呼吸装置ある
いは加湿ガスの必要な他の装置にも組み込むことがで
き、発生させる加湿ガス中の水分量が絶対飽和水蒸気量
未満であり、かつ絶対湿度が設定された値以上になって
いるか否かを監視することのできる改良された加温加湿
装置を提供することにある。この発明の目的は、人工呼
吸装置あるいは加湿ガスの必要な他の装置にも組み込む
ことができ、発生させる加湿ガスにおける水分量が絶対
飽和水蒸気量未満であり、かつ所定の絶対湿度以上にな
っているか否かを監視することができ、加湿ガスにおけ
る湿度が設定された値を外れたときには加湿ガス中の水
分量が絶対飽和水蒸気量未満であり、かつ絶対湿度が所
定の値以上になるように加湿ガス中の湿度を調整し、制
御することのできる改良された加温加湿装置を提供する
ことにある。この発明の目的は加湿ガスを供給するチュ
ーブ内に水滴の付着を生じさせず、したがってチューブ
内の水滴除去作業を不要とする操作性の優れた加温加湿
装置を提供することにある。

【０００９】

【前記課題を解決するための手段】前記課題を解決する
ためこの発明は、（１） 吸気を送り込む吸気チューブ
と、水加熱用ヒータで水を加熱することにより発生する
水蒸気を前記吸気チューブ内に供給して吸気を加湿する
加湿器と、前記加湿器出口の加湿吸気の温度を測定する
第１温度センサーと、前記加湿器出口から加湿吸気の流
通方向に沿って吸気チューブ内に配設された吸気加熱用
ヒータと、前記吸気加熱用ヒータで加熱された加湿吸気
の温度を測定する第２温度センサーと、呼気を送り出す
呼気チューブとを有する人口呼吸装置において、前記吸
気チューブ内に配設された湿度センサーと、この湿度セ
ンサーにより測定された相対湿度と前記第２温度センサ
ーで測定された加湿吸気の温度とから加湿吸気の絶対湿
度を算出し、その絶対湿度が同温度における絶対飽和水
蒸気量未満であり、かつ絶対湿度が前記温度範囲におけ
る設定値以上であるか否かを判定することによる湿度の
監視を行う湿度監視部とを有することを特徴とする人工
呼吸装置であり、（２） 吸気を送り込む吸気チューブ
と、水加熱用ヒータで水を加熱することにより発生する
水蒸気を前記吸気チューブ内に供給して吸気を加湿する
加湿器と、前記加湿器出口の加湿吸気の温度を測定する
第１温度センサーと、前記加湿器出口から加湿吸気の流
通方向に沿って吸気チューブ内に配設された吸気加熱用
ヒータと、前記吸気加熱用ヒータで加熱された加湿吸気
の温度を測定する第２温度センサーと、呼気を送り出す
呼気チューブとを有する人口呼吸装置において、前記吸
気チューブ内に配設された湿度センサーと、この湿度セ
ンサーにより測定された相対湿度と前記第２温度センサ
ーで測定された加湿吸気の温度とから加湿吸気の絶対湿
度を算出し、その絶対湿度が同温度における絶対飽和水
蒸気量未満であり、かつ絶対湿度が前記温度範囲内にお
ける設定値以上であるか否かを判定することによる湿度
の監視を行う湿度監視部と、前記湿度監視部による判定
結果に基づいて前記水加熱用ヒータ及び／又は前記吸気
加熱用ヒータとによる加熱を制御する湿度制御部とを有
することを特徴とする人工呼吸装置であり、（３） 水
を貯留する水貯留部と、水貯留部内の水を加熱する水加
熱用ヒータと、水貯留部内にガスを案内するガス導入
部、水貯留部内に案内されたガスに水蒸気が供給される
ことにより加湿された加湿ガスを送出する加湿ガス送出
チューブと、この加湿ガス送出チューブにおける水貯留
部近傍に配設され、加湿ガスの温度を測定する第１温度
センサーと、前記加湿ガス送出チューブ内に水貯留部近
傍から先端部側に向けて配設され、加湿ガスを加温する
加湿ガス加熱ヒータと、前記加湿ガス送出チューブ内に
配設され、前記加湿ガス加熱ヒータにより加温された加
湿ガスの温度を測定する第２温度センサーとを有する加
温加湿装置において、前記加湿ガス吸気送出チューブ内
に配設された湿度センサーと、この湿度センサーにより
測定された相対湿度と前記第２温度センサーにより測定
された加湿ガスの温度とから加湿ガスの絶対湿度を算出
し、その絶対湿度が同温度における絶対飽和水蒸気量未
満であり、かつ絶対湿度が前記温度範囲内における設定
値以上であるか否かを判定することによる湿度の監視を
行う湿度監視部とを有することを特徴とする改良された
加温加湿装置であり、（４） 清浄水を貯留する水貯留
部と、水貯留部内の清浄水を加熱する水加熱用ヒータ
と、水貯留部内にガスを案内するガス導入部、水貯留部
内に案内されたガスに水蒸気が供給されることにより加
湿された加湿ガスを排出する加湿ガス送出チューブと、
この加湿ガス送出チューブにおける水貯留部近傍に配設
され、加湿ガスの温度を測定する第１温度センサーと、
前記加湿ガス送出チューブ内に水貯留部近傍から先端部
側に向けて配設され、加湿ガスを加温する加湿ガス加熱
ヒータと、前記加湿ガス送出チューブ内に配設され、前
記加湿ガス加熱ヒータにより加温された加湿ガスの温度
を測定する第２温度センサーとを有する加温加湿装置に
おいて、前記加湿ガス送出チューブ内に配設された湿度
センサーと、この湿度センサーにより測定された相対湿
度と前記第２温度センサーにより測定された加湿ガスの
温度とから加湿ガスの絶対湿度を算出し、その絶対湿度
が同温度における絶対飽和水蒸気量未満であり、かつ絶
対湿度が前記温度範囲内における設定値以上であるか否
かを判定することによる湿度の監視を行う湿度監視部
と、前記湿度監視部による判定結果に基づいて前記水加
熱用ヒータ及び／又は前記吸気加熱用ヒータとによる加
熱を制御する湿度制御部とを有することを特徴とする改
良された加温加湿装置である。

【００１０】

【発明の実施の形態】この発明に係る第１の発明である
人工呼吸装置は、その好適な実施の形態として、吸気を
送り込む吸気チューブと、加湿器と、第１温度センサー
と、吸気加熱用ヒータと、第２温度センサーと、吸気温
度監視部と、湿度センサーと、呼気チューブと、気管チ
ューブと、湿度監視部と、表示部とを備え、吸気チュー
ブ内で加湿された吸気の湿度を監視することができる。

【００１１】また、この発明に係る第２の発明である人
工呼吸装置は、その好適な実施の形態として、吸気を送
り込む吸気チューブと、加湿器と、第１温度センサー
と、吸気加熱用ヒータと、第２温度センサーと、吸気温
度監視部と、湿度センサーと、呼気チューブと、気管チ
ューブと、湿度監視部と、表示部と、湿度制御部とを備
え、吸気チューブ内で加湿された吸気の湿度を監視し、
加湿された吸気の湿度を所定の湿度に制御することがで
きる。

【００１２】前記吸気チューブと、加湿器と、第１温度
センサーと、吸気加熱用ヒータと、第２温度センサー
と、ヒータ制御部と、呼気チューブと、気管チューブと
は従来の人工呼吸装置において使用されているものをそ
のまま採用することができ、又この発明の目的を達成す
るために適宜に設計変更して採用することもできるので
あるが、以下に簡単に説明する。

【００１３】吸気チューブは、患者に送り込む吸気を流
通させるチューブであり、その一端に、吸気である医療
用ガスの供給源に接続され、吸気チューブの他端には気
管チューブに連絡されている。前記医療用ガスは、通
常、清浄な空気と所定濃度の酸素とを含むガスである。
呼気チューブは、患者が排出する呼気を送出するチュー
ブであり、その一端は前記気管チューブに連絡されてい
る。なお、この発明においては、患者に送り込むガスと
いう意味合いで吸気なる語が使用され、患者に送り込む
ガスの目的が医療用であるという意味合いで医療用ガス
なる語が使用される。

【００１４】吸気チューブと呼気チューブとは別体であ
ることもあり、また吸気チューブ内に呼気チューブが挿
通されてなる二重管構造であることもあり、またこの逆
に呼気チューブ内に吸気チューブが挿通されてなる二重
管構造であることもある。

【００１５】前記吸気チューブと呼気チューブとが別体
であるときには、これら吸気チューブ、および呼気チュ
ーブは三叉チューブを介して気管チューブに連絡され
る。

【００１６】この三叉チューブは、三方向にチューブ結
合部を有してなるコネクタであり、たとえばＹ字状をな
すＹピースあるいはＴ字状をなすＴチューブ等が挙げら
れる。三叉チューブの三個のチューブ結合部には、吸気
チューブの端部、呼気チューブの端部および気管チュー
ブの端部が結合され、吸気チューブから送り込まれる吸
気ガスが三叉ピースを介して気管チューブ内に送出さ
れ、気管チューブを介して送り出される呼気が三叉ピー
スを介して呼気チューブ内に送出されるようになってい
る。

【００１７】前記気管チューブとしては、気管内チュー
ブ及び気管切開チューブを挙げることができる。気管内
チューブはその先端を患者の口に接続するチューブであ
り、気管切開チューブはその先端を咽喉切開部に挿入す
るチューブであり、それぞれその使用法が相違する。

【００１８】前記吸気チューブ、気管チューブ及び呼気
チューブにより、患者に医療用ガスを送り込み、患者の
呼気を回収する人工呼吸回路が形成される。

【００１９】前記加湿器は、吸気チューブ内を流通する
医療用ガスを加湿する機能を有し、通常、吸気チューブ
に介装される。すなわち、この加湿器は、水好ましくは
清浄な水たとえば蒸留水を貯留する水貯留部例えば水貯
留タンクと、水貯留部に貯留された水を加熱する水加熱
用ヒータとを有する。

【００２０】水加熱用ヒータは、前記水貯留部に貯留さ
れた水を加熱する機能を有する限りその構造に特に制限
がないのであるが、例えば水貯留部を載置しつつその内
部に貯留された水を加熱するホットプレート、及び水貯
留部内に配設されて水を直接に加熱するヒータ等を挙げ
ることができる。

【００２１】前記水貯留部は、水の液面上を医療用ガス
が通過して医療用ガスを加湿することのできる空間（こ
の空間を有する部位を加湿空間部と称することがあ
る。）を備え、前記水を所定量貯留している。通常の場
合、吸気チューブを吸気導入チューブと加湿吸気送出チ
ューブとに分けて、前記吸気導入チューブの一端を前記
加湿空間部に結合し、前記加湿吸気送出チューブの一端
を前記加湿空間部に結合する。そして、前記吸気導入チ
ューブによって前記加湿空間部に医療用ガスを導入し、
加湿空間部内で前記医療用ガスを加湿し、加湿された医
療用ガスを加湿吸気送出チューブに送り出すように形成
されている。

【００２２】前記第１温度センサーは、加湿空間部から
送り出された直後の加湿された医療用ガスの温度を測定
する機能を有するように、吸気チューブ内特に加湿吸気
送出チューブ内であって前記加湿空間部の近傍に取りつ
けられる。この第１温度センサーは、第２温度センサー
と共同して加湿吸気の温度あるいは加湿された医療用ガ
スの温度を監視するために設置されている。この第１温
度センサーとしては前記機能を有する限り各種のセンサ
ーを採用することができ、通常はサーミスタが採用され
る。

【００２３】前記吸気加熱用ヒータは、前記加湿器によ
り加湿された加湿吸気を、より詳しく言うと前記加湿空
間部内を流通することにより加湿された医療用ガスを、
冷却されないように加熱する機能を有する。この吸気加
熱用ヒータは、加湿された医療用ガスを加温することが
できる限りどのような構造のヒータをも採用することが
できる。吸気加熱用ヒータの具体例としては、たとえば
前記加湿吸気送出チューブの内面に、前記加湿空間部の
近傍に、換言すると加湿器の出口から螺旋状に延在する
ように、配設された螺旋状ヒータ、および前記加湿吸気
送出チューブの内壁面に、前記加湿空間部の近傍換言す
ると加湿器の出口からほぼまっすぐに延在するように、
配設された帯状ヒータ等を挙げることができる。

【００２４】前記第２温度センサーは、前記吸気チュー
ブにおける特に前記加湿吸気送出チューブにおける前記
吸気加熱用ヒータの配設された領域を通過する加湿吸気
あるいは加湿医療用ガスの温度を測定する機能を有する
限り、その構造、型式等に制限はない。この第２温度セ
ンサーとしては、通常はサーミスタが採用される。

【００２５】前記吸気温度監視部は前記加湿吸気あるい
は加湿医療用ガスの温度を監視する機能を有し、前記第
１温度センサーおよび第２温度センサーから出力される
それぞれの温度データを減算し、その減算値が所定の範
囲内にあることを監視し、前記減算値が所定の範囲から
外れるときには、前記吸気加熱用ヒータの動作を制御
し、また警報を発するように形成される。

【００２６】上述した加湿器、第１温度センサー、第２
温度センサー、吸気加熱用ヒータ、および吸気温度監視
部を有する装置を加温加湿器と称されることもあり、従
来から存在する加温加湿器をそのまま採用することもで
きる。

【００２７】この第１の発明および第２の発明のいずれ
の人工呼吸装置においても、湿度センサーを有する。こ
の湿度センサーは、吸気チューブ内を流通する加湿され
た吸気における相対湿度を検出し、具体的には加湿され
た医療用ガスの水分を検出し、その水分量に応じた信号
を出力する。この湿度センサーとしては前記機能を有す
る限り種々の型式のセンサーを採用することができる。

【００２８】好適な小型の湿度センサーとして、吸水樹
脂からなる感湿素子または吸水性樹脂を基板上にコーテ
ィングしてなる感湿素子と、この感湿素子における静電
容量変化を電圧変化に変換する変換回路とを有してなる
湿度センサーを挙げることができる。なお、感湿素子に
結合される電線は、感湿精度を向上させるために、吸気
あるいは医療用ガス中の水分により短絡しないように工
夫されるねばならない。

【００２９】この第１の発明および第２の発明のいずれ
の人工呼吸装置においても、湿度監視部を備える。

【００３０】この湿度監視部は、吸気チューブ内を流通
する加湿された吸気、具体的には、加湿吸気送出チュー
ブ内を流通する加湿医療用ガスの絶対湿度がその測定温
度における絶対飽和水蒸気量未満であり、かつ絶対湿度
が前記温度範囲における設定値以上、例えばＩＳＯ基準
による所定値例えば３０ｍｇ／Ｌ・ＡＨ以上、あるいは
３３ｍｇ／Ｌ・ＡＨ以上であるか否かを判定し、監視す
る機能を有する。

【００３１】この湿度監視部は、前記第２温度センサー
により検出される加湿吸気の温度および前記湿度センサ
ーで測定される相対湿度に基づいて、測定された温度に
おける絶対湿度を求め、あらかじめ記憶している温度と
その温度における絶対飽和水蒸気量との対照表に基づい
て、前記絶対湿度が測定温度における絶対飽和水蒸気量
未満であるか否かを判定し、かつ算出された絶対湿度が
前記温度範囲内における設定値以上例えばＩＳＯ基準に
よる所定値例えば３０ｍｇ／Ｌ・ＡＨ以上、あるいは３
３ｍｇ／Ｌ・ＡＨ以上であるか否かを判定し、判定結果
を表示部に出力する機能を有する。絶対湿度は以下のよ
うにして算出される。

【００３２】相対湿度は、前記湿度センサーにより測定
される。

【００３３】絶対湿度は、相対湿度と第２温度センサー
で測定された温度とから、ＲＨ＝ｆ／ｆｓ（単位：％）
に従って求められる。ここで前記ＲＨは相対湿度を示
し、ｆは単位容積（単位；Ｌ）の空気中に存在する水蒸
気の量（単位；ｍｇ）すなわち絶対湿度を示し、ｆｓは
単位容積（単位；Ｌ）の空気中に存在する同じ温度にお
ける飽和水蒸気の量（絶対飽和水蒸気量、単位；ｍｇ）
を示す。このｆｓは以下の式に従って求めることができ
る。

【００３４】ｆｓ＝Ｐｓａｔ／｛０．９４５×［１＋
（Ｔ／２７３）］｝ 前記式中Ｔは温度（℃）を示し、Ｐｓａｔは飽和蒸気圧
を示し、以下の式で求められる。

【００３５】Ｐｓａｔ＝１０^{{A-[B/(C+T)]}} 前記式中Ａ、Ｂ、ＣはＴの関数であり、例えば表１に示
される関係がある。

【００３６】

【表１】

【００３７】湿度監視部は、記憶部を有していて、前記
表１よりも更に詳細なデータを記憶していて、第２温度
センサーにより測定された温度Ｔに対応するＡ、Ｂおよ
びＣの値をこの記憶部から読み出し、前記演算式に従っ
て絶対湿度を求める。

【００３８】湿度監視部は、測定温度およびその温度に
おける絶対湿度の値を表示部に表示させる。

【００３９】又、この湿度監視部は、各温度とその温度
に対応する絶対飽和水蒸気量との対照表を保持してい
て、第２温度センサーで測定された温度における加湿吸
気における絶対湿度が同温度における絶対飽和水蒸気量
であると判断する場合、または前記演算により求められ
た絶対湿度が設定値未満例えばＩＳＯ基準による所定値
例えば３０ｍｇ／Ｌ・ＡＨ未満（所定値が３３ｍｇ／Ｌ
・ＡＨと設定されているときには、３３ｍｇ／Ｌ・ＡＨ
未満）であると判断するときには、異常警告信号を表示
部に出力して、表示部にて異常警報を発令させる。異常
警報としては、ランプの点滅等の視覚的警報、警告音の
発生等の聴覚的警報を挙げることができる。

【００４０】この第２の発明においては、前記湿度監視
部に加えて更に湿度制御部を有する。この湿度制御部
は、前記湿度監視部により加湿吸気の絶対湿度が測定温
度における絶対飽和水蒸気量であると判断する場合、ま
たは前記演算により求められた絶対湿度が設定値以上未
満例えば例えば３０ｍｇ／Ｌ・ＡＨ未満（所定値が３３
ｍｇ／Ｌ・ＡＨと設定されているときには、３３ｍｇ／
Ｌ・ＡＨ未満）であると判断するときには、前記水加熱
用ヒータおよび／または吸気加熱用ヒータの動作を制御
する。

【００４１】すなわち、(1) 第２温度センサーにより測
定された加湿吸気の温度が、絶対湿度を縦軸にすると共
に温度を横軸にするグラフにおいて、設定された絶対湿
度と絶対飽和水蒸気量曲線に設定された絶対湿度が交差
するときの温度よりも低いときに、その温度における加
湿吸気の絶対湿度が同温度における絶対飽和水蒸気量未
満であるときには（このときは、加湿吸気の絶対湿度は
設定された絶対湿度よりも小さい。）、湿度制御部は、
制御信号を水加熱用ヒータに出力してこれを動作させ
て、水貯留部内の水から発生する水蒸気量を増加させて
加湿吸気中の絶対湿度を設定された絶対湿度以上にし、
かつ制御信号を吸気加熱用ヒータに出力してこれを動作
させ、加湿吸気の温度を高くしてその加湿吸気の絶対湿
度をその温度における絶対飽和水蒸気量未満に調節し、
(2) 第２温度センサーにより測定された加湿吸気の温度
が、絶対湿度を縦軸にすると共に温度を横軸にするグラ
フにおいて、設定された絶対湿度と絶対飽和水蒸気量曲
線に設定された絶対湿度が交差するときの温度よりも高
いときに、その温度における加湿吸気の絶対湿度が同温
度における設定された絶対湿度未満であるときには（こ
のときは、加湿吸気の絶対飽和水蒸気量よりも小さ
い。）、湿度制御部は、制御信号を水加熱用ヒータに出
力してこれを動作させて、水貯留部内の水から発生する
水蒸気量を増加させて加湿吸気中の絶対湿度を設定され
た絶対湿度以上にし、必要があれば更に制御信号を吸気
加熱用ヒータに出力してこれを動作させ、加湿吸気の温
度を高くしてその加湿吸気の絶対湿度をその温度におけ
る絶対飽和水蒸気量未満に調節する。

【００４２】前記表示部は、前述したように警告を発す
る機能を有するのであるが、吸気チューブ内の加湿され
た医療用ガスの、測定された温度、測定された相対湿度
および算出された絶対湿度を経時的に表示するように構
成することもできる。

【００４３】なお、上記したように本願発明は改良され
た人工呼吸装置として把握することができるが、改良さ
れた加温加湿装置と把握することもできる。

【００４４】つまり、この発明の、改良された加温加湿
装置は、水を貯留する水貯留部と、水貯留部内の水を加
熱する水加熱用ヒータと、水貯留部内にガスを案内する
ガス導入部、水貯留部内に案内されたガスに水蒸気が供
給されることにより加湿された加湿ガスを排出する加湿
ガス送出チューブと、この加湿ガス送出チューブにおけ
る水貯留部近傍に配設され、加湿ガスの温度を測定する
第１温度センサーと、前記加湿ガス送出チューブ内に水
貯留部近傍から先端部側に向けて配設され、加湿ガスを
加温する加湿ガス加熱ヒータと、前記加湿ガス送出チュ
ーブ内に配設され、前記加湿ガス加熱ヒータにより加温
された加湿ガスの温度を測定する第２温度センサーとを
有する加温加湿装置において、前記加湿ガス吸気送出チ
ューブ内に配設された湿度センサーと、この湿度センサ
ーにより測定された相対湿度と前記第２温度センサーに
より測定された加湿ガスの温度とから加湿ガスの絶対湿
度を算出し、その絶対湿度が同温度における絶対飽和水
蒸気量未満であり、かつ絶対湿度が前記温度範囲内にお
ける設定値以上であるか否かを判定することによる湿度
の監視を行う湿度監視部とを有することを特徴とし、加
湿ガス送出チューブから送出される加湿ガスの湿度を監
視することができる。

【００４５】更に、この発明の、改良された他の加温加
湿装置は、水を貯留する水貯留部と、水貯留部内の水を
加熱する水加熱用ヒータと、水貯留部内にガスを案内す
るガス導入部、水貯留部内に案内されたガスに水蒸気が
供給されることにより加湿された加湿ガスを排出する加
湿ガス送出チューブと、この加湿ガス送出チューブにお
ける水貯留部近傍に配設され、加湿ガスの温度を測定す
る第１温度センサーと、前記加湿ガス送出チューブ内に
水貯留部近傍から先端部側に向けて配設され、加湿ガス
を加温する加湿ガス加熱ヒータと、前記加湿ガス送出チ
ューブ内に配設され、前記加湿ガス加熱ヒータにより加
温された加湿ガスの温度を測定する第２温度センサーと
を有する加温加湿装置において、前記加湿ガス送出チュ
ーブ内に配設された湿度センサーと、この湿度センサー
により測定された相対湿度と前記第２温度センサーによ
り測定された加湿ガスの温度とから加湿ガスの絶対湿度
を算出し、その絶対湿度が同温度における絶対飽和水蒸
気量未満であり、かつ絶対湿度が前記温度範囲内におけ
る設定値以上であるか否かを判定することによる湿度の
監視を行う湿度監視部と、前記湿度監視部による判定結
果に基づいて前記水加熱用ヒータ及び／又は前記吸気加
熱用ヒータとによる加熱を制御する湿度制御部とを有す
ることを特徴とし、加湿ガス送出チューブから送出され
る加湿ガスの湿度を監視し、加湿ガスの湿度を所定の湿
度に制御することができる。

【００４６】これらの改良された加温加湿装置における
ガス導入部は、加湿する必要のあるガスを導入すること
ができるように形成されていれば良く、例えば、加湿す
る必要のあるガスを流通案内するチューブの先端を接続
することができるように形成されたところの、水貯留部
に設けられたコネクタであっても良く、あるいは加湿す
る必要のあるガスを流通案内するチューブの先端部と結
合可能な一端を有し、他端を前記水貯留部に結合可能な
他端を有する加湿ガス導入チューブであっても良い。

【００４７】又、これらの改良された加温加湿装置にお
ける水貯留部、水加熱用ヒータ、第１温度センサー、第
２温度センサー、湿度センサーおよび湿度監視部はこの
発明に係る人工呼吸装置におけるのと同様の構造を有す
る。この改良された加温加湿装置における加湿ガス送出
チューブはこの発明に係る人工呼吸装置における加湿吸
気送出チューブと同様の構造を有する。

【００４８】この改良された加温加湿装置は、人工呼吸
装置における吸気チューブの途中に介装することができ
る。その場合には、加温加湿装置は、人工呼吸装置にお
ける吸気チューブ内に加湿された医療用ガスを供給する
ことができ、かつ人工呼吸装置における加湿吸気におけ
る相対湿度および絶対湿度を監視することができる。

【００４９】この改良された加温加湿装置は、人工呼吸
装置以外の装置であって、加湿する必要のあるガスを調
整する装置にも適用することもできる。

【００５０】以上、この発明に係る人口呼吸装置におけ
る加湿吸気と加温加湿装置における加湿ガスとは、いず
れも絶対湿度を基準にして、それらの監視または監視及
び制御がなされている。しかしながら、同じ温度におけ
る絶対湿度と相対湿度とは等価の関係にあるから、この
発明に係る人口呼吸装置における加湿吸気の湿度の監視
あるいは監視及び制御を加湿吸気の相対湿度、あるいは
相対湿度及び絶対湿度の組み合わせを基準にして行うよ
うにすることもできる。同様に、この発明に係る加温加
湿装置における加湿ガスの湿度の監視あるいは監視及び
制御を加湿ガスの相対湿度、あるいは相対湿度及び絶対
湿度の組み合わせを基準にして行うようにすることもで
きる。

【００５１】（実施例）この発明の一実施例を図面を参
照しながら説明する。

【００５２】図１にこの発明の一実施例である人工呼吸
装置の主要部を示す。

【００５３】この発明の一実施例である人工呼吸装置１
は、吸気チューブ２と、呼気チューブ３と、三叉ピース
の一種であるＹピース４と、気管チューブ５とを有す
る。

【００５４】この吸気チューブ２は更に吸気導入チュー
ブ２ａと加湿吸気送出チューブ２ｂとに分けられてい
る。前記吸気導入チューブ２ａの一端は、酸素ガスと空
気とを混合した酸素含有ガス等の医療用ガス源（図示せ
ず。）に接続され、前記吸気導入チューブ２ａの他端は
加湿器に接続される。前記加湿吸気送出チューブ２ｂの
一端は加湿器６に接続され、加湿吸気送出チューブ２ｂ
の他端は前記Ｙピース４に接続される。

【００５５】この加湿器６は、蒸留水を加熱して水蒸気
を発生させ、発生した水蒸気を吸気チューブ２内に供給
することができるように形成される。この加湿器６は、
内部に水貯留部６ａと水貯留部６ａ内の蒸留水を加温す
る水加熱用ヒータ６ｂとを備えた加温加湿器である。さ
らに言うと、この加湿器６の水貯留部６ａには、蒸留水
６ｃが所定量貯留され、蒸留水６ｃの液面上に加湿空間
６ｄが形成され、吸気チューブ２からその蒸留水６ｃの
液面上に医療用ガスが供給され、水加熱用ヒータ６ｂに
より加熱された蒸留水６ｃの水蒸気と共に医療用ガスが
前記加湿吸気送出チューブ２ｂに送出されるようになっ
ている。

【００５６】前記水加熱用ヒータ６ｂは、タンクである
前記水貯留部６ａを載置し、かつ水貯留部６ａ内の蒸留
水６ｃを加熱する加熱プレートである。

【００５７】前記加湿吸気送出チューブ２ｂにおける加
湿器６の出口近傍（より正確に言うと水貯留部６ａの出
口近傍）には、第１温度センサー７が設けられていて、
水貯留部６ａ内の蒸留水６ｃにより加湿された医療用ガ
スの温度がこの第１温度センサー７で測定され、第１温
度センサー７から出力される信号が湿度監視部８に入力
される。

【００５８】加湿吸気送出チューブ２ｂの内面には、加
湿器６の出口近傍から所定の長さをもって、帯状の吸気
加熱用ヒータ９が、配設されている。

【００５９】加湿吸気送出チューブ２ｂの内面であっ
て、前記吸気加熱用ヒータ９の先端部近傍には、第２温
度センサー１０と湿度センサー１１とが、相対向するよ
うに配設される。相対向するようにこれらを配置するの
は、湿度センサー１１で検知する医療用ガスの温度を第
２温度センサー１０で直接に検知するためである。

【００６０】前記湿度センサー１１は、図２に示される
ように、たとえば厚み３ｍｍ、長さ１３ｍｍ、幅６ｍｍ
程度の小型であり、開口部１１ａを有するハウジング１
１ｂ内に、前記開口部１１ａに露出するように装着され
た薄膜感湿素子１１ｃと、この薄膜感湿素子１１ｃによ
り検知され、湿度に応じて変化する静電容量の変化すな
わち静電容量変化を電圧変化に変換する回路とが内蔵さ
れている。

【００６１】なお、このように直接に検知するために、
第２温度センサー１０と湿度センサー１１とを一体化し
た一個のモジュールにしても良い。

【００６２】第２温度センサー１０は、加湿された医療
用ガスの温度を示す信号を湿度監視部８に出力する。湿
度センサー１１は、加湿された医療用ガスにおける相対
湿度に対応する信号を湿度監視部８に出力する。

【００６３】前記呼気チューブ３の一端にはＹピース４
が接続され、Ｙピース４を通じて患者の呼気がこの呼気
チューブ３に排出されるようになっている。

【００６４】このＹピース４は更に気管チューブ５の一
端と接続され、気管チューブ５の他端は患者の口あるい
は切開された咽喉部から気管内に接続される。

【００６５】前記湿度監視部８は記憶部（図示せず。）
及び演算部（図示せず。）を有し、記憶部には第２湿度
センサー１０から出力される信号とその信号に対応する
相対湿度との対応データ、温度とその温度における絶対
飽和水蒸気量との対応データ、前記表１に示されるデー
タよりも更に詳細なデータ等の各種のデータを記憶し、
前記演算部は温度と相対湿度とから絶対湿度を算出する
演算、計算された絶対湿度と設定された絶対湿度とを比
較する演算、計算された絶対湿度と絶対飽和水蒸気量と
を比較する演算、第１温度センサー７で測定された温度
と第２温度センサー１０で測定された温度とを比較する
演算等の各種演算を実行し、その演算結果を湿度制御部
１２に出力し、また前記演算結果並びに測定温度及び測
定された相対湿度等を表示部１３に出力する。つまり、
この湿度監視部８は、加湿吸気送出チューブ２ｂ中に送
出される加湿医療用ガスの湿度を監視する機能及び加湿
医療用ガスの温度を監視する機能を合わせ持つ。

【００６６】前記湿度制御部１２は、前記湿度監視部８
から出力される演算結果を入力し、その入力結果に応じ
て、水加熱用ヒータ６ｂ及び吸気加熱用ヒータ９の動作
を制御する制御信号を出力し、水加熱用ヒータ６ｂ及び
吸気加熱用ヒータ９の動作状態を示す信号を表示部１３
に出力する。

【００６７】前記表示部１３は、水加熱用ヒータ６ｂ及
び吸気加熱用ヒータ９の動作状態、加湿された医療用ガ
スの相対湿度、絶対湿度等のデータを表示する。

【００６８】この人工呼吸装置は以下のように動作す
る。

【００６９】この人工呼吸装置においては、加湿された
医療用ガスの絶対湿度をＩＳＯ基準で３０ｍｇ／Ｌ・Ａ
Ｈに設定されているとする。

【００７０】水加熱用ヒータ６ｂによる加熱により、水
貯留部６ａ内の蒸留水が加熱され、水貯留部６ａ内の加
湿空間６ｄに水蒸気が発生している。吸気導入チューブ
２ａにより水貯留部６ａの加湿空間６ｄに医療用ガスが
導入される。加湿空間６ｄに導入された医療用ガスは水
蒸気で加湿され、加湿された医療用ガスが加湿吸気送出
チューブ２ｂに送出される。送出される加湿された医療
用ガスの温度が第１温度センサー７により測定され、測
定温度が第１温度センサー７から湿度監視部８に出力さ
れる。

【００７１】加湿吸気送出チューブ２ｂに送出された加
湿医療用ガスは、吸気加熱用ヒータ９で加温され、加温
された加湿医療用ガスが加湿吸気送出チューブ２ｂ内を
流通し、Ｙピース４及び気管チューブ２を経て患者に送
り込まれる。吸気加熱用ヒータ９で加温された加湿医療
用ガスの温度が第２温度センサー１０で測定され、測定
結果が経時的に湿度監視部８に出力される。又、湿度セ
ンサー１１により加湿医療用ガスの湿度が経時的に測定
され、測定結果が湿度監視部８に出力される。

【００７２】湿度監視部８では、第２温度センサー１０
から出力される温度と湿度センサー１１から出力される
信号とから、その温度における加湿医療用ガスの相対湿
度を得、その相対湿度から同温度における絶対湿度を算
出する。

【００７３】今、測定の結果賭して、加湿吸気送出チュ
ーブ２ｂを流通している加湿医療用ガスの温度が２０℃
であり、その温度での計算された絶対湿度が１０ｍｇ／
Ｌ・ＡＨであるとする。この温度及び絶対湿度は、図３
におけるＡ点で示される。

【００７４】湿度監視部８では、設定された絶対湿度と
各温度における絶対飽和水蒸気量とを記憶している。図
３ではＢで示される曲線が絶対飽和水蒸気量を示す。

【００７５】湿度監視部８では、測定された加湿医療用
ガスの相対湿度から計算された絶対湿度である１０ｍｇ
／Ｌ・ＡＨと設定された絶対湿度３０ｍｇ／Ｌ・ＡＨと
を比較し、又、測定及び計算に基づく加湿医療用ガスの
絶対湿度と測定温度下での絶対飽和水蒸気量とを比較す
る。その比較の結果、湿度監視部８は、その加湿医療用
ガスの絶対湿度が設定絶対湿度よりはるかに小さく、
又、加湿医療用ガスの絶対湿度がその温度における絶対
飽和水蒸気量よりも小さく、しかも加湿医療用ガスの温
度が３０℃よりも低いと判断する。このときの加湿医療
用ガスの絶対湿度と温度との関係は、図３におけるＢ点
で示される。

【００７６】そこで、湿度監視部８は湿度制御部１２に
判断結果を出力し、湿度制御部１２は制御信号を水加熱
用ヒータ６ｂに出力してこの水加熱用ヒータ６ｂで蒸留
水を更に高い温度に加熱する。これによって加湿空間内
の水蒸気量を増加させ、加湿医療用ガス中の水分量を増
加させる。また、湿度制御部１２は吸気加熱用ヒータ９
にも制御信号を出力して、この吸気加熱用ヒータ９によ
り加湿医療用ガスの温度を高める。

【００７７】温度が高められ、かつ水蒸気を多く含んだ
加湿医療ガスの温度が第１温度センサー７及び第２温度
センサー１０で測定され、又この加湿医療ガスの湿度が
湿度センサー１１で測定され、測定された温度及び及び
湿度が湿度監視部８に継続的に出力される。

【００７８】湿度監視部８では、経時的に入力するデー
タすなわち測定された温度及び湿度からその温度におけ
る加湿医療用ガスの絶対湿度を算出し、算出された絶対
湿度とその温度における絶対飽和水蒸気量とを比較し、
又算出された絶対湿度とその温度における設定絶対湿度
とを比較する。湿度監視部８は比較結果を湿度制御部に
１２に出力し、算出された絶対湿度がその温度における
絶対湿度よりも小さいときには、水加熱用ヒータ６ｂに
継続して制御信号を出力し、水加熱用ヒータ６ｂによっ
て水貯留部６ａ内の蒸留水を更に加熱し、加湿吸気送出
チューブ２ｂ内に送出される加湿医療用ガス中の水分量
を増加させる。

【００７９】湿度監視部８で、経時的に入力する温度及
び湿度から算出されたその温度における加湿医療用ガス
の絶対湿度が設定絶対湿度よりも大きく、しかもその温
度における絶対飽和水蒸気量よりも小さいと判断する
と、換言すると、図３に示される例えばＣ点に、加湿医
療用ガスの算出された絶対湿度があると判断すると、湿
度監視部８はその判断結果を湿度制御部１２に出力す
る。湿度制御部１２はこの判断結果を受けて、水加熱用
ヒータ６ｂ及び吸気加熱用ヒータ９に制御信号を出力
し、この水加熱用ヒータ６ｂ及び吸気加熱用ヒータ９に
より加熱される蒸留水の加熱温度を一定にし、加湿医療
用ガス中の絶対湿度及び温度が図３中のＣ点に維持され
るようにする。

【００８０】又、この湿度監視部８では第１温度センサ
ー７及び第２温度センサー１０により加湿医療用ガスの
温度を経時的に測定する。その経時的測定結果を湿度制
御部１２に出力し、湿度制御部１２は、加湿医療用ガス
の温度が３０〜４３℃の範囲内であって、生体に悪影響
を与えない適切な温度範囲にあるように、水加熱用ヒー
タ６ｂ及び吸気加熱用ヒータ９の動作を制御する。

【００８１】水加熱用ヒータ６ｂ及び吸気加熱用ヒータ
９の動作によっては、加湿された医療用ガスの温度が３
０〜４３℃の範囲内であって、生体に悪影響を与えない
適切な温度範囲にあるけれどその絶対湿度が設定された
絶対湿度よりも大きく、しかも加湿された医療用ガスの
絶対湿度がその温度における絶対飽和水蒸気量と同じに
なることがある。つまり、加湿された医療用ガスの絶対
湿度が図３におけるＤ点にある場合である。この場合に
は、湿度制御部から制御信号が水加熱用ヒータ６ｂ及び
／又は吸気加熱用ヒータ９に出力され、水加熱用ヒータ
６ｂによる蒸留水の加熱及び吸気加熱用ヒータ９による
加湿医療用ガスの加熱を弱めるか、あるいは、水加熱用
ヒータ６ｂまたは吸気加熱用ヒータ９による加熱を弱め
て、加湿医療用ガスの温度を高めること及び医療用ガス
に供給する水蒸気量を少なくすることの両方及びいずれ
かを行って、加湿医療用ガスにおける絶対湿度を、設定
絶対湿度よりも多く、かつ絶対飽和水蒸気量よりも低く
する。

【００８２】場合によっては、加湿医療用ガスの温度が
３０〜４３℃の範囲であって、生体に悪影響を与えない
適切な温度範囲内にあるけれどその絶対湿度が設定され
た絶対湿度よりも低く、しかも加湿医療用ガスの絶対湿
度がその温度における絶対飽和水蒸気量よりも低くなる
ことがある。つまり、加湿された医療用ガスの絶対湿度
が図３におけるＥ点にある場合である。この場合には、
湿度制御部１２から制御信号が水加熱用ヒータ６ｂ及び
／又は吸気加熱用ヒータ９に出力され、水加熱用ヒータ
６ｂによる蒸留水の加熱を強めて、加湿医療用ガスの温
度を維持しつつ医療用ガスに供給する水蒸気量を多くす
ること、あるいは水加熱用ヒータ６ｂ及び吸気加熱用ヒ
ータ９による加湿医療用ガスの温度を高めることのいず
れかを行って、加湿医療用ガスにおける絶対湿度を、設
定絶対湿度よりも多く、かつ絶対飽和水蒸気量よりも低
くする。

【００８３】いずれにしても、この人工呼吸装置におい
ては、湿度センサー及び第２温度センサーから出力され
る加湿医療用ガスの測定温度及び測定湿度に基づいて、
吸気チューブ内を流通する加湿医療用ガスの温度が３０
〜４３℃の範囲内であって、生体に悪影響を与えない適
切な温度範囲に維持され、その温度範囲内における加湿
医療用ガスの絶対湿度が設定絶対湿度以上になり、かつ
その温度における絶対飽和水蒸気量未満となるように、
加湿医療用ガスの湿度を監視し、かつ制御する。

【００８４】なお、上述した人工呼吸装置は、第２温度
センサー、湿度監視部及び湿度制御部を備えて加湿医療
用ガス中の湿度を監視し、かつ湿度を制御することので
きる装置である。上述した人工呼吸装置における湿度制
御部１２の代わりに、湿度監視部８から出力される第１
温度センサー７により測定された測定温度と第２温度セ
ンサー１０により測定された測定温度とから吸気加熱用
ヒータ９を制御するヒータ制御部を設けた外は上述した
人工呼吸装置と同じ構成の装置は、加湿医療用ガスの湿
度を制御する機能はないが、加湿医療用ガスの湿度を監
視する機能を有する人口呼吸装置の例となる。この加湿
医療用ガスの湿度を監視する機能を有する人口呼吸装置
においては、マニュアル操作により加湿医療用ガスの湿
度を制御することになる。

【００８５】また、図１を用いて上述した人工呼吸装置
の構成のうち、加湿器６と、吸気導入チューブ６の代わ
りに、加湿する必要のあるガスを加湿器６の加湿空間に
導入する例えばガス導入管などのガス導入部と、加湿吸
気送出チューブ２ｂと同様の構成を有する加湿ガス送出
チューブと、この加湿ガス送出チューブの内面に設けら
れ、前記加湿吸気送出チューブ２ｂに配設されたのと同
様の第１温度センサー７と、この加湿ガス送出チューブ
の内面に設けられ、前記加湿吸気送出チューブ２ｂに配
設されたのと同様の第２温度センサー１０と、この加湿
ガス送出チューブの内面に設けられ、前記加湿吸気送出
チューブ２ｂに配設された吸気加熱用ヒータ９と同様の
構成を有する加湿ガス加熱ヒータと、前記湿度監視部８
と同様の構成を有する湿度監視部とで、加湿ガス中の湿
度を監視することのできる改良された加温加湿装置の一
例が構成される。

【００８６】又、更に湿度制御部１２と同様の湿度制御
部を前記改良された加湿加温装置に付加すると、加湿ガ
ス中の湿度を監視し、かつ湿度を所定の絶対湿度に維持
することができるように制御することのできる改良され
た加温加湿装置の一例が構成される。

【００８７】

【発明の効果】この発明によると、加湿器の故障を知ら
せる警報あるいは吸気チューブ内に水滴が付着しないよ
うに適切な湿度の管理のために、吸気チューブ内の湿度
を監視することのできる人工呼吸装置を提供することが
できる。この発明によると、吸気チューブ内に水滴を発
生させることによる患者への悪影響のない人工呼吸装置
を提供することができる。この発明によると、吸気チュ
ーブ内を流通する加湿吸気の湿度を監視し、吸気チュー
ブ内の加湿吸気中の水分量が絶対飽和水蒸気量未満であ
り、かつ所定の絶対湿度以上になるように制御すること
のできる人工呼吸装置を提供することができる。この発
明の目的は吸気チューブ内に水滴が付着することがな
く、したがってドレイン抜きなどの煩雑な作業を払拭す
ることのできる操作性の優れた人工呼吸装置を提供する
ことができる。

【００８８】この発明によると、人工呼吸装置あるいは
加湿ガスの必要な他の装置にも組み込むことができ、設
定された温度において、発生させる加湿ガス中の水分量
が絶対飽和水蒸気量未満であり、かつ絶対湿度が設定さ
れた値以上になっているか否かを監視することのできる
改良された加温加湿装置を提供することができる。この
発明によると、人工呼吸装置あるいは加湿ガスの必要な
他の装置にも組み込むことができ、設定された温度にお
いて、発生させる加湿ガスにおける水分量が絶対飽和水
蒸気量未満であり、かつ所定の絶対湿度以上になってい
るか否かを監視することができ、加湿ガスにおける湿度
が設定された値を外れたときには加湿ガス中の水分量が
絶対飽和水蒸気量未満であり、かつ絶対湿度が所定の値
以上になるように加湿ガス中の湿度を調整し、制御する
ことのできる改良された加温加湿装置を提供することが
できる。この発明の目的は加湿ガスを供給するチューブ
内に水滴の付着を生じさせず、したがってチューブ内の
水滴除去作業を不要とする操作性の優れた加温加湿装置
を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１はこの発明の一実施例である人工呼吸装置
の概略の構成を示す説明図である。

【図２】図２はこの発明の一実施例である人工呼吸装置
に使用される湿度センサーを示す概略説明図である。

【図３】図３はこの発明の一実施例である人口呼吸装置
における湿土監視部のメモリに格納されている各温度と
その温度における絶対湿度との関係を絶対飽和水蒸気量
曲線にして示すグラフである。

【符号の説明】

１・・・人工呼吸装置、２・・・吸気チューブ、２ａ・
・・吸気導入チューブ、２ｂ・・・加湿吸気送出チュー
ブ、３・・・呼気チューブ、４・・・Ｙピース、５・・
・気管チューブ、６・・・加湿器、６ａ・・・水貯留
部、６ｂ・・・水加熱用ヒータ、６ｃ・・・蒸留水、６
ｄ・・・加湿空間、７・・・第１温度センサー、８・・
・湿度監視部、９・・・吸気加熱用ヒータ、１０・・・
第２温度ヒータ、１１・・・湿度センサー、１１ａ・・
・開口窓、１１ｂ・・・ハウジング、１１ｃ・・・感湿
素子、１２・・・湿度制御部、１３・・・表示手段。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 吸気を送り込む吸気チューブと、水加熱
   用ヒータで水を加熱することにより発生する水蒸気を前
   記吸気チューブ内に供給して吸気を加湿する加湿器と、
   前記加湿器出口の加湿吸気の温度を測定する第１温度セ
   ンサーと、前記加湿器出口から加湿吸気の流通方向に沿
   って吸気チューブ内に配設された吸気加熱用ヒータと、
   前記吸気加熱用ヒータで加熱された加湿吸気の温度を測
   定する第２温度センサーと、呼気を送り出す呼気チュー
   ブとを有する人口呼吸装置において、 前記吸気チューブ内に配設された湿度センサーと、 この湿度センサーにより測定された相対湿度と前記第２
   温度センサーで測定された加湿吸気の温度とから加湿吸
   気の絶対湿度を算出し、その絶対湿度が同温度における
   絶対飽和水蒸気量未満であり、かつ絶対湿度が前記温度
   範囲における設定値以上であるか否かを判定することに
   よる湿度の監視を行う湿度監視部とを有することを特徴
   とする人工呼吸装置。
2. 【請求項２】 吸気を送り込む吸気チューブと、水加熱
   用ヒータで水を加熱することにより発生する水蒸気を前
   記吸気チューブ内に供給して吸気を加湿する加湿器と、
   前記加湿器出口の加湿吸気の温度を測定する第１温度セ
   ンサーと、前記加湿器出口から加湿吸気の流通方向に沿
   って吸気チューブ内に配設された吸気加熱用ヒータと、
   前記吸気加熱用ヒータで加熱された加湿吸気の温度を測
   定する第２温度センサーと、呼気を送り出す呼気チュー
   ブとを有する人口呼吸装置において、 前記吸気チューブ内に配設された湿度センサーと、 この湿度センサーにより測定された相対湿度と前記第２
   温度センサーで測定された加湿吸気の温度とから加湿吸
   気の絶対湿度を算出し、その絶対湿度が同温度における
   絶対飽和水蒸気量未満であり、かつ絶対湿度が前記温度
   範囲内における設定値以上であるか否かを判定すること
   による湿度の監視を行う湿度監視部と、 前記湿度監視部による判定結果に基づいて前記水加熱用
   ヒータ及び／又は前記吸気加熱用ヒータとによる加熱を
   制御する湿度制御部とを有することを特徴とする人工呼
   吸装置。
3. 【請求項３】 水を貯留する水貯留部と、水貯留部内の
   水を加熱する水加熱用ヒータと、水貯留部内にガスを案
   内するガス導入部、水貯留部内に案内されたガスに水蒸
   気が供給されることにより加湿された加湿ガスを送出す
   る加湿ガス送出チューブと、この加湿ガス送出チューブ
   における水貯留部近傍に配設され、加湿ガスの温度を測
   定する第１温度センサーと、前記加湿ガス送出チューブ
   内に水貯留部近傍から先端部側に向けて配設され、加湿
   ガスを加温する加湿ガス加熱ヒータと、前記加湿ガス送
   出チューブ内に配設され、前記加湿ガス加熱ヒータによ
   り加温された加湿ガスの温度を測定する第２温度センサ
   ーとを有する加温加湿装置において、 前記加湿ガス吸気送出チューブ内に配設された湿度セン
   サーと、 この湿度センサーにより測定された相対湿度と前記第２
   温度センサーにより測定された加湿ガスの温度とから加
   湿ガスの絶対湿度を算出し、その絶対湿度が同温度にお
   ける絶対飽和水蒸気量未満であり、かつ絶対湿度が前記
   温度範囲内における設定値以上であるか否かを判定する
   ことによる湿度の監視を行う湿度監視部とを有すること
   を特徴とする改良された加温加湿装置。
4. 【請求項４】 清浄水を貯留する水貯留部と、水貯留部
   内の清浄水を加熱する水加熱用ヒータと、水貯留部内に
   ガスを案内するガス導入部、水貯留部内に案内されたガ
   スに水蒸気が供給されることにより加湿された加湿ガス
   を排出する加湿ガス送出チューブと、この加湿ガス送出
   チューブにおける水貯留部近傍に配設され、加湿ガスの
   温度を測定する第１温度センサーと、前記加湿ガス送出
   チューブ内に水貯留部近傍から先端部側に向けて配設さ
   れ、加湿ガスを加温する加湿ガス加熱ヒータと、前記加
   湿ガス送出チューブ内に配設され、前記加湿ガス加熱ヒ
   ータにより加温された加湿ガスの温度を測定する第２温
   度センサーとを有する加温加湿装置において、 前記加湿ガス送出チューブ内に配設された湿度センサー
   と、 この湿度センサーにより測定された相対湿度と前記第２
   温度センサーにより測定された加湿ガスの温度とから加
   湿ガスの絶対湿度を算出し、その絶対湿度が同温度にお
   ける絶対飽和水蒸気量未満であり、かつ絶対湿度が前記
   温度範囲内における設定値以上であるか否かを判定する
   ことによる湿度の監視を行う湿度監視部と、 前記湿度監視部による判定結果に基づいて前記水加熱用
   ヒータ及び／又は前記吸気加熱用ヒータとによる加熱を
   制御する湿度制御部とを有することを特徴とする改良さ
   れた加温加湿装置。