JPH09217101A - 粉末冶金製品の製造方法 - Google Patents

粉末冶金製品の製造方法

Info

Publication number
JPH09217101A
JPH09217101A JP32431996A JP32431996A JPH09217101A JP H09217101 A JPH09217101 A JP H09217101A JP 32431996 A JP32431996 A JP 32431996A JP 32431996 A JP32431996 A JP 32431996A JP H09217101 A JPH09217101 A JP H09217101A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
powder
slurry
dispersion medium
water
metal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP32431996A
Other languages
English (en)
Inventor
Akio Matsumoto
本 彰 夫 松
Noriaki Tateno
野 範 昭 建
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toto Ltd
Original Assignee
Toto Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toto Ltd filed Critical Toto Ltd
Priority to JP32431996A priority Critical patent/JPH09217101A/ja
Publication of JPH09217101A publication Critical patent/JPH09217101A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Powder Metallurgy (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋳込成形法を応用した粉末冶金製品の製造方
法を確立して、大型品、複雑形状品のニアネットシェイ
プ成形を、初期投資を抑えて、小ロット〜大ロットのい
かなる生産ロットにも対応できることを可能とする。 【解決手段】 金属粉末を主成分とする粉体を水などの
分散媒に分散させたスラリーを多孔質型に注型し、多孔
質型に分散媒の一部を吸収させることにより、スラリー
を固化させた成形体を作り、該成形体を乾燥後、焼結さ
せる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粉末冶金製品の鋳
込み成形を利用した製造方法、特に、水栓等の通水部を
有する粉末冶金製品の鋳込み成形を利用した製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】金属製品の製造方法は、プレス、押し出
し、引き抜き、切削加工、鋳造等の様々な手法がある
が、最近では、金属粉末を成形、焼結させるいわゆる粉
末冶金法が用いられることもある。
【0003】粉末冶金法は、他の金属製品製造方法に比
較して、例えばタングステン等の溶解が難しい高融点製
品や、多孔質製品等の他の製造方法では製造が難しい製
品にも容易に応用できることや、ニアネットシェイプ成
形が可能であるため、後加工のコストが削減できる等の
利点がある。
【0004】後者の利点であるニアネットシェイプ成形
ということに関しては、確かに粉末冶金法で作った製品
は例えば、同じく型に原料を投入する手法である鋳造法
に比較すると、はるかに型の形状を忠実に写し取ってい
る。しかしながら、粉末冶金法における成形工程で採用
される手法は、従来からの乾式プレス法と、近年盛んに
なった射出成形方法に限られており、これでは工業的な
応用に限界がある。
【0005】即ち、乾式プレス成形、射出成形方法につ
いては高価な金型を使うために初期投資がかかり、ロッ
トが大きな製品にしか適用できず、また、製造上の制約
から、大型製品や3次元的に複雑な形状の製品にも適用
できない。更に射出成形方法においては、脱脂工程で非
常に大きな収縮が発生するため、生産技術上のネックと
なっている。
【0006】ところで、水栓金具には、洗面所用、浴室
用、シャワー用等用途に応じた様々な種類のものがある
が、材質としては主に青銅、黄銅等の銅合金が用いられ
ている。これらの水栓金具の製造方法として用いられて
いるのは鋳造若しくは棒材、管材からの切削加工、塑性
加工のいずれかであるが、鋳造法による場合、鋳造品の
鋳肌は非常に悪いため後加工に膨大な工数がかかる上、
砂型又は金型を用いる鋳造法では、型費を回収せねばな
らない為、小ロット生産には向いていない。また、棒
材、管材からの切削加工、塑性加工についても、製造
上、柱状・棒状形状の組み合わせの形状としかならず、
製品形状に制約がある。又、銅合金は高耐蝕性が劣るた
め、表面メッキを施す必要があり、コストアップの要因
となっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的
は、鋳込成形法を応用した粉末冶金製品の製造方法を確
立し、大型品、複雑形状品のニアネットシェイプ成形
を、初期投資を抑えて、小ロット〜大ロットのいかなる
生産ロットにも対応できることを可能とするものであ
る。なお、鋳込成形法自体は、陶磁器の製造方法として
既に周知技術であり、これに対して金属を鋳込成形する
ことは原料形態が粉体であるという点で同じであるが、
金属粉は陶磁器粉と比べて比重、粒径分布、表面状態等
が全く異なっており、単に転用するだけでは難しい為、
種々の工夫を講じなければならない。
【0008】また、本発明の第2の目的は、鋳込成形法
を応用した水栓金具の製造方法を確立し、従来の鋳造法
や、管材、棒材の切削加工、塑性加工では不可能である
か或いは著しいコストアップにつながっていた複雑形
状、大型形状等のデザインバリエーションの自由度が高
い水栓金具や、ロット数が小さな水栓金具の工業的製造
を可能とすることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、金属粉末を主
成分とする粉体を水などの分散媒に分散させたスラリー
を多孔質型に注型し、多孔質型に分散媒の一部を吸収さ
せることにより、スラリーを固化させた成形体を作り、
該成形体を乾燥後、焼結させることを特徴とする。
【0010】更に、金属粉末の平均粒径が1μm〜30
μmであり、平均粒径の1/2より小さな粒径を持つ粉
末の体積分率が金属粉末全体の15%以上であることを
特徴とする。
【0011】更に、スラリーの添加剤としてバインダー
を含むことを特徴とする。
【0012】更に、スラリーの流動特性をチクソトロピ
ー性とすることを特徴とする。
【0013】また、本発明は、金属粉末を主成分とする
粉体を水などの分散媒に分散させたスラリーを多孔質型
に注型し、多孔質型に分散媒の一部を吸収させることに
より、スラリーを固化させた成形体を作り、該成形体を
乾燥後、非酸化性雰囲気中で焼結させた焼結体を作り、
該焼結体に表面処理後、メッキを施したことを特徴とす
る。
【0014】更に、金属粉末の主成分として少なくとも
銅粉末若しくは銅合金粉末を含むことを特徴とする。
【0015】また、本発明は金属粉末を主成分とする粉
体を水等の分散媒に分散させたスラリーを多孔質型に注
型し、多孔質型に分散媒の一部を吸収させることにより
スラリーを固化させた成形体を作り、該成形体を乾燥
後、非酸化性雰囲気中で焼結させた焼結体を作り、該焼
結体の表面仕上げを行うことを特徴とする。
【0016】更に、金属粉末の主成分として、ステンレ
ス鋼等の鉄鋼材料粉末、チタン粉末、チタン合金粉末、
アルミニウム粉末、アルミニウム合金粉末より選ばれた
1種以上の金属粉末を含むことを特徴とする。
【0017】また、粉末冶金製品が水栓金具であること
を特徴とする。
【0018】更に、粉末冶金製品内部に水等の流体が通
る通水部を有しており、該通水部を形成するのに、前記
スラリーを固化させ、所望の厚みの成形体を得た後、余
剰のスラリーを排出する工程を設け、そのスラリーが排
出された部分を前記通水部とすることを特徴とする。
【0019】
【発明の具体的説明】以下、本発明について詳述する。
本発明が応用できる金属の種類には特に制限はなく、鉄
系では純鉄系、鉄−銅系、鉄−炭素系、鉄−炭素−銅
系、鉄−炭素−銅−ニッケル系、鉄−炭素(銅溶浸)
系、鉄−ニッケル系、鉄−炭素−ニッケル系、鉄−ニッ
ケル−モリブデン−炭素系、鉄−マンガン−クロム−炭
素系、鉄−銅−ニッケル−モリブデン−炭素系、ステン
レス鋼、ハイス鋼等を、銅系では、純銅、青銅、黄銅、
洋銀、アルミニウム青銅、シルジン青銅、ニッケル青
銅、燐青銅、モネル、テンパロイ等を、その他、アルミ
ニウム及びその合金、チタン及びその合金、スーパーア
ロイ、タングステン及びその合金、超硬合金、サーメッ
ト等を挙げることができる。また、鋳造法や塑性加工、
切削加工などの従来の金属製品製造方法を採用する場合
には、鋳造特性や加工特性をまず第1に考慮しなければ
ならないため、金属の組成は厳しく制限されている。
【0020】これに対して本発明の製造方法において
は、そのような製造工程上にネックとなる要素がないた
め、製品の物性(強度、耐熱性、耐蝕性等)を第1に考
慮して、合金組成を決定することが可能となる。
【0021】また、応用する金属が合金である場合、原
料粉としては、夫々の単金属粉(合金の種類によって
は、金属でないものも含まれる。例えば、含炭素の合金
ならば黒鉛粉を炭素源として用いる場合がある)を原料
として用い、焼結時に合金を形成させても良く、また、
最初から目標組成の合金粉を用いても良い。均一な合金
製品を作るためには、目標組成の合金粉を用いるほうが
好ましい場合が多い。経済的な観点からは、各単金属粉
を用いたほうが好ましい場合が多い。一般的には合金を
構成する金属のうち、融点が低い成分が他の成分中に拡
散しやすい場合には、単金属粉を用いるのが好ましく、
そうでない場合には、合金粉を用いる方が望ましい。
【0022】また、原料として用いられる金属粉体の好
ましい粒度等の物性は、通常の粉末冶金の場合とは異な
っている。まず粒度分布に関しては、好ましい平均粒径
は1μm〜30μmであり、更に好ましくは6μm〜2
0μm、その平均粒径の1/2より小さな粒径を持つ粉
末の体積分率が金属粉末全体の15%以上であることが
好ましい。平均粒径が30μmを越えると充填率の高い
成形体を作るのが困難になり、また、平均粒径が1μm
を下回ると成形時の着肉速度が遅くなったり、濃度の高
いスラリーを作ることが難しくなったりする。平均粒径
が6μmを下回ると金属粉体の製造コストが高くなり、
20μmを越えると脱型時の成形体の湿潤強度や可塑性
が小さく、ハンドリングで破損しやすいという問題があ
る。
【0023】また、平均粒径の1/2より小さな粒径を
持つ粉末の体積分率が金属粉末全体の15%以下になる
と充填率の高い成形体を作るのが困難になったり、濃度
の高いスラリーを作ることが難しくなったりする。
【0024】原料粉の製造方法としては、アトマイズ
法、還元法、電解法、熱分解法等既知の方法を採ること
ができるが、前述の好ましい粒度分布(平均粒径1〜3
0μm、平均粒径の1/2より小さな粒径を持つ粉末の
体積分率が金属の粉末全体の15%以上)を満たすため
にはこれらの方法と物理的な粉砕方法を組み合わせるこ
とが好ましい。例えば、アトマイズ法で所望の平均粒径
の数倍〜数十倍の粒径の粉体を作り、これをボールミ
ル、チューブミル、振動ミル、ジェットミル等の粉砕機
で所望の粒度分布の粉体を得る方法等が考えられる。
【0025】なお、粉砕方法に関しては、分散媒中で粉
砕して、粉砕と同時にスラリーを作ってしまう湿式粉砕
と、乾燥状態で粉砕して粉砕後に分散媒を加えてスラリ
ーを作る乾式粉砕のどちらでも採用可能である。また湿
式粉砕であっても粉砕時に原料や粉砕媒体の成分が分散
媒に溶け出してしまう場合や、スラリー分散媒と湿式粉
砕時の分散媒が相異なる場合には、湿式粉砕終了後に、
粉砕時の分散媒を沈降、フィルタープレス、乾燥等の手
段で取り除いてから、分散媒を加えてスラリーを作るこ
ともできる。
【0026】また、充填率の非常に高い成形体をつくる
ためには、一般の粉末冶金法の常識とは全く逆に不定形
の粉体よりもなるべく球体に近い粉体を用いた方が好ま
しい場合もある。球形の粉体を得るための好ましい原料
粉体の製造方法はアトマイズ法であり、その中でも水ア
トマイズ法よりもガスアトマイズ法が好ましい。
【0027】スラリーの分散媒としては、原料粉末の分
散が可能であって且つ安価で取り扱いが容易なものが好
ましく、通常は水が用いられる。しかしながら、原料粉
末と水が反応する場合等には、有機溶媒を用いることも
できる。
【0028】また、スラリー原料としては、原料粉体及
び分散媒以外の添加剤として、バインダー、分散剤、凝
集剤、界面活性剤、滑剤、増粘剤、PH調節剤等を加え
ることもできる。特に金属粉末の鋳込成形において、陶
磁器粉末に比べると成形体の強度が劣る場合が多いた
め、バインダーを添加剤として加えることが好ましい場
合が多い。また、バインダーを添加剤として加える場合
には、そのバインダーは成形体の強度を高めるためだけ
ではなく、分散剤、増粘剤としての効果も併せもつもの
であれば更に好ましい。
【0029】尚、分散作用と増粘作用は従来の陶磁器の
鋳込成形において相反する要素とされているが、金属の
鋳込成形の場合には事情が異なっている。即ち、一般に
金属は比重が陶磁器と比べると大きいため、スラリー中
で沈降しやすく、これを防いで分散媒中で安定して分散
させるためには分散媒の粘性が高いほうが好ましいから
である。そういう意味では、ここでいう増粘剤は広い意
味での分散剤の中に含めることもできる。
【0030】好ましいバインダーとしては、アルギン酸
ナトリウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸トリ
エタノールアミン等のアルギン酸塩、水ガラス、カルボ
キシルメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース
ナトリウム、ポリビニルアルコール、デキストリン、ペ
プトン、溶性デンプン、各種ポリマー、各種エマルジョ
ン等をあげることができる。
【0031】また、好ましいバインダーの添加量は乾燥
重量に換算して金属粉体重量の0.05%〜5%であ
り、0.05%を下回るとバインダーとしての効果が十
分ではなくなり、5%を越えると、焼結時の収縮が大き
くなって、複雑形状品への対応が難しくなる。
【0032】スラリーを注型する型としては分散媒の一
部を吸収する必要があるため、少なくとも成形面におい
ては多孔質の型材を用いる必要がある。好ましい型とし
ては石膏型、樹脂型、セラミック型等が挙げられる。石
膏型は安価である上に毛管吸引力に起因する自己吸水性
があるため、最も使いやすいが、反面表面が、水に溶解
するために、厳しい表面精度が要求される場合や、合金
中にカルシウムが含まれることにより、合金物性に悪影
響を及ぼす場合には、樹脂型やセラミック型を用いるの
が好ましい。
【0033】樹脂型やセラミック型には実用的な成形速
度を発現できるだけの毛管吸引力に起因する自己吸水性
を備えている場合もあるが、そうでない場合や、更に成
形速度を大きくしたい場合には、スラリーにポンプやシ
リンダー等を用いて直接加圧したり、また、型材を真空
ポンプ等を用いて吸引したりすることもできる。
【0034】なお、型にスラリー中の水(前述のように
有機溶媒の場合もあるが、以後水として論ずる)を吸収
させて成形体の厚みをつけていく(これを以後着肉と称
する)場合、所望の成形体の厚みの鋳込空間を型の成形
面で形成し、成形体の周囲から(平板状の成形体なら両
側から)着肉させる方法を採っても良く、また、例えば
中空の製品を作る場合には、成形体の片側から型にスラ
リー中の水を吸収させ、所望の厚みを着肉させた後に、
余剰のスラリーを排出する(これを以後、排泥と称す
る)方法を採っても良い。また、成形体の周囲から型に
吸水される部分と、片側から吸水され、余剰スラリーは
排出される部分の両方を備えた製品を作ることも可能で
ある。
【0035】なお、排泥工程を採用する場合には、余剰
のスラリーが排出されたあとの面(以後排泥面という)
の含水率が高く、従って、このまま脱型すると乾燥、焼
成工程で他の部分に比べて収縮が大きくなる可能性があ
る。これを防ぐためには、排泥終了後に、排泥空間に加
圧空気や熱風を送り込んで、排泥面の含水率を下げる手
段を採ることもできる。
【0036】また、排泥工程を採用する場合に重要なこ
とは、未着肉のスラリーを全てスムースに排出すること
であり、未着肉のスラリーが大量に残留していると、そ
の部分の乾燥、焼成工程での収縮が大きいため、製品に
クラックが発生する場合がある。これを防ぐためには、
スラリーの流動特性をチクソトロピー性とすることが好
ましく、ダイラタンシー性を示すことは避ける必要があ
る。(なお、スラリーをチクソトロピー性にすることは
排泥をスムーズに行ううえで非常に好ましいが、また、
スラリーの調合や注型を行ううえでも、取り扱いが容易
になる。) しかしながら、通常の陶磁器原料粉末のスラリーがチク
ソトロピー性を示すのに対し、通常の金属粉末を水に分
散させたものはダイラタンシー性を示すために、これを
チクソトロピックな状態にするためには、金属粉体の粒
度分布と添加剤の両方の面から検討する必要がある。
【0037】まず、粒度分布に関しては、粒径分布がな
るべくブロードに、特に粒径が小さい方向に拡がってい
ることが好ましい。これは前述の平均粒径の1/2より
小さな粒径を持つ粉末の体積分率が金属粉末全体の15
%以上であることという好ましい方向とも一見一致す
る。しかしながら、この条件だけでは粒径分布がシャー
プな粗粒と粒径分布がシャープな微粒の粉体の組み合わ
せでも構わないことになるが、これではスラリーのダイ
ラタンシー性を解消するには十分ではない。
【0038】また、添加剤の側面からは前述のバインダ
ーはチクソトロピー付与剤として働くことも多いため、
バインダーの添加量を決定するためには、成形体の強度
のみならず、その流動特性も考慮して決定しなければな
らない。
【0039】但し、極度に強いチクソトロピー性を示す
ものは逆に排泥が困難になる場合もあるが、このような
現象は前述の球体に近い形状の粉体を用いることにより
防ぐことができる。
【0040】以上、金属粉末の成形までの工程について
述べてきたが、成形終了後の成形体は乾燥工程を経て、
焼結工程に入る。
【0041】焼結雰囲気は原則として金属の酸化を防ぐ
ため非酸化性雰囲気であり、原料粉の種類やコストと製
品の物性の関係等を考慮して、真空雰囲気、分解アンモ
ニアガス、水素ガス、変性ガス、発生炉ガス等の還元雰
囲気、窒素、アルゴン等の中性雰囲気を選択する。
【0042】焼成温度、時間は原料粉の種類や大きさ形
状によって、コントロールする必要があり、焼結終了後
の気孔率が、多孔質の型や膜のように、気孔部分の存在
により機能性を発現させる製品の場合を除き、20%以
下となるように焼結させることが好ましい。どこまで焼
結させるかは、製品形状、金属種類によって焼成変形が
発生する時の焼結度が異なるため、一律に決定できない
が、気孔部分の存在により機能性を発現させる製品を作
る場合を除き、焼成変形が発生する直前まで焼結させる
ことが好ましい。
【0043】従って、焼成変形がわずかであるならば、
その変形及び収縮を見込んだ形状の成形体ができる様な
型を作っておけば良く、この手法によってより焼結度を
あげることが可能となる。但しこの手法を採る場合にお
いても、焼結後の気孔率は1%以上とすることが好まし
く、これ以上焼結させると形状のバラツキが大きくなる
場合が多い。
【0044】焼結終了後の焼結体は、そのまま製品とし
ても良く、また、再圧縮、機械加工、研磨加工、溶浸、
浸炭、焼入れ焼き戻し等の熱処理、鍍金、塗装、樹脂含
浸等の表面処理を施しても良い。
【0045】以上本発明における粉末冶金製品の製造方
法について説明したが、この方法を用いた粉末冶金製品
の例としては、気孔部が機能性を持たない製品としては
歯車、羽車、ブレード、クランクケース、クランクシャ
フト、ポートライナー、ハウジング類等の各種機械部
品、工具類、美術工芸品、カップ、トロフィー、メダル
類、金型、水栓金具等が挙げられ、また、気孔部が機能
性を発現する製品としては、プラスチック、金属、セラ
ミックス成形用の多孔質金型、含油軸受等をあげること
ができる。
【0046】なお、気孔部が機能性を発揮する多孔質製
品を作る場合、焼成雰囲気を通常の完全非酸化性雰囲気
ではなく、ある程度酸化雰囲気で焼結させることによ
り、成形体内部では粒子同士が固定されているため酸化
されず、粗多孔質の状態であるのに対し、成形体表面で
は金属粒子が酸化膨張して密多孔質状態となる2層構造
又は傾斜機能材料を作ることもできる。これは、例え
ば、多孔質型金型として利用する場合には、表面の密な
部分で成形される材料の侵入を防ぎ、内部の粗な部分で
通気性を向上させることができる。
【0047】続いて、本発明の水栓金具への応用につい
て説明する。本発明が応用できる金属の種類には、特に
制限はないが、強度、耐蝕性等を考慮すると、青銅、黄
銅、洋銀、アルミニウム青銅、シルジン青銅、ニッケル
青銅、燐青銅等の銅合金が好ましい。特に従来の鋳造法
や、棒材、管材からの塑性加工、切削加工では、鋳造特
性や加工特性を第1に考慮しなければならないために、
合金組成はきびしく制限されていたが、本発明の製造方
法を応用すればそのような制限がないため、水栓金具の
要求物性(耐蝕性、耐ヒートショック性、強度等)を第
1に考えて合金組成を決定することが可能となる。
【0048】但し、銅合金を水栓金具の材料として用い
る場合、銅合金は耐蝕性に劣るため表面にメッキを施す
必要がある場合が多い。
【0049】メッキ工程を省くためには耐蝕性に優れた
金属を用いる必要があり、耐蝕性と美観に優れた金属と
しては、各種ステンレス鋼等の鉄鋼材料、チタン及びそ
の合金、アルミニウム及びその合金をあげることができ
る。
【0050】また、合金材料を用いる場合、原料とする
金属粉としては、夫々の単金属粉を原料として用い、焼
結時に合金を形成させても良く、また、最初から目標組
成の合金粉を用いても良い。均一な合金製品を作るため
には、目標組成の合金粉を用いるほうが好ましい場合が
多い。経済的な観点からは、各単金属粉を用いたほうが
好ましい場合が多い。一般的には合金を構成する金属の
うち、融点が低い成分が他の成分中に拡散しやすい場合
には、単金属粉を用いるのが好ましく、そうでない場合
には、合金粉を用いる方が望ましい。
【0051】また、原料として用いられる金属粉体の好
ましい粒度等の物性は、通常の粉末冶金の場合とは異な
っている。まず粒度分布に関しては、好ましい平均粒径
は1μm〜30μmであり、その平均粒径の1/2より
小さな粒径を持つ粉末の体積分率が金属粉末全体の15
%以上であることが好ましい。平均粒径30μmを越え
ると充填率の高い成形体を作るのが困難になり、また、
平均粒径が1μmを下回ると成形時の着肉速度が遅くな
ったり、濃度の高いスラリーを作ることが難しくなった
りする。
【0052】また、平均粒径の1/2より小さな粒径を
持つ粉末の体積分率が、金属粉末全体の15%以下にな
ると、充填率の高い成形体を作るのが困難になったり、
濃度の高いスラリーを作ることが難しくなったりする。
【0053】原料粉の製造方法としては、アトマイズ
法、還元法、電解法、熱分解法等既知の方法を採ること
ができるが、前述の好ましい粒度分布(平均粒径1〜3
0μm、平均粒径の1/2より小さな粒径を持つ粉末の
体積分率が金属の粉末全体の15%以上)を満たすため
には、これらの方法と物理的な粉砕方法を組み合わせる
ことが好ましい。例えば、アトマイズ法で所望の平均粒
径の数倍〜数十倍の粒径の粉体を作り、これをボールミ
ル、チューブミル、振動ミル、ジェットミル等の粉砕機
で所望の粒度分布の粉体を得る方法等が考えられる。な
お、粉砕方法に関しては、分散媒中で粉砕して、粉砕と
同時にスラリーを作ってしまう湿式粉砕と、乾燥状態で
粉砕して粉砕後に分散媒を加えてスラリーを作る乾式粉
砕のどちらでも採用可能である。また湿式粉砕であって
も、粉砕時に原料や粉砕媒体の成分が分散媒に溶け出し
てしまう場合や、スラリー分散媒と湿式粉砕時の分散媒
が相異なる場合には、湿式粉砕終了後に、粉砕時の分散
媒を沈降、フィルタープレス、乾燥等の手段で取り除い
てから、分散媒を加えてスラリーを作ることもできる。
【0054】また、充填率の非常に高い成形体をつくる
ためには、一般の粉末冶金法の常識とは全く逆に、不定
形の粉体よりもなるべく球体に近い粉体を用いた方が好
ましい場合もある。球形の粉体を得るための好ましい原
料粉体の製造方法はアトマイズ法であり、その中でも水
アトマイズ法よりもガスアトマイズ法が好ましい。
【0055】スラリーの分散媒としては、原料粉末の分
散が可能であって且つ安価で取り扱いが容易なものが好
ましく、通常は水が用いられる。しかしながら、原料粉
末と水が反応する場合等には、有機溶媒を用いることも
できる。
【0056】また、スラリー原料としては、原料粉体及
び分散媒以外の添加剤としてバインダー、分散剤、凝集
剤、界面活性剤、滑剤、増粘剤、PH調節剤等を加える
こともできる。特に金属粉末の鋳込成形において、陶磁
器粉末に比べると成形体の強度が劣る場合が多いため、
バインダーを添加剤として加えることが好ましい場合が
多い。また、バインダーを添加剤として加える場合に
は、そのバインダーは成形体の強度を高めるためだけで
はなく、分散剤、増粘剤としての効果も併せもつもので
あれば更に好ましい。尚、分散作用と増粘作用は、従来
の陶磁器の鋳込成形において相反する要素とされている
が、金属の鋳込成形の場合には事情が異なっている。即
ち、一般に金属は比重が陶磁器と比べると大きいため、
スラリー中で沈降しやすく、これを防いで分散媒中で安
定して分散させるためには分散媒の粘性が高いほうが好
ましいからである。そういう意味では、ここでいう増粘
剤は広い意味での分散剤の中に含めることもできる。
【0057】好ましいバインダーとしては、アルギン酸
ナトリウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸トリ
エタノールアミン等のアルギン酸塩、水ガラス、カルボ
キシルメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース
ナトリウム、ポリビニルアルコール、デキストリン、ペ
プトン、溶性デンプン、各種ポリマー、各種エマルジョ
ン等をあげることができる。
【0058】また、好ましいバインダーの添加量は、乾
燥重量に換算して金属粉体重量の0.05%〜5%であ
り、0.05%を下回るとバインダーとしての効果が十
分ではなくなり、5%を越えると、焼結時の収縮が大き
くなって、複雑形状品への対応が難しくなる。
【0059】スラリーを注型する型としては分散媒の一
部を吸収する必要があるため、少なくとも成形面におい
ては多孔質の型材を用いる必要がある。好ましい型とし
ては石膏型、樹脂型、セラミック型等が挙げられる。石
膏型は安価である上に毛管吸引力に起因する自己吸水性
があるため、最も使いやすいが、反面表面が、水に溶解
するために、厳しい表面精度が要求される場合や、合金
中にカルシウムが含まれることにより、合金物性に悪影
響を及ぼす場合には、樹脂型やセラミック型を用いるの
が好ましい。樹脂型やセラミック型には実用的な成形速
度を発現できるだけの毛管吸引力に起因する自己吸水性
を備えている場合もあるが、そうでない場合や、更に成
形速度を大きくしたい場合には、スラリーにポンプやシ
リンダー等を用いて直接加圧したり、また、型材を真空
ポンプ等を用いて吸引したりすることもできる。
【0060】なお、型にスラリー中の水(前述のように
有機溶媒の場合もあるが、以後水として論ずる)を吸収
させる場合、所望の成形体の厚みの鋳込空間を型の成形
面で形成し、成形体の周囲から(平板状の成形体なら両
側から)着肉させる方法を採っても良く、また、例えば
中空の製品を作る場合には、成形体の片側から型にスラ
リー中の水を吸収させ、所望の厚みを着肉させた後に、
余剰のスラリーを排泥する方法を採っても良い。この排
泥工程を採用すると、水栓金具の通水部を排泥空間とす
ることにより、容易に前記通水部を作ることができる。
又、複雑な通水路や肉厚の管をつくることもできる。ま
た、成形体の周囲から型に吸水される部分と、片側から
吸水され、余剰スラリーは排出される部分の両方を備え
た製品を作ることも可能である。
【0061】なお、排泥工程を採用する場合には、含水
率が高く、従って、このまま脱型すると乾燥、焼成工程
で他の部分に比べて収縮が大きくなる可能性がある。こ
れを防ぐためには、排泥終了後に排泥空間に加圧空気や
熱風を送り込んで、排泥面の含水率を下げる手段を採る
こともできる。
【0062】また、排泥工程を採用する場合に重要なこ
とは、未着肉のスラリーを全てスムースに排出すること
であり、未着肉のスラリーが大量に残留しているとその
部分の乾燥、焼成工程での収縮が大きいため、製品にク
ラックが発生する場合がある。これを防ぐためにはスラ
リーの流動特性をチクソトロピー性とすることが好まし
く、ダイラタンシー性を示すことは避ける必要がある。
(なお、スラリーをチクソトロピー性にすることは排泥
をスムーズに行ううえで非常に好ましいが、また、スラ
リーの調合や注型を行ううえでも、取り扱いが容易にな
る。) しかしながら、通常の陶磁器原料粉末のスラリーがチク
ソトロピー性を示すのに対し、通常の金属粉末を水に分
散させたものはダイラタンシー性を示すために、これを
チクソトロピックな状態にするためには、金属粉体の粒
度分布と添加剤の両方の面から検討する必要がある。ま
ず、粒度分布に関しては、粒径分布がなるべくブロード
に特に粒径が小さい方向に拡がっていることが好まし
い。これは前述の平均粒径の1/2より小さな粒径を持
つ粉末の体積分率が金属粉末全体の15%以上であるこ
とという好ましい方向とも一見一致する。しかしなが
ら、この条件だけでは粒径分布がシャープな粗粒と粒径
分布がシャープな微粒の粉体の組み合わせでも構わない
ことになるが、これではスラリーのダイラタンシー性を
解消するには十分ではない。
【0063】また、添加剤の側面からは、前述のバイン
ダーはチクソトロピー付与剤として働くことも多いた
め、バインダーの添加量を決定するためには、成形体の
強度のみならず、その流動特性も考慮して決定しなけれ
ばならない。
【0064】但し、極度に強いチクソトロピー性を示す
ものは逆に排泥が困難になる場合もあるが、このような
現象は前述の球体に近い形状の粉体を用いることにより
防ぐことができる。
【0065】以上、水栓金具製造の成形までの工程につ
いて述べてきたが、成形終了後の成形体は乾燥工程を経
て、焼結工程に入る。
【0066】焼結雰囲気は原則として金属の酸化を防ぐ
ため非酸化性雰囲気であり、原料粉の種類やコストと製
品の物性の関係等を考慮して、真空雰囲気、分解アンモ
ニアガス、水素ガス、変性ガス、発生炉ガス等の還元雰
囲気、窒素、アルゴン等の中性雰囲気を選択する。
【0067】焼成温度、時間は原料粉の種類や大きさ形
状によって、コントロールする必要があり、焼結終了後
の気孔率が、20%以下となるように焼結させることが
好ましい。どこまで焼結させるかは、製品形状、金属種
類によって焼成変形が発生する時の焼結度が異なるた
め、一律に決定できないが、焼成変形が発生する直前ま
で焼結させることが好ましい。従って、焼成変形がわず
かであるならば、その変形及び収縮を見込んだ形状の成
形体ができる様な型を作っておけば良く、この手法によ
ってより焼結度をあげることが可能となる。但しこの手
法を採る場合においても、焼結後の気孔率は3%以上と
することが好ましく、これ以上焼結させると形状のバラ
ツキが大きくなる場合が多い。
【0068】続いてメッキ工程を必要とする場合につい
て説明すると、焼結終了後の焼結体は、そのまま次の鍍
金工程に進んでもよく、また、金属塊の打ち込み、サン
ドブラスト、ベルト研磨、羽布研磨、バフ仕上げ、ホー
ニング仕上げ、ラッピング仕上げ等の後仕上げや、焼き
入れ・焼き戻し等の熱処理や再圧縮を施しても良い。
【0069】続いての鍍金工程については、被鍍金物の
状態や鍍金の種類により洗浄、脱脂等の適切な前処理を
施した後に目標とする外観、物性に合わせた鍍金処理を
行う。
【0070】なお、焼結体若しくは後仕上げを施した焼
結体が、本鍍金に必要な表面平滑度を満たしていない場
合には、下地鍍金として銅鍍金を施すこともできる。な
お、銅鍍金は下地鍍金として用いられる以外に銅外観が
要求される場合や、銅の経時変色を目的とする場合には
本鍍金として施すこともできる。
【0071】本鍍金の種類としては、ニッケル鍍金、ク
ロム鍍金、ニッケルクロム鍍金、金鍍金、ブロンズ鍍
金、黒色クロム鍍金、各種艶消鍍金等があり、用途、外
観に合わせて選択する。
【0072】また、メッキ工程を必要としない場合につ
いては、焼結終了後の焼結体はサンドブラスト、バレル
研磨、ベルト研磨、羽布研磨、バフ仕上げ、ホーニング
仕上げ、ラッピング仕上げ等の表面仕上げを行う。ま
た、焼き入れ、焼き戻し等の熱処理や再圧縮を施しても
よい。
【0073】以上本発明における水栓金具の製造方法に
ついて説明したが、水栓金具は、通常複数部品の組立に
より構成される。本発明の製造方法はそれらの部品の全
てに応用してもよく、又、一部の部品に適用して他の部
品は鋳造法、棒材、管材からの塑性加工、切削加工の従
来法で作り、それらを組み合わせても良い。
【0074】特に本発明の製造方法はハンドル部や、
湯、水の吐水口であるスパウト部への応用が容易であ
り、デザイン性の高い形状の製品を作ることができる。
また、従来は複数の部品を組み立てて作っていた製品を
本法によって、一体で作ることも可能になる。また、ロ
ゴマークや模様等を型に刻んで浮き彫り、沈み彫り等の
デザインを導入することも容易である。
【0075】また、従来の砂型や金型を用いた鋳造法で
は、溶融した金属の流動性を確保するため一定の肉厚以
下のものをつくることは困難である。また、形状が複雑
な場合、肉厚が厚すぎるとひけが発生する可能性があり
製品の欠点となる恐れがある。
【0076】これに対し本発明における製造方法では余
剰スラリーが排出(排泥)するまでの時間を変更するこ
とにより肉厚を自由に変更でき、要求される(耐水圧、
強度等)を満たす範囲で可能な限り肉厚の薄いものが製
造でき、また肉厚が厚い場合でもひけが発生することが
ない。
【0077】さらに、肉厚を変更する場合、従来の方法
では型自体を作り直す必要があるが、本発明の製造方法
では一つの型で肉厚の異なる製品を作ることが可能とな
る。
【0078】以下本発明の実施の態様について説明す
る。
【0079】
【発明の実施の形態】
〔実施例1〕平均粒径が夫々、100μm、60μm、
10μm、5μmのアトマイズ鉄粉99.4重量部、黒
鉛0.6重量部を、夫々ボールミルで数種類の所定の粒
度まで粉砕し、それらを混合して表1のNo.1〜N
o.10に示す粒度の鉄粉を作った。夫々の鉄粉100
重量部、水13重量部、アルギン酸アンモニウム0.4
重量部、カルボキシルメチルセルロースナトリウム0.
1重量部を混合し、これをスラリーとした。なお、スラ
リーの流動性状は表1中のNo.1〜No.5、No.
7、No.8、No.10はチクソトロピー性状を示
し、No.6、No.9はダイラタンシー性状を示し
た。
【0080】このスラリーを適宜の形状の石膏型に流し
込み、着肉終了後、成形体を脱型した。脱型した成形体
は110℃で完全乾燥させた後に、1,180℃の焼成
温度で、水素雰囲気下で焼結させた。続いて焼結終了後
の焼結体のカサ比重と引っ張り強度を測定し、その結果
を表2に示す。
【0081】表2に示される様に平均粒径が1μmより
小さいもの、平均粒径が30μmより大きいもの、微粒
径が少ないものについては、やや焼結度が低く、従って
強度もやや劣っていた。
【0082】〔実施例2〕Cu89Wt%,Sn10W
t%,C+P+S+Mn+Si+Zn+Pb1Wt%の
青銅粉末をジェットミルを用いて、表1のNo.11の
粒度まで粉砕した。その青銅粉末100重量部、水13
重量部、アルギン酸アンモニウム0.2重量部、アクリ
ルエマルジョン(固形分比30%)1重量部を混合し、
これをスラリーとした。なお、スラリーの流動性状はチ
クソトロピー性を示した。そのスラリーを、洗面所用湯
水混合栓の外形形状をした石膏型に注型し、8分間放置
して、2.5mm着肉させた。着肉終了後、余剰スラリ
ーを排出し、その後、80℃の熱風を3分間吹き込んだ
後に脱型した。脱型した成形体はハンドリングに十分な
強度を有していた。続いてその成形体を110℃で完全
乾燥させた後に、750℃の焼成温度で水素雰囲気下で
焼結させた。その焼結体をバフ加工を施した後に、下地
鍍金として銅鍍金を、本鍍金としてニッケルクロム鍍金
を施し、製品とした。その製品は20kgw/cm2
水圧によっても水漏れを生じることもなく、割れなども
確認されなかった。また、同一の石膏型から100個の
製品を作ったが、いずれのものにも欠陥等は見られなか
った。
【0083】〔実施例3〕SUS316L粉末のガスア
トマイズ粉(粒度分布は表1のNo.12参照)100
重量部、水11重量部、アルギン酸トリエタノールアミ
ン0.08重量部、ワックスエマルジョン0.16重量
部(固形分のみ、残りの水については前述の水11重量
部中に含めて換算するものとする)を混合し、これをス
ラリーとした。尚スラリーの流動性はチクソトロピー性
を示した。
【0084】そのスラリーを水栓スパウト部の外形形状
をした石膏型に注型し、6分間放置して、2mm着肉さ
せた。
【0085】着肉終了後、余剰スラリーを排出し、20
分間放置後脱型した。脱型した成形体はハンドリングに
十分な強度を有していた。続いてその成形体を130℃
で完全乾燥した後に1,250℃の焼成温度で水素雰囲
気下で焼結した。その焼結体をバレル研磨加工を施した
後にバフ仕上げを行い製品とした。
【0086】
【表1】
【0087】
【表2】

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属粉末を主成分とする粉体を水などの分
    散媒に分散させたスラリーを多孔質型に注型し、多孔質
    型に分散媒の一部を吸収させることにより、スラリーを
    固化させた成形体を作り、該成形体を乾燥後、焼結させ
    ることを特徴とする粉末冶金製品の製造方法。
  2. 【請求項2】金属粉末の平均粒径が1μm〜30μmで
    あり、平均粒径の1/2より小さな粒径を持つ粉末の体
    積分率が金属粉末全体の15%以上である請求項1記載
    の粉末冶金製品の製造方法。
  3. 【請求項3】スラリーの添加剤としてバインダーを含む
    請求項1記載の粉末冶金製品の製造方法。
  4. 【請求項4】スラリーの流動特性をチクソトロピー性と
    する請求項1記載の粉末冶金製品の製造方法。
  5. 【請求項5】金属粉末を主成分とする粉体を水などの分
    散媒に分散させたスラリーを多孔質型に注型し、多孔質
    型に分散媒の一部を吸収させることにより、スラリーを
    固化させた成形体を作り、該成形体を乾燥後、非酸化性
    雰囲気中で焼結させた焼結体を作り、該焼結体に表面処
    理後、メッキを施したことを特徴とする粉末冶金製品の
    製造方法。
  6. 【請求項6】粉末冶金製品が水栓金具である請求項5記
    載の粉末冶金製品の製造方法。
  7. 【請求項7】金属粉末の主成分として銅粉末若しくは銅
    合金粉末を含む請求項6記載の粉末冶金製品の製造方
    法。
  8. 【請求項8】金属粉末を主成分とする粉体を水等の分散
    媒に分散させたスラリーを多孔質型に注型し、多孔質型
    に分散媒の一部を吸収させることによりスラリーを固化
    させた成形体を作り、該成形体を乾燥後、非酸化性雰囲
    気中で焼結させた焼結体を作り、該焼結体の表面仕上げ
    を行うことを特徴とする粉末冶金製品の製造方法。
  9. 【請求項9】粉末冶金製品が水栓金具である請求項8記
    載の粉末冶金製品の製造方法。
  10. 【請求項10】金属粉末の主成分として、ステンレス鋼
    等の鉄鋼材料粉末、チタン粉末、チタン合金粉末、アル
    ミニウム粉末、アルミニウム合金粉末より選ばれた1種
    以上の金属粉末を含む請求項9記載の粉末冶金製品の製
    造方法。
  11. 【請求項11】粉末冶金製品内部に水等の流体が通る通
    水部を有しており、該通水部を形成するのに、前記スラ
    リーを固化させ、所望の厚みの成形体を得た後、余剰の
    スラリーを排出する工程を設け、そのスラリーが排出さ
    れた部分を前記通水部とする請求項1、6、9記載の粉
    末冶金製品の製造方法。
JP32431996A 1995-12-05 1996-12-04 粉末冶金製品の製造方法 Pending JPH09217101A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32431996A JPH09217101A (ja) 1995-12-05 1996-12-04 粉末冶金製品の製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7-348147 1995-12-05
JP34814795 1995-12-05
JP32431996A JPH09217101A (ja) 1995-12-05 1996-12-04 粉末冶金製品の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09217101A true JPH09217101A (ja) 1997-08-19

Family

ID=26571450

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP32431996A Pending JPH09217101A (ja) 1995-12-05 1996-12-04 粉末冶金製品の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09217101A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20040013342A (ko) * 2002-08-06 2004-02-14 최성조 방향성 다공질 금속소결체의 제조방법
KR101533627B1 (ko) * 2012-10-09 2015-07-06 한양대학교 에리카산학협력단 열전복합체의 제조방법, 그에 따라 제조된 열전복합체와 열전복합재료
CN111893416A (zh) * 2020-08-07 2020-11-06 和县卜集振兴标准件厂 一种冷冲压模具表面激光喷涂处理方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20040013342A (ko) * 2002-08-06 2004-02-14 최성조 방향성 다공질 금속소결체의 제조방법
KR101533627B1 (ko) * 2012-10-09 2015-07-06 한양대학교 에리카산학협력단 열전복합체의 제조방법, 그에 따라 제조된 열전복합체와 열전복합재료
CN111893416A (zh) * 2020-08-07 2020-11-06 和县卜集振兴标准件厂 一种冷冲压模具表面激光喷涂处理方法
CN111893416B (zh) * 2020-08-07 2022-08-05 和县卜集振兴标准件厂 一种冷冲压模具表面激光喷涂处理方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4546238B2 (ja) 最終輪郭に近い高多孔質金属成形体の製造方法
Conde et al. Replication processing of highly porous materials
US20040200805A1 (en) Metal engraving method, article, and apparatus
CA2234365C (en) Enhancement of thermal properties of tooling made by solid free form fabrication techniques
KR100841162B1 (ko) 소결 금속 부품 및 그 제조 방법
EP0121929A2 (en) Permeable mold
CN100513018C (zh) 一种加固型快速粉末冶金模具制造方法
WO1999054075A1 (en) Powdered material rapid production tooling method and objects produced therefrom
Tay et al. Laser sintered rapid tools with improved surface finish and strength using plating technology
JPH09217101A (ja) 粉末冶金製品の製造方法
US6203734B1 (en) Low pressure injection molding of metal and ceramic powders using soft tooling
CN105463276B (zh) 一种具有致密化表面的铝基粉末冶金零件的制备方法
CN102310196B (zh) 电场作用下烧结制备微小零件的方法
WO2004091907A1 (de) Rapid prototyping-verfahren
US20130287622A1 (en) Metal alloy and jewelry articles formed therefrom
JP2002047502A (ja) Cr含有Fe系合金粉末及びそれを用いたCr含有Fe系合金焼結体
KR950007174B1 (ko) 시계 케이스용 경질 합금의 제조방법
Noguchi et al. Manufacturing of high precision forming tool transferred from laser stereolithography models by powder casting method
EP1230051A2 (en) Low pressure injection molding of flat tableware from metal feedstocks
NOGUCHI et al. Rapid Tooling by Powder Casting Transferred from RIP Model-Manufacturing Conditions Pursuing Zero Shrinkage
KR900004597B1 (ko) 금속소결체용 원료시이트와 그 제조방법 및 금속소결체의 제조방법
CN117776686A (zh) 一种Al2O3-ZrO2复相陶瓷颗粒及其制备方法和应用
Dai et al. Numerical Simulation for Lost Foam Casting of Diamond Grinding Wheels
Tremblay et al. Development of enhanced green strength lubricating systems for green machining.
JPH05339068A (ja) 通気性を有する多孔質成形型およびその製造方法