JPH09222319A - 複合形状ワークの検査方法、及び検査装置 - Google Patents

複合形状ワークの検査方法、及び検査装置

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JPH09222319A
JPH09222319A JP8030877A JP3087796A JPH09222319A JP H09222319 A JPH09222319 A JP H09222319A JP 8030877 A JP8030877 A JP 8030877A JP 3087796 A JP3087796 A JP 3087796A JP H09222319 A JPH09222319 A JP H09222319A
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JP
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composite
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JP8030877A
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English (en)
Inventor
Hideaki Okamoto
英明 岡本
Takeshi Kishinami
健史 岸浪
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Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 複合位置度公差方式によって公差指定さ
れた複合形状ワークに対して、公差規格に忠実なワーク
の合否判定を行う方法を得ること。 【解決手段】 複合形状ワークの個々の形状要素の形状
測定データから、前記ワークが、ワークに指定された複
合位置度公差方式による公差規格を満足するか否かを判
定する方法において、前記ワークが係合する相手ワーク
の形状を、複数の要素モデルを組み合わせて構成した複
合モデルであって、データム指定された要素に対応する
データム要素モデルの寸法を実効寸法とした複合モデル
を、前記複合モデルの要素モデル間の相対位置を保持し
つつ、前記データム要素がデータム要素測定データの範
囲内で浮動させる、と同時に前記複合モデルのデータム
要素以外の各要素モデルが、夫々に対応する形状要素の
形状測定データの範囲内で各要素モデルの寸法の最小値
を最大化させて得た寸法を、対応する形状要素の実効寸
法と比較する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、形状測定データを基
に、ワークが指定された幾何公差に対して合格か不合格
か判定する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ワークの互換性を保証するため、
最大実体公差や位置度公差等の幾何公差が図面上で指示
されることが多くなっている。しかし、ダイアルゲージ
やマイクロメータなどの既存の測定手段により、これら
の幾何公差を簡単に検証することは容易でない。組み付
ける相手ワークの最悪な状態をシミュレートした機能ゲ
ージを製作し、該相手ワークに直接挿入し、検査するの
が一般的に用いられる方法である。機能ゲージによる検
査は簡単かつ確実であり、多量生産の場合には大きな威
力を発揮する。しかし、機能ゲージには次に示すような
欠点があり、その適用が困難な場合も多く、前記幾何公
差方式を普及させる上で大きな妨げとなっていた。 (1)ゲージのコストが高い。 (2)複雑な場合にはゲージ製作が困難である。 (3)ゲージの精度維持が大変である。 (4)機能ゲージは一種の通りゲージなので、寸法は別
個に限界ゲージなどにより検査する必要がある。
【0003】一方、検査や測定現場においては、三次元
座標測定機に代表される座標測定機の普及が著しい。そ
の理由は、座標測定機を用いればノギス、マイクロメー
タ、ダイアルゲージなどの従来の測定機に比べ、簡単に
高い精度で、複雑かつ多種多様なワークの寸法や形状を
測定でき、さらにはフレキシブルな自動化をも実現可能
だからである。
【0004】一般に、座標測定機ではタッチトリガによ
る接触式のセンサ、若しくは光などを媒体とした非接触
式のセンサによって、ワークの表面形状がサンプリング
され、その点の空間的な座標データが形状データとして
電子計算機に入力される。電子計算機においては、該形
状データを直線、円、円筒、球などの形状を表す方程式
に代入し、例えば最小自乗法などの数学的手法を用い
て、該形状の形状パラメータ(例えば、位置、姿勢、寸
法など)を算出する。検査者は、これらの算出結果を図
面などに記載された寸法、公差と比較することで、該ワ
ークが正しく製作されているかどうかを判定する。昨今
の電子計算機の高速化、高機能化、低価格化とあいまっ
て、今後ますます座標測定機による測定が主流となって
いくのは間違いないと思われる。
【0005】以上のような背景において、座標測定機に
よる測定データと電子計算機を用いて、機能ゲージをシ
ミュレートした検査を行い、ワークの合否判定を行う必
要が生じてきた。それにより、前記機能ゲージの欠点も
同時に解消される。しかし、機械部品においてよく用い
られる、穴パターンなどの複合形状に対して位置度公差
や最大実体公差方式などが指定された場合(以下、複合
位置度公差方式と言う)については、条件が複雑になる
ため、機能ゲージをシミュレートした検査技術が充分に
確立されていなかった。そのため、ISO、JISなどの公差
規格に忠実にこれら公差を検証することはほとんど不可
能であった。本発明者は、このような状況に鑑みて、複
合形状の形状パラメータを測定データから直接算出する
方法、および装置を開発し出願した(特開平6−282
633)。この発明は次の2つの発明からなる。
【0006】前記発明の第1は、「ワークの複合形状を
構成する個々の形状要素の実測された形状測定データか
ら前記複合形状の形状パラメータを測定する方法におい
て、理論的な複合形状をとしての複合モデルを、該複合
モデルを構成する理論的な形状要素としての要素モデル
間の相対位置を保持しながら、前記要素モデルに対応す
る前記形状要素の実測された形状測定データに対して位
置合わせし、前記形状測定データと前記要素モデルとの
間の誤差が最小となったときの形状パラメータを求める
ことを特徴とする複合形状の形状パラメータの測定方
法」を提供する。
【0007】前記発明の第2は、「ワークの複合形状を
構成する個々の形状要素の実測された形状測定データか
ら前記複合形状の形状パラメータを測定する装置におい
て、前記複合形状を構成する実際の個々の形状要素を実
測して得た形状測定データを入力する第1の手段、前記
形状測定データに対応する理論的な形状要素としての要
素モデルおよび前記複合形状に対応して前記要素モデル
によって構成される複合モデルの各データを入力もしく
は指定する第2の手段、および前記第2の手段によって
取り込まれた前記複合モデルを、前記第1の手段によっ
て入力された形状測定データに対して、前記複合モデル
を構成し且つ前記形状測定データに対応する前記要素モ
デル間の相対位置を保持しながら、前記形状測定データ
と前記要素モデルとの間の誤差が最小となるように位置
合わせし、そのときの形状パラメータを演算する演算手
段、を備えてなることを特徴とする複合形状の形状パラ
メータの測定装置」を提供する。
【0008】なお、複合形状とは、複数の形状要素から
構成され、その形状要素間に相対的な位置や姿勢に関し
て何らかの拘束がある形状グループをいう。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】前記発明(特開平6ー
282633)は、複合形状の形状パラメータを測定デ
ータから直接算出することを可能としたが、複合位置度
公差方式で公差指定された複合形状ワークを、それを実
測した測定データに基づいて、機能ゲージをシミュレー
トした検査を行い、公差規格に忠実に合否判定すること
は困難であった。
【0010】本発明は、このような課題を解決するため
のものであり、複合位置度公差方式によって、公差指定
された複合形状ワークに対し、機能ゲージをシミュレー
トした検査を行い、公差規格に対して忠実なワークの合
否判定を行う方法、及びその為の装置を得ることを目的
とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、近年主流とな
っている座標測定機を用いた測定・検査において、機能
ゲージをシミュレートした検査により、穴パターンなど
の複合形状ワークに対して複合位置度公差方式によって
公差が指定された場合に、該ワークの合否判定を公差規
格に忠実に行うことが必須であるとの認識から、鋭意研
究の結果、発明するに至ったものである。即ち、請求項
1に記載の発明は、ワークの複合形状を構成する個々の
形状要素の実測された形状測定データから、前記複合形
状が、前記複合形状に指定された複合位置度公差方式に
よる公差規格を満足するか否かを判定する方法におい
て、前記ワークが係合する相手ワークの複合形状の、少
なくとも係合する部分を複数の要素モデルの組み合わせ
として構成した複合モデルであって、データム指定され
た形状要素であるデータム要素に対応するデータム要素
モデルの寸法を実効寸法とした複合モデルを、前記複合
モデルを構成する要素モデル間の相対位置を保持しなが
ら、前記データム要素が前記データム要素を実測して得
たデータム要素測定データの範囲を逸脱しない範囲で浮
動させる、と同時に、前記複合モデルのデータム要素以
外の各要素モデルが、夫々に対応する形状要素を実測し
て得た各形状測定データの範囲を逸脱しない範囲で各要
素モデルの寸法を最大化させ、前記最大化させた各要素
モデルの寸法の最小値を最大化させて得た寸法を、対応
する形状要素の実効寸法と比較することを特徴とするワ
ーク形状の検査方法である。
【0012】請求項2に記載の発明は、ワークの複合形
状を構成する個々の形状要素の実測された形状測定デー
タから、前記複合形状が、前記複合形状に指定された複
合位置度公差方式による公差規格を満足するか否かを判
定する装置において、前記複合形状を構成する個々の形
状要素を実測して得た形状測定データを入力する第1の
手段と、前記ワークが係合する相手ワークの複合形状
の、少なくとも係合する部分を、データム指定された形
状要素の実効寸法をもつデータム要素を含む、複数の要
素モデルの組み合わせとして構成した複合モデルのデー
タを入力、又は指定する第2の手段と、前記第2の手段
で取り込まれた複合モデルを、前記複合モデルの、複合
形状のデータム指定された形状要素であるデータム要素
に対応するデータム要素モデルが、前記データム要素を
実測して得たデータム要素測定データの範囲を逸脱しな
い範囲で浮動させる、と同時に、前記複合モデルのデー
タム要素以外の各要素モデルが、夫々に対応する形状要
素を実測して得た各形状測定データの範囲を逸脱しない
範囲で各要素モデルの寸法を最大化させ、前記最大化さ
せた各要素モデルの寸法の最小値を最大化させて得た寸
法を、対応する形状要素の実効寸法と比較する演算手段
とを備えてなることを特徴とするワーク形状の検査装置
である。
【0013】
【実施の形態】以下に、本発明に係るワーク形状の検査
方法および装置の実施形態の例を、図面を参照しながら
詳細に説明する。なお、本明細書においては便宜上、検
査の対象として穴パターンを取り上げ、それに対して位
置度公差、最大実体公差が指定された場合に限定して説
明するが、これら以外の場合についても全く同様に本発
明が適用可能である。
【0014】図1に、穴パターンに対して位置度公差と
最大実体公差が指定されたワークの例を示す。ワークに
指定された公差の意味を簡単に説明する。平面図10には
5つの穴が配置されている。このうち4つの穴4、5、
6、7には、寸法公差1と幾何公差2が指定されている。幾
何公差2は、穴4、5、6、7の相互に関連して適用され
る、と同時にデータムにも関連する。穴4、5、6、7には
最大実体公差が適用されるので、最大実体寸法と実寸法
の差分をボーナスとして幾何公差に付加することができ
る。つまり、穴4、5、6、7の直径がそれぞれ寸法公差1
の下限値(つまりφ20.0、以下、φは直径を意味す
る。)のとき、穴4、5、6、7の軸線は、断面図11に示さ
れているデータム要素A(平面12)に垂直であり、且つ
平面図10に示されているデータム要素B(穴8)を基準と
して、真の(理論的に正しい)位置9を中心とするφ0.1
の円筒公差域の内部になければならない。穴4、5、6、7
の寸法が上限値(つまりφ20.2)のとき、これらの軸線
の円筒公差域はφ0.3に拡大される。以上が、穴4、5、
6、7の位置度公差に最大実体公差が指定されたことの意
味である。同時に、幾何公差2においては、データム要
素Bにも最大実体公差が適用されている。これは、穴8の
直径が下限値(φ25.0)のとき、穴4、5、6、7の軸線
は、穴8に対して互いに真の位置9になければならない
が、穴8の実寸法と最大実体寸法の差だけ、穴8の軸線は
浮動することができることを表している。つまり、穴8
の寸法がφ25.3のとき、その軸線はφ0.3の範囲内で移
動してもよい。
【0015】この浮動にともなって、穴4、5、6、7の軸
線も浮動するため、公差域が極めて複雑となり、通常の
測定手段では、ワークが図面指示を満足しているかどう
かの合否判定は極めて困難であった。そのため、図2に
示すような、組み付ける相手ワークの最も厳しい(組み
付き難い)状態をシミュレートした機能ゲージを製作
し、前記ワークに挿入することによって、合否の検証を
行わざるを得なかったのである。
【0016】図3は、例えば三次元座標測定機などの座
標測定機によりワーク表面を実測して得た形状測定デー
タ(以下測定データという)を基に、図2に示した機能
ゲージ検査をシミュレートした検査を実施する方法の概
要を示している。図は便宜上、2次元表記となっている
が、3次元にも全く同様に適用可能である。図3(a)
は、検査実施前の初期状態を模式的に示している。図2
の機能ゲージをシミュレートした複合モデル31は、図1
の測定データ41に対して、まだ位置合わせされていない
状態にある。複合モデル31は、図2と同位置に配置され
た5つの理論的な円筒(以下、プラグという)34、35、
36、37、38から構成される。ここで、図1の穴8に対応
するプラグ38の直径は、穴8の最小寸法、即ちφ25.0と
する。また、複合モデル31を測定データ41に対して位置
合わせするための基準点39をプラグ38の中心に設定す
る。なお、測定データ41は、図1に示した穴4、5、6、
7、8を夫々実測して得た測定データ群44、45、46、47、
48から構成される。
【0017】機能ゲージをシミュレートした検査は以下
の手順で実施される。即ち、プラグ34、35、36、37、38
の相対位置関係を保持した状態で、プラグ38が測定デー
タ群48で囲まれる閉領域の範囲を逸脱しないように、基
準点39を中心に複合モデル31を浮動させ、且つプラグ3
4、35、36、37が、夫々に対応する測定データ群44、4
5、46、47で囲まれる閉領域を逸脱しない範囲で、夫々
の直径のうちの最小値を最大化させる。最後に、こうし
て得られた直径を実効寸法(この場合は、φ20−0.1=φ
19.9)と比較・判定する。なお。浮動は並進移動ベクト
ル32と回転移動ベクトル33により行われる。
【0018】図3(b)は、測定データ41に対して、前記
複合モデル31が位置合わせされた様子を示している。複
合モデル31'は位置合わせ完了後の複合モデル31の状態
を示している。前記プラグ34、35、36、37、38も位置合
わせ後、それぞれ34'、35'、36'、37'、38'の状態とな
る。各プラグが、夫々対応する測定データ群44、45、4
6、47、48で囲まれる閉領域を逸脱しないという制約の
中で、最も小さい直径(この例では円筒35')が最大化
され、その値が求められる。
【0019】上記の方法においては、いかに、各プラグ
が夫々対応する測定データ群を逸脱しないように複合モ
デルを移動させ、且つ最小直径を最大化させるかが技術
的に最も重要な点となる。図4は、本発明の基本となる
複合モデルの理論について、複数の円筒から構成される
複合モデルを例に説明するものである。図4において、
円筒57を機能ゲージをシミュレートした複合モデルを構
成するi番目のプラグとする。なお、このプラグはワー
クのi番目の穴と対応しているものとする。座標系51
は、複合モデル内において前記円筒57の位置、姿勢を定
義する。この座標系51において、円筒57の中心軸上の1
点の位置ベクトル52をKi、中心軸の単位方向ベクトル5
6をli、半径58をriとする。この座標系の原点は、図
3(a)において説明した、位置合わせのための基準点と
なる。また、ワークのi番目の穴を測定したときのj番目
の測定点54をMijとする。ここで、全ての穴の全ての測
定点Mijに対して、複合モデルを位置合わせすることを
考える。Mijに対応する、位置合わせ前の円筒57上の位
置55をMthijとし、Mthijにおける円筒57上の単位法線
ベクトル53をnijとする。ここで、位置合わせのための
複合モデルの並進、回転移動量を微小とすれば、位置合
わせの前後において、nijが実質的に変化しないので、
位置合わせ後の測定点と円筒57の間の誤差は、次の数1
で表される。
【0020】
【数1】
【0021】ここで、DA、Rはそれぞれ、基準点Aにお
ける並進、回転移動を表すベクトルである。なお、数1
における記号「・」はベクトルの内積を、記号「×」は
ベクトルの外積を表す。図4の場合、幾何学的関係から
数1の右辺の各項は、次の数2のように求められる。
【0022】
【数2】
【0023】図5は、前述の理論を基礎とし、本発明に
よる機能ゲージをシミュレートした検査により、公差規
格に対して忠実なワークの合否判定を行う方法のフロー
チャートの1例である。本発明による方法は、前記発明
(特開平6−282633)における複合形状の形状パ
ラメータの測定方法を基本として構成され、それに対し
て、本発明の機能ゲージをシミュレートした検査により
公差規格に対して忠実なワークの合否判定を行う方法を
付加することにより、実現される。
【0024】図5において、まず対象となる複合形状の
理論形状データ、寸法・公差データおよび測定データを
入力する(ステップ61)。複合形状は、データム指定お
よび公差指定された全形状要素から構成する。その理論
形状データは、理論形状を構成する形状要素の数、形状
種別、基準点からの位置、姿勢、寸法などから構成され
る。例えば、図1のワークの場合、幾何公差2において
データム指定された形状要素数は1、公差指定された形
状要素数は4であり、全形状要素数は合計で5となる。
形状種別は全て円筒であり、基準点はデータム穴8の中
心軸上に設定されている。なお、データム指定された形
状要素は複数であってもかまわない。前記複合形状の理
論形状データおよび寸法・公差データは、CADシステム
などによりワーク設計時に作成したデータを流用しても
よいし、あるいは操作者が図面を見ながらキーボードな
どにより直接入力してもよい。
【0025】測定データは、例えば三次元座標測定機な
どにより、前記複合形状を実際に測定して得たデータを
入力する。測定データは、複数の測定点データから構成
されており、各形状要素と対応する群とされている。次
に、前記複合形状の理論形状データおよび寸法・公差デ
ータから、データム指定された穴の最小値、および公差
指定された穴の実効寸法を算出する(ステップ62)。例
えば、図1のワーク場合、データム指定された穴である
穴8の寸法は下限寸法(φ25)、公差指定された穴であ
る穴4、5、6、7の実効寸法は下限寸法から位置度公差を
減じた寸法(φ19.9)となる。なお、データム指定され
た形状要素の寸法は、データム指定された形状要素が複
数で位置度公差を持つ場合には実効寸法となる。又、実
効寸法とは、最大実体寸法±位置度公差(復号の+は軸
に、−は穴に適用する。)で求めた寸法である。
【0026】次に、機能ゲージをシミュレートした複合
モデルを設定する(ステップ63)。例えば、図1のワー
クの場合、図2のような複合モデルを設定する。この
際、データム指定された穴8に対応するデータム要素モ
デル(プラグ)の寸法はステップ62において算出した実
効寸法(φ25)とするが、穴34、35、36、37に対応する
要素モデル(プラグ)については、後述のステップ66に
おいてその寸法を算出するので変数としておく。
【0027】次に、測定データからデータム要素モデル
の位置、姿勢、寸法などの形状パラメータを算出する
(ステップ64)。図1のワークの場合、第1データムと
して平面12が、第2データムとして穴8が設定されてい
る。この順位はデータムの優先順位を示しており、この
順位にしたがって、まず平面12の位置、姿勢が算出され
る。ついで、この平面に垂直な穴としての幾何学的な拘
束条件を与え、穴8の位置、及び実寸法を算出する。算
出する実寸法は、穴の最大内接直径である。
【0028】次に、前記ステップ62において算出した実
効寸法と、前記ステップ64において算出した直径とを比
較する(ステップ65)。図1のワークの場合、前記ステ
ップ64で算出した直径(最大内接直径)が実効寸法(φ
25)以上であれば、穴8は合格(OK)と判定し、次のス
テップ66に進む。そうでなければ、穴8は不合格(NG)
と判定し、ステップ69において、このワークは不合格で
あるというメッセージを表示装置に表示して処理を終了
する。
【0029】前記ステップ65において、穴8、即ちデー
タム要素が合格であれば、図3(a)、(b)において示した
方法により、前記ステップ63において設定した複合モデ
ルを測定データに位置合わせする(ステップ66)。これ
は、以下に示す数3、4、5を制約条件とし、数6に示
す目的関数によって定式化される。
【0030】
【数3】
【0031】この数3は、複合モデルを構成する全要素
(プラグ)がデータム平面(図1の場合、平面12)に対
して垂直となるための幾何学的な制約条件を表してい
る。ここで、li'は、複合モデルを位置合わせする前の
各プラグの中心軸ベクトルであり、CDは、データム平
面の法線ベクトルであり、u、vは任意のスカラー量で
ある。なお、ND、NTは、夫々データム指定された穴の
数、公差指定された穴の数を表す。図1のワーク場合に
は、ND、NTは、夫々1、4となる。
【0032】
【数4】
【0033】この数4は、データム指定された穴に対応
するプラグが、その測定データで取り囲む閉領域の範囲
を逸脱しないための条件である。データム指定された穴
に対応する各プラグの半径riが最小寸法、又は実効寸
法rv(図1のワークの場合には12.5)のとき、数1に
示した誤差が0以上であるということを表している。
【0034】
【数5】
【0035】この数5は、公差の指定された穴に対応す
るプラグが、その測定データで取り囲む閉領域の範囲を
逸脱しないための条件を表している。
【0036】
【数6】
【0037】この数6は、公差の指定された穴に対応す
るプラグの半径のうち、最小の半径を最大化することを
表している。図6は、以上の定式化に基づき前記ステッ
プ66をさらに詳細に説明するフローチャートである。ま
ず、計算の繰返し回数kを1に設定しておく(ステップ
71)。 次に、全ての穴の、全ての測定データに対し
て、数2を用い、数1の右辺の係数を算出しておく(ス
テップ72)。次に、数3、4、5、6を用い、DA、R、
数6の値を算出する(ステップ73)。数学的な手法とし
ては、線形計画法を使用することができる。このとき、
解が得られるかどうか判別する(ステップ74)。解が得
られなければ”解なし”というエラーメッセージを表示
装置に表示し、位置合わせ失敗のフラグを立てて(ステ
ップ76)、ステップ66を終了する。解が得られれば、複
合モデルをDA、Rだけ並進、回転させる(ステップ7
5)。
【0038】次に、DA、Rがあらかじめ設定したしきい
値以下であるかどうか判別し(ステップ77)、しきい値
以下であれば、その時の数6の値を実寸法として保存し
(ステップ79)、ステップ66を終了する。そうでなけれ
ば、計算の繰返し回数kを1増加させる(ステップ7
8)。次に、繰返し回数が、あらかじめ規定した回数を
以下かどうか判別し(ステップ80)、規定回数以下であ
れば、再度ステップ72からの手順を繰返す。規定回数を
越えていれば、”収束しない”のエラーメッセージを表
示し、位置合わせ失敗フラグを立てて(ステップ81)、
ステップ66を終了する。
【0039】以上によりステップ66が終了するので、再
び図5のフローチャートに戻り、説明する。前記ステッ
プ66において、位置合わせ失敗のフラグが立っているか
どうか判別し(ステップ67)、フラグが立っていれば処
理全体を終了する。そうでなければ、前記ステップ66に
て保存した実寸法(数6の計算結果)と前記ステップ62
にて算出した、公差指定された穴の実効寸法(図1のワ
ークの場合、φ19.9)と比較し(ステップ68)、前記実
寸法が前記実効寸法以上であれば、”合格”のメッセー
ジを表示装置に表示して処理全体を終了する(ステップ
70)。そうでなければ、前記ステップ69に進み、”不合
格”のメッセージを表示装置に表示して処理全体を終了
する。
【0040】次に、上述した方法によって複合形状ワー
クが複合形状に指定された複合公差方式による公差規格
を満足するか否かを検査する装置について説明する。図
7は、前記検査を行うための装置の1実施例をブロック
図で示したものである。図7において、CAD81は、
ワークを設計するためのコンピュータ支援化装置であ
り、これには設計者によって図面データが入力される。
第1記憶手段82は、CAD81により作成されたワー
クの図面データ、若しくは形状測定データを記憶する。
複合形状抽出手段83は、第1記憶手段82に記憶され
たデータから、基準点の位置、要素形状の数、各要素形
状の種別、基準点からの相対位置、姿勢、寸法などのデ
ータによって構成される複合形状を抽出する装置であ
る。
【0041】測定機84は、ワークの各形状要素(実要
素)を、例えば座標値によって測定する装置である。第
2記憶手段85は測定機84により得られた形状測定デ
ータを実要素毎に複数の測定点の座標データ群として記
憶する。CADデータ入力手段101は第1記憶手段8
2のデータを取り込み、第3記憶手段105に格納す
る。複合形状入力手段102は複合形状抽出手段83に
より抽出されたデータを取り込み、第4記憶手段106
に格納する。形状測定データ入力手段103は、第2記
憶手段85に記憶されたデータを取り込み、第5記憶手
段107に格納する。
【0042】複合形状指定手段104は、第3記憶手段
105に対象となるワークのデータが記憶されているな
らば、ディスプレイ88にその図形を表示しながら、キ
ーボード86やマウス87など用いて操作者が対話的に
必要な複合形状を抽出するか、もしくはキーボードなど
によって、基準点の位置、要素モデルの数、各要素形状
の種別、基準点からの相対位置、姿勢、寸法などを直接
入力するためのものである。
【0043】第4記憶手段106は複合形状指定手段1
04において指定されたデータおよび複合形状入力手段
102において入力されたデータを記憶する。第1演算
手段109は、第4記憶手段106と第5記憶手段10
7のデータを読み込み、前記フローチャートのステップ
62からステップ70の演算処理を担当するものであ
る。演算途中のエラーメッセージなどはディスプレイ8
8に送出され、表示される。演算の結果は、直接、若し
くは第6記憶手段108に一度記憶された後、第3記憶
手段105に記憶されたCADデータとともに、ディス
プレイ88に表示される。
【0044】以上に説明した、CADデータ入力手段1
01、複合形状入力手段102、形状測定データ入力手
段103、複合形状指定手段104、第3記憶手段10
5、第4記憶手段106、第5記憶手段107、第6記
憶手段108、第1演算手段109は、本発明に係る複
合形状ワークの検査装置の1実施例である装置本体10
0を構成する。なお、この装置本体100は電子計算機
により構成することが好ましい。
【0045】
【発明の効果】穴パターンなどの複合形状に複合位置度
公差方式による公差が指定されたワークに対し、該複合
形状を構成する各形状要素を実測して得た測定データを
用いて、機能ゲージを用いた検査と同様の検査行い、規
格に対して忠実なワークの合否判定を行うことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で対象とするワークの1例である、穴パ
ターンに対して位置度公差と最大実体公差が指定された
図面を示した図である。
【図2】図1のワークに対する機能ゲージを示した図で
ある。
【図3】本発明の原理を説明する図であり、(a)は、
図1のワークに対して、図2の機能ゲージが位置合わせ
されていない初期状態を、(b)は、両者の位置合わせ
が完了した状態を示した図である。
【図4】機能ゲージをシミュレートした複合モデルを理
論的に説明する図である。
【図5】本発明の1実施例に係る方法を電子計算機によ
り実施する場合の全体フローチャート図である。
【図6】図5の全体フローチャートのうちのステップ66
について、さらに詳細に説明する図である。
【図7】本発明の1実施例に係る装置の要部の構成を示
すブロック図である。
【符号の説明】
4〜8……………ワークに設けられた穴 10………………ワークの平面図 31………………機能ゲージをシミュレートした複合モ
デル 41………………測定データ 34〜38………複合モデルを構成する要素モデル(プ
ラグ) 44〜48………ワークの穴を実測して得た測定データ
群 100……………装置本体 101……………CADデータ入力手段 102……………複合モデル入力手段 103……………形状測定データ入力手段 104……………複合モデル指定手段 105……………第3記憶手段 106……………第4記憶手段 107……………第5記憶手段 108……………第6記憶手段 109……………第1演算手段

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ワークの複合形状を構成する個々の形状
    要素の実測された形状測定データから、前記複合形状
    が、前記複合形状に指定された複合位置度公差方式によ
    る公差規格を満足するか否かを判定する方法において、 前記ワークが係合する相手ワークの複合形状の、少なく
    とも係合する部分を複数の要素モデルの組み合わせとし
    て構成した複合モデルであって、データム指定された形
    状要素であるデータム要素に対応するデータム要素モデ
    ルの寸法を実効寸法とした複合モデルを、前記複合モデ
    ルを構成する要素モデル間の相対位置を保持しながら、
    前記データム要素が前記データム要素を実測して得たデ
    ータム要素測定データの範囲を逸脱しない範囲で浮動さ
    せる、と同時に、前記複合モデルのデータム要素以外の
    各要素モデルが、夫々に対応する形状要素を実測して得
    た各形状測定データの範囲を逸脱しない範囲で各要素モ
    デルの寸法の最小値を最大化させて得た寸法を、対応す
    る形状要素の実効寸法と比較することを特徴とするワー
    ク形状の検査方法。
  2. 【請求項2】 ワークの複合形状を構成する個々の形状
    要素の実測された形状測定データから、前記複合形状
    が、前記複合形状に指定された複合位置度公差方式によ
    る公差規格を満足するか否かを判定する装置において、 前記複合形状を構成する個々の形状要素を実測して得た
    形状測定データを入力する第1の手段と、 前記ワークが係合する相手ワークの複合形状の、少なく
    とも係合する部分を、データム指定された形状要素の実
    効寸法をもつデータム要素を含む、複数の要素モデルの
    組み合わせとして構成した複合モデルのデータを入力、
    又は指定する第2の手段と、 前記第2の手段で取り込まれた複合モデルを、前記複合
    モデルの、複合形状のデータム指定された形状要素であ
    るデータム要素に対応するデータム要素モデルが、前記
    データム要素を実測して得たデータム要素測定データの
    範囲を逸脱しない範囲で浮動させる、と同時に、前記複
    合モデルのデータム要素以外の各要素モデルが、夫々に
    対応する形状要素を実測して得た各形状測定データの範
    囲を逸脱しない範囲で各要素モデルの寸法の最小値を最
    大化させて得た寸法を、対応する形状要素の実効寸法と
    比較する演算手段とを備えてなることを特徴とするワー
    ク形状の検査装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108920794A (zh) * 2018-06-22 2018-11-30 杭州电子科技大学 一种三基准体系下双直径要素基准组合遵循公差相关要求的被测要素检验公差带计算方法
CN112683208A (zh) * 2020-12-04 2021-04-20 中国航空工业集团公司北京航空精密机械研究所 一种获取无基准位置度的方法

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