JPH09222403A - 物性値測定装置 - Google Patents

物性値測定装置

Info

Publication number
JPH09222403A
JPH09222403A JP8028947A JP2894796A JPH09222403A JP H09222403 A JPH09222403 A JP H09222403A JP 8028947 A JP8028947 A JP 8028947A JP 2894796 A JP2894796 A JP 2894796A JP H09222403 A JPH09222403 A JP H09222403A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sample
temperature
voltage
current
physical property
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8028947A
Other languages
English (en)
Inventor
Osamu Shiono
修 塩野
Mitsuo Hayashibara
光男 林原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP8028947A priority Critical patent/JPH09222403A/ja
Publication of JPH09222403A publication Critical patent/JPH09222403A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Indication And Recording Devices For Special Purposes And Tariff Metering Devices (AREA)
  • Investigating Or Analyzing Materials Using Thermal Means (AREA)
  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Electric Means (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】熱的及び電気的に影響を受け易い材料の物性値
を正確に測定できる物性値測定装置を提供する。 【解決手段】試料を加熱するヒータ5,6,試料温度を
検出する複数の熱電対1,2,試料の電圧を測定するた
め電極を備えた端子部7,これらを制御する制御器また
は温度,電圧の測定データの収集器を含む制御収集部5
0からなる物性値測定装置で、制御収集部50に試料と
熱電対の間または試料と端子部の間に介在する物質があ
る場合、物質の近くで生じる温度降下量を物質の表面積
または体積と熱電対で観測される温度から導出し、試料
温度を補正する方法をROM化またはプログラム化した
補正部30を設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱的及び電気的に影
響を受け易い材料の物性値を正確に測定するためのもの
で、特に、半導体材料の物性値測定装置及びその測定値
の補正方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、半導体材料の中で特に熱的及
び電気的影響を受け易い熱電材料の物性値を測定する装
置として、例えば、特開平5−52783号公報に記載の熱電
特性測定装置がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記記載の熱電特性測
定装置は、同一装置で、試料の温度条件,測定系の雰囲
気,圧力を変化させ、熱起電力,熱伝導率,電気抵抗を
測定するものである。しかし、試料と熱電対間や試料と
端子部間の接触抵抗,熱電対や端子部を伝って逃げる放
熱量等によって生じる温度降下の影響を考慮した補正を
行っていないので、熱電対で観測される温度と試料温度
が異なる可能性がある。膜状試料の場合、試料に探針を
立てる手法や信号線を溶接する手法もあるが、形成した
膜を傷つける恐れがあるので、導電性接着剤や機械締め
により固定することが多い。この場合、試料と熱電対ま
たは信号線の間に介在する物質からの放熱や熱伝導度の
違いにより、温度降下が生じるため、試料温度と観測温
度は異なることが多い。特に熱電材料の場合、発生する
熱起電力の度合いを表すゼーベック係数の値が大きいた
め、観測温度と試料温度の差がそのまま誤差になり得
る。実際に、実験によりこの差は温度条件,真空度等に
よって0.1〜5℃ 程度変化した。また、電気抵抗率の
測定で誤差となり得るジュール発熱,ペルチェ吸発熱に
関する補正に付いても明記されていない。
【0004】一般に、ジュール発熱による影響は試料の
温度を一定にし、試料に流す電流の向きを反転させ、観
測電圧の平均をとると打ち消すことができる。しかし、
試料に温度分布が存在すると電流の向きを反転させて
も、刻々と変化する測定値の絶対値に違いが生じるた
め、上記手法のように単に電流の向きを反転させるだけ
では打ち消すことは難しい。また、ペルチェ吸発熱によ
る影響は試料に電流を流せば必ず起こる現象で、ジュー
ル発熱のように試料に流す電流の向きを反転させても打
ち消すことはできない。上村欣一,西田勲夫著の「熱電
半導体とその応用」(日刊工業新聞社1989年発行)
によると、バルク状試料の場合、試料に電流を流して
も、ペルチェ効果の影響が生じるまで若干のずれがあ
り、この時間内に測定すれば影響は少ないとしている。
しかし、流す電流の大きさ,材料の種類や形状によって
は立ち上がり時間が短く、上記ずれを観測できない場合
もある。さらに電流磁気効果による影響もペルチェ効果
と同様に電流や磁場の向きを反転させても打ち消すこと
はできない。
【0005】通常、材料の物性値を導出するには、試料
に生じる温度と電圧を精度良く測定する必要がある。ゼ
ーベック係数,電気抵抗率,ホール効果等を測定する装
置としては市販品もあるが、試料ホルダーに取り付けら
れた熱電対からの信号を試料温度として扱っている例が
多い。しかし、試料と試料ホルダーとの接触によって
は、その間に大きな温度差が生じる。特に変形しにくい
試料を真空中で加熱した場合には、大きな温度差が生じ
易い。これらの要因を考慮し、ゼーベック係数,電気抵
抗率等の物性値を導出している例は見当たらない。
【0006】本発明の目的は、熱的及び電気的に影響を
受け易い材料の物性値を正確に測定できる物性値測定装
置及びその測定値の補正方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する第1
の手段は、物性値測定装置の制御収集部に試料と熱電対
の間または試料と端子部の間に介在する物質がある場
合、物質の近くで生じる温度降下量を物質の表面積また
は体積と熱電対で観測される温度から導出し、試料温度
を補正するかその方法をROM化またはプログラム化し
た補正部を設けることである。
【0008】上記目的を達成する第2の手段は、上記第
1の手段を基に、ゼーベック係数を導出するかその方法
をROM化またはプログラム化したものを設けることで
ある。
【0009】上記目的を達成する第3の手段は、物性値
測定装置の制御収集部に上記第1の手段に加え、試料に
流す電流の方向を交互に反転させ、正または負方向に流
したときの同一方向の少なくとも1回目と2回目の測定
値と負または正方向に流したときの少なくとも1回目の
測定値の情報からジュール発熱の影響を補正するかその
方法をROM化またはプログラム化した補正部を設ける
ことである。
【0010】上記目的を達成する第4の手段は、物性値
測定装置の制御収集部に上記第1の手段に加え、試料に
電流を印加したときに形成される温度勾配を線形近似
し、このとき生じる温度差と試料のゼーベック係数の情
報からペルチェ吸発熱による起電力の影響を補正するか
その方法をROM化またはプログラム化した補正部を設
けることである。
【0011】上記目的を達成する第5の手段は、上記第
3または第4の手段を基に、電気抵抗率または導電率を
導出するかその方法をROM化またはプログラム化した
ものを設けることである。
【0012】上記目的を達成する第6の手段は、物性値
測定装置の制御収集部に上記第3または第4の手段に加
え、試料に流す電流の方向と印加する磁場の方向を交互
に反転させ、ホール移動度を変数とし、マクスウェルー
ボルツマン近似またはフェルミーディラック近似により
表した各電流磁気効果によって生じる電圧の和と観測電
圧の情報から電流磁気効果による起電力の影響を補正す
るかその方法をROM化またはプログラム化した補正部
を設けることである。
【0013】上記目的を達成する第7の手段は、上記第
6の手段を基に、キャリア濃度または移動度またはホー
ル係数を導出するかその方法をROM化またはプログラ
ム化したものを設けることである。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に本発明の一実施例を示す。
図1及び図2は本発明の第1実施例である。試料70の
下面に設けた二つのヒータ5,6は制御器11,12を
介して補正部30に接続される。ヒータを二つ設けるの
は容易に任意の温度差に制御するためである。また、ヒ
ータはセラミックスヒータや赤外線加熱ヒータ等様々な
ものがあるが、電力印加時に磁場を発生しない無誘導タ
イプのヒータが好ましい。試料の上面に設けた二つの熱
電対1,2は制御器10を介して補正部30に接続され
る。本発明の手法では、温度と電圧の観測点を一致させ
るために、熱電対を構成する同種の一方同士の金属線を
用いて熱起電力も測定する。ただし、これは限定するわ
けではなく、電圧測定用の端子部7を用いて温度と電圧
の測定点を分けても良い。この場合、温度測定点と電圧
測定点は極力近い方が良い。また、好ましくは試料70
から制御器10まで中継点を設けずに配線する方が良
い。補正部30は収集器40につながっている。図1で
は制御器10,11,12,補正部30,収集器40を
まとめて、制御収集部50としている。なお、監視用と
して制御収集部50の中に温度または電圧の検出器を組
み込んでも良い。制御器10は、温度検出と電圧検出を
随時切り換えるスイッチシステムやデータロガーが、制
御器11,12はヒータに印加する電力を調整するサイ
リスタと温度調節器の組み合わせが挙げられる。温度調
節器に接続する熱電対は熱電対1,2を用いても良い
し、別にもう一系統設けても良い。温度調節器がノイズ
発生源となり得る場合には、後者の方が好ましい。収集
器40は、データレコーダやコンピュータ等が挙げられ
る。なお、収集器40に制御器10,11,12や補正
部30を制御する機能を設けても良いし、補正部30に
制御器10,11,12を制御する機能を設けても良
い。図1は制御収集部50中に制御器,収集器とは別に
補正部30を設けた例であるが、図2のように収集器4
1の一部として補正部31を組み込んでも良い。また、
制御器10に補正部31を組み込んでも良い。上記に示
した例は以下に示す実施例についても同様である。
【0015】次に試料温度を導出する補正部に付いて説
明する。図3は試料と熱電対の接続に導電性接着剤を用
いたときの測定系の概略図であり、(a)は全体を
(b)は試料周辺を示したものである。この例では、温
度測定にはK型(アルメル−クロメル)熱電対を、電圧
測定にはクロメル金属線を用いている。今、図のように
試料に温度差を付けたとき、観測される熱起電力V
α(T)は(b)図の(イ)〜(ホ)の材料で生じる熱
起電力の和で次式のように表される。
【0016】
【数1】 Vα(T)=−αC(TH′−T0)−αP(TH−TH′)+α(TH−TL) +αP(TL−TL′)+αC(TL′−T0) =(α−αP)(TH−TL)+(αP−αC)(TH′−TL′) …(数1) ここで、Vα(T)は観測される熱起電力、αは試料のゼ
ーベック係数、αP は導電性接着剤のゼーベック係数、
αC はクロメル素線のゼーベック係数、TH は高温側試
料温度、TL は低温側試料温度、TH′は高温側接着剤
温度、TL′は低温側接着剤温度、T0 は基準接点の温
度である。
【0017】なお、バルク状試料の場合、試料とクロメ
ル素線の接続にスポット溶接を使用でき、接合部にはほ
とんど接触熱抵抗が生じないので、次式のように表され
る。
【0018】
【数2】 Vα(T)=(α−αC)(TH−TL) …(数2) 数2の成り立つ状態から導電性接着剤を用いて、量を少
しずつ変え、試料とクロメル素線の接続に導電性接着剤
を使用した数1の成り立つ状態にすると、THとTH′ま
たはTL とTL′には以下の関係があることを見出し
た。
【0019】
【数3】 TH=f(TH′,S) …(数3)
【0020】
【数4】 TL=f(TL′,S) …(数4) ここで、Sは導電性接着剤の表面積または体積である。
数3,数4の関係をデータベース化したROMやプログ
ラムを補正部に組み込む。以上の方法により、正確に試
料温度を得ることができる。
【0021】次に本発明の第2実施例を示す。なお、測
定装置の構成は第1実施例に示した図1や図2と同様で
あり、以下に示すアルゴリズムをROMやプログラム化
し、補正部に組み込む。図4はゼーベック係数を導出す
る補正アルゴリズムである。このアルゴリズムはデータ
計測部とデータ処理部から成り立つ。データ計測部では
二つのヒータで試料に約10℃程度の温度差を付け、導
電性接着剤の高温側温度TH′,低温側温度TL′、その
とき生じる熱起電力Vα(T)を測定する。次にデータ処
理部では前述した数3,数4の関係をデータベース化し
たものから試料温度を導出する。試料のゼーベック係数
α(T)は数1より左辺をα(T)で変形した式を用いて導
出する。この処理をサンプリングした数だけ繰り返す。
以上の方法により、ゼーベック係数の値を精度良く得る
ことができる。
【0022】図5は本発明の第3実施例である。これは
第1実施例の図1に電流源60を加えた構成になってい
る。試料70の下面に設けた二つのヒータ5,6は制御
器11,12を介して補正部30に接続される。なお、
ヒータは試料の下面中央に一つ設置したものでも良い。
試料の上面に設けた二つの熱電対1,2は制御器13を
介して補正部30に接続される。また、試料の上面に設
けた電圧測定用の端子部8も制御器13につながる。た
だし、電圧測定用の端子部8は図6のように熱電対を構
成する同種の一方同士の金属線を用いて電圧も測定する
構成でも良い。この場合、温度と電圧の観測点を一致さ
せることができる。補正部30は収集器40につながっ
ている。図6では制御器11,12,13,補正部3
0,収集器40をまとめて、制御収集部53としてい
る。
【0023】次にジュール発熱の影響を補正する補正部
について説明する。図7はジュール発熱の影響を補正す
るアルゴリズムである。外部から温度制御を行い図7中
のグラフのように試料に温度勾配が形成されたとする。
このときt1,t3,t5時に正方向の電流を印加し、
電圧を測定する。また、t2,t4時には負方向の電流
を印加し、電圧を測定する。温度勾配が線形であれば、
正方向の電流を印加したときの測定電圧の1回目と2回
目であるt1で測定した電圧とt3で測定した電圧の平
均値は、t2時に正方向に電流を印加したときに測定し
た値と同等となる。この値とt2時に負方向の電流を印
加したときに測定した値の平均値をとれば、従来行われ
ている手法と同様にジュール発熱の影響を打ち消すこと
ができる。ここで用いた温度勾配の線形近似は、計測時
間が短ければ、十分成り立つ仮定である。なお、本発明
の手法は試料温度が均一の時にも使用できる。また、測
定中温度変動を伴う場合でも、平均化処理を行うための
サンプリング数を多くしたり、試料均一時のデータを併
用して上記処理を行えばジュール発熱の影響を補正でき
る。この処理をROMやプログラムにし、補正部に組み
込む。
【0024】次に、第4実施例を示す。なお、測定装置
の構成は第3実施例の図5や図6と同様であるので、ペ
ルチェ吸発熱の影響を補正する補正部についてのみ説明
する。図8にペルチェ吸発熱の影響を補正するアルゴリ
ズムを示す。一般に、半導体材料に電流を流すと両電極
と試料の接合部にペルチェ効果による吸発熱が生じ電流
の方向に温度勾配ができる。この結果として生じた熱起
電力が加算され、図8中のグラフに示した電圧が観測さ
れる。前述したように、流す電流の大きさ,材料の種類
や形状によっては立ち上がり時間が短く、A部を観測で
きない可能性がある。グラフから明らかなようにある時
間以上でペルチェ効果による熱起電力は飽和する。そこ
でB部で端子間電圧を測定し、このとき試料に生じる温
度勾配を線形と仮定して求めた温度差と、試料のゼーベ
ック係数を用いてペルチェ効果の影響を補正する。つま
り、ペルチェ吸発熱によって生じる熱起電力は求めた温
度差と試料のゼーベック係数の積であるので、この値を
観測電圧から引くと、試料の降下電圧VR を得ることが
できる。この例は試料温度均一の状態で試料に電流を流
したときのものである。外部から温度制御を行い既に試
料に温度勾配が形成されているときは、温度勾配によっ
て生じる熱起電力を先に求めて観測電圧から引いた後、
上記補正を行う。この処理をROMやプログラムにし、
補正部に組み込む。
【0025】次に本発明の第5実施例を示す。なお、測
定装置の構成は第3実施例に示した図5や図6と同様で
あり、以下に示すアルゴリズムをROMやプログラム化
し、補正部に組み込む。図9は導電率を導出する補正ア
ルゴリズムである。データ計測部では二つのヒータで導
電性接着剤に付く温度差がほぼ0℃になるよう制御し、
図中の温度プログラムの平坦部で、試料に流す電流Iを
交互に反転し、その時の接着剤温度T′,観測される電
圧V(T)を測定する。平坦部で測定するのは、測定中温
度変化を伴わないので、ジュール発熱及びペルチェ吸発
熱の補正が簡略化されるためである。ただし、これは限
定するものではなく、平坦部を設けずに測定しても良
い。この場合、測定時間を短縮できる。データ処理部で
はまず、第1実施例と同様に試料温度の導出を行う。次
に、ジュール発熱の影響を打ち消すために、第3実施例
と同様に観測電圧V(T)を平均化する。さらに、ペルチ
ェ吸発熱を補正するために、第4実施例と同様に電流印
加時に形成される温度勾配を線形近似し、この時試料に
生じる温度差を求める。この温度差と試料のゼーベック
係数の積からペルチェ吸発熱による熱起電力を算出す
る。先に求めた観測電圧V(T)の平均値からこの熱起電
力を引いたものが導電率端子間で生じる電圧となる。こ
の電圧を用いて、試料の導電率σ(T)を算出する。この
処理をサンプリングした数だけ繰り返す。電気抵抗率は
導電率の逆数であるので、このアルゴリズムをそのまま
使用できる。以上の方法により、電気抵抗率または導電
率の値を精度良く得ることができる。
【0026】図10は本発明の第6実施例である。これ
は第3実施例の図5に磁石20を加えた構成になってい
る。試料70の下面に設けた二つのヒータ5,6は制御
器11,12を介して補正部30に接続される。なお、
ヒータは試料の下面中央に一つ設置したものでも良い。
試料の上面に設けた二つの熱電対1,2は制御器14を
介して補正部30に接続される。また、試料の上面に設
けた電圧測定用の端子部9も制御器14につながる。た
だし、前述同様、電圧測定用の端子部9は熱電対を構成
する同種の一方同士の金属線を用いて熱起電力も測定す
る構成でも良い。補正部30は収集器40につながって
いる。図10では制御器11,12,14,15,補正
部30,収集器40をまとめて、制御収集部54として
いる。
【0027】次に電流磁気効果の影響を補正する補正部
について説明する。ホール電圧測定では導電率測定で示
したジュール発熱及びペルチェ吸発熱の影響に、電流方
向に垂直な磁界を加えると生じる電流磁気効果の内、特
にエッチングハウゼン効果,ネルンスト効果,リーギ・
ルデュック効果等の影響が加わる。
【0028】観測される電圧Vtotal は次式で表され
る。
【0029】
【数5】 Vtotal=VH+VN+α△TE+α△TR …(数5) ここで、VH はホール電圧、VN はネルンスト電圧、△
E はエッチングハウゼン効果によって生じる温度差、
△TR はリーギ・ルデュック効果によって生じる温度
差、αはゼーベック係数である。
【0030】本発明の手法では、各電流磁気効果の定義
式がホール移動度の関数で与えられることを利用し、理
論計算により個々の効果によって生じる誘起電圧を算出
してホール電圧を導出する。なお、数5の各電流熱磁気
効果による項はマクスウェルーボルツマン近似やフェル
ミーディラック近似を用いて表す。この処理をROMや
プログラムにし、補正部に組み込む。
【0031】次に本発明の第7実施例を示す。なお、測
定装置の構成は第6実施例に示した図10と同様であ
り、以下に示すアルゴリズムをROMやプログラム化
し、補正部に組み込む。図11はホール係数,キャリア
濃度,ドリフト移動度を導出する補正アルゴリズムであ
る。データ計測部では二つのヒータで導電性接着剤に付
く温度差がほぼ0℃になるよう制御し、図中の温度プロ
グラムの平坦部で、試料に流す電流I,磁束密度Hを交
互に反転し、その時の接着剤温度T′,観測される電圧
total(T)を測定する。平坦部で測定するのは、前述
と同様に、ジュール発熱及びペルチェ吸発熱の補正を簡
略化するためであり、平坦部を設けない温度プログラム
を用いて測定しても良い。データ処理部では、試料と熱
電対を接続する接着剤の影響と試料に電流を流すことに
より生じる影響を除去するため、前述と同様に試料温
度,ジュール発熱及びペルチェ吸発熱の補正を行う。次
に、ホール電圧測定特有の電流熱磁気効果の影響の補正
を行う。なお、本手法の理論計算では、数式を簡略化す
るため、ホール効果を含めた電流熱磁気効果の影響はマ
クスウェルーボルツマン近似に則ることを前提としてい
る。計算手法は、各々の効果の影響がホール移動度の関
数で表されることを利用し、これを変数として数5に基
づき観測電圧と個々の電流熱磁気効果による誘起電圧の
合計が等しくなる条件を求めている。この手法を用いた
のは、変数が1種類であり、計算時間を短縮できるから
である。その後、決定したホール移動度と試料温度の関
係から散乱因子を求め、ホール因子を導出する。ホール
因子と観測電圧Vtotal から分離したホール電圧VH
り、試料のホール係数,キャリア濃度,ドリフト移動度
を算出する。また、直接ドリフト移動度を測定できる装
置より得た値とホール移動度を用いてホール因子を導出
し、ホール係数,キャリア濃度を算出しても良い。この
処理をサンプリングした数だけ繰り返す。以上の方法に
より、キャリア濃度,移動度,ホール係数を精度良く得
ることができる。
【0032】
【発明の効果】本発明の物性値測定装置と測定値の補正
方法によれば、試料温度を正確に導出し、ゼーベック係
数,導電率,キャリア濃度等の物性値の測定精度を向上
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す物性値測定装置のブ
ロック図。
【図2】本発明の第1実施例を示す物性値測定装置のブ
ロック図。
【図3】本発明の第1実施例を示す補正部の説明図。
【図4】本発明の第2実施例を示すゼーベック係数の導
出方法を示す補正アルゴリズムの説明図。
【図5】本発明の第3実施例を示す物性値測定装置のブ
ロック図。
【図6】本発明の第3実施例を示す物性値測定装置のブ
ロック図。
【図7】本発明の第3実施例を示す補正部のアルゴリズ
ムの説明図。
【図8】本発明の第4実施例を示す補正部のアルゴリズ
ムの説明図。
【図9】本発明の第5実施例を示す導電率の導出方法を
示す補正アルゴリズムの説明図。
【図10】本発明の第6実施例を示す物性値測定装置の
ブロック図。
【図11】本発明の第7実施例を示すホール係数,キャ
リア濃度,ドリフト移動度の導出方法を示す補正アルゴ
リズムの説明図。
【符号の説明】
1,2…熱電対、5,6…ヒータ、7,8,9…端子
部、10,11,12,13,14…制御器、20…磁
石、30,31…補正部、40,41…収集器、50,
51,52,53,54…制御収集部、60…電流源、
70…試料。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】試料を加熱するためのヒータ、前記試料の
    温度を検出するための複数の熱電対、前記試料の電圧を
    測定するための電極を備えた端子部、これらの機器を制
    御する制御器または温度,電圧の測定データを収集また
    は検出する収集器を各々少なくとも一つ含む制御収集部
    を構成要素とする物性値測定装置において、前記制御収
    集部に前記試料と前記熱電対の間または前記試料と前記
    端子部の間に介在する物質がある場合、前記物質の近く
    で生じる温度降下量を物質の表面積または体積と熱電対
    で観測される温度から導出し、試料温度を補正する方法
    をROM化またはプログラム化した補正部を設けたこと
    を特徴とする物性値測定装置。
  2. 【請求項2】請求項1において、ゼーベック係数を導出
    する方法をROM化またはプログラム化したものを備え
    た物性値測定装置。
  3. 【請求項3】試料を加熱するためのヒータ、前記試料の
    温度を検出するための複数の熱電対、前記試料に電流を
    流すための電流源、前記試料の電圧を測定するための電
    極を備えた端子部、これらの機器を制御する制御器また
    は温度,電圧,電流の測定データを収集または検出する
    収集器を各々少なくとも一つ含む制御収集部を構成要素
    とする物性値測定装置において、前記制御収集部に請求
    項1に記載の前記試料に流す電流の方向を交互に反転さ
    せ、正または負方向に流したときの同一方向の少なくと
    も1回目と2回目の測定値と負または正方向に流したと
    きの少なくとも1回目の測定値の情報からジュール発熱
    の影響を補正する方法をROM化またはプログラム化し
    た補正部を設けた物性値測定装置。
  4. 【請求項4】試料を加熱するためのヒータ、前記試料の
    温度を検出するための複数の熱電対、前記試料に電流を
    流すための電流源、前記試料の電圧を測定するための電
    極を備えた端子部、これらの機器を制御する制御器また
    は温度,電圧,電流の測定データを収集または検出する
    収集器を各々少なくとも一つ含む制御収集部を構成要素
    とする物性値測定装置において、前記制御収集部に請求
    項1に記載の前記試料に電流を印加したときに形成され
    る温度勾配を線形近似し、このとき生じる温度差と前記
    試料のゼーベック係数の情報からペルチェ吸発熱による
    起電力の影響を補正する方法をROM化またはプログラ
    ム化した補正部を設けた物性値測定装置。
  5. 【請求項5】請求項3または4において、電気抵抗率ま
    たは導電率を導出する方法をROM化またはプログラム
    化したものを備えた物性値測定装置。
  6. 【請求項6】試料を加熱するためのヒータ、前記試料温
    度を検出するための複数の熱電対、前記試料に電流を流
    すための電流源、前記試料の電圧を測定するための電極
    を備えた端子部、前記試料に磁場を印加するための磁
    石、これらの機器を制御する制御器または温度,電圧,
    電流,磁力の測定データを収集または検出する収集器を
    各々少なくとも一つ含む制御収集部を構成要素とする物
    性値測定装置において、前記制御収集部に請求項3また
    は4に記載の前記試料に流す電流の方向と印加する磁場
    の方向を交互に反転させ、ホール移動度を変数とし、マ
    クスウェルーボルツマン近似またはフェルミーディラッ
    ク近似により表した各電流磁気効果によって生じる電圧
    の和と観測電圧の情報から電流磁気効果による起電力の
    影響を補正する方法をROM化またはプログラム化した
    補正部を設けた物性値測定装置。
  7. 【請求項7】請求項6において、キャリア濃度または移
    動度またはホール係数を導出する方法をROM化または
    プログラム化したものを備えた物性値測定装置。
JP8028947A 1996-02-16 1996-02-16 物性値測定装置 Pending JPH09222403A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8028947A JPH09222403A (ja) 1996-02-16 1996-02-16 物性値測定装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8028947A JPH09222403A (ja) 1996-02-16 1996-02-16 物性値測定装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09222403A true JPH09222403A (ja) 1997-08-26

Family

ID=12262612

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8028947A Pending JPH09222403A (ja) 1996-02-16 1996-02-16 物性値測定装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09222403A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002075297A1 (fr) * 2001-03-16 2002-09-26 Japan Science And Technology Corporation Procede et dispositif destines a la mesure de caracteristiques thermoelectriques d'un objet combinatoire
KR20030046680A (ko) * 2001-12-06 2003-06-18 현대자동차주식회사 디스크 로터의 온도 측정 장치 및 방법
KR20110072325A (ko) * 2009-12-22 2011-06-29 한라공조주식회사 차량 공조용 전동 압축기 및 그 소비전력산출방법
JP2017040556A (ja) * 2015-08-20 2017-02-23 国立研究開発法人物質・材料研究機構 試料台、熱電特性評価装置、熱電特性を評価する方法、および、電極を評価する方法
JPWO2020031930A1 (ja) * 2018-08-07 2021-08-26 日本電気株式会社 物性評価装置
US12000790B2 (en) 2018-08-07 2024-06-04 Nec Corporation Physical property evaluation device

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002075297A1 (fr) * 2001-03-16 2002-09-26 Japan Science And Technology Corporation Procede et dispositif destines a la mesure de caracteristiques thermoelectriques d'un objet combinatoire
US6902317B2 (en) 2001-03-16 2005-06-07 Japan Science And Technology Corporation Method and device for measuring thermoelectric characteristics of combinatorial specimen
KR20030046680A (ko) * 2001-12-06 2003-06-18 현대자동차주식회사 디스크 로터의 온도 측정 장치 및 방법
KR20110072325A (ko) * 2009-12-22 2011-06-29 한라공조주식회사 차량 공조용 전동 압축기 및 그 소비전력산출방법
JP2017040556A (ja) * 2015-08-20 2017-02-23 国立研究開発法人物質・材料研究機構 試料台、熱電特性評価装置、熱電特性を評価する方法、および、電極を評価する方法
JPWO2020031930A1 (ja) * 2018-08-07 2021-08-26 日本電気株式会社 物性評価装置
US12000790B2 (en) 2018-08-07 2024-06-04 Nec Corporation Physical property evaluation device

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Wilson et al. Thermal conductivity measurements of high and low thermal conductivity films using a scanning hot probe method in the 3 ω mode and novel calibration strategies
US7294899B2 (en) Nanowire Filament
JP2017166826A (ja) ガスセンサ
US10088439B2 (en) Thermophysical property measurement method and thermophysical property measurement apparatus
JPH09222403A (ja) 物性値測定装置
JP4474550B2 (ja) 熱電素子の特性評価方法
US20190086346A1 (en) Thermophysical property measurement method and thermophysical property measurement apparatus
JP7232513B2 (ja) ゼーベック係数測定装置及びその測定方法
US4306453A (en) Apparatuses for measuring the flow rate of a flowing medium
KR101662713B1 (ko) 열전박막의 수직방향 열전특성 측정센서유닛
US6437331B1 (en) Bolometer type infrared sensor with material having hysterisis
US6593760B2 (en) Apparatus for measuring thermal properties and making thermomechanical modification on sample surface with peltier tip
WO1996018871A1 (fr) Systeme de sonde de temperature utilisant un film mince de semi-conducteur microcristallin
Fujiki et al. Development on measurement method for Thomson coefficient of thin film
US3111844A (en) Heat rate measuring apparatus
JPH0552666A (ja) 平面測温センサー
JP3300110B2 (ja) ガス検出器
US8821013B2 (en) Thermocouples with two tabs spaced apart along a transverse axis and methods
JP7456404B2 (ja) 熱式センサ、及び熱式センサを用いた計測方法
JPH10318953A (ja) 交流加熱による熱拡散率の測定方法およびこれに用いる測定サンプルの構造
JPH0666643A (ja) 温度検出器付き基板
JPH0755739A (ja) 熱電特性測定方法及び装置
US7726204B2 (en) Heat signal writing device
JP7016141B2 (ja) 熱物性測定装置及び熱物性測定方法
JP2780876B2 (ja) 微結晶化半導体薄膜を用いる温度センサシステム