JPH09224649A - リグニン分解菌およびそれを用いたパルプの漂白方法 - Google Patents

リグニン分解菌およびそれを用いたパルプの漂白方法

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JPH09224649A
JPH09224649A JP3932496A JP3932496A JPH09224649A JP H09224649 A JPH09224649 A JP H09224649A JP 3932496 A JP3932496 A JP 3932496A JP 3932496 A JP3932496 A JP 3932496A JP H09224649 A JPH09224649 A JP H09224649A
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JP
Japan
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pulp
lignin
bleaching
activity
strain
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JP3932496A
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English (en)
Inventor
Keiko Fujita
啓子 藤田
Reiji Kaneko
令治 金子
Takeshi Iimori
武志 飯森
Makoto Machida
誠 町田
Kunimutsu Murakami
邦睦 村上
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Nippon Paper Industries Co Ltd
Jujo Paper Co Ltd
Original Assignee
Nippon Paper Industries Co Ltd
Jujo Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塩素系薬品を使用しない、リグニン分解およ
びパルプ漂白方法を得る。 【解決手段】 新たに自然界より単離したリグニン分解
活性及びパルプ漂白性能の極めて優れた新規微生物NP
―1147株を得、同菌株を用いたパルプの漂白方法を
提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規微生物に関する
ものであり、さらに詳細にはリグニン分解能およびパル
プ漂白性能に優れた新規微生物に関するものである。併
せて、新規微生物を用いたパルプの漂白方法に関するも
のである。従って、本発明はパルプの漂白をはじめとす
る紙パルプ工業などのリグニンを分解および/または低
分子化させる全ての技術分野において広く利用されるも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来より、リグニンを微生物により分解
し、紙パルプ工業などに利用しようとする試みは多くの
人々によってなされてきている。そして、これらの目的
にはリグニンを選択的に分解する菌である白色腐朽菌と
呼ばれる一連の担子菌類が用いられている。これらの中
で、特にカワラタケ(Coriolus versicolor )やファネ
ロケーテ・クリソスポリウム(Phanerochaete chrysosp
orium )等が代表的な菌として注目され、研究開発に用
いられてきた。しかしながら、上記菌株は強力なリグニ
ン分解活性は有しておらず、これらの菌によりリグニン
を分解するには数週間を要するため、実用化の点で障害
となっていた。また、パルプの漂白は、パルプ中の残留
リグニンを除くことで達成され、現在、塩素や二酸化塩
素などの塩素系薬品が工業的に漂白の目的で使用されて
いる。しかしながら、近年、これらの薬品の使用は、有
害物質であるダイオキシンの生成原因となることが明ら
かになり、その使用量の低減が急務とされている。そこ
で、これに対する方策として、この塩素系薬品を用いる
方法とは異なる方法がいくつか考案され、微生物あるい
はその酵素によりパルプの漂白を行う、いわゆるバイオ
ブリーチングも有力な方法の一つとされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このバ
イオブリーチングにおいても、上記の様な従来知られて
いるリグニン分解菌の使用では、そのリグニン分解活性
が弱いため、パルプの白色度向上には効果が小さいと同
時に、リグニン分解の選択性が低いため、セルロースや
ヘミセルロースといった多糖類の分解を引き起こし、そ
の結果、パルプ粘度の低下というパルプの品質低下およ
びパルプ収率の低下も引き起こしていた。この様な欠点
から、従来の菌は工業的に使用できるものではなく、よ
りリグニン分解活性が強く、白色度を大きく向上させる
ような菌、およびそれを用いた効率的なパルプの漂白方
法が強く求められていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで本発明らは、上記
した技術の現状に鑑み、新たに自然界よりリグニン分解
活性およびパルプ漂白性能の極めて優れた新規微生物N
P―1147株を単離し、更に同菌株を用いたパルプの
漂白方法を見出し、本発明に至ったものである。
【0005】課題を解決するに当たって、先ず本発明者
らは、既存の微生物について各種のスクリーニングを行
ったが目的とする微生物を得るには至らなかった。そこ
でこの課題解決のために必要な、特にパルプ漂白性に優
れ、工業的利用に耐えうる微生物を得るためには、新規
な微生物を新たに自然界より分雛、スクリーニングする
以外に途はないという考えに至った。この観点から、本
発明者らは、リグニンを分解しかつパルプを漂白性能の
高い微生物を新規に自然界から分雛スクリーニングする
方法について検討を行い、新規な菌の分雛方法及びスク
リーニング方法を開発した(特願平5-85731 号)。続い
て、森林などから腐朽材や子実体等の分離源となるサン
プルを収集し、上記の新分離法とスクリ一ニング法を用
いてリグニン分解活性が強く漂白活性の高い菌の探索を
行った。即ち、膨大な分離源と新検定法との組み合わせ
により強力なリグニン分解菌・パルプ漂白菌の検定分離
を行った。この様にして新たに分離された微生物は、次
のような菌学的性質を持つものである。
【0006】
【0007】(2)生理・生態学的性質 生育のpH範囲(ポテト煎汁・デキストロース培地、
30℃、3日間培養) pH3〜7付近で生育し、pH2以下および8以上では
生育しない。最適pHは5付近である。 生育の温度範囲(ポテト煎汁・デキストロース寒天培
地、pH5.6、3日間培養) 20〜30℃付近で生育し、40℃以上で生育しない。 フェノールオキシダーゼ反応(30℃、3日間培養) 陽性である。 菌叢の特徴(ポテト煎汁・デキストロース寒天培地、
30℃、pH5.6、4日間培養) 白色でフェルト状である。
【0008】これらの生理的、生態的性質および各培地
における生育状況といった菌学的性質を詳細に検討した
が、既知の菌と同定するには至らなかった。しかし、こ
の菌は後記する実施例から明らかなように、代表的リグ
ニン分解菌として従来より知られているカワラタケ属菌
やファネロケーテ属菌よりも、リグニン分解活性および
漂白活性に優れている。この様に両活性が優れた菌は、
従来からの既知微生物としては存在しないことから、本
菌株を新菌株と認定してNP―1147株と命名すると
ともに、工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託した
(受託番号:FERM P−15306)。本菌株の分
類学上の正確な位置については、なお不明な点が幾つか
あるため現時点においては正確な同定が困難であり、今
後の研究を待たなければならない。
【0009】
【発明の実施の形態】本菌を各種の木材利用工業に応用
する場合には、従来法と同様に処理すれば良く、そこに
は格別の配慮は何も必要とされず、この点も本発明の優
れた特微の一つである。本菌を、例えばパルプの漂白あ
るいは廃液の脱色に用いる場合、パルプあるいはパルプ
廃液に本菌を接種して所定時間培養すれば良い。またそ
の際の対象となるパルプあるいは廃液については、リグ
ニンを含有していること以外格別の制限はない。
【0010】
【実施例】以下実施例によって本発明の実施の形態につ
いて述べるが、本発明はこれに限定されるものではな
い。
【0011】[実施例1]NP―1147株をポテト煎
汁0.4%、グルコース2%を含んだポテトデキストロ
ース・ブロース液体培地(DIFCO社製)にて1週間
静置培養する。次に生成した菌体マットをワーリングブ
レンダーで粉砕した後、120℃で15分間加熱殺菌し
た酸素漂白パルプ(日本製紙製;OKP)に最終的にパ
ルプ濃度20%になるように菌体懸濁液を加え30およ
び37℃で7日間静置した。その後、500mlの水を
加えミキサーで解繊し、手抄シートを作製した。シート
の白色度をハンター白色度計を用いて測定した(JIS P
8123)。同時にカッパー価(JIS P 8211-1976 )を測定
した。また、対照として、代表的なリグニン分解菌であ
るカワラタケ(Coriolus versicolor) とファネロケーテ
・クリソスポリウム(Phanerochaete chrysosporium)
についても同様の操作を行った。その結果を表1に示し
た。
【0012】
【表1】
【0013】表1の結果から明らかなように、本発明に
係る新規微生物はその漂白活性が従来の菌よりも格段に
優れており、白色度の大幅な向上とカッパー価の減少を
実現できることかわかった。
【0014】[実施例2]実施例1において用いた3菌
株をそれぞれポテト煎汁デキストロース寒天培地(日水
社製)で培養した。培養後、滅菌したコルクボーラーを
用いて、それぞれの菌株の増殖菌体を含む寒天部からデ
ィスクを1個ずつ打抜いた。続いて、高圧滅菌したユー
カリ・グロブラス(Eucalyptus globulus )の木粉1.
0gに水4.0mlを加えた培地にそれぞれのディスク
を置き植菌した。カワラタケは30℃で、他の2菌株は
37℃で2週間培養した。培養後、木粉中のクラーソン
リグニン(JIS P8008-1981)および酸可溶性リグニン
(中野準三編集:リグニンの化学(ユニ出版)p53 )を
定量した。結果を表2に示す。
【0015】
【表2】
【0016】表2の結果から明らかなように、本発明に
係る新規微生物はそのリグニン分解活性が従来の菌より
も格段に優れている。
【0017】[実施例3]ユーカリKPを塩素処理後ア
ルカリ抽出した液を、塩酸でpH4.5に調整した。続
いて、この液10mlに、実施例1において用いた3菌
株のワーリングブレンダー粉砕処理後のホモジナイズ液
を接種した後、30℃で1〜4日間菌処理を行った。菌
処理後、0.45μmメンブランフィルターでろ過して
菌体を除去後、ろ液のpHを7.4に調整した。このよ
うにしてそれぞれの菌株から得られた液について、分光
光度計(日立製作所U−3000)を用いて可視(46
5nm)吸光度を測定し、次式により色度を求め、脱色
率を算出した。 色度=500×(465nmの吸光度)/0.132脱
色率=(AーB)/A ×100 〔%〕ここに、
A:菌処理前の色度、B:菌処理後の色度結果を表3に
示す。
【0018】
【表3】
【0019】表3に示されるようにNPー1147は、
パルプ中のリグニンのみならず、廃液中に溶出したリグ
ニン、およびその変成物に対しても、優れた漂白あるい
は脱色効果があることがわかる。
【0020】
【発明の効果】本発明は、リグニン分解活性およびパル
プの漂白性能に優れた新規微生物、およびそれを用いた
パルプの漂白方法を提供したものである。本発明の菌株
は優れたリグニン分解活性およびパルプ漂白性能を持つ
ため、製紙製造工程におけるパルプ漂白をはじめとする
リグニンを分解あるいは低分子化するような工業的用
途、例えばパルプ製造工程やパルプ排水処理工程などに
利用することが可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 町田 誠 山口県岩国市飯田町2−8−1 日本製紙 株式会社岩国技術研究所内 (72)発明者 村上 邦睦 山口県岩国市飯田町2−8−1 日本製紙 株式会社岩国技術研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リグニン分解活性およびパルプ漂白性能
    に優れ、かつ高温で活性を有する新規微生物NP―11
    47株。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のNP―1147株を用い
    たパルプの漂白方法。
JP3932496A 1996-02-27 1996-02-27 リグニン分解菌およびそれを用いたパルプの漂白方法 Pending JPH09224649A (ja)

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